制作者が違和感「イメージ違う」作り直し
今春開業したJR大分新駅ビル前に設置されたばかりの聖フランシスコ・ザビエル(1506~52)のブロンズ像が20日未明、新しい像に交換された。
同じ型から鋳造され、前と大きさも形も同じだが、制作者の彫刻家、雨宮透さん(72)=山形市=が「自分のイメージと違う」と違和感を覚えて作り直した。
制作を依頼した大分市は「交換しなくていいのでは」と困惑したが、費用全額を雨宮さんが負担して交換する異例の事態になった。
市は駅前公園整備の一環として、当時の大分市などでキリスト教を布教したザビエル像の設置を計画。
雨宮さんが約3年かけて構想を練り、おだやかな表情で両手を広げる像が3月21日に除幕された。
だが雨宮さんは翌日から像の色合いなどの出来栄えに違和感を覚え、そのうち「作家として納得できない。
自分の死後も残ると思うと、居ても立ってもいられない」心境になったという。
ブロンズ像は作家が粘土で造形したものを石こうで型を取り、ブロンズで鋳造する。
雨宮さんは6月、前回と同じ型を使って別の業者に鋳造してもらい、「イメージに近い物ができた」と10月に市に交換を申し入れた。
像の再鋳造だけで数百万円を要したが、作業を見守った雨宮さんは
「失礼な言い方だが(前との違いは)一般の人が見ても分からない。あえて言えば(像の)色合いや肌合いが微妙に変わる。今回の出来は満足です」とほっとした表情。
「市民には像と対話してもらい、心と心が触れ合う場所になってほしい」と話した。【池内敬芳】
ソース 毎日新聞
交換後