男「ククク・・・」女(こいつ・・・ただ者じゃないみたいね・・・)【前半】
- 2015年12月24日 23:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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男「ククク・・・転校生の男だ・・・よろしく・・・ククク・・・」
女(・・・なによあいつ、無愛想ね。なんか不気味に笑ってるし・・・顔は割りとイケてるけど、なんか気味悪いわね)
先生「う、うん? それでおしまい? そ、そう・・・それじゃああなたの席は・・・女さんの隣でお願いね?」
女(ゲッ、最悪・・・最近ただでさえ『組織』と『機関』と私達の『騎士団』による三つ巴の戦いが激戦を極めて疲れてるっていうのに・・・こんな変な男と・・・)
男「ほう・・・ククク、いいんですか先生? あいつと俺が隣の席で・・・あんたの『選択』はアカシックレコード協定違反ですぜ・・・? フフッ」
先生「・・・え、ええ? 問題ないと思うけど・・・」
男「フフフ・・・平凡な教師みたいな雰囲気を出しておいて、中々食えない事する・・・なかなかこの学園生活は楽しめそうだな・・・ククク」
先生「・・・あなた、何を言っているの? はやく席に就きなさい」
男「フフッ、何も知らない振りをするのは『前回』と変わらんな、先生・・・それじゃあ見させて貰おうか、新たな『選択』が導く『今回』の世界の行く末を・・・カカッ」
男「ククク・・・よろしくな女よ・・・ちなみに俺の名前は御刀虎(おとこ)とも読む・・・フッ、ここまで言えば貴様にはわかるかな?」
女(・・・? なに言ってんのこいつ。黒板に書いた男って漢字以外にも違う書き方があるってこと? ていうかそもそも言葉の上じゃあわかりづらいし・・・)
女「・・・え、えっと、よろしくね、男くん」
男「・・・ふふっ、白を切るか。まぁいい。それが貴様の仮面なのだな? 平凡な学生を演出する為の・・・ククク、了承したぞ女よ・・・」
女(なっ、私の正体を知っている・・・? ・・・ひょっとしてこいつ『機関』か『組織』の・・・)
男「カカッ、女よ。動揺を顔に出すな。『奴ら』に気付かれるぞ・・・フフッ、安心しろ。隠しておいてやる・・・今は、な、ククク・・・」
女(こいつ・・・ただ者じゃないようね・・・)
男「ククク・・・体育の時間、か・・・懐かしい・・・ふふっ、100メートル走などと・・・果たして何百年振りかな・・・」
モブ女1「えっ? 女ちゃんすごすぎない?・・・女子で100メートル走11秒台って・・・普通にインターハイレベルでしょこれ!?」
女「・・・あ、あはは・・・今日はたまたま調子良かっただけだよ・・・」
女(まずいわ・・・もっと抑えるつもりが・・・まぁ本当は0コンマ一秒で駆け抜けられるんだけど・・・あの男の事を変に意識して、ほんのちょっと本気を出してしまったわ・・・)
女(あ、アイツが走るわ・・・さーて、お手並み拝見と行きましょう・・・えっ?)
モブ女2「えっ・・・男くん、めっちゃ足遅くない・・・?」
モブ男1「30秒って・・・なぁ男、お前本気で走れよ?」
男「ゼェゼェゼェゼェ・・・ハァハァハァハァハァ・・・・・・ご、ごめん、今なんて?」
モブ男1「・・・い、いや。何でもない・・・(こいつ、イケメンだし変なオーラ出してる癖に超絶運動音痴じゃねえか・・・)」
女(嘘・・・今の本気・・・? なんかめっちゃ息切れてるし・・・)
男「・・・ハァハァ、やっべ・・・マジでキツイ・・・死ぬ・・・死ぬ・・・」
女「ね、ねぇ、ちょっと、大丈夫? 保健室連れて行こうか男くん・・・?」
男「・・・! か、カカッ・・・冥府から蘇った我が身体・・・少々乗りこなすのに時間が掛かっているようだ・・・ククク・・・」
女(? 意味ありげな表情を浮かべて・・・はっ、まさか私達『騎士団』が『組織』と『機関』を同時に壊滅させる為の作戦名『冥府落し』を知っている・・・!?)
女(いえ、まさかね・・・でも、ひょっとしたら・・・ということは、この運動神経の無さっぷりも回りを欺く為の演技・・・? 私自身、普通に心配してしまったし・・・)
女「・・・そっか。まぁ男くんがそう言うなら・・・本当に大丈夫なんだね?」
男「ククク・・・」
女(また、意味ありげな顔して遠くを見て・・・とことん、ただ者じゃないようね、こいつ・・・)
先生「テストを返しまーす!」
モブ女1「相変わらず女ちゃんはすごいね! 全教科95点以上って!」
女「あはは・・・まぐれだよまぐれ・・・」
女(『能力』に目覚めてから、普通の人より思考力や発想力が格段に上昇した以上、当然の結果ね・・・ズルしてるみたいで申し訳ないけど・・・でも今は、隣のこいつよね。こいつも『能力』に目覚めているなら、当然・・・)
女「男くん、テストどうだった・・・?」
男「・・・・・・・」
女「男くん・・・?」
男「・・・・・・国語は、100点」
女「ええ、すごいじゃない!」
男「・・・それ以外は、赤点」
女「・・・え?」
女(国語以外、全教科赤点って・・・いや、国語が100点満点なのはすごいけど・・・漢字マニアの国語の先生が出した難しい漢字も読み書きできてるのはびっくりだけど・・・『能力』に目覚めてるなら、この点数は流石におかしい・・・)
男「・・・ククク、女よ・・・気付いたか?」
女「え?」
男「俺が発したシグナルに、だ」
女(は? シグナル・・・シグナル・・・? っ、まさか!?)
男「ククク、・・・この点数は『奴ら』への警告だ。俺、御刀虎がこの地に来た以上・・・もう貴様らの計画は破綻しているのだと気付かせるための、な・・・俺は優しいだろう?・・・クックック・・・」
女(確かに・・・全ての点数を組み合わせると、コード444・・・S級警戒態勢になるわ・・・この男、一体どこまで・・・)
先生「・・・男くん? 聞いてますか? あなたも補習ですよ?」
男「・・・・・・く、クククっ、補習、それもまた・・・一興・・・」
女(・・・今の嫌そうな顔も迫真の演技に違いないわ・・・こいつの事、騎士団長に報告しておきましょう・・・)
ていうところまで書いたんだけど・・・どう・・・!?!?!?!?!?!?
騎士団長「どうした女、早急に報告しておきたい事とは・・・?」
女「はい・・・団長、御刀虎という二つ名を持つ者に、聞き覚えはありますか?」
騎士団長「御刀虎・・・? 聞いた事がないな・・・一体何者だ?」
女「(かなりそういう事情に詳しい団長でもご存知ない、か・・・一体奴は・・・)はい、私の学校に転校してきた男子学生です・・・『組織』『機関』そして我らが『騎士団』にも属さない者ですが・・・」
騎士団長「ふむ・・・まさか第4の勢力が現れた、と?」
女「いえ、その可能性は恐らくありません・・・ただ、私に度々接触し、意味深な言葉を残していくことから、『騎士団』よりの立場ではあるかと・・・」
騎士団長「ほう・・・味方が増えるならありがたいがな。それで、その者の『能力』は?」
女「申し訳ないですがわかりません。奴は力を隠すのが上手く、まだ能力の片鱗すら見せませんが・・・私の正体をひと目で見破った事、また数々の言動から、ただ者ではないと確信しています」
騎士団長「・・・なるほど。ふふっ、少しその少年に興味が湧いてきたな・・・私がその者と会う事は可能か?」
女「・・・団長。お言葉ですが、奴の『能力』が何か分からない以上、無闇な接触は危険かと・・・」
騎士団長「もう我々には時間がない。この間の戦闘で何人戦線離脱したと思っている?『冥府落し』の決行も迫っている。戦力は一人でも増やしておきたいのだ。危険は承知している・・・頼む」
女「・・・わかりました」
男「ククク・・・我が母よ、今日の晩餐は何かな・・・?」
男母「ケケケ・・・我が息子よ、今日の晩餐は牛をズタズタに細かく引き裂き、コネて練り上げたものの上に血よりも赤い液体を掛けたものだ・・・喜ぶがいい・・・貴様の好物だぞ・・・」
女「男くん・・・今日の放課後ってヒマかな?」
モブ女1「おっ、女ちゃん男くんとデート!? デート!?」
女「う、うるさいなぁ。そんなんじゃないってばぁ!」
男「・・・フッ、放課後か。・・・今は別の世界で海賊をやっている我が同胞の現状を確認する用事があるが(今週のワンピースを読む)・・・確かに時間を持て余しているぞ」
女(・・・? 中盤、ごにょごにょ何言ってるかわからなかったけど・・・ともかく、暇な事は確かなようね)
女「本当? それじゃあ、今日、放課後に駅前のファミレスに集合してくれないかな?」
男「ああ・・・いいぞ・・・ふっ、『奴ら』に気取られぬように、であろう? ふふふ・・・」
女(・・・本当に、何者なの。あなたは?)
女「お、男くん・・・すごい服装だね・・・(気取られぬようにって自分で言っておきながら・・・ドクロマークのTシャツに黒のパーカーと黒のズボンに、尖った靴にジャラジャラ付けてる鎖や十字架のアクセサリーって・・・)」
男「カカッ・・・なにせ、俺の中の獣を抑える為には、この拘束衣がどうしても必要でな・・・ククク・・・」
女「(俺の中の獣・・・? 拘束衣・・・?)ふーん? でも私服の男くん、結構新鮮かも・・・」
男「ククク・・・女の服装も実に俺好みだぞ・・・」
女「え・・・? ほ、本当・・・?///(・・・って、何を嬉しそうな声を出してるの、私。この人はまだ敵か味方かもわからないのよっ)」
男「ああ・・・特にそのペンダントがな・・・ククク、臭うぜ・・・はるか昔の戦争の残り香がな・・・フフッ、一体どこでそれを買ったのだ・・・?」
女「うん・・・? え、それは・・・普通にそこらへんのデパ・・・」
男「みなまで言うな、女・・・俺は分かっているぞ・・・どういう経緯でそのペンダントが今お前の手元にあるかくらいは、な・・・様々な苦労があったのだろう・・・?」
女「う、うん・・・(流石ね、デパートで買ったなんてごまかしが通じる相手ではない、という事は分かってたけど、一瞬で見破られるとは・・・)」
男「・・・ククク・・・」←なにもわかってない
店員さん「女様ですね? はい、既にお一人通しております。どうぞ。こちらへ」
男「・・・俺たちの二人、ではないのか?」
女「うん。ちょっと紹介したい人が居てさ」
店員さん「こちらのお席へどうぞー」
男「・・・女よ。この女に勝るとも劣らないものすごい美人さんは・・・?」
女「男くん・・・いや、男。いい加減腹を割って話しましょう? 私も、学園での仮面を捨てて本音で話すから、ね? この人は騎士団長。私が所属する『騎士団』のリーダーよ」
騎士団長「騎士団長だ。よろしく。君の事は色々と聞いている。まぁまずは座って好きな物を頼みたまえ。お呼びだてしたのはこちらなのだからな」
男「は? 騎士団・・・? あ、は、はい、座ります・・・じゃなかった・・・ククク・・・ふむ・・・ではお言葉に甘えさせて貰いますぜ・・・団長殿とやら?・・・フフッ・・・」
女(とぼけた振りが上手いわね・・・何も知らないみたいな顔をして・・・)
騎士団長(ほう・・・『能力者』だろうに『能力』の気配を欠片も感じない・・・凄まじい隠形術だ・・・ここまでの隠形、私でも出来るかどうか・・・これなら女が『能力』を確認出来ないのも頷ける・・・)
男「ククク・・・それではこの猛牛ケンタウルスの業火焼きと・・・あ、すみません、ステーキとライスとサラダください・・・ふん、レベルの低い者に合わせなければいけないのがこの世界のだめなところだ・・・」
騎士団長「・・・さて、料理が運ばれてくる前に、一つ、確認しておこうかな?」
男「フフフ・・・何をですかな?」
騎士団長「今回の『戦争』における、君の立ち位置を、だ」
男「・・・『戦争』?」
騎士団長「・・・『組織』と『機関』そして『騎士団』の三つ巴のこの戦争が始まってもう丸2年。やっとこの戦争にも終わりが見えてきた。我々は『冥府落し』を近いうち実行し、この『戦争』を集結させるつもりだ・・・だが、『組織』にも『機関』にも不穏な動きがあるという。はっきり言って戦況は半々・・・というか33% 33% 33%と言ったところだろう」
男「・・・はぁ・・・?」
騎士団長「だが、君が現れた事で状況このバランスは崩れる・・・君がどこかの組織に属するつもりなのか、それとも単独行動で何かをするつもりなのか・・・それを今、出来ればここではっきりさせて貰いたいのだ」
男「あの・・・えー・・・っと、その・・・」
女「・・・男、あんたがただ者じゃないのは分かってるのよ。あたし如きじゃあんたの能力、あんたがどれくらい力を持ってるかすら分からない・・・当然、あんたの目的もね・・・」
男「・・・・・・お、おう」
女「出来ればあんたに味方になって欲しい。だけど、あんたが拒むんならそれもしょうがない。でもどうか邪魔だけはしないで・・・ここに来るまで、沢山の犠