転載元:勇者「女神から能力を授かった」
――――うしゃ…。勇者よ…。私の声が聞こえますか。
女神「私は女神です。この世界を創造したもの…」
女神「かつて封印された滅びの神が、再び甦ろうとしています」
女神「滅びの神が復活すれば、全ての生き物は死に絶えるでしょう…。復活を止めなければいけません…」
女神「その為には、滅びの神の創り出した、魔物の王を倒さなければいけません…」
女神「勇者よ…魔王を倒しなさい…。かつて、伝説の勇者がそうしたように…」
女神「そのための力をあなたに授けましょう…」
・彡(°)(°)「お!近所のJCやんけ声かけたろ!」
・男の娘「残念実はおと――」男「嘘だ!」
・子供「らんら〜ん♪」熊「あっ」子供「あっ」熊「あっ」もぐもぐ
・シンジ「毛虫なんてどうかな?」 ゲンドウ「・・・・・・」
・悟空「ブルマ先っちょだけ挿れさせてくんねぇか」 ブルマ「はぁ!?」
・【※画像あり】このHカップJKの体操服姿どうみても不自然すぎやろwwwwwwwwwwwww
・巨乳よりも何倍も敏感に反応する膨らみかけのちっぱい!!
・【衝撃画像】壇蜜・フルヌード(乳首丸出し)でフ●ラ○オ!⇒2ch「完全にAVだろ、これ…」
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・【wおかえりw】一度足を洗うも結局戻ってきてしまった悲しいA●女優がこちらwwwwwww...
勇者の家。
勇者「……という夢を見たんだが」
ヴゥウウゥン……
勇者「……なんだ、これ? 右腕が変な機械になってる?」
勇者「……これって、姉ちゃんが夜な夜な使ってる大人のオモチャなんじゃ……」
…………
勇者「ぎゃあああああ!!」
うるさいわよ!
勇者「やべっ、下に姉ちゃんがいるんだった」
勇者「これ、どうしたもんかな。いや、実はそれっぽい外見だけで、実は伝説の武器とかじゃ?」
ヴゥウウゥン…………
勇者「いや、絶対に違うよ! これどう見ても巨大なバイブじゃん!」
静かにしなさい!
勇者「…………」
勇者「どうしよう…取り敢えず包帯を巻いておくか…」
勇者「……振動していてめちゃくちゃ巻き辛い」
・・・
勇者「どうにか巻き終えたぞ……」
ヴヴゥン……
勇者「今日も稽古だけど、利き腕がこれじゃ剣も握れないし…」
ガチャッ
勇者姉「アンタ、さっきからうるさい…って、その腕どうしたの?」
勇者「ああ、ちょっと……痛めてね」
勇者姉「大丈夫なの…? お医者様のところに行きましょう」
勇者「いや、大丈夫だよ、折れてるわけでもなさそうだし……」
勇者姉「自己診断しないの! そういうのは危ないのよ! さっ、早く、行くわよ!」
勇者「いや、その……」
ヴゥ……
勇者姉「ん、なんか揺れてない?」
勇者「うっ……あっ、け、稽古があるから行ってきます!」
勇者姉「あ、ちょっと……!」
勇者は家を飛び出した!
家の外。
勇者「勢いで出てきたものの…どうしようかな」
「そこのお前」
勇者「はい?」
「間違いないか?」
「ああ、神託の証が光っている。こいつで間違いないな」
「ふうん、こんな冴えないガキがな……」
「俺の方がまだ強そうだな」
勇者(なんだ、こいつら?)
勇者「…何か用事でも?」
「私たちは勅令で神託を受けた勇者を迎えに来た」
「この神託の証によると、どうやらお前らしい」ぺかー
「そういうわけで、私たちと来てもらおう」
勇者「え、ちょっと」
「さっさとついてこい」
勇者(扱いが悪いな……)
東国城・王の間
勇者(初めて来たけど、城、立派だなあ)
東王「来たか。神官よ、この者が勇者で間違いないか」
神官「はい。大いなる女神の加護を彼者から感じます」
東王「ふむ! 昨日の神託は本物であったか」
勇者(王さまも夢で女神さまに会ったのか)
東姫「……」
東王「勇者よ、よくぞ参られた」
勇者「は、はい」
東王「呼び出したのは他でもない。近頃、魔物との戦いは苛烈を極めている」
東王「そこで魔物の親玉である魔王を倒して欲しいのだ」
東王「当然だが、支援もするし、倒した暁には褒美をやろう。引き受けてくれるな?」
勇者(…すげえ急な話だ)
勇者(……でも、俺は魔物から、姉ちゃんや村のみんなを守れるようになりたかったんだ)
勇者(魔王を倒せば、きっと平和になる。そうすればもう姉ちゃんが哀しむこともないはずだ)
勇者(これはまさに天啓なんだ。…俺が魔王を倒すんだ!)
勇者「俺が、俺が必ず魔王を倒して、世界を平和にします!」
東王「うむ、頼んだぞ。……ところで、女神の力をわしに見せてくれんかの?」
勇者「……え?」
東王「女神より何か力をいただいたのだろう?」
勇者「あ、はい、一応…」
王「その力を実際に見て信ずるに値するか確かめたいのだ。こちらも相応の援助をするつもりなのだから、それくらいいいだろう?」
勇者「え、えーと……」
神官「ふむ、その右腕から、凄まじい神の力を感じます」
勇者「う……」
東王「何をしている。早く見せい」
勇者「……」
勇者は右腕の包帯をほどいた!
ヴゥウウウウゥン…………
東王「…………」
神官「…………」
東姫「…………ぷっ」
東王「き、きさま、わ、私を愚弄しに来たのだなっ!」
勇者「そ、そんな! 違います!」
東王「このような不敬は初めてだっ! 其奴を捕らえよ! 処刑しろ!」
ザザザッ!
勇者「なっ……」
神官(確かに神の力を感じるんだが、これは不都合だ)
神官(…東王が短小包茎のせいで、妻とはセックスレス。妻は大人のオモチャで性欲を満たしている)
神官(そんな醜聞が飛び交っている中で、これだもんな。そりゃ、東王もキレるわ)
神官(少年には悪いが、俺もまだ職を失いたくないしな)
神官「……あの包帯で誤魔化していたのです! どうやら、あの包帯は魔の力を隠し、神の力に見せかける呪具のようです!」
勇者「はあっ!?」
東王「ゆ、許せん。無礼者め! この場で斬り殺せ!」
東姫「お待ちになって、お父様」
東王「む!」
東姫「何もそこまでする必要はないじゃない」
神官(姫さまナイス! 流石にこれで処刑されたら、私も寝覚めが悪い)
東王「…ならば国外追放じゃ! 二度とこの国に、足を踏み入れさせるな!」
勇者「そ、そんな……! 神託を受けたのは本当だ!」
ヴゥウウゥン……
東王「ええい、黙れ黙れ! 早くしろ!」
勇者は捕らえられた!
勇者「くっ、離せ!」
抵抗むなしく、勇者は追放の刻印を顔に焼き付けられた!
ジュウウウッ!
勇者「がああぁぁああぁ! いだいっっ! いだいぃぃ!」
勇者は悶え苦しむ!
勇者は気絶した!
ガタガタ…
勇者「……ん」
兵士「目覚めたか。災難だったな」
勇者「ここは……?」
兵士「馬車の中さ。お前を国外まで運ぶための」
勇者(ああ、そうか。俺……)
勇者「……姉ちゃんは、どうなるんだ?」
兵士「他人の心配してる場合かね…」
兵士「…財産は没収されるから、家族は路頭に迷うだろうな」
勇者「そんな……」
勇者(姉ちゃん……)
――――――――
お母さんもお父さんもマモノにころされちゃった……ひっぐ……。
『わたしがお父さんとお母さんになるから! だから泣かないで! ほら、笑って! 笑顔!』
無理だよ…。
『無理やりでいいの! ほら、にっこり!』
…こう?
『そう! そうすれば今は無理でもきっと笑えるようになるから!』
…うん。姉ちゃんは凄いや。
『当たり前でしよ! これからは私がアンタを守るんだから!』
『ひっぐ……お母さん……お父さん……寂しいよ……不安だよ……』
――――――――
勇者「……ちくしょう」
兵士「……着いたぞ。降りろ。」
勇者は馬車を降りた!
勇者は手枷を外された!
兵士「このまま西へ真っ直ぐ行けば、中央国に出る」
兵士「…だが、どこに行こうとその追放の刻印がある限り受け入れては貰えないだろう」
兵士「というか、腕がそんな化け物な時点で、救いようがないけどな」ハハ…
勇者「……」
兵士「ま、強く生きてくれ」ガタガタ
勇者「……」
勇者は西の方角へと歩き始めた!
勇者「…………」
勇者は立ち止まり地面にうずくまった!
勇者「……これから、どうすりゃいいんだ」
「あなたが選定を受けた者ですね」
勇者「……!?」
勇者が顔を上げるとそこに天使がいた!
天使「初めまして。女神さまの使いで降臨しました」
勇者「……何の用だよ」
天使「…実はですね、女神さまは手違いをしてしまったのです」
勇者「手違い?」
天使「非常に聞き苦しい内容なのですが……」
――――――――
女神「ああー、そろそろ干渉しないと下界滅んじゃうわ」
女神「でもその前にスッキリしておこー。オナニーは心の洗濯ね!」
天使「…女神さま、それ何回目ですか? もっと早い段階で手を打てば、魔物たちの勢力がここまで広がることもなかったんですよ。下界の者たちが可哀想じゃないですか。大体、以前もですね……」くどくど
女神「あー、分かった分かった。ほんと天使ちゃんて小姑みたいだよね」ハアァ…
天使「私は女神さまや、下界の者たちのことを考えてですね……!」
女神「わーった、わーった。勇者を選定して、力を与えて来ますー」ヤレヤレ…
天使「もう……」
・・・
女神「大きな過ちを犯した。何てことなの」
天使「どうしました?」
女神「勇者としての力を授けるはずが、私の自慰用の能力を授けてしまった。あれがないと、最高のオナニーができない」
女神「うがああぁぁああ! やっちまったぁあああ!」ゴロゴロ…
天使「いや、知りませんよ」
女神「バカヤロー! 」バキッ
天使「あうっ! な、何するんですか!?」
女神「最高のオナニーができないことがどれだけの痛手か分からんのか!? 最高のオナニーもせずに最高のパフォーマンスは発揮できねーんだよ! 天地創造7日目に休息? オナるに決まってるだろうが! むしろオナニーのエッセンスとして世界を創造したんだっての! 世界は私の最高のオナニーのために産まれたんだよ!」
天使「……」
女神「アレには私の7分の1もの力が秘められているのよ…。最高傑作だったのに…」
天使「いや、力の配分おかしいでしょう!?」
女神「うるせえ! オナニーもしないような薄っぺらい生き方しかしてない奴の言葉など聞きたくないわ!」
天使「ひどいっ!?」
女神「そういうわけで、天使ちゃん、私の能力を回収してきて!」
天使「うえぇ……」
女神「あー、やる気出ないなー。別の人間にちゃんとした勇者パワーあげるの面倒だなあ」チラッチラッ
天使「……分かりましたよ。回収してきます」
女神「さすが天使ちゃん!」
――――――――
天使「こういうことがありまして、ここに来たわけです」
勇者「…何だよ、それ。そんなアホみたいな理由で、俺は右腕をバイブにされて、国を追放されたのか?」
天使「……申し訳ありません。本当に上司が迷惑かけてしまい申し訳ありません」ペコペコッ
勇者「…………」
勇者「どうやって能力を回収しろと」
天使「…力はあなたの魂と結びついているので、その…肉体と魂を離さなければいけません」
勇者「……俺に死ねと」
天使「…ええと、率直に言ってしまうとそうなります」
勇者「ふ、ふざけるなよっ! 俺は絶対に死んでやらないぞ!」
天使「まあ、そう言うのが当然ですよね…。大変申し訳ありませんが強引な手段を取らせてもらいます」
天使は魔法を唱え始めた!
周囲の大気が大きく揺れる!
勇者「うげっ!?」
天使「究極破壊魔法!」
莫大なエネルギーが一点に凝集し、勢いよく爆散した!
辺り一面が消し飛んだ!
天使「やはり下界だと制御が難しいですね…。それにしても、酷いことをしてしまいました」
油断した天使の背後に、ピンク色の物体が飛んで来る!
天使「えっ!? きゃあっ!」
天使の背中に巨大なピンクローターが直撃した!
勇者「一応、女神さまの力だけあって凄い耐久力だ。それに大きさも自在で、変化もする」
天使「……」プルプル…
勇者「俺だってそう簡単には負けられないんだ」
天使「んあああああっ……!」ビクッ
勇者「……大丈夫?」
天使「い……」
勇者「い?」
天使「イクぅううううううぅぅぅッッ!」プシャァッ
勇者「……え、え?」
天使「…………」ピクピク
東国・西の森。
パチッ…パチッ…
天使「……最低です」グスッ
勇者「わ、悪かった。あんなことになるとは思わなくて」
天使「もうお嫁に行けません…」
勇者(天使って結婚するのか?)
天使「堕天してしまったし、どうすればいいんですか…?」
勇者「……堕天?」
天使「天使は汚されると翼を失い、天上界に帰れなくなるんです」
勇者「……そうなの?」
天使「翼、なくなってますよね?」
勇者「う、うん。確かに」
天使「…責任とってください」
勇者「せ、責任?」ダラ…
天使「……冗談ですよ。むしろ償わなければいけないのは私たちの方です」
勇者「…いや、そんなことないよ。君は巻き込まれた側じゃないか」
天使「…そんなこと」
勇者「それに、帰るところに帰れないのは同じだろ。似た境遇同士、仲良くしよう」
天使「…………」
勇者「あ、お腹すいてないか。食べられそうな木の実を少しだけ採ってきたから食ってくれ」
天使「…それじゃあ、有難くいただきます。あなたは?」
勇者「俺はさっき食べたから大丈夫」
グウゥ…
天使「……」
勇者「…あはは、参ったな」
天使「ああ、もうっ! どれだけお人好しなんですかっ! その腕で木の実を集めるのがどれだけ大変なのか、こうして火を熾すのがどれだけ大変か、想像がつかないとでも思っているんですか! それなのに、平気な顔して、自分の空腹もガマンして…もう、もう…っ!」ボロボロ
勇者「な、泣かないでくれよ」
天使「こんなお人好しを不幸な目に合わせるなんて、最低です!」グスッ
勇者「分かったから、落ち着いてくれ」
天使「だって、だって……!」
勇者「ほら、深呼吸して。そして笑顔、笑顔」ニッ
天使「この状況で笑えませんよ…」
勇者「まずは形だけでいいさ。そのうち本当に笑えるようになる」
天使「……こうですか」ニコッ
勇者「そうそう。まるで天使みたいだ」
天使「……もう」
勇者「ははは」
パチッ…パチッ…
天使「これからどうするつもりですか?」
勇者「……少し考えたんだ。俺は、大切な人たちを守りたい。けれど、もう大切な人たちのそばにはいられない」
パチッ…パチッ…
勇者「だけどさ、さっき君の魔法を防いだ時、このふざけた力も何か役に立つかもしれないと思ったんだ」
天使「…………」
勇者「…俺、魔王を倒そうと思う。多くの人を守るために。かつての伝説の勇者みたいにさ」
天使「…それなら」
勇者「ん?」
天使「それなら、私も手伝います。勇者さま、あなたを支え、あなたが魔王を倒す手助けをします!」
勇者「……ありがとう」
天使が仲間になった!
東国・勇者の故郷。
勇者姉「……」
剣士「……お姉さん、お風呂空きましたよ」
勇者姉「ええ、ありがとう……」
剣士「……大丈夫ですよ。あいつ、しぶとさだけは異常ですから」
勇者姉「そうね……。あの子ならきっと大丈夫。強い子だもの。きっと、そのうち、ひょっこり帰ってくるわ」
剣士「そうですよ」
剣士「あのバカっ! まったく何してんのよ!」
剣士「……勝手にアタシのそばからいなくなるなんて許せない!」
剣士「お父さん!」
師範「ん、どうした?」
剣士「アタシ、ちょっと旅に出てくるから!」
師範「は?」
剣士「ちょっと、あのバカ連れ戻してくる!」
師範「年頃の娘が何言ってる。そもそも、あの子は追放刑にあってしまったのだから、それは無理だろう」
剣士「だから、ついでに魔王を倒してくる。そうすれば恩赦で許して貰えるはずよ」
師範「おいおいおいおい。何バカなことを言ってるんだ」
剣士「じゃあ、荷造りも終わってるし、行くわ」
師範「え!? もう行くの!?」
剣士「思い立ったが吉日なの! 達者でね! 」
師範「ちょっ、おい!」
剣士「お姉さんに手を出したら血祭りにするから!」
魔の国・魔王城。
黄竜「…………」スピ-
赤騎士「……おい、黄竜、起きろ」
黄竜「んあ? お、赤騎士じゃーん。久し振りー、元気ー?」
赤騎士「変わりない。お前は相変わらず寝汚いようだな」
黄竜「んはは、まーねー。どうして帰ってきたの? 中央国の方に侵攻してたよね?」
赤騎士「緑鬼と入れ替わったのだ」
黄竜「ふーん、お疲れ様ー」
赤騎士「ありがとう。だが、できれば早く中央国の前線に戻りたいところだ」
黄竜「仕事熱心だねー」
赤騎士「緑鬼に任せると、無益な血が流れることになるからな」
黄竜「確かに。あいつって性悪だもんなー」
赤騎士「それで黄竜よ。しばらくの間、お前と共に、西国征圧の任につくことになった。分かると思うが、無意味な殺しはするなよ」
黄竜「赤騎士に従うから大丈夫だよー。君のこと、信頼してるからさ」
赤騎士「そう言ってもらえると助かる」
中央国・東の森
天使「ていっ」
天使の攻撃!
ベキャアッ
魔物を倒した!
天使「たあっ」
天使の攻撃!
ゴキュッッ
魔物を倒した!
勇者「……天使さんって魔法をメインに戦うタイプだと思ってた」
天使「そうですよ?」
勇者「いや、この前からずっと、魔物が落としたロッドでぶん殴ってるところしか見てないからさ」
天使「この程度の魔物に魔法を使う必要もないですから。さあ、行きましょう」
勇者「た、頼もしいなあ…」
勇者(というか、撲殺天使さんが強すぎて一回も攻撃してねえ…」
天使「あ、村が見えましたよ。これで旅に必要なものを揃えられますね」
勇者「……天使さん。俺は顔に追放の焼印があるから村に入れないよ」
天使「それなら、私の魔法で隠してるから大丈夫ですよ」
勇者「え、本当に?」
天使「だから、心配しないでください。右腕も魔法をかけた包帯で封じ込めてるし、何の心配もありませんよ」
勇者「な、何から何までありがとう」
天使「気にしないでください。まずは魔物の素材などを売ってしまいましょう」ニコ
ドサドサッ
勇者「これを換金したいんだが」
商人「……ふむ」
パチパチッ
商人「こんなものだな」
勇者「……安過ぎる。これは流石に不当だ」
商人「文句があるなら引き取らないが。見た所、金に困っているようだがな」フフン
勇者「人の足元を見て…!」
商人「ふん、こちらも、紛争続きであまりゆとりのある商売ができてないんでね」
天使「勇者さん、ここは、妥協しましょう」
勇者「……分かった。その額でいい」
勇者「買い物すら上手くいかないなんて先行きが不安だ…」
天使「支度金には充分ですよ。旅に必要な物を買いましょう」ニコ
勇者たちは必要物資を買い揃えた!
勇者「ふう、これで大分円滑に旅を進められるな。
天使「そうですね!」
勇者「あと、剣も買ったけど、左手じゃ、あまり戦力にはならないだろうな」
天使「私に任せてください。だいたい撲殺しちゃいますから」ニコ
勇者「ははは、頼もしい…。さて、宿を取ろうか」
天使「そうしましょう」
宿屋。
勇者「……一緒の部屋で良かったのか?」
天使「切り詰められるところは切り詰めないと!」
勇者「なんだか、さっそく、俗っぽくなってきたな」
天使「もう、そんな意地の悪いこと言わないでください!」
勇者「ごめん、ごめん。頼もしく思ってるよ。それで、魔王を倒すににしても具体的にどうしようか」
天使「魔王自体は南に行けば会えるんですけどね」
勇者「魔国が世界の南にあると聞いて育ったんだけど、そもそも世界がどうなっているのかイマイチ理解できてないんだ。村から出ることさえ滅多になかったし……」
天使「ええと、まず東西に広がる巨大な大陸と、その南に位置する一つだけ離れている比較的小さな大陸があります」
勇者「うん」
天使「巨大な大陸は主として四つの大国からなっていて、勇者さんの出身地である東国、魔物との戦いが激しい中央国、土地は貧しいけれど、平和な北国、領土は広いけれど砂漠が多い西国となっています」
勇者「そこまでは大丈夫」
天使「そして南側の小さな大陸に魔国があります。北側には、中央国へと大きく突き出している細い半島があります」
勇者「その半島を通って、中央国に侵攻してるのか。だから中央国が一番魔物の被害を受けているんだな」
天使「そうですね。『悪魔の角』と呼ばれていて、強力な魔物が数多くひしめいています。最近ではこの付近の中央国領土は、魔物の支配下に置かれてしまっているようです」
勇者「中央国の人々が可哀想だな…。何とかできないかな」
天使「そうですね……取り敢えず、中央国に行って現状を見ましょうか」
勇者「それが良さそうだ」
――翌朝。
天使「ふぁ……?」パチ
天使「……あれ、勇者さんがいない?」
勇者(…この右腕、使いこなせれば、魔王討伐に役立つはずだ!)シュルッ
ブウウウゥゥウウウン!!
勇者「ちょっ、勢いが強い!? 鎮まれー、鎮まってくれー!」
ブウウウウウゥゥウウウン!!
勇者「…そうだ! この前みたいに変身させればいいんだ!」
天使「…こっちの物陰から、例の音が聞こえましたが」
シュルッ
天使「へ?」
天使は触手に巻き付かれた!
勇者「わっ、天使さん!?」
天使「勇者さん! これは何ですか!?」
勇者「み、右腕を変化させたらこんなのが出てきたんだ!」
ニュルッ
天使「ひゃうう! は、離してくださいっ!」
勇者「ど、どうすれば良いのか分からない」
ニュルッニュルッ
天使「あっ、そんなとこに入っちゃ……! あっ……! いやぁ……!」ビクビクッ
勇者たちは中央国南部へと向かうために村を出た!
天使「…………」つーん
勇者「……天使さん、その、朝はごめん」
天使「…………」じろっ
勇者「ご、ごめんな」
天使「……ふう。別に勇者さんのせいだけではありませんから」
勇者「う、うん」ほっ
天使「でも、取り敢えずは魔法をかけた包帯を外さないでください」ニッコリ
勇者「…はい」
東国・西の森
剣士「…あー」
剣士「迷ったわね…」
剣士「ここはどこなのよ……」ガサガサ
剣士「出てくる魔物もやけに強いし、変なの」
剣士「……お、洞窟」
老龍「…ほう、ニンゲンか」
剣士「うわ、龍だ」
老龍「ニンゲンがここまで来たのはいつぶりだろうか。昔は多くの荒くれ者たちが挑んできたものだったが」
剣士「ああ、そう」
老龍「ふ、すべて返り討ちにしたがな」
剣士「ふうん。アタシ、中央国の方に行きたいんだけど、どっちか分かる?」
老龍「我が護る聖なる秘宝。欲しくば我を倒してみよ!」
剣士「いや、別にいらないわよ」
老龍の攻撃!
剣士はひらりと躱した!
老龍「む、やるな」
剣士「もう一度言うけど、戦うつもりはないわ」
老龍「ふ、次も躱せるか!」
老龍の攻撃!
剣士はひらりと躱した!
剣士「分かったわよ。そっちがヤる気なら…」チャキッ
・・・
老龍を倒した!
老龍「ぐっ、つ、強い……」
剣士「あーあ、剣がボロボロになっちゃったじゃない」
老龍「まさか、ニンゲンの小娘にやられるとは……聖なる秘宝を持っていくがいい……」
剣士「はいはい、貰えるなら貰っておくわ」
『聖なる剣』を手に入れた!
『生命の樹の種』を手に入れた!
『エルフのマント』を手に入れた!
剣士「ふうん。まあ、新しい剣が手に入って良かった」
剣士「そんなことより早くあのバカを見つけないとね」
剣士「それで、ここはどこなのよ…」
中央国・魔物の拠点地
緑鬼「あー、やれやれ。赤騎士のやつ、本当に小言が多い。あいつは鬼嫁か!」
緑鬼「それじゃあ、オレの嫁じゃねえか! ひゃあっはっはっは!!」
「はは……」
緑鬼「あーん、なんだその笑いは?」
「も、申し訳ありません!」
緑鬼「上司が笑ってるなら同じくらい笑うだろうが!」
「はっ! 大変失礼しました!」
緑鬼「ったくよー、これから侵攻を再開しようとしてる時に盛り下げてくれるじゃねえか」
「…お言葉ですが、赤騎士さまは無闇な侵攻は止めるようにおっしゃっておられました。」
緑鬼「あ?」
緑鬼の『殴り殺す』!
緑鬼「今、指揮権限が有るのはオレだ。文句あるやつは殺してやるから出てこい」
「緑鬼さま」
緑鬼「あん?」
・・・
緑鬼「はーん、隠れてた人間たちか」
「はい。最近、食糧がやけに減ると思っていたら、10人ほど地下に隠れていたようです」
緑鬼「はーん、美しきモグラ根性だな」
「始末しますか?」
村人1「ま、待ってください。せ、せめて子どもたちだけでも助けてやってください…!」
緑鬼「そうだなあ」
緑鬼「別に俺だって鬼じゃな……鬼だったわ」
緑鬼の『殴り殺す』!
子ども「うわぁぁん!! おかーさーん!!」
緑鬼「夜泣きをする子は食べちゃうぞー」
緑鬼の『喰い殺す』!
緑鬼の『絞め殺す』!
緑鬼の『蹴り殺す』!
緑鬼の『犯し殺す』!
緑鬼の『嬲り殺す』!
緑鬼の……
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! もっと叫べ! もっと悦ばせろ! 恐怖こそが美しい!」
中央国・南の町。
勇者「へっくし!」
天使「あら、大丈夫ですか?」
勇者「いや、ただのくしゃみだよ。誰か俺の噂でもしてるのか?」
ドンッ
勇者「いてっ!」
「邪魔っ!」
勇者「な、そっちからぶつかってきたじゃないか」
店主「食い逃げだ! そいつを捕まえてくれぇ!」
「ちっ」
勇者「あ、おい! ……逃げ足速いな」
天使「……?」
店主「この辺りも大分治安が悪くなっちまった。出入りするのも兵士や傭兵ばっかり。さっきみたいな食い逃げ野郎も増えた」
勇者「随分と物騒ですね」
店主「一般人が立ち入れる最南端だからな、この村は。そんな奴らしかいないのさ」
勇者「ああ、なるほど。大変ですね」
店主「あんたらみたいな冒険者もよく見かけるぜ。近くにあるエルフの棲む森があるからだろうな」
勇者「へえ、エルフですか」
店主「尤も、エルフの森は魔物の軍勢に侵攻されて、燃えかすになっちまった」
勇者「それじゃあ、エルフも?」
店主「死に絶えたらしい。あんたらもその焼け跡に、お宝探しにきたんじゃないのか?」
勇者「いや、俺たちはこの辺りの情報や、魔国についての情報を集めてるんです」
店主「ふうん。そうかい。あまり危険地帯に突っ込むなよ」
勇者「忠告ありがとうございます」
天使「勇者しゃん! ふぉの赤いおみず、おいひいですー!」ヒック
勇者「…それ、アルコールだよ」
天使「いいキブンですー!」ヒック
勇者「ははは……」
天使「いっちょ、ゼンブふっとばしましょー!」ヒック
天使は魔法を唱え始めた!
周囲の大気が大きく揺れる!
勇者「ちょっ、ダメだって!」
天使「もがもが……!」
魔法の詠唱が中断された!
勇者「うわ、酒くさい!」
天使「……すぴー」
勇者「この人にお酒を飲ませちゃダメだ……」
天使「うー」ヒック
勇者「ほら、宿屋までもう少しだよ」
天使「うー、ここで寝ます」
勇者「ダメだって。ほら、歩いて」
町人A「このクソガキ!」
「うっ!」
町人B「人の財布に手を出すなんていい度胸してやがんな!」
町人C「懲らしめてやる!」
「ぐっ! うぁ!」
勇者「あ、さっきの食い逃げ」
天使「う?」
勇者「……」
天使「こらー! 多勢に無勢で何してるんですか!」ヒック
勇者「ちょっ」
町人D「何だこの女?」
町人E「酔っ払いは引っ込んでろ!」
天使「なんですってー!」ヒック
天使は魔法を唱えた!
天使「『全体即死魔法』!」
町人たちは生命活動を停止した!
天使「ふふ、悪は滅びた」ヒック
勇者「いや、殺すなよ!」
天使「電撃魔法・微!」ピリピリッ
町人たちは生き返った!
天使「そせー完りょーです!」ヒック
勇者「…気軽にそういうことしないでくれよ」
天使「だいじょーぶですかー?」ヒック
「うわ、酒くさい!」
勇者「立てるか?」
「あ、ああ。どうも。じゃあ…」
勇者「おっと待て」ガシッ
「な、なんだよ!」
勇者「この人たちに財布返してないだろ?」
「わ、分かったよ」ヒョイッ
勇者「…お金だけ、抜いてるな?」
「…ちっ、返せばいいんだろ!」ジャラジャラッ
勇者「まったく、さっきの食い逃げといい、声変わりもまだの子どもが何をしてるんだ」
「…うるさいな。放っておけよ」
天使「こらー、その態度はなんですか!」ベチンッ
「いたっ!」
ポロッ
「あ、帽子!?」ファサッ
勇者「女だったのか。…というかその耳」
エルフ「……」
宿屋。
天使「すぴー……」
勇者「連れが悪かったな。普段はとても礼儀正しくて優しい人なんだけど」
エルフ「酒癖は最悪だな」
勇者「俺も初めて知った。もう飲ませないようにするよ」
勇者「…それにしても、エルフの生き残りか。大変だったな」
エルフ「何も知らないヤツに同情されたくないな」
勇者「…それもそうか」
エルフ「…アンタら、何者? そっちの女は魔法を使ってたし、アンタの顔や包帯からも魔力を感じる」
勇者「俺は勇者だ。それで、酔っ払って寝てるのが天使さん」
エルフ「…勇者?」
勇者「ああ。魔王を倒す旅の途中だ」
エルフ「…信じられないな」
勇者「まあ、そうだろうな」
エルフ「この人からは強大な魔力を感じる…天使というのは信じてもいいが」
勇者「お、信じるか。さすがエルフ」
エルフ「でも、お前が勇者…信じられない」
勇者「うーん…まあ、そう言われても仕方ないか」
エルフ「弱そう、馬鹿そう、ちょろそう、軟派そう、貧しそう、駄目そう、汚そう、臭そう」
勇者「おま…怒りを通り越して悲しくなってきたぞ…」
エルフ「…本当に勇者なら現れるのが遅いよ」
勇者「……」
エルフ「…お前に言っても、仕方ないことだ」
・・・
天使「昨日、そんなことがあったのですか。道理で彼女から魔力を感じたわけです」
勇者「彼女は他にも色々と情報をくれた。結構長いこと南部を徘徊しているらしいから」
天使「そうですか。彼女も辛いのですね…」
勇者「…それで、彼女の話だと、最近は魔物との小競り合いが増えているそうだ」
天使「また、魔物の侵攻が始まる前兆かもしれませんね」
勇者「うん。それまでは少なくとも表面的には静かだったらしい。噂だと指揮官が替わったとか」
天使「そのような噂が」
勇者「うん。魔物と交易している商人もいるから、そういうところからの情報かな」
天使「なるほど」
勇者「ここは、一般人の立ち入れる最南端らしいし、この街も危ないかもしれない」
天使「どうしますか?」
勇者「離れた方が安全ではあるけど、むざむざと魔物に占領されるのは気に入らないな」
天使「……私たちなら負けませんよ! 究極破壊魔法を打ち込んでやります!」
勇者「ははは…。人間を巻き込まないようにね」
天使「あと、朝からとても頭が痛むのですが…」ズキズキッ…
勇者「完全に二日酔いじゃないか」
ところ変わって…
中央国・東の村
剣士「じゃあ、この辺りに顔に追放の焼印がある男は来なかったのね?」
宿屋「そだな人がいたら村中で噂になるべな。最近だと、若いアベックが宿泊してったぐらいしか若い客はいねえだ」
剣士「うーん……一応どんな感じだった?」
宿屋「男は右腕をケガしたのか、包帯を巻いてだな。女の人はすんげえ美人だったべ」
剣士「右腕に包帯! ……お姉さんもそんなこと言ってたわね。刻印はカモフラージュしてたのかも」
剣士「……って美人な女と一緒?」
宿屋「あ、ああ、んだ。あんな美人がいるだなんで、おら、知らなかっだだ。まるで女神さまみてえだったべ」
剣士「ほーん……」ピクピクッ
宿屋「しかも、部屋は一つしか借りてなかっただ。おら、『昨夜はお楽しみでしたね』が言いたくてしょうがなかっただ」
剣士「あのバカ、ずいぶん調子にのってるわね。このアタシというものがありながら、許さないわ、変な虫がつく前に、連れ帰らなきゃ…」ブツブツ…
きゃああ、魔物だあ!
剣士「あら?」
宿屋「この村の中まで魔物が入ってくるなんて珍しいな」
剣士「この辺の魔物は弱くて臆病だしね。一応見てくるわ」
死の鳥「ギギ……ギ……」
剣士「なんか強そうね」
村人「あ、あれは、伝説の、死をもたらす鳥だべ」
剣士「有名なのね」
村人「こ、この国のモンは『悪い子は死の鳥に連れて行かれる』って脅されて育つべ」
剣士「あ、それアタシも聞いたことあるかも…って、こっちに飛んできたわ」
死の鳥「ギギ……老龍ヲ破ッタラシイナ……」
剣士「なんか成り行きで」
死の鳥「ギギ……オモシロイ……勝負ダ……!」
剣士「え、イヤよ」
死の鳥「ギギ……何故ダ……」
剣士「先急いでるから。あのバカに問い質したいこともあるしね」
死の鳥「ギギ……ナ、ナラバ村人ヲ殺スゾ……!」
剣士「…はあ。そういう面倒くさいこと言うなら、さっさと始末してあげる」チャキッ
死の鳥は『即死魔法』を放った!
剣士には効かなかった!
死の鳥「ギッ!?」
剣士「聖なる剣のおかげで即死魔法は効かないのよね」
死の鳥は『風魔法・大』を放った!
剣士はひらりと躱した!
死の鳥の『毒の爪』
剣士はひらりと躱した!
剣士「エルフのマントは、魔法も攻撃も躱しやすくしてくれるの」
死の鳥「ギギ……強イナ……愉快ダ……」
剣士「愉快なまま死ねると良いわね」
・・・
死の鳥を倒した!
死の鳥「ギギ……ヤル……ナ……」
剣士「アナタも結構強かったわ」
死の鳥「ギギ……コレヲヤロウ……」
死の鳥は口から何かを吐き出した!
剣士「うっ、口から……」
剣士は『奇跡の腕輪』を手に入れた!
剣士「んー、何かしら力を秘めてそうね。役に立つかな」
村人「す、すげえだ! あの死の鳥を無傷で倒しただ!」
剣士「いや、それはたまたま。結構苦戦したわよ」
「いや、ホントすげえだ」
「あの死の鳥を倒すだなんて……」
村人「しかもピカピカ光る剣で……も、もしかして勇者さま!?」
剣士「いや、違うわよ」
「ほ、本当に勇者さまなのか!?」
「あの強さ、そうでもおかしくねえべ!」
ざわざわざわざわ…………
剣士「いや、だから…」
宿屋「勇者さまにせよ、違うにせよ、この人はオラたちの救世主だべ! みなでもてなすべ!」
「んだ、んだ!」
「勇者さまのために宴の準備だ!」
「あの死の鳥を倒すなんて、とてもめでてえべ!」
剣士「勝手にやって欲しいんだけど…」
宿屋「そんな哀しいこと言わねえで、勇者さまも楽しんでいってくだせえ」
剣士「だから、勇者じゃないってば…まあ、いいか」
ところ変わって…
西国・南西海岸。
伝令魔物「赤騎士さま……」パタパタ
赤騎士「む。どうした」
伝令「実は……」
黄竜「なんだってー?」
赤騎士「緑鬼が中央国南部への更なる侵攻を開始したらしい」
黄竜「あー、やっぱり彼は勝手だねー」
赤騎士「一応、策は打っている。あいつが過度な独断に走ることは食い止められるだろう」
黄竜「さっすがー」
赤騎士「私たちは私たちの任務を果たすだけだ。西の国を征圧するぞ」
黄竜「りょーかい」
南国・南部の街
「魔物の軍勢がここにまで迫っているぞ!」
勇者「来たか!」
天使「迎え討ちましょう!」
勇者「ああ!」
魔物の軍団が押し寄せてきた!
勇者「くっ、すごい数だ。だが密集しているなら都合がいい!」
天使「任せてください!」
大気が大きく揺れる!
天使の『究極破壊魔法』!
魔物の軍勢は壊滅的な被害を受けた!
勇者「よし! 魔物は狼狽えている! 畳み掛けよう!」
うおお!
人間たちの反撃!
魔物たちは退却を始めた!
勇者「好機だ! 追い討ちをかけよう!」
おう!
勇者「天使さん、街に残って追撃に備えてくれ」
天使「し、しかし大丈夫ですか?」
勇者「俺は勇者だ。信じてくれ」
伝令魔物「緑鬼さま! ニンゲンたちが攻めてきています!」
緑鬼「はあっ? 攻め込ませたヤツらはどうした?」
伝令魔物「侵攻役の大隊は魔法攻撃により壊滅的な被害です!」
緑鬼「あーん? ニンゲンにも魔法が使えたのか?」
伝令魔物「しかも、相当強大な魔法で、一撃で大隊が瓦解したようです!」
緑鬼「…ちっ、聞いてねえよ。おい、巨人! 大蛇! 森の中でニンゲンどもを挟み撃て! 鳥人たち! こいつらの後方を支援しろ!」
「はっ!」
緑鬼「クソがっ、まさかこんな目に遭うとはな」
勇者「……! 横から来るぞ!」
巨人が現れた!
大蛇が現れた!
鳥人の群れが現れた!
勇者「…予想通りだ。引きつけよう」
傭兵1「ほ、本当に大丈夫なのか?」
傭兵2「囮役なんて聞いてねえよ!」
傭兵3「こちとら、死ぬ気はないんじゃ!」
勇者「…俺を信じてくれ」
勇者は右腕の包帯を解いた!
ヴゥウウウウウゥゥゥンーーー!
傭兵3「……は?」
勇者「……うっ!」ブリュリュッ
勇者はバイブから大量のローションを放った!
辺りの空気が凍りついた!
勇者は右腕をピンクローターに変化させた!
傭兵4「な、なんだよその腕?」
勇者「説明は後だ! 蛇は俺がやる!巨人は任せた! 」
傭兵5「…鳥人の矢に気を付けろよ」ニッ
勇者「そっちこそ!」ニッ
勇者は蛇にピンクローターを飛ばす!
蛇はひらりと躱した!
大蛇「そんなもの食らうか!」
大蛇の尻尾攻撃!
勇者「げふっ!」
勇者は大きく吹き飛んだ!
大蛇「ファファファ、弱いぞ! その程度か!」
勇者「…まさか」
ピンクローターが大蛇の身体に巻き付く!
大蛇「なっ!?」
勇者「油断したな。自在に動くとは思わなかったか」
大蛇「ふ、ふん! 縛ったくらいで何を偉そうに! 見くびるなよ!」
勇者「…見くびってるのはそっちだ」
大蛇「ぐっ、解けん…!」
勇者「こいつは振動しないタイプなんだが、もっと恐ろしい機能がある」
大蛇「な、なにをする気だ!?」ゾクッ
勇者「…女神さまの変態ぶりには心底ドン引きだよ」
勇者の『超高圧電流』!
大蛇「あばばばば……」
大蛇を倒した!
巨人「うがあ!」
傭兵6「ひいっ!」
巨人の攻撃!
しかし、巨人は白濁ローションで滑った!
巨人「うがあ!?」
傭兵7「…今だ! やるぞ!」
傭兵8「俺たちも滑らないように気を付けるぞ!」
傭兵1の攻撃!
傭兵2の攻撃!
傭兵3の攻撃!
・・・
巨人を倒した!
鳥人A「くそっ! 後ろにも敵がいたのか!」
鳥人B「分隊していたとは…!」
鳥人たちは狼狽えている!
兵士長「弓兵部隊! 撃ち落とせ!」
「はっ!」
兵士長「投石部隊も続け!」
「らじゃっ!」
・・・
鳥人たちを倒した!
伝令魔物「緑鬼さま! 巨人、大蛇、鳥人たちも敗北しました!」
緑鬼「…クソがぁ! どいつもこいつも役立たずだ!」
伝令魔物「緑鬼さま!? 何処に行かれるのですか!?」
緑鬼「こうなったらオレが直接殺るしかないだろ!」
緑鬼が現れた!
勇者「……!?」
緑鬼「調子に乗ってるのはテメーらか!」
勇者「こいつ、強いぞ…!」
緑鬼「四天王最強の緑鬼サマが、ブチ殺してやるよ!」
緑鬼の『鬼没』!
「「姿が消えた…!?」」
緑鬼の『殴り殺す』!
緑鬼の『刺し殺す』!
緑鬼の『咬み殺す』!
傭兵1「や、やばい! 逃げるぞ!」
傭兵たちは逃げ出した!
しかし、回り込まれてしまった!
緑鬼の『叩き殺す』!
緑鬼の『踏み殺す』!
緑鬼の『裂き殺す』!
勇者「くっ!」
勇者はバイブで殴りかかった!
緑鬼はひらりと躱した!
緑鬼「…テメエ、聖なる力を持ってやがるな!? ナニモンだ!?」
勇者「…俺は勇者だ!」
緑鬼「…なるほどなぁ、だったら絶対殺す!」
緑鬼の『鬼火』!
勇者の身体を青い炎が舐め上げる!
勇者「ぐあっ!?」
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! 苦しんで死ね! 喚いて死ね! 絶望して死ね! 死の叫びこそが生きる価値だ!」
「氷結魔法・小!」
鬼火が打ち消された!
緑鬼「あん、魔法だと?」
勇者「…君は」
エルフ「緑鬼…! お前に復讐する日を待っていた!」
緑鬼「…エルフの生き残りか! 全員殺してやったと思ってたんだがな!」
勇者「…エルフの森を焼き払ったのはお前か!」
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! あいつらいい悲鳴を上げてたぜぇ! 思い出すだけで射精モンだ!」
エルフ「ゲスがああぁッ!」
エルフは『氷結魔法・中』を放った!
しかし緑鬼は魔法を無効化している!
エルフ「くっ…!」
緑鬼「あの時も『魔封じの指輪』をつけてたからな、エルフなんて、ゴミカスだったぜ! 」
エルフは矢を放った!
緑鬼は矢を掴み取った!
緑鬼「今でもエルフどものことは覚えてるぜぇ。小さい骨からポキン、ポキンって折っていくとなぁ、可愛い声で鳴くんだ、これが。ああ、最高だったなぁ…」
エルフ「きさまぁ!」
エルフは『火炎魔法・中』を込めた矢を放った!
緑鬼はひらりと躱した!
緑鬼「おいおい、そんなんで復讐できると思ってんのか?」
エルフ「差し違えてでも殺す…!」
緑鬼「ひゃあっはっはっはっ!! ハナから勝つ気のないザコに負けるかよ!」
勇者はピンクローターを飛ばした!
緑鬼はひらりと躱した!
緑鬼の『鬼没』!
緑鬼「鬼さん、どーこだ?」
勇者「くっ!?」キョロキョロ
緑鬼「鬼さん、うしろ」
緑鬼の『殴り殺す』!
勇者は大きく吹き飛んだ!
勇者「ごぽっ!」
勇者は大量に吐血した!
エルフ「っ!」
エルフの攻撃!
緑鬼はエルフの腕を掴んだ!
緑鬼の『投げ殺す』!
エルフ「きゃあっ!」
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! カスどもが! せいぜい美しい絶叫を奏でろや!」
勇者「く、くそ……」
天使は『氷結魔法・極』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
天使「勇者さん、大丈夫ですか!」
勇者「うっ、て、天使さん…。不甲斐ないところを見せちゃったな…」ゲホッ
天使「…いえ。勇者さんの活躍は千里眼の魔法で見ていました。ご立派でしたよ…」
緑鬼「……この魔法の威力、テメエが侵攻部隊を壊滅させたのか」
天使「…邪悪な魔物よ! 私が浄化します!」
天使は『電撃魔法・極』を放った!
天使は『火炎魔法・極』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
緑鬼「ふん、オレに魔法は効かん!」
天使は『星霊魔法』を放った!
天使は『聖霊魔法』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
『魔封じの指輪』にヒビが入った!
緑鬼「なんだとっ!?」
天使は『重力魔法』を放った!
天使は『結晶魔法』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
『魔封じの指輪』が砕けた!
緑鬼「くっ!」
緑鬼の『殴り殺す』!
天使はひらりと躱した!
天使の攻撃!
ミシミシィッ!
緑鬼「ぐおぉぉ!」
天使は『氷結魔法・極』を放った!
緑鬼の全細胞が一瞬で凍り付いた!
緑鬼を倒した!
天使「勇者さん、大丈夫ですか!」
勇者「ああ…。いつも、助けられてばかりだな…」
天使「そんなことありませんよ」ニコ
天使の『回復魔法・大』!
勇者の傷が癒えていく!
勇者「…ありがとう。エルフや、他の皆にも頼む」
・・・
天使「これで皆さん全快ですね」ニコ
「美しい…」
「女神さまだ…」
勇者(女神じゃなくて、天使だけどな)
勇者「……死んだ人間は生き返らないんだな」
天使「魔法にも限界はあります」
勇者「…そっか」
エルフ「……う」パチ
勇者「お、目覚めたか」
エルフ「……緑鬼は!?」
勇者「あそこ」
緑鬼「」カチンコチンッ
エルフ「……」
「よっしゃー! このまま、南部の町と村を解放するぞ!」
「おおー!」
「『火炎魔法・大』」
緑鬼の身体がみるみる氷解していく!
緑鬼「ぐっ……」
エルフ「なっ…!?」
緑鬼「…げっ、赤騎士!? なんでここに…」
赤騎士「緑鬼、なんだこの体たらくは。多くの兵を失い、あまつさえ自分もやられるとは」
緑鬼「うぐっ…」
赤騎士「まあ、いい。後は私がやる。お前は撤退しろ」
緑鬼「…ちくしょうが!」
緑鬼は逃走した!
エルフ「待て!」
赤騎士が立ちはだかった!
赤騎士「先に行かせることはできない。このままでは士気に関わるのでな」
赤騎士は剣を構えた!
天使「…皆さん、下がってください!」
赤騎士「四天王が一柱、赤騎士、参る!」
天使は『聖霊魔法』を放った!
赤騎士の『魔封剣』!
『聖霊魔法』を吸収した!
天使「『魔封剣』ですって!?」
赤騎士の『連続魔』!
『火炎魔法・極』!
『火炎魔法・極』!
『撃滅の獄炎』となった!
天使「しかも『連続魔』!?」
天使は『氷結魔法・極』を放った!
『撃滅の獄炎』を弱めた!
エルフは『氷結魔法・中』を放った!
『撃滅の獄炎』を弱めた!
勇者はバイブを巨大化して盾にした!
『撃滅の獄炎』を何とか防いだ!
赤騎士「やるな!」
天使は『究極破壊魔法』を放った!
赤騎士の『魔封剣』!
『究極破壊魔法』を吸収した!
天使「やはり魔法は通じないようですね…!」
赤騎士の『火炎斬り』!
勇者の腿に掠った!
傷口が燃える!
勇者「がああああぁぁぁぁ!!」
エルフは『回復魔法・中』を放った!
赤騎士の『魔封剣』!
『回復魔法・中』を吸収した!
エルフ「くっ!?」
赤騎士「敵に回復の余地は与えん」
赤騎士の『火炎斬り』!
エルフは何とか躱した!
赤騎士「良い体捌きだ!」
天使の攻撃!
赤騎士は盾で防いだ!
赤騎士の攻撃!
天使は何とか躱した!
天使「今の内に回復を!」
赤騎士「健気だな」
赤騎士の攻撃!
天使「うぅっ……!」
天使は深手を負った!
エルフは『回復魔法・中』を放った!
勇者の傷が癒えた!
赤騎士の『連続魔』!
『火炎魔法・極』!
『火炎魔法・極』!
『撃滅の獄炎』となった!
天使は『氷結魔法・極』を二回放った!
『撃滅の獄炎』を弱めた!
天使は『撃滅の獄炎』を食らった!
天使の全身を赤黒い炎が焼き尽くす!
天使(う……声が出ない……これじゃあ……魔法が……)
赤騎士「一番厄介なあなたから倒させてもらう」
勇者「て、天使さん…っ!」
勇者(……今まで散々、天使さんに助けられたんだ! 俺だって…彼女を助ける!)
勇者(頼む! 俺に、守る力を!)
勇者の思いを引き金に、勇者の右腕が強大な力を発する!
ディルド「やあ(´・ω・`)」
勇者「…え?」
ディルド「君の想い、しっかり届いたよ(´・ω・`)」
勇者「……」
ディルド「僕を信じて欲しい(´・ω・`)」
勇者「あ、ああ」
ディルド「さあ、敵に僕を向けて(´・ω・`)」
勇者「…ホントに信じるからな!」
勇者は右腕を赤騎士に向けた!
勇者の迸る熱い性欲(パトス)が右腕に凝集する!
ディルド「一点に向けて噴出された水は鉄を穿つ…そういうことさ(´・ω・`)」
勇者の『渾身の一発』!
赤騎士「……!」
赤騎士の盾を貫いた!
赤騎士の鎧を貫いた!
赤騎士の体を貫いた!
赤騎士「ぐうっ……!」
勇者「エルフ、今の内に天使さんの回復を!」フラッ
勇者は気絶した!
エルフ「勇者!?」
ディルド「今の彼じゃあ本当に一発が限界なんだ(´・ω・`)」
天使(回復してからの魔法では間に合わない。無詠唱でできる魔法で見出せる活路……)
天使(女神さま、いつも頑張って働いているんですから、幸運を私にくださいね)
天使『勇者さん、エルフさん、後はお願いします』
エルフ「なにを…、」
天使は『転移魔法』を放った!
勇者とエルフは何処かに転移した!
天使『皆さん、私が時間を稼ぎます。できるだけ遠くに逃げてください』
ざわっ……
天使『早くっ!』
全員逃げ出した!
赤騎士「素晴らしい自己犠牲だ。敵ながら賞賛に値する」
赤騎士の『火炎斬り』!
天使はロッドで防いだ!
天使の攻撃!
赤騎士は盾で防いだ!
赤騎士の……
・・・
赤騎士の攻撃!
天使(…堕天した私はきっと天上の世界に帰れないのでしょうね。どうなるのでしょうか…)
天使(…勇者さん、短い間でしたが、楽しかったです)
天使(……あなたは、きっと、強くなります……私は信じてますから……勇者さん……)
赤騎士「…敵ながら素晴らしい人物だった。あなたと戦えたことを誇りに思う」
赤騎士は『火炎魔法・大』を放った!
天使の亡骸は、大地と大空へと還っていった……
俺の癒しの天使たそが…
北国・剣の山
勇者「う…」パチ
エルフ「…やっと起きたか!」
勇者「あれ、ここは…俺は何を…」
エルフ「ここは、北国の剣の山だ。お前はもう二週間以上眠っていた」
勇者「に、二週間? …天使さんは!? 天使さんはどうなった!?」
エルフ「…彼女は、おれたちを北の国まで飛ばした。けれど、おそらく彼女は…」
勇者「…俺は、なにもできなかった」
エルフ「……」
勇者「ちくしょう…ちくしょう……ッ!」
オーク「お、目覚めたか。正直ダメかと思ったが、しぶといな」
勇者「…魔物か」
エルフ「待て、悪い魔物じゃない」
勇者「…お前、偽物か?」
エルフ「…急に何言い出すんだよ?」
勇者「どうして魔物を憎まないんだよ! 酷い仕打ちを食らって、どうして平気な顔ができるんだよ!」
エルフ「…憎いに決まってるさ! けれど、全ての魔物がそうとは限らないだろ」
勇者「だったら……!」
エルフ「おれは人間だって憎いんだ。でも、人間にはお前みたいなお人好しもいる。魔物だって同じだろ」
勇者「そんなの分からないだろう!」
エルフ「…少なくともこの魔物は一週間、寝たきりの勇者をここに置いて、面倒を見てくれたんだ。信頼したっていいじゃないか」
勇者「……」
勇者「分からないんだよ。何を信じればいいか」
エルフ「……」
勇者「信じられる人たちは、みんな俺から離れていってしまう。俺は何を信じればいいんだよ…」
エルフ「この……ヘタレッ!!」
勇者「……!」
エルフ「誰かに甘えてばかりいるなよ! お前には足が二本生えてるだろうが! だったら、自分の足だけで立ち上がれよ! 自分の足だけで前に歩いていけよ!」
勇者「……」
エルフ「まずは、自分を信じろよ!」
勇者「……」
エルフ「……ふんっ」
エルフは外に出て行った!
オーク「……ほら、粗末なもんだが飯だ。ずっと飲まず食わずだったんだ。まずは英気を養いな」
勇者「……」
オーク「あの嬢ちゃんはずっと付きっ切りで看病してたんだぜ。その嬢ちゃんに報いるためにも食いな」
勇者「……」
勇者は食事に手を付けた!
勇者「…うまい」
勇者は勢いよく食べ始めた!
勇者「うっ…ううっ…」
勇者は泣き始めた!
勇者「うっ…くそ、もう泣かないと誓ったのに…」
オーク「誰にだって泣きたくなる日はあるだろ」
勇者「うっ…うっ…」バクバクッ
オーク「泣きながら食うなんて器用な奴だな」
勇者「ただ泣いてるだけの時間なんてない。強くならなくちゃいけないんだ!」
オーク「お、おう。というか、絶食からそんな一気に食べると…」
勇者「うっ」
ぎゅるるるるう
勇者「と、トイレ!」
オーク「言わんこっちゃない」
エルフ「……」
勇者「あの」
エルフ「なに?」
勇者「その、ありがとな。ほんと、色々と」
エルフ「別に」
勇者「…俺、強くなるよ。やっぱり、誰かを信じるために。信じた誰かを守れるくらいに」
エルフ「…ふん、勝手にしろよ」
勇者「それだけ伝えたかったんだ。本当に、ありがとな」
エルフ「…その」
勇者「ん?」
エルフ「その…お前は不甲斐ないヘタレだ」
勇者「…ああ、そう思われても仕方がない」
エルフ「お前を勇者なんて呼んでやらない」
勇者「ああ。右腕もこんなだしな」
エルフ「だから、お前が、本当に勇者になれるか、その、見届けてやるよ」
勇者「…え?」
エルフ「だから、魔王を倒す旅に同行するって言ってるんだ!」
勇者「あ…ああ。…よろしくな!」
エルフが仲間になった!
時は少し遡り…
中央国・南部。
傭兵1「やい! 赤騎士!」
赤騎士「お前たちは先ほどの…。どうして逃げなかった」
傭兵2「女の子を犠牲にしておいて、逃げられるか!」
傭兵3「彼女がいなきゃ、さっきの戦いで死んでいた! この命、餞になるならば惜しくない!」
傭兵4「皆、戻ってきたぜ! お前をこのまま帰らせてたまるか!」
兵士長「ここで引けば、男として胸を張って生きることができんからな」
赤騎士「愚か者たちめ…。だが、嫌いではない! 相手致そう!」
剣士「あのー、お取込み中悪いんだけど、人探しをしてるの」
赤騎士「…状況を考えろ、小娘」
剣士「ごめんなさい。でも、この辺りに右腕に包帯を巻いた男が向かったという話を聞いたの。綺麗な女の人も一緒と聞いたんだけど、あっでも綺麗といっても所詮メス豚だからそこは履き違えないで掃き溜めみたいなものよ、知らない?」
兵士長「その男女ならば、先ほどまで、この半人半馬の魔物と戦っていた!」
傭兵5「別嬪さんは赤騎士にやられちまったよ…。男は少女と一緒に何処かに飛んでいった…」
剣士「あのバカはまた、女と一緒なの。どうしてアタシがこんなに追いかけてるのに遠くに行くのよ。もしメス豚に毒されたりしたら消毒しなきゃいけないじゃない。ずっとアタシのそばにいればいいのに」ブツブツ…
赤騎士「もういいだろう、小娘。我々は命を懸けた戦いをしようとしている。これ以上水を差すな」
剣士「…あのバカは、アナタと戦って、負けたのね」
赤騎士「……」
剣士「アナタを殺すわ許さないアイツを傷つけていいのはアタシだけアナタなんかにその資格はない命で償いなさい」チャキッ
赤騎士「…無礼者め! 万死に値する!」
赤騎士の『連続魔』!
『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
『天地崩壊』となった!
剣士は魔法を切り裂いた!
赤騎士「む!? ……『奇跡の腕輪』か!」
剣士の『会心の一撃』!
赤騎士の盾を切り裂いた!
赤騎士「チイッ…!」
剣士「まだまだ!」
剣士の『超・連続斬り』!
赤騎士「うおおおっ!」
赤騎士は辛うじて全ての斬撃を受け止めた!
赤騎士の『火炎斬り』!
剣士「ッッ!」
剣士は何とか躱した!
剣士の『疾風斬り』!
赤騎士「はあっ!」
赤騎士は剣で受け止めた!
赤騎士「…やるな!」
剣士「アンタもね!」
2人は距離を取って睨み合う!
・・・
赤騎士「はあはあ…! 喰らえい!」
赤騎士の『亜空切断』!
剣士の肩を掠めた!
剣士「ぐううぅ…!」
剣士の肩の肉が空間ごと削ぎ落とされた!
剣士「…いい加減、くたばりなさいっ!」
剣士の『会心の一撃』!
赤騎士「うがああっ!」
赤騎士を倒した!
赤騎士「…よもやこの私が、敗北するとは」
剣士「はあはあ…。よく、言うわ…アンタ、分身か何かでしょう?」
赤騎士「…そこまで見抜いているとは」
剣士「なんか、そんな気がしただけ」
赤騎士「…天才的な勘の持ち主だな。貴様の言う通り、私は本体の全力を出し切れない分身だ」
剣士「…本物はまさに化け物ね」
赤騎士「貴様も大概だがな。貴様からは、まるで魔物――魔王に似たものを感じるな」
剣士「ふん、勝手なことを言わないでよね」
赤騎士「…次に戦う時は全力でやらせてもらうぞ」
赤騎士の分身が消えた!
剣士「もっと強くならなきゃね…」
剣士「ん、なんか落ちてる?」
剣士は『閃光スカーフ』を手に入れた!
剣士は『祝福の指輪』を手に入れた!
剣士「…使えそうね。貰っておきますか」
剣士「しかし、アイツの足取りが掴めなくなっちゃったな…でも、この辺りにアイツの匂いがまだ残ってる…」クンカクンカクンカクンカクンカ…
西の国・オアシスの町
赤騎士「……」
黄竜「いやー、無血で占領できてよかったねー」
赤騎士「…ああ」
黄竜「どうかしたの?」
赤騎士「中央国南部に置いてきた分身が消えてしまった」
黄竜「…君が人間に負けたのー?」
赤騎士「おそらくは。…分身が負けたときは、前線の魔物に撤退の命令を下している」
黄竜「つまり?」
赤騎士「中央国南部の占領地は軒並み解放されるな」
黄竜「うへー。君の努力が無駄の泡じゃん」
赤騎士「この侵攻で亡くなった兵が浮かばれんな」
黄竜「たしかにねー。緑鬼は何してるんだか」
伝令魔物「赤騎士さま」パタパタッ
黄竜「……どうして伝令は赤騎士にだけ報告してくんだー」
赤騎士「お前が伝令の話を聞いてると寝るからだろう」
黄竜「……だって、まどろっこしいんだもーん。それで何だって」
赤騎士「現在の状況報告だ。緑鬼は内地に戻った。療養が終わり次第処罰が下される」
黄竜「そりゃーねぇ」
赤騎士「青魔導師は引き続き例の件に携わっている」
黄竜「青魔導師も心配だなあ。ドジばっかりするし」
赤騎士「私はあの子についてはあまり心配していない。部下に恵まれているしな」
黄竜「やっぱり娘は可愛いもの?」
赤騎士「まあ、否定すれば嘘になるな」
黄竜「子煩悩だー」
赤騎士「それ程でもないさ」
北の国・剣の山
勇者「なぜ、オークはこんなところに住んでるんだ?」
オーク「切った張ったの世界に飽きたのさ。ここらは険しすぎて人も寄り付かんから隠遁にはもってこいだ」
勇者「なるほどな。それじゃ、どうして俺たちを助けてくれたんだ?」
オーク「昔、行き倒れたとき、エルフの一族に助けてもらったのさ」
勇者「へえ、エルフたちが…」
オーク「彼らは心優しい種族だからな。そんなわけで、その借りを返そうと思ってな」
勇者「そういうことだったのか。だが、エルフの一族もほとんど滅びてしまったのは知ってたか?」
オーク「…なんだと?」
勇者「魔物の侵攻でエルフの森は焼き払われたらしい」
オーク「そうだったか…。嬢ちゃんには酷いことをしちまったな」
勇者「あの、緑鬼とかいう魔物は許せない」
オーク「緑鬼だと!?」
勇者「知ってるのか?」
オーク「あ、ああ。まあ、四天王だからな。緑鬼がエルフの森を…?」
勇者「ああ。俺も見たわけじゃないが」
オーク「…そうか」
勇者「緑鬼を知っているということは、赤騎士という魔物も知ってるか?」
オーク「もちろん。彼はとてつもなく強いな。彼より強いのは魔王さまくらいじゃないか」
勇者「…魔王は赤騎士より強いのか?」
オーク「なんと言っても、魔物を統べる者だからな」
勇者「…さすがは魔王といったところか」
勇者「他の四天王は?」
オーク「俺も魔物だからな。あまりそういった情報は口外したくないが」
勇者「それもそうか……」
オーク「まあ、話してもいい範囲だけ話そう」
勇者「頼む」
オーク「黄竜という魔物と青魔導師という者が残りの四天王だ」
勇者「黄竜、青魔導師」
オーク「ああ。黄竜は電撃攻撃や素早い攻撃を得意とするドラゴンで、青魔導師は青魔法を得意とする魔法使いだ」
勇者「青魔法?」
オーク「一般的な魔法とは一線を画す魔法だ。魔法も珍しいが、青魔法はもっと珍しいし、特異だ」
勇者「連続魔みたいなものか?」
オーク「連続魔とも違うな。連続魔は、魔法の頂点ともいうべき力だ。青魔法は、毛色の違う魔法」
勇者「普通の魔法から縦にずれるか横にずれるかといった感じか?」
オーク「そうとも言えるな」
勇者「うーん」
オーク「すまないが、これ以上は言えないな」
勇者「分かった、ありがとう」
オーク「俺も聞きたいことがある」
勇者「ん?」
オーク「その右腕だ」
勇者「これは、その…」
オーク「女神の力だろう? 魔王を倒すための」
勇者「まあ、一応…」
オーク「その右腕が、そんな形なのにはどういう意味があるんだ?」
勇者「その…女神が渡す力を間違えたらしい」
オーク「…難儀してるんだな」
勇者「ははは…」
数日後
オーク「麓の村までは少し遠いが、日没までには着くだろう」
勇者「うん。お世話になった」
エルフ「一カ月近くも本当にありがとう」
オーク「困った時はお互い様さ。険しいから気を付けて降りなよ」
勇者「うん。達者で」
エルフ「これから、どうするの?」
勇者「一度、村に降りて考えよう」
エルフ「なんだ、無計画だな」
勇者「取り敢えず情報を集めたいんだ。このまま南部に下ってもまた二の舞を踏むだけだし」
エルフ「それは確かに」
勇者「魔物たちは西国からも侵攻しているらしいし、そちらに対する情報も欲しい」
エルフ「魔王を倒すまで長い道のりになりそうだ」
北国・剣の山麓の村
勇者「何とか日没に間に合ったな」
エルフ「途中で魔物から色々とかっぱらってきたから、換金すればお金にも困らなそうだ」
勇者「手癖の悪さも役に立つもんだな」
エルフ「処世術だよ」
勇者「しかし、この顔と右腕を何とかしないと、村に入れないぞ」
エルフ「それじゃ、ここでお留守番だな」
勇者「おい」
エルフ「冗談。間に合わせだけど包帯を巻こう。今は、その、振動しないみたいだし…」
勇者「見苦しくて、ごめんな」
エルフ「仕方ないさ。問題は顔のヤツだな」
勇者「うーん、どうすればいいかな?」
エルフ「顔も包帯を巻けばいいんじゃないか?」
勇者「いや、さすがにおかしいだろ」
エルフ「そこは酷い怪我をしたということで。宿を取ったら引きこもってれば大丈夫だろ」
勇者「うーん…」
宿屋「…では、ごゆっくり」
エルフ「ほら、大丈夫だったでしょ?」フフン
勇者「めっちゃ、不審な目で見られたけどな」
エルフ「借りられたんだからいいじゃないか」
勇者「それはそうだが…」
・・・
エルフ「ふう…。温泉って素晴らしい」ホカホカ
勇者(…女の子の湯上り姿って色っぽいよなあ)
勇者(普段は色気なんてないのに、妙に意識してしまう)
エルフ「……?」
勇者(顔立ちはちょっと中性的で、あどけなさがあるけど、そのせいで女性的な亜麻色の綺麗な髪がより引き立てられているというか)
エルフ「な、なにジロジロ見てんだよ」
勇者(しかも湯上りで紅潮した頬がその童顔と相俟って不思議な妖艶さを演出していて…)
勇者「…可愛いな」ボソッ
エルフ「ば、バカ! 急に何言い出すんだよ……」
勇者「あ、こ、声に出してたか?」
エルフ「……」プイッ
勇者(う…恥ずかしい…)
エルフ「…温泉」チラッ
勇者「え?」
エルフ「今なら誰もいないから入ってきたらどうだ?」
勇者「あ、ああ。…そうするよ」
エルフ「きゅ、急に変なこと言いやがって、あいつめ…」
エルフ「か、可愛いか…」
翌日。
エルフ「じゃあ、おれが情報を集めてくるから大人しくしてろよ」カポッ
勇者「なあ、エルフであることを隠すのは分かるけど、どうして男のフリするんだ?」
エルフ「その方が都合いい…というかエルフの女とバレると最悪だからな…。これも処世術さ」
エルフは出かけていった!
勇者「…ふう、ここしばらくあいつがそばにいたから一人になると変な感じだな」
勇者「…処世術、か。あいつも大変なんだよな」
勇者「俺はあいつのために何ができるんだろう?」
勇者「取り敢えず今は大人しくしておくか」
エルフが帰ってきた!
勇者「ん、お帰り。どうだった?」
エルフ「中々興味深い情報が聞けた。新聞も買ってきたぞ」
勇者は新聞の見出しに目を通した!
勇者「…中央国南部を魔物から奪還した!?」
エルフ「ああ、世界中で大きなニュースとなっている」
勇者「中央国と魔国の海峡以南まで、魔物を撤退させた。……立役者は勇者の再来と思われるみめ麗しい処女(おとめ)」
エルフ「だってさ」
勇者「あ、赤騎士はどうしたんだ?」
エルフ「…侵攻部隊のリーダーは倒されたらしい」
勇者「この、みめ麗しい処女に? なんだか、きな臭いな」
エルフ「あの赤騎士を倒せるとしたら、魔法に対して、対抗手段を持ち、剣術で彼に劣らない戦士だろうな…」
勇者「あ、俺と同じ東国出身と書いてる。…いや、まさかな」
エルフ「あれ程の強者を一人で倒せる人間…そんなのがいるとは思えないが」
勇者「もしかしたら、魔物の作戦の一つだったりするかも…現時点では何とも言えないが」
エルフ「もっと情報が欲しいな」
勇者「ああ」
エルフ「まあ、でも明日は食糧の買い足しに行ってくる」
勇者「そうか…。洗濯から何から任せきりで本当にすまない」
エルフ「酷い怪我人という設定だから仕様がないさ。その分、野営時は任せた」
勇者「ああ」
エルフ「…しかし、その右腕だけでも、何とかならないのか?」
勇者「ん?」
エルフ「元の手に戻したりできないのか?」
勇者「何回か試してみたけど、無理だった」
勇者「……いや、でも待てよ。女神さまほどの変態の力だ」
勇者は包帯を解いて右腕を変化させた。
エルフ「お、普通の右腕になったな」
勇者「…いや、これは俺の腕じゃない。ほら、左右を比べてみろ」
エルフ「ん、確かに右腕の方が綺麗だ。細さと筋肉の均整がとても綺麗に取れている」
勇者「これも一応女神さまのエログッズだろうな」スッ
さわっ
勇者の右腕がエルフの耳を撫でた!
エルフ「んっ、な、何すんだ! ふぁっ…」
勇者「い、いや右腕が勝手に動いて!」
さわさわっ……
エルフ「や……ちょ、ちょっと……んんっ、ほんと、やだ! あんっ」
勇者「あわわ…」
むにむに……
エルフ「あっ……んっ……だ、だめ……やっ……そんな、とこっ」
ついー……
エルフ「ひうっ……!」
くちっ……
エルフ「そ、そこはぁ……やぁ……はぅ……ぁ…んっ…んんっ……ふっ……あぁ…っ!」
さすさすっ……
エルフ「あんっ……つよく…ひゃっ……ぁぁ……しひゃ……」ビクビク
きゅっきゅっ
エルフ「ひゃあっ……んんっ……んあっ!!」ビクビクンッ
勇者「」
エルフ「はぁ…はぁ……」ぐてっ
・・・
エルフ「…この辺で許してやる」
勇者「はひっ、ふみまへんへしは……」ボロボロ
エルフ「…この淫獣」
勇者「うう、女神さまの力のせいなのに…」
エルフ「なに?」ぎろっ
勇者「なんでもないです」
エルフ「……」
勇者「……」
エルフ「…せ」
勇者「せ?」
エルフ「責任、とれよ」
勇者「せ、責任…? どうやって? 」
エルフ「…今のは撤回だ。誰がお前なんかに…」
勇者「あ、はい。…良かった」
エルフ「……」むかっ
エルフ「『電撃魔法・中』!」
勇者「あばばばば」
翌日。
毎度ありー
エルフ「さて、必要なのはこんなものか」
娘「…まったく、この私が使い走りをするなんて」
ガッ
娘「きゃあっ!?」ドテッ
エルフ(何もないところでコケてる…)
娘「うっ、うっ……痛いですわ」
エルフ「あー、お嬢さん。大丈夫? 荷物が散らかってるよ」ヒョイヒョイッ
娘「あら、坊や。ご親切にどうも」
エルフ「……?」ヒョイヒョイッ
娘「…まったく、どうして私がお使いをしなくてはいけないのかしら」ブツブツ
エルフ「それでは、失礼」
娘「助かりましたわ。御機嫌よう」
エルフ「あの女から魔力を感じた。…尾けてみるか」
村から南の森。
エルフ(随分と村から離れたところまで来たわね)
娘「うう……痛いですわ……」
エルフ(というか、さっきから何回コケてるの。見てるこっちが冷や冷やするわ…)
娘「はあ…疲れましたわ」トボトボ…
エルフ(…やっと目的地に着いたのみたい)
猫娘「随分と遅かったですニャ。また道に迷いましたかニャ?」
娘「失礼な! まっすぐ来れましたわ! …帰りは」
淫魔「相変わらずですね。そういうところも可愛いんですけど。ふふ、食べちゃいたい」ペロッ
娘「……」ぞぞっ…
淫魔「…ふふ、怯えてる顔も可愛い」
娘「とにかく疲れましたわ。四天王ともあろう私を使い走りにするなんてなんて酷い部下たちなんでしょう」
淫魔「だって、それが一番怪しまれませんからねぇ」
娘「あなたも人間とほとんど変わりないと思いますけれど」
猫娘「淫魔に任せたら村中の女の子を堕とすまで帰ってこニャくなりますから」
淫魔「うふふ……」
娘「だからって……!」
猫娘「分かりましたから早く、中に入りましょうニャ」
エルフ(…こんなところに相応しくない実力の魔物たちね。しかも、四天王?)
エルフ(…とりあえず帰って、あのヘタレに伝えよう)
ゴッ
エルフ「…っ!?」くらっ…
バタッ
蜘蛛娘「尾けられたのね。やっぱり抜けてるわねえ」
骨娘「殺しちゃうべきカシラ?」
蜘蛛娘「まずは下に連れて行きましょう」
勇者「……遅いな」
勇者「もう日が暮れたぞ。何してるんだ?」
勇者「…………」
勇者「探しに行くか」
・・・
勇者「すみません」
商人「もう店仕舞いだよ」
勇者「いや、買い物じゃないです。ええと、帽子を被った少年が買物しにしませんでしたか?」
商人「ああ、来たね。旅の途中みたいだったな。連れ合いかい?」
勇者「その後、どこに向かったか分かりませんか?」
商人「さすがに知らねえな。……そういや、そのお客の後に尾行するような感じだったかもな。気のせいかもしれねえが」
勇者「そうですか」
商人「んん、暗くて見えなかったが、アンタそんなに包帯を巻いてケガでもしてんのか?」
勇者「い、いえ。ありがとうございました」
勇者はそそくさとその場を後にした!
勇者は更に聞き込みを続けた!
しかし有力な情報を得られなかった!
勇者は一旦宿に帰った!
エルフはまだ帰っていなかった!
勇者「…嫌な予感がするな」
勇者は更に聞き込みを続けた!
村人「ああ、南の方の森に向かっていくのを見たな。最近あそこらへんは魔物がよく出没するんだよな」
勇者は村の南に向かった!
勇者(…無事でいてくれよ)
・・・
勇者「…ん? 小屋か?」
ヒュッ!
勇者「っ!?」
勇者は背後からの攻撃を何とか躱した!
蜘蛛娘「あら、ニンゲンのくせにやるわね」
骨娘「ニンゲンは皆殺しヨ」
勇者「…この辺りの魔物にしては強そうだな」
蜘蛛娘「んふふ、勘が鋭いわね」
勇者「…この小屋に何かあるのか?」
蜘蛛娘「さあね。アナタが知る必要はないわ」
骨娘「ここで死ぬんだからネ」
勇者「人探しをしてるのに面倒だな」
蜘蛛娘「んふふ、もしかしてエルフの娘さんかしら?」
勇者「…彼女をどうしたんだ?」
骨娘「それも知る必要ないワ」バキバキバキ……
勇者「女の魔物には負ける気がしないな」
エルフ「……ん」
淫魔「あら、お嬢さんのお目覚めよ」
エルフ「……ぐっ!」ガシャッ
エルフは鎖に繋がれている!
娘「あなたは何者ですの? どうして私の後を追ってきましたの?」
猫娘「まったく、尾けられるなんて爪が甘いですニャア」
娘「だ、黙らっしゃい!」
淫魔「質問に答えてちょうだい。回答次第ではあなたの処遇も変わるわよ」
花娘「現段階だと、処刑……」
エルフ「…おれは、エルフ族の生き残りだ」
鳥娘「エルフ族って緑鬼に滅ぼされたんだよね? かわいそう!」
屍娘「あうー」
淫魔「どうして、ここまで追ってきたのかしら?」
エルフ「…魔力を持つ者が、ここにいるのは怪しいと思ったからだ」
猫娘「それはたしかに」
花娘「魔力を感知できるなら、魔法も使える……?」
鳥娘「魔法が使えるなら、ボクたちに協力してくれないかな?」
エルフ「……」
娘「『絶対にいや。わたしは魔物を許さない。緑鬼ふくめて根絶やしにしてやる』」
エルフ「!?」
花娘「驚いてる…」クスクス
娘「私、他人の心の中が読めますの。あなたの心の中は、すでに全部読み取りずみですわ」
淫魔「さっきまでのは、ちょっとした戯れよ。うふふ、案外素直なのね」
エルフ「っ!」キッ
青魔「動揺を怒りで誤魔化そうとしても、私には全て筒抜けですわ」
エルフ「…あの間抜けた行いの数々も欺くためか」
淫魔「あ、それは素なのよね」
娘「え、演技ですわ! わ、わたくしは名女優なのですわ!」
エルフ「……」
娘「そこ! 私に対する心象を改めないでくださる!?」
猫娘「あのー…提案ニャのですが、この長い長いモグラ生活の成果である『古代魔法』を試しませんか?」
娘「うふふ、そうですわね。あと、不満は私に向けられても困りますわ」
エルフ「な、なにをするつもりだ」
娘「うふふ…ちょっとした実験ですわ」
娘「古代魔法『憎悪極限化』!」
エルフ「……っ!」ドクッ
――「2人だけでも生き延びて……!」
やだよ、お母さん……!
――「うう、お姉ちゃん……」
ねえ、起きて……起きてよ!
――「ひゃあっはっはっは!! おら、もっといい声で泣け!」
許さない……殺す……殺すっ!!
――「おい、エルフのメスだぜ。捕まえれば高値で売れるぜ」
人間も、最低だ……!
誰か助けてよ!
どうして誰も助けてくれないの……!
……みんな、みんな殺してやる!! 殺してやるんだから!!
蜘蛛娘「くっ、このワタシがニンゲンに遅れを取るなんて……あぁっ……んん……あひっ!」ビクビクッ
骨娘「ア……ン……ンン……ファ……ンアアアッ!」ビクビクンッ
勇者「エルフの居所を吐いてもらおうか。そしてお前たちのことも」
蜘蛛娘「ぜ、絶対に話さないわ……っ」
勇者「抵抗するなら……」
勇者は右腕の力を更に強くした!
蜘蛛娘「あひいいぃぃぃ!!」
勇者は右腕の力を更に強くした!
蜘蛛娘「んほおぉぉぉぉ!!」
勇者「これでもまだ話さないか?」
蜘蛛娘「は、話すからあぁぁぁ! もういやああぁぁぁぁ!」
骨娘「」ピクピク
・・・
勇者「……こんなボロい小屋に隠し階段があるなんてなぁ」コツン…コツン…
勇者「おっ、扉だ」
勇者は扉を開けた!
娘「うふふ、来ましたわね勇者、女神に選ばれし人間」
勇者「……」
娘「うふふ、私は四天王が一柱、青魔導師ですわ」
勇者「……上にいた魔物から話は聞いた。ここは古代文明の遺跡らしいな」
青魔「ええ、その通り。そして私は古代魔法を解明するために此処に来たのですわ」
猫娘「ここまで来たということは、見張りたちを倒したということだニャ」
青魔「私の大切な部下を傷付けた報い、受けて貰いますわ!」
勇者「お前こそ、俺の仲間を返せ!」
青魔「うふふ、それは貴方しだいですわ」
「『火炎魔法・大』」
勇者「っ!?」
勇者は右腕で魔法を防いだ!
勇者「…どうしたんだ、その姿は」
「憎しみに心を堕としたエルフは闇の力を得るのよ」
ダークエルフ「勇者…憎むべきニンゲン…」
勇者「どういうことだよ…」
ダークエルフ「わたしが断罪するわ」
ダークエルフの『電撃魔法・大』!
勇者は辛うじて防ぐ!
勇者「青魔導師! 彼女に何をした!」
青魔「少し古代魔法をかけただけですわ。見た目まで変わったのは想定外でしたけれどね」
勇者「古代魔法だと?」
青魔「かつての魔大戦で失われた魔法ですわ。心や感情、記憶を意のままにできる恐ろしき魔法」
ダークエルフの攻撃!
勇者「…しまっ!? ぐううぅっ!」
ダークエルフ「青魔導師さまはわたしを楽にしてくれた。わたしは、やっとわたしらしくなれたの」
青魔「うふふ、ダークエルフ、その憎らしい男を殺してしまいなさい!」
ダークエルフの攻撃!
勇者「ぐっ……」
ダークエルフ「――わたしは、臆病者だった」
ダークエルフの攻撃!
勇者「ううっ……」
ダークエルフ「憎悪を抱えているのに、復讐したいのに、殺すことをずっと躊躇っていた」
ダークエルフの攻撃!
勇者「ごふっ……!」
ダークエルフ「けれど、憎しみが最大にまで達したとき、悟ったの」
ダークエルフの痛恨の一撃!
勇者「ぅ……」
ダークエルフ「この憎しみに身を委ねれば、わたしは強くなれる。そして復讐することができると」
ダークエルフの止めの一撃!
勇者は左腕で受け止めた!
左腕が折れた!
ダークエルフ「……!」
勇者「――違うよ」
ダークエルフの一撃!
勇者「かひゅっ…!」
ダークエルフ「……」
勇者「君は、臆病者…なんかじゃ、ない」
ダークエルフ「……」
勇者「強いから、憎しみに、染まらなかったんだ」
ダークエルフ「……」
勇者「……俺は強い君に勇気を貰った。だから、また、立ち上がれたんだ」
ダークエルフ「…うるさい」
青魔(心に揺らぎが…?)
勇者「俺はまだまだ弱いままだ。それでも君を信じたい」
ダークエルフ「うるさいっ!! あなたに何が分かるのっ!? 」
勇者「君が優しくて強い人だということは知ってるさ」
ダークエルフの『凍結魔法・大』!
勇者の下半身が凍りつく!
勇者「ぐっ……うぅ……」
ダークエルフ「氷漬けになって死になさい!」
勇者「……君を、信じる…よ」
勇者は完全に凍り付いた!
ダークエルフ「……」
青魔「…さあ、ダークエルフ! 勇者を粉々に砕きなさい!」
ダークエルフ「…………ほんと、バカだな、お前は」
ダークエルフは『火炎魔法・中』を唱えた!
勇者の体が氷解していく!
青魔「なっ!?」
ダークエルフ「『わたし』の邪魔をしないでっ! 臆病者は眠ってなさい!」
ダークエルフ「憎しみのままに行動するのが勇敢なわけないだろ!」
ダークエルフ「『わたし』こそが本当のわたしなの! 強がってる子どもは引っ込みなさい!」
ダークエルフ「強がることもできない『わたし』が一番臆病だろうが! 強がることもできない甘えん坊が『おれ』の体を使ってるんじゃない!」
ダークエルフ「――あああああああぁぁぁぁぁッッッ!!」
ダークエルフは辺り構わず魔法を乱発した!
淫魔「くっ、暴走しているわね!」
猫娘「相変わらず、青魔導師さまは爪が甘いですニャア」
青魔「わ、私の古代魔法は完璧だったはずですわ!」
花娘「きゃあっ……!」
鳥娘「うわああぁぁぁ!」
ダークエルフ「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
猫娘「ニャアアァ…!」
淫魔「ああぁ…」
ダークエルフは『火炎魔法・極』を放った!
青魔「くっ!」
青魔導師は『泡沫の吐息』を放った!
火炎を打ち消した!
ダークエルフは力の使い過ぎで倒れた!
青魔「みなさん、ご無事!?」
返事は返ってこなかった……
青魔「…ゆ、許せないですわ! よ、よくも…!」
勇者「それは、こっちの話だ」
青魔「…そんな瀕死の体でまだ立ち上がりますの?」
勇者「負けるわけには、いかないんだ」ググッ
青魔(……! なんて真っ直ぐな心なんですの!?)
青魔「…それはこちらも同じですわ!」
青魔導師は『旋風魔法・大』を放った!
勇者「……ぅ」
勇者の脆くなっていた下半身が砕け散った!
辺り一面に夥しい血が溢れた!
青魔「強がっても、もう棺桶入り間近ですわね!」
勇者(俺が、死んだら、エルフも……)
勇者(……もう、喪うのは、いやだ…)
勇者(どんな力だろうが、強い力だっていうなら……)
勇者「俺に、チカラを、よこしやがれエエェェ!」
勇者の魂が、女神の力と同化する!
勇者「ウオおオオオオォォぉォォッッ!!」
ボコボコボコボコッ……!
青魔「なっ、ケガが治ったですって!?」
勇者?「…………ふん」
青魔(こ、心が読めないですわ…!?)
勇者?「小僧のやつ、力に食われやがったか」
勇者?「完全に同化できて、『右腕』だけという不完全な表出が治ったのは良かったんだがな」
勇者?「まあ、後は全て俺に任せてお寝んねしてな」ヒュッ
勇者?の放った紐が、青魔導師を拘束する!
青魔「きゃあっ!?」
勇者「顔の焼印も消すか。俺の責任みたいなものだったしな」シュウウウ…
青魔「は、離しなさい! 私に、な、なにをするんですの!」
勇者?「心配しないでくれ。君を快楽漬けにするだけさ」
青魔「心配しかありませんわ!」
勇者「すぐに君は俺が好きになるさ。エロに関しては世界一だからね、俺は」
青魔「なっ!? は、恥を知りなさい!」
勇者?「精々強がってくれ。その方がやり甲斐があるというものさ」
青魔「か、快楽なんかに負けたりいたしません!」
勇者?「いいね、その言葉」
・・・
青魔「あっ、あひっ……!」
勇者?「指でされるのは気持ちいい?」クチュクチュ
青魔「こ、このていど、んっ…なんとも……」ビクッ
勇者?「ちなみにこんなこともできる」ブゥゥゥン…
青魔「ひんっ…し、振動して……!」
・・・
勇者?「もう下の口はぐじゃぐじゃだな。肘までベトベトだ」ニッチャニッチャ…
青魔「あっ、ああ……ん、ん……」グタッ
勇者?「……」
ズニュウッ
青魔「んほおぉぉっ!?」
青魔(そ、そんな……このような男に……)ポロポロ…
勇者?「泣くほど悔しい? でもさ……」
青魔「んひっ、んくっ、んあっ、あっ、あっ、あっ……!」
勇者?「とっても、だらしない顔してるよ」
青魔(く、悔しいのに、どうしてこんなに……気持ちいいんですの?)
勇者?「俺は痛みを快楽に変えることもできるからね。処女でも気持ちいいままだろう?」
青魔「あっ、んはっ……」
勇者?「ほら、もっと乱れなよ」チュッ
青魔「んむっ!? …んんっ……んっ…ふ…ん……はふ」
ちゅっ、ちぐっ、くちゅ、れろ…
青魔「ふぁ…ぁ…」とろん…
勇者?「可愛いね」なでなで
青魔「ふにゃぁ…」
ズンッ
青魔「んあっ……!」ビクゥッ
勇者?「少し激しくするよ」
ズッ、ズッ、ズッ……
青魔「んあっ…まっ、まってぇ、こわい、怖いぃ……」
勇者?「大丈夫だよ。ほら、捕まって」
青魔「あうぅ…」ぎゅー
青魔(もう、頭の中、まっしろですわ…すべて、忘れてしまいそう)
ヌッチュ、ヌチュ、ヌプ、ズリュッ……
青魔「んっ、んんっ、んはっ、あんっ!」
勇者?「はは、腰が動いてるよ。優秀だね」
青魔「……っ!? うぅ…」
勇者?「そのまま乱れてなよ。その方がもっと気持ちよくなれるよ」
青魔「もう、いやぁ…いやですわ……」ひっくひっく…
勇者?「大丈夫だって」チュウッ
青魔「んっ、んむ、あぅ……」
青魔(こんなの、ダメですのに……そう思えば思うほど、気持ちいいですわ……っ)
ヌプッヌプッヌプッヌプッ……
勇者?「そろそろ出すよ。一緒にイこうか」
青魔「は、はひぃ…」
青魔(もう……このまま……)
パンッパンッパンッパンッパンッ……!
勇者?「……イくぞ!」ビュルビュルッ
青魔「あっ、あっあっあっ……!」
青魔(す、すごいですわ…! あたたかくて、気持ちいい……)
ビューッビューッッ!
青魔(ああ……もうダメ)
勇者?「…はは、堕ちたな」
青魔「は、はいぃ…! もう、身も心も堕とされましたわ……好き、好きですわ、勇者さま」ちゅっ、ちゅうっ…
勇者?「ふふ……」ナデナデ
勇者?「まだまだ、終わりじゃないぜ」
青魔「……え?」
・・・
青魔導師が仲間になった!
勇者「ふう…こんなもんか」
エルフ「……」すーすー
青魔「勇者さまぁ、好きぃ……」すやすや
勇者?「さてと、こいつらを連れて帰らないとな」
ドクンッ
勇者?「…ふん、小僧め。思っていたよりしぶといな」
勇者?「俺はもうお役御免ってか? 別にいいけどよ」
勇者?「困ったら、また代わってやるよ。…それが嫌なら、強くなりな。俺を感心させるくらいな」
勇者?「じゃあな」
勇者「…………」
勇者「これじゃ、助けられてるのと何も変わらないじゃないか」
勇者「……強くならなければ、もっと、もっと。」
勇者「この力も信じられるようになれるくらい」
「フォフォフォ、悩める少年よ、思春期だのう!」
勇者「なっ、誰だ!?」
「ワシじゃよ、ワシ。って分かるわけないのう! フォフォフォ!」
勇者「どこにいる!?」
「ここじゃ、ここ」
勇者は金属の箱を見つけた!
勇者「この中か……?」
勇者は恐る恐る箱を開けた!
中には何もなかった!
「フォフォフォ、この箱がワシじゃよ」
箱は老人に変化した!
「フォフォフォ、お主が勇者に選ばれた者じゃな」
勇者「あ、ああ」
「フォフォフォ、間違いなくかつての勇者よりも弱いのう!」
勇者「な……!」
「かつての勇者はその時代で一番の実力者じゃったがなぁ」
勇者「……」
「しかし、お主は一目で分かる凡人じゃ。およそ、女神さまが手違いを起こしたんじゃろうな」
勇者「……あんた、何者だ?」
「女神さまの力の具現化した存在――勇者の従者じゃゾイ」
勇者「従者?」
従者「左様。勇者の戦闘から生活までをサポートするのがワシの務めだゾイ」
勇者「…なぜここに?」
従者「…如何せん、先の魔王との戦いが熾烈を極めたからのう」
勇者「…1000年前の人魔大戦争か」
従者「うむ。ワシにとっては、つい昨日のことのようじゃが、そんなに時が経ったか」
勇者「…本当にそんな戦いが存在していたんだな」
従者「1000年も経てばそう疑われても仕様がないのう」
勇者「……」
従者「まあ、詳しい話はおいおいしようゾイ。今はそこの娘さんたちを何とかしてやるのが先決だゾイ」
勇者「それもそうだな。…二人を連れて行くのはキツいけど何とかなるかな」
従者「フォフォフォ、ワシの力を見せてやるゾイ!」
従者は勇者の身を包む強化服となった!
勇者「うおお?」
『これで楽に運べるゾイ』
勇者「すげえっ、爺さん、やるなあ」
『当然じゃゾイ!』
従者が仲間になった!
――中央国・王都
「うおー! 勇者さまー!」
「勇者さまー! 魔王を倒してくれー!」
剣士「…なんでパレードなんかやらなくちゃいけないのよ。しかも国を挙げて」
中央大臣「勇者さまは国に大きな貢献をした英雄ですから」
剣士「大したことしてないわよ」
中央大臣「謙遜なさらないでくだされ」
剣士「別に謙遜してるつもりはないんだけどね」
「…ん、おい!」
「なっ…あれは何だ!?」
上空から巨大な魔物が襲来した!
病魔「ゴハハハ! 小娘! 老龍と死の鳥を倒すとは、やるじゃないか」
剣士「…はあ」
病魔「四苦王も残り二柱となったが、その快進撃も終わりだ!」
剣士「アタシと戦うというのね?」チャキッ
病魔「ゴハハハ! 違う! お前を一方的に殺す! 俺は一瞬でこの王都の全人間を不治にすることができる」
剣士「王都全員を人質にするってわけ?」
病魔「ゴハハハ! そういうことだ!」
剣士「…一瞬で、ね」
剣士の『神速斬り』!
病魔を倒した!
剣士「一瞬より速ければいい話じゃないの」カチンッ
中央大臣(いつの間にか魔物の首が飛んでるんだが…)
剣士「ん、何か落としたわね」
剣士は『武神の籠手』を手に入れた!
剣士は『女神のオーブ』を手に入れた!
剣士「…籠手は有用そうだけど、オーブは魔法に関するもののようね」
剣士「魔法なんて使えないから、意味ないわ」
剣士「…………」
剣士「ねえ、大臣さん」
中央大臣「あ、は、はい」
剣士「アタシ、魔法を習得したいんだけど」
西国・砂漠の村。
赤騎士「食料に乏しくなってきたな」
黄竜「生産的にも運搬的にも食料の供給が制約されるからねー」
赤騎士「これ以上侵攻の速度を上げるのは無理だな」
黄竜「兵にも結構、無理を強いてるからねー。君がいるから、ギリギリ統率ができてるようなものさ」
赤騎士「…早くあの四苦王を見つけなければな」
黄竜「同じ魔物なんだからもっと積極的に協力してくれてもいいのにねー」
赤騎士「言っても始まらないさ」
――宿屋。
エルフ「……ん」パチッ
勇者「ああ、起きたか。良かった」
エルフ「ここは? …何してたんだっけ?」
青魔「勇者さま! 大変ですわ!」
エルフ「…きさまっ! よくもっ、やってくれたな!」ズズズ…
青魔「な、なんですの! 貴方こそ、私の部下たちを殺したくせに…!」
勇者「取り敢えず、二人とも落ち着いてくれ」
従者「フォフォフォ、血みどろの抗争劇が始まるかのう」
ダークエルフ「人を侮辱して、許さないわ!」
青魔「それは、私のセリフですわ!」
従者「フォフォフォ! 譲れぬ戦いがここにあるのう!」
勇者「二人とも、もうやめろって! 爺さんも煽るな!」
・・・
エルフ「……なんでこの魔物が宿屋にいるんだよ?」ムスッ
勇者「それはだな…」
青魔「私は勇者さまに、身も心も委ねたのですわ」ポッ
エルフ「……」じとー
勇者「ま、まあ、色々と事情があってだな…」
従者「わしも見ておったが、凄かったゾイ。あんなエロテクは見たことがないゾイ」
エルフ「ふーん…」じとー
勇者「な、なんだよ」
エルフ「…エロ猿」ボソッ
勇者「おいっ!」
青魔「私、勇者さまに愛してさえいただけるなら、もう何も要りませんわ」ぎゅー
勇者「ちょ、ちょっと、あまりくっつかないで」
エルフ「……」イライラ
従者「ひゃー、修羅場だゾイ!」ワクワク
勇者「あー、もう!! 話が進まねえんだよっ!!」
・・・
勇者「状況を整理しよう。まずは青魔導師」
青魔「はい」
勇者「君が、どうしてこの土地にいたのか、もう一度説明してくれ」
青魔「私たちは、人間を効率よく征服するための手段を求めて、この地を調査していたのですわ」
従者「この辺りは、かつて魔法に優れた都市であったしのう…」
勇者「確かに、王族とか権力者が操られたりすれば、人間側は瓦解してしまうな」
青魔「ええ、私たちはかつての歴史を基に、古代魔法について調査していたのですわ。そして再現に成功したのです」
エルフ「ふん…」
勇者「君以外に古代魔法を使える魔物はいるのか?」
青魔「いいえ、おりませんわ」
従者「取り敢えず、お嬢ちゃんが手元にいる間は古代魔法は脅威にはならんのう」
エルフ「ふん、いつ寝返るか分かったもんじゃない」
青魔「……」ムカッ
勇者(辛い…)
エルフ「だいたい、こいつは心が読めるんだ。そんな奴と一緒にいられるか」
青魔「まあ、貴方みたいに言動と心情が合致しない方は特にそうでしょうね」
エルフ「誰だって嫌に決まってるだろ!」
勇者「…初耳だな。心が読めるのか?」
青魔「え、ええ。まあ…」
勇者(…何か嫌な気持ちにしてしまうようなことを考えてなかったよな? …人の心を読むなんて辛いことの方が多いよな)
青魔「……!」キュンっ
青魔「勇者さま! そんな優しいところも好きですわ!」ぎゅうー
勇者「ちょ、ちょっと…」
ダークエルフ「……」
勇者「憎しみに染まるのやめて!」
・・・
勇者「つ、次にこの爺さんについてだ」
従者「ワシは勇者に見初められた哀れなジジイじゃ」ポッ
勇者「おいこら、ジジイ」
青魔「そんな! 私というものがありながら…」よよよ…
エルフ「節操なし」じとー
勇者「お前らも一々間に受けるな!」
従者「ワシはかつての勇者を支えるために生み出された者じゃ」
エルフ「かつての…って、あの伝説の勇者か?」
従者「うむ」
エルフ「それは心強いな」
従者「しかし、魔王は以前よりも力を増しているようじゃ。ワシには分かる」
勇者「……」
従者「片やこちらは以前よりも遥かにます勇者。参ってしまうのう」
勇者「うっ…」
従者「じゃからこそ、ワシの出番じゃ! ワシは、勇者の力になるため、様々な姿に変身できるゾイ!」
青魔「変身?」
従者「強化服、盾、弓、刀…スプーンからパンツまで網羅してるゾイ!」
勇者「パンツとかスプーンはちょっと…」
青魔「勇者さまが汚れてしまいますわ!」
従者「失敬じゃのう! フォフォフォ!」
勇者「…そういえば、青魔導師」
青魔「はい?」
勇者「さっき、『大変だ』とか言ってなかったか?」
青魔「…ああ、いけない! そうですわ! 魔物の群れが村に攻めてきたのですわ!」
エルフ「…もっと早く言えよ!」
村の北端。
村人A「魔物の群れが出たぞー!」
魔犬A「ニンゲンを喰い殺せ!」
魔犬B「まずはこの村から滅ぼしてやる!」
魔犬C「いつまでもニンゲンの自由にさせてたまるか!」
村の西端。
村人B「きゃあぁ! 魔物よー!」
小鬼A「女を犯せー!」
小鬼B「男を殺せー!」
小鬼C「魔物こそ最強!」
村の南端。
村人C「ここにも魔物だー! 逃げろー!」
グールA「ナカマ、フヤス」
グールB「ナカマ、ナカマ」
グールC「ミンナ、トモダチニナル」
村の東端。
村人C「やばい! 村が囲まれてるぞ!」
大魔猿「ウキャキャ! あのブタもいなくなったし、オレサマの天下だ!」
大魔猿「いけ子分たち! !」
魔猿A「ウキャキャ!」
魔猿B「キキー!」
村の中央。
勇者「手分けして倒すぞ!」
従者「ワシは勇者の支援じゃ」
エルフ「一箇所、隙ができるぞ!」
青魔「殲滅させしだい、駆けつけましょう!」
村の南。
グールD「ナカマ、ナカマ」
グールE「トモダチ」
グールF「トモダチ、フエレバ、シアワセ」
グールG「シアワセ、シアワセ」
エルフ「『火炎魔法・大』!」
強力な火炎がグールたちを舐め上げる!
グールH「アツイ」
グールI「シンジャウ」
グールJ「モウ、シンデルヨ」
グールK「ソウダッタ」
エルフ「ああ、もう! あのヘタレも、あの女も意味が分からない!」
エルフは『火炎魔法・大』を放った!
グールL「ヒドイ」
グールM「デモ、トモダチ」
グールN「トモダチ」
グールO「ミンナ、トモダチ」
グールP「トモダチ」
エルフ「うるさい! さっさと成仏しろ!」
村の北。
魔犬C「ちっ、ニンゲンたちめ! 避難するのが早いな!」
魔犬D「追い込めばいい話だ!」
魔犬E「どうせ、ニンゲンごときでは我らには敵わん!」
青魔「あらあら、結構な数ですのね」
魔犬F「ニンゲンだ!」
魔犬G「喰い殺せ!」
青魔「可哀そうなワンちゃんたち。実力の違いが分からないのね」
青魔導師は『針千本』を放った!
魔犬たちの全身を数多の針が突き刺す!
青魔「愛する人のためなの。悪く思わないでくださいな」
村の西。
従者「ところで、お主は、エロ以外に何が得意なんじゃ?」
勇者「別にエロが得意なわけでもない! ずっと村の道場で、剣術の指導を受けてきた!」
従者「それじゃあ、竹刀になるかのう」ミキミキ……
勇者「竹刀かよ! そこは本物の剣になれよ!」
『殺傷能力は高いゾイ。因みに剣の腕前は?』
勇者「一応、道場ではニ番目に強かった」
『村の道場で二番手かい! パッとしないのう…』
勇者「うるさいな! 先輩が異常に強かったんだよ!」
『…まさか、一番に一度も勝ったことがないとか?』
勇者「…だっ、だって、あの人ほんとに強かったんだって! 先輩なら龍とかを倒してもおかしくないぜ!」
『大袈裟な。かつての勇者じゃあるまいし…』
勇者「…そんなことより、今は目先の敵だ!」
『小鬼の群れに連携を取られると厄介じゃゾイ』
勇者「まずは撹乱する」
勇者は左腕をバイブに変えた!
勇者「くらえっ! うっ…」ビュルビュルッ
バイブから大量の白濁ローションが放たれた!
小鬼D「うげえ! 何だこれ!?7
小鬼E「すげえヌルヌルしてキモい!」
勇者「それはな…猛毒だ!」
小鬼F「な、なんだってー!?」
小鬼G「毒だと!? 死にたくない!」
小鬼たちはうろたえている!
何匹か転んだ!
勇者(よし今の内に!)ミキミキ…
勇者は転んだ小鬼たちの頭を竹刀で思い切りカチ割っていく!
小鬼H「ひいいっ! 逃げろ!」
小鬼I「オレたちじゃ、ニンゲンに敵わないんだぁ!」
小鬼たちは逃げ出した!
『うーん、醜い戦法じゃのう』
勇者「殺し合いに綺麗も汚いもないだろ! それより、早く東に向かうぞ!」
従者は強化服に変化した!
『お主、中々戦闘に向いとるな』
何匹か転んだ!
勇者(よし今の内に!)ミキミキ…
勇者は転んだ小鬼たちの頭を竹刀で思い切りカチ割っていく!
小鬼H「ひいいっ! 逃げろ!」
小鬼I「オレたちじゃ、ニンゲンに敵わないんだぁ!」
小鬼たちは逃げ出した!
『うーん、醜い戦法じゃのう』
勇者「殺し合いに綺麗も汚いもないだろ! それより、早く東に向かうぞ!」
従者は強化服に変化した!
『お主、中々戦闘に向いとるな』
村の中央付近。
村人E「うう…つよい……」
大魔猿「ウキャキャ! もう戦えるヤツはいないのかよ!」
魔猿D「ウッキー!」
大魔猿「あっちにニンゲンたちが隠れてるのか! ウキャキャ! 皆殺しだ!」
エルフ「そうはさせない!」
大魔猿「ああん? 小便くさそうなガキだな」
エルフ「お前みたいな魔物は絶対に許さない!」
エルフは魔法を唱える!
大魔猿「む! こいつ、魔法を使うぞ! 糞投げだ!」
魔猿’s『ウッキー!』
エルフ「うわっ!?」
エルフは何とか回避した!
魔法の詠唱が中断された!
大魔猿「そのまま、休む暇なく攻め立てろ!」
魔猿E「キキーッ!」
エルフ「くっ!」
勇者「だああっ!」
大魔猿「なに!?」
勇者の体当たり!
大魔猿には当たらなかった!
魔猿’『ウキキッ!?』
魔猿たちは動揺した!
エルフ「『電撃魔法・大』!」
魔猿F「アキャキャッ!?」ビリビリッ
大魔猿「動揺すんな! こいつは俺がやる! お前らはあっちだ!」
魔猿G「ウキーッ!」
大魔猿「そうだ! 魔法を使わせるなよ!」
『フォフォフォ、中々指導力のあるボスじゃの』
勇者は右腕をムチに変えた!
勇者「所詮はお山の大将だろ」
勇者の攻撃!
大魔猿「おっと!」
大魔猿には当たらなかった!
勇者の攻撃!
大魔猿「くっ!」
大魔猿には当たらなかった!
大魔猿(くそっ! 躱せるが、反撃する隙がねえ!)
大魔猿「そんなん喰らわねえよ! 悔しけりゃ当ててみな! ウキャキャ!」
『安い挑発じゃのう』
勇者の攻撃!
大魔猿には当たらなかった!
大魔猿「ちっ、乗らねえか!」
勇者「…もう調整はいいか」
魔猿「あん?」
勇者「青魔導師!」
青魔「準備は万端ですわ!」
青魔導師は『針千本』を放った!
大魔猿「ギャアアアァ!!」
魔猿’s『ウキャキャッ!?』
魔猿の群れを倒した!
勇者の攻撃!
大魔猿「ガアアッ……」
大魔猿を倒した!
残りの魔猿たちは逃げ出した!
エルフ「逃がすか!」
エルフの『電撃魔法・大』
残りの魔猿を倒した!
勇者「ふう…。みんなありがとう」
青魔「いえ。ただ、待ち伏せて急襲しようという作戦なのに、飛び出ていくから驚きましたわ」
勇者「いや、エルフが危なかったから」
エルフ「別に危なくなんてなかった!」
勇者「どうして不機嫌なんだ?」
エルフ「別に」ぷいっ
1: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:19:20 ID:wvQYgvAI
――――うしゃ…。勇者よ…。私の声が聞こえますか。
女神「私は女神です。この世界を創造したもの…」
女神「かつて封印された滅びの神が、再び甦ろうとしています」
女神「滅びの神が復活すれば、全ての生き物は死に絶えるでしょう…。復活を止めなければいけません…」
女神「その為には、滅びの神の創り出した、魔物の王を倒さなければいけません…」
女神「勇者よ…魔王を倒しなさい…。かつて、伝説の勇者がそうしたように…」
女神「そのための力をあなたに授けましょう…」
・彡(°)(°)「お!近所のJCやんけ声かけたろ!」
・男の娘「残念実はおと――」男「嘘だ!」
・子供「らんら〜ん♪」熊「あっ」子供「あっ」熊「あっ」もぐもぐ
・シンジ「毛虫なんてどうかな?」 ゲンドウ「・・・・・・」
・悟空「ブルマ先っちょだけ挿れさせてくんねぇか」 ブルマ「はぁ!?」
・【※画像あり】このHカップJKの体操服姿どうみても不自然すぎやろwwwwwwwwwwwww
・巨乳よりも何倍も敏感に反応する膨らみかけのちっぱい!!
・【衝撃画像】壇蜜・フルヌード(乳首丸出し)でフ●ラ○オ!⇒2ch「完全にAVだろ、これ…」
・【※神スレ※】パ●ティに手突っ込んで手マンしてる画像クレメンス → 「シコった」「女だけどシ...
・【wおかえりw】一度足を洗うも結局戻ってきてしまった悲しいA●女優がこちらwwwwwww...
2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:22:01 ID:wvQYgvAI
勇者の家。
勇者「……という夢を見たんだが」
ヴゥウウゥン……
勇者「……なんだ、これ? 右腕が変な機械になってる?」
勇者「……これって、姉ちゃんが夜な夜な使ってる大人のオモチャなんじゃ……」
…………
勇者「ぎゃあああああ!!」
うるさいわよ!
勇者「やべっ、下に姉ちゃんがいるんだった」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:23:32 ID:wvQYgvAI
勇者「これ、どうしたもんかな。いや、実はそれっぽい外見だけで、実は伝説の武器とかじゃ?」
ヴゥウウゥン…………
勇者「いや、絶対に違うよ! これどう見ても巨大なバイブじゃん!」
静かにしなさい!
勇者「…………」
勇者「どうしよう…取り敢えず包帯を巻いておくか…」
勇者「……振動していてめちゃくちゃ巻き辛い」
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:26:13 ID:wvQYgvAI
・・・
勇者「どうにか巻き終えたぞ……」
ヴヴゥン……
勇者「今日も稽古だけど、利き腕がこれじゃ剣も握れないし…」
ガチャッ
勇者姉「アンタ、さっきからうるさい…って、その腕どうしたの?」
勇者「ああ、ちょっと……痛めてね」
勇者姉「大丈夫なの…? お医者様のところに行きましょう」
勇者「いや、大丈夫だよ、折れてるわけでもなさそうだし……」
勇者姉「自己診断しないの! そういうのは危ないのよ! さっ、早く、行くわよ!」
勇者「いや、その……」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:31:32 ID:wvQYgvAI
ヴゥ……
勇者姉「ん、なんか揺れてない?」
勇者「うっ……あっ、け、稽古があるから行ってきます!」
勇者姉「あ、ちょっと……!」
勇者は家を飛び出した!
家の外。
勇者「勢いで出てきたものの…どうしようかな」
「そこのお前」
勇者「はい?」
「間違いないか?」
「ああ、神託の証が光っている。こいつで間違いないな」
「ふうん、こんな冴えないガキがな……」
「俺の方がまだ強そうだな」
勇者(なんだ、こいつら?)
勇者「…何か用事でも?」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:34:40 ID:wvQYgvAI
「私たちは勅令で神託を受けた勇者を迎えに来た」
「この神託の証によると、どうやらお前らしい」ぺかー
「そういうわけで、私たちと来てもらおう」
勇者「え、ちょっと」
「さっさとついてこい」
勇者(扱いが悪いな……)
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:40:40 ID:wvQYgvAI
東国城・王の間
勇者(初めて来たけど、城、立派だなあ)
東王「来たか。神官よ、この者が勇者で間違いないか」
神官「はい。大いなる女神の加護を彼者から感じます」
東王「ふむ! 昨日の神託は本物であったか」
勇者(王さまも夢で女神さまに会ったのか)
東姫「……」
東王「勇者よ、よくぞ参られた」
勇者「は、はい」
東王「呼び出したのは他でもない。近頃、魔物との戦いは苛烈を極めている」
東王「そこで魔物の親玉である魔王を倒して欲しいのだ」
東王「当然だが、支援もするし、倒した暁には褒美をやろう。引き受けてくれるな?」
8: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:48:12 ID:wvQYgvAI
勇者(…すげえ急な話だ)
勇者(……でも、俺は魔物から、姉ちゃんや村のみんなを守れるようになりたかったんだ)
勇者(魔王を倒せば、きっと平和になる。そうすればもう姉ちゃんが哀しむこともないはずだ)
勇者(これはまさに天啓なんだ。…俺が魔王を倒すんだ!)
勇者「俺が、俺が必ず魔王を倒して、世界を平和にします!」
東王「うむ、頼んだぞ。……ところで、女神の力をわしに見せてくれんかの?」
勇者「……え?」
東王「女神より何か力をいただいたのだろう?」
勇者「あ、はい、一応…」
王「その力を実際に見て信ずるに値するか確かめたいのだ。こちらも相応の援助をするつもりなのだから、それくらいいいだろう?」
勇者「え、えーと……」
神官「ふむ、その右腕から、凄まじい神の力を感じます」
勇者「う……」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 18:51:53 ID:wvQYgvAI
東王「何をしている。早く見せい」
勇者「……」
勇者は右腕の包帯をほどいた!
ヴゥウウウウゥン…………
東王「…………」
神官「…………」
東姫「…………ぷっ」
東王「き、きさま、わ、私を愚弄しに来たのだなっ!」
勇者「そ、そんな! 違います!」
東王「このような不敬は初めてだっ! 其奴を捕らえよ! 処刑しろ!」
ザザザッ!
勇者「なっ……」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:06:51 ID:wvQYgvAI
神官(確かに神の力を感じるんだが、これは不都合だ)
神官(…東王が短小包茎のせいで、妻とはセックスレス。妻は大人のオモチャで性欲を満たしている)
神官(そんな醜聞が飛び交っている中で、これだもんな。そりゃ、東王もキレるわ)
神官(少年には悪いが、俺もまだ職を失いたくないしな)
神官「……あの包帯で誤魔化していたのです! どうやら、あの包帯は魔の力を隠し、神の力に見せかける呪具のようです!」
勇者「はあっ!?」
東王「ゆ、許せん。無礼者め! この場で斬り殺せ!」
東姫「お待ちになって、お父様」
東王「む!」
東姫「何もそこまでする必要はないじゃない」
神官(姫さまナイス! 流石にこれで処刑されたら、私も寝覚めが悪い)
東王「…ならば国外追放じゃ! 二度とこの国に、足を踏み入れさせるな!」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:10:47 ID:wvQYgvAI
勇者「そ、そんな……! 神託を受けたのは本当だ!」
ヴゥウウゥン……
東王「ええい、黙れ黙れ! 早くしろ!」
勇者は捕らえられた!
勇者「くっ、離せ!」
抵抗むなしく、勇者は追放の刻印を顔に焼き付けられた!
ジュウウウッ!
勇者「がああぁぁああぁ! いだいっっ! いだいぃぃ!」
勇者は悶え苦しむ!
勇者は気絶した!
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:13:33 ID:wvQYgvAI
ガタガタ…
勇者「……ん」
兵士「目覚めたか。災難だったな」
勇者「ここは……?」
兵士「馬車の中さ。お前を国外まで運ぶための」
勇者(ああ、そうか。俺……)
勇者「……姉ちゃんは、どうなるんだ?」
兵士「他人の心配してる場合かね…」
兵士「…財産は没収されるから、家族は路頭に迷うだろうな」
勇者「そんな……」
勇者(姉ちゃん……)
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:16:00 ID:wvQYgvAI
――――――――
お母さんもお父さんもマモノにころされちゃった……ひっぐ……。
『わたしがお父さんとお母さんになるから! だから泣かないで! ほら、笑って! 笑顔!』
無理だよ…。
『無理やりでいいの! ほら、にっこり!』
…こう?
『そう! そうすれば今は無理でもきっと笑えるようになるから!』
…うん。姉ちゃんは凄いや。
『当たり前でしよ! これからは私がアンタを守るんだから!』
『ひっぐ……お母さん……お父さん……寂しいよ……不安だよ……』
――――――――
勇者「……ちくしょう」
14: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:19:11 ID:wvQYgvAI
兵士「……着いたぞ。降りろ。」
勇者は馬車を降りた!
勇者は手枷を外された!
兵士「このまま西へ真っ直ぐ行けば、中央国に出る」
兵士「…だが、どこに行こうとその追放の刻印がある限り受け入れては貰えないだろう」
兵士「というか、腕がそんな化け物な時点で、救いようがないけどな」ハハ…
勇者「……」
兵士「ま、強く生きてくれ」ガタガタ
勇者「……」
勇者は西の方角へと歩き始めた!
勇者「…………」
勇者は立ち止まり地面にうずくまった!
15: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:21:44 ID:wvQYgvAI
勇者「……これから、どうすりゃいいんだ」
「あなたが選定を受けた者ですね」
勇者「……!?」
勇者が顔を上げるとそこに天使がいた!
天使「初めまして。女神さまの使いで降臨しました」
勇者「……何の用だよ」
天使「…実はですね、女神さまは手違いをしてしまったのです」
勇者「手違い?」
天使「非常に聞き苦しい内容なのですが……」
16: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:27:21 ID:wvQYgvAI
――――――――
女神「ああー、そろそろ干渉しないと下界滅んじゃうわ」
女神「でもその前にスッキリしておこー。オナニーは心の洗濯ね!」
天使「…女神さま、それ何回目ですか? もっと早い段階で手を打てば、魔物たちの勢力がここまで広がることもなかったんですよ。下界の者たちが可哀想じゃないですか。大体、以前もですね……」くどくど
女神「あー、分かった分かった。ほんと天使ちゃんて小姑みたいだよね」ハアァ…
天使「私は女神さまや、下界の者たちのことを考えてですね……!」
女神「わーった、わーった。勇者を選定して、力を与えて来ますー」ヤレヤレ…
天使「もう……」
17: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:31:18 ID:wvQYgvAI
・・・
女神「大きな過ちを犯した。何てことなの」
天使「どうしました?」
女神「勇者としての力を授けるはずが、私の自慰用の能力を授けてしまった。あれがないと、最高のオナニーができない」
女神「うがああぁぁああ! やっちまったぁあああ!」ゴロゴロ…
天使「いや、知りませんよ」
女神「バカヤロー! 」バキッ
天使「あうっ! な、何するんですか!?」
女神「最高のオナニーができないことがどれだけの痛手か分からんのか!? 最高のオナニーもせずに最高のパフォーマンスは発揮できねーんだよ! 天地創造7日目に休息? オナるに決まってるだろうが! むしろオナニーのエッセンスとして世界を創造したんだっての! 世界は私の最高のオナニーのために産まれたんだよ!」
天使「……」
18: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:33:53 ID:wvQYgvAI
女神「アレには私の7分の1もの力が秘められているのよ…。最高傑作だったのに…」
天使「いや、力の配分おかしいでしょう!?」
女神「うるせえ! オナニーもしないような薄っぺらい生き方しかしてない奴の言葉など聞きたくないわ!」
天使「ひどいっ!?」
女神「そういうわけで、天使ちゃん、私の能力を回収してきて!」
天使「うえぇ……」
女神「あー、やる気出ないなー。別の人間にちゃんとした勇者パワーあげるの面倒だなあ」チラッチラッ
天使「……分かりましたよ。回収してきます」
女神「さすが天使ちゃん!」
――――――――
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:39:13 ID:wvQYgvAI
天使「こういうことがありまして、ここに来たわけです」
勇者「…何だよ、それ。そんなアホみたいな理由で、俺は右腕をバイブにされて、国を追放されたのか?」
天使「……申し訳ありません。本当に上司が迷惑かけてしまい申し訳ありません」ペコペコッ
勇者「…………」
勇者「どうやって能力を回収しろと」
天使「…力はあなたの魂と結びついているので、その…肉体と魂を離さなければいけません」
勇者「……俺に死ねと」
天使「…ええと、率直に言ってしまうとそうなります」
勇者「ふ、ふざけるなよっ! 俺は絶対に死んでやらないぞ!」
天使「まあ、そう言うのが当然ですよね…。大変申し訳ありませんが強引な手段を取らせてもらいます」
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:42:31 ID:wvQYgvAI
天使は魔法を唱え始めた!
周囲の大気が大きく揺れる!
勇者「うげっ!?」
天使「究極破壊魔法!」
莫大なエネルギーが一点に凝集し、勢いよく爆散した!
辺り一面が消し飛んだ!
天使「やはり下界だと制御が難しいですね…。それにしても、酷いことをしてしまいました」
油断した天使の背後に、ピンク色の物体が飛んで来る!
天使「えっ!? きゃあっ!」
天使の背中に巨大なピンクローターが直撃した!
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:46:33 ID:wvQYgvAI
勇者「一応、女神さまの力だけあって凄い耐久力だ。それに大きさも自在で、変化もする」
天使「……」プルプル…
勇者「俺だってそう簡単には負けられないんだ」
天使「んあああああっ……!」ビクッ
勇者「……大丈夫?」
天使「い……」
勇者「い?」
天使「イクぅううううううぅぅぅッッ!」プシャァッ
勇者「……え、え?」
天使「…………」ピクピク
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:51:44 ID:wvQYgvAI
東国・西の森。
パチッ…パチッ…
天使「……最低です」グスッ
勇者「わ、悪かった。あんなことになるとは思わなくて」
天使「もうお嫁に行けません…」
勇者(天使って結婚するのか?)
天使「堕天してしまったし、どうすればいいんですか…?」
勇者「……堕天?」
天使「天使は汚されると翼を失い、天上界に帰れなくなるんです」
勇者「……そうなの?」
天使「翼、なくなってますよね?」
勇者「う、うん。確かに」
天使「…責任とってください」
勇者「せ、責任?」ダラ…
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 19:55:41 ID:wvQYgvAI
天使「……冗談ですよ。むしろ償わなければいけないのは私たちの方です」
勇者「…いや、そんなことないよ。君は巻き込まれた側じゃないか」
天使「…そんなこと」
勇者「それに、帰るところに帰れないのは同じだろ。似た境遇同士、仲良くしよう」
天使「…………」
勇者「あ、お腹すいてないか。食べられそうな木の実を少しだけ採ってきたから食ってくれ」
天使「…それじゃあ、有難くいただきます。あなたは?」
勇者「俺はさっき食べたから大丈夫」
グウゥ…
天使「……」
勇者「…あはは、参ったな」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 20:02:13 ID:wvQYgvAI
天使「ああ、もうっ! どれだけお人好しなんですかっ! その腕で木の実を集めるのがどれだけ大変なのか、こうして火を熾すのがどれだけ大変か、想像がつかないとでも思っているんですか! それなのに、平気な顔して、自分の空腹もガマンして…もう、もう…っ!」ボロボロ
勇者「な、泣かないでくれよ」
天使「こんなお人好しを不幸な目に合わせるなんて、最低です!」グスッ
勇者「分かったから、落ち着いてくれ」
天使「だって、だって……!」
勇者「ほら、深呼吸して。そして笑顔、笑顔」ニッ
天使「この状況で笑えませんよ…」
勇者「まずは形だけでいいさ。そのうち本当に笑えるようになる」
天使「……こうですか」ニコッ
勇者「そうそう。まるで天使みたいだ」
天使「……もう」
勇者「ははは」
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 20:05:05 ID:wvQYgvAI
パチッ…パチッ…
天使「これからどうするつもりですか?」
勇者「……少し考えたんだ。俺は、大切な人たちを守りたい。けれど、もう大切な人たちのそばにはいられない」
パチッ…パチッ…
勇者「だけどさ、さっき君の魔法を防いだ時、このふざけた力も何か役に立つかもしれないと思ったんだ」
天使「…………」
勇者「…俺、魔王を倒そうと思う。多くの人を守るために。かつての伝説の勇者みたいにさ」
天使「…それなら」
勇者「ん?」
天使「それなら、私も手伝います。勇者さま、あなたを支え、あなたが魔王を倒す手助けをします!」
勇者「……ありがとう」
天使が仲間になった!
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 20:06:42 ID:wvQYgvAI
東国・勇者の故郷。
勇者姉「……」
剣士「……お姉さん、お風呂空きましたよ」
勇者姉「ええ、ありがとう……」
剣士「……大丈夫ですよ。あいつ、しぶとさだけは異常ですから」
勇者姉「そうね……。あの子ならきっと大丈夫。強い子だもの。きっと、そのうち、ひょっこり帰ってくるわ」
剣士「そうですよ」
剣士「あのバカっ! まったく何してんのよ!」
剣士「……勝手にアタシのそばからいなくなるなんて許せない!」
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 20:12:36 ID:wvQYgvAI
剣士「お父さん!」
師範「ん、どうした?」
剣士「アタシ、ちょっと旅に出てくるから!」
師範「は?」
剣士「ちょっと、あのバカ連れ戻してくる!」
師範「年頃の娘が何言ってる。そもそも、あの子は追放刑にあってしまったのだから、それは無理だろう」
剣士「だから、ついでに魔王を倒してくる。そうすれば恩赦で許して貰えるはずよ」
師範「おいおいおいおい。何バカなことを言ってるんだ」
剣士「じゃあ、荷造りも終わってるし、行くわ」
師範「え!? もう行くの!?」
剣士「思い立ったが吉日なの! 達者でね! 」
師範「ちょっ、おい!」
剣士「お姉さんに手を出したら血祭りにするから!」
29: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/25(水) 20:18:52 ID:wvQYgvAI
魔の国・魔王城。
黄竜「…………」スピ-
赤騎士「……おい、黄竜、起きろ」
黄竜「んあ? お、赤騎士じゃーん。久し振りー、元気ー?」
赤騎士「変わりない。お前は相変わらず寝汚いようだな」
黄竜「んはは、まーねー。どうして帰ってきたの? 中央国の方に侵攻してたよね?」
赤騎士「緑鬼と入れ替わったのだ」
黄竜「ふーん、お疲れ様ー」
赤騎士「ありがとう。だが、できれば早く中央国の前線に戻りたいところだ」
黄竜「仕事熱心だねー」
赤騎士「緑鬼に任せると、無益な血が流れることになるからな」
黄竜「確かに。あいつって性悪だもんなー」
赤騎士「それで黄竜よ。しばらくの間、お前と共に、西国征圧の任につくことになった。分かると思うが、無意味な殺しはするなよ」
黄竜「赤騎士に従うから大丈夫だよー。君のこと、信頼してるからさ」
赤騎士「そう言ってもらえると助かる」
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 20:43:58 ID:gQr4sW5Q
中央国・東の森
天使「ていっ」
天使の攻撃!
ベキャアッ
魔物を倒した!
天使「たあっ」
天使の攻撃!
ゴキュッッ
魔物を倒した!
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 20:48:36 ID:gQr4sW5Q
勇者「……天使さんって魔法をメインに戦うタイプだと思ってた」
天使「そうですよ?」
勇者「いや、この前からずっと、魔物が落としたロッドでぶん殴ってるところしか見てないからさ」
天使「この程度の魔物に魔法を使う必要もないですから。さあ、行きましょう」
勇者「た、頼もしいなあ…」
勇者(というか、撲殺天使さんが強すぎて一回も攻撃してねえ…」
天使「あ、村が見えましたよ。これで旅に必要なものを揃えられますね」
勇者「……天使さん。俺は顔に追放の焼印があるから村に入れないよ」
天使「それなら、私の魔法で隠してるから大丈夫ですよ」
勇者「え、本当に?」
天使「だから、心配しないでください。右腕も魔法をかけた包帯で封じ込めてるし、何の心配もありませんよ」
勇者「な、何から何までありがとう」
天使「気にしないでください。まずは魔物の素材などを売ってしまいましょう」ニコ
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 20:58:03 ID:gQr4sW5Q
ドサドサッ
勇者「これを換金したいんだが」
商人「……ふむ」
パチパチッ
商人「こんなものだな」
勇者「……安過ぎる。これは流石に不当だ」
商人「文句があるなら引き取らないが。見た所、金に困っているようだがな」フフン
勇者「人の足元を見て…!」
商人「ふん、こちらも、紛争続きであまりゆとりのある商売ができてないんでね」
天使「勇者さん、ここは、妥協しましょう」
勇者「……分かった。その額でいい」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 21:00:47 ID:gQr4sW5Q
勇者「買い物すら上手くいかないなんて先行きが不安だ…」
天使「支度金には充分ですよ。旅に必要な物を買いましょう」ニコ
勇者たちは必要物資を買い揃えた!
勇者「ふう、これで大分円滑に旅を進められるな。
天使「そうですね!」
勇者「あと、剣も買ったけど、左手じゃ、あまり戦力にはならないだろうな」
天使「私に任せてください。だいたい撲殺しちゃいますから」ニコ
勇者「ははは、頼もしい…。さて、宿を取ろうか」
天使「そうしましょう」
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 21:03:58 ID:gQr4sW5Q
宿屋。
勇者「……一緒の部屋で良かったのか?」
天使「切り詰められるところは切り詰めないと!」
勇者「なんだか、さっそく、俗っぽくなってきたな」
天使「もう、そんな意地の悪いこと言わないでください!」
勇者「ごめん、ごめん。頼もしく思ってるよ。それで、魔王を倒すににしても具体的にどうしようか」
天使「魔王自体は南に行けば会えるんですけどね」
勇者「魔国が世界の南にあると聞いて育ったんだけど、そもそも世界がどうなっているのかイマイチ理解できてないんだ。村から出ることさえ滅多になかったし……」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 21:08:05 ID:gQr4sW5Q
天使「ええと、まず東西に広がる巨大な大陸と、その南に位置する一つだけ離れている比較的小さな大陸があります」
勇者「うん」
天使「巨大な大陸は主として四つの大国からなっていて、勇者さんの出身地である東国、魔物との戦いが激しい中央国、土地は貧しいけれど、平和な北国、領土は広いけれど砂漠が多い西国となっています」
勇者「そこまでは大丈夫」
天使「そして南側の小さな大陸に魔国があります。北側には、中央国へと大きく突き出している細い半島があります」
勇者「その半島を通って、中央国に侵攻してるのか。だから中央国が一番魔物の被害を受けているんだな」
天使「そうですね。『悪魔の角』と呼ばれていて、強力な魔物が数多くひしめいています。最近ではこの付近の中央国領土は、魔物の支配下に置かれてしまっているようです」
勇者「中央国の人々が可哀想だな…。何とかできないかな」
天使「そうですね……取り敢えず、中央国に行って現状を見ましょうか」
勇者「それが良さそうだ」
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 21:12:40 ID:gQr4sW5Q
――翌朝。
天使「ふぁ……?」パチ
天使「……あれ、勇者さんがいない?」
勇者(…この右腕、使いこなせれば、魔王討伐に役立つはずだ!)シュルッ
ブウウウゥゥウウウン!!
勇者「ちょっ、勢いが強い!? 鎮まれー、鎮まってくれー!」
ブウウウウウゥゥウウウン!!
勇者「…そうだ! この前みたいに変身させればいいんだ!」
天使「…こっちの物陰から、例の音が聞こえましたが」
シュルッ
天使「へ?」
41: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 21:58:09 ID:ZdffzZ86
天使は触手に巻き付かれた!
勇者「わっ、天使さん!?」
天使「勇者さん! これは何ですか!?」
勇者「み、右腕を変化させたらこんなのが出てきたんだ!」
ニュルッ
天使「ひゃうう! は、離してくださいっ!」
勇者「ど、どうすれば良いのか分からない」
ニュルッニュルッ
天使「あっ、そんなとこに入っちゃ……! あっ……! いやぁ……!」ビクビクッ
42: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 22:05:10 ID:ZdffzZ86
勇者たちは中央国南部へと向かうために村を出た!
天使「…………」つーん
勇者「……天使さん、その、朝はごめん」
天使「…………」じろっ
勇者「ご、ごめんな」
天使「……ふう。別に勇者さんのせいだけではありませんから」
勇者「う、うん」ほっ
天使「でも、取り敢えずは魔法をかけた包帯を外さないでください」ニッコリ
勇者「…はい」
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 22:10:35 ID:ZdffzZ86
東国・西の森
剣士「…あー」
剣士「迷ったわね…」
剣士「ここはどこなのよ……」ガサガサ
剣士「出てくる魔物もやけに強いし、変なの」
剣士「……お、洞窟」
老龍「…ほう、ニンゲンか」
剣士「うわ、龍だ」
老龍「ニンゲンがここまで来たのはいつぶりだろうか。昔は多くの荒くれ者たちが挑んできたものだったが」
剣士「ああ、そう」
老龍「ふ、すべて返り討ちにしたがな」
剣士「ふうん。アタシ、中央国の方に行きたいんだけど、どっちか分かる?」
老龍「我が護る聖なる秘宝。欲しくば我を倒してみよ!」
剣士「いや、別にいらないわよ」
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 22:22:25 ID:ZdffzZ86
老龍の攻撃!
剣士はひらりと躱した!
老龍「む、やるな」
剣士「もう一度言うけど、戦うつもりはないわ」
老龍「ふ、次も躱せるか!」
老龍の攻撃!
剣士はひらりと躱した!
剣士「分かったわよ。そっちがヤる気なら…」チャキッ
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 22:27:28 ID:ZdffzZ86
・・・
老龍を倒した!
老龍「ぐっ、つ、強い……」
剣士「あーあ、剣がボロボロになっちゃったじゃない」
老龍「まさか、ニンゲンの小娘にやられるとは……聖なる秘宝を持っていくがいい……」
剣士「はいはい、貰えるなら貰っておくわ」
『聖なる剣』を手に入れた!
『生命の樹の種』を手に入れた!
『エルフのマント』を手に入れた!
剣士「ふうん。まあ、新しい剣が手に入って良かった」
剣士「そんなことより早くあのバカを見つけないとね」
剣士「それで、ここはどこなのよ…」
46: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 22:29:18 ID:ZdffzZ86
中央国・魔物の拠点地
緑鬼「あー、やれやれ。赤騎士のやつ、本当に小言が多い。あいつは鬼嫁か!」
緑鬼「それじゃあ、オレの嫁じゃねえか! ひゃあっはっはっは!!」
「はは……」
緑鬼「あーん、なんだその笑いは?」
「も、申し訳ありません!」
緑鬼「上司が笑ってるなら同じくらい笑うだろうが!」
「はっ! 大変失礼しました!」
緑鬼「ったくよー、これから侵攻を再開しようとしてる時に盛り下げてくれるじゃねえか」
「…お言葉ですが、赤騎士さまは無闇な侵攻は止めるようにおっしゃっておられました。」
緑鬼「あ?」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 22:31:02 ID:ZdffzZ86
緑鬼の『殴り殺す』!
緑鬼「今、指揮権限が有るのはオレだ。文句あるやつは殺してやるから出てこい」
「緑鬼さま」
緑鬼「あん?」
・・・
緑鬼「はーん、隠れてた人間たちか」
「はい。最近、食糧がやけに減ると思っていたら、10人ほど地下に隠れていたようです」
緑鬼「はーん、美しきモグラ根性だな」
「始末しますか?」
村人1「ま、待ってください。せ、せめて子どもたちだけでも助けてやってください…!」
緑鬼「そうだなあ」
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/27(金) 22:32:46 ID:ZdffzZ86
緑鬼「別に俺だって鬼じゃな……鬼だったわ」
緑鬼の『殴り殺す』!
子ども「うわぁぁん!! おかーさーん!!」
緑鬼「夜泣きをする子は食べちゃうぞー」
緑鬼の『喰い殺す』!
緑鬼の『絞め殺す』!
緑鬼の『蹴り殺す』!
緑鬼の『犯し殺す』!
緑鬼の『嬲り殺す』!
緑鬼の……
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! もっと叫べ! もっと悦ばせろ! 恐怖こそが美しい!」
55: >>54イイネ! 2015/03/30(月) 12:19:50 ID:dhZOb0Ic
中央国・南の町。
勇者「へっくし!」
天使「あら、大丈夫ですか?」
勇者「いや、ただのくしゃみだよ。誰か俺の噂でもしてるのか?」
ドンッ
勇者「いてっ!」
「邪魔っ!」
勇者「な、そっちからぶつかってきたじゃないか」
店主「食い逃げだ! そいつを捕まえてくれぇ!」
「ちっ」
勇者「あ、おい! ……逃げ足速いな」
天使「……?」
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:24:27 ID:dhZOb0Ic
店主「この辺りも大分治安が悪くなっちまった。出入りするのも兵士や傭兵ばっかり。さっきみたいな食い逃げ野郎も増えた」
勇者「随分と物騒ですね」
店主「一般人が立ち入れる最南端だからな、この村は。そんな奴らしかいないのさ」
勇者「ああ、なるほど。大変ですね」
店主「あんたらみたいな冒険者もよく見かけるぜ。近くにあるエルフの棲む森があるからだろうな」
勇者「へえ、エルフですか」
店主「尤も、エルフの森は魔物の軍勢に侵攻されて、燃えかすになっちまった」
勇者「それじゃあ、エルフも?」
店主「死に絶えたらしい。あんたらもその焼け跡に、お宝探しにきたんじゃないのか?」
勇者「いや、俺たちはこの辺りの情報や、魔国についての情報を集めてるんです」
店主「ふうん。そうかい。あまり危険地帯に突っ込むなよ」
勇者「忠告ありがとうございます」
57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:25:38 ID:dhZOb0Ic
天使「勇者しゃん! ふぉの赤いおみず、おいひいですー!」ヒック
勇者「…それ、アルコールだよ」
天使「いいキブンですー!」ヒック
勇者「ははは……」
天使「いっちょ、ゼンブふっとばしましょー!」ヒック
天使は魔法を唱え始めた!
周囲の大気が大きく揺れる!
勇者「ちょっ、ダメだって!」
天使「もがもが……!」
魔法の詠唱が中断された!
勇者「うわ、酒くさい!」
天使「……すぴー」
勇者「この人にお酒を飲ませちゃダメだ……」
58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:26:37 ID:dhZOb0Ic
天使「うー」ヒック
勇者「ほら、宿屋までもう少しだよ」
天使「うー、ここで寝ます」
勇者「ダメだって。ほら、歩いて」
町人A「このクソガキ!」
「うっ!」
町人B「人の財布に手を出すなんていい度胸してやがんな!」
町人C「懲らしめてやる!」
「ぐっ! うぁ!」
勇者「あ、さっきの食い逃げ」
59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:29:11 ID:dhZOb0Ic
天使「う?」
勇者「……」
天使「こらー! 多勢に無勢で何してるんですか!」ヒック
勇者「ちょっ」
町人D「何だこの女?」
町人E「酔っ払いは引っ込んでろ!」
天使「なんですってー!」ヒック
天使は魔法を唱えた!
天使「『全体即死魔法』!」
町人たちは生命活動を停止した!
天使「ふふ、悪は滅びた」ヒック
61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:31:24 ID:dhZOb0Ic
勇者「いや、殺すなよ!」
天使「電撃魔法・微!」ピリピリッ
町人たちは生き返った!
天使「そせー完りょーです!」ヒック
勇者「…気軽にそういうことしないでくれよ」
天使「だいじょーぶですかー?」ヒック
「うわ、酒くさい!」
勇者「立てるか?」
「あ、ああ。どうも。じゃあ…」
勇者「おっと待て」ガシッ
62: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:33:22 ID:dhZOb0Ic
「な、なんだよ!」
勇者「この人たちに財布返してないだろ?」
「わ、分かったよ」ヒョイッ
勇者「…お金だけ、抜いてるな?」
「…ちっ、返せばいいんだろ!」ジャラジャラッ
勇者「まったく、さっきの食い逃げといい、声変わりもまだの子どもが何をしてるんだ」
「…うるさいな。放っておけよ」
天使「こらー、その態度はなんですか!」ベチンッ
「いたっ!」
63: 連投しちまったピーナッツ 2015/03/30(月) 12:36:00 ID:dhZOb0Ic
ポロッ
「あ、帽子!?」ファサッ
勇者「女だったのか。…というかその耳」
エルフ「……」
宿屋。
天使「すぴー……」
勇者「連れが悪かったな。普段はとても礼儀正しくて優しい人なんだけど」
エルフ「酒癖は最悪だな」
勇者「俺も初めて知った。もう飲ませないようにするよ」
64: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:39:04 ID:dhZOb0Ic
勇者「…それにしても、エルフの生き残りか。大変だったな」
エルフ「何も知らないヤツに同情されたくないな」
勇者「…それもそうか」
エルフ「…アンタら、何者? そっちの女は魔法を使ってたし、アンタの顔や包帯からも魔力を感じる」
勇者「俺は勇者だ。それで、酔っ払って寝てるのが天使さん」
エルフ「…勇者?」
勇者「ああ。魔王を倒す旅の途中だ」
エルフ「…信じられないな」
勇者「まあ、そうだろうな」
65: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:41:05 ID:dhZOb0Ic
エルフ「この人からは強大な魔力を感じる…天使というのは信じてもいいが」
勇者「お、信じるか。さすがエルフ」
エルフ「でも、お前が勇者…信じられない」
勇者「うーん…まあ、そう言われても仕方ないか」
エルフ「弱そう、馬鹿そう、ちょろそう、軟派そう、貧しそう、駄目そう、汚そう、臭そう」
勇者「おま…怒りを通り越して悲しくなってきたぞ…」
エルフ「…本当に勇者なら現れるのが遅いよ」
勇者「……」
エルフ「…お前に言っても、仕方ないことだ」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:44:30 ID:dhZOb0Ic
・・・
天使「昨日、そんなことがあったのですか。道理で彼女から魔力を感じたわけです」
勇者「彼女は他にも色々と情報をくれた。結構長いこと南部を徘徊しているらしいから」
天使「そうですか。彼女も辛いのですね…」
勇者「…それで、彼女の話だと、最近は魔物との小競り合いが増えているそうだ」
天使「また、魔物の侵攻が始まる前兆かもしれませんね」
勇者「うん。それまでは少なくとも表面的には静かだったらしい。噂だと指揮官が替わったとか」
天使「そのような噂が」
勇者「うん。魔物と交易している商人もいるから、そういうところからの情報かな」
天使「なるほど」
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:47:19 ID:dhZOb0Ic
勇者「ここは、一般人の立ち入れる最南端らしいし、この街も危ないかもしれない」
天使「どうしますか?」
勇者「離れた方が安全ではあるけど、むざむざと魔物に占領されるのは気に入らないな」
天使「……私たちなら負けませんよ! 究極破壊魔法を打ち込んでやります!」
勇者「ははは…。人間を巻き込まないようにね」
天使「あと、朝からとても頭が痛むのですが…」ズキズキッ…
勇者「完全に二日酔いじゃないか」
68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:52:48 ID:dhZOb0Ic
ところ変わって…
中央国・東の村
剣士「じゃあ、この辺りに顔に追放の焼印がある男は来なかったのね?」
宿屋「そだな人がいたら村中で噂になるべな。最近だと、若いアベックが宿泊してったぐらいしか若い客はいねえだ」
剣士「うーん……一応どんな感じだった?」
宿屋「男は右腕をケガしたのか、包帯を巻いてだな。女の人はすんげえ美人だったべ」
剣士「右腕に包帯! ……お姉さんもそんなこと言ってたわね。刻印はカモフラージュしてたのかも」
剣士「……って美人な女と一緒?」
宿屋「あ、ああ、んだ。あんな美人がいるだなんで、おら、知らなかっだだ。まるで女神さまみてえだったべ」
剣士「ほーん……」ピクピクッ
宿屋「しかも、部屋は一つしか借りてなかっただ。おら、『昨夜はお楽しみでしたね』が言いたくてしょうがなかっただ」
剣士「あのバカ、ずいぶん調子にのってるわね。このアタシというものがありながら、許さないわ、変な虫がつく前に、連れ帰らなきゃ…」ブツブツ…
69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:55:39 ID:dhZOb0Ic
きゃああ、魔物だあ!
剣士「あら?」
宿屋「この村の中まで魔物が入ってくるなんて珍しいな」
剣士「この辺の魔物は弱くて臆病だしね。一応見てくるわ」
死の鳥「ギギ……ギ……」
剣士「なんか強そうね」
村人「あ、あれは、伝説の、死をもたらす鳥だべ」
剣士「有名なのね」
村人「こ、この国のモンは『悪い子は死の鳥に連れて行かれる』って脅されて育つべ」
剣士「あ、それアタシも聞いたことあるかも…って、こっちに飛んできたわ」
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:57:31 ID:dhZOb0Ic
死の鳥「ギギ……老龍ヲ破ッタラシイナ……」
剣士「なんか成り行きで」
死の鳥「ギギ……オモシロイ……勝負ダ……!」
剣士「え、イヤよ」
死の鳥「ギギ……何故ダ……」
剣士「先急いでるから。あのバカに問い質したいこともあるしね」
死の鳥「ギギ……ナ、ナラバ村人ヲ殺スゾ……!」
剣士「…はあ。そういう面倒くさいこと言うなら、さっさと始末してあげる」チャキッ
71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 12:59:22 ID:dhZOb0Ic
死の鳥は『即死魔法』を放った!
剣士には効かなかった!
死の鳥「ギッ!?」
剣士「聖なる剣のおかげで即死魔法は効かないのよね」
死の鳥は『風魔法・大』を放った!
剣士はひらりと躱した!
死の鳥の『毒の爪』
剣士はひらりと躱した!
剣士「エルフのマントは、魔法も攻撃も躱しやすくしてくれるの」
死の鳥「ギギ……強イナ……愉快ダ……」
剣士「愉快なまま死ねると良いわね」
72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:01:03 ID:dhZOb0Ic
・・・
死の鳥を倒した!
死の鳥「ギギ……ヤル……ナ……」
剣士「アナタも結構強かったわ」
死の鳥「ギギ……コレヲヤロウ……」
死の鳥は口から何かを吐き出した!
剣士「うっ、口から……」
剣士は『奇跡の腕輪』を手に入れた!
剣士「んー、何かしら力を秘めてそうね。役に立つかな」
73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:02:11 ID:dhZOb0Ic
村人「す、すげえだ! あの死の鳥を無傷で倒しただ!」
剣士「いや、それはたまたま。結構苦戦したわよ」
「いや、ホントすげえだ」
「あの死の鳥を倒すだなんて……」
村人「しかもピカピカ光る剣で……も、もしかして勇者さま!?」
剣士「いや、違うわよ」
「ほ、本当に勇者さまなのか!?」
「あの強さ、そうでもおかしくねえべ!」
ざわざわざわざわ…………
74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:03:31 ID:dhZOb0Ic
剣士「いや、だから…」
宿屋「勇者さまにせよ、違うにせよ、この人はオラたちの救世主だべ! みなでもてなすべ!」
「んだ、んだ!」
「勇者さまのために宴の準備だ!」
「あの死の鳥を倒すなんて、とてもめでてえべ!」
剣士「勝手にやって欲しいんだけど…」
宿屋「そんな哀しいこと言わねえで、勇者さまも楽しんでいってくだせえ」
剣士「だから、勇者じゃないってば…まあ、いいか」
75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:06:21 ID:dhZOb0Ic
ところ変わって…
西国・南西海岸。
伝令魔物「赤騎士さま……」パタパタ
赤騎士「む。どうした」
伝令「実は……」
黄竜「なんだってー?」
赤騎士「緑鬼が中央国南部への更なる侵攻を開始したらしい」
黄竜「あー、やっぱり彼は勝手だねー」
赤騎士「一応、策は打っている。あいつが過度な独断に走ることは食い止められるだろう」
黄竜「さっすがー」
赤騎士「私たちは私たちの任務を果たすだけだ。西の国を征圧するぞ」
黄竜「りょーかい」
76: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:11:52 ID:dhZOb0Ic
南国・南部の街
「魔物の軍勢がここにまで迫っているぞ!」
勇者「来たか!」
天使「迎え討ちましょう!」
勇者「ああ!」
魔物の軍団が押し寄せてきた!
勇者「くっ、すごい数だ。だが密集しているなら都合がいい!」
天使「任せてください!」
大気が大きく揺れる!
天使の『究極破壊魔法』!
魔物の軍勢は壊滅的な被害を受けた!
77: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:15:13 ID:dhZOb0Ic
勇者「よし! 魔物は狼狽えている! 畳み掛けよう!」
うおお!
人間たちの反撃!
魔物たちは退却を始めた!
勇者「好機だ! 追い討ちをかけよう!」
おう!
勇者「天使さん、街に残って追撃に備えてくれ」
天使「し、しかし大丈夫ですか?」
勇者「俺は勇者だ。信じてくれ」
78: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:18:00 ID:dhZOb0Ic
伝令魔物「緑鬼さま! ニンゲンたちが攻めてきています!」
緑鬼「はあっ? 攻め込ませたヤツらはどうした?」
伝令魔物「侵攻役の大隊は魔法攻撃により壊滅的な被害です!」
緑鬼「あーん? ニンゲンにも魔法が使えたのか?」
伝令魔物「しかも、相当強大な魔法で、一撃で大隊が瓦解したようです!」
緑鬼「…ちっ、聞いてねえよ。おい、巨人! 大蛇! 森の中でニンゲンどもを挟み撃て! 鳥人たち! こいつらの後方を支援しろ!」
「はっ!」
緑鬼「クソがっ、まさかこんな目に遭うとはな」
勇者「……! 横から来るぞ!」
巨人が現れた!
大蛇が現れた!
鳥人の群れが現れた!
79: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:19:26 ID:dhZOb0Ic
勇者「…予想通りだ。引きつけよう」
傭兵1「ほ、本当に大丈夫なのか?」
傭兵2「囮役なんて聞いてねえよ!」
傭兵3「こちとら、死ぬ気はないんじゃ!」
勇者「…俺を信じてくれ」
勇者は右腕の包帯を解いた!
ヴゥウウウウウゥゥゥンーーー!
傭兵3「……は?」
勇者「……うっ!」ブリュリュッ
勇者はバイブから大量のローションを放った!
辺りの空気が凍りついた!
勇者は右腕をピンクローターに変化させた!
80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:22:03 ID:dhZOb0Ic
傭兵4「な、なんだよその腕?」
勇者「説明は後だ! 蛇は俺がやる!巨人は任せた! 」
傭兵5「…鳥人の矢に気を付けろよ」ニッ
勇者「そっちこそ!」ニッ
勇者は蛇にピンクローターを飛ばす!
蛇はひらりと躱した!
大蛇「そんなもの食らうか!」
大蛇の尻尾攻撃!
勇者「げふっ!」
勇者は大きく吹き飛んだ!
大蛇「ファファファ、弱いぞ! その程度か!」
勇者「…まさか」
81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:27:10 ID:dhZOb0Ic
ピンクローターが大蛇の身体に巻き付く!
大蛇「なっ!?」
勇者「油断したな。自在に動くとは思わなかったか」
大蛇「ふ、ふん! 縛ったくらいで何を偉そうに! 見くびるなよ!」
勇者「…見くびってるのはそっちだ」
大蛇「ぐっ、解けん…!」
勇者「こいつは振動しないタイプなんだが、もっと恐ろしい機能がある」
大蛇「な、なにをする気だ!?」ゾクッ
勇者「…女神さまの変態ぶりには心底ドン引きだよ」
勇者の『超高圧電流』!
大蛇「あばばばば……」
大蛇を倒した!
82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:31:51 ID:dhZOb0Ic
巨人「うがあ!」
傭兵6「ひいっ!」
巨人の攻撃!
しかし、巨人は白濁ローションで滑った!
巨人「うがあ!?」
傭兵7「…今だ! やるぞ!」
傭兵8「俺たちも滑らないように気を付けるぞ!」
傭兵1の攻撃!
傭兵2の攻撃!
傭兵3の攻撃!
・・・
巨人を倒した!
83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:34:07 ID:dhZOb0Ic
鳥人A「くそっ! 後ろにも敵がいたのか!」
鳥人B「分隊していたとは…!」
鳥人たちは狼狽えている!
兵士長「弓兵部隊! 撃ち落とせ!」
「はっ!」
兵士長「投石部隊も続け!」
「らじゃっ!」
・・・
鳥人たちを倒した!
伝令魔物「緑鬼さま! 巨人、大蛇、鳥人たちも敗北しました!」
緑鬼「…クソがぁ! どいつもこいつも役立たずだ!」
伝令魔物「緑鬼さま!? 何処に行かれるのですか!?」
緑鬼「こうなったらオレが直接殺るしかないだろ!」
84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:36:11 ID:dhZOb0Ic
緑鬼が現れた!
勇者「……!?」
緑鬼「調子に乗ってるのはテメーらか!」
勇者「こいつ、強いぞ…!」
緑鬼「四天王最強の緑鬼サマが、ブチ殺してやるよ!」
緑鬼の『鬼没』!
「「姿が消えた…!?」」
緑鬼の『殴り殺す』!
緑鬼の『刺し殺す』!
緑鬼の『咬み殺す』!
傭兵1「や、やばい! 逃げるぞ!」
傭兵たちは逃げ出した!
しかし、回り込まれてしまった!
緑鬼の『叩き殺す』!
緑鬼の『踏み殺す』!
緑鬼の『裂き殺す』!
85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:38:05 ID:dhZOb0Ic
勇者「くっ!」
勇者はバイブで殴りかかった!
緑鬼はひらりと躱した!
緑鬼「…テメエ、聖なる力を持ってやがるな!? ナニモンだ!?」
勇者「…俺は勇者だ!」
緑鬼「…なるほどなぁ、だったら絶対殺す!」
緑鬼の『鬼火』!
勇者の身体を青い炎が舐め上げる!
勇者「ぐあっ!?」
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! 苦しんで死ね! 喚いて死ね! 絶望して死ね! 死の叫びこそが生きる価値だ!」
87: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:41:31 ID:dhZOb0Ic
「氷結魔法・小!」
鬼火が打ち消された!
緑鬼「あん、魔法だと?」
勇者「…君は」
エルフ「緑鬼…! お前に復讐する日を待っていた!」
緑鬼「…エルフの生き残りか! 全員殺してやったと思ってたんだがな!」
勇者「…エルフの森を焼き払ったのはお前か!」
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! あいつらいい悲鳴を上げてたぜぇ! 思い出すだけで射精モンだ!」
エルフ「ゲスがああぁッ!」
エルフは『氷結魔法・中』を放った!
しかし緑鬼は魔法を無効化している!
88: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:46:35 ID:dhZOb0Ic
エルフ「くっ…!」
緑鬼「あの時も『魔封じの指輪』をつけてたからな、エルフなんて、ゴミカスだったぜ! 」
エルフは矢を放った!
緑鬼は矢を掴み取った!
緑鬼「今でもエルフどものことは覚えてるぜぇ。小さい骨からポキン、ポキンって折っていくとなぁ、可愛い声で鳴くんだ、これが。ああ、最高だったなぁ…」
エルフ「きさまぁ!」
エルフは『火炎魔法・中』を込めた矢を放った!
緑鬼はひらりと躱した!
緑鬼「おいおい、そんなんで復讐できると思ってんのか?」
エルフ「差し違えてでも殺す…!」
緑鬼「ひゃあっはっはっはっ!! ハナから勝つ気のないザコに負けるかよ!」
89: ええい、連投が多いぜピーナッツ 2015/03/30(月) 13:49:38 ID:dhZOb0Ic
勇者はピンクローターを飛ばした!
緑鬼はひらりと躱した!
緑鬼の『鬼没』!
緑鬼「鬼さん、どーこだ?」
勇者「くっ!?」キョロキョロ
緑鬼「鬼さん、うしろ」
緑鬼の『殴り殺す』!
勇者は大きく吹き飛んだ!
勇者「ごぽっ!」
勇者は大量に吐血した!
エルフ「っ!」
エルフの攻撃!
90: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 13:58:13 ID:dhZOb0Ic
緑鬼はエルフの腕を掴んだ!
緑鬼の『投げ殺す』!
エルフ「きゃあっ!」
緑鬼「ひゃあっはっはっは!! カスどもが! せいぜい美しい絶叫を奏でろや!」
勇者「く、くそ……」
天使は『氷結魔法・極』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
天使「勇者さん、大丈夫ですか!」
勇者「うっ、て、天使さん…。不甲斐ないところを見せちゃったな…」ゲホッ
天使「…いえ。勇者さんの活躍は千里眼の魔法で見ていました。ご立派でしたよ…」
緑鬼「……この魔法の威力、テメエが侵攻部隊を壊滅させたのか」
天使「…邪悪な魔物よ! 私が浄化します!」
91: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:00:53 ID:dhZOb0Ic
天使は『電撃魔法・極』を放った!
天使は『火炎魔法・極』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
緑鬼「ふん、オレに魔法は効かん!」
天使は『星霊魔法』を放った!
天使は『聖霊魔法』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
『魔封じの指輪』にヒビが入った!
緑鬼「なんだとっ!?」
天使は『重力魔法』を放った!
天使は『結晶魔法』を放った!
緑鬼は魔法を無効化している!
『魔封じの指輪』が砕けた!
緑鬼「くっ!」
緑鬼の『殴り殺す』!
92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:03:15 ID:dhZOb0Ic
天使はひらりと躱した!
天使の攻撃!
ミシミシィッ!
緑鬼「ぐおぉぉ!」
天使は『氷結魔法・極』を放った!
緑鬼の全細胞が一瞬で凍り付いた!
緑鬼を倒した!
93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:06:17 ID:dhZOb0Ic
天使「勇者さん、大丈夫ですか!」
勇者「ああ…。いつも、助けられてばかりだな…」
天使「そんなことありませんよ」ニコ
天使の『回復魔法・大』!
勇者の傷が癒えていく!
勇者「…ありがとう。エルフや、他の皆にも頼む」
・・・
天使「これで皆さん全快ですね」ニコ
「美しい…」
「女神さまだ…」
勇者(女神じゃなくて、天使だけどな)
94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:09:34 ID:dhZOb0Ic
勇者「……死んだ人間は生き返らないんだな」
天使「魔法にも限界はあります」
勇者「…そっか」
エルフ「……う」パチ
勇者「お、目覚めたか」
エルフ「……緑鬼は!?」
勇者「あそこ」
緑鬼「」カチンコチンッ
エルフ「……」
「よっしゃー! このまま、南部の町と村を解放するぞ!」
「おおー!」
95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:12:22 ID:dhZOb0Ic
「『火炎魔法・大』」
緑鬼の身体がみるみる氷解していく!
緑鬼「ぐっ……」
エルフ「なっ…!?」
緑鬼「…げっ、赤騎士!? なんでここに…」
赤騎士「緑鬼、なんだこの体たらくは。多くの兵を失い、あまつさえ自分もやられるとは」
緑鬼「うぐっ…」
赤騎士「まあ、いい。後は私がやる。お前は撤退しろ」
緑鬼「…ちくしょうが!」
緑鬼は逃走した!
96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:13:59 ID:dhZOb0Ic
エルフ「待て!」
赤騎士が立ちはだかった!
赤騎士「先に行かせることはできない。このままでは士気に関わるのでな」
赤騎士は剣を構えた!
天使「…皆さん、下がってください!」
赤騎士「四天王が一柱、赤騎士、参る!」
97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:18:31 ID:dhZOb0Ic
天使は『聖霊魔法』を放った!
赤騎士の『魔封剣』!
『聖霊魔法』を吸収した!
天使「『魔封剣』ですって!?」
赤騎士の『連続魔』!
『火炎魔法・極』!
『火炎魔法・極』!
『撃滅の獄炎』となった!
天使「しかも『連続魔』!?」
天使は『氷結魔法・極』を放った!
『撃滅の獄炎』を弱めた!
エルフは『氷結魔法・中』を放った!
『撃滅の獄炎』を弱めた!
勇者はバイブを巨大化して盾にした!
『撃滅の獄炎』を何とか防いだ!
赤騎士「やるな!」
98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:22:23 ID:dhZOb0Ic
天使は『究極破壊魔法』を放った!
赤騎士の『魔封剣』!
『究極破壊魔法』を吸収した!
天使「やはり魔法は通じないようですね…!」
赤騎士の『火炎斬り』!
勇者の腿に掠った!
傷口が燃える!
勇者「がああああぁぁぁぁ!!」
エルフは『回復魔法・中』を放った!
赤騎士の『魔封剣』!
『回復魔法・中』を吸収した!
エルフ「くっ!?」
赤騎士「敵に回復の余地は与えん」
赤騎士の『火炎斬り』!
エルフは何とか躱した!
赤騎士「良い体捌きだ!」
99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:24:27 ID:dhZOb0Ic
天使の攻撃!
赤騎士は盾で防いだ!
赤騎士の攻撃!
天使は何とか躱した!
天使「今の内に回復を!」
赤騎士「健気だな」
赤騎士の攻撃!
天使「うぅっ……!」
天使は深手を負った!
エルフは『回復魔法・中』を放った!
勇者の傷が癒えた!
100: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:27:32 ID:dhZOb0Ic
赤騎士の『連続魔』!
『火炎魔法・極』!
『火炎魔法・極』!
『撃滅の獄炎』となった!
天使は『氷結魔法・極』を二回放った!
『撃滅の獄炎』を弱めた!
天使は『撃滅の獄炎』を食らった!
天使の全身を赤黒い炎が焼き尽くす!
天使(う……声が出ない……これじゃあ……魔法が……)
赤騎士「一番厄介なあなたから倒させてもらう」
勇者「て、天使さん…っ!」
勇者(……今まで散々、天使さんに助けられたんだ! 俺だって…彼女を助ける!)
勇者(頼む! 俺に、守る力を!)
勇者の思いを引き金に、勇者の右腕が強大な力を発する!
101: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:31:16 ID:dhZOb0Ic
ディルド「やあ(´・ω・`)」
勇者「…え?」
ディルド「君の想い、しっかり届いたよ(´・ω・`)」
勇者「……」
ディルド「僕を信じて欲しい(´・ω・`)」
勇者「あ、ああ」
ディルド「さあ、敵に僕を向けて(´・ω・`)」
勇者「…ホントに信じるからな!」
勇者は右腕を赤騎士に向けた!
勇者の迸る熱い性欲(パトス)が右腕に凝集する!
ディルド「一点に向けて噴出された水は鉄を穿つ…そういうことさ(´・ω・`)」
勇者の『渾身の一発』!
102: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:35:47 ID:dhZOb0Ic
赤騎士「……!」
赤騎士の盾を貫いた!
赤騎士の鎧を貫いた!
赤騎士の体を貫いた!
赤騎士「ぐうっ……!」
勇者「エルフ、今の内に天使さんの回復を!」フラッ
勇者は気絶した!
エルフ「勇者!?」
ディルド「今の彼じゃあ本当に一発が限界なんだ(´・ω・`)」
天使(回復してからの魔法では間に合わない。無詠唱でできる魔法で見出せる活路……)
天使(女神さま、いつも頑張って働いているんですから、幸運を私にくださいね)
天使『勇者さん、エルフさん、後はお願いします』
エルフ「なにを…、」
天使は『転移魔法』を放った!
勇者とエルフは何処かに転移した!
103: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:37:43 ID:dhZOb0Ic
天使『皆さん、私が時間を稼ぎます。できるだけ遠くに逃げてください』
ざわっ……
天使『早くっ!』
全員逃げ出した!
赤騎士「素晴らしい自己犠牲だ。敵ながら賞賛に値する」
赤騎士の『火炎斬り』!
天使はロッドで防いだ!
天使の攻撃!
赤騎士は盾で防いだ!
赤騎士の……
・・・
赤騎士の攻撃!
104: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:40:45 ID:dhZOb0Ic
天使(…堕天した私はきっと天上の世界に帰れないのでしょうね。どうなるのでしょうか…)
天使(…勇者さん、短い間でしたが、楽しかったです)
天使(……あなたは、きっと、強くなります……私は信じてますから……勇者さん……)
赤騎士「…敵ながら素晴らしい人物だった。あなたと戦えたことを誇りに思う」
赤騎士は『火炎魔法・大』を放った!
天使の亡骸は、大地と大空へと還っていった……
106: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/30(月) 14:54:15 ID:NhTo9UzE
俺の癒しの天使たそが…
109: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:12:53 ID:w0c13LFs
北国・剣の山
勇者「う…」パチ
エルフ「…やっと起きたか!」
勇者「あれ、ここは…俺は何を…」
エルフ「ここは、北国の剣の山だ。お前はもう二週間以上眠っていた」
勇者「に、二週間? …天使さんは!? 天使さんはどうなった!?」
エルフ「…彼女は、おれたちを北の国まで飛ばした。けれど、おそらく彼女は…」
勇者「…俺は、なにもできなかった」
エルフ「……」
勇者「ちくしょう…ちくしょう……ッ!」
110: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:18:26 ID:w0c13LFs
オーク「お、目覚めたか。正直ダメかと思ったが、しぶといな」
勇者「…魔物か」
エルフ「待て、悪い魔物じゃない」
勇者「…お前、偽物か?」
エルフ「…急に何言い出すんだよ?」
勇者「どうして魔物を憎まないんだよ! 酷い仕打ちを食らって、どうして平気な顔ができるんだよ!」
エルフ「…憎いに決まってるさ! けれど、全ての魔物がそうとは限らないだろ」
勇者「だったら……!」
エルフ「おれは人間だって憎いんだ。でも、人間にはお前みたいなお人好しもいる。魔物だって同じだろ」
勇者「そんなの分からないだろう!」
エルフ「…少なくともこの魔物は一週間、寝たきりの勇者をここに置いて、面倒を見てくれたんだ。信頼したっていいじゃないか」
勇者「……」
111: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:22:39 ID:w0c13LFs
勇者「分からないんだよ。何を信じればいいか」
エルフ「……」
勇者「信じられる人たちは、みんな俺から離れていってしまう。俺は何を信じればいいんだよ…」
エルフ「この……ヘタレッ!!」
勇者「……!」
エルフ「誰かに甘えてばかりいるなよ! お前には足が二本生えてるだろうが! だったら、自分の足だけで立ち上がれよ! 自分の足だけで前に歩いていけよ!」
勇者「……」
エルフ「まずは、自分を信じろよ!」
勇者「……」
エルフ「……ふんっ」
エルフは外に出て行った!
112: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:25:31 ID:w0c13LFs
オーク「……ほら、粗末なもんだが飯だ。ずっと飲まず食わずだったんだ。まずは英気を養いな」
勇者「……」
オーク「あの嬢ちゃんはずっと付きっ切りで看病してたんだぜ。その嬢ちゃんに報いるためにも食いな」
勇者「……」
勇者は食事に手を付けた!
勇者「…うまい」
勇者は勢いよく食べ始めた!
勇者「うっ…ううっ…」
勇者は泣き始めた!
勇者「うっ…くそ、もう泣かないと誓ったのに…」
オーク「誰にだって泣きたくなる日はあるだろ」
113: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:27:43 ID:w0c13LFs
勇者「うっ…うっ…」バクバクッ
オーク「泣きながら食うなんて器用な奴だな」
勇者「ただ泣いてるだけの時間なんてない。強くならなくちゃいけないんだ!」
オーク「お、おう。というか、絶食からそんな一気に食べると…」
勇者「うっ」
ぎゅるるるるう
勇者「と、トイレ!」
オーク「言わんこっちゃない」
114: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:29:57 ID:w0c13LFs
エルフ「……」
勇者「あの」
エルフ「なに?」
勇者「その、ありがとな。ほんと、色々と」
エルフ「別に」
勇者「…俺、強くなるよ。やっぱり、誰かを信じるために。信じた誰かを守れるくらいに」
エルフ「…ふん、勝手にしろよ」
勇者「それだけ伝えたかったんだ。本当に、ありがとな」
エルフ「…その」
勇者「ん?」
115: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:31:55 ID:w0c13LFs
エルフ「その…お前は不甲斐ないヘタレだ」
勇者「…ああ、そう思われても仕方がない」
エルフ「お前を勇者なんて呼んでやらない」
勇者「ああ。右腕もこんなだしな」
エルフ「だから、お前が、本当に勇者になれるか、その、見届けてやるよ」
勇者「…え?」
エルフ「だから、魔王を倒す旅に同行するって言ってるんだ!」
勇者「あ…ああ。…よろしくな!」
エルフが仲間になった!
116: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:37:20 ID:w0c13LFs
時は少し遡り…
中央国・南部。
傭兵1「やい! 赤騎士!」
赤騎士「お前たちは先ほどの…。どうして逃げなかった」
傭兵2「女の子を犠牲にしておいて、逃げられるか!」
傭兵3「彼女がいなきゃ、さっきの戦いで死んでいた! この命、餞になるならば惜しくない!」
傭兵4「皆、戻ってきたぜ! お前をこのまま帰らせてたまるか!」
兵士長「ここで引けば、男として胸を張って生きることができんからな」
赤騎士「愚か者たちめ…。だが、嫌いではない! 相手致そう!」
剣士「あのー、お取込み中悪いんだけど、人探しをしてるの」
赤騎士「…状況を考えろ、小娘」
117: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:41:52 ID:w0c13LFs
剣士「ごめんなさい。でも、この辺りに右腕に包帯を巻いた男が向かったという話を聞いたの。綺麗な女の人も一緒と聞いたんだけど、あっでも綺麗といっても所詮メス豚だからそこは履き違えないで掃き溜めみたいなものよ、知らない?」
兵士長「その男女ならば、先ほどまで、この半人半馬の魔物と戦っていた!」
傭兵5「別嬪さんは赤騎士にやられちまったよ…。男は少女と一緒に何処かに飛んでいった…」
剣士「あのバカはまた、女と一緒なの。どうしてアタシがこんなに追いかけてるのに遠くに行くのよ。もしメス豚に毒されたりしたら消毒しなきゃいけないじゃない。ずっとアタシのそばにいればいいのに」ブツブツ…
赤騎士「もういいだろう、小娘。我々は命を懸けた戦いをしようとしている。これ以上水を差すな」
剣士「…あのバカは、アナタと戦って、負けたのね」
赤騎士「……」
剣士「アナタを殺すわ許さないアイツを傷つけていいのはアタシだけアナタなんかにその資格はない命で償いなさい」チャキッ
赤騎士「…無礼者め! 万死に値する!」
118: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:45:58 ID:w0c13LFs
赤騎士の『連続魔』!
『究極破壊魔法』!
『究極破壊魔法』!
『天地崩壊』となった!
剣士は魔法を切り裂いた!
赤騎士「む!? ……『奇跡の腕輪』か!」
剣士の『会心の一撃』!
赤騎士の盾を切り裂いた!
赤騎士「チイッ…!」
剣士「まだまだ!」
剣士の『超・連続斬り』!
赤騎士「うおおおっ!」
赤騎士は辛うじて全ての斬撃を受け止めた!
119: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:48:16 ID:w0c13LFs
赤騎士の『火炎斬り』!
剣士「ッッ!」
剣士は何とか躱した!
剣士の『疾風斬り』!
赤騎士「はあっ!」
赤騎士は剣で受け止めた!
赤騎士「…やるな!」
剣士「アンタもね!」
2人は距離を取って睨み合う!
120: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 09:51:08 ID:w0c13LFs
・・・
赤騎士「はあはあ…! 喰らえい!」
赤騎士の『亜空切断』!
剣士の肩を掠めた!
剣士「ぐううぅ…!」
剣士の肩の肉が空間ごと削ぎ落とされた!
剣士「…いい加減、くたばりなさいっ!」
剣士の『会心の一撃』!
赤騎士「うがああっ!」
赤騎士を倒した!
121: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 10:00:26 ID:w0c13LFs
赤騎士「…よもやこの私が、敗北するとは」
剣士「はあはあ…。よく、言うわ…アンタ、分身か何かでしょう?」
赤騎士「…そこまで見抜いているとは」
剣士「なんか、そんな気がしただけ」
赤騎士「…天才的な勘の持ち主だな。貴様の言う通り、私は本体の全力を出し切れない分身だ」
剣士「…本物はまさに化け物ね」
赤騎士「貴様も大概だがな。貴様からは、まるで魔物――魔王に似たものを感じるな」
剣士「ふん、勝手なことを言わないでよね」
赤騎士「…次に戦う時は全力でやらせてもらうぞ」
赤騎士の分身が消えた!
122: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 10:05:56 ID:w0c13LFs
剣士「もっと強くならなきゃね…」
剣士「ん、なんか落ちてる?」
剣士は『閃光スカーフ』を手に入れた!
剣士は『祝福の指輪』を手に入れた!
剣士「…使えそうね。貰っておきますか」
剣士「しかし、アイツの足取りが掴めなくなっちゃったな…でも、この辺りにアイツの匂いがまだ残ってる…」クンカクンカクンカクンカクンカ…
123: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 10:08:59 ID:w0c13LFs
西の国・オアシスの町
赤騎士「……」
黄竜「いやー、無血で占領できてよかったねー」
赤騎士「…ああ」
黄竜「どうかしたの?」
赤騎士「中央国南部に置いてきた分身が消えてしまった」
黄竜「…君が人間に負けたのー?」
赤騎士「おそらくは。…分身が負けたときは、前線の魔物に撤退の命令を下している」
黄竜「つまり?」
赤騎士「中央国南部の占領地は軒並み解放されるな」
黄竜「うへー。君の努力が無駄の泡じゃん」
124: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 10:12:01 ID:w0c13LFs
赤騎士「この侵攻で亡くなった兵が浮かばれんな」
黄竜「たしかにねー。緑鬼は何してるんだか」
伝令魔物「赤騎士さま」パタパタッ
黄竜「……どうして伝令は赤騎士にだけ報告してくんだー」
赤騎士「お前が伝令の話を聞いてると寝るからだろう」
黄竜「……だって、まどろっこしいんだもーん。それで何だって」
赤騎士「現在の状況報告だ。緑鬼は内地に戻った。療養が終わり次第処罰が下される」
黄竜「そりゃーねぇ」
125: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 10:14:16 ID:w0c13LFs
赤騎士「青魔導師は引き続き例の件に携わっている」
黄竜「青魔導師も心配だなあ。ドジばっかりするし」
赤騎士「私はあの子についてはあまり心配していない。部下に恵まれているしな」
黄竜「やっぱり娘は可愛いもの?」
赤騎士「まあ、否定すれば嘘になるな」
黄竜「子煩悩だー」
赤騎士「それ程でもないさ」
130: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 21:45:30 ID:WFDE6Zac
北の国・剣の山
勇者「なぜ、オークはこんなところに住んでるんだ?」
オーク「切った張ったの世界に飽きたのさ。ここらは険しすぎて人も寄り付かんから隠遁にはもってこいだ」
勇者「なるほどな。それじゃ、どうして俺たちを助けてくれたんだ?」
オーク「昔、行き倒れたとき、エルフの一族に助けてもらったのさ」
勇者「へえ、エルフたちが…」
オーク「彼らは心優しい種族だからな。そんなわけで、その借りを返そうと思ってな」
勇者「そういうことだったのか。だが、エルフの一族もほとんど滅びてしまったのは知ってたか?」
オーク「…なんだと?」
勇者「魔物の侵攻でエルフの森は焼き払われたらしい」
オーク「そうだったか…。嬢ちゃんには酷いことをしちまったな」
131: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:01:52 ID:WFDE6Zac
勇者「あの、緑鬼とかいう魔物は許せない」
オーク「緑鬼だと!?」
勇者「知ってるのか?」
オーク「あ、ああ。まあ、四天王だからな。緑鬼がエルフの森を…?」
勇者「ああ。俺も見たわけじゃないが」
オーク「…そうか」
勇者「緑鬼を知っているということは、赤騎士という魔物も知ってるか?」
オーク「もちろん。彼はとてつもなく強いな。彼より強いのは魔王さまくらいじゃないか」
勇者「…魔王は赤騎士より強いのか?」
132: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:06:44 ID:WFDE6Zac
オーク「なんと言っても、魔物を統べる者だからな」
勇者「…さすがは魔王といったところか」
勇者「他の四天王は?」
オーク「俺も魔物だからな。あまりそういった情報は口外したくないが」
勇者「それもそうか……」
オーク「まあ、話してもいい範囲だけ話そう」
勇者「頼む」
オーク「黄竜という魔物と青魔導師という者が残りの四天王だ」
勇者「黄竜、青魔導師」
133: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:15:17 ID:WFDE6Zac
オーク「ああ。黄竜は電撃攻撃や素早い攻撃を得意とするドラゴンで、青魔導師は青魔法を得意とする魔法使いだ」
勇者「青魔法?」
オーク「一般的な魔法とは一線を画す魔法だ。魔法も珍しいが、青魔法はもっと珍しいし、特異だ」
勇者「連続魔みたいなものか?」
オーク「連続魔とも違うな。連続魔は、魔法の頂点ともいうべき力だ。青魔法は、毛色の違う魔法」
勇者「普通の魔法から縦にずれるか横にずれるかといった感じか?」
オーク「そうとも言えるな」
勇者「うーん」
オーク「すまないが、これ以上は言えないな」
勇者「分かった、ありがとう」
134: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:18:10 ID:WFDE6Zac
オーク「俺も聞きたいことがある」
勇者「ん?」
オーク「その右腕だ」
勇者「これは、その…」
オーク「女神の力だろう? 魔王を倒すための」
勇者「まあ、一応…」
オーク「その右腕が、そんな形なのにはどういう意味があるんだ?」
勇者「その…女神が渡す力を間違えたらしい」
オーク「…難儀してるんだな」
勇者「ははは…」
135: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:21:01 ID:WFDE6Zac
数日後
オーク「麓の村までは少し遠いが、日没までには着くだろう」
勇者「うん。お世話になった」
エルフ「一カ月近くも本当にありがとう」
オーク「困った時はお互い様さ。険しいから気を付けて降りなよ」
勇者「うん。達者で」
136: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:22:27 ID:WFDE6Zac
エルフ「これから、どうするの?」
勇者「一度、村に降りて考えよう」
エルフ「なんだ、無計画だな」
勇者「取り敢えず情報を集めたいんだ。このまま南部に下ってもまた二の舞を踏むだけだし」
エルフ「それは確かに」
勇者「魔物たちは西国からも侵攻しているらしいし、そちらに対する情報も欲しい」
エルフ「魔王を倒すまで長い道のりになりそうだ」
137: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:26:04 ID:WFDE6Zac
北国・剣の山麓の村
勇者「何とか日没に間に合ったな」
エルフ「途中で魔物から色々とかっぱらってきたから、換金すればお金にも困らなそうだ」
勇者「手癖の悪さも役に立つもんだな」
エルフ「処世術だよ」
勇者「しかし、この顔と右腕を何とかしないと、村に入れないぞ」
エルフ「それじゃ、ここでお留守番だな」
勇者「おい」
エルフ「冗談。間に合わせだけど包帯を巻こう。今は、その、振動しないみたいだし…」
勇者「見苦しくて、ごめんな」
エルフ「仕方ないさ。問題は顔のヤツだな」
138: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:29:06 ID:WFDE6Zac
勇者「うーん、どうすればいいかな?」
エルフ「顔も包帯を巻けばいいんじゃないか?」
勇者「いや、さすがにおかしいだろ」
エルフ「そこは酷い怪我をしたということで。宿を取ったら引きこもってれば大丈夫だろ」
勇者「うーん…」
宿屋「…では、ごゆっくり」
エルフ「ほら、大丈夫だったでしょ?」フフン
勇者「めっちゃ、不審な目で見られたけどな」
エルフ「借りられたんだからいいじゃないか」
勇者「それはそうだが…」
139: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:32:09 ID:WFDE6Zac
・・・
エルフ「ふう…。温泉って素晴らしい」ホカホカ
勇者(…女の子の湯上り姿って色っぽいよなあ)
勇者(普段は色気なんてないのに、妙に意識してしまう)
エルフ「……?」
勇者(顔立ちはちょっと中性的で、あどけなさがあるけど、そのせいで女性的な亜麻色の綺麗な髪がより引き立てられているというか)
エルフ「な、なにジロジロ見てんだよ」
勇者(しかも湯上りで紅潮した頬がその童顔と相俟って不思議な妖艶さを演出していて…)
勇者「…可愛いな」ボソッ
エルフ「ば、バカ! 急に何言い出すんだよ……」
勇者「あ、こ、声に出してたか?」
エルフ「……」プイッ
勇者(う…恥ずかしい…)
140: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/03/31(火) 22:36:38 ID:WFDE6Zac
エルフ「…温泉」チラッ
勇者「え?」
エルフ「今なら誰もいないから入ってきたらどうだ?」
勇者「あ、ああ。…そうするよ」
エルフ「きゅ、急に変なこと言いやがって、あいつめ…」
エルフ「か、可愛いか…」
145: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:11:48 ID:fTByfurk
翌日。
エルフ「じゃあ、おれが情報を集めてくるから大人しくしてろよ」カポッ
勇者「なあ、エルフであることを隠すのは分かるけど、どうして男のフリするんだ?」
エルフ「その方が都合いい…というかエルフの女とバレると最悪だからな…。これも処世術さ」
エルフは出かけていった!
勇者「…ふう、ここしばらくあいつがそばにいたから一人になると変な感じだな」
勇者「…処世術、か。あいつも大変なんだよな」
勇者「俺はあいつのために何ができるんだろう?」
勇者「取り敢えず今は大人しくしておくか」
146: 昨日は更新できなくてすまなんだ 2015/04/02(木) 08:13:47 ID:fTByfurk
エルフが帰ってきた!
勇者「ん、お帰り。どうだった?」
エルフ「中々興味深い情報が聞けた。新聞も買ってきたぞ」
勇者は新聞の見出しに目を通した!
勇者「…中央国南部を魔物から奪還した!?」
エルフ「ああ、世界中で大きなニュースとなっている」
勇者「中央国と魔国の海峡以南まで、魔物を撤退させた。……立役者は勇者の再来と思われるみめ麗しい処女(おとめ)」
エルフ「だってさ」
147: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:15:44 ID:fTByfurk
勇者「あ、赤騎士はどうしたんだ?」
エルフ「…侵攻部隊のリーダーは倒されたらしい」
勇者「この、みめ麗しい処女に? なんだか、きな臭いな」
エルフ「あの赤騎士を倒せるとしたら、魔法に対して、対抗手段を持ち、剣術で彼に劣らない戦士だろうな…」
勇者「あ、俺と同じ東国出身と書いてる。…いや、まさかな」
エルフ「あれ程の強者を一人で倒せる人間…そんなのがいるとは思えないが」
勇者「もしかしたら、魔物の作戦の一つだったりするかも…現時点では何とも言えないが」
エルフ「もっと情報が欲しいな」
勇者「ああ」
148: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:16:38 ID:fTByfurk
エルフ「まあ、でも明日は食糧の買い足しに行ってくる」
勇者「そうか…。洗濯から何から任せきりで本当にすまない」
エルフ「酷い怪我人という設定だから仕様がないさ。その分、野営時は任せた」
勇者「ああ」
エルフ「…しかし、その右腕だけでも、何とかならないのか?」
勇者「ん?」
エルフ「元の手に戻したりできないのか?」
勇者「何回か試してみたけど、無理だった」
149: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:18:26 ID:fTByfurk
勇者「……いや、でも待てよ。女神さまほどの変態の力だ」
勇者は包帯を解いて右腕を変化させた。
エルフ「お、普通の右腕になったな」
勇者「…いや、これは俺の腕じゃない。ほら、左右を比べてみろ」
エルフ「ん、確かに右腕の方が綺麗だ。細さと筋肉の均整がとても綺麗に取れている」
勇者「これも一応女神さまのエログッズだろうな」スッ
さわっ
勇者の右腕がエルフの耳を撫でた!
150: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:19:29 ID:fTByfurk
エルフ「んっ、な、何すんだ! ふぁっ…」
勇者「い、いや右腕が勝手に動いて!」
さわさわっ……
エルフ「や……ちょ、ちょっと……んんっ、ほんと、やだ! あんっ」
勇者「あわわ…」
むにむに……
エルフ「あっ……んっ……だ、だめ……やっ……そんな、とこっ」
ついー……
エルフ「ひうっ……!」
くちっ……
151: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:20:36 ID:fTByfurk
エルフ「そ、そこはぁ……やぁ……はぅ……ぁ…んっ…んんっ……ふっ……あぁ…っ!」
さすさすっ……
エルフ「あんっ……つよく…ひゃっ……ぁぁ……しひゃ……」ビクビク
きゅっきゅっ
エルフ「ひゃあっ……んんっ……んあっ!!」ビクビクンッ
勇者「」
エルフ「はぁ…はぁ……」ぐてっ
152: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:22:24 ID:fTByfurk
・・・
エルフ「…この辺で許してやる」
勇者「はひっ、ふみまへんへしは……」ボロボロ
エルフ「…この淫獣」
勇者「うう、女神さまの力のせいなのに…」
エルフ「なに?」ぎろっ
勇者「なんでもないです」
エルフ「……」
勇者「……」
153: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:23:47 ID:fTByfurk
エルフ「…せ」
勇者「せ?」
エルフ「責任、とれよ」
勇者「せ、責任…? どうやって? 」
エルフ「…今のは撤回だ。誰がお前なんかに…」
勇者「あ、はい。…良かった」
エルフ「……」むかっ
エルフ「『電撃魔法・中』!」
勇者「あばばばば」
154: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:26:20 ID:fTByfurk
翌日。
毎度ありー
エルフ「さて、必要なのはこんなものか」
娘「…まったく、この私が使い走りをするなんて」
ガッ
娘「きゃあっ!?」ドテッ
エルフ(何もないところでコケてる…)
娘「うっ、うっ……痛いですわ」
エルフ「あー、お嬢さん。大丈夫? 荷物が散らかってるよ」ヒョイヒョイッ
娘「あら、坊や。ご親切にどうも」
155: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:28:12 ID:fTByfurk
エルフ「……?」ヒョイヒョイッ
娘「…まったく、どうして私がお使いをしなくてはいけないのかしら」ブツブツ
エルフ「それでは、失礼」
娘「助かりましたわ。御機嫌よう」
エルフ「あの女から魔力を感じた。…尾けてみるか」
156: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:30:19 ID:fTByfurk
村から南の森。
エルフ(随分と村から離れたところまで来たわね)
娘「うう……痛いですわ……」
エルフ(というか、さっきから何回コケてるの。見てるこっちが冷や冷やするわ…)
娘「はあ…疲れましたわ」トボトボ…
エルフ(…やっと目的地に着いたのみたい)
猫娘「随分と遅かったですニャ。また道に迷いましたかニャ?」
娘「失礼な! まっすぐ来れましたわ! …帰りは」
157: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:32:04 ID:fTByfurk
淫魔「相変わらずですね。そういうところも可愛いんですけど。ふふ、食べちゃいたい」ペロッ
娘「……」ぞぞっ…
淫魔「…ふふ、怯えてる顔も可愛い」
娘「とにかく疲れましたわ。四天王ともあろう私を使い走りにするなんてなんて酷い部下たちなんでしょう」
淫魔「だって、それが一番怪しまれませんからねぇ」
158: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:33:23 ID:fTByfurk
娘「あなたも人間とほとんど変わりないと思いますけれど」
猫娘「淫魔に任せたら村中の女の子を堕とすまで帰ってこニャくなりますから」
淫魔「うふふ……」
娘「だからって……!」
猫娘「分かりましたから早く、中に入りましょうニャ」
159: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:37:33 ID:fTByfurk
エルフ(…こんなところに相応しくない実力の魔物たちね。しかも、四天王?)
エルフ(…とりあえず帰って、あのヘタレに伝えよう)
ゴッ
エルフ「…っ!?」くらっ…
バタッ
蜘蛛娘「尾けられたのね。やっぱり抜けてるわねえ」
骨娘「殺しちゃうべきカシラ?」
蜘蛛娘「まずは下に連れて行きましょう」
160: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:44:38 ID:fTByfurk
勇者「……遅いな」
勇者「もう日が暮れたぞ。何してるんだ?」
勇者「…………」
勇者「探しに行くか」
・・・
勇者「すみません」
商人「もう店仕舞いだよ」
勇者「いや、買い物じゃないです。ええと、帽子を被った少年が買物しにしませんでしたか?」
商人「ああ、来たね。旅の途中みたいだったな。連れ合いかい?」
161: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:51:48 ID:fTByfurk
勇者「その後、どこに向かったか分かりませんか?」
商人「さすがに知らねえな。……そういや、そのお客の後に尾行するような感じだったかもな。気のせいかもしれねえが」
勇者「そうですか」
商人「んん、暗くて見えなかったが、アンタそんなに包帯を巻いてケガでもしてんのか?」
勇者「い、いえ。ありがとうございました」
勇者はそそくさとその場を後にした!
勇者は更に聞き込みを続けた!
しかし有力な情報を得られなかった!
勇者は一旦宿に帰った!
エルフはまだ帰っていなかった!
162: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:52:41 ID:fTByfurk
勇者「…嫌な予感がするな」
勇者は更に聞き込みを続けた!
村人「ああ、南の方の森に向かっていくのを見たな。最近あそこらへんは魔物がよく出没するんだよな」
勇者は村の南に向かった!
勇者(…無事でいてくれよ)
163: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:54:14 ID:fTByfurk
・・・
勇者「…ん? 小屋か?」
ヒュッ!
勇者「っ!?」
勇者は背後からの攻撃を何とか躱した!
蜘蛛娘「あら、ニンゲンのくせにやるわね」
骨娘「ニンゲンは皆殺しヨ」
勇者「…この辺りの魔物にしては強そうだな」
蜘蛛娘「んふふ、勘が鋭いわね」
164: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 08:56:05 ID:fTByfurk
勇者「…この小屋に何かあるのか?」
蜘蛛娘「さあね。アナタが知る必要はないわ」
骨娘「ここで死ぬんだからネ」
勇者「人探しをしてるのに面倒だな」
蜘蛛娘「んふふ、もしかしてエルフの娘さんかしら?」
勇者「…彼女をどうしたんだ?」
骨娘「それも知る必要ないワ」バキバキバキ……
勇者「女の魔物には負ける気がしないな」
165: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 09:07:31 ID:fTByfurk
エルフ「……ん」
淫魔「あら、お嬢さんのお目覚めよ」
エルフ「……ぐっ!」ガシャッ
エルフは鎖に繋がれている!
娘「あなたは何者ですの? どうして私の後を追ってきましたの?」
猫娘「まったく、尾けられるなんて爪が甘いですニャア」
娘「だ、黙らっしゃい!」
淫魔「質問に答えてちょうだい。回答次第ではあなたの処遇も変わるわよ」
花娘「現段階だと、処刑……」
166: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 09:09:55 ID:fTByfurk
エルフ「…おれは、エルフ族の生き残りだ」
鳥娘「エルフ族って緑鬼に滅ぼされたんだよね? かわいそう!」
屍娘「あうー」
淫魔「どうして、ここまで追ってきたのかしら?」
エルフ「…魔力を持つ者が、ここにいるのは怪しいと思ったからだ」
猫娘「それはたしかに」
花娘「魔力を感知できるなら、魔法も使える……?」
鳥娘「魔法が使えるなら、ボクたちに協力してくれないかな?」
エルフ「……」
167: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 09:11:31 ID:fTByfurk
娘「『絶対にいや。わたしは魔物を許さない。緑鬼ふくめて根絶やしにしてやる』」
エルフ「!?」
花娘「驚いてる…」クスクス
娘「私、他人の心の中が読めますの。あなたの心の中は、すでに全部読み取りずみですわ」
淫魔「さっきまでのは、ちょっとした戯れよ。うふふ、案外素直なのね」
エルフ「っ!」キッ
青魔「動揺を怒りで誤魔化そうとしても、私には全て筒抜けですわ」
エルフ「…あの間抜けた行いの数々も欺くためか」
淫魔「あ、それは素なのよね」
娘「え、演技ですわ! わ、わたくしは名女優なのですわ!」
エルフ「……」
娘「そこ! 私に対する心象を改めないでくださる!?」
168: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 09:17:29 ID:fTByfurk
猫娘「あのー…提案ニャのですが、この長い長いモグラ生活の成果である『古代魔法』を試しませんか?」
娘「うふふ、そうですわね。あと、不満は私に向けられても困りますわ」
エルフ「な、なにをするつもりだ」
娘「うふふ…ちょっとした実験ですわ」
娘「古代魔法『憎悪極限化』!」
エルフ「……っ!」ドクッ
169: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 09:19:16 ID:fTByfurk
――「2人だけでも生き延びて……!」
やだよ、お母さん……!
――「うう、お姉ちゃん……」
ねえ、起きて……起きてよ!
――「ひゃあっはっはっは!! おら、もっといい声で泣け!」
許さない……殺す……殺すっ!!
――「おい、エルフのメスだぜ。捕まえれば高値で売れるぜ」
人間も、最低だ……!
誰か助けてよ!
どうして誰も助けてくれないの……!
……みんな、みんな殺してやる!! 殺してやるんだから!!
170: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/02(木) 09:22:30 ID:fTByfurk
蜘蛛娘「くっ、このワタシがニンゲンに遅れを取るなんて……あぁっ……んん……あひっ!」ビクビクッ
骨娘「ア……ン……ンン……ファ……ンアアアッ!」ビクビクンッ
勇者「エルフの居所を吐いてもらおうか。そしてお前たちのことも」
蜘蛛娘「ぜ、絶対に話さないわ……っ」
勇者「抵抗するなら……」
勇者は右腕の力を更に強くした!
蜘蛛娘「あひいいぃぃぃ!!」
勇者は右腕の力を更に強くした!
蜘蛛娘「んほおぉぉぉぉ!!」
勇者「これでもまだ話さないか?」
蜘蛛娘「は、話すからあぁぁぁ! もういやああぁぁぁぁ!」
骨娘「」ピクピク
175: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:34:41 ID:IhLpruwU
・・・
勇者「……こんなボロい小屋に隠し階段があるなんてなぁ」コツン…コツン…
勇者「おっ、扉だ」
勇者は扉を開けた!
娘「うふふ、来ましたわね勇者、女神に選ばれし人間」
勇者「……」
娘「うふふ、私は四天王が一柱、青魔導師ですわ」
勇者「……上にいた魔物から話は聞いた。ここは古代文明の遺跡らしいな」
青魔「ええ、その通り。そして私は古代魔法を解明するために此処に来たのですわ」
猫娘「ここまで来たということは、見張りたちを倒したということだニャ」
青魔「私の大切な部下を傷付けた報い、受けて貰いますわ!」
勇者「お前こそ、俺の仲間を返せ!」
176: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:36:56 ID:IhLpruwU
青魔「うふふ、それは貴方しだいですわ」
「『火炎魔法・大』」
勇者「っ!?」
勇者は右腕で魔法を防いだ!
勇者「…どうしたんだ、その姿は」
「憎しみに心を堕としたエルフは闇の力を得るのよ」
ダークエルフ「勇者…憎むべきニンゲン…」
勇者「どういうことだよ…」
ダークエルフ「わたしが断罪するわ」
177: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:39:21 ID:IhLpruwU
ダークエルフの『電撃魔法・大』!
勇者は辛うじて防ぐ!
勇者「青魔導師! 彼女に何をした!」
青魔「少し古代魔法をかけただけですわ。見た目まで変わったのは想定外でしたけれどね」
勇者「古代魔法だと?」
青魔「かつての魔大戦で失われた魔法ですわ。心や感情、記憶を意のままにできる恐ろしき魔法」
ダークエルフの攻撃!
勇者「…しまっ!? ぐううぅっ!」
ダークエルフ「青魔導師さまはわたしを楽にしてくれた。わたしは、やっとわたしらしくなれたの」
青魔「うふふ、ダークエルフ、その憎らしい男を殺してしまいなさい!」
178: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:40:48 ID:IhLpruwU
ダークエルフの攻撃!
勇者「ぐっ……」
ダークエルフ「――わたしは、臆病者だった」
ダークエルフの攻撃!
勇者「ううっ……」
ダークエルフ「憎悪を抱えているのに、復讐したいのに、殺すことをずっと躊躇っていた」
ダークエルフの攻撃!
勇者「ごふっ……!」
ダークエルフ「けれど、憎しみが最大にまで達したとき、悟ったの」
ダークエルフの痛恨の一撃!
179: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:42:36 ID:IhLpruwU
勇者「ぅ……」
ダークエルフ「この憎しみに身を委ねれば、わたしは強くなれる。そして復讐することができると」
ダークエルフの止めの一撃!
勇者は左腕で受け止めた!
左腕が折れた!
ダークエルフ「……!」
勇者「――違うよ」
180: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:43:51 ID:IhLpruwU
ダークエルフの一撃!
勇者「かひゅっ…!」
ダークエルフ「……」
勇者「君は、臆病者…なんかじゃ、ない」
ダークエルフ「……」
勇者「強いから、憎しみに、染まらなかったんだ」
ダークエルフ「……」
勇者「……俺は強い君に勇気を貰った。だから、また、立ち上がれたんだ」
ダークエルフ「…うるさい」
青魔(心に揺らぎが…?)
181: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:45:50 ID:IhLpruwU
勇者「俺はまだまだ弱いままだ。それでも君を信じたい」
ダークエルフ「うるさいっ!! あなたに何が分かるのっ!? 」
勇者「君が優しくて強い人だということは知ってるさ」
ダークエルフの『凍結魔法・大』!
勇者の下半身が凍りつく!
勇者「ぐっ……うぅ……」
ダークエルフ「氷漬けになって死になさい!」
勇者「……君を、信じる…よ」
勇者は完全に凍り付いた!
182: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:48:45 ID:IhLpruwU
ダークエルフ「……」
青魔「…さあ、ダークエルフ! 勇者を粉々に砕きなさい!」
ダークエルフ「…………ほんと、バカだな、お前は」
ダークエルフは『火炎魔法・中』を唱えた!
勇者の体が氷解していく!
青魔「なっ!?」
183: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:50:59 ID:IhLpruwU
ダークエルフ「『わたし』の邪魔をしないでっ! 臆病者は眠ってなさい!」
ダークエルフ「憎しみのままに行動するのが勇敢なわけないだろ!」
ダークエルフ「『わたし』こそが本当のわたしなの! 強がってる子どもは引っ込みなさい!」
ダークエルフ「強がることもできない『わたし』が一番臆病だろうが! 強がることもできない甘えん坊が『おれ』の体を使ってるんじゃない!」
ダークエルフ「――あああああああぁぁぁぁぁッッッ!!」
ダークエルフは辺り構わず魔法を乱発した!
184: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:54:29 ID:IhLpruwU
淫魔「くっ、暴走しているわね!」
猫娘「相変わらず、青魔導師さまは爪が甘いですニャア」
青魔「わ、私の古代魔法は完璧だったはずですわ!」
花娘「きゃあっ……!」
鳥娘「うわああぁぁぁ!」
ダークエルフ「あああああぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」
猫娘「ニャアアァ…!」
淫魔「ああぁ…」
ダークエルフは『火炎魔法・極』を放った!
青魔「くっ!」
青魔導師は『泡沫の吐息』を放った!
火炎を打ち消した!
ダークエルフは力の使い過ぎで倒れた!
185: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:55:57 ID:IhLpruwU
青魔「みなさん、ご無事!?」
返事は返ってこなかった……
青魔「…ゆ、許せないですわ! よ、よくも…!」
勇者「それは、こっちの話だ」
青魔「…そんな瀕死の体でまだ立ち上がりますの?」
勇者「負けるわけには、いかないんだ」ググッ
青魔(……! なんて真っ直ぐな心なんですの!?)
青魔「…それはこちらも同じですわ!」
青魔導師は『旋風魔法・大』を放った!
勇者「……ぅ」
勇者の脆くなっていた下半身が砕け散った!
辺り一面に夥しい血が溢れた!
186: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 22:58:20 ID:IhLpruwU
青魔「強がっても、もう棺桶入り間近ですわね!」
勇者(俺が、死んだら、エルフも……)
勇者(……もう、喪うのは、いやだ…)
勇者(どんな力だろうが、強い力だっていうなら……)
勇者「俺に、チカラを、よこしやがれエエェェ!」
勇者の魂が、女神の力と同化する!
勇者「ウオおオオオオォォぉォォッッ!!」
ボコボコボコボコッ……!
青魔「なっ、ケガが治ったですって!?」
187: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:03:19 ID:IhLpruwU
勇者?「…………ふん」
青魔(こ、心が読めないですわ…!?)
勇者?「小僧のやつ、力に食われやがったか」
勇者?「完全に同化できて、『右腕』だけという不完全な表出が治ったのは良かったんだがな」
勇者?「まあ、後は全て俺に任せてお寝んねしてな」ヒュッ
勇者?の放った紐が、青魔導師を拘束する!
青魔「きゃあっ!?」
勇者「顔の焼印も消すか。俺の責任みたいなものだったしな」シュウウウ…
青魔「は、離しなさい! 私に、な、なにをするんですの!」
勇者?「心配しないでくれ。君を快楽漬けにするだけさ」
青魔「心配しかありませんわ!」
188: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:04:27 ID:IhLpruwU
勇者「すぐに君は俺が好きになるさ。エロに関しては世界一だからね、俺は」
青魔「なっ!? は、恥を知りなさい!」
勇者?「精々強がってくれ。その方がやり甲斐があるというものさ」
青魔「か、快楽なんかに負けたりいたしません!」
勇者?「いいね、その言葉」
189: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:05:21 ID:IhLpruwU
・・・
青魔「あっ、あひっ……!」
勇者?「指でされるのは気持ちいい?」クチュクチュ
青魔「こ、このていど、んっ…なんとも……」ビクッ
勇者?「ちなみにこんなこともできる」ブゥゥゥン…
青魔「ひんっ…し、振動して……!」
190: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:07:09 ID:IhLpruwU
・・・
勇者?「もう下の口はぐじゃぐじゃだな。肘までベトベトだ」ニッチャニッチャ…
青魔「あっ、ああ……ん、ん……」グタッ
勇者?「……」
ズニュウッ
青魔「んほおぉぉっ!?」
青魔(そ、そんな……このような男に……)ポロポロ…
勇者?「泣くほど悔しい? でもさ……」
青魔「んひっ、んくっ、んあっ、あっ、あっ、あっ……!」
勇者?「とっても、だらしない顔してるよ」
191: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:08:32 ID:IhLpruwU
青魔(く、悔しいのに、どうしてこんなに……気持ちいいんですの?)
勇者?「俺は痛みを快楽に変えることもできるからね。処女でも気持ちいいままだろう?」
青魔「あっ、んはっ……」
勇者?「ほら、もっと乱れなよ」チュッ
青魔「んむっ!? …んんっ……んっ…ふ…ん……はふ」
ちゅっ、ちぐっ、くちゅ、れろ…
青魔「ふぁ…ぁ…」とろん…
勇者?「可愛いね」なでなで
青魔「ふにゃぁ…」
ズンッ
青魔「んあっ……!」ビクゥッ
192: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:09:52 ID:IhLpruwU
勇者?「少し激しくするよ」
ズッ、ズッ、ズッ……
青魔「んあっ…まっ、まってぇ、こわい、怖いぃ……」
勇者?「大丈夫だよ。ほら、捕まって」
青魔「あうぅ…」ぎゅー
青魔(もう、頭の中、まっしろですわ…すべて、忘れてしまいそう)
ヌッチュ、ヌチュ、ヌプ、ズリュッ……
青魔「んっ、んんっ、んはっ、あんっ!」
勇者?「はは、腰が動いてるよ。優秀だね」
193: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:12:43 ID:IhLpruwU
青魔「……っ!? うぅ…」
勇者?「そのまま乱れてなよ。その方がもっと気持ちよくなれるよ」
青魔「もう、いやぁ…いやですわ……」ひっくひっく…
勇者?「大丈夫だって」チュウッ
青魔「んっ、んむ、あぅ……」
青魔(こんなの、ダメですのに……そう思えば思うほど、気持ちいいですわ……っ)
ヌプッヌプッヌプッヌプッ……
勇者?「そろそろ出すよ。一緒にイこうか」
青魔「は、はひぃ…」
青魔(もう……このまま……)
パンッパンッパンッパンッパンッ……!
194: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:14:24 ID:IhLpruwU
勇者?「……イくぞ!」ビュルビュルッ
青魔「あっ、あっあっあっ……!」
青魔(す、すごいですわ…! あたたかくて、気持ちいい……)
ビューッビューッッ!
青魔(ああ……もうダメ)
勇者?「…はは、堕ちたな」
青魔「は、はいぃ…! もう、身も心も堕とされましたわ……好き、好きですわ、勇者さま」ちゅっ、ちゅうっ…
勇者?「ふふ……」ナデナデ
勇者?「まだまだ、終わりじゃないぜ」
青魔「……え?」
195: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:17:31 ID:IhLpruwU
・・・
青魔導師が仲間になった!
勇者「ふう…こんなもんか」
エルフ「……」すーすー
青魔「勇者さまぁ、好きぃ……」すやすや
勇者?「さてと、こいつらを連れて帰らないとな」
ドクンッ
勇者?「…ふん、小僧め。思っていたよりしぶといな」
勇者?「俺はもうお役御免ってか? 別にいいけどよ」
勇者?「困ったら、また代わってやるよ。…それが嫌なら、強くなりな。俺を感心させるくらいな」
勇者?「じゃあな」
196: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:19:19 ID:IhLpruwU
勇者「…………」
勇者「これじゃ、助けられてるのと何も変わらないじゃないか」
勇者「……強くならなければ、もっと、もっと。」
勇者「この力も信じられるようになれるくらい」
「フォフォフォ、悩める少年よ、思春期だのう!」
勇者「なっ、誰だ!?」
「ワシじゃよ、ワシ。って分かるわけないのう! フォフォフォ!」
勇者「どこにいる!?」
「ここじゃ、ここ」
勇者は金属の箱を見つけた!
197: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:21:03 ID:IhLpruwU
勇者「この中か……?」
勇者は恐る恐る箱を開けた!
中には何もなかった!
「フォフォフォ、この箱がワシじゃよ」
箱は老人に変化した!
「フォフォフォ、お主が勇者に選ばれた者じゃな」
勇者「あ、ああ」
「フォフォフォ、間違いなくかつての勇者よりも弱いのう!」
勇者「な……!」
「かつての勇者はその時代で一番の実力者じゃったがなぁ」
勇者「……」
198: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:23:18 ID:IhLpruwU
「しかし、お主は一目で分かる凡人じゃ。およそ、女神さまが手違いを起こしたんじゃろうな」
勇者「……あんた、何者だ?」
「女神さまの力の具現化した存在――勇者の従者じゃゾイ」
勇者「従者?」
従者「左様。勇者の戦闘から生活までをサポートするのがワシの務めだゾイ」
勇者「…なぜここに?」
従者「…如何せん、先の魔王との戦いが熾烈を極めたからのう」
勇者「…1000年前の人魔大戦争か」
従者「うむ。ワシにとっては、つい昨日のことのようじゃが、そんなに時が経ったか」
勇者「…本当にそんな戦いが存在していたんだな」
従者「1000年も経てばそう疑われても仕様がないのう」
勇者「……」
199: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:24:26 ID:IhLpruwU
従者「まあ、詳しい話はおいおいしようゾイ。今はそこの娘さんたちを何とかしてやるのが先決だゾイ」
勇者「それもそうだな。…二人を連れて行くのはキツいけど何とかなるかな」
従者「フォフォフォ、ワシの力を見せてやるゾイ!」
従者は勇者の身を包む強化服となった!
勇者「うおお?」
『これで楽に運べるゾイ』
勇者「すげえっ、爺さん、やるなあ」
『当然じゃゾイ!』
従者が仲間になった!
200: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:26:08 ID:IhLpruwU
――中央国・王都
「うおー! 勇者さまー!」
「勇者さまー! 魔王を倒してくれー!」
剣士「…なんでパレードなんかやらなくちゃいけないのよ。しかも国を挙げて」
中央大臣「勇者さまは国に大きな貢献をした英雄ですから」
剣士「大したことしてないわよ」
中央大臣「謙遜なさらないでくだされ」
剣士「別に謙遜してるつもりはないんだけどね」
「…ん、おい!」
「なっ…あれは何だ!?」
201: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:27:21 ID:IhLpruwU
上空から巨大な魔物が襲来した!
病魔「ゴハハハ! 小娘! 老龍と死の鳥を倒すとは、やるじゃないか」
剣士「…はあ」
病魔「四苦王も残り二柱となったが、その快進撃も終わりだ!」
剣士「アタシと戦うというのね?」チャキッ
病魔「ゴハハハ! 違う! お前を一方的に殺す! 俺は一瞬でこの王都の全人間を不治にすることができる」
剣士「王都全員を人質にするってわけ?」
病魔「ゴハハハ! そういうことだ!」
剣士「…一瞬で、ね」
202: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:30:03 ID:IhLpruwU
剣士の『神速斬り』!
病魔を倒した!
剣士「一瞬より速ければいい話じゃないの」カチンッ
中央大臣(いつの間にか魔物の首が飛んでるんだが…)
剣士「ん、何か落としたわね」
剣士は『武神の籠手』を手に入れた!
剣士は『女神のオーブ』を手に入れた!
剣士「…籠手は有用そうだけど、オーブは魔法に関するもののようね」
剣士「魔法なんて使えないから、意味ないわ」
剣士「…………」
剣士「ねえ、大臣さん」
中央大臣「あ、は、はい」
剣士「アタシ、魔法を習得したいんだけど」
204: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/03(金) 23:32:17 ID:IhLpruwU
西国・砂漠の村。
赤騎士「食料に乏しくなってきたな」
黄竜「生産的にも運搬的にも食料の供給が制約されるからねー」
赤騎士「これ以上侵攻の速度を上げるのは無理だな」
黄竜「兵にも結構、無理を強いてるからねー。君がいるから、ギリギリ統率ができてるようなものさ」
赤騎士「…早くあの四苦王を見つけなければな」
黄竜「同じ魔物なんだからもっと積極的に協力してくれてもいいのにねー」
赤騎士「言っても始まらないさ」
209: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/04(土) 23:59:23 ID:78ApDZ.w
――宿屋。
エルフ「……ん」パチッ
勇者「ああ、起きたか。良かった」
エルフ「ここは? …何してたんだっけ?」
青魔「勇者さま! 大変ですわ!」
エルフ「…きさまっ! よくもっ、やってくれたな!」ズズズ…
青魔「な、なんですの! 貴方こそ、私の部下たちを殺したくせに…!」
210: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:00:09 ID:GrYQu3UE
勇者「取り敢えず、二人とも落ち着いてくれ」
従者「フォフォフォ、血みどろの抗争劇が始まるかのう」
ダークエルフ「人を侮辱して、許さないわ!」
青魔「それは、私のセリフですわ!」
従者「フォフォフォ! 譲れぬ戦いがここにあるのう!」
勇者「二人とも、もうやめろって! 爺さんも煽るな!」
211: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:02:23 ID:GrYQu3UE
・・・
エルフ「……なんでこの魔物が宿屋にいるんだよ?」ムスッ
勇者「それはだな…」
青魔「私は勇者さまに、身も心も委ねたのですわ」ポッ
エルフ「……」じとー
勇者「ま、まあ、色々と事情があってだな…」
従者「わしも見ておったが、凄かったゾイ。あんなエロテクは見たことがないゾイ」
212: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:03:29 ID:GrYQu3UE
エルフ「ふーん…」じとー
勇者「な、なんだよ」
エルフ「…エロ猿」ボソッ
勇者「おいっ!」
青魔「私、勇者さまに愛してさえいただけるなら、もう何も要りませんわ」ぎゅー
勇者「ちょ、ちょっと、あまりくっつかないで」
エルフ「……」イライラ
従者「ひゃー、修羅場だゾイ!」ワクワク
勇者「あー、もう!! 話が進まねえんだよっ!!」
213: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:06:44 ID:GrYQu3UE
・・・
勇者「状況を整理しよう。まずは青魔導師」
青魔「はい」
勇者「君が、どうしてこの土地にいたのか、もう一度説明してくれ」
青魔「私たちは、人間を効率よく征服するための手段を求めて、この地を調査していたのですわ」
従者「この辺りは、かつて魔法に優れた都市であったしのう…」
勇者「確かに、王族とか権力者が操られたりすれば、人間側は瓦解してしまうな」
青魔「ええ、私たちはかつての歴史を基に、古代魔法について調査していたのですわ。そして再現に成功したのです」
エルフ「ふん…」
214: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:08:33 ID:GrYQu3UE
勇者「君以外に古代魔法を使える魔物はいるのか?」
青魔「いいえ、おりませんわ」
従者「取り敢えず、お嬢ちゃんが手元にいる間は古代魔法は脅威にはならんのう」
エルフ「ふん、いつ寝返るか分かったもんじゃない」
青魔「……」ムカッ
勇者(辛い…)
エルフ「だいたい、こいつは心が読めるんだ。そんな奴と一緒にいられるか」
青魔「まあ、貴方みたいに言動と心情が合致しない方は特にそうでしょうね」
エルフ「誰だって嫌に決まってるだろ!」
215: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:10:14 ID:GrYQu3UE
勇者「…初耳だな。心が読めるのか?」
青魔「え、ええ。まあ…」
勇者(…何か嫌な気持ちにしてしまうようなことを考えてなかったよな? …人の心を読むなんて辛いことの方が多いよな)
青魔「……!」キュンっ
青魔「勇者さま! そんな優しいところも好きですわ!」ぎゅうー
勇者「ちょ、ちょっと…」
ダークエルフ「……」
勇者「憎しみに染まるのやめて!」
216: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:11:17 ID:GrYQu3UE
・・・
勇者「つ、次にこの爺さんについてだ」
従者「ワシは勇者に見初められた哀れなジジイじゃ」ポッ
勇者「おいこら、ジジイ」
青魔「そんな! 私というものがありながら…」よよよ…
エルフ「節操なし」じとー
勇者「お前らも一々間に受けるな!」
217: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:13:48 ID:GrYQu3UE
従者「ワシはかつての勇者を支えるために生み出された者じゃ」
エルフ「かつての…って、あの伝説の勇者か?」
従者「うむ」
エルフ「それは心強いな」
従者「しかし、魔王は以前よりも力を増しているようじゃ。ワシには分かる」
勇者「……」
従者「片やこちらは以前よりも遥かにます勇者。参ってしまうのう」
勇者「うっ…」
従者「じゃからこそ、ワシの出番じゃ! ワシは、勇者の力になるため、様々な姿に変身できるゾイ!」
218: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/05(日) 00:15:32 ID:GrYQu3UE
青魔「変身?」
従者「強化服、盾、弓、刀…スプーンからパンツまで網羅してるゾイ!」
勇者「パンツとかスプーンはちょっと…」
青魔「勇者さまが汚れてしまいますわ!」
従者「失敬じゃのう! フォフォフォ!」
勇者「…そういえば、青魔導師」
青魔「はい?」
勇者「さっき、『大変だ』とか言ってなかったか?」
青魔「…ああ、いけない! そうですわ! 魔物の群れが村に攻めてきたのですわ!」
エルフ「…もっと早く言えよ!」
223: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 22:52:14 ID:2ANY2RB2
村の北端。
村人A「魔物の群れが出たぞー!」
魔犬A「ニンゲンを喰い殺せ!」
魔犬B「まずはこの村から滅ぼしてやる!」
魔犬C「いつまでもニンゲンの自由にさせてたまるか!」
224: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 22:52:50 ID:2ANY2RB2
村の西端。
村人B「きゃあぁ! 魔物よー!」
小鬼A「女を犯せー!」
小鬼B「男を殺せー!」
小鬼C「魔物こそ最強!」
225: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 22:53:28 ID:2ANY2RB2
村の南端。
村人C「ここにも魔物だー! 逃げろー!」
グールA「ナカマ、フヤス」
グールB「ナカマ、ナカマ」
グールC「ミンナ、トモダチニナル」
226: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 22:54:19 ID:2ANY2RB2
村の東端。
村人C「やばい! 村が囲まれてるぞ!」
大魔猿「ウキャキャ! あのブタもいなくなったし、オレサマの天下だ!」
大魔猿「いけ子分たち! !」
魔猿A「ウキャキャ!」
魔猿B「キキー!」
227: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 22:55:04 ID:2ANY2RB2
村の中央。
勇者「手分けして倒すぞ!」
従者「ワシは勇者の支援じゃ」
エルフ「一箇所、隙ができるぞ!」
青魔「殲滅させしだい、駆けつけましょう!」
228: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 22:55:59 ID:2ANY2RB2
村の南。
グールD「ナカマ、ナカマ」
グールE「トモダチ」
グールF「トモダチ、フエレバ、シアワセ」
グールG「シアワセ、シアワセ」
エルフ「『火炎魔法・大』!」
強力な火炎がグールたちを舐め上げる!
グールH「アツイ」
グールI「シンジャウ」
グールJ「モウ、シンデルヨ」
グールK「ソウダッタ」
229: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:03:22 ID:2ANY2RB2
エルフ「ああ、もう! あのヘタレも、あの女も意味が分からない!」
エルフは『火炎魔法・大』を放った!
グールL「ヒドイ」
グールM「デモ、トモダチ」
グールN「トモダチ」
グールO「ミンナ、トモダチ」
グールP「トモダチ」
エルフ「うるさい! さっさと成仏しろ!」
230: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:06:15 ID:2ANY2RB2
村の北。
魔犬C「ちっ、ニンゲンたちめ! 避難するのが早いな!」
魔犬D「追い込めばいい話だ!」
魔犬E「どうせ、ニンゲンごときでは我らには敵わん!」
青魔「あらあら、結構な数ですのね」
魔犬F「ニンゲンだ!」
魔犬G「喰い殺せ!」
231: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:08:43 ID:2ANY2RB2
青魔「可哀そうなワンちゃんたち。実力の違いが分からないのね」
青魔導師は『針千本』を放った!
魔犬たちの全身を数多の針が突き刺す!
青魔「愛する人のためなの。悪く思わないでくださいな」
232: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:10:05 ID:2ANY2RB2
村の西。
従者「ところで、お主は、エロ以外に何が得意なんじゃ?」
勇者「別にエロが得意なわけでもない! ずっと村の道場で、剣術の指導を受けてきた!」
従者「それじゃあ、竹刀になるかのう」ミキミキ……
勇者「竹刀かよ! そこは本物の剣になれよ!」
『殺傷能力は高いゾイ。因みに剣の腕前は?』
勇者「一応、道場ではニ番目に強かった」
『村の道場で二番手かい! パッとしないのう…』
233: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:11:34 ID:2ANY2RB2
勇者「うるさいな! 先輩が異常に強かったんだよ!」
『…まさか、一番に一度も勝ったことがないとか?』
勇者「…だっ、だって、あの人ほんとに強かったんだって! 先輩なら龍とかを倒してもおかしくないぜ!」
『大袈裟な。かつての勇者じゃあるまいし…』
勇者「…そんなことより、今は目先の敵だ!」
『小鬼の群れに連携を取られると厄介じゃゾイ』
勇者「まずは撹乱する」
234: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:12:31 ID:2ANY2RB2
勇者は左腕をバイブに変えた!
勇者「くらえっ! うっ…」ビュルビュルッ
バイブから大量の白濁ローションが放たれた!
小鬼D「うげえ! 何だこれ!?7
小鬼E「すげえヌルヌルしてキモい!」
勇者「それはな…猛毒だ!」
小鬼F「な、なんだってー!?」
小鬼G「毒だと!? 死にたくない!」
小鬼たちはうろたえている!
235: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:13:25 ID:2ANY2RB2
何匹か転んだ!
勇者(よし今の内に!)ミキミキ…
勇者は転んだ小鬼たちの頭を竹刀で思い切りカチ割っていく!
小鬼H「ひいいっ! 逃げろ!」
小鬼I「オレたちじゃ、ニンゲンに敵わないんだぁ!」
小鬼たちは逃げ出した!
『うーん、醜い戦法じゃのう』
勇者「殺し合いに綺麗も汚いもないだろ! それより、早く東に向かうぞ!」
従者は強化服に変化した!
『お主、中々戦闘に向いとるな』
236: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:19:58 ID:2ANY2RB2
何匹か転んだ!
勇者(よし今の内に!)ミキミキ…
勇者は転んだ小鬼たちの頭を竹刀で思い切りカチ割っていく!
小鬼H「ひいいっ! 逃げろ!」
小鬼I「オレたちじゃ、ニンゲンに敵わないんだぁ!」
小鬼たちは逃げ出した!
『うーん、醜い戦法じゃのう』
勇者「殺し合いに綺麗も汚いもないだろ! それより、早く東に向かうぞ!」
従者は強化服に変化した!
『お主、中々戦闘に向いとるな』
237: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:21:03 ID:2ANY2RB2
村の中央付近。
村人E「うう…つよい……」
大魔猿「ウキャキャ! もう戦えるヤツはいないのかよ!」
魔猿D「ウッキー!」
大魔猿「あっちにニンゲンたちが隠れてるのか! ウキャキャ! 皆殺しだ!」
エルフ「そうはさせない!」
大魔猿「ああん? 小便くさそうなガキだな」
エルフ「お前みたいな魔物は絶対に許さない!」
エルフは魔法を唱える!
大魔猿「む! こいつ、魔法を使うぞ! 糞投げだ!」
238: 連投スマソ 2015/04/06(月) 23:22:08 ID:2ANY2RB2
魔猿’s『ウッキー!』
エルフ「うわっ!?」
エルフは何とか回避した!
魔法の詠唱が中断された!
大魔猿「そのまま、休む暇なく攻め立てろ!」
魔猿E「キキーッ!」
エルフ「くっ!」
勇者「だああっ!」
大魔猿「なに!?」
勇者の体当たり!
大魔猿には当たらなかった!
魔猿’『ウキキッ!?』
魔猿たちは動揺した!
239: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:23:52 ID:2ANY2RB2
エルフ「『電撃魔法・大』!」
魔猿F「アキャキャッ!?」ビリビリッ
大魔猿「動揺すんな! こいつは俺がやる! お前らはあっちだ!」
魔猿G「ウキーッ!」
大魔猿「そうだ! 魔法を使わせるなよ!」
『フォフォフォ、中々指導力のあるボスじゃの』
勇者は右腕をムチに変えた!
勇者「所詮はお山の大将だろ」
勇者の攻撃!
大魔猿「おっと!」
大魔猿には当たらなかった!
240: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:27:06 ID:2ANY2RB2
勇者の攻撃!
大魔猿「くっ!」
大魔猿には当たらなかった!
大魔猿(くそっ! 躱せるが、反撃する隙がねえ!)
大魔猿「そんなん喰らわねえよ! 悔しけりゃ当ててみな! ウキャキャ!」
『安い挑発じゃのう』
勇者の攻撃!
大魔猿には当たらなかった!
大魔猿「ちっ、乗らねえか!」
241: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:28:17 ID:2ANY2RB2
勇者「…もう調整はいいか」
魔猿「あん?」
勇者「青魔導師!」
青魔「準備は万端ですわ!」
青魔導師は『針千本』を放った!
大魔猿「ギャアアアァ!!」
魔猿’s『ウキャキャッ!?』
魔猿の群れを倒した!
勇者の攻撃!
大魔猿「ガアアッ……」
大魔猿を倒した!
242: 以下、名無しが深夜にお送りします 2015/04/06(月) 23:29:01 ID:2ANY2RB2
残りの魔猿たちは逃げ出した!
エルフ「逃がすか!」
エルフの『電撃魔法・大』
残りの魔猿を倒した!
勇者「ふう…。みんなありがとう」
青魔「いえ。ただ、待ち伏せて急襲しようという作戦なのに、飛び出ていくから驚きましたわ」
勇者「いや、エルフが危なかったから」
エルフ「別に危なくなんてなかった!」
勇者「どうして不機嫌なんだ?」
エルフ「別に」ぷいっ
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