佐倉「ハーピーの佐倉千代です!!」野崎「よろしく」
佐倉「よろしくね野崎くん!!」
野崎「いや……俺のことは『ご主人』でいい」
佐倉「えっ!?」
野崎「ハーピーは三歩歩くだけで物事を忘れるというからな……無理に名前を覚えなくても大丈夫だ」
佐倉「う、うん……」
野崎「よし、とりあえずまずはうちに帰ってお祝いしよう」
野崎「……」スタスタ
佐倉「……」スタスタ
野崎(もう俺の名前を忘れてるだろうな……)
佐倉「そういえば野崎くんの家でどれぐらい大きいの?」
野崎「!!!?」
佐倉「へ、変かな……?」
野崎「……いや、寧ろ人間にとってはそれが普通だ」
野崎(この子はほかのハーピーよりも賢いということか?)
佐倉「……」
佐倉(大好きな野崎くんの名前なんて忘れるわけないよ!!)
野崎「……さっき言った俺の身長と誕生日は? 覚えてるか?」
佐倉「身長は190センチ!! 誕生日は6月6日!! あと好きな服は……」
野崎「ま、待て!! そこまで言わなくてもい!!」
野崎「驚いた……なんて賢いハーピーなんだ」
佐倉「えへへ?///」
野崎「……よし、そんなお前には早速ベタ塗りをやってもらおう」
佐倉「べた?」
野崎「この部分を塗りつぶしてくれ」
佐倉「うん、分かった!!」
バサバサバサバサ!!
野崎「!!!」
佐倉「の、野崎くん……ごめん……私……」
野崎「いや、その翼で筆ペンを持てというのが難しいな。 無理難題なことを言って悪かった」
佐倉「の、野崎くん!! 私、どうすれば……」
野崎「いや、大丈夫だ。 お前はゆっくり寛いでくれ」
佐倉「は、はい……」
佐倉(どうしよう……折角野崎くんの役に立てると思ったのに……)
佐倉(このままじゃ私……足手まといだよ!!)
佐倉(……そうだ!!)
佐倉「の、野崎くん!! 恋愛ネタとかいる!?」
野崎「!! そうだ、他種族の恋愛話をいつか聞いてみたいと思ってたんだ!! 是非聞かせてくれ!!」
佐倉「うん!!」
佐倉(野崎くん、すごい嬉しそう!! よかった……!!)
野崎「やっぱりハーピー同士でも恋はするのか?」
佐倉「……!! ごめん野崎くん……」
野崎「?」
佐倉「ハーピー女の子しかいないんだ……」
野崎「! そ、そうだったな……すまない」
野崎「!! そうなのか……佐倉は人間に恋したことはあるのか?」
佐倉「!! う、うん!! あるよ!!」
野崎「聞かせてくれ」
佐倉「う、うん。 その人はね……」
ピンポーン
佐倉「だ、誰!?」
野崎「そうだ、あいつが来る時間だったな」
佐倉(も、もしかして……野崎くんには彼女がいたの!?)
佐倉(いやだ!! そんなのいやだよ!!)
ガチャッ
御子柴「おーっす野崎」
佐倉(そっち!!?)
佐倉「え、ええと……」
野崎「ハーピーの佐倉だ」
御子柴「ハ、ハーピー!!? お前……ホストファミリーになったのかよ!!?」
野崎「ああ、他種族からの恋愛話を聞きたかったのとアシスタントとして雇おうと思ってな」
御子柴「そういう理由でかよ……」
野崎「佐倉、紹介しよう。 アシスタントの一人の御子柴だ」
佐倉「よ、よろしくね御子柴くん!!」
御子柴「お、おう……」
野崎「御子柴、佐倉は凄いぞ。 ハーピーなのに記憶が飛ばないんだ」
御子柴「マジか!?」
野崎「よし……佐倉、ちょっと歩いてみてくれ」
佐倉「う、うん!!」
スタスタ……
野崎「……佐倉、俺の名前は?」
佐倉「野崎くん!!」
御子柴「……俺の名前は?」
佐倉「……なんだっけ?」
御子柴「忘れてるじゃねえか!!」
野崎「何!?」
御子柴「……だいぶ歩いたぞ」
野崎「よし、もういいだろう」
野崎「……佐倉、俺のクラスは何組だ?」
佐倉「2-B!!」
野崎「俺の家族構成は?」
佐倉「お父さんとお母さんと弟と妹!!」
野崎「俺の中学の時に入ってた部活は?」
佐倉「バスケ部!!」
御子柴「俺の名前は?」
佐倉「……」ニコッ
御子柴「笑顔で誤魔化すんじゃねえ!!」
野崎(何故俺のことだけは覚えてるんだ……)
野崎「学校に行ってくるから留守番を頼む」
佐倉「分かった!! 任せて野崎くん!!」
野崎「すまないな……出かけたいだろうけどホストファミリーなしでは他種族は外出できないからな」
佐倉「ううん!! 気にしてないよ!! しょうがないもんね!!」
野崎「ならよかった……じゃあ行ってくる」
佐倉「うん! 行ってらっしゃい!!」
バタン!!
佐倉「……」
佐倉(野崎くん早く帰ってくるかなぁ)
学校
堀「おい野崎……お前が書いてくれたこの台本なんだけどよ……」
野崎「なんですか?」
堀「最後の最後で羽が生えるとか急展開にもほどがあるぞ……」
野崎「すいません、新しい家族が来たものでついそっちにも……」
堀「鳥でも飼い始めたのか?」
野崎「ハーピーです」
堀「!?」
佐倉(ベタを塗れない私にできることはこれぐらいしかない!!)
佐倉(この部屋のドアを開けたいけど……この手じゃ開けられないよ……)
佐倉(……そうだ!! 足を使えばいいんだ!!)
ガチャッ
佐倉「!!!!」
佐倉(な、なにこの女の子がいっぱいいる部屋!!?)
野崎「構わないが……今日はアシスタントの日じゃないぞ?」
御子柴「いや、お前ん家にある俺のコレクションルームに用があるんだよ」
野崎「ああ、お前のフィギュアやギャルゲーが置いてあるあの部屋か」
御子柴「買うだけ買っといてまだやってないゲームがあったからな……やんねーと」
御子柴「……あっ!!!」
野崎「どうした?」
御子柴「の、野崎……佐倉には言ってねえよな!?」
野崎「ああ、言ってない」
御子柴「いいか!! 絶対言うなよ!! ……でも待てよ、あいつずっとお前ん家いるからバレるのも時間の問題か!?」
野崎「大丈夫だ、あの部屋はドアノブがある。 佐倉が開けることはできないだろう」
佐倉(もしかして野崎くん……こういうのが好きだったの!!?)
佐倉(そんな……野崎くんがこんなに二次元が好きだなんて……)
佐倉(うっ……ううっ……)
佐倉(……)プルプル
佐倉(……余計野崎くんを好きになっちゃった!!)
佐倉「あ!! お帰りなさい野崎くん!!」
野崎「留守番ご苦労だったな、偉いぞ」
佐倉(褒められた?///)
御子柴「……お、おい!! 野崎!! あの部屋空いてるじゃねえか!!」
野崎「!! 佐倉……あの部屋開けたのか!?」
佐倉「うん! 野崎くんがいない間に家中を掃除しようと思って!! この部屋は足を使って開けたの!!」
野崎「家中……か」
野崎(道理であちこちに羽が落ちてるわけだ)
野崎「ああ、それはだな……」
御子柴「の、野崎」ボソッ
野崎「なんだ?」
御子柴「上手く誤魔化してくれねえか?」
野崎「別に構わないが……バラしてもいいんじゃないのか?」
御子柴「いいわけねぇだろ!! あれが俺のってバレたら変な目で見られるに決まってるだろ!!」
佐倉「あんなに沢山フィギュアやゲームを集められるなんて凄いよ!!!! 努力の賜物だね!!」
御子柴「へっ……やっぱそう思うだろ? 全部俺のなんだぜ?」
佐倉「そうなの!?」
野崎「……」
御子柴「いや……俺、女の子と上手く話せねーからよ……だからギャルゲーで練習しようと思って……」
野崎「じゃあその成果を佐倉に見せたらどうだ?」
佐倉「わ、私に!?」
御子柴「よし……やってみるか」
佐倉「……」
御子柴「……よお小鳥ちゃん、また会ったな。 俺の顔を忘れたなんて……言わせねえぞ?」
佐倉「……誰だっけ?」
御子柴「通じねえじゃねえかよ!!」
野崎「佐倉、今日は外に出かけよう」
佐倉「外に!?」
野崎「ああ、漫画のネタ探しだ。 それにお前もずっと家の中にいて窮屈だろうしな」
佐倉「そ、そんなことないよ!!」
佐倉「だって私……野崎くんとずっと一緒にいられ……」
野崎「いられ……?」
佐倉「な、なんでもない!!/// 早く外に行こう!!///」
野崎「? ああ……」
野崎「どこかにカップルはいないだろうか……」
子ども「う……うう……ボール……」
野崎「! 子どもが泣いてるな……」
佐倉「……あ!! ボールが木に引っかかってる!!」
野崎「なるほど……そういうことか」
佐倉「私、ボール取ってくる!!」
バサバサ!!
佐倉「はい僕!! ボールだよ!!」
子ども「うわあ!! ありがとう鳥のお姉ちゃん!!」
野崎「よく助けたな、偉いぞ佐倉」ナデナデ
佐倉「!!!!!」
佐倉(な、ナデナデされた……)
佐倉「……」ジーン……
コメント一覧
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- 2016年01月21日 22:51
- 中の人最近よくアニメに出演してるけど千代ちゃんの時の衝撃がいまだに忘れられない
すげー演技上手いのに新人とか信じられなかったわ
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- 2016年01月21日 22:52
- LYNKFR8PTk!!お前の野崎くんSSが好きだったんだよ!!
-
- 2016年01月21日 23:14
- くさ むし なら ひこう 四倍だろ?
大丈夫かよ?
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中の人が一緒なんだっけか。