転載元:右京「ハッカドール、知っていますか?」米沢「はい」
米沢「どんな作業でも捗らせてくれる魔法のようなアプリだと、巷で囁かれているとか」
米沢「まあ、都市伝説ですな。噂の域を出ない、いわばオカルトのようなものでして」
右京「実に、興味深いですねぇ。もしそのアプリケーションが実在するのだとしたら」
右京「難解な事件を紐解くための何かを、僕にもたらしてくれるかもしれません」
米沢「ははぁ、杉下警部ならばそうおっしゃると思いました。オカルト方面もいけますからな」
右京「ええ。複雑怪奇な現象をこの目で見てみたいというのが、僕の積年の願いです」
米沢「ではでは、どうぞ。このスマートホンにアプリが入ってます」
右京「すでにインストール済みでしたか。なるほど……起動すれば、いいのでしょうかねぇ」
米沢「どうでしょう、なにぶん詳しいことはネット上にも書かれていませんから」
米沢「今のところ、一度も動作したことはありません。やはり悪戯なのではないかと……」
ピュィィィン
ハッカドール1・2・3号「「「 君にシンクロするパーソナルエンタメAI! ハッカドール! 」」」
右京「おやおや……!」
米沢「こ、これは……!」
最後二行が目キラッキラしてそうでワロタ
・彡(°)(°)「お!近所のJCやんけ声かけたろ!」
・男の娘「残念実はおと――」男「嘘だ!」
・子供「らんら〜ん♪」熊「あっ」子供「あっ」熊「あっ」もぐもぐ
・シンジ「毛虫なんてどうかな?」 ゲンドウ「・・・・・・」
・悟空「ブルマ先っちょだけ挿れさせてくんねぇか」 ブルマ「はぁ!?」
・【引退作品】鼻フックをし最終形体に変貌を遂げた小向美奈子の引退作品…その名も脅迫スイートルームwwwwwwwwwwww【小向美奈子】
・【※GIFあり※】セッ●スしてる時の乳揺れGIFを集めた結果 → 不思議な「横揺れ」をする乳発見し...
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1号「わぁ〜ここ、どこですか? 色んなものが置いてありますねっ」
2号「警察じゃないかしら。ほら、ドラマでよく見る鑑識みたいな格好をしてる人がいるし……」
3号「えぇ、警察〜? 好きじゃないなぁ……」
米沢「す、すすす、杉下警部、これは、ど、どうしたことでしょうか……! まさか本当に……!」
右京「これは驚きましたねぇ」
1号「あ! これ知ってます! 指紋をとるやつですよね!」
3号「2号のおっぱいの指紋とってみようよー」
2号「ちょっと3号ちゃん……!」
1号「誰に揉まれたか一目瞭然ですよ〜!」
右京「あの、ちょっとよろしいでしょうか」
1号「はい?」
2号「あっ。もしかして、私たちを呼んだのって……」
右京「ええ。警視庁特命係の杉下です」
1号「私たちは!!!」
1・2・3号「「「 君にシンクロするパーソナルエンタメAI! ハッカドール! 」」」
右京「先ほども聞きました」
米沢「まさか実在していたとは……! しかも、これ凄いですよ! とても現代のテクノロジーとは思えません……!」
右京「携帯端末から実体が飛び出す……にわかには信じがたいですねぇ。ですが、こうして目の当たりにしている」
米沢「これほど現実離れした彼女たちなら、今回の事件も……もしかしたらもしかするかもしれませんね」
右京「ええ」
3号「事件ー?」
2号「捗らせたいのって、もしかして事件解決とか……?」
右京「御明察。まさに今、とても難解な謎に頭を悩ませていましてねぇ」
右京「是非、皆さんに知恵をお借りしたい。よろしいでしょうか」
1号「はいはい! 任せてください! お巡りさんの捜査を捗らせますよ〜! なんてったって私たち!」
1・2・3号「「「 君にシンクロするパーソナルエンタメAI! ハッカドール! 」」」
右京「それはもうけっこう。早速ですが、米沢さん。現場写真を皆さんにお見せしましょう」
米沢「はい、え〜と…………こちらです。被害者は都内在住の男性なんですが」
1号「こ、これは……なかなか……おえっ」
3号「グロ〜……ブラクラだよ〜……」
2号「ううぅ……ちょっと直視できないかも……」
米沢「無理もないでしょう。日常的に死体を見ている自分ですら、目を背けたくなる凄惨さですからなぁ」
米沢「殺害時の衝撃で顔面含め身体中が潰れてます。まさにミンチ状態といった所でしょうか」
1号「でもでも、事件解決を捗らせるため! 辛いけど頑張りましょう!」
3号「まあグロ耐性はある方だから、ボク」
右京「続けてよろしいでしょうか。この遺体なんですが、特に目をひくのがここ! ここなんですよー」
右京「妙だと思いませんか?」
1号「たしかに……男の人のはずなのにチンコがありません!」
右京「いえ、それはさしたる問題ではありません。現場から千切れ飛んだ局部が発見されました」
3号「ついてるかついてないかは問題じゃないよ」
2号「そうね。ついてるかついてないかは問題じゃないわね」
ものすごく…脳内再生余裕です…
右京「僕が気になっているのは、ここ。この下腹部の傷です」
右京「円形の巨大な穴が穿たれています。まるで、直径数十センチの円柱型の何かで貫かれたかのように」
米沢「その円形の傷には焼かれた痕がありました。言ってみれば、ひどい火傷ですな」
右京「遺体の荒れ具合からして尋常ではありませんが、特にこの円形の火傷は特異です」
右京「火炎放射器のようなもので焼かれたわけではない。一点に集中して凄まじい熱と衝撃を与える……」
右京「この異常な傷跡をつくった凶器は一体何なのか。あらゆる可能性を考えているのですが」
2号「まったく、見当がつかないわけですね?」
右京「ええ」
1号「なるほど! これは難解ですね! うーん」
右京「灼熱の凶器……熱くて太い何かだということは分かっています」
3号「熱くて太いモノ……」
2号「太くて……熱いモノ……?」
1号「あ! わかりました! 熱くて太いモノっていったら、もうアレしかありませんよね!」
1号「3号ちゃんにはついてて!」
2号「私たちにはついてない……!」
3号「ナニのことー?」
1号「それしかありません! このグチャグチャミンチさんは熱くて太くて逞しいチンコに貫かれたんです!」
2号「つまり犯人はかなりの巨根の持ち主ってことね……! すごいわ! 1号ちゃん!」
1号「えへへー」
3号「ほら、チンコだってさ。メモしなよ」
右京「はいぃ?」
米沢「いやぁ、チンコと言われても……その推理はあまり現実的とは言えないような気が」
右京「ええ、およそまともではない。狂気の沙汰と言えるでしょう。ですが、だからこそ」
右京「僕たちには到底たどり着けない推論のひとつです。貴重なご意見、ありがとうございました」
1号「捗りましたか!?」
右京「ええ。若干」
3号「若干かー」
1号「もっと捗らせますよ〜。他にてがかりはないんですか?」
2号「被害者ってどんな人だったのかしら」
3号「ミンチ状態じゃ何もわからないねー」
右京「それでしたら、あそこのホワイトボードに生前の写真がいくつか貼られています」
3号「どれどれー? へー、この人かー……んー? 気のせいかな……この人、見覚えがあるような……」
1号「えっ、本当ですか!?」
米沢「ここ最近、政務活動費の不正流用疑惑で騒がれていた都議会議員の○○氏ですから、ニュース番組で見たのかと」
1号「でも私たち、ニュース番組とか全然見ませんよ?」
右京「おやおや。ハッカドールにはニュースアプリと書かれています。それなのに、ニュース番組はご覧にならない?」
1号「わ、私たちはサブカル専門なんですっ。それはそれ、これはこれですよっ」
2号「……!」ガクガク
1号「あれ? 2号、なんで震えてるんですか?」
3号「逢いたくて逢いたくて震えてるんじゃないのー?」
2号「こ、この人……!」
2号「い、1号ちゃん……! 3号ちゃん! ちょっと、こっちきて!」
1号「え? な、なんですかー?」
3号「ひっぱんないでよー」
2号「あの写真の人……!」
1号「グチャグチャミンチさんがどうかしたんですか?」
2号「なに言ってるの1号ちゃん! あなたが昨日ぶっ飛ばした人じゃない!」
1号「えええ!? そ、そうでしたっけ?」
3号「うーん、よく覚えてないけど……たしかにあんな顔してたような気がする……」
2号「間違いないわ……! ど、どうしよう。まさか死んじゃってたなんて……!」
3号「あーあ、1号がやりすぎるから」
1号「えぇー!? わ、私のせいですかぁ!?」
3号「だってぶっ飛ばしたの1号だし……」
―――
〜昨日〜
2号「あそこがターゲットの住んでるマンションね」
3号「うわぁー、おっきぃー」
1号「さすが悪いことしてる政治家さんです! よーし、依頼通りきちんと正義の鉄槌をくらわせますよー!」
3号「何でいく? 釘バットでいく?」
2号「素手でいいんじゃないかしら」
1号「うーん、やっぱり私たちハッカドールのイメージダウンに繋がるデンジャラスな物はやめた方がいいと思うんですけど」
2号「殺しちゃだめってクライアントさんの要望だから……あまり強力なものじゃだめよね」
3号「気功波でいいんじゃない? かっこいいし、そこそこのダメージで済むし」
2号「出せるの?」
1号「夢の中でなら出したことありますよー!」
2号「それじゃあ、1号ちゃんお願いね。私たちは出せないから」
1号「はい! 任せてください! よーし、気をためて……」
シュインシュインシュイン
ガチャ
被害者「ん……? 誰だ?」
1・2・3号「「「 君を半殺しにするナイト・イン・シャイニング・アーマー! ハッカドール! 」」」
被害者「な、なんだお前たちは……!」
1号「え? 今言ったんですけど……それじゃあもう一度!」
1・2・3号「「「 君をh 」」」
被害者「け、警察!」
2号「大変! 警察を呼ぶつもりよ!」
3号「国家権力がくるー!」
1号「させません! はぁぁぁぁぁ!!!!」
ギュォォォォォン
ドガーン
1号「やりました! 勢いとやる気さえあればできるもんですね!」
2号「お仕置き完了! 逃げるわよ!」
3号「サツが来る前にずらかるぞー」
―――
2号「まさかあれぐらいで死んじゃうなんて……!」
3号「ギャグアニメに向かない人だったんだねー」
1号「ひぇえ〜! ど、どどど、どうしよ〜!」
右京「どうかされましたか?」ヒョコ
3号「うわっ、びっくりしたぁ」
右京「ああ、失礼。何やら狼狽えているように見えたもので、つい」
1号「あ、いやー、えっと」
2号「で、出かけるときにガスの元栓を閉めたかが気になって……そ、それだけなんですよ。ウフフ」
右京「そうですか。それで、被害者の写真を見て、何か気付いたことはありましたか?」
3号「気付いたことと言われてもなー……」
右京「どんな些細なことでも結構です。我々としては藁にもすがる思いですので、ぜひ」
2号「1号ちゃん、当たり障りのない答えをしてテキトーに切り上げちゃいましょう」ボソッ
3号「はやく逃げた方がいいって絶対……」ボソッ
1号「は、はい。そのぉ、まあ……この議員さんけっこうイケメンですね……とか、そのぐらいしか」
右京「イケメン。なるほど、○○議員はたしかに、整った顔立ちをしていますねぇ」
米沢「ワイドショーなどでも度々取り上げられ、お茶の間の主婦の人気を集めていると評判でしたからなぁ」
右京「ええ、不正流用疑惑によってその人気は低迷してしまったようですが……他に気になる点はありませんか?」
1号「うーん、私たち馬鹿だからさっぱりですねっ! アハハ〜、なーんて」
2号「あの、私たちこれ以上は何の役に立ちそうもないので、そろそろ……」
3号「巨根の犯人探し頑張って。それじゃ」
右京「ああ、そう言わずに、もう一声。どうでしょう」
1号「ん、んー……えーと、こんな優良物件なのにマンションで一人暮らしなんて、もったいないなぁ……とか?」
2号「そうね、とってもモテそうなのに」
3号「愛人とかたくさん連れ込んでんじゃないのー? 政治家なんてそんなもんだって。ほらはやく帰ろうよー」
右京「……なるほど。やはり、そういうことでしたか」
1号「え?」
2号「あの、今ので何かわかったんですか?」
右京「ええ。少なくとも、今回の事件の犯人……いえ、凶器については見当がつきました」
3号「待った! だから、それがチンコじゃないのー?」
1号「そうですよ! 犯人はチンコで被害者を貫いたんです! 絶対そうです!」
右京「いいえ。凶器の正体、それは……あなた方、ハッカドールですよ……!」
3号「ナ、ナンダッテー」
1号「な、なな、ななな、なに、なに言ってるんですか! そ、そそそ、そんなことあるわけないじゃないですか!!!」
2号「うふふ、杉下さん。大した想像力をお持ちですね。小説家になることをおすすめしますよ」
1号「そ、そうです! そんなの、ただの想像です!」
右京「そうでしょうか。あながち想像の産物とは言い切れないのではないか……僕はそう思っています」
3号「異議あり! 検事側は何の根拠もなく我々を貶めようとしています!」
1号「い、異議を認めます! 閉廷です! 閉廷!」
右京「検事ではなく刑事です。それと、根拠ならあります」
3号「なん……だと……?」
右京「ハッカドール1号さん、でよろしいでしょうか。あなたは、被害者について見覚えがないとおっしゃっていました」
右京「ニュース番組には目を通さないため、不正疑惑の件もご存じなかった……そうですね?」
1号「は、はい! でも、私たちはサブカル専門だからニュースとかに興味がなくても別に……!」
右京「ええ。それについては理解しました。僕が注目しているのは、そこではありません」
右京「ここへ来るまでに、1号さんが被害者について大まかにすら情報を得ていなかった……この点に矛盾があるんですよ」
1号「い、異議ありです! 矛盾なんてありません!」
右京「いえ。あなたが被害者について今ここで初めて知ったのだとしたら……」
右京「『マンションで一人暮らしなんてもったいない』という言葉が出てくるのは妙ではありませんか?」
右京「僕は『○○議員がマンションで一人暮らしである』とは一言も言っていません。米沢さんも、そうですね?」
米沢「たしかに。都内在住とは言いましたが……」
1号「そ、それは……! ほら! あそこのホワイトボードに!」
右京「現場について『被害者の自室』と書かれているだけです。家族構成等、詳しい情報は書かれていません」
右京「何故、我々が伝えていない情報を1号さんが知り得たのか……あなた方にも言えることですよ?」
右京「2号さん、そして3号さん。おふたりも、被害者がマンションで一人暮らしという情報を当然のように受け入れていました」
右京「……あなた方は昨夜、被害者の住むマンションを訪ねたのではありませんか?」
2号「ひ、飛躍のしすぎです!」
3号「黙秘権発動っ」
1号「もうしゃべりませーん! しゃべりませんよー!」
右京「おやおや、こまりましたねぇ」
米沢「どうやら、あの人の証言は本当だったようですな」
右京「ええ」
2号「あ、あの人の証言……?」
右京「ええ。実は、あなた方をここへ呼んだのには捜査協力以外にもうひとつ、別の目的があったんですよ」
―――
〜数時間前〜
4号「違うってー! あ、あたしじゃないですってー!」
伊丹「お前がやったんだろ!!!」
バンッ
4号「ひーっ!」
ガチャ
右京「失礼します」
伊丹「ちょ、またかよ……! なんでも嗅ぎつけてきやがって……」
芹沢「ちょっとちょっと、困りますよ〜」
右京「そちらが、都議会議員殺害の重要参考人の方ですか?」
4号「やってないって言ってんじゃ〜ん! あんたもこの顔恐い人説得してよ〜!」
伊丹「やってねえなら、どうして犯行時刻に現場の近くをうろついてたんだ!」
芹沢「おまけに警察から逃げちゃったんでしょ? それで疑うなってほうが無理じゃないの」
4号「だって警察苦手だから〜、逃げちゃうのは仕方ないかなぁって……」
右京「警察に対し少なからず恐怖感を抱く心理は理解できます」
右京「この際、逃げ出したという点については不問にしましょう」
伊丹「いや勝手に決めないでもらえます?」
右京「ですが、現場付近にいた理由……これだけは教えていただけませんか? とても重要なことですので」
伊丹「無視かよ……」
4号「1号たちを監視するように言われたから……そうっすよ! 見たんすよ! 見ました!」
右京「失礼、『いちごう』というのは……」
芹沢「この人、自分のことを『4号』とか言っちゃってるんですよ。ほら、番号の」
右京「なるほど。『いちごう』というのは、1号……数詞のことですか」
芹沢「仮面ライダーじゃないんだから……まともじゃないでしょ?」
伊丹「あのさ。あんた本当にクスリやってない?」
4号「やってねーよ! やるわけねーだろ! いやそれより見たんだって! あいつらが殺したんだ!」
右京「あいつら?」
4号「ハッカドールの1号と2号と3号のことに決まってんじゃん! あいつら逮捕してよー!」
―――
右京「4号さんの話を聞いた僕は、この異常な事件現場の創造主である可能性が高い、あなた方に会ってみようと思ったわけです」
右京「先ほどの矛盾した発言。4号さんの証言との一致。あなた方が現場を訪れたのは間違いないのではありませんか?」
1号「うぅ……! そ、それは……!」
右京「4号さんによると、皆さんのようなパーソナルエンタメAIはやろうと思えば何でもできるようですねぇ」
右京「最初は到底信じることができませんでした。ですが、実際に皆さんはこうして、携帯端末から飛び出してきた……」
右京「4号さんも大気圏突入のほか空を自由自在に飛ぶことも可能だと豪語し、実際に宙に浮いて見せました」
右京「だとすれば、皆さんも熱を持った円柱型の何かを生み出す能力を有しているのではないかと」
右京「そうですねぇ……たとえば、ビームの発射。んっふっふ、我ながら突飛な話で申し訳ない、笑いが出てしまうのですが」
右京「…………どうでしょう」
3号「い、異議……! 異議……!」
1号「もう、ここまで……ですね……」
2号「1号ちゃん……!」
1号「わ、私が……私が気孔波で殺しました……! ひっく、うぇぇ……ご、ごめんなさぁいぃぃぃぃ! うわぁぁぁぁん!」
1号「悪いことをしてる政治家さんを懲らしめたいという人がいたので……は、捗らせるために……しかたなく……!」
2号「殺すつもりは無かったんです! クライアントさんの要望通り、半殺し程度にしようって……ね、3号ちゃん!」
3号「う、うん」
右京「やはり、そうでしたか……」
米沢「いやー、しかしこれ、どうします? エンタメAIが気孔波で人を殺したなんて、前代未聞ではないかと」
右京「そうですねぇ。僕の記憶が正しければ、過去に例は無かったはずです」
1号「あの、私はどうなっちゃうんですか……?」
3号「もしかして……死刑とか」
2号「そんな……!」
1号「うえぇぇん! それだけは勘弁してくださぁぁぁい〜! なんでもしますからぁ〜! 許してぇ〜! 死にたくないです〜!」
右京「はっきりとは言えませんが、あなた方を現代の法で裁くのはおそらく不可能なのではないかと」
1号「え……!? ほ、ほんとうですか……!?」
右京「こうして対面してしまうと忘れそうになりますが、あなた方はAI、つまり人工知能なわけです」
右京「人工知能の殺意を法的に認めるのは難しいと思いますよ。もし罪に問われるのだとしたら――」
右京「ハッカドールの制作者、あるいはあなた方三人に対し被害者への暴行を指示した人物。そのどちらかです」
右京「2号さんがおっしゃっていた『クライアント』とはいったい誰のことでしょう」
2号「そ、それは……顧客の情報なので……」
3号「まぁー、ほら、プライバシーとかあるし……」
右京「そうですか……正直におっしゃっていただけないのであれば結構。警視庁にはサイバー犯罪対策課という部署があります」
右京「ハッカドールのデータを分析してもらいましょう。データが破損する可能性はありますが、この際仕方ありません」
米沢「若干分野が違うような気もしますが、まあ、致し方ありませんな。さっそく、手配します」
3号「あ、あんなこと言ってるよ〜」
2号「どうしよう……私たち、身も知らぬ警察のおじさまたちに身体中滅茶苦茶にされちゃうのね……エロ同人誌みたいに……!」
1号「嫌です〜! そんなの嫌です〜!」
3号「もう顧客の信頼とかどうでもいいからバラしちゃおうよ」
1号「そ、そうですね! わが身が一番可愛いですもんね!」
2号「そうと決まったら、あの〜! すいませ〜ん!」
右京「なんでしょう」
1号「全部話しちゃいます! 正直に話しちゃいますので解析とか止めてください!」
右京「そうですか。ご協力、ありがとうございます」
2号「私たちが捗らせようとしたのは、ダークナイトって人なんです……」
右京「ダークナイト……警察の手が及ばない犯罪者を襲撃する、連続暴行事件の首謀者のことですか?」
1号「いや、そういうのはよく分からないですけど……」
3号「なんか自分で言ってたよねー。『ダークナイトとでも呼んでくれ』って」
2号「そうね。なかなかイケメンだったのに……ちょっと残念そうな人だったわね」
米沢「まさかの大物でしたな。このような意外な繋がりで耳にすることになるとは」
右京「ええ。その自称ダークナイトはどのような人物でしたか?」
1号「どのような人と言われましても……うーん」
2号「会えば分かるんだけど……」
ガチャ
カイト「杉下さん、すいません遅れました」
右京「カイトくん、どうしたんですか? 君にしては、随分な遅刻ですねぇ」
カイト「いやぁ、ちょっと人探ししてて……」
右京「人探し?」
カイト「はい…………あっ」
1号「あっ」
1号「こ、この人です!!!」
3号「ほんとだ! こいつじゃん!」
2号「間違いありません! この人です!」
右京「はいぃ?」
米沢「えっ!」
カイト「き、君たち……どうしてここに……!」
右京「……もしかして、カイトくん。君が探していたのは、彼女たちですか?」
カイト「あ、いや……まあ、そうっすけど……え、なんでこの三人がここにいるんですか?」
右京「……!」プルプル
カイト「あの、杉下さん?」
右京「カイトくん…………いえ、こうお呼びした方がいいでしょうか。ダークナイト」
カイト「!?」
1号「この人ですよ! この人が『悪者に正義の鉄拳くらわしてぇなぁ』とか言ってたから捗らせてあげたんです!」
3号「お前のせいでボクたち人殺しまでしちゃったじゃないかー!」
2号「もう! ちゃんと責任とってください!」
右京「カイトくん……!」
カイト「……まぬけだな……話にならない……まさか、ハッカドールが原因で杉下さんに全てバレてしまうなんて……」
右京「…………君が悔いるべきは、そこじゃないだろう!!!」プルプル
カイト「…………」
右京「……君が反省すべきは、そこじゃないはずですよ……!」プルプル
3号「いやー。真犯人も捕まったわけだし、これで一件落着だね」
2号「ほんと、一時はどうなるかと思ったわ」
1号「あのー、捗りましたよね? 事件解決したわけですし、捗りましたよね? ね!?」
右京「…………」プルプルプルプルプル
カイト「…………」
1号「あのー、捗りませんでしたか? すごい震えてますけど、大丈夫ですか? 捗って捗って震えてるんですか?」
右京「君はもう30じゃないですか……! いい歳をして……『ダークナイト』などと名乗って……! 恥を知りなさぁい!!!」プルプルプルプル
カイト「…………」シュン
3号「痛々しいなぁ……見てられないよ」
2号「お取込み中みたいだし……もう帰った方がいいんじゃないかしら」
1号「そ、そうですね。えーっと、お邪魔しました〜。失礼しまーす」
〜END〜
・ニュース速報(VIP)@2ちゃんねるに投稿されたスレッドの紹介でした
右京「ハッカドール、知っていますか?」米沢「はい」
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1: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:09:15.332 ID:vfU3rsvR0.net
米沢「どんな作業でも捗らせてくれる魔法のようなアプリだと、巷で囁かれているとか」
米沢「まあ、都市伝説ですな。噂の域を出ない、いわばオカルトのようなものでして」
右京「実に、興味深いですねぇ。もしそのアプリケーションが実在するのだとしたら」
右京「難解な事件を紐解くための何かを、僕にもたらしてくれるかもしれません」
米沢「ははぁ、杉下警部ならばそうおっしゃると思いました。オカルト方面もいけますからな」
右京「ええ。複雑怪奇な現象をこの目で見てみたいというのが、僕の積年の願いです」
米沢「ではでは、どうぞ。このスマートホンにアプリが入ってます」
右京「すでにインストール済みでしたか。なるほど……起動すれば、いいのでしょうかねぇ」
米沢「どうでしょう、なにぶん詳しいことはネット上にも書かれていませんから」
米沢「今のところ、一度も動作したことはありません。やはり悪戯なのではないかと……」
ピュィィィン
ハッカドール1・2・3号「「「 君にシンクロするパーソナルエンタメAI! ハッカドール! 」」」
右京「おやおや……!」
米沢「こ、これは……!」
4: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:12:41.145 ID:yPxXXnGX0.net
最後二行が目キラッキラしてそうでワロタ
・彡(°)(°)「お!近所のJCやんけ声かけたろ!」
・男の娘「残念実はおと――」男「嘘だ!」
・子供「らんら〜ん♪」熊「あっ」子供「あっ」熊「あっ」もぐもぐ
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・悟空「ブルマ先っちょだけ挿れさせてくんねぇか」 ブルマ「はぁ!?」
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5: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:15:24.619 ID:vfU3rsvR0.net
1号「わぁ〜ここ、どこですか? 色んなものが置いてありますねっ」
2号「警察じゃないかしら。ほら、ドラマでよく見る鑑識みたいな格好をしてる人がいるし……」
3号「えぇ、警察〜? 好きじゃないなぁ……」
米沢「す、すすす、杉下警部、これは、ど、どうしたことでしょうか……! まさか本当に……!」
右京「これは驚きましたねぇ」
1号「あ! これ知ってます! 指紋をとるやつですよね!」
3号「2号のおっぱいの指紋とってみようよー」
2号「ちょっと3号ちゃん……!」
1号「誰に揉まれたか一目瞭然ですよ〜!」
右京「あの、ちょっとよろしいでしょうか」
1号「はい?」
2号「あっ。もしかして、私たちを呼んだのって……」
右京「ええ。警視庁特命係の杉下です」
7: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:22:22.160 ID:vfU3rsvR0.net
1号「私たちは!!!」
1・2・3号「「「 君にシンクロするパーソナルエンタメAI! ハッカドール! 」」」
右京「先ほども聞きました」
米沢「まさか実在していたとは……! しかも、これ凄いですよ! とても現代のテクノロジーとは思えません……!」
右京「携帯端末から実体が飛び出す……にわかには信じがたいですねぇ。ですが、こうして目の当たりにしている」
米沢「これほど現実離れした彼女たちなら、今回の事件も……もしかしたらもしかするかもしれませんね」
右京「ええ」
3号「事件ー?」
2号「捗らせたいのって、もしかして事件解決とか……?」
右京「御明察。まさに今、とても難解な謎に頭を悩ませていましてねぇ」
右京「是非、皆さんに知恵をお借りしたい。よろしいでしょうか」
1号「はいはい! 任せてください! お巡りさんの捜査を捗らせますよ〜! なんてったって私たち!」
1・2・3号「「「 君にシンクロするパーソナルエンタメAI! ハッカドール! 」」」
右京「それはもうけっこう。早速ですが、米沢さん。現場写真を皆さんにお見せしましょう」
米沢「はい、え〜と…………こちらです。被害者は都内在住の男性なんですが」
9: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:29:12.024 ID:vfU3rsvR0.net
1号「こ、これは……なかなか……おえっ」
3号「グロ〜……ブラクラだよ〜……」
2号「ううぅ……ちょっと直視できないかも……」
米沢「無理もないでしょう。日常的に死体を見ている自分ですら、目を背けたくなる凄惨さですからなぁ」
米沢「殺害時の衝撃で顔面含め身体中が潰れてます。まさにミンチ状態といった所でしょうか」
1号「でもでも、事件解決を捗らせるため! 辛いけど頑張りましょう!」
3号「まあグロ耐性はある方だから、ボク」
右京「続けてよろしいでしょうか。この遺体なんですが、特に目をひくのがここ! ここなんですよー」
右京「妙だと思いませんか?」
1号「たしかに……男の人のはずなのにチンコがありません!」
右京「いえ、それはさしたる問題ではありません。現場から千切れ飛んだ局部が発見されました」
3号「ついてるかついてないかは問題じゃないよ」
2号「そうね。ついてるかついてないかは問題じゃないわね」
10: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします(岡山県) 2016/01/04(月) 20:31:19.490 ID:WJtfgRF+0.net
ものすごく…脳内再生余裕です…
11: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:37:08.611 ID:vfU3rsvR0.net
右京「僕が気になっているのは、ここ。この下腹部の傷です」
右京「円形の巨大な穴が穿たれています。まるで、直径数十センチの円柱型の何かで貫かれたかのように」
米沢「その円形の傷には焼かれた痕がありました。言ってみれば、ひどい火傷ですな」
右京「遺体の荒れ具合からして尋常ではありませんが、特にこの円形の火傷は特異です」
右京「火炎放射器のようなもので焼かれたわけではない。一点に集中して凄まじい熱と衝撃を与える……」
右京「この異常な傷跡をつくった凶器は一体何なのか。あらゆる可能性を考えているのですが」
2号「まったく、見当がつかないわけですね?」
右京「ええ」
1号「なるほど! これは難解ですね! うーん」
右京「灼熱の凶器……熱くて太い何かだということは分かっています」
3号「熱くて太いモノ……」
2号「太くて……熱いモノ……?」
1号「あ! わかりました! 熱くて太いモノっていったら、もうアレしかありませんよね!」
13: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:41:06.672 ID:vfU3rsvR0.net
1号「3号ちゃんにはついてて!」
2号「私たちにはついてない……!」
3号「ナニのことー?」
1号「それしかありません! このグチャグチャミンチさんは熱くて太くて逞しいチンコに貫かれたんです!」
2号「つまり犯人はかなりの巨根の持ち主ってことね……! すごいわ! 1号ちゃん!」
1号「えへへー」
3号「ほら、チンコだってさ。メモしなよ」
右京「はいぃ?」
米沢「いやぁ、チンコと言われても……その推理はあまり現実的とは言えないような気が」
右京「ええ、およそまともではない。狂気の沙汰と言えるでしょう。ですが、だからこそ」
右京「僕たちには到底たどり着けない推論のひとつです。貴重なご意見、ありがとうございました」
1号「捗りましたか!?」
右京「ええ。若干」
3号「若干かー」
14: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:46:53.547 ID:vfU3rsvR0.net
1号「もっと捗らせますよ〜。他にてがかりはないんですか?」
2号「被害者ってどんな人だったのかしら」
3号「ミンチ状態じゃ何もわからないねー」
右京「それでしたら、あそこのホワイトボードに生前の写真がいくつか貼られています」
3号「どれどれー? へー、この人かー……んー? 気のせいかな……この人、見覚えがあるような……」
1号「えっ、本当ですか!?」
米沢「ここ最近、政務活動費の不正流用疑惑で騒がれていた都議会議員の○○氏ですから、ニュース番組で見たのかと」
1号「でも私たち、ニュース番組とか全然見ませんよ?」
右京「おやおや。ハッカドールにはニュースアプリと書かれています。それなのに、ニュース番組はご覧にならない?」
1号「わ、私たちはサブカル専門なんですっ。それはそれ、これはこれですよっ」
2号「……!」ガクガク
1号「あれ? 2号、なんで震えてるんですか?」
3号「逢いたくて逢いたくて震えてるんじゃないのー?」
2号「こ、この人……!」
15: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 20:52:58.521 ID:vfU3rsvR0.net
2号「い、1号ちゃん……! 3号ちゃん! ちょっと、こっちきて!」
1号「え? な、なんですかー?」
3号「ひっぱんないでよー」
2号「あの写真の人……!」
1号「グチャグチャミンチさんがどうかしたんですか?」
2号「なに言ってるの1号ちゃん! あなたが昨日ぶっ飛ばした人じゃない!」
1号「えええ!? そ、そうでしたっけ?」
3号「うーん、よく覚えてないけど……たしかにあんな顔してたような気がする……」
2号「間違いないわ……! ど、どうしよう。まさか死んじゃってたなんて……!」
3号「あーあ、1号がやりすぎるから」
1号「えぇー!? わ、私のせいですかぁ!?」
3号「だってぶっ飛ばしたの1号だし……」
16: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:00:39.978 ID:vfU3rsvR0.net
―――
〜昨日〜
2号「あそこがターゲットの住んでるマンションね」
3号「うわぁー、おっきぃー」
1号「さすが悪いことしてる政治家さんです! よーし、依頼通りきちんと正義の鉄槌をくらわせますよー!」
3号「何でいく? 釘バットでいく?」
2号「素手でいいんじゃないかしら」
1号「うーん、やっぱり私たちハッカドールのイメージダウンに繋がるデンジャラスな物はやめた方がいいと思うんですけど」
2号「殺しちゃだめってクライアントさんの要望だから……あまり強力なものじゃだめよね」
3号「気功波でいいんじゃない? かっこいいし、そこそこのダメージで済むし」
2号「出せるの?」
1号「夢の中でなら出したことありますよー!」
2号「それじゃあ、1号ちゃんお願いね。私たちは出せないから」
1号「はい! 任せてください! よーし、気をためて……」
シュインシュインシュイン
17: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:05:41.766 ID:vfU3rsvR0.net
ガチャ
被害者「ん……? 誰だ?」
1・2・3号「「「 君を半殺しにするナイト・イン・シャイニング・アーマー! ハッカドール! 」」」
被害者「な、なんだお前たちは……!」
1号「え? 今言ったんですけど……それじゃあもう一度!」
1・2・3号「「「 君をh 」」」
被害者「け、警察!」
2号「大変! 警察を呼ぶつもりよ!」
3号「国家権力がくるー!」
1号「させません! はぁぁぁぁぁ!!!!」
ギュォォォォォン
ドガーン
1号「やりました! 勢いとやる気さえあればできるもんですね!」
2号「お仕置き完了! 逃げるわよ!」
3号「サツが来る前にずらかるぞー」
―――
18: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:11:15.325 ID:vfU3rsvR0.net
2号「まさかあれぐらいで死んじゃうなんて……!」
3号「ギャグアニメに向かない人だったんだねー」
1号「ひぇえ〜! ど、どどど、どうしよ〜!」
右京「どうかされましたか?」ヒョコ
3号「うわっ、びっくりしたぁ」
右京「ああ、失礼。何やら狼狽えているように見えたもので、つい」
1号「あ、いやー、えっと」
2号「で、出かけるときにガスの元栓を閉めたかが気になって……そ、それだけなんですよ。ウフフ」
右京「そうですか。それで、被害者の写真を見て、何か気付いたことはありましたか?」
3号「気付いたことと言われてもなー……」
右京「どんな些細なことでも結構です。我々としては藁にもすがる思いですので、ぜひ」
19: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:17:13.756 ID:vfU3rsvR0.net
2号「1号ちゃん、当たり障りのない答えをしてテキトーに切り上げちゃいましょう」ボソッ
3号「はやく逃げた方がいいって絶対……」ボソッ
1号「は、はい。そのぉ、まあ……この議員さんけっこうイケメンですね……とか、そのぐらいしか」
右京「イケメン。なるほど、○○議員はたしかに、整った顔立ちをしていますねぇ」
米沢「ワイドショーなどでも度々取り上げられ、お茶の間の主婦の人気を集めていると評判でしたからなぁ」
右京「ええ、不正流用疑惑によってその人気は低迷してしまったようですが……他に気になる点はありませんか?」
1号「うーん、私たち馬鹿だからさっぱりですねっ! アハハ〜、なーんて」
2号「あの、私たちこれ以上は何の役に立ちそうもないので、そろそろ……」
3号「巨根の犯人探し頑張って。それじゃ」
右京「ああ、そう言わずに、もう一声。どうでしょう」
1号「ん、んー……えーと、こんな優良物件なのにマンションで一人暮らしなんて、もったいないなぁ……とか?」
2号「そうね、とってもモテそうなのに」
3号「愛人とかたくさん連れ込んでんじゃないのー? 政治家なんてそんなもんだって。ほらはやく帰ろうよー」
右京「……なるほど。やはり、そういうことでしたか」
1号「え?」
20: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:23:21.799 ID:vfU3rsvR0.net
2号「あの、今ので何かわかったんですか?」
右京「ええ。少なくとも、今回の事件の犯人……いえ、凶器については見当がつきました」
3号「待った! だから、それがチンコじゃないのー?」
1号「そうですよ! 犯人はチンコで被害者を貫いたんです! 絶対そうです!」
右京「いいえ。凶器の正体、それは……あなた方、ハッカドールですよ……!」
3号「ナ、ナンダッテー」
1号「な、なな、ななな、なに、なに言ってるんですか! そ、そそそ、そんなことあるわけないじゃないですか!!!」
2号「うふふ、杉下さん。大した想像力をお持ちですね。小説家になることをおすすめしますよ」
1号「そ、そうです! そんなの、ただの想像です!」
右京「そうでしょうか。あながち想像の産物とは言い切れないのではないか……僕はそう思っています」
3号「異議あり! 検事側は何の根拠もなく我々を貶めようとしています!」
1号「い、異議を認めます! 閉廷です! 閉廷!」
右京「検事ではなく刑事です。それと、根拠ならあります」
3号「なん……だと……?」
21: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:27:46.823 ID:vfU3rsvR0.net
右京「ハッカドール1号さん、でよろしいでしょうか。あなたは、被害者について見覚えがないとおっしゃっていました」
右京「ニュース番組には目を通さないため、不正疑惑の件もご存じなかった……そうですね?」
1号「は、はい! でも、私たちはサブカル専門だからニュースとかに興味がなくても別に……!」
右京「ええ。それについては理解しました。僕が注目しているのは、そこではありません」
右京「ここへ来るまでに、1号さんが被害者について大まかにすら情報を得ていなかった……この点に矛盾があるんですよ」
1号「い、異議ありです! 矛盾なんてありません!」
右京「いえ。あなたが被害者について今ここで初めて知ったのだとしたら……」
右京「『マンションで一人暮らしなんてもったいない』という言葉が出てくるのは妙ではありませんか?」
右京「僕は『○○議員がマンションで一人暮らしである』とは一言も言っていません。米沢さんも、そうですね?」
米沢「たしかに。都内在住とは言いましたが……」
1号「そ、それは……! ほら! あそこのホワイトボードに!」
右京「現場について『被害者の自室』と書かれているだけです。家族構成等、詳しい情報は書かれていません」
22: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:33:12.282 ID:vfU3rsvR0.net
右京「何故、我々が伝えていない情報を1号さんが知り得たのか……あなた方にも言えることですよ?」
右京「2号さん、そして3号さん。おふたりも、被害者がマンションで一人暮らしという情報を当然のように受け入れていました」
右京「……あなた方は昨夜、被害者の住むマンションを訪ねたのではありませんか?」
2号「ひ、飛躍のしすぎです!」
3号「黙秘権発動っ」
1号「もうしゃべりませーん! しゃべりませんよー!」
右京「おやおや、こまりましたねぇ」
米沢「どうやら、あの人の証言は本当だったようですな」
右京「ええ」
2号「あ、あの人の証言……?」
右京「ええ。実は、あなた方をここへ呼んだのには捜査協力以外にもうひとつ、別の目的があったんですよ」
23: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:38:21.268 ID:vfU3rsvR0.net
―――
〜数時間前〜
4号「違うってー! あ、あたしじゃないですってー!」
伊丹「お前がやったんだろ!!!」
バンッ
4号「ひーっ!」
ガチャ
右京「失礼します」
伊丹「ちょ、またかよ……! なんでも嗅ぎつけてきやがって……」
芹沢「ちょっとちょっと、困りますよ〜」
右京「そちらが、都議会議員殺害の重要参考人の方ですか?」
4号「やってないって言ってんじゃ〜ん! あんたもこの顔恐い人説得してよ〜!」
伊丹「やってねえなら、どうして犯行時刻に現場の近くをうろついてたんだ!」
芹沢「おまけに警察から逃げちゃったんでしょ? それで疑うなってほうが無理じゃないの」
4号「だって警察苦手だから〜、逃げちゃうのは仕方ないかなぁって……」
24: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:42:17.050 ID:vfU3rsvR0.net
右京「警察に対し少なからず恐怖感を抱く心理は理解できます」
右京「この際、逃げ出したという点については不問にしましょう」
伊丹「いや勝手に決めないでもらえます?」
右京「ですが、現場付近にいた理由……これだけは教えていただけませんか? とても重要なことですので」
伊丹「無視かよ……」
4号「1号たちを監視するように言われたから……そうっすよ! 見たんすよ! 見ました!」
右京「失礼、『いちごう』というのは……」
芹沢「この人、自分のことを『4号』とか言っちゃってるんですよ。ほら、番号の」
右京「なるほど。『いちごう』というのは、1号……数詞のことですか」
芹沢「仮面ライダーじゃないんだから……まともじゃないでしょ?」
伊丹「あのさ。あんた本当にクスリやってない?」
4号「やってねーよ! やるわけねーだろ! いやそれより見たんだって! あいつらが殺したんだ!」
右京「あいつら?」
4号「ハッカドールの1号と2号と3号のことに決まってんじゃん! あいつら逮捕してよー!」
―――
25: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:48:23.063 ID:vfU3rsvR0.net
右京「4号さんの話を聞いた僕は、この異常な事件現場の創造主である可能性が高い、あなた方に会ってみようと思ったわけです」
右京「先ほどの矛盾した発言。4号さんの証言との一致。あなた方が現場を訪れたのは間違いないのではありませんか?」
1号「うぅ……! そ、それは……!」
右京「4号さんによると、皆さんのようなパーソナルエンタメAIはやろうと思えば何でもできるようですねぇ」
右京「最初は到底信じることができませんでした。ですが、実際に皆さんはこうして、携帯端末から飛び出してきた……」
右京「4号さんも大気圏突入のほか空を自由自在に飛ぶことも可能だと豪語し、実際に宙に浮いて見せました」
右京「だとすれば、皆さんも熱を持った円柱型の何かを生み出す能力を有しているのではないかと」
右京「そうですねぇ……たとえば、ビームの発射。んっふっふ、我ながら突飛な話で申し訳ない、笑いが出てしまうのですが」
右京「…………どうでしょう」
3号「い、異議……! 異議……!」
1号「もう、ここまで……ですね……」
2号「1号ちゃん……!」
1号「わ、私が……私が気孔波で殺しました……! ひっく、うぇぇ……ご、ごめんなさぁいぃぃぃぃ! うわぁぁぁぁん!」
26: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:53:24.898 ID:vfU3rsvR0.net
1号「悪いことをしてる政治家さんを懲らしめたいという人がいたので……は、捗らせるために……しかたなく……!」
2号「殺すつもりは無かったんです! クライアントさんの要望通り、半殺し程度にしようって……ね、3号ちゃん!」
3号「う、うん」
右京「やはり、そうでしたか……」
米沢「いやー、しかしこれ、どうします? エンタメAIが気孔波で人を殺したなんて、前代未聞ではないかと」
右京「そうですねぇ。僕の記憶が正しければ、過去に例は無かったはずです」
1号「あの、私はどうなっちゃうんですか……?」
3号「もしかして……死刑とか」
2号「そんな……!」
1号「うえぇぇん! それだけは勘弁してくださぁぁぁい〜! なんでもしますからぁ〜! 許してぇ〜! 死にたくないです〜!」
右京「はっきりとは言えませんが、あなた方を現代の法で裁くのはおそらく不可能なのではないかと」
1号「え……!? ほ、ほんとうですか……!?」
右京「こうして対面してしまうと忘れそうになりますが、あなた方はAI、つまり人工知能なわけです」
右京「人工知能の殺意を法的に認めるのは難しいと思いますよ。もし罪に問われるのだとしたら――」
右京「ハッカドールの制作者、あるいはあなた方三人に対し被害者への暴行を指示した人物。そのどちらかです」
27: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 21:57:30.888 ID:vfU3rsvR0.net
右京「2号さんがおっしゃっていた『クライアント』とはいったい誰のことでしょう」
2号「そ、それは……顧客の情報なので……」
3号「まぁー、ほら、プライバシーとかあるし……」
右京「そうですか……正直におっしゃっていただけないのであれば結構。警視庁にはサイバー犯罪対策課という部署があります」
右京「ハッカドールのデータを分析してもらいましょう。データが破損する可能性はありますが、この際仕方ありません」
米沢「若干分野が違うような気もしますが、まあ、致し方ありませんな。さっそく、手配します」
3号「あ、あんなこと言ってるよ〜」
2号「どうしよう……私たち、身も知らぬ警察のおじさまたちに身体中滅茶苦茶にされちゃうのね……エロ同人誌みたいに……!」
1号「嫌です〜! そんなの嫌です〜!」
3号「もう顧客の信頼とかどうでもいいからバラしちゃおうよ」
1号「そ、そうですね! わが身が一番可愛いですもんね!」
2号「そうと決まったら、あの〜! すいませ〜ん!」
右京「なんでしょう」
1号「全部話しちゃいます! 正直に話しちゃいますので解析とか止めてください!」
右京「そうですか。ご協力、ありがとうございます」
28: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 22:02:43.548 ID:vfU3rsvR0.net
2号「私たちが捗らせようとしたのは、ダークナイトって人なんです……」
右京「ダークナイト……警察の手が及ばない犯罪者を襲撃する、連続暴行事件の首謀者のことですか?」
1号「いや、そういうのはよく分からないですけど……」
3号「なんか自分で言ってたよねー。『ダークナイトとでも呼んでくれ』って」
2号「そうね。なかなかイケメンだったのに……ちょっと残念そうな人だったわね」
米沢「まさかの大物でしたな。このような意外な繋がりで耳にすることになるとは」
右京「ええ。その自称ダークナイトはどのような人物でしたか?」
1号「どのような人と言われましても……うーん」
2号「会えば分かるんだけど……」
ガチャ
カイト「杉下さん、すいません遅れました」
右京「カイトくん、どうしたんですか? 君にしては、随分な遅刻ですねぇ」
カイト「いやぁ、ちょっと人探ししてて……」
右京「人探し?」
カイト「はい…………あっ」
1号「あっ」
29: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 22:07:47.304 ID:vfU3rsvR0.net
1号「こ、この人です!!!」
3号「ほんとだ! こいつじゃん!」
2号「間違いありません! この人です!」
右京「はいぃ?」
米沢「えっ!」
カイト「き、君たち……どうしてここに……!」
右京「……もしかして、カイトくん。君が探していたのは、彼女たちですか?」
カイト「あ、いや……まあ、そうっすけど……え、なんでこの三人がここにいるんですか?」
右京「……!」プルプル
カイト「あの、杉下さん?」
右京「カイトくん…………いえ、こうお呼びした方がいいでしょうか。ダークナイト」
カイト「!?」
1号「この人ですよ! この人が『悪者に正義の鉄拳くらわしてぇなぁ』とか言ってたから捗らせてあげたんです!」
3号「お前のせいでボクたち人殺しまでしちゃったじゃないかー!」
2号「もう! ちゃんと責任とってください!」
右京「カイトくん……!」
30: 以下、\(^o^)/でVIPがお送りします 2016/01/04(月) 22:13:19.823 ID:vfU3rsvR0.net
カイト「……まぬけだな……話にならない……まさか、ハッカドールが原因で杉下さんに全てバレてしまうなんて……」
右京「…………君が悔いるべきは、そこじゃないだろう!!!」プルプル
カイト「…………」
右京「……君が反省すべきは、そこじゃないはずですよ……!」プルプル
3号「いやー。真犯人も捕まったわけだし、これで一件落着だね」
2号「ほんと、一時はどうなるかと思ったわ」
1号「あのー、捗りましたよね? 事件解決したわけですし、捗りましたよね? ね!?」
右京「…………」プルプルプルプルプル
カイト「…………」
1号「あのー、捗りませんでしたか? すごい震えてますけど、大丈夫ですか? 捗って捗って震えてるんですか?」
右京「君はもう30じゃないですか……! いい歳をして……『ダークナイト』などと名乗って……! 恥を知りなさぁい!!!」プルプルプルプル
カイト「…………」シュン
3号「痛々しいなぁ……見てられないよ」
2号「お取込み中みたいだし……もう帰った方がいいんじゃないかしら」
1号「そ、そうですね。えーっと、お邪魔しました〜。失礼しまーす」
〜END〜
・ニュース速報(VIP)@2ちゃんねるに投稿されたスレッドの紹介でした
右京「ハッカドール、知っていますか?」米沢「はい」
・管理人 のオススメSS(2015/07/04追加)
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