新型VAIOをさわりたい一心で新幹線に乗ってソニーストアにやってきた、すっかりVAIO S11に魅せられたオトコのお話です。
『VAIO S11』に搭載されるプロセッサーは、最新のIntel製第6世代Core UプロセッサーSkylake。タブレットPCしかり、小型のWindowsマシンの場合、発熱処理が大変なので、だいたいTDP 4WのYプロセッサー(Core Mシリーズ)を採用する事が多い中、11.6インチサイズでモビリティでもパフォーマンスの高いCore Uプロセッサー(TDP 15W)を載せてきたというのはVAIO S11の大きなアドバンテージだと思います。
そもそもどうして熱発生量の多いCPUを載せられるかというと、VAIOのお家芸とも言える【Z Engineテクノロジー】と言われる"高密度実装技術"と"熱冷却設計技術"のおかげ。『VAIO Pro 11』と比較すると、マザーボードの大きさはほぼ同サイズながら、冷却ファンが大型化していて、排熱効率が約2倍になっているらしく。
普段あまり気にしてないけれど、ノートPCの排熱ってとても重要で、最初は元気よくサクサク動いていたとしても、長時間負荷をかけ続けて熱を逃しきれなくなると、パフォーマンスを下げないといけない。
高密度実装技術でより基板を小さくすることでスペースを稼いで、排熱のための冷却ファンを大型化して、結果としてCore Uプロセッサー(TDP 15W)を載せて、かつ長時間使っても安定して使えるという快適さが手に入る。
それから体感速度に大きく影響するストレージは、SATA接続のSSDに加えて第二世代のHigh speed SSDも選べるようになっているのも大きいポイント。『VAIO Z』や『VAIO Pro 13 | mk2』と同じオプションですばらしい。
<左:VAIO Pro 11(SATA SSD) 右:VAIO S11(第二世代High speed SSD)>
どのくらい高速かというとベンチマークにするとその違いは一目瞭然。SATA接続のSSDでも充分速いのに、数値上でみると、シーケンシャルリード/ライトともに5倍近い速さ。
Windows アップデート、ソフトウェアの起動、OSの再起動、データ転送などといった一連の作業全てが驚異的な速さで、ここまでのスピードはいらないんじゃ?と思えるかもしれないけれど、空港のフライトまでの待ち時間、次の待ち合わせまでのリミットが迫っているというようなほんの少しの合間に作業をしなきゃいけないという時こそ、このスピードは物凄く大きなストレス軽減になる。
参考までに、『WIN SCORE SHARE』で簡易ベンチマークを確認してみた。(製品版ではないので参考値として。)
あくまでもシンプルな簡易ベンチなので、細かな性能は製品版がきてから調べるとして、Core Uプロセッサー(TDP 15W)のパフォーマンスの良さと、『第二世代High speed SSD』の突出した性能の片鱗がとがうかがえる。
このプロセッサーとストレージの強烈なまでの快適っぷりに慣れてしまうと、遅いパソコンを使いたくなくなる。
モバイルするのにもうひとつ重要なのが、バッテリーの持ち。
"高密度実装技術"で基板を小型化できれば、もっと薄型へもっと軽量へといった方向性のインパクトが大きいマシンになるはずなのに、あえて大容量のバッテリーを積んで使い勝手を優先するという考え方で、『VAIO Pro 11』のバッテリー容量31whから、VAIO S11では38Whへと増加。
加えて、低消費電力設計や基盤の効率的な配置という細かい積み重ねで、結果としてバッテリー駆動時間にして約1.5倍になっている事に注目。
【VAIO Pro 11 (Windows8.1)】
JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver.2.0) ・・・ 約9.5時間
【VAIO S11 (Windows10)】
JEITAバッテリー動作時間測定法(Ver.2.0) ・・・ 約14.0~15.2時間
あくまでもJEITAバッテリー動作時間測定法(Ver.2.0)にそった数値を見ているだけで、実際に使うともっとバッテリーの使用時間は短くなるものの、相対的に見てスタミナ性能が上がっていることはわかる。
実際に使えば、もっと過酷な電力の使い方をするし駆動時間は、公称値よりも短くなるのが常だけど、この値が長ければ長いほど安心して使えるからやっぱりロングバッテリーというのはモバイルPCにはとっても大切。
ACアダプターは。『VAIO Z』に採用されている脱着が簡易になっているタイプではなくて、本体奥にしっかりと差し込むタイプで個人的にはこっちのほうが好み。
ACアダプターには、充電専用のUSB端子(出力 5V 1A)が付いているので、スマートフォンやカメラ、モバイルバッテリーといった周辺機器を充電するときに重宝する。
それから待望のSIMフリーLTEの搭載。
VAIO S11に搭載されているSIMフリーLTEは、ドコモのバンドで、国内で最大限利用できるLTEの通称クアッドバンド(Band1、Band3、Band19、Band21)に対応。
基本、Band 1のみでも全国的に利用できる範囲は広いものの、東名阪では特に混雑時にはBand 3へ回避したり、逆に郊外や山間部が多い地方ではBand 19、21がないとつながらない場所もたくさんあるから、このクワッドバンドに対応しているということは安定して繋がるという事でもある。
さらに、受信するアンテナを本体ノイズの影響を受けにくい液晶ディスプレイの上部に配置しているというのも特徴。
LTEアンテナはメインとサブ2つ、Wi-Fiアンテナは左右2つ、合計4つのアンテナがディスプレイ上部のベゼル部分に収まっている。天板やベゼルが樹脂製だったり塗料の組成もあわせて配慮してあることもあって、電波干渉が少ない構造になっている。
PCとスマホでテザリングして使う事があるけれど、電波状態の良好な場所ばかりではなくて、たまたま入った地下のお店とか、建物の高い部屋だとか、電波がギリギリ拾えないなんてシチュエーションがしょっちゅう。スマートフォンに比べて大きいボディを活かして、しっかりアンテナをはって感度良く通信できるというのはとてもありがたい。
それに、単純にSIMを内蔵できてしまうので、スマホ(Wi-Fiルーター)のバッテリー残量の心配もいらないし、接続する手間も省けて煩わしさから解放される。
Wi-Fiの感度もしっかりと上がっていて、有線LAN端子まで備えていて、屋外や室内、どんな場所でも最良のネットワーク環境が作れるというのはものすごく大きい魅力。
11.6インチのVAIO S11は、パッとみたところ普通のクラムシェルタイプPCで、『VAIO Z』のような特殊な変形機構もなく、『VAIO Pシリーズ』のような超軽量に特化しているわけでもない。
けれど実際に触ってみると、これだけのコンパクトなモバイルPCなのに、びっくりするほどにサクサク高速で動いて、キータイピングもタッチパッド操作も快適に使えて、どこでもネットにつながって、欲しい端子と接続できて......と、実用マシンとしてちゃんと使えるというのがミソ。
確実に快適に仕事を進めたいと思う人には、中途半端に小さいガジェットを持ち歩くよりも、このVAIO S11がとてもオススメ!