米国・ラスベガスで開催中の家電見本市 CES 2016より。モバイル半導体大手クアルコムは、自動車向けSoC Snapdragon 602Aを搭載したアウディを出展しています。これまでに培ったモバイル技術を自動車に適用し、飽和するスマートフォン市場の次を見据えます。
クアルコムといえば、自社のモバイルプロセッサ Snapdragonシリーズの横展開を目指し、CES 2015で車載向けSoC「Snapdragon 602A」を発表。CES 2016では新たに「Snapdragon 820A / 820Am」を追加するなど、車載システムへの取り組みを強化しています。
今回のCES 2016では、ドイツの自動車メーカー アウディ(Audi) 2017年モデルに、Snapdragon 602Aが搭載されることが発表されました。
Snapdragon 602Aの仕様は、1.5GHzのクアッドコアCPU、Adreno 320 GPU、、USB x 3、Bluetooth 4.1、GPS、GLONASSサポート、Wi-Fi 802.11n/ac(MU-MIMO)対応。最大3つのHDディスプレイへの同時映像出力ができるほか、常時認識する音声認識で運転しながらのハンズフリー操作も実現します。
2つの高精細モニタにトラックパッド、SIMスロット搭載でLTE通信も可
こちらがクアルコムブースに展示された Snapdragon 602A搭載アウディの車載システムです。高速モバイル通信 LTE-Advancedで読み込んだ高精細地図を左側のスクリーンに表示しながら、右側のスクリーンでは別の画面を表示しています。これをすべてワンチップで処理しています。
なお車載システムのOSには、Blackberryの開発元RIMが車載向けに展開するOS QNXを採用しています。
奥には操作用のタッチパッドを備えています。
LTE-Advancedに対応し、高精細なマップデータをストリーミングダウンロードすることが可能。LTEに繋ぐためのSIMスロットも備えます。その両隣にはSDスロットがあります。
USBポートは2つ搭載。スマートフォンを繋げばiOSのCarPlay、Android OSのAndroid Autoも利用でき、スマートフォンの機能を車載ディスプレイから使えます。
"スマホ後"を見据えたクアルコムの戦略
CES 2016のクアルコムブースでは、本業のモバイル関連の展示は控えめ。Snapdragon 602A搭載アウディのように、自動車やロボット、ドローン、IoTなど、モバイル以外に事業領域を広めるための製品展示が目立ちました。スマートフォン市場が飽和するなか、Snapdragonといった製品をモバイル以外にも展開していきたいクアルコムの姿勢が鮮明に表れた展示となっていました。アウディはSnapdragon 602A採用車載システムを、2017年発売の「A5」を皮切りに順次発売する予定です。