【艦これ】整備兵「鎮守府で働け?」提督「そうだ」【前半】
・キャラ口調崩壊の可能性有り
・半端な知識及び乏しい構成力による艤装、工廠、妖精等についての妄想独自設定有り
・ほのぼの7割シリアル3割
【整備兵宅】
整備兵「……」
提督「……」
ミーンミンミンミンミン
ジジジジジジジジ
整備兵「あのなぁ……栄えある海軍大学校首席卒業組の提督様と違って、俺は工作学校出だぞ?艦隊の指揮なんかできるか。暑さで頭でもやられたのか?」ウチワパタパタ
提督「いや、そういう意味じゃない。うちの鎮守府の工廠で働かないかってことだ」パタパタ
整備兵「そりゃどうしてまた……。聞いた話だと、今の海軍の主力――艦娘――の艤装や兵器は妖精とやらにしか扱えないから、人間の工員はもう必要無いそうじゃないか」
提督「そうだな。お前が軍から暇を出されて、日雇いで食いつなぎながらこんなボロ家でくすぶっているのもそのせいだ」
整備兵「ボロ家は余計だ」
柱「」ミシッ
整備兵「おいやめろ。こんな常識外れの格安物件、なかなか無いんだからな……」
提督「ボロさも常識外れだったな」
整備兵「黙っとけ……とにかくここを失ったら俺はもう生きていけないんだよ」
提督「そこで、この状況を何とかしてやりたい十数年来の親友からさっきの提案だ。うちの鎮守府に来れば、それだけで三食風呂付きの8畳間が手に入る。今ならもれなく布団も付いてくるぞ」
整備兵「な、に……?」
整備兵(三食、だと?俺なんてここ最近は一日二食もザラだぞ……。しかも、8畳間……!この家は2畳一間だから、単純計算で4倍……。その上、風呂に、布団……最後に見たのは工作学校にいた頃か……)
提督「悪い条件じゃないだろう?」
整備兵「ああ……」
整備兵(悪いどころか魅力的でしかない)
提督「もちろんだ。だが特別な職務がある」
整備兵「特別な、ね……」
提督「整備兵、お前には、その整備の知識と経験を使って妖精の整備技術の謎を探ってほしい」
整備兵「……?」
提督「確かお前、妖精が見えたよな?」
整備兵「ああ……高校の終わり頃にやった何ちゃら適性検査とかいうやつの話か。確かに見えたぞ。工具を抱えた小さい人形みたいなのが動き回ってて、そのときは本当に驚いた」
提督「知ってるだろうが、妖精が見える人間はかなり珍しい。その上、そういう人間は皆揃ってその力を生かし艦隊指揮官を目指す。お前みたいな、三度の飯より機械いじりが好きな物好きくらいしか工作学校には行かない」
整備兵「まあ、当然そうなるな」
提督「するとどうなるか?」
整備兵「何か問題があるのか」
整備兵「……分かってきたような気がする」
提督「もちろん、今は戦時下だ。なるべく多くの指揮官を育て、なるべく多くの艦隊を作る……すなわち戦力の増強が最優先だということは俺も分かっている。だが事実、今のところ、軍は妖精に装備を作ってもらう方法は知っていても、妖精がどうやって装備を作っているのかは全く明らかにできていない……というより、明らかにするためにリソースを割こうとしていない」
整備兵「原理の分からない技術をいつまでも使い続けるのは、得策とは言えないってことか」
提督「その通り。この調査は、間違いなく深海棲艦との戦いに役立つはずだ」
整備兵「しかし、どうして俺なんだ?俺は艦娘についてはずぶの素人だぞ。何やら、大戦期の艦艇の魂と装備を持った者たちだとは聞いたことがあるが……」
提督「それに関しては……まあ実際に姿を見て話してみれば、すぐに大体のことはつかめるはずだ。どうせ、まだ分かっていることも少ない。それに、お前は工作学校時代も『近代兵器学』の成績はトップだったからな」
整備兵(『近代兵器学』、か……懐かしいな)
整備兵「……まあな。もともと、子供の頃から昔の軍艦とかには興味があったんだ」
提督「調査の中では恐らく、既存の兵器と艦娘の艤装の違いも重要になるはずだから、そのことも含めて整備兵は向いていると俺は考えている」
提督「……まあ、さっきまでの話は半分本音で半分建前だ。うち程度の規模の鎮守府なら、赤レンガに打診すれば案外人を寄越してくれたりするかもしれない。だが、俺は昔からお前の知識には舌を巻かされてきた。折角できる奴が身近にいるんだ。頼んでみたくもなる」
整備兵「……」
提督「だから今回のところはお節介を許せ。当然、仕事内容は前人未到の空前絶後。とんでもなくキツいだろうから覚悟は要るぞ?」
整備兵「……」
提督「……」
整備兵「……分かった。その仕事、引き受けさせてくれ。失望はさせない…た、多分」
??「ばっちりですヨ!ご主人さま!」ドアバァン
家「」ミシミシッ
整備兵「へ?ご主人さま?てかその女の子誰な」
提督「おっと、うっかり言い忘れていたが出発は今すぐだ。鎮守府を空ける時間はなるべく減らしたいからな。ん?何だ?言質は取ったから、今さら怖気付いてももう遅いぞ?」ニヤリ
整備兵「」
提督「俺の車が道の反対側に停めてある。さっさと乗り込むぞ」
??「ほいさっさ~♪」
提督「荷物なんて、そもそもそこに置いてあるダンボール箱一つしかないだろ。よっと……ちゃんと鍋も財布も入ってるな。ん?奥に何やら桃色の画集が……」ガサガサ
??「……」チラッ
??「……!///」メソラシ
整備兵「やめろぉ!」
提督「何だ。思ったより元気そうじゃないか」
整備兵(流石に最近は常時疲れ切っててご無沙汰です)
??「」ジトー
整備兵(そしてなぜ、こっちのドアを蹴破らんばかりの勢いで入ってきた見も知らない女の子には軽蔑の目で見られる羽目に……)
整備兵「ええっと、ごめん。あー、君は……」
??「……ふんっ」プイッ
整備兵(傷つくわ……)
整備兵「……むしろその状態で一度も滞納しなかったことを褒めてくれ」
提督「おーすごいなー俺だったら多分無理だわーまー俺はそもそもそーならないけどー」
整備兵「うわーい。やっぱり提督はすごいなー」
整備兵(今すぐスパナで背後から一撃ってのもアリだな)
提督「はい、ちょうどですね……よし、これで後顧の憂いはすっぱり断てたな。整備兵、出発だ」キリッ
整備兵「……あいよ、了解」ヨッコイショ
整備兵(……だが、わざわざ任された仕事だ)
整備兵(頑張らなければ)グッ
バタン
ブロロロロ……
提督「着いたぞ」
整備兵「ん……まずい、すっかり眠り込んでしまった……。しかし長旅だったな。空が真っ暗だ」
整備兵(しかし、提督の奴……)
鎮守府「」デーン
整備兵「エリートだとは思っていたが、まさか天下の暮鎮守府の司令長官とは……」
提督「ちなみに、史上最年少での就任とのことだ」
整備兵「ひょっとして、提督って凄い奴なのか?」
提督「ひょっとしなくとも、だ」シレッ
整備兵「その無駄に落ち着きに溢れたドヤ顔はひた隠しにした方が良いぞ。キャリアに響く」
整備兵「分かった。相変わらず万事手際が良くて助かる」
提督「褒めても明日の朝食のデザートしか出ないぞ」
整備兵「俺、これからは毎晩お前を讃えてから寝ることにするよ……ん?」
??「すぅ……すぅ……」
整備兵(こっちの、名前が分からない女の子も俺と同じく寝ていたようだ……というか、今現在も寝ている)
整備兵(ピンク色の髪を太めのツインテールにしているのが特徴的だ)
提督「どうした?忠告しておくが、手を出したらその場で名誉の戦死だぞ」スッ
整備兵「んなことするか。こんな所で軍刀に手を掛けるな……で、この子は誰なんだ?まさか、実はお前の方こそ誘拐犯」
提督「」アァン?
整備兵「……も、もちろん最初から気付いていたさ。この子が……艦娘」
提督「なかなか察しが良いな」シラジラ
整備兵「こんなに小さい子がか」
提督「一応、俺の着任と同時にここに配属された最古参だからな。鎮守府や事務仕事についての知識なら右に出る者はいない」
整備兵「ほー。あ、それはそうと、気になってたんだが……」
提督「何だ?」
整備兵「ご主人さま呼びがタイプなのか?」
提督「ぶっ」
整備兵「司令官の権限を悪用していたいけな少女にメイドごっこを強要か……」
提督「強要なんてするか!……これは漣が勝手にやっているだけだ」
整備兵「嘘つけ……」
提督「嘘じゃない!こ、こいつはな、よく風変わりな言動で人を惑わす。だがな、ほ、本当はちゃんとお話ししたいと思っている。そういう艦娘だ」
整備兵「そんなに力説されても」
提督「とにかくそういうことだ。……分かったら早く行くぞ」スタスタ
ドーン
整備兵「……ば、爆発!?基地の方からじゃないか……!?」
提督「深海棲艦……?いや、哨戒は常時行っている。もしそうならば……」
<ケイジュンヨウカンセンダイ!カレイニヤセンニトツニュウ!
<コンヤハオールナイトナカチャン!
提督「」
整備兵「……艦娘たちは皆もう休んでいるんじゃなかったのか?」
提督「くそ、あいつら……さては俺の留守を聞きつけたな……」
漣「んぅ、うるさい……」モゾモゾ
提督「お。漣、ちょうど良いときに起きたな」
漣「すみませんご主人さま!漣、眠っていました!」
提督「いや、それは構わない。ただ、起きた途端で悪いが早速仕事だ」
漣「何でしょう?」キョトン
提督「……俺の不在を良