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海未
A9j2GXx
にこ
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1: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 19:45:37.61 ID:VWprM8G2.net
花陽「いい景色だね」

海未「はい。そうですね」

花陽「空気も美味しいし、なんだか楽しい気分になっちゃうよ」

海未「やはり来てよかったですね。登山」

花陽「最初はどうなっちゃうんだろうって思ったけど、思った以上に楽しいんだね」

にこ「おーい。ふたりともー」

海未「ふふ、花陽にも登山の楽しさを伝える事ができて嬉しいです」

4: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 19:48:13.76 ID:VWprM8G2.net
花陽「あはっ、雲一つないや」

海未「山の天気は変わりやすいといいますが、今日は一日中快晴のようですね」

花陽「お弁当、どこで食べようか?」

海未「そろそろいい時間ですし、ここで広げて頂きましょうか」

にこ「おーい。現実から逃げてないでこっちむきなさーい」

花陽「いいねいいね。中腹なのがちょこっと残念だけど、ここからでも十分景色いいし」

花陽「あ、そうだ。花陽ね。皆に食べてもらいたくてカップケーキ作ってきたんだ」

7: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 19:51:05.54 ID:VWprM8G2.net
海未「カップケーキですか。いいですね。どうりで花陽のカバンからいい香りがしてると思いましたよ」

花陽「よいしょっと……はい、海未ちゃん。どうぞ」

海未「ありがとうございます。それではひとつ……」パクッ

海未「これは……何と言いましょうか。切ない甘さを感じます」

花陽「切ない甘さ?」

海未「はい。甘すぎず、ほむまんやことりの作ってくるクッキーとはまた違った甘さです」

海未「これはきっと花陽の味ですね」

にこ「いい加減こっち向きなさい!」

8: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 19:55:02.44 ID:VWprM8G2.net
花陽「花陽の味……なんだか照れちゃうね」

海未「もっと自信を持ってください。花陽にしかできない技、花陽の味ですよ」

花陽「うう……そう言われると本当に照れちゃうよぉ」

海未「ふふっ」クスクス

にこ「うーみー!?はーなーよー!?」ズンズン

花陽「あの……海未ちゃん?後ろからにこちゃんの声が……」

海未「気のせいです。気にしたらいけません。現実に戻ってはいけません」

海未「戻れば待っているのは──── 死なんですから」

9: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 19:58:34.16 ID:VWprM8G2.net
にこ「あんたたちいつまで吊り橋の前で漫才してるのよ!?」

にこ「ていうかお弁当とか閉まって!皆もう先に行っちゃってるわよ!」

花陽「う、海未ちゃ……ふ、ふりむい…」

海未「違います花陽……これはにこの生霊で……ここには私と花陽だけで…」

にこ「うーみー?いい加減こっち向きなさいー?」グググ

海未「や、やめてください……う、後ろは…ダメなんです…」グググ

にこ「往生際がわるいわねぇっ!」グググ

海未「や、やめ……!?」

10: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:02:56.90 ID:VWprM8G2.net
海未「………っ!?」

海未「な、なんですかこれはっ!?」

にこ「見ての通り吊り橋ね」

海未「私に何をさせる気ですかっ?」

にこ「普通通りに渡ってほしいだけよ」

海未「私に死ねと!?」

にこ「別に死んだりしないわよ」

11: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:05:20.39 ID:VWprM8G2.net
海未「いいえ、あの老朽化した吊り橋はもうダメです!」

海未「私と花陽が渡ってる最中に突然崩れ落ちて二人まっさかさま!」

海未「あぁ…16年と15年の短い人生が終わってしまいます」

にこ「終わるわけないじゃない!」

にこ「ていうか冷静になりなさい海未」

にこ「その橋、さっき穂乃果や絵里が渡ってたわよね?」

海未「はい」

12: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:09:47.22 ID:VWprM8G2.net
にこ「希と凛がふざけながら渡ってたよね?」

海未「はい」

にこ「かなり揺れてたわね」

海未「はい」

にこ「でも崩れなかったわよ?」

海未「私たちの番に、という訳ですね」

にこ「どうしてそうなるのよ。何度も言ってるけど、大丈夫だって。見てなさい」

13: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:12:34.60 ID:VWprM8G2.net
ギシギシ

海未「ああっ!?いけませんにこ!落ちてしまいます!」

にこ「受験生なんだからそのワード禁止!」

海未「あわわ……」

ギシギシ

ギシギシ

にこ「どう?大丈夫だったでしょ?さ、早く渡りましょう?」

14: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:15:26.93 ID:VWprM8G2.net
海未「な、なななな……なんてことをっ!?」

にこ「はぁ?」

海未「今ので吊り橋の寿命がまた縮まってしまいました」

海未「きっと私と花陽が渡るときに、寿命を迎えて……」

にこ「考えすぎ。大丈夫だって何度言えばわかるのよ」

にこ「はぁ……海未はだめね。せめて花陽だけでも──── 」

15: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:17:42.42 ID:VWprM8G2.net
花陽「ふはぁ~……おかかのおにぎり美味し♪」

にこ「くぅおらああああっ!」

花陽「あ、にこちゃんもどうかな?美味しいよ?」

にこ「何食べちゃってるの!山頂で皆で食べるって約束どこいったのよ?」

花陽「……え?ここ山頂だよ?あはは、いい景色だね」

にこ「現実を見て!」

16: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:20:32.25 ID:VWprM8G2.net
海未「私にもください。花陽」

花陽「うん。それじゃあ……海未ちゃんにはこれ!」

海未「これは…具はなんでしょうか?」

花陽「実はわからないんだ。お弁当箱に詰めるときに、どれがどれだかわからないようにしたから」

海未「ふむふむ……ゲーム性もあっていいですね。それでは……」

海未「花陽、ツナマヨでした!」

にこ「ツナマヨでした!じゃないわよ!」

17: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:22:28.12 ID:VWprM8G2.net
海未「なんですか、にこはツナマヨ嫌いですか。いけませんよ好き嫌いは」

にこ「突っ込んでるのはそこじゃないんだけど」

にこ「あーもーっ。こんなところで時間潰さないでよね」

にこ「花陽。手を出しなさい」

花陽「うん?なに?」スッ

ガシッ

花陽「え?」

にこ「い・く・に・こ☆」ニコッ

18: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:24:22.59 ID:VWprM8G2.net
グイー

花陽「わわっ!?にこちゃっ!?」

海未「花陽!?」

にこ「こうなったら力ずくで渡らせるわよ!」グイー

ギシギシ

花陽「やっ、はっ、い、ゆ、揺れてるっ!?」

花陽「た、助けてっ!」ギュー

にこ「ちょ、急に抱き付かないでよ!歩きにくいじゃない!」

20: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:36:30.70 ID:VWprM8G2.net
ギーギー

花陽「やあっ、怖いよぉ…!」

にこ「あーはいはい。そうね怖いわね」

花陽「ミシミシ言ってるぅ…」

にこ「ミシミシ言ってる言ってる」

花陽「足動かないよぉ……」

にこ「すり足で歩きなさい」

花陽「もう帰りたいよぉ……」

にこ「あと少しなんだから我慢しなさい」

21: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:38:24.22 ID:VWprM8G2.net
花陽「あぁ……ひぃ……やぁ……ひぃ…」

にこ「いつまで悶えてるのよ」

花陽「だめですぅ……誰か…助け…」

にこ「ほーら、花陽目を開けなさい」

花陽「ひぃ……ん…ふぇ?」

花陽「あれ……ここ?」

にこ「お疲れ様」


海未「花陽ー!無事ですかー!?」

22: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:42:40.92 ID:VWprM8G2.net
にこ「さ、花陽は終わったからあとは海未を連れてくるだけね」

にこ「花陽。そこで待ってなさい。ちょっと海未引っ張て来るわね」

花陽「は、はい……」ヘナヘナ


ギシギシ

海未「あぁ……あぁ……にこ、そんなに橋に負担をかけながら渡らないでください…!」

にこ「どうやって渡れっていうのよ」

23: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:44:18.25 ID:VWprM8G2.net
にこ「さ、お待たせ。手、しっかり握ってなさい」

海未「お断りします」

にこ「往生際が悪い!」ガシッ

海未「ふふふ、いいんですか?にこ。これでも武道を嗜んでいるんです」

海未「今ここで、にこをひねりつぶすなんて簡単なんですよ?」

にこ「腰が引けてなかったらかっこよかったわね。さ、行くわよ」

海未「あ、ああっ!?待って、待ってくださいっ!」

24: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:47:04.89 ID:VWprM8G2.net
ギーギー

海未「まだですか?まだですか?もういいですよね?もうあと数歩で渡り切りますよね?」

にこ「まだ3歩しか歩いてないんだけど」

にこ「ていうか目つむってたらより怖いような気がするんだけど」

海未「えっ、本当ですか?それでは目を開けて……」

ギーギー

海未「」

にこ「どうしたのよ。早く進むわよ」

26: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:50:13.24 ID:VWprM8G2.net
海未「………むりです」

にこ「はぁ?何言ってるのよ」

海未「むり…なんです…こわい…」

にこ「大丈夫よ大丈夫。空見てたらあっという間よ」

海未「それだと足元が…」

にこ「何のためににこがいると思ってるのよ」

にこ「しっかり手を握ってなさい」

海未「は、はい…」ギュ

27: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:52:53.00 ID:VWprM8G2.net
ギーギー

海未「~~~~っ!」ギュー

にこ(力いっぱい握ってるわね。手が痛い)

にこ(でもまぁ、これでやっと渡れそうね)

にこ(急いで絵里たちに追い付かなきゃ……って)

にこ「花陽……?」

花陽「た、たっ、助けてーっ!」ダダダッ

29: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:55:09.87 ID:VWprM8G2.net
グラグラ

海未「きゃああっ!?」

にこ「わわっ、花陽なにっ!?」

花陽「さ、さっきあっちの茂みでぇっ!」ギュー

にこ「わかったわかったかた落ち着いてっ!落ちちゃう!」

海未「落ち…落ちないって言ったじゃないですかっ!?」

にこ「あ、あんたたちが暴れると危ないでしょおおおおおっ!!!」

31: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:57:07.79 ID:VWprM8G2.net
10分後

ギーギー

うみぱな「はぁ……はぁ……」

海未「もう嫌です……おしまいです…」ポロポロ

花陽「うぅ……ぐすっ…」ポロポロ

にこ「はぁ……はぁ…」

にこ(なにこれ……吊り橋のど真ん中で、花陽と海未に抱き付かれて…)

にこ(てか暑いし重いし息苦しいし…)

にこ(な、なんとかしないと……)

32: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 20:59:52.21 ID:VWprM8G2.net
──── ☆────

にこ「」

海未「な、なんとか渡れましたね…」

花陽「もうダメかと思った……」

海未「正直私も思いました。ですが…」

海未「これもにこのおかげですね」

花陽「ありがとうにこちゃん」

にこ「」

33: 名無しで叶える物語(湖北省)@\(^o^)/ 2015/08/13(木) 21:01:21.79 ID:VWprM8G2.net
海未「さて、最大の難所を超えました。急いで絵里たちに追い付きましょう」

花陽「そうだね。もしかしたらもう皆山頂で待ってるかも」

海未「花陽のカップケーキを皆に食べてもらわないといけませんし、急ぎましょう」

花陽「うんっ」

海未「どうしましたにこ。いつまでも座ってないで、立ってください」


にこ「あんたち……帰りは手間かけさせないでよね……」

うみぱな「」←帰りの事が頭になかった二人



おしまい