農村の牧歌的イメージがガラガラと音を立てて崩れてゆくマシーンたち
収穫を喜ぶ農民、土に還る生命、素朴な暮らし…の欠片もない農耕マシーンを12点集めてみました。
1. オリーブ収穫マシーン(小)
小型のローテクタイプのオリーブ収穫機。枝の下に逆さの傘みたいに幕を広げ、木を死ぬほど揺さぶります。だいたいの実はこの世の執着を忘れ、落ちてきます。
2. オリーブ拾いマシーン
こっちは熟して地面に落ちるまで待って、拾うタイプ。柔らかいゴム製のイガイガローラーで、おもしろいように拾えます。
3. オリーブ収穫マシーン(大)
オリーブ収穫界のED-209(ロボコップの警官ドロイド)とも言うべき、スペインの超高密度収穫マシーン「Oxbo 6420」です。木をまるまるくるんで揺さぶり、実は回収して別の貯蔵カーへ。
いやあ、散歩の途中にオリーブの木があっておいしそうなんだけど、1個1個採るのものすごく面倒そうだ!と思ってたら、こうやって採ってたんですね~。
4. にんじん堀りマシーン
敵の大将の首のように、細っこい人参が無造作に抜き取られて運ばれてゆきます。アメリカのにんじんが安い(4.5kgで800円@Costco)理由がやっとわかった…。
5. りんご栽培マシーン
農家も巨大になると、腰をかがめて熊手でせこせこ土耕してなんていられない! りんごの木の周りの土を耕すために生まれたマシーンです。なんせ耕すのは、りんごの木の周りだけ。笑っちゃうぐらい座高が高いです。
6. ジュース用りんご収穫マシーン
りんごが木から落ちると、収穫マシーンの出番です。まるでポップコーンみたいに、りんごを吸い上げていきますよ。りんごの一生は、このアニメ映画の悪役が世界制覇のために生み出したみたいなマシーンたちとともにあります。
7. りんご収穫マシーン
地面に落ちたりんごは、ジュース、サイダー、アップルソース用ですけど、店頭で果物として売られている手摘みのりんごもマシーンと無縁ではありません。摘んだりんごはエアシューターみたいなのに入れ、落ちてきたりんごは、やわらかい布がぐるぐる回って受け止めています。絶対りんごが傷まない絶妙な角度、速度、摩擦なんでしょう。
8. いちご収穫マシーン
いちごは地面に這いつくばってるから摘み取りづらい。だったら畝(うね)を思いっきり高くすればいいじゃね?…ということで生まれたのがこちら。機織り機とタコロボットのハイブリッドみたいですよね。機械が摘むいちごを、白シャツの男性が厳かに箱に詰めてゆきます。
9. きのこ収穫マシーン
農耕マシーンのプロモ動画って、どうしたわけか音源ハードコアで戦闘ロボっぽんですけど、これは合ってますね。半端ない量のきのこが吐き出されてゆきます。刈り取ったあとは真っ平ら。まさに農場のデスマシン。
10. 伐採マシーン
ホーリー・シッ○! 環境保全型農法・自然農法は反応わかれるけど、これはもうそのひと言に尽きますね。
11. チューリップ収穫マシーン
意外と機械化向きなのが花です。デリケートに見えて割とタフだし、球根1個につき1本まっすぐに生えて高さも大体揃っているので、こんなこともできちゃう。この動画を見て有り難みが薄れるか、技術に感心するかは分かれそう。
12. 未来から来たとうもろこし収穫マシーン
「アグリビジネス」の代表格はとうもろこしなので、大型機械化は想像圏内ですけど、まさかここまで大量投入していたとは…!
チップにデュエルコアやクアドコアがあるように、とうもろこし収穫マシーンの性能は1度に何畝刈り取れるかで決まります。いまの上位機種は16畝。将来的にはこのドイツ産みたいな20畝の収穫マシーンが生まれ、そうなるとマシーンから飛んでくるとうもろこしをキャッチする後続トラックも5台必要になります。
以上、いかがでしたか? そのうち都市部で車が消えて、農村が機械音だらけ、なんてことになっちゃいそうですよね。
Esther Inglis-Arkell - Gizmodo US[原文]
(satomi)
- GDP4%の日本農業は自動車産業を超える (講談社+α新書)
- 窪田 新之助|講談社
- キレイゴトぬきの農業論 (新潮新書)
- 久松 達央|新潮社