142 名前:名無しさん@出た目起家[] 投稿日:02/01/06 00:38 ID:lOZfq/IH
中学の三年のとき、初めて組んだバンドでライブハウスの舞台に立つことになった。
ライブハウスってとこは、対バンと言って、だいたい2~3のバンドが出る。
俺たち以外のバンドは、みなキャリア豊富な大学生のバンドで観客も多く、
初ライブの中学生コピーバンドは、膝が震えるほど緊張していた。

どうにかこうにか最後の曲、一番練習した「アームドアンドレディ」の
ギターソロに入ると同時に1弦と2弦が切れた瞬間、
俺の頭の中は真っ白になってしまった。

トリのバンドは俺の姉貴の友達のバンドで、打ち上げ(ファミレスだったが)
に姉貴と一緒に俺も連れて行ってもらった。
口さがない姉貴や、姉貴の友達におためごかしで慰められながら、
俺は必死に虚勢を張って平然としていたが、
ふいにトリのバンドのギターのおにいさんに

「女どもはわかってねえよな、でも俺らはわかるぞ。
あのフライングV、M・シェンカーが大好きなんだろ?
そして今日の曲目(キッス、キッス、キッス、MSG)は
バンドの中の位置関係がわかるよな。お前あの曲すっげえ練習したんだろ?
惜しいよな、あの曲はあそこっから!!カッコいいとこだったんだよな。」

と言われた瞬間、涙腺が爆発したように初めて涙と鼻水がボロボロ出てきた。
姉と姉の友達は呆気に取られていたが、もう俺は止まらなかった。
歯がガチガチ鳴って寒くもないのに体は震え、激しく俺は泣いてしまった。

「泣くな泣くな!こんなこといくらでもあるんだからな!ガハハハ!」
と慰めてくれたおにいさんは、その数年後経験を積んだ俺が、
下っ端とは言えスタジオミュージシャンにまでなったことを、多分知らない。
高知の方に帰ったあのおにいさんが、もしかしたらどこかのスナックで
歌うかも知れないと思って、俺はカラオケのレコーディングをやっている。