コインより薄い、レンズ無しの激薄カメラ
スマホカメラに革命が起きるかも。
カメラを構成する主要部品はレンズと記録素子。それは大きな一眼レフデジタルカメラからスマートフォンまで変わりません。しかし、今回開発された「レンズのいらない超薄型カメラ」の技術がカメラ業界、特にスマートフォンに内蔵される小型カメラに大きな可能性をもたらしそうです。
アメリカテキサス州のライス大学で開発された「FlatCam」は、レンズを使わずにマスクを設置したセンサーで直接光学イメージを読み取り、コンピューター処理をくわえることで画像を生成します。
じつはこのFlatCam、ピンホールカメラの技術の応用なんです。ピンホールカメラは穴の開いた箱に感光素材を入れてイメージを捉えますが、このFlatCamでもセンサーの前に異なる大きさの穴が空いたマスクを置くことで、イメージを捉えているんです。
その後、センサーでとらえたデータをアルゴリズムで処理し、512×512ドットの画像を生成します。現時点で生成可能な画像データはちょっとぼやっとしていますが、これは製造技術やアルゴリズムの改良により改善されるだろうとのこと。
ライス大学で電子・コンピューターエンジニアリング学部の教授を務めるRichard Baraniuk氏は「この技術によって曲がったカメラや壁紙型カメラを作ったり、さらにはクレジットカードや超薄型コンピューターにもカメラが内蔵できるだろう」と語っています。また、壊れやすいレンズがないことから災害復旧やセキュリティ分野での利用も考えられています。
この技術が実用されれば、スマートフォンなどのカメラモジュールは大幅な薄型化が実現できます。さらに、レンズがいらないことで体積を抑えながらより大型なセンサーを利用することも可能になるでしょう。スマートフォン、特にiPhone 6sではカメラの飛び出しがデザイン上の欠点なんて言われることもありますが、そのような飛び出した背面カメラもそのうち無くなるかもしれませんね。
source: Rice University via gizmag
(塚本直樹)