星空凛「鬼の小泉 仏の西木野」【後半】
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先輩後輩
海未「今日はお休みですか?」
にこ「OFFじゃないけど…とりあえずフリーね。ことりは?」
海未「課題作制作のため家に篭ってます。穂乃果も京都からまだ帰ってきませんし、置いてけぼりになった気分です…」
にこ「そんなに悲観しなさんな。いざとなると頼りになるのはアンタなのはみんな同じよ」
海未「そうでしょうか…」
にこ「ずいぶん1年坊をしごいたみたいじゃない。メールで愚痴がいっぱい来るわ」
海未「だって!…みんなすぐに上達するんです…嬉しいじゃないですか…」
にこ「後輩思いね~」
にこ「後輩といえばアンタ達は先輩後輩禁止ってやらなかったのね」
海未「いえ、はじめのうちは禁止って言っていたのですが…」
海未「特に亜里沙が聞いてくれませんで」
海未「尊敬する先輩にちゃん付けなんて出来ません!と言われまして」
海未「他の二人も同調してしまって…やっと妥協して今ではなんとかちゃん先輩呼びですね」
海未「昔に比べて…すごく部活っぽいです」
にこ「ふうん…まああの3人なら遠慮するタマでもないか…今の1年は?」
海未「わたしが見る限りだと大分慣れてきましたね…はじめのうちは苗字プラス先輩だったみたいですが」
Q「ポンちゃん先輩~」
C「お前らまでポン付けかよ!名前入ってないよ!まあ…いいけど…」
海未「にこの方こそ花陽だけはにこに先輩呼びですよね」
にこ「ん~。海未だからいいか。口外無用よ?」
海未「な、なにかハレンチな理由が?」
にこ「このムッツリ!そんなわけ無いでしょう…」
海未「すみません…」
にこ「…」
海未「…」
にこ「去年の最終予選のね」
海未「はい…」
にこ「結果が出た時どんな感じだった?」
海未「酷かったですね…1年生は大泣き。特に亜里沙と雪穂はもう…」
海未「期待感が凄まじかったですから…2人とも相当なプレッシャーに苦しんでいましたし…」
海未「慰めるどころか…わたしもショックだったので…肩を抱くことも出来ずに立ち尽くすばっかりで…」
海未「情けない先輩だったと…思います…」
にこ「でも1年生が大泣きしてたから…上級生は泣けなかったんじゃないかな」
海未「そうですね。ことりも泣いたのは帰り道でした…」
にこ「2年生は?」
海未「家に帰るまでは泣かなかったんじゃないですか?1年生のフォローで大変でしたし」
海未「雪穂は穂乃果と一緒でしたけど」
海未「亜里沙が、Cも…」
海未「謝るんですよ二人とも…自分たちのせいではないというのに…」
にこ「それからでしょ。今の3年生3人の態度が微妙に変わってきたの」
海未「そう言えばそうです。その場にいなかったのによくわかりますね」
海未「真姫は無理な気負いしなくなった?…気持ちを素直に口にするようになりましたし…」
海未「凛は思慮深くなりましたね」
海未「花陽は…なんというか…遠慮がなくなったというか…」
にこ「たぶん殻を破ったんだと思う」
海未「殻ですか?」
にこ「ボロボロの下級生を見ていろいろ思うことがあったんでしょう」
にこ「それは意識して破ったんではなくて…」
にこ「こう…そうしないと…心のバランスが取れないっていうか…1年生に立ち直って欲しくて無理して破った?とか…」
海未「何となくですがわかります」
にこ「あの日、予選は見に行けなかったけどネット中継はなんとかチェック出来ていてね」
海未「はい」
にこ「A-riseのライブを見てこれはまずい、と思ったんだけど下手なメールや電話ではうまく伝えられるか自信なかったから」
にこ「結局放置になっちゃったんだけど。この点はいくらでもにこを責めていいわよ」
海未「そんなことしませんよ。あの時いろんなメールやらお電話頂きましたが本当の気持はそっとして欲しかったくらいですから」
にこ「それで結構遅くまで仕事があったんだけど。帰り際昌平橋のところでね。花陽がボーッとしてるのをみつけたのよ」
にこ「ショックで放心状態か、やっと後輩から開放された安心感か、よくわかんないけど、声をかけなきゃ収まらないと思ったから声をかけたのね」
海未「はい」
にこ「待たせてごめんなさい。もう泣いていいわよ?って」
にこ「そしたら号泣。人ってあんなに泣けるのね」
海未「…」
にこ「そして謝られたわ…μ'sに泥を塗ってごめんなさいって」
海未「…」
にこ「先輩たちの思い出を汚してごめんなさいって」
海未「…」
にこ「だからわたし達のために泣いてるんじゃないでしょって言ったら…」
海未「言ったら…?」
にこ「あんな3人見たくなかったって」
にこ「やっぱりわたしは勝ちたかったって」
にこ「さっきの海未とおんなじね」
海未「花陽…」
にこ「あの時の花陽落ち着くと泣き、落ち着くと泣きだったから…」
にこ「結局1時間くらいわたしに抱きついてたんじゃないかな」
海未「にこ…」
にこ「なに?」
海未「ずるいです。かっこ良すぎですよ」
にこ「先輩だからね」ニコッ
にこ「よく考えると凛なんてずいぶんμ'sの頃と違うわよね」
海未「長い間一緒にいましたからあまり考えていませんでしたが真姫もですよ」
にこ「あの二人もあの日家に帰ってから何を思っていたのかな」
海未「実はわたしも…放心してしまって…お風呂にも入れないほどでした…」
にこ「汚な!」
海未「茶化さないでくださいよ!」
海未「もう…わたしだって慰めて欲しかったのに…」
にこ「にこの胸で泣きたいならちゃんとお風呂に入ることね」
海未「フフフフフ…」
にこ「クスクス」
海未「そろそろ1年経つんですね…」
にこ「今年も暑くなりそうよね…」
最大の敵、最大の武器
花陽「わたし達の最大の敵といえば…」
花陽「それはテストです!」
花陽「今日から練習はお休みです!部室を使って構いませんので試験で赤点を取らないように!」
花陽「赤点の人はライブ活動禁止です!」
花陽「一人でも赤点だと…最終予選がひどいことになってしまいます!」
花陽「上級生は下級生の面倒もよく見てあげてくださいねっ!」
はぁ~~~~~~~~い…
花陽「特にQちゃん?」
Q「わあっ藪から棒に来た!」
花陽「選抜メンバーに入っていないと思って…手を抜こうとしてるね…?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
Q「(^_^;)」
花陽「もし赤点だったら…」
Q「赤点だったら…?」
花陽「部室への出入り禁止にします!」
Q「ひえ~~~!一番ペナルティきついじゃん!」
※※※※※
W「亜里沙せんぱ~い!」
亜里沙「なぁに?」
W「英語教えて~く~ださ~いな~」
亜里沙「え゛!?」
C「ほう、亜里沙に英語を習うとは勇者ですなあ」
雪穂「亜里沙はどこのクォーターだっけ~?」
W「うあ!す、すみません…」
亜里沙「ごめんね」
雪穂「でも現国は得意なんだよ。教えてもらえば?」
W「本当!?」
凛「本当だよ。なんたってあの青空文庫をほとんど読破してるんだから」
真姫「休み時間もずっと勉強してるものね。うちの部じゃ一番努力家だし勤勉よ」
雪穂「証拠を見せよう…」
雪穂「窮鼠!」
亜里沙「臍を噛みます!」
雪穂「馬の耳に!」
亜里沙「沖縄料理!」
C「覆水!」
亜里沙「穿刺術って痛そうだよね…」
C「策士!」
亜里沙「川に流します!」
雪穂「能ある鷹は!」
亜里沙「鼻高々」ドヤ
C「猫に!」
亜里沙「小b…おっといけない」
W「信用できませんよお!」
ドッ
凛「結界密度が濃くて1年生が入れやしないよ」
真姫「まあ、そうよね」
花陽(臍なんて言葉知ってるのは突っ込まれないか)
※※※※※
凛「英語…英語…」ブツブツ
花陽「だいぶ点数は安定してきたじゃない。自信持って。ね」
凛「受験生だもん…そ