【艦これ】整備兵「鎮守府で働け?」提督「そうだ」【後半】
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【食堂】
漣「いやー、朝一番の鳳翔さんの焼き魚は最高だね!」パクパク
白雪「はい……」
漣「あれ、どうしたの?元気無いけど……」
白雪「少し、整備兵さんが心配で……」
漣「……また?」チラッ
整備兵「」ガツガツ
整備兵「ごちそうさまでした!」ガタッ
整備兵「あー……すみません。でも、急いで工廠に行かないといけないので!」ペコリ
ガチャバタン
漣「あれ、でもこの前と違って元気そうだけど……。にしても、白雪ちゃんはいつも整備兵さんのこと気に掛けてあげてるよね。漣だったら、整備兵さんもいい大人なんだから別に放っておいて良いかーとか思っちゃうけど」ノビー
白雪「それは……私は補佐官なんだから、当たり前だよ」
漣「ふむふむ、さすがは白雪補佐官殿!」
白雪「へ、変な呼び方はやめてよ……」
漣「それで、今回は整備兵さんがどうしたの?」
白雪「ええと、実は――」
龍驤「さらにその上、工廠の通常業務もこなしながら空き時間もどこかへ出かけていて、休む暇も無い生活を送っていると」
漣「だから心配、と」
白雪「うん。そうなんだ……って、龍驤さん!?」ガタッ
龍驤「そんなに驚かなくてええやろ。それとも、聞かれたくない話やったか?」ニッ
白雪「そ、そういうわけでは……」
漣「そうだよ白雪ちゃん。龍驤さんなら、先輩として良いアドバイスをくれるかも!」
龍驤「で、まず大事なんは、白雪がその問題にどう対処したいかっちゅうことや。まさか仕事するなとも言えへんし」ウーン
白雪「はい……整備技術の調査ができるのは良いことですから。けれど、あまり仕事量が多くても良くないと思うんです」
白雪「うん……でも、事務作業をお手伝いすることはできても、整備兵さんにしかできない仕事や工廠の仕事以外の負担は私にも……」
龍驤「あー、空き時間に出かけてることなら、仕事やないから気にする必要無いで」
白雪「そうなんですか?」キョトン
龍驤「多分それ、ウチと資料室行ってるときやから」
白雪「資料室、ですか……?」
漣「あっ、白雪ちゃんは知らないよね。この鎮守府や海軍について古い本がたくさん置いてある部屋のことだよ。あんまり行く人はいないかな……」
龍驤「懐古趣味っちゅうか軍事趣味っちゅうか……そんなようなトコで話が合うから、最近は毎日ウチと整備兵はんで本読みに行っては色々話してるんや」
白雪「それなら、気分転換はできているんですね……いえ、ですが!」キリッ
漣「疲労を取る、つまり癒やし……何だろ?」ウーン
龍驤「難しく考える必要はあらへんのやないか?男連中なんて、白雪みたいな子が茶出して肩の一つでも揉んどけばたちまち疲労回復やろ……あら、塩どこや塩」キョロキョロ
漣「でも、それだと何だかインパクトに欠けません?」
龍驤「インパクト言うてもなぁ……それならマッサージはマッサージでも、踏んでみるとかどうや?」ニヤッ
白雪「え、えっと……それはやりすぎでは……」
漣「なら、自分がされて癒やされることを考えてみるとか?」
龍驤「ちなみにウチが一番癒やされるんは、訓練の後、岸壁で鳳翔に膝枕してもらう時や」
漣「そんなことしてもらってるんですか……」
白雪「膝枕って、そんなに危ないものだったんですか……!?」
龍驤「ってなわけで、膝枕、どや?」パチン
白雪「それは……えっと、龍驤さんと鳳翔さんなら普通にできますけど……!」アセアセ
白雪(私と整備兵さんだと、また話は別じゃないかな……。そういうのはもっとこう、深い仲の人がするものなんじゃ……)
漣「うーん……確かに、整備兵さんに白雪ちゃんの膝枕は贅沢すぎる気もするかも」アハハ
白雪「ど、どういう意味……!?」
龍驤「となると、膝枕はしないんか?」
白雪「し……しません。普通な方法でいくことにします」プイ
白雪(露骨にがっかりされてる……!)
漣「まあ、頑張ってしてあげれば整備兵さんは何でも喜ぶと思うから大丈夫じゃないかな?」
漣(何だかんだで、整備兵さんは白雪ちゃんのことをかわいがってますし)
龍驤「あんまり面白味あらへんけど……ま、頑張りや。ウチはもう出るで」ガタッ
白雪「は、はい。相談に乗ってくれて、ありがとうございました」ペコリ
龍驤「いやー、こりゃ面白くなりそうやと思ったんやけどなー。いやぁー残念やわー……」チラッチラッ
スタスタスタ……
白雪(……もしかして私、からかわれてただけかな……)ハァ
【工廠】
白雪「整備兵さん、今日の分の書類処理が全て終わ……」
バチッ バチバチッ
整備兵「……」ジッ
白雪(……集中してるみたいだから、少し待っていようかな)
整備兵「……」カチャカチャ
白雪(本当に真っすぐ、手元だけを見てるんだなぁ……)
白雪「お疲れさまです。書類、全て片付きました」
整備兵「ああ、白雪か。ごめん、気づかなくて」
白雪「いえ。それだけ集中していたということですから」ニコ
整備兵「白雪のおかげで俺も調査に没頭できるんだ、ありがたいよ。……それじゃあ、流石にもう遅いから帰るか」
整備兵(ふー、首と肩がバキバキだ……眼精疲労ってやつか)ノビー
白雪「あの、整備兵さん……良ければですが、肩をお揉みしましょうか?」
整備兵「え……?」
整備兵「う、ん……確かに肩は凝ってる、けど……」
整備兵(提案はありがたいが……果たしてこれは受けてしまって良いのか?肩揉みは、普通補佐官にやらせる仕事じゃないような気がする)
整備兵(そもそも補佐役の女の子に肩揉ませるとか、もしそんな偉そうな奴がいたら絶対軽蔑するぞ)
整備兵(しかし自分がされる側になるとしたら、嫌な気はするわけないし……どうしたものか)
白雪(……さ、流石にお節介すぎたかな。よく考えたら、肩揉みは普通補佐官がする仕事じゃないような気がするし……)
白雪(でも、結局それくらいしか思いつかなかったし、何もしなかったら整備兵さんだけじゃなくて漣ちゃんや龍驤さんにも悪いよね……)
白雪「……」ジッ
整備兵(……そうだ。人の親切は快く受け取らないと。そう、だから俺は別に肩を揉んでもらいたいとかそういうのではなくて……)ウンウン
整備兵(そうそう。ただ単に、白雪の親切心を無駄にしないため。間違えてもらっちゃ困る。ただそれだけのために……)ブツブツ
整備兵「……そ、それなら、頼もうかな」
白雪「本当ですか!」パァァ
整備兵「だけど、白雪こそ良いのか?今だって白雪は十分仕事してくれてるし……」
白雪「でも、整備兵さんがお疲れでしたら私が放っておくわけにはいきませんから」ニコ
整備兵「うっ……」
整備兵(や、優しさが眩しくて何も言葉を返せない……)
白雪「ど……どうですか?」
整備兵「」ビクッ
白雪「す、すみません。強かったでしょうか?」
整備兵「……いや、違う違う!ちょうど良い力加減だ。上手いよ」
整備兵(耳元で急に白雪の声がして驚いてしまった……俺が緊張してどうする。ともかく落ち着こう……)
白雪(良かった……ぶっつけ本番だったから心配だったけど、何とかなったみたい……)
整備兵「お、思えば、生まれてこのかた他人に肩を揉んでもらうことなんて無かったからさ……いや待て、それは当たり前か。とにかく、自分でするのとは全然違うな……と。もちろん良い意味で」
白雪「やっぱり、手が届きにくいところとかもありますしね」
整備兵「そうそう」
整備兵「……」
整備兵(こういうときって、何を話せば良いんだろうか。いやむしろ、余計な話をし続けるのも良くない気が……)
白雪「……」ギュッギュッ
整備兵(それにしても……本当に上手いな。強すぎず、弱すぎず、的確な場所を……)
白雪「……」ギュッギュッ
整備兵(ふぅ……心地良いとはまさにこのことを言うんだろう……)
整備兵(……あれ、気が抜けたら、何だか、急に、眠く……)
ギュッギュッ
白雪「……?整備兵さん?」
整備兵「……」ウツラウツラ
白雪(あっ……)
白雪「……やっぱり、疲れていたんですね」
白雪(少しは、整備兵さんをリラックスさせることができたのかな……?)
白雪(……でも、どうしよ