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[PR] 池澤あやかが東芝本社に直撃! dynaPad N72/Tに秘められた6つのポイント



みなさん、こんにちは! 池澤あやかです。

先日、engadget編集部で体験した新製品、紙のノートの使い心地を再現した東芝の「dynaPad N72/T」。その商品開発を担当した寺内享さん(パーソナルソリューション事業部、写真左)と河本能規さん(国内マーケティング部、写真右)の2人に、製品のこだわりや開発の裏側、Tipsなどをインタビュー。さて、どんなお話が聞けるのか、楽しみです!

ポイントその1:とにかく薄くて軽い、それなのに丈夫な理由は?




池澤:今日の取材に先がけて「dynaPad N72/T」を編集部で触ったのですが、第一印象はとにかく薄くて軽い! 付属のペンで文字を書き込むときにも、紙のノートと同じような感覚でした。左手で本体を持って右手でペンを......という使い方が、自然にできる軽さなんですね。この薄さは、かなりのこだわりを感じます。

河本:12インチのWindowsタブレットにおいて世界最薄・最軽量を目指し、薄さ約6.9mm、重さは約579gを実現しました。この薄さにすべてを収めるため、厚さ2mmの特殊LCDを使い、液晶と表面ガラスの間の隙間をなくす「ダイレクトボンディング」を採用しています。

寺内:また、基板も薄さを追求して0.51mmに、部品を実装した基板の高さは1.93mmに抑えています。両面に実装すると厚みが出てしまいますので、高い集積技術によって片面だけに部品を実装しています。



池澤:私もハンダごてを使って電子工作をするんですけど、こんなに薄いものは作らないですね。本当に薄いです。これ以上薄かったら折れちゃいそうですね。

河本:筐体素材には、薄くて軽くて丈夫なカーボンを採用しています。F1マシンやジェット機の機体にも使われる素材で、筐体部分の厚さを極限までそぎ落としましたね。

池澤:本体の重さが増える要因になってしまうのは、やはりバッテリーですか? 駆動時間は約7時間とあったので、この重さで、どこにバッテリーを収めたのか気になっていました。

河本:その通りです。駆動時間を長引かせようとすると、そのぶんバッテリーが重くなり、厚みも増してしまいます。他社製品の駆動時間に見劣りしないように、重さと駆動時間のバランスを上手にとった結果、この厚さと重さに行き着きました。

ポイントその2:紙に書くときよりも、文字が美しく見えるペン!?




河本:デジタイザーペンは、紙の書き心地をとにかく追求しています。筆圧は2048段階で検知可能で、よりなめらかに筆圧の濃淡を検知できます。

池澤:軽く触れたときと、グッと力を入れたときと、筆跡がちゃんと違って見えますね。そうだ、万年筆で書いているような感じですね! とめ・はね・払いも書き分けられて、達筆な人みたいです。ほら、払った筆跡もちゃんと出ますよ。ペン先に筆跡がついてくるときのタイムラグもないですね。

河本:「紙のB5サイズノートのように使っていただけるデバイス」を基本的なコンセプトとして、ハード・ソフトを開発するうえでのキーポイントの1つが「ノートのように書ける」という点です。ペン先への追従感は、チューニングを重ねて「これ以上遅れると気持ちよく書けなくなる」というデッドラインをクリアするスピード感を実現しています。ダイレクトボンディングされた薄型画面のおかげで、ガラスの屈折率が小さくなっているため、ペン先と液晶との間隔が非常に近くなり、いままで以上にペン先の位置を高精度に感知できるようになっています。



寺内:従来のデジタイザーペンですと、画面上でツルツルと滑ったり、スムーズに筆跡を追従させるのに操作のコツが必要だったりします。また、点を打ったときの位置のズレが大きいと気持ちよく書けません。そこで、東芝ならではのハードの作り込みで、筆記用具の使用感を再現しています。ペン先の素材や液晶画面に特殊な加工を施し、あえてペンを動かす際に抵抗感が出るようにしているのです。各人で好みはあると思いますが、今回の機種ではボールペンを紙の上で滑らせたときの抵抗感を、なるべく忠実に再現するよう設計しました。

池澤:これで文字を書いたら、自分の書いた文字なのに、いつもより上手な文字に見えてきますね。不思議。この普通に書ける感覚は、ノートを使う上ではとても重要なものなんですね。

河本:いま書いているそのペン先、どのくらいの太さかわかりますか?

池澤:私もペンタブは使っているんですが、それと比べて......うーん、1.5mmとか、2mmくらいですか?

河本:実は1.0mmで、鉛筆の芯ほどの細さなんです。ここも「ノートと同じような書き心地で使える」製品にするためにこだわった点ですね。ペン先の色を黒にしたのも、視認性を高めるためです。「dynaPad N72/T」はデジタイザーペン搭載機種としては2機種目になりますが、前作よりもペン先は細くしています。

寺内:ペン自体も、持ったときにスラスラと動かしたときに快適感を得られるよう工夫を懲らしています。開発段階では、本体に内蔵できる薄型のペンというのも考えましたが、薄すぎると使いやすい文房具として成立しなくなってしまいます。そのため、持ちやすい直径で、重量バランスを最適化する位置に内蔵電池が来るように設計し、書き心地がよくなるようこだわりました。また、ユーザーからの声には「ペンをなくしてしまう」というのが多かったんです。

池澤:あー。わかります、ペンをなくすとヘコみますよね(笑)。磁石でくっつけるタイプだと、カバンの中でいつの間にかなくしちゃったり。だから、本体の側面に装着できるようになっているわけですね。手帳に付いているペンホルダーみたいで、まさに「筆記用具とセットで使えるノート」ということなんですね。

ポイントその3:アラン・ケイが提唱する世界を目指した「dynaPad」





河本:アナログな文房具の使い心地も追求していますが、目指したのは、より高度なクリエイティブな活動をサポートする機械です。それはアラン・ケイが提唱した「ダイナブック」の思想を体現するために、ノートPCのブランドとして「dynabook」が生まれました。その目指すところは、小さな子どもからお年寄りまでもが使える、創造性を高める道具でした。

ビジネス向け製品では、キーボードとディスプレイの組み合わせで仕事における効率性は上がりましたが、その効率性を保ちつつ、次のステップを目指すために、どのような製品をユーザーに届ければよいかを考えた結果「dynaPad」が生まれました。

ビジネスに限らず、何かを漠然と考えるときには、キーボードでテキストを打つよりも、ノートでラフスケッチを描いて、何を削るべきか、何を残すべきかと考えを深め、最終的な形を明確にしていくという思考のステップを踏むことが多いと思います。そこをサポートするための道具として、ペンで紙に書く感覚を追求したのです。

池澤:そうですね。私も考えをまとめるときには、紙のノートを結構使っています。思いついたときに、いい道具ですぐにサッと書けると、それでもう、プロットができあがりますよね。プログラムの分岐を書くときも思いついたときに手書きで書けると、その後の作業がラクになる気がします。

寺内:スムーズに書ける、心地よく書ける道具は、創造性を高めるという話もありますね。そういう道具として「dynaPad N72/T」を使ってほしいという思いが、開発の根底にはあります。

ポイントその4:「TruNote」の裏技? 手書きの☆マークも検索可能!



池澤:紙のノートで困ることがあるとすれば、どうしてもかさばってしまうところですね。肝心なときに見つけられなかったり。「ノートのこの辺に書いた」のは覚えているのに、そのページが出てこなかったり。

河本:紙のノートのベネフィットに近づけながら、そういった紙の弱点を埋める「デジタル機器のメリット」を融合させるのも「dynaPad N72/T」が目指したところです。そのためのオリジナルのビジネス用アプリとして「TruNote」「TruCapture」「TruRecorder」をプリインしたほか、「dynaPad N72/T」には新たに「TruNote Share」と「TruNote Clip」が新たに加わりました。

池澤:「TruNote」を使ってみると、書きやすくてスラスラ書けるから、なんとなく字が巧くなった気分になりますね。画面の上に手を置いても、そちらに反応することなく書けます。あと、左手でタブレットを縦に持って、縦書きで書けるのもいいです。日本語をペンで書くときには、ノートと同じ感覚のほうがやっぱり心地よいですね。電子書籍を読むときも、縦使いですし。

河本:解像度は1920×1280で、縦横比は「3:2」にしています。本体サイズもB5サイズとほぼ同じで、おっしゃるように「紙のノートを縦にして、メモをとる感覚」で使っていただけると思います。ダウンロードして使える、メモやカレンダー、手帳のテンプレートも縦画面仕様のものをそろえていますから、ペンとセットで縦に使ってもらえるとうれしいです。

池澤:だから、インカメラも縦持ちしたときに上へ来るようになってるんですね。背面も滑らない加工になってますね。片手でも持ちやすい!



河本:手書きの文字や表組みをテキストデータ化する機能は、すでに試していただきましたよね。実はまだ「TruNote」×「dynaPad N72/T」ならではの機能があるんです。手書きの文字をそのまま検索できるんです。

池澤:それは、OCRで認識して、テキストを検索するということですか?

河本:いえ、手書きの文字を「TruNote」のドキュメント内から検索する機能で、クセのある字や、読みにくい文字も検索できます。活用テクニックとしては、手書きでノートをとっている最中に「ここは後で読み返すべき」と思ったら「☆」マークを書いておきます。その後、検索するキーワードとして「☆」を手書きで書くと、その「☆」マークを書いた箇所が抽出できるのです。形と筆順も記録されるため、同じ「☆」の形でも書き順の異なるものは区別されます。

池澤:書き順を変えた「☆」を使い分けて、異なるマーカーとして、記録することもできるんですね。すごい。「TruRecorder」も、異なる人の声を聞き分けて、タイムライン上に五線譜のように分けて表示してくれますよね。それも、この人が発言しているところだけをピックアップできるから、議事録を作ったりする場面で、とても便利そうでした。

ポイントその5:一度登録すると、次回から自動で発言者を判別する「TruRecorder」




河本:「TruRecorder」も今回バージョンアップしています。いままでは録音するたびに発言者名を登録しなくてはならなかったのが、一度名前登録すれば、同じ「dynaPad N72/T」で録音したときには、声を識別して自動的に発言者名を表示するようになっています。同じメンバーでの会議を繰り返し行うときには、非常に便利になりました。

池澤:人間よりも賢いかもしれませんね(笑)。この取材も「TruRecorder」で録音していますが、ちゃんと会話の人数分、別の声として認識してくれていますね。

ポイントその6:最大40人が同じノートへ同時に書き込める「TruNote Share」


河本:新登場のアプリでは「TruNote Share」も便利です。「TruNote」は自己完結というか、自分一人で使うアプリでしたが、クリエイティブな作業は、誰かとコミュニケーションをしながら作り上げていくことが大切で「TruNoteの世界でも共同作業ができるようにするには」という考えから生まれたアプリです。「TruNote Share」で新規Noteを開くと、接続可能な「TruNote Share」ユーザーが表示され、ノートへの接続を許可すれば簡単にリアルタイム同期がスタートします。Wi-Fi Directモードでは最大5台、Wi-Fiアクセスポイント経由であれば最大40台、同時に接続できます。

池澤:いま、こちらの「TruNote Share」で書き込んでいますけど、もうそちらの画面に書いたものが表示されていますね、すごい! 速い! お昼のメニューがあっという間に。

池澤あやか手書きのノートです!

河本:そうですね、レスポンスの速さにはこだわりました。この機能は「ホワイトボードのないところでも、ディスカッションをできる」ことを目指しています。ディスカッションしたいときに、これさえあれば、どこででもできますよ、ということなんです。だから、喫茶店のような場所で「dynaPad N72/T」と「TruNote Share」を使って、ホワイトボードでアイデアをまとめる、ディスカッションもできるわけです。



池澤:「こだわり」が、本当にいろいろなところに感じられるんですよ。ペンの書き心地、本体の手触り、薄さも、これ以上薄いと折れるんじゃないかと心配になるほどで......。アプリの作り込みもそうですね。「こだわり」のために、あえて採用しなかった機能などもあるんじゃないでしょうか?

河本:まず、ノーマルサイズのUSBコネクタです。「ノートPCとしても使えるタブレット」というコンセプトに基づき、本体のUSBコネクタはmicroUSBコネクタのみとして、6.9mmの薄さを実現しました。もう1つは、ヒンジですね。「dynaPad N72/T」では、キーボードドックとの接続は立てかけるだけにしています。可動式のヒンジ構造を入れてしまうと、どうしても厚く、重くなってしまうので、基本コンセプトから逸脱しないようにするために必要な選択肢でした。

池澤:立てかけてあるだけにしては、しっかりとホールドされて、机の上に置いてキーボードを打つときにも見やすいですね。

河本:実はそこにもこだわっていまして、人間工学的に見えやすくなるような角度で、止まるようになっています。

寺内:もう1つ、隠れたこだわりがあるんです。どこにあるか、池澤さん、わかりますか?

池澤:えっと、どこでしょうか......。画面の中とか?

寺内:本体背面の「TOSHIBA」ロゴの下にあるラテン語の一節「Calamvs Gladio Fortior」です。日本語では「ペンは剣より強し」。これは「dynaPad N72/T」がクリエイティブな知的生産の道具であるという思いを象徴しているものです。

池澤:母校の慶應義塾の校章に記されているのと、同じ言葉が刻まれているんですね。不思議と親近感がわいてきました(笑)。



2人のお話からは「dynaPad N72/T」にちりばめた数多くのこだわりと、それを製品として実現する思いの強さを感じることができました。この日の取材で触った「dynaPad N72/T」は、先日の動画撮影のときに触れた端末と比べて、動作がキビキビしているように感じたと口にしたとき、河本さんから「最終段階に向けて、ソフトウェアのブラッシュアップは続けていますから、そのためですね。日々進化していますからね」とのコメントが。発売時の最終版は、さらに期待できるものになりそうです。