グラン「祝って欲しいんだ……」ランスロット「……え?」
SSを書くのもスレ立てするのも初めてなので容赦してください……。
ランスロット「……そう、だったのか」
グラン「ああ。もう何回目なのかは……忘れたけど、一年に一度しかない大事な日だ」
ランスロット「……そうだな」
ランスロット「……ルリアやダヌアとは特に、仲が良かったな」
グラン「誰かを蔑ろにしたことはないし、皆一緒に戦った大切な仲間だ。信頼だってもちろんしてる」
ランスロット「俺とも、背中を合わせて戦ったことは、一度や二度じゃないしな」
グラン「朝に目が覚めて、パーティーなんて大掛かりなことはなくても、おめでとうの言葉くらいはあると思ったら。
皆『おはようグラン』って、いつもどおりの挨拶をするんだ」
ランスロット「………」
グラン「皆、ただいつもと同じように、おはようって。それだけなんだ」
ランスロット「………」
グラン「もしかして、ドッキリなのかなって。後で驚かせるために、わざと忘れてるフリをしてるんじゃないかなって」
グラン「そう思ってさ、いつもどおりに過ごしたんだ。……そう思わなきゃさ、ココロが折れそう、だったんだ」
ランスロット「……辛かったんだな」
これでもし忘れてるフリをしてるんだったら、主演女優賞レベルの名演技でさ」
グラン「いてもたってもいられなくて、つい、ルリアに言っちゃったんだ。『実は俺、今日誕生日なんだ』ってさ」
ランスロット「……それは、」
グラン「その時の俺の気持ち、わかるか?情けないような、寂しいような、泣きたいような、辛いような、全部がごちゃまぜになった気持ちが。
いますぐ部屋に戻って、ベッドに顔を埋めたまま明日になって欲しいとさえ、思った」
ランスロット「………」
ランスロット「……それはつまり、どういう」
グラン「俺にだってわからないよ。……してない、してないんだ。だって俺の誕生日は、今日なんだから。前もってパーティーをするはずないし、
それにそもそも、俺にはパーティーをした憶えがない」
グラン「でも、ルリアは頭の上に疑問符が浮かんで見えそうなほど、心底不思議そうにしていてさ」
グラン「つい、『そっか。そういえばそうだったな。ごめんルリア、変なこと言った』って、そう言っちゃったんだ」
ランスロット「……団長」
グラン「だから、もう一人だけ、と思ってさ。ビィなら、長年一緒にいるビィならと思って、会った時にまた言ったんだ。今日は俺の誕生日だって」
グラン「そしたらビィも、言うんだ。『何言ってんだグラン?それはこの前過ぎただろ?』って」
ランスロット「……それは、団長が本当に忘れて」
グラン「違う、違うんだよ……俺の誕生日は確かに今日なんだ……カレンダーも見なおしたし、日付も確認したし、絶対に今日なんだ」
グラン「でも俺以外は皆、誕生日はもう終わったって、そう言うんだ……。もう、頭がどうにかなりそうだった」
ただ一言、おめでとうって。誰かにそう言って欲しかったんだ……」
ランスロット「………」
グラン「だから、いろんな団員のところに行った。ダヌアも、ヴィーラも、アルベールも、ジャンヌも、パーさんのところにも」
グラン「思いつく限りの団員のとこに行って、実は俺の誕生日は今日なんだって、言ったんだ」
グラン「そしたら皆言うんだ。『冗談だろ』って。『それはこの間じゃないか』って。『パーティーは楽しかったな』って」
ランスロット「………」
グラン「彷徨ってさ。誰でもいい、団員じゃなくてもいい、ただ一言、俺の誕生日を祝ってくれる人を探して、歩きまわってさ」
グラン「そして……ここに来たんだ」
ランスロット「……経緯はわかった。団長が辛い思いをしたことも、わかった」
グラン「……そうだろ?じゃあランスロット、俺の誕生日を祝う言葉を……」
ランスロット「……ああ。その前に、一つ頼みがある」
ランスロット「この鎖を、解いてくれないか……?」
ランスロット「……イザベラだ。多分、杯に何か盛られたんだと思う」
グラン「……ああ、あのお婆ちゃんか。また悪巧みしてるのか、飽きないねあの老人」
ランスロット「囚えられていたはずのイザベラが、また国を乗っ取ろうとしている……。恐らく何か、大きな組織が動いてるはずだ」
グラン「そうなのか」
グラン「……惨めだ」
ランスロット「……え?」
グラン「……今話しを聞いてる間、今日一日の自分の行動を、思い返してさ。そしたら……なんだこれって。情けないってレベルじゃねぇぞ、って」
グラン「世界中を探しても、俺以上に惨めなやつ、いないんじゃないかって」
グラン「その上で、何か鎖に繋がれてる半裸の男を、何かよくわかんないまま助けたらさ」
グラン「……正直、惨めさで心が、押しつぶされそうだ……」
ランスロット「……別に、俺を助けたからといってそう変わるわけでも」
ランスロット「いずれにせよ、ダメージは負うんだな……」
グラン「ランスロットを助けて、自分の心を修復不能なまでにすり潰すか。一旦このままにして、お祝いの言葉で心の重さをとっぱらったあと、余裕を持って助けるか」
グラン「ランスロット。どっちが、正解だと思う……?」
ランスロット「……わかった。俺が間違っていた。すまない」
グラン「わかってくれれば、それでいいんだ」
ランスロット「……プレゼントや、ケーキ、だろうか」
グラン「ああ、そうだ。特にケーキだ。ケーキは素晴らしい。見た目も華やか、食べて幸せ、祝いの場に相応しいこれ以上ないパーフェクトな一品だ」
グラン「だから、せめて自分でケーキを準備しようって。虚しさはあるけど、それよりもケーキの幸福度で身も心も満たされようって」
グラン「そう思って近場のケーキ屋さんに、行ったらさ」
ランスロット「……売り切れ、だったのか?」
グラン「……手持ちのルピが、50しか、なかった」
ランスロット「……ケーキは、買えないな」
グラン「そしたら、答えは案外、身近なところにあってさ」
ランスロット「何だったんだ……?」
グラン「……アーミラ、カリオストロ、レディ・グレイ、ネツァワルピリ」
ランスロット「……それは?」
グラン「彼らの共通点。一体、なんだと思う?」
ランスロット「…………あ……」
グラン「毎日こつこつ貯めてさ。毎週金色とか銀色のスライムも、たくさん倒してさ……」
グラン「……でも無くなるのは一瞬だ。全部尽きて、ようやく本人は、それを自覚するんだ」
グラン「まるで信頼関係のようだって、そう思わないか?ランスロット……」
ランスロット「……そう、だな。似ている部分は、あるかもしれないな」
グラン「蝋燭だけは、なんとか一つだけ、買えたんだ」
グラン「本当はルピが足り
コメント一覧
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- 2015年12月02日 21:54
- 悲しいなあ
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- 2015年12月02日 21:55
- 最後で哀しくなった
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- 2015年12月02日 22:20
- あっ(察し
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- 2015年12月02日 22:36
- なにこれホモゲー?
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- 2015年12月02日 23:07
- 中身おっさんの美少女を愛でるゲームだよ
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- 2015年12月02日 23:12
- 古代布ファンタジーだよ
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