377 名前:大人の名無しさん[sage] 投稿日:04/12/02(木) 17:03:32 ID:bWseUyUf [1/4]
漏れはとある球技をやっていた
漏れの進んだ高校は、所謂強豪と言われる高校の一つだった
漏れは中学当時、その年代にしては背が高いほうで、技術的にはショボイながら
その高校の監督から誘われて進学した
レベルは歴然としたものだった
入学後、日々の練習に付いていくのが精一杯
いや、今思えば全然付いていってすらいなかった
入学して数ヶ月が過ぎ、1度目の高校総体があった
漏れは何故か、メンバーに選ばれた
その大会ではすぐに敗退し、世代が交代した
総体から直行する合宿で、漏れはレギュラーに選ばれた
それに相応しくない実力だったにも関わらず、だ
日々しごかれ、先輩からは罵倒され、心身ともに疲れ果てる日々を過ごした
翌年の春、全国大会に進出した
漏れらは勝ち進み、準優勝となった
一個上の先輩は、新聞や専門誌、中継テレビでも騒がれるスターになった
その夏もベスト4に入り、また世代が交代した
自分らが主力となった秋、漏れらは惨敗した
都道府県別の大会でも、ベスト4で敗退したのだ
漏れらの世代は、過去のその高校のレベルにに比べれば果てしなく弱かったのだ
漏れらは(その高校や周囲の見方からすれば、だが)落ちこぼれだった
それでもなんとか春の全国大会には出場したが、すぐに敗退した
ある意味で、予想通りの結果だった
当然、専門誌でも話題になることなんてなかった
監督は、漏れらを労うこともなかった
378 名前:大人の名無しさん[sage] 投稿日:04/12/02(木) 17:05:44 ID:bWseUyUf [2/4]
漏れらに最後の夏が迫ってきた
監督からはクズだなんだと言われ
時には「お前らには付き合ってられん」と帰宅されながら
それでも漏れらは最後の夏に賭けた
なんとか総体に進み、クジ運もあったが
漏れらは勝ち進んだ
最終日には準決勝と決勝が行われる
漏れらはどうにかして其処まで進みたかった
漏れらを弱いとバカにした監督、そしてOBなど、周囲に見返してやりたかったからだ
準々決勝、死に物狂いで戦って…
接線の上、漏れらは勝った
スタンドを見上げると、メンバー入りできなかった同級生の部員が泣いていた
漏れは、漏れらは…そいつらの喜ぶ顔を見て
自分以上の喜びを見せるその顔を見て、号泣した。情けないほどに
翌日の準決勝
漏れらはあっという間に負けた
スポーツをやり、勝負に負けたのだから悔しがるべきなのだろうが
漏れらは其処までたどり着けた、という充実感で満足していた
何より、あんなにヘタレだった漏れが、優秀選手として選ばれたからだ
個人的には、もうそれで一杯の満足だった
高校生活最後となる、監督の話を聞くミーティング
先ほどの涙も収まり、高校生活の競技を終え、安堵している漏れたちに監督は言った…
ただ一言
「…ありがとう」
監督の目にはうっすらと涙さえあった
監督がそんな言葉を告げるとは想像しているはずもなく、漏れらは銅メダルを下げながら
ただ呆然としていた
379 名前:大人の名無しさん[sage] 投稿日:04/12/02(木) 17:09:05 ID:bWseUyUf [3/4]
数年後、漏れは、スポーツ推薦で入学した大学を辞めていた
大学の監督とそりが合わず、体育会そのものを辞めてしまったからだ
母校となる高校、そして監督に顔向けもできず、漏れは自然と足が遠のいていった
就職していた漏れに、連絡が入った
高校の監督が亡くなった、と
漏れらが入学する前から身体を悪くして、入院することもしばしばだった監督だが
まさかここまで急に、と…信じられない思いで通夜に向かった
癌で亡くなった監督は、ちっぽけで細く、漏れの記憶にある怒鳴り散らす顔とは似ても似つかない
けれど、確実に漏れの知る、その監督の顔だった
通夜が終わり、同級生、先輩、後輩などと話をしながら
コーチの元に挨拶に向かった
「○○(漏れ)なぁ…監督、お前らの試合の後、泣いてたなぁ…俺も長い付き合いだったけど
監督が泣いたのなんて全国優勝してもなかったよ。よっぽど、お前らが強くなったのが嬉しかったんだろうなぁ」
漏れは、泣きそうになるのを必死で堪えた。同級生も後輩もいるし、父母をはじめとする関係者も居る
ぐっとコブシを握り締め、泣くのだけは堪えた
コーチは続けた
「それとなぁ、○○。監督なぁ、ずっとお前のこと気にしてたぞ。お前が大学辞めたって
連絡が入ってな、『ああ、○○をあそこの大学に推薦した俺が間違ってたのかなぁ、変に気にせずに
遊びに来ればいいのになぁ』ってな。監督が引っ張ってきて、使い物にならなかったお前が
優秀賞までとって、ずっと心配してたんだぞ…」
漏れの心は、その瞬間16歳に戻った
監督の怒鳴る顔、漏れをけなす顔、漏れがいいプレイをしてよしよしと頷く顔
漏れらが最後の大会で勝ち進み笑顔で迎える顔、そして…「ありがとう」と涙を見せた顔
結果的に、漏れらが監督にとって最後にメダルを獲得した世代になり、他校の監督たちに
嬉しそうに話していたことも続けて聞いて…
380 名前:377-379[sage] 投稿日:04/12/02(木) 17:10:16 ID:bWseUyUf [4/4]
漏れはただ泣いた。人目もはばかって
なあ、監督さんよ、身体悪いのに酒を飲んでいたなぁ…
漏れは最後まで貴方と酒飲んで話が出来なかったよ
今度、墓参りにでも行くからさ、ダメになった漏れをまた怒鳴ってくれよ
それと、漏れら以上に弱くなっちまった後輩たちに活を入れてくれよ…
長文の上纏まりのない、つまらない文でスマソ…
漏れはとある球技をやっていた
漏れの進んだ高校は、所謂強豪と言われる高校の一つだった
漏れは中学当時、その年代にしては背が高いほうで、技術的にはショボイながら
その高校の監督から誘われて進学した
レベルは歴然としたものだった
入学後、日々の練習に付いていくのが精一杯
いや、今思えば全然付いていってすらいなかった
入学して数ヶ月が過ぎ、1度目の高校総体があった
漏れは何故か、メンバーに選ばれた
その大会ではすぐに敗退し、世代が交代した
総体から直行する合宿で、漏れはレギュラーに選ばれた
それに相応しくない実力だったにも関わらず、だ
日々しごかれ、先輩からは罵倒され、心身ともに疲れ果てる日々を過ごした
翌年の春、全国大会に進出した
漏れらは勝ち進み、準優勝となった
一個上の先輩は、新聞や専門誌、中継テレビでも騒がれるスターになった
その夏もベスト4に入り、また世代が交代した
自分らが主力となった秋、漏れらは惨敗した
都道府県別の大会でも、ベスト4で敗退したのだ
漏れらの世代は、過去のその高校のレベルにに比べれば果てしなく弱かったのだ
漏れらは(その高校や周囲の見方からすれば、だが)落ちこぼれだった
それでもなんとか春の全国大会には出場したが、すぐに敗退した
ある意味で、予想通りの結果だった
当然、専門誌でも話題になることなんてなかった
監督は、漏れらを労うこともなかった
378 名前:大人の名無しさん[sage] 投稿日:04/12/02(木) 17:05:44 ID:bWseUyUf [2/4]
漏れらに最後の夏が迫ってきた
監督からはクズだなんだと言われ
時には「お前らには付き合ってられん」と帰宅されながら
それでも漏れらは最後の夏に賭けた
なんとか総体に進み、クジ運もあったが
漏れらは勝ち進んだ
最終日には準決勝と決勝が行われる
漏れらはどうにかして其処まで進みたかった
漏れらを弱いとバカにした監督、そしてOBなど、周囲に見返してやりたかったからだ
準々決勝、死に物狂いで戦って…
接線の上、漏れらは勝った
スタンドを見上げると、メンバー入りできなかった同級生の部員が泣いていた
漏れは、漏れらは…そいつらの喜ぶ顔を見て
自分以上の喜びを見せるその顔を見て、号泣した。情けないほどに
翌日の準決勝
漏れらはあっという間に負けた
スポーツをやり、勝負に負けたのだから悔しがるべきなのだろうが
漏れらは其処までたどり着けた、という充実感で満足していた
何より、あんなにヘタレだった漏れが、優秀選手として選ばれたからだ
個人的には、もうそれで一杯の満足だった
高校生活最後となる、監督の話を聞くミーティング
先ほどの涙も収まり、高校生活の競技を終え、安堵している漏れたちに監督は言った…
ただ一言
「…ありがとう」
監督の目にはうっすらと涙さえあった
監督がそんな言葉を告げるとは想像しているはずもなく、漏れらは銅メダルを下げながら
ただ呆然としていた
379 名前:大人の名無しさん[sage] 投稿日:04/12/02(木) 17:09:05 ID:bWseUyUf [3/4]
数年後、漏れは、スポーツ推薦で入学した大学を辞めていた
大学の監督とそりが合わず、体育会そのものを辞めてしまったからだ
母校となる高校、そして監督に顔向けもできず、漏れは自然と足が遠のいていった
就職していた漏れに、連絡が入った
高校の監督が亡くなった、と
漏れらが入学する前から身体を悪くして、入院することもしばしばだった監督だが
まさかここまで急に、と…信じられない思いで通夜に向かった
癌で亡くなった監督は、ちっぽけで細く、漏れの記憶にある怒鳴り散らす顔とは似ても似つかない
けれど、確実に漏れの知る、その監督の顔だった
通夜が終わり、同級生、先輩、後輩などと話をしながら
コーチの元に挨拶に向かった
「○○(漏れ)なぁ…監督、お前らの試合の後、泣いてたなぁ…俺も長い付き合いだったけど
監督が泣いたのなんて全国優勝してもなかったよ。よっぽど、お前らが強くなったのが嬉しかったんだろうなぁ」
漏れは、泣きそうになるのを必死で堪えた。同級生も後輩もいるし、父母をはじめとする関係者も居る
ぐっとコブシを握り締め、泣くのだけは堪えた
コーチは続けた
「それとなぁ、○○。監督なぁ、ずっとお前のこと気にしてたぞ。お前が大学辞めたって
連絡が入ってな、『ああ、○○をあそこの大学に推薦した俺が間違ってたのかなぁ、変に気にせずに
遊びに来ればいいのになぁ』ってな。監督が引っ張ってきて、使い物にならなかったお前が
優秀賞までとって、ずっと心配してたんだぞ…」
漏れの心は、その瞬間16歳に戻った
監督の怒鳴る顔、漏れをけなす顔、漏れがいいプレイをしてよしよしと頷く顔
漏れらが最後の大会で勝ち進み笑顔で迎える顔、そして…「ありがとう」と涙を見せた顔
結果的に、漏れらが監督にとって最後にメダルを獲得した世代になり、他校の監督たちに
嬉しそうに話していたことも続けて聞いて…
380 名前:377-379[sage] 投稿日:04/12/02(木) 17:10:16 ID:bWseUyUf [4/4]
漏れはただ泣いた。人目もはばかって
なあ、監督さんよ、身体悪いのに酒を飲んでいたなぁ…
漏れは最後まで貴方と酒飲んで話が出来なかったよ
今度、墓参りにでも行くからさ、ダメになった漏れをまた怒鳴ってくれよ
それと、漏れら以上に弱くなっちまった後輩たちに活を入れてくれよ…
長文の上纏まりのない、つまらない文でスマソ…