COP21参加の先進国首脳が度肝を抜かれた、小国ウルグアイのエネルギー事情
え、何その優等生ぶり?
11月30日から12月11日までパリで開催中の気候変動枠組条約第21回締約国会議、COP21。温室効果ガス排出量の多い国々が、「ウチの国の方がちょっと多く減らしてるもん!」と、なんだかどんぐりの背比べのような競い合い(失礼!)をしているようですが、するりと戦線離脱国が現れました。南米の小さな国、ウルグアイです。電力のなんと94.5%を、風力、水力、太陽光などで補う再生可能エネルギーでまかなっています。
この数字、一瞬間違いかと思っちゃいますよね。本当です。間違いなく94.5%なんです。
かつてはウルグアイも、石油を大いに消費して温室効果ガスをガンガン排出する国でした。この10年の間、化石燃料に頼らなくて済むように努力し続けていたのです。それも、国民の負担を増やしたり、政府の補助金を特別に充てたりすることもなく。現在では、電気を含むエネルギー供給全体の55%を、再生可能エネルギーが占めているそうです。世界の平均値は12%だというから、この数字がいかにすごいかわかりますね。
災害対策もきちんと考えられています。1つの発電方法に頼らず、風力、太陽光、バイオマス、水力とさまざまな発電方法を導入。自然災害でどれかが使えなくなっても、電力不足に陥らないようにしているんです。
人口はおよそ341万人と多くなく、国土が広いわけでもない、この小さな国。いったい、どんな秘策を使ったのでしょう?
技術面でのトリックは何もなく、国の自然環境をうまく利用した結果だそうですよ。The Guardian紙はこう報じています。
時速8マイル(およそ12.9㎞)ほどの強い風が安定して吹く、風力発電に適した環境があるだけではない。ドイツのエネルコンなど風力発電機を提供する外国資本にとってもう一つ大きな魅力は、20年間電気料金を上げないとウルグアイが保証している点だ。加えて、機械のメンテナンスに必要な人手は10人ほどで済むから、コストが低く抑えられ、外国資本側への利益は確実に出る。
その結果、ウルグアイと契約を結びたがる外国資本が続出。競争のために風力発電機の価格は低くなり、発電のコストは3年で30%以上も低くなった。
温室効果ガス排出量削減に向けて、ウルグアイは大きな一歩を踏み出したわけですが、これで終わりにはしないのがまたすごいところ。2017年までに、2009年から2013年の排出量から88%削減すると、今回のPOC21で宣言したのです。
他の国が削減目標達成に四苦八苦しているのがウソのよう。温室効果ガスの排出量削減は簡単ではないけれど、不可能ではないと証明する、いい例ですよね。
Source: The Guardian
Maddie Stone - Gizmodo US[原文]
(Aska T.)