姉「妹って、いつもにこにこして気持ち悪い」妹「……」ニコ
思いつくまま
姉「……妹、あんたなんでいつもそんなへらへらしてんの」
妹「……」ニコ
姉「あんたももう高校生でしょ? 愛想笑いじゃ、友だちできないよ」
妹「うん」ニコ
姉「……ま、好きなようにしなよ。私、仕事行ってくるわ」
ガチャ
バタン
妹「行ってらっしゃい」ニコ
トタトタ
父「妹、どうした?」
妹「ううん」ニコ
妹の友人(妹友)「妹、おはようー」
妹「おはよう」ニコ
妹友「うお、今日も眩しい笑顔だねえ」
妹「そうかな」
妹友「うん。なんか、心が癒される」
妹「ありがとう」ニコ
妹友「はうんッ」
妹「変な反応」クスクス
タタタタッ
妹の先輩「おはよう」
妹「……おはようございます」ニコ
妹友「おはようございますー」
妹の先輩「妹はいつも笑顔だねえ。良きかな良きかな」
妹「ありがとうございます」ニコ
妹「……はい」ニコ
タタタタッ
妹友「あれ、なんか部活入ってたっけ?」
妹「ううん」
妹友「なに、カツアゲ?」
妹「違うの。ちょっと、進路のことで聞きたいことがあってね、大したことじゃないんだけど」
妹友「ふーん……でもあの宝塚みたいな人といつ知り合ったのさ」
妹「言ってなかったっけ。中学の時の先輩なの」
妹友「初耳。あ、でも確かに同じ所だ」
妹「そうなの」ニコ
妹友「お弁当お弁当……今日は、何かな……」
パカッ
妹友「ひい!」
妹「どうしたの?」
妹友「ご飯しかない。なんの嫌がらせでしょうか」
妹「それにしても厚みがあうような」
妹友「まさか」
ホジホジ
妹友「ご飯の下におかずが……」
妹「その下にもご飯が……」
妹友「……」
妹「……」ニコ
妹友「……ごぐぐ……すぴゅー……」
妹「……友、起きて」ニコ
ユサユサ
妹友「……ふにゅ」
妹「……」
先生「……」
妹「あ」ニコ
先生「……妹友!」
スコンッ
妹友「はぐッ」
妹「先に帰ってていいよ」
妹友「え、待ってる待ってる。帰宅部の暇さお舐めになんなよ」
妹「……」クスクス
妹友「図書館で寝てるから、終わったら起こしてー」
ウイーン
妹友「ほな」フリフリ
ウイーン
妹「うん」ニコ
テクテク
妹「……」
クルッ
カチャ
キイ――
先輩「お、妹」
妹「すいません。ちょっと、遅れてしまって」
先輩「いいよ。あれ、笑顔」
妹「あ……ごめんなさい」ニコ
先輩「私と付き合いたいなら、ずっと笑顔でいろっていったね? 覚えてるかな?」
妹「はい」ニコ
先輩「その小さい脳に言い聞かせたはずなんだけどな」
妹「いた……い」
先輩「まだ、口、伸びるよね?」
グイ――
妹「もぉ……むッ……り」
先輩「笑って」ニコ
妹「……ッ」ニコ
先輩「指定した条件も守れないなら、始めから好きなんて言わないで欲しいね。それとも、私がこんな性格でもう愛想尽きちゃったかい?」
妹「好きです……私、先輩が好きです」ニコ
先輩「あははッ。妹の笑顔、好きだよ」
妹「……」
先輩「私が高校卒業するまで、ぜひ頑張って欲しいね」
妹「はい」ニコ
先輩「ああ、そう言えば姉先輩は元気にしてる?」
妹「姉ですか?」
先輩「そう、姉先輩」
妹「元気です」
先輩「それはなにより。中学以来、連絡をめっきりしてないのでね」
妹「仲、良かったですもんね」
先輩「そうだね……」ニコ
先輩「そうだ、もう一つ交際の条件を追加しよう」
妹「……え」
先輩「姉先輩の笑った写真を撮ってきてくれるかい」
妹「な、なんでですか」
先輩「断るの?」
妹「そういうわけじゃ」
先輩「理由を聞いて、意図を吟味して、結局受けるならばさ、聞く必要ない質問だね?」
妹「はい……」
先輩「ほら、笑って」ニコ
妹「……」ニコ
先輩「明日、持ってきておくれよ。待っているからね」
妹「……」ニコ
妹友「妹、コンビニでアイス買ってかえろー」
妹「いいよ」ニコ
妹友「パピコ半分こしようよ!」
妹「うん」ニコ
妹友「なんかいいことあった?」
妹「どうして?」
妹友「だって、朝の二倍笑顔だよ」
妹「そうなんだ」
妹友「うん」
ウイーン
ピロピ口リン
妹「あ」
妹友「あれ、妹友のお姉さんだ。こんちは」
姉「こんにちは。今帰り?」
妹友「そうです」
妹「うん」ニコ
姉「ふーん……」チラ
妹「……」ニコ
妹友「あ、その雑誌買われるんですか? やっぱ、カジュアル系似合うなって思ってたんですよ」
姉「あんまり可愛いの苦手だからね」
妹友「でも、今着てるスーツもいいですね」
姉「肩が凝って仕方ないけど、褒められるのは悪くないかな」ニコ
妹友「……」
妹「どうしたの?」
妹友「いや、やっぱり姉妹だなって」
姉「?」
妹友「笑顔がすごく似てる。可愛い」
姉「ありがとう……」
ガチャ
妹「……ただいま」
姉「ただいま」
父「あ、二人ともちょうど良かった。お父さんこれから町内会に行かなくちゃいけないんだ。お父さん帰るまで家にいてくれ」
姉「はいはい」
父「お夕飯、机の上の好きなように食べてな。冷蔵庫にお刺身入ってるから。えっと、それと」
姉「うん。洗濯物入れといて、新聞縛っておけばいいんだよね。お父さん、時間、大丈夫?」
父「あ、大変大変。お姉ちゃん、あと任せたぞ」
バタバタ
妹「お祭りとかあったけ」
姉「ゴミ出しのマナーが悪いからって、臨時で集まるんだって」
妹「そうなんだ」
姉「あんたも、後で縛るの手伝いなよ」
妹「うん」ニコ
姉「……」
妹「そんなこと言われるの?」
姉「そうだよ。だから、ゴミ袋に班の番号書けばいいのに。それも流れるし、話し合って何が解決するんだか」
妹「うち、綺麗に出してるよね」
姉「お父さんがへらへらしてるから、勘違いされるし、付け込まれるの。ま、ずぼらそうに見えたんじゃない」
妹「そうなんだ……」
姉「あー、疲れた。私、もう寝るから」
妹「え、ご飯は?」
姉「今日はしんどすぎて食べる気起きない」
トタトタ
妹「……お姉ちゃん」ニコ
姉「なに」
妹「あの、中学の時に宝塚っぽい人と仲良かったでしょ?」
姉「……あー、後輩ね。確か今あんたと同じ高校だっけ?」
妹「実は、その人に、お姉ちゃんの笑顔の写真を頼まれたの……」
姉「……は?」
妹「一枚だけ……」ニコ
姉「一枚だけって……いや、いやいや」
妹「いや?」
姉「うん」
姉「笑っても、無理なものは無理」
妹「どうしたら、撮ってくれる?」
姉「どうしたらって、あんた」
妹「……」グッ
姉「あんた、もしかして、あいつのこと好きなの?」
妹「……ッ」カア
姉「……冗談でしょ」ボソ
妹「お姉ちゃん、あの」
姉「確かに、中性的だけどあいつ女じゃん。どこがいいのあんなの」
妹「顔……」
姉「かおぉ?」
妹「引っ張ってくれるところとか、私を変えてくれそうなとことか……」もにょもにょ
姉「はーん……そういうわけか。あんたが中学から変な理由」
妹「……」ドキッ
姉「だから、あのウジウジ子がニコニコし始めたわけか」
妹「笑顔が好きだって言われて……好きなら、私もって」
姉「……笑ってるのがいいとは限らないんだから」ボソ
姉「……諦める?」
妹「うん」シュン
姉「そんなあからさまに落ち込まないでよ。私が悪いみたいでしょ」
妹「ご、ごめん」ニコ
姉「笑う所じゃないし……はあ、分かった。これ以上あんたの人格いじくられても困るし」
妹「ほ、ほんと? ありがとう、お姉ちゃん」ニコ
姉「一枚だけだから」
妹「うん……」
姉「……」
妹「ちょっと、待ってね」
ゴソ
姉「……」
妹「はい、笑って」
姉「……」ニコ
パシャ
妹「……?」ドキっ
妹「う、うん」
姉「ていうか、なんで私の写真?」
妹「さあ」
姉「変なことに使わないでって言っておいてよ」
妹「うん」
姉「じゃ、もう寝るね」
妹「おやすみ」
トントントン――
妹「……?」
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