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男「みんな一年未満で辞めるブラック企業に入社してしまった」|エレファント速報:SSまとめブログ

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男「みんな一年未満で辞めるブラック企業に入社してしまった」

1:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:33:42 ID:8hUPVfLs

男(今日から俺もいよいよ本格的に社会人か……)

男(結局俺は、平均勤続日数一年未満というブラック企業にしか入社できなかった)

男(俺はいったいどのぐらいもつのかなぁ……)

男(いや! どんな過酷な環境であろうと、耐えてみせる! 耐えきってみせる!)

男(とりあえず、今日は始業時刻の一時間前にたどり着いた)

男(だけどこれでも、きっと“遅い!”っていわれるんだろうなぁ……)



2:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:34:53 ID:8hUPVfLs

しかし――

男(あれ……? だれもいない……)

男(てっきり俺以外の人は、もう出社してるのかと思ってたのに……)

男(まあいいや、待とう……)



3:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:36:32 ID:8hUPVfLs

始業時間5分前――

男「おはようございます!」ババッ

課長「やぁ、おはよう。ずいぶん早いねえ」

先輩「おはよう」

OL「おはよ!」

課長「ずいぶんと力が入ってるけど、今日はいつ出勤していたんだい?」

男「はいっ! およそ一時間前です!」

課長「一時間!?」



4:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:38:56 ID:8hUPVfLs

課長「特別に用があるならともかく、そんなに早く来る必要はないよ」

先輩「そうそう、始業時間の5分前に席についてりゃ上等さ」

OL「もちろん早く来ちゃいけないってことはないけどね」

男「……そうなんですか」



5:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:40:44 ID:8hUPVfLs

終業時刻になり――

課長「では今日は歓迎会をやろうか!」



男(来た!)

男(きっと絶対ビールを飲まなきゃいけなかったり、一発芸をやらされるにちがいない!)

男(だが、対策はバッチリしてあるぜ!)



6:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:42:25 ID:8hUPVfLs

居酒屋にて――

課長「じゃあ、みんな好きなものを頼みたまえ」

課長「私はカシスオレンジ」

先輩「俺は梅サワーで!」

OL「あたしは日本酒!」

課長「君はどうする?」

男「へ……? ビールじゃなくていいんですか?」

課長「もちろんさ、飲めないのなら水やウーロン茶でもかまわんよ」

男「あ、いや……飲めますけど……じゃあビールで」



7:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:45:42 ID:8hUPVfLs

男「あのう、先輩」

先輩「ん?」

男「新人は一発芸とかやらされたりしないんですか?」

先輩「もちろんさ、君と一緒に飲んでるだけで楽しいんだから!」

OL「そうそう、自分のペースで楽しんでね」

男(“安心して下さい、はいてますよ”を練習してきたけど必要なかったか……)



8:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:47:41 ID:8hUPVfLs

週末――

先輩「さぁってと……今日で休みだ!」

男「あれ? 休日出勤はないんですか?」

先輩「ないよ」

OL「あっても数年に一度あるかどうかってところじゃない?」

OL「休日出たら出たで、ちゃんと代わりの休みは取らせてくれるし」

課長「そのとおり! 休みはきちんと取らねばならん!」

男「はぁ……」



9:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:49:32 ID:8hUPVfLs

男「それじゃ、有給休暇はどうなんでしょうか」

課長「どんどん取りたまえ! 当然の権利なのだから!」

男「え!?」

先輩「俺も休みまくってるしさ」

OL「あたしもー!」

男「えええ……」

男(いったいどういうことなんだ……)



10:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:52:44 ID:8hUPVfLs

ところが――

男(やってしまった……! あれほど気をつけてたのに、ミスをしてしまった……!)

男(この会社は面倒な慣習もなければ、休みを取ることにも寛容だけど)

男(ミスに対しては異常に厳しい罰則があるにちがいない!)

男(きっと別室に連れていかれて、怒鳴り散らされ、長い反省文を書かされ……)ゾクッ…

課長「話がある」

男「は、はいっ!」ビシッ



11:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:55:19 ID:8hUPVfLs

課長「今回の件は、君の不注意によるものだった」

課長「これからは注意するようにしなきゃいけないよ。以上だ」

男「え……!?」

男「も、もう終わりですか」

課長「うむ、あまりくどくどいって委縮されても困るからね」

男「殴られたり、土下座させられたりとかは……?」

課長「そんなことするもんかね。むしろ、やれといわれてもお断りだよ」

男「そうですか……」



12:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 20:57:59 ID:8hUPVfLs

社長による訓示――

社長「たしかに成果は大事だ! しかしながら経過も大事だ!」

社長「ドーピングして金メダルを取ったって、なんの意味もないのだからな!」

社長「そして、健康には十分気をつけるように!」

社長「少しでも体調が悪ければすぐ休むこと! 無理はいかん!」

社長「我が社には君たちの不調をフォローするだけの業績はあるのだからな!」



男(えええ……なんなの、この訓示)



13:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:00:10 ID:8hUPVfLs

またある時――

取引先「おい! なんなんだ、このデータは!?」

取引先「私が要求したデータと全然ちがうじゃないか!」

男「し、しかし……あなたは確かに……」

取引先「言い訳する気かね!?」

男(ううう、そっちのミスのくせに……)

男(だけどこの顧客はかなりの大手だし、あえて濡れ衣を着るしかないか……)



14:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:02:05 ID:8hUPVfLs

課長「お待ちください!」

取引先「む!?」

課長「今回の件をよくよく調べたら、そちらのミスではありませんか!」

取引先「なに!? 客を立てるのではなく、こんな新入りをかばうというのか!」

課長「かばいますとも! もちろん!」

取引先「ぐっ……! す、すまなかった……」

男(かばわれちゃった……)



15:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:04:29 ID:8hUPVfLs

夏になり――

男「あの……ボーナス多すぎじゃないですかね? いくらなんでも」

課長「いやぁ、君の頑張りが正当に評価された結果だろ」

先輩「そうそう! まだ若いのによくやってくれてるよ!」

OL「初ボーナスで、パーッとなにか好きなもので買ったら?」

男「はぁ……」



16:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:06:27 ID:8hUPVfLs

男「たかが一年目の新人にこんなにあげちゃって、会社は大丈夫なんですか!?」

課長「大丈夫だとも。ウチの会社はいたって順調さ」

先輩「ああ、社長がやり手だし、今後も安泰だろうな」

OL「重役陣も派閥争いなんかせず一致団結してて、スキのない布陣だしね!」

課長「君もそこに加われることを期待してるよ! なんちゃってな、ハッハッハ!」

男「……」



17:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:08:59 ID:8hUPVfLs

男(おかしいぞ……この会社はおかしすぎる!)

男(こんな好待遇、絶対ありえない!)

男(きっとこれは罠で、このままこの会社にいたら、俺は悲惨な目にあうにちがいない!)

男(それこそ、通常のブラック企業じゃ考えられないような過酷な末路が……!)

男(いったいどんなことになるんだ!?)

男(大怪我する? 廃人にされる? 命を奪われる? 一族を全滅させられる?)

男(いやいや、そんなもんじゃない済まないかもしれない。もっと恐ろしいことが――)



男「うわああああああっ!!!」



男「こんな会社、一刻も早く辞めなければ!」



18:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:11:23 ID:8hUPVfLs

――

――――

――――――

課長「うーむ、結局彼も一年ももたずに辞めてしまったねえ」

先輩「あいつはかなり期待できたんですが、残念ですね」

OL「この会社って結構いい会社だと思うけど、どうしてみんなすぐ辞めちゃうのかしら」





社長(うむむ……社員への待遇をもっとよくせねばならんな……)



19:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:15:06 ID:8hUPVfLs

ちなみに――

経営者「フハハハハハハハッ!」

経営者「我が社では社員は消耗品! 捨て駒! 死んだ目になって牛馬の如く働けいッ!」

男「これだよこれ! 転職したかいがあった!」パァァ…

男「これでやっと、心を落ちつけてリラックスして働ける……」ニヤッ

経営者(えええええ!? なんなのこいつ!? なんでこんな生き生きしてんの!?)







― おわり ―



20:以下、名無しが深夜にお送りします 2016/01/22(金) 21:15:43 ID:8hUPVfLs

こんな企業がこの世のどこかにあってもいいじゃない
という思いを込めて書きました



元スレ
男「みんな一年未満で辞めるブラック企業に入社してしまった」
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/internet/14562/1453462422/
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コメント一覧

    • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 22:48
    • ホワイトすぎて逆に怖い企業か
      入社前から社畜根性全開の新卒しか入ってこないってのも辛いわな
    • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 22:57
    • どんだけ疑心暗鬼なんだよ
    • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:00
    • 疑心暗鬼過ぎて草
    • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:00
    • 独立したときはこんな会社にしようと思ってたんだけどな
      ゴメンな社員たち・・・無理だった。
    • 5. エルプサイコングルゥ
    • 2016年01月22日 23:05
    • ホワイト企業、羨ましいな。
    • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:09
    • 悲しいなあ
    • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:11
    • 土日休みのオタク関連の仕事したい(20歳フリーター)
    • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:17
    • 先輩のゲイに艶ある眼で見られる俺氏、昨年末で退社
      今は自宅警備員の職についている模様
    • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:19
    • 同等程度の実力ならばよりブラックな方が勝つに決まってる
      でもそれだと国民のほとんどが不幸になるし
      徐々に消費が冷え込んで経済が国がいずれ行き詰まる
      だからわざわざ法律で限界を決めてその範疇で競争するよう取り決めたはずなんだけどなあ
      なぜか喜んで死んだ目とガリガリの体でブラック社畜してる奴が多いんだよこの国
    • 10. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:22
    • 星新一を思い出す
    • 11. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:24
    • 黒い社長「ん?あの男・・・ティンときた!そこの貴様、我が961プロに貴様の生涯を捧げてみないか?」
    • 12. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:25
    • ※10
      ???「シンイチ、冷たい」
    • 13. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
    • 2016年01月22日 23:31
    • ※4こんなところで※している場合じゃないだろ!もっとしっかりしてくれ頼むぜ大将!by24才ニート

はじめに

コメント、はてブなどなど
ありがとうございます(`・ω・´)

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