エクソンら石油会社は温暖化のことを40年前から知っていた
もはや誰がなんと言っても地球温まってると思う今日このごろ。
いまだに地球温暖化に懐疑論が多いのは、石油世界最大手のエクソンが化石燃料で気候変動が起こることを40年前に知っておきながら証拠隠滅に走って、ネガキャンに莫大な予算をばら撒いてきたためだという話が、インサイドクライメットに載っていました。この昨年9月のスクープを受け、11月にはNY州検事総長が捜査に乗り出しています。
年末の続報では、同社に限らずアメリカ石油協会(API)加盟の国際石油資本はどこも、1970年代から1980年代はじめの段階ですでに二酸化炭素が地球温暖化につながることを知っていた、という事実も明らかになっていて、やっぱりな~と。
知っているも何も、APIでは1979年から1983年にかけて気候変動対策本部を設置していたそうなんですね。メンバーはエクソン、モービル、アモコ、フィリップス、テキサコ、シェル、スノコ、ソハイオ、スタンダード・オイル、ガルフオイル(現シェブロン)の科学者たちです。
中でも一番研究熱心だったのがエクソンで、二酸化炭素の温暖化効果について1970年代後半から社内で調査を進めていました。それは1980年代もずっと続き、同社の情報収集と予測モデリングは世界最高水準でした。APIの本部は研究班というより話し合いを行なう場だったので、エクソンの研究成果はそのまま共有されていたようです。
たとえば上の図は1980年代にエリクソン社内で回覧していた未来予想モデル(全文pdfはこちら。30年経ってもだいたい当たってるらしい)。
API加盟各社は1979年のCO2調査で二酸化炭素が着実に増えていることは知ってたし、気候変動の影響がじき顕在化するという予測もありました。対策本部では、CO2排出を減らす石油会社の責任を果たさなきゃってことで、石油精製法を変え、ガス排出が少ない燃料を開発することなどが話し合われていたんですね。
APIの議事録には「エネルギー源の転換、調査のタイミング、条件」なんてのもあります。つまり、1980年の段階で石油業界は化石燃料からの脱却を図るエネルギー革命を本気でやろうとしていたんです!
このまま突き進んでいれば神対応なんですけど、話がおかしくなるのはこの先です。
気候研究で論文を発表し輝かしい成果を収めていたエクソンも、1988年、NYタイムズに「地球温暖化」の文字が踊って、議会が排ガス規制を検討し始めた辺りから、急に事業のことが心配になったんでしょう。1989年ごろから経営陣がコンピュータの予測モデルにいろいろといちゃもんをつけ始めます。そんな不確かなもので企業の未来は決められないとかなんとか。
そしてついには温室効果ガスを減らす国際運動をひたすら妨害し続ける圧力団体「世界気候連合(GCC)」をAPI、石油・製造大手各社と一緒に旗揚げしちゃうわけですよ。どうしてそうなる!
京都議定書で温室効果ガス排出量を削減することで各国が合意する中、アメリカはイチヌケして「あれ?」ってなりましたが、あれなんかも裏ではここが「気候変動は科学的に根拠希薄なのでアメリカは批准すべきではない」と米世論と議会を誘導するキャンペーンをせっせとやっていたのであります。
ついでに言うと、その一方で石油業界は、北海の油田で海面が上昇しても大丈夫なように、足場をちゃっかり1m以上も高くするなどの温暖化対策を行なっていたのですね~はい。
こうして理想に燃えたかつての地球温暖化研究は尻すぼみとなり、排ガス規制妨害のロビー活動にお金は移転。ネガキャンは外向けのみならず、社内の科学者にも向けられていったのでした。
先月の国際気候変動パリ会議(COP21)ではオバマも批准し、今はエクソンも規制、規制と言ってますけど、専門家からは10年遅いんだよと言われてますよ。
image: Exxon via InsideClimate
source: InsideClimate
Maddie Stone - Gizmodo US[原文]
(satomi)