テキサスの新幹線、住民からの反対はあるけれど実現させます
乗れねー電車のために土地売れねーよ!!
日本の新幹線が次々に世界に輸出されつつあります。アメリカのテキサス州でもプロジェクトが進行中で、日本の官民ファンドがすでに4000万ドルを投資しており、海外の新幹線計画の中では有望株となっています。
とは言えアメリカはやっぱり車社会。国土も広く高速鉄道に対するイメージも良くありません。このプロジェクトではテキサス・セントラルが事業主体になっていますが、彼らも反対意見と戦っているようです。地元紙であるテキサス・トリビューンやヒューストン・プレスが報じたところによると、計画に反対する議員や裁判官からアメリカに駐在している佐々江賢一郎特命全権大使へ直接手紙が届いたそうです。
私たちは新幹線技術を輸出するという日本の壮大な目標を尊敬する一方で、東テキサスの住民そしてリーダーとして、高速鉄道プロジェクトに反対します。私たちの地域に取り返しのつかない被害を招いてしまうと考えるからです。
手紙は別の場所へのプロジェクトの移転をお願いする内容となっており、33名の署名の中には州議会議員のものも11人含まれていたようです。テキサス州での新幹線プロジェクトはダラスとヒューストン間の約390kmを90分で結ぶものになっていますが、署名をした11人の議員の中にはダラスとヒューストンの議員は1人もいなかったそうです。11人は全て、新幹線が走ることになるルート沿いの小さな町の議員とのこと。
ルート沿いの住民たちの心配は理解できます。土地が分断されるのではないか、もしくは騒音や揺れが起きるのではないか、環境を破壊するのではないか、こう言った懸念はカリフォルニアなど、高速鉄道を検討しているほかの州でも聞こえてきています。
またルート沿いの小さい町の住民たちにとっては、この鉄道を利用できないというのも不満の元となっているようです。現時点ではダラスとヒューストンという2つの街のみにしか停まらないという計画になっています。テキサス・トリビューンによるとルートのど真ん中にももう1つ駅を作ることを検討しているとのことですが、ほかの地域の人は鉄道が走るけれど地元からは乗れない、ということになるわけですね。
駅を増やすと結局遅くなってしまいますから、これは難しい問題です。
騒音や土地問題に関しては、鉄道が与える影響を最小限に抑えるために高速道路や電気・ガス・電話線用に使われている土地などをテキサス・セントラルは調査中だということです。反対意見はあるものの、2021年までに運行開始するという発表は変えてはいないようです。
image by Texas Central
source: The Texas Tribune and Houston Press
Bryan Lufkin - Gizmodo US[原文]
(塚本 紺)
- 新幹線をデザインする仕事 「スケッチ」で語る仕事の流儀
- 福田 哲夫|SBクリエイティブ
- 新幹線電車技術の真髄: 「より速く」を追い求めた半世紀の歩み (交通新聞社新書)
- 望月 旭|交通新聞社