アメリカの医療費が異常なまでに高騰していることは、何度か紹介してきました。
(参照:「アメリカでガラガラヘビに噛まれた…この請求書を見てほしい」→毒蛇より医療費のほうが怖い!)
他の先進国と比較したところ、アメリカ人は2.5倍の医療費をかけているにもかかわらず、平均寿命は1.7年短いことが明らかとなりました。
(縦軸:平均寿命 横軸:1人あたりの医療保険の費用)
上記の表は、OECD(経済協力開発機構)が2003年と2013年の医療保険と平均寿命の関係をまとめたものです。
これを見るとアメリカの医療費がダントツで高いことがわかります。
この10年間の高騰のしかたもすさまじく、それに対して平均寿命の延び方は非常に悪い結果となっています。
たとえばチリはアメリカの平均寿命とほぼいっしょですが、医療費は5分の1にしかすぎません。
このアメリカの医療コストパフォーマンスの悪さについて、海外掲示板に多くの意見が寄せられていました。
●自分はアメリカをチャンスの国として見ているし、それについてはいい国だと思うのだけど、いったい世界的にこんな影響力のある大国が、なぜ国民のための医療費でそんな問題を抱えているんだろう? それにはいつも驚く。
↑アメリカ人は、自分たちの医療・健康管理をビジネスとして経営することを選んだんだよ。
●ハンバーガーにでもコントロールされているのかな。
●たった今アメリカの医療システムを利用中の自分にも言わせてほしい。もうこれは絶対的に桁外れの惨事だ。このシステムで大丈夫という人は、風邪以外の理由で医者に行ったことがあるのかと疑問に思う。
最初の担当医が処置できない問題を抱えたら、それはもう完全な大災害と化す。聞いたこともない名前の医師から、支払ったあと数か月後に請求書が届く。病院にいる医師で自分が入っている保険会社がカバーしていないなら、もうどうにもできないのだ。検査の結果が他の病院に送られ、そこの病院はまた自分の保険がカバーしていない。もう延々と続けられるんだ。何か起こるたびにどんどん怒りでいっぱいになる。
↑ひどいのはとても不透明なところで、何が保険でカバーされていないか請求書が届くまでわからないこと。
●自分がアメリカに行って驚いたのは食事だけじゃなく、人が外にいないこと。すごい量の車が動いているが歩行者はゼロ。家の中に車で入っていく。自動で開くガレージにそのまま入り、実際に屋外には1秒さえいないこと。
↑都会にはいっぱい歩いている人はいるよ。だがほとんどは田舎に住んでいて、それが広大すぎて車がないとどこにも行けない。ほとんどのところには公共の交通機関もない。
●ちょっとした話だが、自分は医療関係で仕事をしていて、アメリカに引っ越してくる前は、ヨーロッパの医療従事者と結婚していた。
誰も言ってないが、終わりのない延々と続く検査を医師は指示しなくちゃいけない。自分たちが訴えられるのを防ぐのが理由。他の国で訴えられることを念頭に置いて医療システムが回っているところは、ほぼないと言っていい。
とある老婦が倒れた。どう見ても脱水症状である。そして脱水症状の可能性を伝える。おそらく脱水症状なので点滴がいる。ところがそれにCTスキャン、遠隔測定法、ホルター心電図、脳波、起立性低血圧の検査(傾斜試験)、何百万と言う検査だ。全ての検査は陰性と出て、脱水症状という診断とともに解放されるのだが、4〜6週間で恐ろしい請求書が届く。
●死ぬのも自由なんだ。
●もともと政府主導の医療保険に反対の立場だった。だが完全に手の平を返したのは、保険会社とのやりとりが原因だ。
まず保険でカバーされるものに必ず例外がある。「紛失した書類」「医師や自分の署名入りの提出物が足りない」「診断コードが読み取れずに違うカテゴリに入った」「2か月の往診の際に、明確にしていなかった」とか、さらに「10年以上前に喫煙をしていたのを5年前に診た医師が報告した」といった理由まである。自分の症状について委員会が自分のいないところでレビューしなくてはいけない。
もうたくさんだ。もういい。自分に何のメリットもないCigna(保険会社)から手の引いて、オバマケアに払うよ。少なくとも失業してもカバーされるし、他の人が治療されるほうが、保険会社に1セントを取られるよりましだ。
●これは誰にも驚きではない。利益のための医療システムなんだから、みんなが各ステップごとにケーキ(利益)の一部を切り取っていく。それが全体のシステムの前提だ。風船のように膨れ上がった請求にならないわけがない。
●でもバランスがとれていて、この国は、世界で最もリッチな医療保険会社のCEOがいるよ。
平均寿命には殺人や自殺なども含まれ、また肥満の問題などもあるため、必ずしも医療システムだけのせいではないとの意見もありました。
それにしても、医療費用が異常なまでに高騰しているのは確かです。