転載元:男「幽霊の世界も課金制なんだ?」
少女「うらめしやぁ〜」ヌッ
男「おわっ!!」ビクゥッ
少女「あ、えへへ、驚いてくれましたね? ね?」
男「あ、あわ、あわわわわ」ガタガタ
少女「えへへ、いいリアクションですねえ」
少女「これで……100ポイント超えましたかね? ね?」ポチポチ
少女「あれ……ちょっと足りない?」
少女「がっかりですぅ」
男「……」ガタガタ
少女「こんなに怖がってくれてるのに……」
・彡(°)(°)「お!近所のJCやんけ声かけたろ!」
・男の娘「残念実はおと――」男「嘘だ!」
・子供「らんら〜ん♪」熊「あっ」子供「あっ」熊「あっ」もぐもぐ
・シンジ「毛虫なんてどうかな?」 ゲンドウ「・・・・・・」
・悟空「ブルマ先っちょだけ挿れさせてくんねぇか」 ブルマ「はぁ!?」
・【引退作品】鼻フックをし最終形体に変貌を遂げた小向美奈子の引退作品…その名も脅迫スイートルームwwwwwwwwwwww【小向美奈子】
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男「なに!? 君はなに!? 僕を呪い殺しに来た幽霊!?」
少女「あれれ、おにーさん呪い殺される心当たりがおありで?」
男「いや、ないけど……」
少女「幽霊にそんなパワーはないですよ」
少女「ちょっと人間様を驚かすくらいで」
男「……」
少女「あれ、落ち着くの、早いですね」
少女「さっきまで『お助けぇ〜!! ガタガタ!!』とか言ってたのに」
男「言ってない!」
少女「おにーさん割と怖がりですね?」
少女「ホラー映画とか一人で観れないタイプですね?」
男「う……」
少女「いくら格安でもいわくつきの物件には住めないタイプですね?」
男「う……」
少女「当たりですね♪」
少女「あれ? でもだったらどうしてこのアパートを選んだんですか?」
男「え?」
少女「おにーさんみたいな怖がりは、真っ先に避ける物件じゃないですか?」
男「え? え?」
少女「ほら、今でもそこに血まみれの」
男「ああああああああああああああああああああああ」ガタガタ
少女「いいですねえ、いいですねえ、素敵なリアクションですぅ」ゾクゾク
男「やめて! 怖いのダメ!」
少女「嘘ですよ、大げさな」
男「え?」
少女「このアパートには特に害のあるタイプの霊はいませんから」
男「あ、そ、そう、へえ……」
少女「『害のあるタイプ』は、ね」
男「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」ガタガタ
少女「えへへへへ、面白い」
男「き、君は僕をどうするの?」
少女「どうもしませんよー脅かすだけです」
男「それが嫌なんだけど」
少女「心臓が弱いんですか?」
男「ん? いや別に」
少女「ある程度の刺激は、心臓にとって悪くないんですよ?」
男「いや、それでも嫌なんだけど」
少女「おにーさん、いいリアクションしてくれるから、しばらくここで定期的に驚かそうと思うんですけど」
男「めっちゃ嫌なんだけど」
少女「……」ポチポチ
少女「あれ、これでも100越えてない」ガッカリ
男「なにしてんの? それ」
少女「あ、こっちの話です」
男「てい」
スカッ
少女「……」
男「触れないのか」
少女「え、幽霊に触れると思ったんですか? おにーさん馬鹿ですか?」
男「ケータイ? 幽霊もケータイみたいなもん持つの?」
少女「おにーさん怖がりのくせにグイグイ来ますね」
男「てい、てい」スカッスカッ
少女「これはですね……幽霊の頑張った証をポイント制にして見ることができる機械です!」
男「ふうん?」
少女「頑張ったポイントすげー見れる機械、略してGPSです!!」
男「『すげー』がすげー邪魔じゃないその名前?」
少女「人間を脅して貯めたポイントを、これで確認できるんです」
男「で?」
少女「え?」
男「貯めたポイントはどう使うの?」
少女「あ、アクセサリーとか買うんです」
男「アクセサリー?」
男「え、ピアスとか? ネックレスとか?」
少女「そんなん付けてても怖くないじゃないですかー」
少女「血のりとか、飛び出した目玉とか、おどろおどろしいものですよぅ」
男「え?」
男「幽霊の世界も課金制なんだ?」
少女「あーそうそう、そういう感じなんですー」
少女「私はまだまだ駆け出しなので、こんなテンプレートな格好しかできないんですけど」
少女「白いワンピース、黒髪ロング」
男「駆け出しって、どれくらい?」
少女「えーっと、えー、1年くらいですかね?」
男「へえ……」
男「でも、幽霊なのに足あるんだね」
少女「足消すのもポイントいるんですよ」
男「消すのか」
少女「大体みんな、足消すところから始めますね」
男「はあ……逆に?」
少女「ええ、逆に」
男「触れないけど、こんなにはっきり見えるもんなんだね」
少女「おにーさんの霊感もいい感じだからですかね?」
男「霊感なんてないと思ってたけどなあ」
少女「大人になってから霊感が伸びることもあるらしいですよ」
男「いらないなー」
少女「この場所自体が私と相性がいいのかもしれませんね?」
男「逆に?」
少女「ええ、逆に」
少女「じゃあ、また明日来ますぅ」
男「いやいや、困るけど」
少女「もう出会っちゃったんだから、怖くないでしょう? ね? ね?」
男「……うーん」
少女「明日も同じ時間くらいに来ますから、待っててくださいね? ね?」
少女「それではー」スゥ
男「あ……」
男「……」
男「あ……明日……同じ時間って……」
男「……ま、いっか」
―――次の日―――
バサァッ!!
少女「ブワァー!!」
少女「悪い子はどこじゃああー!!」
少女「呪い殺してやりますよぉー!! ヴァアハハハハ!!」
少女「……」
少女「……あれ?」
少女「……いない……」
少女「……」カァァ
―――次の日―――
少女「ちょっと!!」ヌッ
男「うお!!」ビクゥッ
少女「なんで昨日いなかったんですか! 同じ時間に来るってゆったのに! ゆったのに!」
男「あ、えっと」
少女「この臆病者! 卑怯者! チキン! チキン南蛮!! 南蛮野郎!!」
男「あの、バイト入ってて」
少女「へ?」
男「それ言う前に、消えちゃったからさ」
少女「……」
男「きょ、今日はちゃんといただろ?」
男「だからごめんて」
少女「……」
少女「そ、そういうことなら仕方ないですねっ」
男「ごめんて」
男「だいたい11時くらいまでバイト入ってること多いからさ」
少女「じゃあそのあとなら、おにーさんを驚かせることができますね?」
男「あ、余計なこと言っちゃったかなあ……」
少女「えへへへへー」
男「ていうか南蛮野郎ってなんだよ」
少女「今さらそこに突っ込みます?」
少女「で、ほら、見てください! 足! 消えましたよ!」
男「あ、ほんとだ、幽霊っぽい」
少女「でしょでしょ! これで私も初心者は脱却ですね? ね?」
男「それどうやって立ってんの?」
少女「立ってないですよ、浮いてるんですよ?」
男「あ、そうか、そういうもんか」
少女「おにーさん、幽霊のことなんにもわかってないですね、ぷー」
男「……」イラッ
男「ポイント使ったんだ?」
少女「ええ、これ消さないことには幽霊と言っても信じてもらえないですからねっ」
男「わざわざ消してるとは思ってなかったけどなあ」
少女「で、今日は私のポイント稼ぎのために、いっぱい驚いてもらわないと、ですね」
男「……え?」
少女「さあさあ、たくさん驚いてくれていいんですよう! さあ! さあ!」
男「そんなこと言われても……」
男「同じやり方じゃ驚きも半減するというか」
少女「え?」
男「なんか出てくる方法とか、変えてみるとか」
少女「ほうほう」
男「あ、あんまり怖い感じじゃなく、ちょっとびっくり、わお、くらいで」
少女「ふむふむ、なるほど」
少女「じゃあ一回消えてみるので、驚いてくださいね」
男「え」
少女「……」スゥ
男「?」
にゅるーん
男「!」ビクッ
少女「どうですか? どうですか? 天井から出てみましたよ!」
男「……」ドキドキ
少女「お、ちょっといい感じにびっくりしてくれましたね」
男「そ、そうそう、そんな感じ」
少女「もっといろいろ試してみますよー!」
じゃばっ!
男「ギャー!!」バシャバシャ
少女「どうですどうです? お風呂からって怖くないですか?」
びちゃびちゃ
男「怖い! 濡れた髪が余計に怖い!」
男「ていうか早く出て! エッチ!」
少女「あれ、おにーさんにエッチ呼ばわりされるとちょっと癪ですね」
かぱっ
男「ギャーアアアアー!!」ビクビクッ
少女「どうです? 便器の中の私」
きゅっ
男「あ”あ”あ”あ”あ”ー!!!! チャックが!! 挟んだ!!」ジタバタ
少女「あれ、さらなるコンボが繋がりましたよ」
少女「これはポイントUPの予感!!」
男「……」ゼエゼエ
少女「うふふ、出方ひとつで結構変わるものですねえ」
男「……」ゼエゼエ
少女「個人的にはどれが一番キましたか?」
男「……『便器の中の私』かな……」
少女「じゃあ、明日から毎日それで登場しますね♪」
男「いや、ちょっとそれは」
少女「ではでは、また明日ですぅ」スゥ
男「あっ……」
―――次の日―――
少女「こんばんはー」ヌッ
男「!?」
男「アアアアアアアア!!」
少女「えへへ、そんなに驚かなくても」
男「アアアアアアアアアアアアアア!!!!」
少女「ちょ、うるさいうるさい、近所迷惑ですよ、おにーさん」
男「目!! 目がぁ!! メガァ!!」
少女「あ、そうですそうです、目を消してみました」
少女「眼窩っていうんですか? それの剥き出しバージョンですぅ」
男「……」ブルブル
少女「あれ?」
男「……マジで怖い」ブルブル
少女「あれ、不評ですね? ね?」
少女「これ結構いいポイントするんすよねぇ」
少女「私結構これに貴重なポイントつぎ込んで、おにーさんに喜んでもらおうとしたんですよねぇ」
男「……」チラッ
少女「なに見てんだオラァ!!」クワッ
男「ひぃいいいいいいいいいいいいいいい」ブルブル
少女「うふふふ、うふふふ、うひひひひひひ」
男「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」ブルブル
少女「ちょっと悪ふざけが過ぎましたかね? ね?」
男「目をちゃんと着けてください……」ブルブル
少女「はいはい、戻しましたよ」
男「……」チラッ
少女「……」
男「……ふぅ」
少女「よし、これから登場時はこれでいきましょうね」
男「やめて!!」
男「今度はなに、眼球を外すオプション?」
少女「そういう感じです」
男「ヤバイ系のホラー映画っぽくてほんと怖かった」
少女「えへへ、それ最高の褒め言葉ですねえ」
男「もうそれだけでやってけそうだから、余所行ってくれないかなあ」ボソッ
少女「あ、おにーさん勘違いしてますね?」
男「ん?」
少女「私、ここだけで人を脅かしてるわけじゃないんですよ?」
男「あれ、そうなの?」
少女「出現できるポイントは限られてるんですけど、あちこちはしごしてるんですよぅ」
男「……そっか」
少女「あれ? おにーさんちょっと妬きましたね? やきもちですね? ね?」
男「いや別に居なくなってもらって全然構わないっていうか願ったり叶ったりっていうか」
少女「ちょっと言い過ぎじゃないかなーって思ったり」
男「わざわざ怖い思いしたくないから目のオプションはもう二度と使わないでほしいなーっていうか」
少女「せっかくのポイント使用を無駄にさせるとか、ちょっとおにーさん鬼畜系ーって思ったり」
男「じゃあ他にたくさんポイント稼げるとこが見つかったら……」
少女「あーそういうところがあったら、すごく効率が良いのは良いんですけどね……」
少女「ただまあ、私が有名になっちゃったら誰も来なくなったり……」
男「あ、そうか」
少女「逆に面白がる人ばっかり来ちゃったり」
男「なるほど」
少女「だからこう、人の住んでいるところに出現できるのは結構貴重なんですよぅ」
男「そういうもんなのか」
少女「というわけで、明日もいっぱい驚いてくださいねー」
男「……いい返事はしたくないなあ」
少女「えへへへへ」スゥ
男「……」
男「なんでここに、出現できるんだろう」
男「……はた迷惑な……」
男「女の幽霊とか……正直見たくないよ……」
幽霊可愛い
おつはむ
―――次の日―――
デデンデンデデン
男「ん?」
デデンデンデデン
男「なんだこの音?」
デデーン!!
少女「こんばんはー」ヌッ
男「怖くないっ!!」
少女「ええー」
ガビーン!!
男「その音もダメ!!」
男「なにこの音?」
少女「これもポイントでゲットした効果音ですよぅ」
男「もうちょっと怖い音なかったの?」
少女「あの、サメの映画のテーマとか」
男「なんか方向性が違う」
少女「怪獣のうなり声とか?」
男「それも方向性が違う……」
シュリッ シュリッ
男「ん?」
シュリッ シュリッ
男「これも効果音?」
少女「えへへへへへ」
シュリッ シュリッ
男「何の音?」
少女「山姥が包丁を研ぐ音だとか」
男「イメージが古い!!」
―――次の日―――
男「お?」
少女「見ててくださいね」
グギッ
男「え?」
グギッグギギギギギッ
少女「えへへへへへ」
男「いやあああああああああああ!! 首が!! 首がぁ!!」
グギギギギギギギギギギッ
少女「360度自由自在に回りますよー」
少女「人間でもこの技を使える人がいるみたいですね」
男「あれはトリックだから! マジックみたいなものだから!」
少女「あれいいなーって、真似したいなーって思って」
男「いや実際怖かったよ? でもあれはギャグだよ?」
少女「逆にも回りますよー」
グギギギギギギギギギギッ
男「やめて! 気持ち悪い!」
男「せめて箱かぶって!!」
少女「ほらほら、服を後ろ前に着ちゃっても、これで安心!」グギッ
男「首を180度回しても解決してないから!」
男「手とかつま先の方向がおかしいから!」
少女「うふふ」ニッコリ
男「胸も後ろについて……」
男「……あれ……どっちも背中みたいだな……」
少女「あれ、おにーさん私の胸を馬鹿にしましたね?」
―――次の日―――
バインバイン
男「……」
ボインボイン
少女「うふふふふ♪」
男「それ、オプションで?」
少女「はい♪」
男「昨日の胸のくだり、気にしてたんだ」
少女「うふふふ、『両方とも背中』の私とはおさらばですよぅ」バインバイン
男「悪かったって……」
―――次の日―――
少女「まいど!!(甲高い声)」ヌッ
男「っ、なんでそんな声……」
男「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」ビクビクン
少女「前の『目玉なし』が不評でしたので、『目玉のみ』です」ズイズイ
男「近い近い近い!! 寄るな化け物!!」
少女「オイ!! オニ太郎!!(甲高い声)」ズイズイ
男「読み方が間違ってる!!」
少女「風呂だ!! 風呂を沸かせオニ太郎!!(甲高い声)」
男「でかい!! 怖い!! カラスよけの風船みたい!!」
少女「じゃあ今日はこの辺で……」
男「完全に出オチだよね」
少女「一発ギャグみたいな感じですよね」
男「それどうやって喋ってんの?」
少女「あ、見ます?」ベロン
男「ぎゃー!! 目玉めくるな!!」
―――次の日―――
少女「こんばんわー」ヌッ
男「……?」
少女「あれ? なんですかその釈然としない顔は」
男「いや、今日は割と普通だなーと思って」
少女「いやあ、ポイントを最近使いすぎちゃってて」
男「あ、節約してるのか」
少女「おにーさんがいい感じに驚いてくれて嬉しいんですけど、毎日新しいオプションをつけるのは厳しくて」
男「いや、期待してるわけじゃないけどね?」
少女「可愛いオプションばっかりつける幽霊もいるんですよ」
男「どういうこと?」
少女「最初おにーさんが言ってたような、ピアスとかネックレスとか」
男「ふうん?」
少女「で、普通の生きている人間のようにして近づいて、実は足ありませんでしたー、とか」
男「あ、そういう脅かし方か」
少女「人間っぽく近づいて『私綺麗?』って裂けた口を見せるとか」
男「ひいいい、それ実在するんだ」
少女「マスクをつけた女幽霊には注意ですよぅ」
―――次の日―――
少女「こんばんはー」ヌッ
男「!?」
少女「我が名はデュラハン!! デュラハハハハ!!」
男「く!! 首が取れてるぅ!!」ガタガタ
少女「あっ」
ゴトン
ゴロゴロ
男「ぎゃあああああああああ!! こっち来たぁぁぁああ!!」
男「デュ、デュラハンってなんすか」ドキドキ
少女「首を抱える騎士の亡霊ですよー」
男「首んとこそれどうなってるの?」
少女「見たいですか? 見たら呪い殺しますよ?」ニヤニヤ
男「あっ、いいです」
少女「おっと」
ゴトン
ゴロゴロ
男「いやあああああああああ!! またこっち来たぁぁあああ!!」
―――次の日―――
少女「こんばんはー」ヌッ
男「っ! また来たな……」
少女「えへへ」ブラーン
男「オアアアアアアアアアアアアア!! 内臓!! 内臓!!」
少女「えへへへへへへ」ブラブラ
男「ウアアアアアアア!! オエッ!! オアアアアアアアアアアアアア!!」
少女「どうですこのリアルさ! はみ出る腸! 滴る血!」ビチャビチャ
男「オエッ!! ヴヴォエッ!! オロロロロロロロロ」ビチャビチャ
少女「すみませんやりすぎました」
男「……」ズーン
少女「ぐろいの、ちょっとダメでしたね、気持ち悪いですよね」
男「……」ズーン
少女「あの、これ、別の出現場所ですっごいみんな驚いてくれたんでいけるかなーって」
男「……」ズーン
少女「調子乗りましたね、私ね、すみません」
男「……」ズーン
少女「あ、えっと、じゃあ今日はこの辺で……」
男「……うん」
少女「あ、明日はもうちょっと軽いので……来ますので……その……」
男「……うん」
少女「あ、来ても大丈夫な感じですか?」
男「……うん」
少女「あ、じゃあ、また明日、えっと、よ、よろしくでーす」スゥ
男「……」
―――次の日―――
少女「こ、こんばんはー」ヌッ
少女「昨日はお騒がせしましたー」
男「あ、うん」
少女「きょ、今日はもうシンプルになんもなしでーす」
男「あ、うん」
少女「いやあ、おにーさんを驚かせてポイントを稼ぐのが目的だったとはいえ、ちょっと昨日のは反省です」
男「ポイントは順調に溜まってるの?」
少女「あ、ええ、おかげさまで」
男「いや、ぐろいのは苦手だけどね、別に君は悪くないよ?」
少女「……」
男「脅かしてポイント稼ぐんだからね、ビビりなおれが悪いのであって」
少女「……」
男「ショック死なんかしちゃったらすげーポイント溜まるんじゃないの?」
少女「それは……」
男「時々いる心臓麻痺で死んだ人とかさ、幽霊が脅かしたって死因があるのかも」
少女「……」
少女「それは私の望むものではないんですよ」
少女「人を驚かすのは確かに悪いですけど、それは『悪さ』の範疇であるべきであって」
男「……」
少女「害を与えたり死に至らしめるのは、悪霊です」
男「……」
少女「私はそうなりたくないんです」
少女「でも、昨日の私は……」
男「……」
少女「幽霊の先輩の中にはね、人をびっくり死させることを目的にしている人もいるんですよ」
少女「とんでもないポイントを稼いで、様々なオプションつけて、心臓の弱そうな人を狙って」
男「……ひでえな」
少女「だから……ごめんなさい」
男「もういいよ」
少女「……」
男「ぐろいのが苦手ってのはあるかもしれないけど、昨日吐いたのは他にも理由があってね」
少女「はあ」
男「妹が1年前に死んだんだ」
少女「……」
男「交通事故で」
少女「……」
男「昨日の君みたいに、内臓が……」
少女「……っ!」
男「だから、それを思い出して、ダメだったんだと思う」
少女「それは……すみません……」
男「あのさ」
少女「は、はい」
男「この写真に写っている女の人を、見たことはない?」
少女「……はあ」
男「妹なんだ」
少女「あ、この人が……」
男「見覚えは?」
少女「ありません」
男「死んだら、みんな幽霊になるのかな?」
少女「いえ、そういうわけじゃないみたいですよ」
少女「天国や地獄に行くのがほとんどで、幽霊はそれに比べればごくわずかです」
男「あ、そうなの?」
少女「だから妹さんも、幽霊になっていないかもしれません」
少女「素行不良とかじゃなければ、普通に天国に行っているかと」
男「そ、素行不良じゃないし!!」
少女「あと、よっぽどの淫乱とかじゃなければ」
男「人様の妹になんてこと言うんだこの野郎!!」
男「君が妹なのかな、とも思ったんだけど」
少女「へ? 私ですか?」
男「この場所が現れやすいとか、幽霊になって一年だとか、さ」
少女「あ、ああー」
男「?」
少女「あれね、えっとね、私ちょっとサバ読んじゃいました」
男「はあ?」
少女「あんまり初心者だと格好悪いかなーって」
少女「ほんとは初めて現れたあの日で、幽霊始めて一週間でした」
男「はあ?」
男「幽霊がサバを読むとか、初めて聞いたよ」
少女「えへへ、すみません」
男「なんだ、じゃあ違うのか」
少女「まあ、たとえそうだったとしても記憶がありませんから、なんとも」
男「まあ、そっか」
少女「会いたかったですか? 妹さんに」
男「会いたくないなって思ってた」
少女「そういうもんですか?」
男「でも君と話しているうちに、ちょっと楽しくなったりして」
少女「えへへ」
男「妹と馬鹿やって笑ってたこと思い出したりして」
少女「……」
男「やっぱり会いたいなって思ったよ、たとえ幽霊でも」
少女「……ですよね」
男「……たとえ内臓出てても」
少女「……ですよ……ね?」
男「で? 明日はどんなふうに驚かせてくれるの?」
少女「え?」
男「言っとくけど、二回目のネタじゃあもう驚かないぞ?」
男「常に新しい驚かせ方を開発してくれないと」
少女「あ、えっと……」
男「?」
少女「私、また来てもいいんですね?」
男「いいよ、だって楽しくなってきたって、言ったでしょ」
少女「ずっと思ってたんですけどこの部屋……」
男「ん?」
少女「『女の匂い』が全然しないんですよね」
男「……」
少女「若い男の人の一人暮らしで、一切」
男「……」
少女「それって普通なんですか?」
男「うるさいな」
少女「枯れてるんですか?」
男「うるさいな」
少女「『男の匂い』はすっごいするんですけどねー」
男「う、うるさいな」ドキッ
少女「おにーさんが喜びそうな特別なオプションがあるんですよねえ、えへへ」
男「なにそれ」
少女「秘密ですっ!」
少女「そのオプションがつけられるようになるまでは、しばらくここで、まだまだ脅かしたいと思いますので」
男「なんだよ、妹に化けるとか、そういう冗談はなしだぞ」
少女「わ、わかってますって!」ドキッ
男「試そうと思ってない?」
少女「お、思ってないです思ってないです!」ドキドキ
少女「さ、さすがにそれは、倫理観に問題が」ドキドキ
男「ふうん?」
少女「いつか、実際に触って驚かせてやりますよー、ふふふ」ボソッ
少女「でもあれ高いんですよねー、実体を得るオプション」ボソボソ
少女「まずはコツコツ、ポイントを溜めないとですねっ」
男「なんだって?」
少女「じゃ、じゃあまた明日ですー」スゥ
―――次の日―――
バサバサッ
少女「フゥーハハハハハハ!! 悪い子はいねえかぁあー!!」
少女「ナマハゲ様のお通りじゃぁああー!!」
バサバサッ
少女「あ、あれ? リアクションがありませんねえ」
少女「ま、まさかバイト!? あの時の恥ずかしさが再び!?」
男「……」
少女「な、なーんだ、居るじゃないですかー」
男「……」
少女「お、おにーさ……」
男「……」
少女「し、死んでるっ!? お、おにーさん!! おにいさあああああんんんんん!!」
バタバタッ
少女「ちょ、ちょっと!! 大丈夫ですかそんな血まみれでっ!!」
スカッ スカッ
少女「あ、触れないんだった……」
男「……」
少女「なんですか!? 強盗ですか!? すぐに私が仇をっ!!」
少女「びっくり死させてやりますよ!! おにーさんの恨みはすべて私が……」
男「だーーっはっはっはっは!! 騙されたなっ!!」ガバァ
少女「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
男「ははは、たまにはこっちが驚かそう、と思って」
少女「ふーっ、ふーっ、ふーっ」ドキドキ
男「幽霊でもビビるんだな、はっはっは」
少女「ふーっ、ふーっ、しゃーっ」ドキドキ
男「猫か」
少女「……」
男「よしよし、明日はどうやって驚かしてやろうかな?」
少女「あ、明日も驚かすつもりなんですか?」ビクッ
男「もちろん、明日も来るよね?」
少女「……くっ」
男「この大量の血のりを用意するのは大変だったんだからさ」
男「君の血みたいに簡単に消えるわけでもないし」ゴシゴシ
男「あーこれ、大家さんに怒られそう……」ゴシゴシ
少女「な、なんでこんな」
男「え、だって驚かす側だと怖くないもん」
少女「え」
男「人間の世界だって、課金制なんだぜ? ちょっと値は張るけど」
少女「う」
男「バイトして貯めた金で、君を驚かせるのは楽しいだろうなあ」
少女「うううう」
男「被り物もメイキャップも、効果音だってギミックだってトリックだって、やろうと思えばできそうだ」
少女「おにーさん意地悪ですね……ポイントだって入らないだろうに……」
男「さあ、明日はどんなことして驚かせてくれるんだ?」ニヤニヤ
★おしまい★
後日談してもいいのよ
実体化のくだりとかやってくださいよ(懇願)
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2: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 22:09:03 ID:FvhrBDSE
男「なに!? 君はなに!? 僕を呪い殺しに来た幽霊!?」
少女「あれれ、おにーさん呪い殺される心当たりがおありで?」
男「いや、ないけど……」
少女「幽霊にそんなパワーはないですよ」
少女「ちょっと人間様を驚かすくらいで」
男「……」
少女「あれ、落ち着くの、早いですね」
少女「さっきまで『お助けぇ〜!! ガタガタ!!』とか言ってたのに」
男「言ってない!」
3: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 22:15:38 ID:FvhrBDSE
少女「おにーさん割と怖がりですね?」
少女「ホラー映画とか一人で観れないタイプですね?」
男「う……」
少女「いくら格安でもいわくつきの物件には住めないタイプですね?」
男「う……」
少女「当たりですね♪」
少女「あれ? でもだったらどうしてこのアパートを選んだんですか?」
男「え?」
少女「おにーさんみたいな怖がりは、真っ先に避ける物件じゃないですか?」
男「え? え?」
4: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 22:21:35 ID:FvhrBDSE
少女「ほら、今でもそこに血まみれの」
男「ああああああああああああああああああああああ」ガタガタ
少女「いいですねえ、いいですねえ、素敵なリアクションですぅ」ゾクゾク
男「やめて! 怖いのダメ!」
少女「嘘ですよ、大げさな」
男「え?」
少女「このアパートには特に害のあるタイプの霊はいませんから」
男「あ、そ、そう、へえ……」
少女「『害のあるタイプ』は、ね」
男「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」ガタガタ
少女「えへへへへ、面白い」
5: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 22:28:46 ID:FvhrBDSE
男「き、君は僕をどうするの?」
少女「どうもしませんよー脅かすだけです」
男「それが嫌なんだけど」
少女「心臓が弱いんですか?」
男「ん? いや別に」
少女「ある程度の刺激は、心臓にとって悪くないんですよ?」
男「いや、それでも嫌なんだけど」
少女「おにーさん、いいリアクションしてくれるから、しばらくここで定期的に驚かそうと思うんですけど」
男「めっちゃ嫌なんだけど」
6: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 22:34:59 ID:FvhrBDSE
少女「……」ポチポチ
少女「あれ、これでも100越えてない」ガッカリ
男「なにしてんの? それ」
少女「あ、こっちの話です」
男「てい」
スカッ
少女「……」
男「触れないのか」
少女「え、幽霊に触れると思ったんですか? おにーさん馬鹿ですか?」
7: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 22:44:31 ID:FvhrBDSE
男「ケータイ? 幽霊もケータイみたいなもん持つの?」
少女「おにーさん怖がりのくせにグイグイ来ますね」
男「てい、てい」スカッスカッ
少女「これはですね……幽霊の頑張った証をポイント制にして見ることができる機械です!」
男「ふうん?」
少女「頑張ったポイントすげー見れる機械、略してGPSです!!」
男「『すげー』がすげー邪魔じゃないその名前?」
9: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 22:54:45 ID:FvhrBDSE
少女「人間を脅して貯めたポイントを、これで確認できるんです」
男「で?」
少女「え?」
男「貯めたポイントはどう使うの?」
少女「あ、アクセサリーとか買うんです」
男「アクセサリー?」
男「え、ピアスとか? ネックレスとか?」
少女「そんなん付けてても怖くないじゃないですかー」
少女「血のりとか、飛び出した目玉とか、おどろおどろしいものですよぅ」
男「え?」
10: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 23:02:13 ID:FvhrBDSE
男「幽霊の世界も課金制なんだ?」
少女「あーそうそう、そういう感じなんですー」
少女「私はまだまだ駆け出しなので、こんなテンプレートな格好しかできないんですけど」
少女「白いワンピース、黒髪ロング」
男「駆け出しって、どれくらい?」
少女「えーっと、えー、1年くらいですかね?」
男「へえ……」
11: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 23:08:44 ID:FvhrBDSE
男「でも、幽霊なのに足あるんだね」
少女「足消すのもポイントいるんですよ」
男「消すのか」
少女「大体みんな、足消すところから始めますね」
男「はあ……逆に?」
少女「ええ、逆に」
12: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 23:15:40 ID:FvhrBDSE
男「触れないけど、こんなにはっきり見えるもんなんだね」
少女「おにーさんの霊感もいい感じだからですかね?」
男「霊感なんてないと思ってたけどなあ」
少女「大人になってから霊感が伸びることもあるらしいですよ」
男「いらないなー」
少女「この場所自体が私と相性がいいのかもしれませんね?」
男「逆に?」
少女「ええ、逆に」
13: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/09(土) 23:22:36 ID:FvhrBDSE
少女「じゃあ、また明日来ますぅ」
男「いやいや、困るけど」
少女「もう出会っちゃったんだから、怖くないでしょう? ね? ね?」
男「……うーん」
少女「明日も同じ時間くらいに来ますから、待っててくださいね? ね?」
少女「それではー」スゥ
男「あ……」
男「……」
男「あ……明日……同じ時間って……」
男「……ま、いっか」
19: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 20:32:55 ID:ScuLbQu6
―――次の日―――
バサァッ!!
少女「ブワァー!!」
少女「悪い子はどこじゃああー!!」
少女「呪い殺してやりますよぉー!! ヴァアハハハハ!!」
少女「……」
少女「……あれ?」
少女「……いない……」
少女「……」カァァ
20: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 20:41:48 ID:ScuLbQu6
―――次の日―――
少女「ちょっと!!」ヌッ
男「うお!!」ビクゥッ
少女「なんで昨日いなかったんですか! 同じ時間に来るってゆったのに! ゆったのに!」
男「あ、えっと」
少女「この臆病者! 卑怯者! チキン! チキン南蛮!! 南蛮野郎!!」
男「あの、バイト入ってて」
少女「へ?」
21: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 20:48:03 ID:ScuLbQu6
男「それ言う前に、消えちゃったからさ」
少女「……」
男「きょ、今日はちゃんといただろ?」
男「だからごめんて」
少女「……」
少女「そ、そういうことなら仕方ないですねっ」
男「ごめんて」
男「だいたい11時くらいまでバイト入ってること多いからさ」
少女「じゃあそのあとなら、おにーさんを驚かせることができますね?」
男「あ、余計なこと言っちゃったかなあ……」
少女「えへへへへー」
男「ていうか南蛮野郎ってなんだよ」
少女「今さらそこに突っ込みます?」
22: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 21:00:50 ID:ScuLbQu6
少女「で、ほら、見てください! 足! 消えましたよ!」
男「あ、ほんとだ、幽霊っぽい」
少女「でしょでしょ! これで私も初心者は脱却ですね? ね?」
男「それどうやって立ってんの?」
少女「立ってないですよ、浮いてるんですよ?」
男「あ、そうか、そういうもんか」
少女「おにーさん、幽霊のことなんにもわかってないですね、ぷー」
男「……」イラッ
23: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 21:06:47 ID:ScuLbQu6
男「ポイント使ったんだ?」
少女「ええ、これ消さないことには幽霊と言っても信じてもらえないですからねっ」
男「わざわざ消してるとは思ってなかったけどなあ」
少女「で、今日は私のポイント稼ぎのために、いっぱい驚いてもらわないと、ですね」
男「……え?」
少女「さあさあ、たくさん驚いてくれていいんですよう! さあ! さあ!」
男「そんなこと言われても……」
男「同じやり方じゃ驚きも半減するというか」
少女「え?」
24: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 21:13:26 ID:ScuLbQu6
男「なんか出てくる方法とか、変えてみるとか」
少女「ほうほう」
男「あ、あんまり怖い感じじゃなく、ちょっとびっくり、わお、くらいで」
少女「ふむふむ、なるほど」
少女「じゃあ一回消えてみるので、驚いてくださいね」
男「え」
少女「……」スゥ
男「?」
25: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 21:19:12 ID:ScuLbQu6
にゅるーん
男「!」ビクッ
少女「どうですか? どうですか? 天井から出てみましたよ!」
男「……」ドキドキ
少女「お、ちょっといい感じにびっくりしてくれましたね」
男「そ、そうそう、そんな感じ」
少女「もっといろいろ試してみますよー!」
26: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 21:25:58 ID:ScuLbQu6
じゃばっ!
男「ギャー!!」バシャバシャ
少女「どうですどうです? お風呂からって怖くないですか?」
びちゃびちゃ
男「怖い! 濡れた髪が余計に怖い!」
男「ていうか早く出て! エッチ!」
少女「あれ、おにーさんにエッチ呼ばわりされるとちょっと癪ですね」
27: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 21:36:33 ID:ScuLbQu6
かぱっ
男「ギャーアアアアー!!」ビクビクッ
少女「どうです? 便器の中の私」
きゅっ
男「あ”あ”あ”あ”あ”ー!!!! チャックが!! 挟んだ!!」ジタバタ
少女「あれ、さらなるコンボが繋がりましたよ」
少女「これはポイントUPの予感!!」
28: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/10(日) 21:47:22 ID:ScuLbQu6
男「……」ゼエゼエ
少女「うふふ、出方ひとつで結構変わるものですねえ」
男「……」ゼエゼエ
少女「個人的にはどれが一番キましたか?」
男「……『便器の中の私』かな……」
少女「じゃあ、明日から毎日それで登場しますね♪」
男「いや、ちょっとそれは」
少女「ではでは、また明日ですぅ」スゥ
男「あっ……」
33: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 21:32:50 ID:kZn9iNkk
―――次の日―――
少女「こんばんはー」ヌッ
男「!?」
男「アアアアアアアア!!」
少女「えへへ、そんなに驚かなくても」
男「アアアアアアアアアアアアアア!!!!」
少女「ちょ、うるさいうるさい、近所迷惑ですよ、おにーさん」
34: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 21:44:17 ID:kZn9iNkk
男「目!! 目がぁ!! メガァ!!」
少女「あ、そうですそうです、目を消してみました」
少女「眼窩っていうんですか? それの剥き出しバージョンですぅ」
男「……」ブルブル
少女「あれ?」
男「……マジで怖い」ブルブル
35: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 21:51:36 ID:kZn9iNkk
少女「あれ、不評ですね? ね?」
少女「これ結構いいポイントするんすよねぇ」
少女「私結構これに貴重なポイントつぎ込んで、おにーさんに喜んでもらおうとしたんですよねぇ」
男「……」チラッ
少女「なに見てんだオラァ!!」クワッ
男「ひぃいいいいいいいいいいいいいいい」ブルブル
少女「うふふふ、うふふふ、うひひひひひひ」
男「ひいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」ブルブル
36: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 22:05:14 ID:kZn9iNkk
少女「ちょっと悪ふざけが過ぎましたかね? ね?」
男「目をちゃんと着けてください……」ブルブル
少女「はいはい、戻しましたよ」
男「……」チラッ
少女「……」
男「……ふぅ」
少女「よし、これから登場時はこれでいきましょうね」
男「やめて!!」
37: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 22:20:03 ID:kZn9iNkk
男「今度はなに、眼球を外すオプション?」
少女「そういう感じです」
男「ヤバイ系のホラー映画っぽくてほんと怖かった」
少女「えへへ、それ最高の褒め言葉ですねえ」
男「もうそれだけでやってけそうだから、余所行ってくれないかなあ」ボソッ
少女「あ、おにーさん勘違いしてますね?」
男「ん?」
少女「私、ここだけで人を脅かしてるわけじゃないんですよ?」
男「あれ、そうなの?」
38: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 22:37:27 ID:kZn9iNkk
少女「出現できるポイントは限られてるんですけど、あちこちはしごしてるんですよぅ」
男「……そっか」
少女「あれ? おにーさんちょっと妬きましたね? やきもちですね? ね?」
男「いや別に居なくなってもらって全然構わないっていうか願ったり叶ったりっていうか」
少女「ちょっと言い過ぎじゃないかなーって思ったり」
男「わざわざ怖い思いしたくないから目のオプションはもう二度と使わないでほしいなーっていうか」
少女「せっかくのポイント使用を無駄にさせるとか、ちょっとおにーさん鬼畜系ーって思ったり」
39: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 22:45:31 ID:kZn9iNkk
男「じゃあ他にたくさんポイント稼げるとこが見つかったら……」
少女「あーそういうところがあったら、すごく効率が良いのは良いんですけどね……」
少女「ただまあ、私が有名になっちゃったら誰も来なくなったり……」
男「あ、そうか」
少女「逆に面白がる人ばっかり来ちゃったり」
男「なるほど」
少女「だからこう、人の住んでいるところに出現できるのは結構貴重なんですよぅ」
男「そういうもんなのか」
40: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/12(火) 22:58:27 ID:kZn9iNkk
少女「というわけで、明日もいっぱい驚いてくださいねー」
男「……いい返事はしたくないなあ」
少女「えへへへへ」スゥ
男「……」
男「なんでここに、出現できるんだろう」
男「……はた迷惑な……」
男「女の幽霊とか……正直見たくないよ……」
43: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 00:48:31 ID:JmAtBLs2
幽霊可愛い
おつはむ
44: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 21:24:44 ID:BEWQHALc
―――次の日―――
デデンデンデデン
男「ん?」
デデンデンデデン
男「なんだこの音?」
デデーン!!
少女「こんばんはー」ヌッ
男「怖くないっ!!」
少女「ええー」
ガビーン!!
男「その音もダメ!!」
45: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 21:30:44 ID:BEWQHALc
男「なにこの音?」
少女「これもポイントでゲットした効果音ですよぅ」
男「もうちょっと怖い音なかったの?」
少女「あの、サメの映画のテーマとか」
男「なんか方向性が違う」
少女「怪獣のうなり声とか?」
男「それも方向性が違う……」
47: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 21:37:53 ID:BEWQHALc
シュリッ シュリッ
男「ん?」
シュリッ シュリッ
男「これも効果音?」
少女「えへへへへへ」
シュリッ シュリッ
男「何の音?」
少女「山姥が包丁を研ぐ音だとか」
男「イメージが古い!!」
48: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 21:46:19 ID:BEWQHALc
―――次の日―――
男「お?」
少女「見ててくださいね」
グギッ
男「え?」
グギッグギギギギギッ
少女「えへへへへへ」
男「いやあああああああああああ!! 首が!! 首がぁ!!」
グギギギギギギギギギギッ
少女「360度自由自在に回りますよー」
50: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 21:58:37 ID:BEWQHALc
少女「人間でもこの技を使える人がいるみたいですね」
男「あれはトリックだから! マジックみたいなものだから!」
少女「あれいいなーって、真似したいなーって思って」
男「いや実際怖かったよ? でもあれはギャグだよ?」
少女「逆にも回りますよー」
グギギギギギギギギギギッ
男「やめて! 気持ち悪い!」
男「せめて箱かぶって!!」
51: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 22:08:09 ID:BEWQHALc
少女「ほらほら、服を後ろ前に着ちゃっても、これで安心!」グギッ
男「首を180度回しても解決してないから!」
男「手とかつま先の方向がおかしいから!」
少女「うふふ」ニッコリ
男「胸も後ろについて……」
男「……あれ……どっちも背中みたいだな……」
少女「あれ、おにーさん私の胸を馬鹿にしましたね?」
52: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/13(水) 22:15:56 ID:BEWQHALc
―――次の日―――
バインバイン
男「……」
ボインボイン
少女「うふふふふ♪」
男「それ、オプションで?」
少女「はい♪」
男「昨日の胸のくだり、気にしてたんだ」
少女「うふふふ、『両方とも背中』の私とはおさらばですよぅ」バインバイン
男「悪かったって……」
56: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/14(木) 21:07:06 ID:Zj19HK6M
―――次の日―――
少女「まいど!!(甲高い声)」ヌッ
男「っ、なんでそんな声……」
男「うおおおおおおおおおおおおおおお!!」ビクビクン
少女「前の『目玉なし』が不評でしたので、『目玉のみ』です」ズイズイ
男「近い近い近い!! 寄るな化け物!!」
少女「オイ!! オニ太郎!!(甲高い声)」ズイズイ
男「読み方が間違ってる!!」
少女「風呂だ!! 風呂を沸かせオニ太郎!!(甲高い声)」
男「でかい!! 怖い!! カラスよけの風船みたい!!」
57: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/14(木) 21:15:08 ID:Zj19HK6M
少女「じゃあ今日はこの辺で……」
男「完全に出オチだよね」
少女「一発ギャグみたいな感じですよね」
男「それどうやって喋ってんの?」
少女「あ、見ます?」ベロン
男「ぎゃー!! 目玉めくるな!!」
58: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/14(木) 21:26:14 ID:Zj19HK6M
―――次の日―――
少女「こんばんわー」ヌッ
男「……?」
少女「あれ? なんですかその釈然としない顔は」
男「いや、今日は割と普通だなーと思って」
少女「いやあ、ポイントを最近使いすぎちゃってて」
男「あ、節約してるのか」
少女「おにーさんがいい感じに驚いてくれて嬉しいんですけど、毎日新しいオプションをつけるのは厳しくて」
男「いや、期待してるわけじゃないけどね?」
59: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/14(木) 21:33:28 ID:Zj19HK6M
少女「可愛いオプションばっかりつける幽霊もいるんですよ」
男「どういうこと?」
少女「最初おにーさんが言ってたような、ピアスとかネックレスとか」
男「ふうん?」
少女「で、普通の生きている人間のようにして近づいて、実は足ありませんでしたー、とか」
男「あ、そういう脅かし方か」
少女「人間っぽく近づいて『私綺麗?』って裂けた口を見せるとか」
男「ひいいい、それ実在するんだ」
少女「マスクをつけた女幽霊には注意ですよぅ」
60: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/14(木) 21:42:12 ID:Zj19HK6M
―――次の日―――
少女「こんばんはー」ヌッ
男「!?」
少女「我が名はデュラハン!! デュラハハハハ!!」
男「く!! 首が取れてるぅ!!」ガタガタ
少女「あっ」
ゴトン
ゴロゴロ
男「ぎゃあああああああああ!! こっち来たぁぁぁああ!!」
61: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/14(木) 21:54:34 ID:Zj19HK6M
男「デュ、デュラハンってなんすか」ドキドキ
少女「首を抱える騎士の亡霊ですよー」
男「首んとこそれどうなってるの?」
少女「見たいですか? 見たら呪い殺しますよ?」ニヤニヤ
男「あっ、いいです」
少女「おっと」
ゴトン
ゴロゴロ
男「いやあああああああああ!! またこっち来たぁぁあああ!!」
66: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 21:50:42 ID:HSe46eCQ
―――次の日―――
少女「こんばんはー」ヌッ
男「っ! また来たな……」
少女「えへへ」ブラーン
男「オアアアアアアアアアアアアア!! 内臓!! 内臓!!」
少女「えへへへへへへ」ブラブラ
男「ウアアアアアアア!! オエッ!! オアアアアアアアアアアアアア!!」
少女「どうですこのリアルさ! はみ出る腸! 滴る血!」ビチャビチャ
男「オエッ!! ヴヴォエッ!! オロロロロロロロロ」ビチャビチャ
67: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 22:01:40 ID:HSe46eCQ
少女「すみませんやりすぎました」
男「……」ズーン
少女「ぐろいの、ちょっとダメでしたね、気持ち悪いですよね」
男「……」ズーン
少女「あの、これ、別の出現場所ですっごいみんな驚いてくれたんでいけるかなーって」
男「……」ズーン
少女「調子乗りましたね、私ね、すみません」
男「……」ズーン
68: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 22:12:17 ID:HSe46eCQ
少女「あ、えっと、じゃあ今日はこの辺で……」
男「……うん」
少女「あ、明日はもうちょっと軽いので……来ますので……その……」
男「……うん」
少女「あ、来ても大丈夫な感じですか?」
男「……うん」
少女「あ、じゃあ、また明日、えっと、よ、よろしくでーす」スゥ
男「……」
69: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 22:22:08 ID:HSe46eCQ
―――次の日―――
少女「こ、こんばんはー」ヌッ
少女「昨日はお騒がせしましたー」
男「あ、うん」
少女「きょ、今日はもうシンプルになんもなしでーす」
男「あ、うん」
少女「いやあ、おにーさんを驚かせてポイントを稼ぐのが目的だったとはいえ、ちょっと昨日のは反省です」
男「ポイントは順調に溜まってるの?」
少女「あ、ええ、おかげさまで」
70: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 22:30:35 ID:HSe46eCQ
男「いや、ぐろいのは苦手だけどね、別に君は悪くないよ?」
少女「……」
男「脅かしてポイント稼ぐんだからね、ビビりなおれが悪いのであって」
少女「……」
男「ショック死なんかしちゃったらすげーポイント溜まるんじゃないの?」
少女「それは……」
男「時々いる心臓麻痺で死んだ人とかさ、幽霊が脅かしたって死因があるのかも」
少女「……」
71: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 22:40:00 ID:HSe46eCQ
少女「それは私の望むものではないんですよ」
少女「人を驚かすのは確かに悪いですけど、それは『悪さ』の範疇であるべきであって」
男「……」
少女「害を与えたり死に至らしめるのは、悪霊です」
男「……」
少女「私はそうなりたくないんです」
少女「でも、昨日の私は……」
男「……」
72: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 22:49:33 ID:HSe46eCQ
少女「幽霊の先輩の中にはね、人をびっくり死させることを目的にしている人もいるんですよ」
少女「とんでもないポイントを稼いで、様々なオプションつけて、心臓の弱そうな人を狙って」
男「……ひでえな」
少女「だから……ごめんなさい」
男「もういいよ」
少女「……」
男「ぐろいのが苦手ってのはあるかもしれないけど、昨日吐いたのは他にも理由があってね」
少女「はあ」
73: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 23:01:43 ID:HSe46eCQ
男「妹が1年前に死んだんだ」
少女「……」
男「交通事故で」
少女「……」
男「昨日の君みたいに、内臓が……」
少女「……っ!」
男「だから、それを思い出して、ダメだったんだと思う」
少女「それは……すみません……」
74: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 23:08:11 ID:HSe46eCQ
男「あのさ」
少女「は、はい」
男「この写真に写っている女の人を、見たことはない?」
少女「……はあ」
男「妹なんだ」
少女「あ、この人が……」
男「見覚えは?」
少女「ありません」
75: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/15(金) 23:14:01 ID:HSe46eCQ
男「死んだら、みんな幽霊になるのかな?」
少女「いえ、そういうわけじゃないみたいですよ」
少女「天国や地獄に行くのがほとんどで、幽霊はそれに比べればごくわずかです」
男「あ、そうなの?」
少女「だから妹さんも、幽霊になっていないかもしれません」
少女「素行不良とかじゃなければ、普通に天国に行っているかと」
男「そ、素行不良じゃないし!!」
少女「あと、よっぽどの淫乱とかじゃなければ」
男「人様の妹になんてこと言うんだこの野郎!!」
80: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/16(土) 21:41:06 ID:L8NjBc1c
男「君が妹なのかな、とも思ったんだけど」
少女「へ? 私ですか?」
男「この場所が現れやすいとか、幽霊になって一年だとか、さ」
少女「あ、ああー」
男「?」
少女「あれね、えっとね、私ちょっとサバ読んじゃいました」
男「はあ?」
少女「あんまり初心者だと格好悪いかなーって」
少女「ほんとは初めて現れたあの日で、幽霊始めて一週間でした」
男「はあ?」
81: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/16(土) 21:48:54 ID:L8NjBc1c
男「幽霊がサバを読むとか、初めて聞いたよ」
少女「えへへ、すみません」
男「なんだ、じゃあ違うのか」
少女「まあ、たとえそうだったとしても記憶がありませんから、なんとも」
男「まあ、そっか」
少女「会いたかったですか? 妹さんに」
男「会いたくないなって思ってた」
少女「そういうもんですか?」
82: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/16(土) 21:57:08 ID:L8NjBc1c
男「でも君と話しているうちに、ちょっと楽しくなったりして」
少女「えへへ」
男「妹と馬鹿やって笑ってたこと思い出したりして」
少女「……」
男「やっぱり会いたいなって思ったよ、たとえ幽霊でも」
少女「……ですよね」
男「……たとえ内臓出てても」
少女「……ですよ……ね?」
83: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/16(土) 22:06:53 ID:L8NjBc1c
男「で? 明日はどんなふうに驚かせてくれるの?」
少女「え?」
男「言っとくけど、二回目のネタじゃあもう驚かないぞ?」
男「常に新しい驚かせ方を開発してくれないと」
少女「あ、えっと……」
男「?」
少女「私、また来てもいいんですね?」
男「いいよ、だって楽しくなってきたって、言ったでしょ」
84: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/16(土) 22:13:13 ID:L8NjBc1c
少女「ずっと思ってたんですけどこの部屋……」
男「ん?」
少女「『女の匂い』が全然しないんですよね」
男「……」
少女「若い男の人の一人暮らしで、一切」
男「……」
少女「それって普通なんですか?」
男「うるさいな」
少女「枯れてるんですか?」
男「うるさいな」
少女「『男の匂い』はすっごいするんですけどねー」
男「う、うるさいな」ドキッ
85: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/16(土) 22:22:55 ID:L8NjBc1c
少女「おにーさんが喜びそうな特別なオプションがあるんですよねえ、えへへ」
男「なにそれ」
少女「秘密ですっ!」
少女「そのオプションがつけられるようになるまでは、しばらくここで、まだまだ脅かしたいと思いますので」
男「なんだよ、妹に化けるとか、そういう冗談はなしだぞ」
少女「わ、わかってますって!」ドキッ
86: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/16(土) 22:35:16 ID:L8NjBc1c
男「試そうと思ってない?」
少女「お、思ってないです思ってないです!」ドキドキ
少女「さ、さすがにそれは、倫理観に問題が」ドキドキ
男「ふうん?」
少女「いつか、実際に触って驚かせてやりますよー、ふふふ」ボソッ
少女「でもあれ高いんですよねー、実体を得るオプション」ボソボソ
少女「まずはコツコツ、ポイントを溜めないとですねっ」
男「なんだって?」
少女「じゃ、じゃあまた明日ですー」スゥ
92: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 21:22:52 ID:s8mRvwrs
―――次の日―――
バサバサッ
少女「フゥーハハハハハハ!! 悪い子はいねえかぁあー!!」
少女「ナマハゲ様のお通りじゃぁああー!!」
バサバサッ
少女「あ、あれ? リアクションがありませんねえ」
少女「ま、まさかバイト!? あの時の恥ずかしさが再び!?」
男「……」
少女「な、なーんだ、居るじゃないですかー」
男「……」
少女「お、おにーさ……」
男「……」
少女「し、死んでるっ!? お、おにーさん!! おにいさあああああんんんんん!!」
93: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 21:42:09 ID:s8mRvwrs
バタバタッ
少女「ちょ、ちょっと!! 大丈夫ですかそんな血まみれでっ!!」
スカッ スカッ
少女「あ、触れないんだった……」
男「……」
少女「なんですか!? 強盗ですか!? すぐに私が仇をっ!!」
少女「びっくり死させてやりますよ!! おにーさんの恨みはすべて私が……」
男「だーーっはっはっはっは!! 騙されたなっ!!」ガバァ
少女「ぎゃあああああああああああああああああ!!」
94: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 21:51:41 ID:s8mRvwrs
男「ははは、たまにはこっちが驚かそう、と思って」
少女「ふーっ、ふーっ、ふーっ」ドキドキ
男「幽霊でもビビるんだな、はっはっは」
少女「ふーっ、ふーっ、しゃーっ」ドキドキ
男「猫か」
少女「……」
男「よしよし、明日はどうやって驚かしてやろうかな?」
少女「あ、明日も驚かすつもりなんですか?」ビクッ
95: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 21:59:16 ID:s8mRvwrs
男「もちろん、明日も来るよね?」
少女「……くっ」
男「この大量の血のりを用意するのは大変だったんだからさ」
男「君の血みたいに簡単に消えるわけでもないし」ゴシゴシ
男「あーこれ、大家さんに怒られそう……」ゴシゴシ
少女「な、なんでこんな」
男「え、だって驚かす側だと怖くないもん」
少女「え」
96: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 22:10:37 ID:s8mRvwrs
男「人間の世界だって、課金制なんだぜ? ちょっと値は張るけど」
少女「う」
男「バイトして貯めた金で、君を驚かせるのは楽しいだろうなあ」
少女「うううう」
男「被り物もメイキャップも、効果音だってギミックだってトリックだって、やろうと思えばできそうだ」
少女「おにーさん意地悪ですね……ポイントだって入らないだろうに……」
男「さあ、明日はどんなことして驚かせてくれるんだ?」ニヤニヤ
★おしまい★
97: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 22:14:10 ID:e5.rB4ZU
後日談してもいいのよ
98: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 22:16:41 ID:s8mRvwrs
99: 以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/17(日) 22:23:16 ID:f8MPZgr6
実体化のくだりとかやってくださいよ(懇願)
・SS深夜VIPに投稿されたスレッドの紹介でした
男「幽霊の世界も課金制なんだ?」
・管理人 のオススメSS(2015/07/04追加)
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