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美作武史「決闘を申し込む」ランスロット「またアイドルの世界か…!」|エレファント速報:SSまとめブログ

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美作武史「決闘を申し込む」ランスロット「またアイドルの世界か…!」

1:SideMSS 2016/01/10(日) 18:16:40.74 ID:J9peVSV90


315プロ事務所・ラウンジ


美作武史

no title


ランスロット

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――ガアァン!!


鋼同士が発した鋭く重い衝突の響き。



武史「……!!」

ランスロット「…………っ!」



切り上げを受け止めた剣が腕ごと弾かれて、握る拳からすり抜けていく。



ランスロット(意表を突かれた――――が!)


戦闘状況における経験値。

与えられた鋼の音と衝撃が、躯に刻まれた戦闘本能を目覚めさせた。



ランスロット「ハアッ!!」

武史「ち!!」


返す刀。
柄を一層強く捉えなおし、騎士は反撃を打ち下ろす。

青い軌跡を曳くその剣閃を、しかしスーツの男は身を転じて躱し、そのまま半回転を利して横薙ぎを見舞った。


――ギィン!!


再び鋼の衝突音。…………受け止める。


武史「疾いな……」

ランスロット「……重いな」


つばぜり合いの刹那。二人の男はわずかな感嘆を零した。



2:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:18:09.66 ID:J9peVSV90



スーツの男の獲物は大振りの三段ロッド。
最先端の技術で以て作られた高強度のカーボンスチール製特殊警棒。


騎士はそのような近代の棍棒には触れたことが無かったが、男が縮めた状態のそれを取り出した点、ひいてはそのロッドを振り伸ばした点から携行の利便性を追った武器だと認識した。

ならば軽く、振りやすい武器のはず……少なくとも剣よりは一撃が軽いはず。

そう考えていたからこそ、予想外の重さに驚いた。


その“攻”の重さは、男の実力によるものか。

ランスロット(……鍛えている)






武史(動きが鋭い。戦闘に熟達しているな)


一方男も、異界の騎士の真剣に対するのは無論これが初めてであった。

武装解除しようと剣を弾いた時、跳ね返ってきた重さ。それは作りものではない生々しい武具の手応えだった。

重く鋭い真物の剣。

それを目の前の男は軽々と振るい、自分の打撃に対応してきた。

その速さは男がくぐってきた修羅場を偲ばせるもので。


武史「改めて真剣勝負を申し込む!」


最強を目指す自身の血が湧きたった。



3:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:19:30.02 ID:J9peVSV90


武史「はっ!」

ランスロット「くっ!?」


飛び出した前蹴りが騎士の上腹部を撃った。されど騎士は、自ら後ろに跳びその衝撃を浅くしている。
……跳躍は騎士の得意とするところであった。



ランスロット「いいだろう。来るなら……来い!」

武史「せああああっ!!!」



ロッドを構え裂帛の気合とともにスーツの男は騎士に肉薄する。

ぶつけられた熱い戦意に呼応するように、騎士もまた戦場の高揚感を昂ぶらせる。


――ガァン!!


衝突。三度鋭い金属音がこのラウンジに響き渡る。



武史「せい! はぁっ!」

ランスロット「そこだっ!! せあっ!」


――ガキッ、ギンッ! キィン!

袈裟切り、胴、左斬。

繰り出される剣閃を互いに捌き、さらに獲物を猛らせる。



4:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:21:18.13 ID:J9peVSV90


一合、二合、三合――――八合、九合、十合。

獲物がぶつかり合う度、剣音が打ち鳴らされる。

青い軌跡が閃き、空気が断たれ、火花が弾けて消えていく。



ランスロット(これは俺達の剣技とはベースが違うな。対人戦に特化しているのか……しかもこれは磨かれている!)

ランスロット(わかるぞ。お前もひたすら鍛錬の道を歩んできたことが)

武史「はっ!!」


――ギンッ!!



ランスロット「甘い!」

突きだされたロッドを弾き、騎士は逆銅の軌道でスーツの男に剣を振るう。

男は素早く戻したロッドで右からの剣を防御。


武史「ふっ!!」

ギャキキ!!


そして力点をずらし、受け止めた剣を下に向かって滑らせる。

三段ロッドの鍔が剣を噛み。

男はそのままロッドを円形に回した。


ランスロット「な……っ!」


剣がぐるりと回され床を叩く。

――――いなされた。



5:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:26:37.35 ID:J9peVSV90


武史「せいやあっ!!」

機を逃さず繰り出される横薙ぎ。


騎士はそれを上体を逸らせて躱す。

ロッドの切っ先が前髪を掠めるも、なお騎士の目は見開かれていた。



ランスロット「やるな!」


ざざあっ、と床に足を擦らせ体勢を立て直す、騎士の脳裏によぎるものがあった。今と同じような丁々発止の記憶。

……騎士団の仲間たちとの鍛錬。

まっすぐで、清澄な剣戟。

工夫と心構えを共有し、共に励んだ修行の日々。人を助けたいという思い一つで騎士になったあの弱虫の友人。


腕に力が入った。



ランスロット「こちらからいかせてもらおう!」

武史(なんだ……!?)



高揚が外に現れ出たかのように。青いオーラが騎士の体から立ち昇る。

瞬間、弾かれたように騎士は突出し、豪壮な一撃をスーツの男に繰り出した。


――ガッギィィン!!!


武史「ぐぅっ!!?」


それはあまりにも重い衝撃。正面から受け止めた男の体が後方に滑る。



6:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:28:03.83 ID:J9peVSV90



手に痺れが走る。

業界最高の強度を誇る特殊警棒は無事だが、握った手の方はそうはいかない。



ランスロット「たああっ!」

追撃がスーツの男に迫る。


武史(後の先を…………!)


ロッドの切っ先を向け、向かい来る騎士の五体の強張りを、重心の偏りを見極め……

――ガキィン! キンッ!

男は最小限の動きで剣を捌いていく。

が、オーラを立ち昇らせ迫る騎士の勢いを止めることはかなわず、一歩、二歩とさらに後ろに押されていく。



ランスロット「守りの方も得手のようだな!」

武史「そういう仕事だったからな……!」


一瞬の言葉の交錯の後、獲物が交差する。

騎士の一撃に弾きだされるようにスーツの男は後方へ跳んだ。


ランスロット(――そこだ! 跳躍の着地際。まだ体勢が整わず、間合いが広まり切ってない内に叩く!)


後ろに距離を取る男に向かって騎士は飛び出し、間合いを縮める。



7:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:29:44.03 ID:J9peVSV90


ランスロット(むッ!?)


しかし、その瞬間彼は目を見開いた。


武史「……!」



眼前のスーツの男が、右手の警棒を放り投げたのだ。

しかもこちらに向けての投擲ですらなく、無造作に宙に捨てるように。


ランスロット(なにを……!)


しかしその行為への疑問は一瞬後氷解する。


武史「ふっ……はっ!!」


男は着地後、即座に更に後方へと身を跳ねさせて、アクロバットなバク転で以て距離を稼いだ。


ランスロット(確かにその軽業には手の獲物が邪魔だったか)

ランスロット(だが距離を取ってなんとする!)


なお接近する騎士とその剣。
対し、男は空手のまま向き直り、袈裟切りの手刀を撃ちださんと腕を振り上げた。


武史「来い……」

ランスロット(素手で……そうか……!)


騎士はそれを認めると、同じく剣を振り上げた。



8:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:34:23.89 ID:J9peVSV90



彼我の距離が縮んで消えて。

致命の間合いで互いの腕が振り下ろされる。




武史「――!」

ランスロット「――ッ!」


徒手空拳と剣の間合いの差。威力の差。
……勝負あった。

油断とも言えない確信が騎士の胸に湧く。




……が。

斬撃が4分まで振られたその時。

こちらに手刀を落としていた男のその手が宙の警棒を掴んだ。


ランスロット(なっ!?)


彼はロッドを、バク転の後受け止められるよう斜め後方にあらかじめ投げていたのだ。


武史(ここだ――――!!)


交錯のその刹那。獲物は男の手に戻り、剣よりも早く先に三段ロッドが騎士の眉間を打つ――



9:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:35:22.73 ID:J9peVSV90


――ガキィン!!


武史「っ!?」

しかし、騎士の剣は超高速でその軌道を変じさせ、迫った一撃を防御した。



武史「ぐ……っ!!」ギリギリ

ランスロット「む、うぅ……!!」ギリギリ


獲物を軋ませ、拮抗する両者。



武史(速い……! なんだ今の剣の速さは。今までのものとは質が違う)

ランスロット(斬り下ろしの最中に武器を拾うとは……騎空団にも大道芸人や軽業師がいたが、今の技は彼らのそれに近い)



武史「今の技法の名は?」

ランスロット「……サザンクロス」


一度に一回の攻撃。
その速度と密度を上げ、一度に二回、ひいては三回の攻撃を可ならしめる。そのような技(アビリティ)を騎士は持っていた。

とどめのために無意識で発動していたその技により、彼は“二回目”の剣の振りを防御に回すことがのだ。

戦場に生きた彼の経験が今の窮地を救ったと言える。「なにかしてくるだろう」と剣士の勘が嗅ぎとっていた。


ランスロット「そちらこそ今の奇襲……この世界の剣術か?」

武史「……単なるスイングジャグリングの応用だ」



10:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:36:25.07 ID:J9peVSV90


武史「名は?」

ランスロット「なに? 今言っただろう」

武史「技じゃない。アンタの名前だ」

ランスロット「ふ……ランスロットだ。あ、くれぐれもランちゃんとは呼んでくれるな」

武史「ランスロット? なんだそれは。円卓の騎士を気取ってるのか?」

ランスロット「円卓……? わからないが」

武史「俺の名は美作武史だ」

ランスロット「ミマ、サカタ、ケシ?」

武史「タケシ・ミマサカと言った方がいいか……? いや、そうだな。アンタが『ランスロット』と言うんなら、俺は『武蔵』とでもするか」

ランスロット「ムサシ……なんだ言いやすい名を持ってるじゃないか」



ロッドと剣を弾きあって二人は距離をとる。


武史「ははは……!」

ランスロット(高揚しているな……ムサシよ)



闘いを通じて通い合う心がある。

お互いに素性がわからないまま剣戟を繰り広げていても。



11:以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/10(日) 18:37:19.02 ID:J9peVSV90


――

――――


数分前



まぶたにまばゆい光が焼きつき、そして消えていく。

気がつくとランスロットは、ここ315プロダクションのラウンジに腰をおろしていた。


ランスロット「なんだ……? ここは?」

ランスロット「ヴェインは? 騎空団のみんなは?」

ランスロット「いきなり場所が変わった…………これはもしや」


じゃらり、と鎖の音。
戒めの鎖がいまだ腕に付いている。見れば格好はあの囚われの身のままだ。


ランスロット「この鎖は……! またイザベラ―
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年01月17日 22:37
      • アイドルである
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年01月17日 22:40
      • おい、ライブしろよ
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年01月17日 23:09
      • るっ!の侵食がw
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年01月17日 23:44
      • 4 前あったニンジャゴッコナツキの話もそうだけど、候補生のSSまで書かれてるとはたまげたなぁ……w

        俺は忍者と退魔師と海洋学者に入れたがこうして見ると美作さんも悪くない

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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