「休日」
アラームの自己主張が耳に痛い。
外は明るいのだろう。
太陽が昇ったから朝なのか、朝になったから太陽が昇ったのか。
それが問題だ。
……問題?
空に黄身のような丸い光が浮かんでいる。
白身はどこに行ったのだろう。
地球に浮かぶ大きな蛍光灯、その紐をひく仕事に就きたい。
眠い。
やっぱり寝坊できないのは辛いから退職したい。
そろそろ起きないと。
もう朝だから。
布団が私を呼んでいる。
瞼が重い。
まだ朝だから。
窓辺のプランターに水をやる。
ラベンダーの香りが広がった。
サボテンのトゲトゲが痛い。
いつもの日課。
くるくる
豆を挽く音が体に響く。
ごりごり
イチゴ色になったトーストと一緒に朝食。
苦くて甘くて美味しい。
ようやく頭も回ってきた。
くるくる
今日は一日何をしよう。
時間はあるし、二度寝してしまおうか。
それよりも有意義に過ごしたい。
読んでいない本が何冊か積んである。
見たいと思ってチェックした映画は幾つあったっけ?
……。
……。
………………。
………………良い天気。
散歩にいこう。
どの服で出かけようか。
少し寒くなってきたけれど、歩くのならちょっと薄着でもいいかな。
天気予報もその考えに太鼓判を押した。
個の青いワンピースとかどうだろう。
…………。
……違うな。
思った通り暖かい。
悩んだ結果、アイボリー色の薄手のセーターとワインレッドのフレアスカート。
散歩にはちょっと似合わないかな?
まあいいか。
よし。
気合を入れて―……。
出発!!
……あ、ケータイ忘れた。
家の前のT字路で悩む。
右は良く知った道。左はあまり通らない。
うーん。
特に目的地のない旅が、開始で躓くとは。
どうしようか。
躓くついでにそこの小石に決めてもらおう。
さぁどっちに転がる。
右か左か。
大地と再会を果たした小石の判定は、まっすぐ進んで側溝の中へ。
……。
……。
…………なるほど。
大きく三歩踏み出す。
目の前の電柱に軽くタッチ。
これでよし。
未だ見ぬ世界に向け、取り舵いっぱーい。
こうやってあてもなく歩くのは好きだ。
遠く遠く、トランペットの音が聞こえる。
ぱーーーーぷーーー
へたっぴな口笛を重ねて、二人だけのアンサンブル。
ぷーーーーぱーーー
ぴゅー
へたっぴ過ぎて楽しくなってきた。
コンクールなら銅賞ものかな。
街路樹の傘を風が揺らして、地面が木漏れ日で濡れた。
見上げると、一枚の葉っぱがひらひら落ちてくる。
……あれを落ちる前につかめたら良い一日になる。
舞い降りる葉っぱを両手が追う。
躍るようにひらひら逃げられ、悪あがきも虚しく地面に着いた。
伸ばした手の行き場をなくし、その場で固まる。
……今のは練習。次が本番。
結局3回の練習の果てに、今日は素晴らしい日になることが決した。
小さな商店街、ちょっとワクワクしてくる。
家の近くにこんな所があったなんて。
右に左に目をやると、大きなガラスの中の私と目が合った。
今日の服装はちょっとフェミニン?
二人の私がくるりと回る。
自分と睨めっこをしていると、ガラスの奥でお店の人がクスリと笑っているのが見えた。
は、恥ずかしい……。
真っ赤な顔は、きっと朝のイチゴジャムのせい。
どこのお店も開店したばかりみたい。
お客さんを迎えるように戸口が開いている。
店先にたくさんの小物が飾ってあるお店が目に入った。
あそこの雑貨屋さんに入ってみようかな。
中は所狭しと色々な物が置いてあった。
ペンダント、首飾り、ネックレス。
アロマキャンドル、鉢植え、掛け時計。
他にも本棚やロッキングチェア、身長程もあるペンギンの置物まで。
自分が小さくなって、おもちゃ箱に迷い込んだみたい。
さっきまで無かった、針金で編んだ熊が鞄で揺れている。
次はどこに行ってみよう。
更に通りの奥へと進む。
のんびり、てくてく。
左手に興味を引かれる看板を発見。
これは、映画館?
ちょっとカビ臭い。
受付の人に話を聞く。
どうやら一昔前の "B級映画" を上映しているらしい。
今週はアクション、恋愛、ゾンビホラーの3つ。
怖いもの見たさでチケットを購入。
ポップコーンは無いのかな?
先客は誰もいないみたい。
部屋の真ん中、特等席に座る。
今の時間はゾンビホラーをやるらしい。
……怖かったら途中退出も出来るよね?
一人だけの劇場に、チープなブザーが鳴り響く。
予告も広告もなく、本編が始まった。
……。
………………おかしい。
ホラー映画を見ていたはずなのに。
物語は中盤。
なんで主人公たちはゾンビの闊歩する街中で、……その……えっちなことをしているんだろう。
えっ、うぁ、そんなことまで?
ていうかこのシーン長くない?
自分以外劇場に誰もいないのに、何だか気まずい。
いたたまれなくなり、思わず両手で顔を覆う。
指の隙間から光が漏れているのはわざとじゃない。しょうがない。
もちろん基本的にはゾンビ映画だ。
被り物の動く死体はどことなくコミカルで、予想とは違う面白さだった。
でも、やっぱりこりごりかな。
ここには二度と来ないことを誓う。
さて。
お日さまが空のてっぺんで輝いている。
どこかでお昼にしよう。
メニューの一番上にあったオムライスを注文。
席で大人しく料理を待つ。
天井で大きなシーリングファンがゆったり回っている。
控えめに流れるジャズが心地良い。
窓の外を眺めながら、小さなあくびを一つ。
手持ちぶさたにグラスを弄んでいると、良い香りが近づいてきた。
目が覚める思いで姿勢を正す。
いただきまーす。
スプーンを優しく突き立てる。
中からオレンジ色のチキンライスが顔を出した。
昔ながらのオムライス。
小さく盛ったそれを口に運ぶ。
……。
……。
おいしい!
満足感でいっぱいな体が、少し重い。
水を飲みながらしばしの休憩。
突然目
コメント一覧
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- 2015年12月02日 22:55
- マジでゴミ
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- 2015年12月02日 22:55
- ただの痛いポエムか
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- 2015年12月02日 23:09
- でも米3稼いだね、これで。
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- 2015年12月02日 23:36
- 90年代の少女小説のようなごく普通の少女の一人称風にしようとしたみたいな
中学校の文芸同好会誌辺りに載ってそうな文体だな
日記読まされたみたいで合わなかった
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- 2015年12月02日 23:48
- ありきたりでなぁ
ブログのほうがもう少し文学的視点で見れるぞ。
携帯小説のように不快な気分
-
- 2015年12月02日 23:56
- これぞ「801」って感じだな。
山無しオチ無し意味無しって意味の方で
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