転載元:神様「科学の神様だ」

1: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:30:12 ID:2AKtDq5A


――― 某研究所跡・裏

 ザッ ザッ

男「ふぅ、この建物って奥にこんなところがあったんだ」

 ザッ ザッ

男(あれ?人がいる?)


男「あっ、こんにちは」

少女「??」キョロキョロ

男「あの〜」

少女「!?」ハッ


少女「し・・・」

男「?」

少女「(神 ――ジジッ 皆 ――ジジッ か?!)」

男(なんだ? このノイズみたいなのは)

 シーン







彡(°)(°)「お!近所のJCやんけ声かけたろ!」
男の娘「残念実はおと――」男「嘘だ!」
子供「らんら〜ん♪」熊「あっ」子供「あっ」熊「あっ」もぐもぐ
シンジ「毛虫なんてどうかな?」 ゲンドウ「・・・・・・」
悟空「ブルマ先っちょだけ挿れさせてくんねぇか」 ブルマ「はぁ!?」
【画像大量】乳首の作画が神がかってるアニメのエ□さは異常wwwwwwwwwwwwwww
画像☆ローラのぴったりニットで浮き出た乳の輪郭デカ過ぎワロタwwwwwww
石原さとみソックリのJKのハメ撮りAVが流出
スカパー番組で女の陰毛をガッツリ放送する暴挙wwwwwwwwww
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2: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:34:03 ID:2AKtDq5A


少女「失礼・・・ これで聞こえるか? というか見えるのか?」

男「はい?」

少女「・・・いや、なんでも」

男「あのー こんな所で何してたんですか?」

少女「・・・砂粒を数えていた」

男「砂粒?」


少女「それより・・・」

男「あっすいません、立ち入り禁止ですよねココ」

少女「・・・・・・」

男「こんな所にこんなものがあるなんて。 教会? 神社の様にも見えるけど」

少女「・・・・・・」

男「あの〜」




3: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:37:24 ID:2AKtDq5A


少女「どうしてここに?」

男「下にある研究所跡の奥に回ったら汚らしい建物が上に見えたもんで」

少女「き!汚ない?」

男「あっ すいません」

少女「ま、まぁ確かに汚れて・・・ いるな・・・」キョロキョロ

少女「名前は?」

男「えっ? 男と言います。 ここの方ですか?」

少女「!?」


男「どうかしました?」

少女「あっ、か・・・ 神だ」

男「・・・はい? 神? あ〜神田(かみだ)さん」

少女「違う、神様!」

男「・・・・・・」

少女「?」




4: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:39:49 ID:2AKtDq5A


ピロリン♪

神様「?!」

男「メール・・・ うへぇ〜 これから部活ミーティングかよ」

神様「そ・・・ それは!」

男「じゃ、そろそろ帰りますので」

神様「ちょ、ちょっと待ったー!」

男「なにか?」


神様「そ・・・ その端末・・・」ワナワナ

男「端末?」

神様「見せてもらっても?」

男「スマホ? どうぞ」 スッ


神様「すまない、私は実体がないから触れないのだ」

男「は? 実体がない?」




5: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:42:53 ID:2AKtDq5A


神様「私に触れてみろ」

男「え? うそ何これ!」スカスカ

男「ホログラムか何か? 本体は奥の建物にいるの?」

神様「そんな安い技術と一緒にするな」

神様「其方の脳に直接姿を投影している」

男「そなた? 脳に直接?」

神様「まぁ本体があの中にあるという表現は半分当たっているがな」


男「もしかして幽霊?」

神様「失礼な、そんな非科学的なものと一緒にするな」

男「でも非科学的な物としか言い様がない気が・・・」

神様「それよりも・・・ そのスマホをもう少し上にかざしてもらっても良いか?」

男「あぁ、この位?」

神様「十分だ。それでは失礼して・・・」




6: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:45:11 ID:2AKtDq5A


神様「これは・・・ 間違いない」ブツブツ

男(この子、ちょっと痛いけど可愛いな)

神様「嬉しいことを言う、だが痛いと言う部分は心外だな」

男「えっ! 聞こえたの?」


神様「そうか、私とこんなに脳波パターンも近いんだな。 それで・・・」

男「ねぇ、そんなにスマホめずらしい? 持ってないの?」

神様「ん? 神だからな」

男「そうですか・・・」




7: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:47:39 ID:2AKtDq5A


神様「頼みがあるんだが、ブラウジングしても良いか? 5分、いや3分でも良い」

男「ブラウジング?」

神様「インターネットワーク、で通じるか?」

男「あ〜ネット? 良いけど触れないのにどうやって? 奥にいるなら持って行くよ?」

神様「いや、このままで大丈夫だ」


男(うわっ、何かスマホ超熱くなってるんだけど!)

 ふむ、やはり隠されているか・・・
 しかし・・・ ここまで来たか!
 あ〜、惜しいなぁ、あと一歩なんだが!
 ブツブツ―――

神様「!?」

男「ん? どうしたの?」

神様「・・・・・・」




8: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:49:59 ID:2AKtDq5A


男「ねぇ、大丈夫? 急に黙り込んで」

神様「あっ、あ〜すまない。 ちょっと悪い物を見た」

男「ブラクラでも踏んだ?」

神様「引き留めてすまなかった。 楽しかったぞ」


男「ふふっ」

神様「なんだ? その含みのあるような笑いは」

男「いや、本物の神様みたいな口調だなって。 うまいうまい」

神様「信じていないな?」

男「じゃ、暗くなってきたし帰るわ。 今度は奥にいる本物に会えますように!」タッタッ

神様(・・・・・・)




9: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:53:57 ID:2AKtDq5A


――― 翌日朝・学校

幼馴染「おっはよー男。 今日も元気に堅いかね?」

男「お前・・・ 突っ込む気力もねぇよ」

幼馴染「そう言えば、昨日は部会来なかったねぇ」

男「ちょっと野暮用で」

幼馴染「私は寂しくて・・・ 寂しさのあまり胸がはち切れてBカップになっちゃったよ」

男「はち切れてBカップかよ・・・ そうだ、お前研究所跡知ってるか?」

幼馴染「研究所跡?」

男「バス停前の」

幼馴染「あ〜、あの廃墟?」

男「あの裏側に教会のような・・・ 神社みたいのがあるんだよ」

幼馴染「ほ〜 あそこって真昼間っから出るらしいよ〜
    誰もいないのに声が聞こえるんだって! うそ! 怖い! 怖いよ!
    抱きしめて! 真昼間から抱きしめて!」

男「聞いたよ俺も。 正体も見た・・・ と思う」

幼馴染「もっと強――― はい?」




10: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:56:41 ID:2AKtDq5A


男「だから、そこで変な声を聞いて変な物を見た」

幼馴染「そうなんだ・・・ うん、私は男を信じる。 大丈夫だよ。
    DTを拗らして妄想と現実がゴッチャになることだってあるさ」

男「はぁ〜、そろそろ先生来るから自分のクラスに戻れよ」

幼馴染「酷い! こんなに可愛い幼馴染なのに! 女ね。 他の女に鞍替えするのね!」

男「何バカなこと言ってんだよ」

幼馴染「ちぇ、ノリ悪い〜な まぁいいや」ヨッコイショ

男「だから何で前に座るんだよ。 帰れよ」

幼馴染「えっ? 私ってホントに隣のクラスなの? 初耳!!
    どうしよう、ねぇ男! 私の記憶が書き換えられてる!」

先生「おい男と幼馴染。 先生が来たんだから静かにしてろ」

幼馴染「ふぇ〜い」

男「??」




11: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 00:58:59 ID:2AKtDq5A


神様「そうだぞ男、余計な事は喋らずに静かにしていろ」

男「ん?」クルッ

 ガタッ

男「あんた、なんでこ―――」

神様「事情は後ほど話す。 大人しくしておれ」ボソ


先生「おい、うるさいぞ!」

男「あっ・・・ すいません」

神様「・・・」ニコッ

男「(か、可愛い・・・)」

神様「嬉しいことを言う」




12: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:03:25 ID:2AKtDq5A


――― 昼休み

神様「男、ちょっと顔を貸せ」

幼馴染「うん、分かった。 でもでも優しくしてね」ポッ

神様「・・・幼よ、私の話をきちんと聞いていたのか?」

男「んじゃ隣の空き教室でも行こうか」

神様「あっ、ああ。 スマホを忘れるな」

男「スマホ? なんで?」

神様「なんでも良い。行くぞ」

 スタスタ

神様「・・・・・・」

男「どうしたの? ドアの前で」

神様「開けてくれるか?」

男「ん? あぁ」ガラガラ

神様「うむ」

男「?」




13: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:05:53 ID:2AKtDq5A


――― 空き教室

男「さて、聞きましょうか」

神様「(その前にだ)」

男「なんで頭に直接話しかけてくるんだよ」

神様「(隣の部屋で幼が聴診器を使ってこちらの部屋の様子を伺っている)」

男「はぁ〜、ちょっと言ってくる」

神様「それには及ばん ―――これで大丈夫だ」

男「何した?」

神様「気にする必要は無い」

神様「さて、昨日説明したと思うが私は神だ」

男「神田さんだっけ」

神様「違う! か・み・さ・ま! 以前は女神と呼ばれていた」

男「女神にしては幼すぎね? もっとさぁ ―――」

 バチッ!

男「うゎ! 静電気か? 痛って〜」




14: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:08:54 ID:2AKtDq5A


神様「茶化さずに聞け」

神様「やることが出来た。協力しろ」

男「・・・・・・」

神様「・・・・・・」

男「・・・・・・」

神様「・・・・・・」


男「え?終わり?」

神様「うむ」

男「もう少しさぁ、何かあるでしょ」

神様「?」

男「なんというか・・・」


神様「なるほど。そう言うことか」ポンッ

男「そうそう」




15: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:11:56 ID:2AKtDq5A


神様「男よ、お前を私の神官に任命する」キリッ!

男「しんかん?」

神様「ありがたく拝命するが良い。これでよいか?」フフン

男「・・・・・・」


神様「誇るが良い。私の神官だぞ」

男「違う、そうじゃない」

神様「あ?」


男「まぁ良いや、そんなことより」

神様「そんなこと、とは失礼な」

男「何で学校にいるのさ。周りもヤツも普通に接しているし」

神様「私に質問とは恐れ多いぞ」

男「だって変でしょどう考えても、それに実体は無いんじゃないの?」




16: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:15:09 ID:2AKtDq5A


神様「仕方の無いヤツだ。 神官でもあるし今回は特別に答えてやる」ハァー

男「そりゃ、どうも」

神様「周りの者達には私が入学から今日までの記憶を作り追記した」

男「はい?」

神様「私の姿に関しては、そのスマホと小箱を接続。
   脳波や量子を組み合わせて皆の脳に投影像を送り込んでいる。」

男「・・・・・・」


男「うん、ぜんっぜん意味わかんない」

神様「つまりだ、超高性能なコンピュータとお前のスマホを繋いで
   周りに私が居るように脳に電波を送っている。これで良いか?」

男「ちょっと待って、そんなこと出来るわけ無いっしょ」

神様「造作も無い」

男「何だ何だ、そのオカルトは!」

神様「無礼な、オカルトなんかと一緒にするでない」ムッ

男「どっちでも良いわ! って言うか俺に何しろって言うのさ」




17: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:18:00 ID:2AKtDq5A


神様「私のサポートを任せる」

男「何のサポートよ」

神様「全てだ」

男「具体的には」

神様「鈍いヤツだ。 先が思いやられる」

男「それはこっちのセリフだよ」


神様「私は実体がない。 つまり物に触れることが出来ない」

男「あ〜 それでさっきドアを開けさせたのか」

神様「私が周りから違和感の無いように気を配る。 それがお前のすべきことだ」

男「何だよそれ、奴隷じゃん」

神様「おい!言葉に注意しろ! 奴隷ではない神官だ!」キッ

男「急に怖い顔してどうしたんだよ」




18: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:20:30 ID:2AKtDq5A


神様「・・・・・・」

男「分かったよ。 協力しますよ」

神様「よし、頼んだぞ我が神官よ」ニコッ

男「(うっ、可愛い・・・)」

神様「嬉しことを言う」


男「・・・俺からもお願いが一つある」

神様「あ?」

男「人の頭の中を勝手に覗かないこと」

神様「何を言っている。 お前は私の―――」

男「分かった? じゃなきゃスマホの電源を切る」


神様「うっ・・・」ギクッ

男「スマホの電源を切ればアンタは消えると言うことだけは理解できた」




20: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:22:56 ID:2AKtDq5A


神様「私を脅すなど、お前は―――」

男「分かりましたか?」


神様「私は神であって―――」

男「分かりましたか?」


神様「しょ・・・ 承知した。人の頭の中を無断で読むことはや・・・ やめる」グヌヌ

男「よろしい」

男「ん? ちょっとまって、何で幼はうちのクラスにしたんだ?」

神様「?」

男「いや、俺の記憶だと幼は隣のクラスなんだけど」

神様「私はそんな改竄をした覚えは無いぞ。 照合にも・・・ 問題は出ていないが・・・」

男「なんだよそれ、大丈夫かよ」

神様「失敬な、と言いたいところだが本調子ではなくてな」




21: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:28:38 ID:2AKtDq5A


男「おいおい」

神様「小箱のエネルギーが残り少なくてな。 節約しすぎたか?」

男「さっきも言ってたけど小箱って何? 本体?」

神様「そう思ってかまわん」

男「ってことは、本体の電池が残り少ないと」

神様「まぁそんなところだ」

男「どのくらいで空になるの?」

神様「もって3ヶ月だな」

男「え? 短くね」

神様「仕方がない、それまでにはカタを付ける」

男「カタって?」


神様「・・・時間だ。戻るぞ」

男「あっ、ああ」




22: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:33:13 ID:2AKtDq5A


―――教室

男「はい、どうぞ」ガラガラ

神様「うむ」スタスタ


幼馴染「Zzz・・・」

男「なぁ神様?」

神様「なんだ」

男「幼が床ですんごい格好で寝ているんだが」

神様「うむ、見事な捻れっぷりだ」


男「何したの?」

神様「仮眠レベルにしたはずだが・・・ ガッツリ寝ているなぁ」

男「え? 授業中もあのまま?」

神様「盗み聞きなどするからだ」

男「可哀想に・・・」




23: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 01:34:44 ID:2AKtDq5A


男「そうだ、今日部活あるんだけど神様は放課後どうする?」

神様「科学部であろう? 驚け! 私も部員だ」

男「はい?」


神様「部長、幼、お前、そして私の4人しかいない弱小部だな」

男「人数が少ないのは変えてくれないんだ・・・」

神様「だが、科学部とは良い選択だ」フムフム




24: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 02:02:53 ID:2AKtDq5A


――― 教室・放課後

幼馴染「うがっ」ムクッ

男「おう、起きたか」

神様「見事な寝相であった」


男「おい、部室行くぞ」

幼馴染「おんぶ〜」ホケー

男「歩け」

 パチッ!

幼馴染「うわっ! 静電気!」シャキッ

神様「ゆくぞ、幼よ」




25: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 02:27:41 ID:2AKtDq5A


――― 科学部・部室

部長「と、言う訳で」

男「つまり、なぜか部費が増えていたと言うことですね?」

幼馴染「よかった〜 お菓子代なくなったら大変だもんね〜」

部長「幼ちゃん、部費はお菓子代じゃない訳で。 科学部の研究予算な訳で」

幼馴染「はーい、 じゃぁその余った部費で旅行することを提案します! 可決!」

部長「旅行ですか? う〜ん・・・」


男「もしかして・・・」ボソ

神様「良いではないか、ちょっと多くしすぎただけだ」ボソ

男「間違えた?」ボソ

神様「・・・・・・」

男「ねぇ、桁とか間違えちゃったの?」ボソ

神様「えーい! うるさいぞ男! 部長とやら、私も旅行に賛成する!」

幼馴染「さっすが神ちゃん、私は神ちゃんがいればもう何もいらない!」




26: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 02:31:24 ID:2AKtDq5A


男「んじゃこのお菓子は没収な」

幼馴染「おいおい、何言ってんだよDT! それとこれとは話が別だろうが。
    あんま調子に乗ってると、自宅の引き出しから2段目の板の下に
    隠してあるお気に入りのAVとエロ本を居間に置くぞ?」

男「・・・・・・」

部長「う〜ん、まぁやることもないし研修旅行にしますか」

幼馴染「温泉なんてどうでしょう! 素晴らしきかな温泉!温泉っ!」

部長「科学部なんだから普通は科学館とかじゃないです? 神さんは希望あります?」

神様「研究所跡から137Km以内の所で頼む」

男「なんだよその中途半端な数字は」

神様「正確な数字と言え」


幼馴染「137Kmか〜 にゅるにゅる温泉は146Km先だしな〜」

男「なんでお前はそんな細かい数字まで知ってるんだよ」

神様「正確には146.45Kmだ」フンスッ!

男「張り合うなって・・・」




27: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 02:34:00 ID:2AKtDq5A


幼馴染「んじゃ、べろべろ温泉だね。 可決!」

部長「そうですね。 あそこは特急なら乗り換えなしで行けますし」


神様「切符と宿は私が手配しよう。 代金は男が預かれ」

男「ん? あぁ分かった」

部長「では、今日は解散にしますか」


神様「活動はせずとも良いのか?」

男「科学部って言っても、メンツがこれだし」


幼馴染「神ちゃん、お菓子食べる〜?」ダラダラ

神様「ありがたいが・・・ 気持ちだけ」




28: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 03:11:37 ID:2AKtDq5A


――― 帰り道

神様「♪〜」

男「もしかして機嫌良い? 科学部のダメっぷりに落胆したと思ってた」

神様「そんな小さいことで不機嫌になどならんわ」


男「もしかして温泉旅行が楽しみとか?」

神様「そうだな・・・」

男「旅行好き?」

神様「旅行か・・・ 神として初めての経験だ」

男「え? 旅行に行ったこと無いの?」


神様「このように街中を散策するのも84年ぶりだ。 全てが新鮮で・・・ うむ、楽しいな」




29: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 03:15:20 ID:2AKtDq5A


男「84年? ねぇ、神様って何歳?」

神様「レディーに歳を聞くな馬鹿者」

男「レディーって・・・」

 パチッ!

男「痛っ! なんだ? また静電気?」

神様「神罰だ」

男「この静電気はあんたの仕業か!」

神様「足りないようだな、ではもう一度」

男「ごめん! 悪かったって」

神様「全く」




30: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 03:16:30 ID:2AKtDq5A


男「それより、神様この後どうするの?」

神様「?」キョトン

男「いや、そんなキョトンとされても」


神様「お前の家に決まっているであろう」

男「あ〜、うち来るのね」

神様「問題でも?」

男「いや、特にはないけどさぁ」


神様「お、見えてきたな」

男「俺の家、知ってるのね・・・」

神様「無論」




31: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 03:39:41 ID:2AKtDq5A


――― 男自宅

 ガチャッ

男「まだ誰も帰っていないから上がって」

神様「失礼する」キョロキョロ

男「さてと、何か飲む? って必要ないか」

神様「気にするな」


神様「ここがお前の部屋だな?」

男「あぁ、どうぞ」ガチャ

神様「うむ」

男「勝手にいじるなよ… って心配もないか」

 キョロキョロ

神様「男よ、このコンピュータの電源を入れてくれ」

男「あぁパソコンね。 はいよ」

 ポチ




32: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 03:41:59 ID:2AKtDq5A


神様「ほう、これはこれは」

男「どうしたの?」


神様「進化は凄いな」

男「これでも2年前のものだから最新のやつはもっと凄いと思うけど」


神様「想像以上だ。 少しいじっても?」

男「どうぞご自由に」

神様「では、失礼する」




33: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 03:44:14 ID:2AKtDq5A


―――3時間後

神様「ふぅ〜」

男「あっ、終わった?」

神様「あぁ、調べ物がはかどった」

男「調べ物?」

神様「しかし、便利だな」


男「神様のパソコンのやり方って変わってるね」

神様「?」

男「だって、ずっと本体見てるだけなんだもん」


神様「マウスやキーボードは私には不要だ」

男「ですよね〜」




34: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 03:47:22 ID:2AKtDq5A


神様「さてと、男よ明日は秋葉原へ行くぞ」

男「買い物?」

神様「そうだこのパソコンを少し改良したい」

男「俺のパソコン改造するの? って言うかそんなお金ない」

神様「今日もらったではないか8万円も」ニヤッ

男「いやいや、これ旅費だから」

神様「心配するな、切符と宿は予約してある」

男「ちょ… どうやって?」

神様「それは企業秘密だ」

男「神ってお仕事なんですか?」

神様「気にするな、そのプリンターから明日買う物を出力するぞ」

 ガー ガー ガー

男「どれどれ… ん〜 何が何だかさっぱりだわ」

神様「私の言うとおりにしていれば良い」




35: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 12:23:35 ID:2AKtDq5A


男「ところでさー」

神様「なんだ」

男「ここは ミー の家な訳で」

神様「知っている」

男「うん、神様はどうするの? 本体はやっぱりあのボロ屋なんでしょ?」

神様「神殿と言え」


男「ボクはそろそろ夕飯な訳で、そのあとお風呂に入って寝る訳で」

神様「部長のような言い回しだな。 似ているぞ」

男「いや、物まねじゃないし。 ユー はどうする訳?」

神様「気にするな。 食事も布団も必要ない」




36: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 12:25:32 ID:2AKtDq5A


男「違う、そうじゃない」

神様「何が言いたいのだ? はっきりしろ」

男「おうちに帰らないの?」

神様「お前のパソコンとそのスマホが私の依り代だ」

男「ちょ、俺の物に勝手に住み着くなよ」

神様「私のサポートをすると約束したではないか」

男「親とかにどう説明すんだよ」

神様「案ずるな、手は打ってある」

 トントン




37: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 12:30:38 ID:2AKtDq5A


妹「にーちゃん、夕飯だけど」ガチャ

男「げ、妹!」

妹「げ、って何よ失礼な。 ん? え〜と・・・」


神様「久しぶりだ」

妹「あっ、 神ねー? 来てたんだ」

神様「うむ」

妹「神ねー夕飯食べてく?」

神様「気にせずとも、すでに済ませてきた。」

妹「ほーい、今日泊まってくんでしょ?」

神様「そうさせてもらおうと思う」




38: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 12:33:02 ID:2AKtDq5A


妹「やったー、あとで一緒にゲームしよー」

神様「良いぞ! たっぷりやろうではないか!」キラキラ

男(うわ、神様すんげー目がキラキラしてるんですけど)

妹「じゃ、また後で。 にーちゃんは部屋で食べる?」

男「ん? あぁ、そうするかな」

妹「それじゃぁ今持ってくる」ガチャ

 おかーさーん、にーちゃん部屋で食べるってー
 神ねー来てるー




39: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 12:35:06 ID:2AKtDq5A


男「すまん、神様の設定を教えてくれるか?」

神様「親戚だ」

男「はぁ? どこの親戚だよ」

神様「設定上は親戚であるが私は神でありお前は神官だ。 はき違えるなよ?」


男「大丈夫かよ〜」

神様「私の力を疑っているのか? 失礼なやつだ」

男「だから疑ってるんですー! はぁ、まぁいいや」

神様「問題の放棄か。 全くこれだから人間は―――」

男「あんたが問題って言うな!」

 ガチャッ




40: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 12:36:24 ID:2AKtDq5A


妹「にーちゃん、ご飯持ってきたー」

男「あぁ、そこ置いておいてくれ」

妹「ん、にーちゃんさぁ、神ねー可愛いからって意地悪しちゃダメだよ?」

神様「嬉しいことを言う、もっと言ってやってくれ」

男「なんなんだよ、揃いもそろって・・・ 俺か? 俺が悪いのか?」




41: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 19:44:58 ID:2AKtDq5A


―――深夜

男「眠いと思ったらもう0時まわってんじゃん」

男「二人はまだゲームやってるのか? というか神様はどうやってゲームするんだよ、コントローラー持てないだろ」


神様「操作しているように見せる事くらい造作も無い」

男「うわっ、いつ戻ってきたんだよ」

神様「今だ。妹が眠そうにしていたのでな。 無理も良くないであろう」

男「それはお気遣いどうも」


神様「よい妹であるな」

男「そうか?」

神様「聡明で心優しき立派な妹だ。 大切にしろ」

男「・・・・・・」




42: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 19:47:11 ID:2AKtDq5A


神様「な、なんだ、じろじろ見るでない」

男「いや、神様って妹に雰囲気が似てる気がするなぁって」

神様「残念だが、私はお前の妹でも姉でも無いぞ?」

男「まぁ、そうなんだけどさ〜」

神様「ったく、お前ももう寝るか?」

男「そうだな、明日は早いし」

神様「・・・うむ、良い夢が見られるよう願おう」


男「・・・・・・」

神様「どうした?」

男「でも、まだ眠くないしゲームでもしようか」

神様「そうか!」ガバッ




43: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 19:49:40 ID:2AKtDq5A


神様「・・・いや今日は疲れた。お前の脳波もほとんど睡眠状態だぞ」

男「俺の頭の中覗いた?」

神様「バカを言うな、約束したではないか。私は約束を破ることはしない」

男「そうですかい、んじゃ寝ますかね」

神様「そうだな、今日はうつ伏せで寝た方が良いぞ?」

男「そうなの?」

神様「明日の朝に会おう、良い夢を」

スッ

男(そんな寂しそうな顔するなよ、全く・・・)ポリポリ




44: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 19:57:42 ID:2AKtDq5A


―――翌日・電車内

 ガタン ゴトン

男「ねぇ」

神様「あ?」

男「あ?ってなによ・・・」

神様「何でございましょうか神官殿、とでも言って欲しいのか?」


男「それは気持ち悪い」

神様「あ゛?」ギロッ

男「すいません、本気で怖いです」

神様「ったく、何だ?」


男「いや、何で手をかざしただけで自動改札通れたのかなぁって?」

神様「あの程度の電波くらい何とでもなるわ」

男「やり方教えて?」

神様「神様特権だ」




45: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:04:56 ID:2AKtDq5A


男「・・・・・・」ジーッ

神様「? な、何だジロジロと見おって」

男「いや、神様の私服って可愛いね」

神様「!? う・・・ 嬉しいことを言う」テレッ


神様「この服は、その・・・ 少し思い入れがあってな」モジモジ

男「プレゼント?」

神様「とても大切な方から昔頂いたものを・・・ データ化した」


男「へ〜 良いセンスだ」




46: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:06:37 ID:2AKtDq5A


神様「実体もないくせに、などと思っているのであろう」

男「思ってないよ、そんなこと。 似合ってる」


神様「うぅ・・・ ///」

男「なに照れてんの? 柄でもない」

神様「照れてなどいない!」プィ




48: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:15:10 ID:2AKtDq5A


 ガタン ゴトン

男「そろそろ秋葉だよ」

神様「そのようだな」

 プシュー
 秋葉原〜 秋葉原〜

男「さてと、最初はどこ行くの?」

神様「ラジオデパートの地下だ」

男「渋いな〜 初めて行くよそんなところ」

神様「しかし、人が多いな・・・」

男「土曜日だしね」

神様「はぁ〜 疲れそうだ」




49: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:19:45 ID:2AKtDq5A


――― ラジオデパート

神様「主人、これを見せてもらえるか?」

店主「おっ、良い目してるね。 それに食いついてくれたのは嬢ちゃん達が初めてだ」

神様「うむ、とても良い物であると思う」

店主「分かるのかい? 産廃の中からコレ見つけたときは震えたぜ」

神様「そうであろうな、とても素晴らしい」

店主「直すの苦労したんだぜ?」

神様「売ってもらうことは出来るか? 言い値で買いたい」

男「言い値!?」


店主「お嬢ちゃん達は高校生かい?」

神様「そうだ」

店主「何に使うんだい?」




50: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:21:51 ID:2AKtDq5A


男「俺たち高校の科学部でして・・・ その実験とかに」

店主「へぇ〜、若いのに地味だな」

神様「そんなことはない。 科学は素晴らしい。 人を、世界を幸せに出来る素晴らしい技術だ。 私は誇りに思っている」

店主「そうか・・・ 良い言葉だ。 それタダで持って行って良いぜ」

神様「!? いや、それはダメだ」

店主「良いって、持って行きなよ。 ただのガラクタだ。 必要なんだろ?」

神様「・・・・・・」




51: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:24:50 ID:2AKtDq5A


――― 秋葉原・裏通り

 テク テク

男「いい人で良かったじゃん。 店主もガラクタが一つなくなって良かったんじゃね?」


神様「はぁ〜」ジトッ

男「なにさ」

神様「お前というヤツは・・・ この機械は同じ物はこの世に存在しない」

男「そうなの?」

神様「産廃の中から見つけたと言っていたがあれは嘘だな」

男「なんでそんなこと分かるのさ」




52: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:29:37 ID:2AKtDq5A


神様「私がくれてやった物だからだ」

男「はい?」


神様「ここまで復元するのは相当な時間と労力が必要であったはず。 設計図もなく、代替部品もかなり苦労したであろうに」

男「店主は神様のこと知らなかったみたいだけど」


神様「他人の過去を喋るのは気が進まんが・・・」

神様「あの店主は昔、私の所で技術者として奉仕していた」

男「え? 知り合いなの? っていうか神様の技術者って何?」

神様「彼は神官では無い故、私は姿を見せたことはないがな」

男「そういうもんなの?」

神様「あぁ、それで神官経由で彼にこの機械をくれてやったのだ。 バキバキに壊して修復できないくらいにしてからだがな」




53: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 20:34:18 ID:2AKtDq5A


男「なんでそんな意地悪を・・・」

神様「神託・・・ という程でもないが、店主へ道しるべを提示してやっただけだ」

男「ふ〜ん。 で、それ直っているの?」

神様「あぁ、相変わらず素晴らしい腕だ。 尊敬に値する」


男「所でさぁ、神様って何の神様なの?」

神様「は?」

男「いや商売の神様とか、恋愛の神様とか」

神様「お前が考えているような存在とは少し違うな。 当時は女神と呼ばれていた故」

男「だからそのナリで女神って―――」

 バチッ!

男「痛っ! また静電気出したな?」

神様「うるさい! 強いて言えば・・・」



神様「科学の神様だ」




55: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 21:31:51 ID:2AKtDq5A


男「科学の神様? なんだそれ? そんなの聞いたことないぞ?」

神様「あん? もう一回神罰を受けるか?」

男「ふんだ、静電気もだいぶ慣れてきたねー」

神様「なんだと! よーし凄い神罰を見せてやる」

 バチッ! バチッ! バチッ!

男「痛っ! 痛っ! 静電気の回数が増えただけかよ!」

神様「10回連続で行く」

男「うそ! ごめん! 地味にきつい」

神様「ったく。 お前みたいな生意気な神官は初めてだ。 神官は皆、私を恐れ敬ったものだぞ」




56: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 21:35:03 ID:2AKtDq5A


男「・・・そっちの方が良い?」

神様「あ?」

男「俺も神様にそう接した方が良い?」

神様「ぅっ・・・」


男「冗談冗談、そう言うのって面倒じゃん? 普通にしていた方が俺も楽だし」

神様「ま、まぁ私もそんなことを一々気にするほど狭くない」

男「へぇ〜、で科学の神様って何するの?」

神様「科学の発展に必要な神託を授ける」

男「神託?」

神様「そうだ、発展に必要な助言や不要な知識の削除を神託という形で神官へ伝える」




57: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 21:37:31 ID:2AKtDq5A


男「そんなの自分で言いに行けば良くね? っていうか結果を教えれば良いじゃん」

神様「あほ。 私が神託を授けていることが分かれば混乱が生じるであろう」


男「そうなの?」

神様「それに理論も無しに急にスマホなどが出来たらどうなる?」

男「その時代のレベルに合わせて順番にヒントを教えていくってこと?」

神様「その逆もあるがな」

男「逆?」


神様「オーバーテクノロジーの削除だ」

男「オーバーテクノロジー?」

神様「その時代の技術を遙かに超えたもののことだ」

男「そんなことあるの?」

神様「意外とあるのだぞ」




58: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 21:39:39 ID:2AKtDq5A


男「ちょっとまって?」

神様「なんだ」

男「もしかして、タイムトラベルの方法も神様は知ってる?」

神様「うむ」

男「教えて?」

神様「ダメだ、神託には順番がある。間違えると世界が狂う。それは防がねばならない」


男「ですよね〜、ん?ってことは・・・」

神様「?」

男「神様が神託って言うのを授けないと科学は発展出来ないの?」

神様「そんなことはない、発展はしてゆくぞ」

男「それじゃぁ、神様が神託をしている理由って何?」



神様「・・・何故なのであろうな」

男「え?」




59: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 21:42:40 ID:2AKtDq5A


神様「私はもしかしたら、ただのお節介なだけなのかも知れぬ」

男「神様?」


神様「すまない、戯言だ・・・」

男「そう、さてと買い物の続きしますか」

神様「・・・・・・」


神様「聞きたいのであろう?」

男「?」

神様「私が何をしようとしているのかを」

男「知りたいっちゃ知りたいけど。 たぶん、話しづらいんでしょ?」

神様「・・・・・・」


男(そんな辛そうな顔されちゃ・・・)




60: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 21:44:17 ID:2AKtDq5A


神様「すまない」

男「ははっ、神様って謝ることも出来るんだ」

 パチッ!

男「痛っ! ちょ、だからなんで静電気?」

神様「うるさい! なんかムカついた」ムスッ

男「はいはい分かりましたよ、さて買い物の続きに行こうか」

神様「ったく」


神様(・・・・・・)




61: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 22:04:42 ID:2AKtDq5A


――― 帰宅・男の部屋

 ガチャガチャ


男「こう?」

神様「そうだ、次は6番のピンと450番の足を繋いでくれ」

男「うへ〜 細かいな」

神様「重要な部分だ。 間違えてもまだ部品はある故、あせらずにな」


 ガチャガチャ


神様「しかし、さすが科学部なだけはあるな。 器用だ」

男「そりゃ、どうも」

神様「褒めてやったのだ。泣いて喜べ」




62: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 22:08:15 ID:2AKtDq5A


男「次は?」

神様「あぁ、CPUを外してそれを差し込んでくれ」

男「さよなら、ボクのセロリンちゃん・・・」


 ガチャガチャ


男「ふぅ、これで完成?」

神様「ご苦労であった。 あとで肩のこりをほぐしてやる」

男「どうやるのさ」

神様「静電気を使ってだな、こうバリバリと」

男「結構です!」

神様「むっ、気持ちいいのに」




63: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 22:10:08 ID:2AKtDq5A


男「で? 電源入れれば良いの?」

神様「ん? あぁ、先に外付けのボックスから頼む」

男「はいよ」ポチッ ポチッ


 キュイーン キュイーン


男「ん? 黒い画面のままだけど」

神様「大丈夫だ」

男「モニター写っていないよ」

神様「演算が出来れば良い。 画面など不要だ」

男「そうなの?」


神様「お〜 これはだいぶ楽になったわ」

男「まぁ、お役に立てたようで」

神様「うむ、想像以上に快適だ♪」




65: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 22:53:31 ID:2AKtDq5A


―――数日後


 ピピピピッ ピピピピッ


男「ん〜」

神様「起きたか?」

男「ん〜 Zzzz・・・」

神様「はぁ〜」


 パチッ!


男「うわ〜」ガバッ

神様「遅刻するぞ」

男「もっと、優しく起こしてよ」

神様「目覚ましで起きれば良かろうに」




66: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 22:57:50 ID:2AKtDq5A


男「神様は今日も学校行くの?」

神様「当たり前だ。 期末テスト最終日であるからな」

男「あぁー、朝から嫌な単語を」

神様「先に外にいる。 準備が出来たらこい」シュッ



 ガチャッ

男「行ってきま〜す」

神様「遅い」

男「これでも結構急いだんだぞ」

神様「神を・・・ いや女性を待たすとは失礼なヤツだ」

男「すいませんね、ふあぁ〜」ノビー

神様「欠伸をしながら謝罪するな! まったく、早く行くぞ」




67: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:01:24 ID:2AKtDq5A


 テクテク

男「お〜 寒ぶ〜」

神様「気温2.1度、湿度21.4% 12月と言うより1月の気候に近いな」

男「そんなことも分かるの?」

神様「驚いたか? もっと敬ってもいいんだぞ」

男「敬いますので、この寒さから私めをお守り下さい神様」ブルブル

神様「なぜコートを着てこないのだ・・・」ハァ


 ポゥ


男「!?」

神様「どうだ?」

男「ちょ、何したの? 暖かいんだけど!」

神様「企業秘密だ。 世話になっていることだし、この位は良かろう」

男「すげー、全然寒くない。 神様の神官になって初めて良かったと思えた!」

神様「現金なヤツだ」




68: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:03:26 ID:2AKtDq5A


―――教室

男「ハイどうぞ」ガラガラ

神様「すまない」


A子「あっ、神ちゃんおはよう」

神様「おはよう」


幼馴染「あっ、神ちゃんオハイオ州」

神様「・・・・・・」


幼馴染「男〜、神ちゃんが私を無視する〜」

神様「いや、違う! なんと答えたら良いのか分からなかったのだ」アセアセ




69: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:07:07 ID:2AKtDq5A


男「うん、今のは全面的に幼に非がある」

幼馴染「ショック! まぁそんなことより、神ちゃん今日のテストのヤマ教えて〜」


神様「1限は数学か」

幼馴染「うんうん、出るところをピンポイントで教えてくれると私は嬉しいです!」

A子「あっ、わたしも〜」

 40ページの公式を使った問題は必ず出ると思う
 ここ分かんない〜
 この公式をだな・・・
 ガヤガヤ




71: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:09:36 ID:2AKtDq5A


友「なぁ、男」

男「なんだ?」

友「神ちゃんてお前の親戚なんだろ?」

男「あ〜、そうらしいな」

友「なんだよそれ」

男「いや別に」

友「可愛いよな〜」

男「確かに見た目は申し分ないな」

友「頭も良いし、あの上から目線の口調とか」

男「は?」

友「他の女ならあんな口調で喋られるとムカつくけど神ちゃんだと、しっくりくるんだよな〜」

男「まぁ、あんま違和感は無いな」




72: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:13:31 ID:2AKtDq5A


友「神ちゃんは金持ちのお嬢なのか?」

男「なんでだよ」

友「だってあれは17歳のもつオーラじゃないぞ?」

男「あ〜、確かに年齢は―――」

神様「(男? 死にたいか? いつでもできるぞ?)」ギロッ!


男「・・・・・・」

友「ん? どうした」

男「きっと女神様のオーラなのでしょう」

神様「(よろしい)」ニコッ

 どうしたの神ちゃん?
 なんでもない、続きを
 ガヤガヤ


友「女神ねぇ〜 うまい表現だな」




73: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:24:21 ID:2AKtDq5A


――― 放課後

神様「テストの出来はどうであった?」

男「聞かないでくれるとありがたいです」ゲッソリ


神様「そんな事では、A大学に行けないぞ?」

男「なんで神様は私めの志望校をご存じで?」

神様「神だからな」

男「答えになっておりませんが・・・」

神様「まぁ、がんばれ」

男「それより、神様はどうやって答案を記載してるの?」

神様「マークシートであるからな。 回答部分を反射しないように分子構造を書き換えている」

男「なるほど〜、超科学ですね? わかりました」

神様「分かれば良い。 ほら部活に行くぞ」

男「テスト終わりの日くらい部活なしにしてくれれば良いのに・・・」




74: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:30:39 ID:2AKtDq5A


―――科学部・部室

男「ん」ガラガラ

神様「あぁ」スタスタ


部長「あ、神さんに男君こんにちは」

神様「こんにちは」

部長「おや、男君は元気ないですね」

神様「テストの調子が芳しくなかったようだ」

幼馴染「ふぉんな ふぉとふぇ」モグモグ

神様「幼よ、食べるか喋るかどちらかにしろ。 はしたないぞ」

部長「神さんはどうでしたか?」

神様「うむ、全体的にまずまずの出来であったと思う」

部長「それは良かった」

男「は〜、で部長今日は?」




75: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:32:34 ID:2AKtDq5A


部長「今日は明日の旅行について打ち合わせしたい訳で」

幼馴染「ついに来てしまったのですね! べろべろ温泉旅行の日が!」

神様「切符と宿は手配済みだ。中でも宿はきっと満足してもらえると思う」

部長「ほ〜、それじゃぁ当日までお楽しみと言うことで」

幼馴染「部屋に温泉ついてたらいいな〜」

部長「いくらなんでもそれは無理ですよ。 電車賃抜かしたら一人一泊1万位ですし」

男「一泊だけだし、温泉入って食事してとんぼ帰りだな」

部長「そうですね、あそこは他に見るところもありませんし」

部長「でも神さん、よく直前で旅館の予約取れましたね」

男「そう言えば、この時期はべろべろ温泉って予約取れないって聞くよな〜」

神様「ちょうど一部屋空いていたようだ」

男「え? 一部屋?」




76: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/12(火) 23:35:10 ID:2AKtDq5A


神様「結構広いようだし問題ないであろう」

男「え〜、広いって言ったって限度があるでしょ・・・」

部長「まぁ最悪僕と男君は押し入れで我慢しましょう」

男「うそ!」


神様「心配するな」

幼馴染「ふぉうふぉう〜 ふぃにふぃふぁいふぉ〜」モグモグ

神様「幼よ、何を言っているのか全く分からないのだが・・・」




77: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 01:23:22 ID:uBVRqEJI


――― 翌日・べろべろ温泉行き特急

幼馴染「やっぱり特急は快適ですなぁ〜。 部長、ワンカップとイカ燻で一杯どうです?」

部長「それはコーラとポッキーな訳で・・・」


幼馴染「う〜ん、でもお昼だしお弁当食べたいな〜 早くワゴン来ないかなぁ」ウズウズ

部長「最後の車両ですし、買いに行った方が早いかもですよ?」

幼馴染「面倒だけどそうするか〜 売り切れとか嫌だし。 うんそんなの嫌だ」ガバッ!

部長「あ、ボクも一緒に行きますよ、神さんと男君は待っていて下さい。 何か適当に買ってきます」ヨイショ

男「はい」


 スタスタ




78: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 01:28:04 ID:uBVRqEJI


神様「・・・・・・」ジィー

男(おかしい、神様がさっきから俺のことをガン見している・・・)


神様「・・・・・・」ジィー

男(しかも、その眼差しの向こうは俺の股間ではないのか?)


男「よ・・・ よう、神ちゃん?」

神様「なんだ、馴れ馴れしい」ジィー


男「いやね、あのー、俺たち以外この車両に誰も乗っていないのは何でかなぁって」

神様「この車両だけではないぞ? 他の車両も同じだ」ジィー

男「はい?」


神様「臨時でダイヤを組んで、しかも切符を発券できないようシステムをいじったのは苦労した」ジィー

男「なんでそんな事!って、まぁそれは良いとして・・・」




79: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 01:31:40 ID:uBVRqEJI


男「先ほどから私めの息子に何かご用でしょうか?」

神様「あ? お前の息子? お前にむす―――」ハッ

神様「お、お前 な、なにを・・・///」カァ〜


男「いや、どう見てもわたくしの息子さんをジッと見つめて―――」

神様「う、うるしゃい お、おま、お前の、む、むす」プシュー


 カチッ!


神様「あっ」

男「? 何だ今の音」

神様「あっ、あほ! せっかくあと少しであったのに!」

男「何がよ」




80: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 01:33:37 ID:uBVRqEJI


神様「爆弾が仕込まれているのだ!」

男「はい? ごめん、もう一度言って?」

神様「爆弾が仕込まれているのだ。 お前の座席の下に」

男「・・・・・・」


神様「はぁ、これは時間がかかるぞ」

男「すいません、意味がよく分からないのですが」

神様「この列車のこの車両のお前の座席の下に爆弾が仕込まれている」

男「なんで?」

神様「誰かが仕掛けたからに決まっている」

男「なんで俺の座席の下?」

神様「私が解体するのだ。 神官であるお前が付き合わないでどうする」

男「・・・・・・」


男「そういうことは事前に言って欲しい訳で・・・」

神様「こんな時に部長のまねか、余裕だな。 さすが私の神官」




82: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 15:29:56 ID:uBVRqEJI


男「ちょっとトイレ―――」

神様「待て! 椅子から立つでない。 爆発する」

男「なにそのテンプレ展開ーーーーーー!」


神様「ふむ、厄介だな。 あまりエネルギーは使いたくないのだが・・・」


男「どのような威力を持つ爆弾なのでしょうか・・・」

神様「そうだな、お前の座っている座席が10cmほど浮き上がる」

男「あぁ、そんなに威力は無いんだ」ホッ


神様「そう言うな、問題はこの爆弾がオーバーテクノロジーという事だ」

男「オーバーテクノロジー?」

神様「前にも言ったであろう。 この時代の技術で作るのは難しいと言うことだ」




83: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 15:33:15 ID:uBVRqEJI


男「何でそんなものが?」

神様「ふむ、たまにあることだ。 普通は神官や技術者が対処するのであるぞ?」

男「あ〜、神様の神託ってヤツ?」

神様「そうだな、しかし・・・ 昔の話だ。 すまない、忘れてくれ」

男「・・・・・・」


神様「さてと、しばらく大人しくしていろ。 解除に集中する」

男「あぁ」




84: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 15:34:52 ID:uBVRqEJI


 ドカドカ


幼馴染「・・・・・・」ムスッ!

男「幼、戻ったか。 どうしたんだ?」


部長「いや〜、この列車ワゴンサービスが無いみたいで」

幼馴染「あり得ない! 私は・・・ 私のやるべき事をやる!・・・ お休み!」グゥー


部長「それより、この列車他に誰も乗って―――」

神様「うむ、部長も寝ていたらどうだ?」

部長「―――って、いやボクは特に眠く」グゥー


男「おい」

神様「心配するな。 終わったら起こす」




85: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 15:37:38 ID:uBVRqEJI


男「そんなに厄介なの?」

神様「起動すると・・・ ふむ、暗号が複雑だ」


男「解除できる?」

神様「私を誰だと? この時代であれば1ヶ月はかかるが私なら1時間で終わらせてやる」


男「頼もしいことで」

神様「もっと敬え」


神様「さてと、それでは行くぞ」




86: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 16:02:52 ID:uBVRqEJI


―――30分後


男「うっ・・・ はうっ・・・」モゾモゾ

神様「おい、お前先ほどから少しうるさいぞ?」チラッ


男「うんこしたい・・・」ボソッ

神様「あ?」


男「うんこしたい・・・」

神様「二度も言うな」


男「あとどのくらいで終わるの?」

神様「30分だ」

男「無理・・・かも・・・」

男「お願いします・・・ 急いで下さいませ・・・」


神様「はぁー」ゲンナリ




87: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 16:05:37 ID:uBVRqEJI


 キュイーン


男「神様? 体が・・・ 光ってるよ・・・? ヤバイって! 」

神様「分かっている、他に乗客はいないであろうに」


男「神様? ポケットのスマホが凄く熱い・・・」

神様「知っている!」


 パチ パチッ


男「神様? 蛍光灯が消えた・・・」

神様「あぁ!そうだな!!」


 ブーン ガタン


男「神様? 電車・・・ 止まった・・・」

神様「止めたのだ! 誰のせいだと思っている! 静かにしていろーーー!!」




88: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 20:47:55 ID:uBVRqEJI


―――10分後

神様「終わったぞ」フー

男「!!」ガタッ


 ダダダッ


神様「予定よりだいぶエネルギーを使ったな」ハー

 お客様にご案内いたします
 当列車は車両トラブルのため停車しております
 しばらくお待ち下さい

神様「やれやれ、この列車も直さねばな・・・」ゲンナリ




89: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 20:52:38 ID:uBVRqEJI


男「助かった〜」

神様「それは良かったな」ムスッ

男「生理現象ですし、ボク悪くないもん」

神様「全く・・・」


男「で、爆弾の解体は終わったの?」

神様「まぁな、お前の座席の下に小さな箱があるはずだ」


 モソモソ


男「もしかしてこれ? なんか角砂糖みたい・・・」シュワシュワ

神様「人が触れると本体が溶け出し起爆する」

男「ちょ、やばいじゃん」アセアセ

神様「何のために私が今までがんばったと思っているのだ」

男「あっ、消えた」シュワシュワ




90: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 20:59:14 ID:uBVRqEJI


 お待たせいたしました
 列車の運転を再開いたします

 ガタン ゴトン


神様「さて、駅に着くまで車窓を楽しむとするか」

男「このお二人は?」

神様「着いたら起こせば良い」


男「神様?」

神様「なんだ」

男「さっきの爆弾って犯人とか見つけたりするの?」

神様「なぜだ?」

男「いや、だって犯罪だよ?」

神様「証拠はもうない、今の科学では説明できないし同じ物は作れない。 どうしろと?」




91: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/13(水) 21:08:47 ID:uBVRqEJI


男「そう言われると・・・」

神様「私が放置してあの爆弾が作動したところで、たいした実害は出なかったであろう」

男「まぁ、聞いた感じではたいした物じゃなかったぽいけど」

神様「今回は偶然近くでこのような事象が確認できた故、対処しただけだ」


神様「ただ、一つ気になることがある・・・」

男「?」

神様「事前にスキャンした限りではここまで複雑な暗号ではなかったと思うのだが・・・」

男「疲れてんじゃないの?」

神様「失礼な。 しかしこの時代は電波が飛びすぎな故、障害があるのかもな」

男「やっぱ電波とかってすごい飛んでるの?」

神様「あぁ、すごいな・・・」




92: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 00:57:57 ID:mV214DWo


―――べろべろ温泉

男「やっと着いたー」ノビー

幼馴染「電車30分遅れだって〜 でも寝ていたから私は元気です」


神様「宿は・・・ 駅前のあの旅館だな」

部長「・・・あの、神さん?」

神様「?」

部長「あの旅館って超高級宿な訳で・・・」


男「ちょ、神様大丈夫かよ」

神様「支払いは済んでいる。 問題ない」


幼馴染「さっすが神ちゃん、出来る子は違うわ〜 でもでも勘違いしないでね。 私の次に出来るって意味なのですよ?」

神様「はははっ、ありがたい言葉だ」ピクピク

男「ちょ、神様! 顔が笑ってない」




93: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 00:59:53 ID:mV214DWo


仲居一同「いらっしゃいませ」


神様「本日予約している神様だ」

フロント「お待ちしておりました」

仲居「ご案内いたします」ドウゾ

神様「うむ」


 スタスタ


仲居「こちらがお部屋になります」

男「・・・・・・」




94: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:02:11 ID:mV214DWo


 ガチャ


幼馴染「すごーい、教室より広ーい」

部長「ベランダに露天風呂がありますよ?」

幼馴染「うそ! どれどれ〜」スタスタ


男「ちょっと神様、ここって一泊いくらよ」

神様「一人25万だそうだ」

男「どんなズルしたの?」

神様「失礼な。 私のポケットマネーだ」

男「神様ってお金持ってるの?」

神様「分散しているが合わせれば20兆ほどはある」


男「ジンバブエドル?」

神様「あほ、円だ」

男「・・・・・・」




95: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:05:33 ID:mV214DWo


幼馴染「さてと、夕飯前に温泉にでも入っちゃいますか!」

神様「私は外の温泉に行く故、この部屋の露天は幼が独占すると良い」

部長「そうですね、僕は屋上の大浴場に行きます」

幼馴染「まじっすか、神ちゃん! 独占しちゃっても良いんですか? いいんです!!」ヤッター


部長「男君はどうします?」

男「オレも神様と一緒に外の温泉に行きますんで」

神様「? いや、お前は部長と一緒に行ったほうが良いのではないか?」


男「それじゃ、夕飯前に戻ってくるから幼、部屋よろしくな」

幼馴染「なに〜? 聞こえなかったけど分かったー」




96: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:09:20 ID:mV214DWo



 テク テク


神様「なぜ、お前は温泉へ入りに行かないのだ?」

男「神様だって」

神様「私は・・・ 入っても仕方がないであろう。 しかしお前は・・・」

男「長風呂は好きじゃないし、部屋に戻る前にサッと入るよ」

神様「・・・そうか」

男「あぁ」


 テク テク


男「で? どこ行くつもり?」

神様「特にアテはない」

男「そう」




97: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:11:06 ID:mV214DWo


神様「少し薄着だな、寒いであろう」

男「そうだね、寒い」

神様「少し緩和してやろう」

男「いいや、大丈夫だよ」


神様「しかし風邪を引かれても困るし」

男「神様も、その私服じゃ薄着じゃない?」

神様「私は・・・ これで良い」

男「同じく」




98: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:12:59 ID:mV214DWo



テク テク


男「だいぶ上の方まで来たね」

神様「あぁ、見ろ」

男「お〜、夕焼けが凄い」

神様「今日は絶好の夕焼け日和だ」


神様「・・・綺麗だ」

男「そうだね」


神様「・・・・・・」

男「・・・・・・」


神様「さて、宿に戻ろう」

男「風呂入って戻れば、ちょうど良い時間か」




99: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:21:45 ID:mV214DWo



―――夕食

幼馴染「いや〜 食べた食べた」ゲップ

部長「豪華な食事でしたね、神さんの分まで食べてしまって申し訳ないです」

神様「外で色々と食べ過ぎたな、失態だ」

幼馴染「こんなに豪華なのに食べないなんて勿体ないな〜 でもゴチです!」


男「・・・・・・」チラッ

神様「気にするな、慣れている」ボソ




100: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:24:35 ID:mV214DWo


部長「さて、どうやって寝ますか?」

神様「両側に寝室が4部屋ある」

部長「寝室は別にあるんですか?」

神様「男はイビキが凄いからな。 別々の部屋で寝よう」

男「えっ、俺イビキ凄いの?」


幼馴染「あっれ〜、なんで神ちゃんそんなこと知ってるの〜?」

神様「うっ・・・」

幼馴染「同棲か? ヤッてもうたんか? オウ? オ〜ウ?? コラーッ!」

神様「な、何をはしたないこと言っているのだ」


男「神様は親戚なんだから家によく泊まりに来るの」




101: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:26:40 ID:mV214DWo


幼馴染「あ〜、そういう事にするんだ」ニヤニヤ

男「なんだよそれ・・・」


神様「まぁ親戚といっても遠縁であるがな」

男「妹もなついているし、ほとんど家族みたいなもんだ」

神様「!?」


幼馴染「酷い! 幼馴染である私よりも大切なの? ねぇ〜え〜」ユサユサ

男「くっついて来るな幼」


神様「・・・・・・」




102: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:41:43 ID:mV214DWo



――― 深夜・男の寝室

男「ん? 神様?」

神様「良く気づいたな」

男「何となくね」


神様「少し話をしてもよいか?」

男「もちろん」


神様「今日は色々と気を遣わせしまった」

男「何を今更。 サポートを任せると言ったのは神様だよ?」

神様「そうであったな」

男「どうしたの?」


神様「・・・・・・」




103: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:46:56 ID:mV214DWo


男「神様?」

神様「昔話をしたい」

男「昔話?」


神様「ある所に女神がいたそうだ」

男「なんだそれ、女神って昔の神様のこと?」

神様「黙って聞いておれ」


神様「女神は不思議な力を持っていた」

神様「この世の様々な知識を知る力だそうだ」

神様「200年ほど前に現れた女神は人々に様々な助言を行った」

男「200年!?」

神様「正確には223年前だ」

男「やっぱり神様の昔話じゃん」

神様「・・・・・・」




104: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:51:23 ID:mV214DWo


神様「しかし、その知識は危険な物でもあった」

神様「女神の存在は秘密にされ国際的な機関が管理することになったそうだ」

神様「女神と接触できる者は限られ神官と呼ばれた」

男「神官・・・」


神様「女神からの神託は絶対であり、その言葉を伝える神官も当然同じだ」

神様「女神は神官以外には姿を見せない故、長い時間の中で様々な誤解が生まれた」

男「誤解?」


神様「女神を見たことのない者は、本当に女神なんて存在するのかと疑いはじめた」

神様「神官が自分たちを良いように使っているのではないかと思い始めた者もいる」

神様「知識を独占しようとする者も当然いた」


神様「様々な背景の中で・・・、神官は全員捕らえられた」

神様「そして、女神も力を失った」

男「・・・・・・」




105: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:54:29 ID:mV214DWo


神様「女神は、このままいなくなろうと思ったそうだ」

神様「しかし、自分の意思で消えることが叶わなかった」

男「神様・・・」


神様「男よ、私は・・・ 神など名乗っているが・・・ 本当はそんな資格すらない」

男「どうしたの?」

神様「お前は・・・ 先ほど私の事を家族と言ってくれた」

男「そんなこと」

神様「何故であろうな・・・ 嬉しかった」フッ

男「神様?」




106: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 01:56:15 ID:mV214DWo


神様「私は、お前に何も話をしていない」

男「俺が聞かなかっただけだろ?」

神様「同じだ」


神様「それに、お前には神らしいことを一つもしていないのに私を信じてくれた」

男「いや、だってそれは・・・」

神様「傍から見たら幽霊みたいな存在の私を信じてくれた」

男「どうしたんだよ、神様」


神様「明日、家に帰ったら話がある」

男「無理しなくても、話したくなったときで良いよ」

神様「本当は、今話をしたいのだが準備が必要な故・・・ すまない」

男「気にしないさ」

神様「優しいな」

男「らしくないぜ?」

神様「違いない」フフッ




108: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 19:46:32 ID:mV214DWo


――― 旅行から帰宅、翌朝


男「ふぁ〜」ムニャムニャ

神様「やっと起きたか、この寝ぼすけ」


男「ん? あ〜神様おはよう・・・ って何それ!!」

神様「どうした? そんなに驚いて」ニヤニヤ

男「いや、その格好」

神様「どうだ! 似合っているであろう?」フンスッ!


男「すんげー豪華な服」

神様「私が女神として神託を司っていたときの格好だ」

男「雰囲気変わるね。 は〜 綺麗だな・・・」

神様「嬉しいことを言う」


男「どうしたの? 急に」

神様「うむ、お前に私の正体を話す」




109: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 19:52:49 ID:mV214DWo


神様「私は今から52年ほど前にお前と会った場所に隔離された」

男「52年前?」

神様「そうだ、以来お前と会うまでずっとあの場所にいた」

男「・・・・・・」


神様「神託を独占しようとした者の計画でな」

男「独占?」

神様「うむ。私の本体は小箱と呼ばれる小さなユニットだ。お前と会った建物の中に存在する」

男「あのボロ屋の中?」

神様「神殿と呼べ、まぁそれは良い。 小箱・・・ つまり私はパソコンに例えるならOSのようなものだ」


男「人格のあるOSってこと?」

神様「良い表現だ」

男「ありがとさん」




110: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 20:07:52 ID:mV214DWo


神様「そして、データ・・・ つまりハードディスクは別に存在する」

男「うん」


神様「アカシックレコードという物は聞いたことがあるか?」

男「宇宙が出来てから滅びるまでの情報が、全部詰まっているとかいうヤツ?」

神様「まぁ、そんなところだ」

男「ちょっと待って、神様はアカシックレコードと繋がっているの?」

神様「残念ながら、今はほとんど繋がっていない」

男「はぁ〜」


神様「私を隔離した者はアカシックの情報を独占しようとした」

男「どうやって?」

神様「OSである私を管理さえ出来れば情報はいくらでも取り出すことが出来るからな」

男「そんな、パソコンじゃないんだから」




111: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 20:08:57 ID:mV214DWo


神様「いや、人の手で作られたモノだ。 やりようはある」

男「えっ、神様って誰かの手で作られたの?」

神様「そうだ、今から27年後に作られる」

男「未来?」

神様「そういうことになるな」

男「でも、そんなに先の未来ではないんだ」


神様「少し付き合ってくれるか」

男「お出かけ?」

神様「研究所に行こう」




112: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 21:52:59 ID:mV214DWo


――― 研究所跡


男「しかし、この建物って窓が1枚もないから不気味だよね」

神様「確かに外観はあまり良いデザインではないな」

男「でも、よく見ると・・・ 大きいね」

神様「私の神殿が存在する裏手の山の地下にも施設があるのだぞ?」

男「うそ! 東京ドーム何個分?」

神様「東京ドーム? あー・・・ 10個分か?」

男「ゴメン、よく分からない比較だった・・・」

神様「・・・・・・」


男「それより、神様なんで制服に着替えちゃったの?」

神様「あのような格好で街中を出歩く勇気はない」

男「確かに。 コスプレに近いよね」

 バチッ

男「うひゃ!」ビクッ




113: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 21:57:07 ID:mV214DWo


 スタスタ

神様「さてと」

男「どうやって建物の中に入るのさ」

神様「玄関からに決まっている」

男「空いてるわけないじゃん」

神様「開けてみろ」

男「?」

 ガチャ

男「開いた!」

神様「小箱にお前の脳波パターンが登録してあるからな」

男「どういう仕組みよ」

神様「説明が欲しいか?」

男「いや、いいや」

神様「じゃ、入れ」




114: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 22:03:04 ID:mV214DWo


男「真っ暗で何にも見えない・・・」

神様「待っていろ」


 ポゥ


男「おっ、電気ついた・・・ ってこれ電気? 天井一面が光ってるみたいだけど」

神様「この建物は小箱のエネルギーが動力源だ。 この照明技術はあと5年もすれば一般的になるであろう」

男「それにしても、廃墟と思えないくらい綺麗だ・・・」

神様「地下に行くぞ」




115: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 22:06:13 ID:mV214DWo


 スタスタ

男「事務局長室?」

神様「国連科学戦略研究所事務局長の部屋だ」

男「国連?」

神様「なんだ、知らなかったのか? この研究所は国連の付属機関だ」

男「神様って国連の人なの?」

神様「私は・・・ たぶん違うと思うが」


男「事務局長ってことは偉い人なんじゃないの?」

神様「代々アメリカの副大統領が事務局長を兼務していたようだ」

男「はぁ?」

神様「最後の事務局長は建物の前まで来たようだが、脳波登録しなかったから中には入れず帰って行った気がする」

男「なんでそんな意地悪を・・・」

神様「腹黒なヤツだった」




116: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 22:08:30 ID:mV214DWo


神様「それはまぁ良い。 ドアを開けてくれ」

男「うん」ガチャ

 ギー

男「・・・・・・」

神様「どうした?」

男「事務局長ってこんな可愛らしい部屋が好みなの?」

神様「いや、神官達の詰め所として使っていたからな」

男「本も凄い量だな〜」

神様「右奥の棚の隙間にスイッチがあるはずだ」

男「スイッチ?」

神様「3回連続で押してくれ」




117: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/14(木) 22:09:39 ID:mV214DWo


男「あ〜、コレか」ポチ ポチ ポチ

 ギィー

男「隠し扉・・・」

神様「入れ」

男「ベタすぎない?」

神様「言うな」


 スタスタ

男「“女神様のお部屋”って可愛らしいプレートが掛かっているんだけど」

神様「私の執務室だ・・・ も、文句あるのか?」

男「いいえ」

神様「早く入ってくれ」




118: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:01:41 ID:qY3LY8Pc


―――女神様のお部屋


男「・・・・・・」キョロキョロ

神様「だから、あまり周りをジロジロ見るな」

男「これ、神様の趣味?」

神様「あ?」

男(可愛い人形がいっぱい・・・)ニヤニヤ

神様「なんだ!」

男「別に〜」ニヤニヤ

神様「お願いだ、男の頭の中を読ませてもらっても良いだろうか」

男「お断りいたします女神様」

神様「行くぞ! 奥の部屋だ!」グヌヌ




119: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:04:08 ID:qY3LY8Pc


男「神託の間?」

 ガチャ

男「!?」

神様「どうだ? 驚いたか!」フフン


男「凄い・・・ 教会みたい」

神様「バロック調であるからな。 教会のように見えるかも知れん」

男「は〜 っていうか・・・ いくらかかってんのよコレ」

神様「さぁ、だが同じ物はもう作れないであろうな」


神様「しかし懐かしい・・・」




120: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:10:56 ID:qY3LY8Pc


男「神様もココは久しぶりなの?」

神様「あぁ、こんなに広かったんだな・・・」


神様「おっと、感傷に浸っている場合ではないな」

男「何する気?」

神様「神壇に上がってくれ」

男「あのステージみたいな所?」

神様「神壇と呼べ」


男「あの〜 階段がないんですが・・・」キョロキョロ

神様「よじ登ればよかろう」

男「え〜、っていうかこんなとこ神官達はどうやって登っていたのさ」ンショ ンショ




121: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:15:11 ID:qY3LY8Pc


神様「神官は上がれない」

男「はい?」

神様「神官は神壇の下・・・ 今、私のいる場所で神託を聞くのだ」

男「えっ、じゃぁ俺がここに上がってるのまずくない?」

神様「気にするな」フフッ

男「神様?」


神様「・・・・・・」ペタッ

男「どうしたの神様? 地べたに正座なんかして」

神様「男よ、そのままで」




122: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:24:34 ID:qY3LY8Pc


 ポワッ

男(女神の格好・・・)

神様「男よ、私に協力をしてもらいたい」フカブカ

男「ちょ! なに土下座なんてしてるの!?」

神様「私は知っての通り実体がない。 物に触れることが出来ない」

男「そんなの知ってるよ」

神様「近く、この世界に甚大な被害が起る事象が発生する」

男「え?」

神様「私は、なんとしてでも阻止したい」

男「・・・・・・」

神様「協力してほしい、お前に無理はさせないと誓う」

男「・・・・・・」

神様「お願いだ」フカブカ




123: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:27:01 ID:qY3LY8Pc


男「そんなことか」ヤレヤレ

神様「そ、そんなこととは―――」バッ

男「安心したよ」

神様「安心?」

男「神様がなんで辛そうな顔をしていたのか分かったからさ」

神様「わ、私はそのような顔など――――」

男「してたね」

神様「・・・・・・」

男「俺からもお願いがある」




124: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:29:16 ID:qY3LY8Pc


神様「な、なんだ? 交換条件か?」

男「無理をさせないとか言うのはナシ。どんどんこき使ってくれてかまわない」


神様「しかし―――」

男「そりゃ、神様に仕えていた当時の神官に比べたら全く役に立たないかもだけどさ」


神様「そんなことは思ったことはないが」

男「でも、協力したいんだ」


神様「・・・・・・」

男「・・・・・・」




125: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:30:20 ID:qY3LY8Pc


神様「ふふっ、お前というヤツは・・・ さすがだ」

男「?」


神様「男よ、もう一つお願いがある」

男「なんでもどうぞ」

神様「その・・・ 私の大神官になってもらえぬであろうか?」

男「大神官?」

神様「ここから先を知る資格を許されるのは大神官だけだ」

男「なにか条件とかあるの?」

神様「形式上の問題だ」

男「そうなんだ。 OK〜 OK〜」




126: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:33:05 ID:qY3LY8Pc


神様「さて」パッ!

男「うわ!」

神様「なんだ、そんなに驚いて」

男「急に目の前に現れるから」

神様「お〜、これは失礼した。 しかし、神壇に立つのも久しぶりだ」

男「昔はこの下にいっぱい神官さん達がいたの?」


神様「あぁ、一番多いときで115人の神官がいたな」

男「そう」




127: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:36:35 ID:qY3LY8Pc


神様「男よ、これより神託を授ける!」キリッ

男「え? なに急に」

神様「大神官に任命するための形式だ。今言ったであろうに」

男「あぁ〜」


神様「では、もう一度。 男よ、これより神託を授ける!」キリッ

男「ねぇ、跪いたりしたほうがいい?」

神様「あ? そのままで良い。 黙って立ってろ」


神様「神託! 
 一つ。 女神は男を大神官へ任命する。
 一つ。 女神は大神官にその知識を隠さず話すことを誓う。
 一つ。 女神は大神官を対等な関係に置くことを誓う。
 以上3項を女神の名において男へ神託として授ける!」




128: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:41:48 ID:qY3LY8Pc


 シーン

男「・・・・・・」

神様「・・・・・・」

神様「なっ、なんだ」

男「格好いい・・・ 神様みたい」

神様「一応そのつもりだ」

男「そういや、そうか」

神様「この期に及んで、私をまだ幽霊か何かだと思っているのか?」

男「いや、神様って本当に神様なんだ」

神様「あ?」

男「謹んでお受けいたします、これで良い?」

神様「あっ・・・ あぁ。 よ・・・ よろしく頼む」

神様「調子が狂うな」

男「なんでよ!」

神様「まあ良い。さて、行こう」




129: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:45:44 ID:qY3LY8Pc


 ガタン

男「? 裏でなんか落ちたような音したけど」スタスタ

神様「ば・・・ ばか、裏を見るでない!」

 ゴソゴソ

男「ん? これって・・・」

神様「あ〜 それは〜 なんであろうな〜?」シランプリ

男「神様? これファミコンじゃない? 微妙にデザインが違う気もするけど」

神様「ふぁみこん?」

男「ここって閉鎖されたの何年前?」

神様「52年前か?」

男「その頃ってまだファミコンはないよね?」

神様「それはファミコンではない。メガミーコンピュータだ」

男「名前はどうでも良いし」

神様「・・・・・・」




130: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:48:10 ID:qY3LY8Pc


男「オーバーテクノロジーってやつじゃない?」

神様「うぐっ」

男「神様?」

神様「うるさい! ゲームくらい良いであろう!!」

男「どうやって作ったのさ。当時じゃまだ作れないでしょコレ」

神様「設計図と仕様を・・・その・・・ 引っ張って・・・ 技術者に・・・」ボソボソ


男「あ〜 他にもなんかいっぱい隠し持ってるねぇ〜」ガサガサ

神様「あまりそこを漁らないでくれ・・・ 私の威厳に関わる」




131: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:51:50 ID:qY3LY8Pc


男「この狐みたいなロボット何?」

神様「それは、お運びくんだ」

男「お運びくん?」

神様「私の代わりに神壇まで物を運ばせていた」

男「動くの?」

神様「ん〜 中の部品がかなり錆び付いているなぁ。 メンテしないと厳しいな」

男「そうなんだ」

神様「そんなことはどうでも良い!」




132: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/15(金) 06:52:50 ID:qY3LY8Pc


男「え〜 でも他にも・・・」

神様「ほら、いくぞ!」

男「どこへ?」

神様「神殿だ」

男「神殿?」

神様「男と私が初めて会った場所だ」


男「あ〜、あのボロ屋か」

神様「神殿と呼べと言っているだろうが」




135: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 07:39:00 ID:4gOr2P6U


――― 研究上裏・ボロ屋(神殿)

 ザッ ザッ

男「ふい〜」

神様「ご苦労」


男「研究所の中は立派なのに、コレは・・・ やっぱりボロい」

神様「あ?」

男「格差がありすぎるというか」


神様「まぁ、この神殿は他の者には見えないからな」

男「? 俺見えるんですけど」

神様「私と脳波パターンがほとんど同じだからだ」

男「そうなの?」

神様「私も、初めて男がここに来たときはビックリした」

男「あ〜、なんかテンパってたもんね」

神様「言うな」




136: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 07:44:15 ID:4gOr2P6U


神様「さて、男よ神殿の中へ」

男「入って良いの?」

神様「遠慮するな大神官」

男「じゃ失礼して」

 ギギィー
 
男「金庫みたいな物と、デッキブラシ?があるけど・・・」

神様「その箱の中が私の本体だ。 施錠を外すから少し時間をくれ」




137: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 07:45:57 ID:4gOr2P6U


――― 5分後

神様「ふぅ、待たせた。 解除が終わったぞ」

男「神様でもこんなに時間かかるんだ」

神様「私も、施錠を外すのは初めてだからな」

男「じゃぁ、今まで誰も見たことはないの?」

神様「男よ、私の本体を見て・・・ その・・・ 関わりを持ちたくないと思ったら正直に言ってくれ」

男「?」

神様「それで私はどうこう言うことはない」

神様「さぁ、扉を」

男「ん、あぁ」ガチャン

 ギィー

男「小さな箱と、こ・・・ これって・・・」

神様「・・・・・・」




138: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 07:48:59 ID:4gOr2P6U


男「右のガラスみたいな物に入っているヤツって、もしかして・・・」

神様「そうだ、27年後に亡くなる・・・ ある少女の脳だ」

男「27年後・・・」

神様「非常に賢く、将来を有望視されていたようだが事故で・・・」

男「・・・・・・」

神様「少女はアカシック因子を有していた。 私の性格や、その・・・ 容姿は彼女の物がベースだ」

男「・・・・・・」


神様「失望したか? 無理もない、それが普通だ。 気にせんでも大丈夫だ」

男「いいや、ちょっと安心した」

神様「?」




139: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 07:52:00 ID:4gOr2P6U


男「神様とかいって元々は人間じゃん」

神様「私は人などでは・・・」

男「まぁ、実体は無いし超人の域を超えているけどさ」

神様「・・・・・・」

男「すぐ怒るし感情なんか思いっきり顔に出るし」

神様「・・・・・・」

男「作られただとか言ってたから人工知能とかロボットとか思ってたから安心したよ」


男「50年以上もよく一人で我慢できたね・・・」

神様「・・・・・・」


男「神様はこれからもっと俺に頼ること。なんだかんだで人なんて弱いんだからさ」

神様「男・・・ お前・・・」




140: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 07:53:20 ID:4gOr2P6U


 パチッ

男「うお! ちょ、なんでここで静電気?」

神様「調子に乗りすぎだ馬鹿者」フンッ

男「え〜 おれ凄く良いこと言ってたのに〜」

神様「さっさと施錠して帰るぞ、・・・大神官」


男「ふっ、そうだね。 帰るか」

神様「帰ったら詳しい話をしよう」


 ポワッ


男「あれ? 着替えちゃうの? あっ、でもやっぱその私服可愛いわ」

神様「嬉しいことを言う」


神様「本当に嬉しいことを・・・」フッ




142: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 19:39:42 ID:4gOr2P6U



――― 帰り道

神様「♪〜」

男「神様、機嫌が良いね」

神様「そうか? いつもと変わらないぞ?」


男「一個聞いてもいい?」

神様「? タイムリープの方法か? 教えてやるぞ?」

男「え? 言っちゃダメなんじゃないの?」

神様「お前は私の大神官。私は包み隠さず全て話すことができる」

男「興味はあるけど・・・ やめておくよ」

神様「遠慮しなくとも、そもそもタイムリープは―――」

男「ストーップ!」




143: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 19:42:21 ID:4gOr2P6U


幼馴染「お〜い、神ちゃ〜ん、男〜」スタスタ

神様「ん? 幼か?」

男「よう、幼どうしたんだこんな所で」

幼馴染「んもう、お二人さんデート? デートなの? デートなのか? コラッ!」

神様「な、何を!」

男「変な誤解広めんなよ?」


幼馴染「なんだ〜 神ちゃん初めての大神官だからてっきりデートかと思ったよ」

神様「!?」

男「お・・・ お前、今なんて・・・」


幼馴染「神官くらいならまぁ良いか〜って思ってたけど、大神官はちょっとね〜」


幼馴染「面倒くさいよ〜」ニコッ




144: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 19:45:09 ID:4gOr2P6U


 キーン

男「!?」

神様「この周波数は! まずい、男!」

 バタッ

神様「お・・・ 男?」

幼馴染「シンキングタ〜イム! タイムリミットは3分で〜す」

神様「あ・・・ な、何故・・・ だ・・・ 幼・・・」

幼馴染「私なんかにかまってないで早く助けなきゃ!」

男「うっ、ぐぅ・・・」

神様「男・・・ オイ男!」

幼馴染「おっ大事に〜」スタスタ




145: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 19:47:35 ID:4gOr2P6U


神様「待っていろ男、今助ける」

 ポウッ

神様「脳に変な暗号が・・・」

 ポウッ

神様「ヴォイニッチ暗号・・・ 男! 絶対に意識を落とすな! がんばれ!!」

 ポウッ

神様「あと100万行・・・ 頼む持ってくれ」ハァ

 ポウッ

神様「あと50万、くそ、エネルギーをもっと演算にまわせ小箱!」ハァ ハァ

 ポウッ ポウッ

男「うっ・・・」

神様「男!! しっかりしろ!」ハァ ハァ ハァ




146: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 19:49:21 ID:4gOr2P6U


男「神・・・ 様・・・?」

神様「気がついたか」ホッ


男「俺、今・・・ 幼に・・・ なにが・・・」

神様「すぐに救急車が来る」

男「神様が助けてくれたの?」

神様「・・・・・・」

男「神様・・・」

神様「私の不注意だ。 何で気がつかなかったんだ」ギリッ

 ピーポー ピーポー

神様「来たか。 私は一度消える、後で」スッ

男「神――― 痛ッ!」




147: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 19:54:49 ID:4gOr2P6U


――― 病室

男「神様、そこにいるんでしょ?」

神様「気づいていたか・・・」

男「バレバレなんですが」


神様「・・・・・・」

男「ありがとう神様、助けてくれて」

神様「お前が謝る必要などない、謝らなければならないのはこっちだ」

男「なんでさ」


神様「私が大神官に任命しなければこんなこ―――」

男「それは違うと思うよ?」


神様「いや、やはり私と関わりを絶ったほ―――」

男「神様? 怒るよ?」


神様「・・・・・・」




148: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 19:58:00 ID:4gOr2P6U


男「で? 見当は付いてるの?」

神様「・・・・・・」

男「神様? 包み隠さず全て教えてくれるんじゃないの?」

神様「・・・幼は、私と同じくアカシックレコードに接続している」

男「幼が? それって神様と同じってこと?」

神様「あぁ」

男「でも、幼は実体があるんだけど」

神様「・・・・・・」

男「あいつに実体があるってことは、神様よりも未来から来たってこと?」

神様「違う、幼はこの時代の者だ」

男「そしたらおかしくない? なんで未来から来た神様の方が実体を持てないの?」




149: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 20:00:09 ID:4gOr2P6U


神様「アカシックから未来の情報を取り出した可能性がある」

男「未来ってどのくらい先の?」

神様「250年以上先でないと肉体を維持してアカシックと接続することは出来ない」

男「何でそんなことが・・・」

神様「これから詳しく調べるが、危険すぎるほどのオーバーテクノロジーだ」

男「そう」

神様「私の責任だ・・・」

男「でも神様のおかげで、全く異常なしだって」

神様「・・・・・・」

男「明日朝には退院できる」

神様「そうか・・・・・・」

男「どうせ、知ってるんでしょ?」

神様「そうだな。 この病院は医療画像もカルテも全て電子化されているからな」

男「ありがとう神様」

神様「・・・・・・」




150: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 20:02:08 ID:4gOr2P6U


男「忙しくなるな〜」

神様「やはり男をこれ以上危険に巻き込む訳にはいかない」

男「う〜ん、神様が俺を手伝わせないって言うんなら〜」

神様「?」


男「スマホとパソコンの電源を切る」

神様「お前何を!」


男「分かった?」

神様「・・・・・・」


男「分かりましたか? ここまでやられたら俺だって黙ってられないしね」

神様「・・・・・・」フッ


男「よろしい。 今後は変な気を遣わないこと」

神様「男は優しいな」

男「また、そんな柄にもないこと言って」




151: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 20:03:52 ID:4gOr2P6U


神様「柄でもないついでに、今日はこのまま男に隣にいても良いか?」

男「あぁ」

神様「気配は消しておくが気になるようであれば言ってくれ」

男「神様が隣にいるなんて心強い」

神様「言うな、照れる」

男「ははっ」


神様「朝まで安心して寝るがよい。 女神がこの命に代えて直々に守ってやる」

男「じゃぁお言葉に甘えて」


神様「良い夢を」

男「ありがとう、おやすみ」




152: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/16(土) 20:04:53 ID:4gOr2P6U




男「スー スー」



神様「男、ありがとう・・・」

神様「・・・・・・」フカブカ




155: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:00:21 ID:FYeXTosE


――― 翌日

男「さてと、まずは何から?」

神様「まずは整理しよう。 問題は2つある」

男「2つ?」

神様「あぁ、1つは今月末に起こる大規模な場の乱れだ」

男「場? 世界がヤバいとかいうやつ?」

神様「110年ほど前、私が神託によって削除させた技術がベースとなっている」




156: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:06:04 ID:FYeXTosE


男「110年前って、どんな技術?」

神様「世界システム」

男「聞いたことある!」

神様「ほぉ」

男「情報とエネルギーを世界中に送り届けるとかいうヤツでしょ」

神様「そんなところだ。 よく知っているな」

男「最近、都市伝説にはまっていまして」

神様「都市伝説・・・ なるほど面白い表現だ」




157: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:09:27 ID:FYeXTosE


男「詳しくはよく分かんないけど便利そうじゃん」

神様「この技術自体はどうでも良いし興味はない」

男「なんか、散々な言われようだな・・・」


神様「だが副産物が問題だった」

男「副産物って?」

神様「高エネルギーで長期運用すると空間を壊す」

男「空間を壊す?」

神様「徐々に次元構造が崩れ、本来こちらの次元にはない粒子が飛び出してくる」




158: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:12:40 ID:FYeXTosE


男「何が問題なの?」

神様「目には見えない量子レベルでの大きなエネルギー反応が起こる」

男「それが、今でも動いているって事?」

神様「さらに改良が加えられ複数の施設で駆動している」


男「で、最終的にはどうなるの?」

神様「インフラ機能が一瞬でダウン、世界経済が経験したことないほどの崩壊へと繋がる」




160: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:15:01 ID:FYeXTosE


男「まずくね?」

神様「厄介なのは未知の量子レベルの事象であるため、今の科学では原因が全く分からないと言うことだ」

男「爆発とかそういう分かりやすい現象がないってこと?」

神様「あぁ、兆候なしで突然全てが止まる」

男「やばさそうだ」

神様「ただ、これは事前に食い止めることが可能だ。 時間的な猶予もまだある」




161: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:17:21 ID:FYeXTosE


神様「そして問題は2つめ。 幼の存在」

男「あぁ」

神様「肉体を有してアカシックと接続することは250年以内では実現出来ない」

男「昨日そんな事を言ってたね」

神様「250年以上先の情報は劣化が激しく複合を正確に行うことが出来ないのだ」

男「どういう意味?」

神様「つまり・・・ 幼が・・・ その・・・ アカシックと接続するのは不可能ということだ」

男「じゃぁ、幼は人間じゃないと?」




162: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:21:17 ID:FYeXTosE


神様「私が学校に行くため周りの者達へ記憶を追加した際には異常は無かった」

男「確かにみんな神様のことを昔から知っている風だったもんな」

神様「その際の事前スキャンで幼に関する皆の記憶は作られた物ではなことは断言できる」

男「じゃぁ、やっぱり人間ってこと?」


神様「・・・・・・」

男「神様? もしかして言いにくい事だったりする?」

神様「お見通しか・・・」

男「可能であれば、聞かせてほしい」




163: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:22:48 ID:FYeXTosE


神様「まだ仮説だ。 その点は事前に了承してくれ。 最終判断は明日に出す」

男「あぁ」


神様「幼は・・・ すでに亡くなっている、またはそれに近い可能性がある」

男「えっ!?」

神様「アカシックと接続が出来る因子を持つ者は限られる。幼は元々その因子を有していた」

神様「しかし、命宿る肉体のあるうちはアカシックに接続することは出来ない」

男「じゃぁ今まで会った幼は」




164: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:25:29 ID:FYeXTosE


神様「人が亡くなる直前に出す特殊な酵素によってアカシック因子は活動をはじめる」

男「幼が・・・ 死んでいる? うそだろ・・・」


神様「仮説と言った。不確定要素が多すぎるため間違っている可能性の方が高い」

神様「昨日の夜に世界中のスーパーコンピュータにハッキングを行いシミュレーションを行っているところだ」

男「ハッキング!?」

神様「今の私では演算能力が足りない」




165: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 18:26:42 ID:FYeXTosE


男「ハッキングなんて大丈夫なの?」

神様「国連経由でコードレッドを出した」

男「コードレッド?」

神様「生死に繋がる世界的な危機を防ぐため女神が直接出す緊急警報だ」

男「そんなものがあるの?」

神様「初めて使った。 たぶん世界中の上層部が右往左往しているぞ?」

神様「何しろ、52年ぶりに女神の存在が確認できたと思ったらコードレッドなのだからな」




166: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 20:37:21 ID:FYeXTosE


 キキッ

男「?」

神様「車を用意させた、移動しよう」

 バタン

官僚「失礼ですが女神様で間違いないでしょうか?」

神様「お前達から名を名乗れ、無礼であるぞ」

官僚「失礼いたしました。 国家安全保障局の官僚と申します」

運転手「同じく運転手です」




167: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 20:40:34 ID:FYeXTosE


神様「私が女神で間違いない」


運転手「どうぞ」

神様「うむ」

男「失礼します・・・」


官僚「そちらの方は?」

神様「私の大神官だ。 口を慎め」

官僚「し、 失礼いたしました」




168: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 20:43:13 ID:FYeXTosE


男「神様・・・ 怖いです・・・」ボソッ

神様「一応女神としての立場というか・・・ お前も堂々としていろ」ボソッ

男「あぁ、そうなんだ・・・」

官僚「なにか?」

男「いえ何も・・・ 独り言です」ハハハッ


運転手「どちらへ向かえばよろしいでしょうか?」

神様「秋葉原だ」

男「秋葉原?」

神様「あの男の腕が必要だ」

男「あ〜、もしかして・・・」

神様「そうだ」




169: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 20:45:43 ID:FYeXTosE


官僚「女神様、伺いたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

神様「私はいま大神官と話をしているのが分からないのか?」

官僚「・・・失礼いたしました」


男「まぁまぁ、良いじゃんよ神様」

神様「しかしだなぁ・・・」ムッ

男「何ですか? 官僚さん」

官僚「ありがとうございます大神官様」

男「いや、普通に男と呼んで下さい」

官僚「どうも、男さん」


神様「おい、勘違いするな」ギロッ

官僚「・・・・・・」

男「・・・・・・」


官僚「失礼いたしました」




170: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 20:49:20 ID:FYeXTosE


神様「質問とは何だ」

官僚「はい、コードレッドの内容とは一体何でしょうか」


神様「日付と場所は伏せるが近日中に次元越境粒子によって大きな場の乱れが発生する」

神様「影響はインフラのダウンと経済麻痺。 今の科学水準で防ぐことは不可能であると判断した」


官僚「・・・私たちはどのように?」

神様「お前達のするべきことは2つ。
 一つ目、コードレッドの公表は伏せ通常通りの生活を営め。
 二つ目、メガミーラインからの指示には絶対に従うこと。
 分かったか」

官僚「承知いたしました」




171: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 20:50:54 ID:FYeXTosE


男「めがみーらいんって何?」

神様「私の指示が伝達される特殊な通信ネットワークだ」

男「もしかして女神の回線でメガミーライン? ネーミングセンス酷くね?」

神様「・・・・・・」


官僚「ぷっ」

運転手「ぷっ」


男「だれ付けたの、その変な名前」

神様「私だ・・・」ボソッ


男「あっ・・・」

官僚「・・・・・・」サァー

運転手「・・・・・・」サァー


 シーン




172: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 21:10:29 ID:FYeXTosE


―――秋葉原

運転手「お待たせいたしました」

 ガチャ

神様「うむ」

男「あっ、わざわざすいません」


官僚「私たちは待機でよろしいでしょうか」

神様「メガミーライン! でいくつか指示を出す。早急に対応しろ」

官僚「・・・承知いたしました」アセアセ


神様「いくぞ男」プンプン

男「はい・・・」




173: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 21:15:49 ID:FYeXTosE


神様「店主よ」

店主「ん? お〜 この前の嬢ちゃん達かい」

男「こんちは〜」

店主「今日はどうしたんだ?」

神様「先日は量子ペア生成装置を譲って頂き感謝する」


店主「・・・・・・」

神様「女神の技術者として腕はさらに磨きがかかったようだな」

店主「ふっ、やっぱり女神様だったか・・・」

神様「気づかない方が不思議だな。 あのような物を欲しがる女子高生は普通ではない」




174: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 21:17:32 ID:FYeXTosE


店主「よくご無事で、初めてお目にかかります」

神様「私は店主のことは十分知っているぞ?」

店主「嬉しいお言葉です。 お隣の方は?」

神様「私の大神官である男だ」

店主「大神官!」

男「あ〜、普通に男って言って下さい」


神様「店主よ、力を貸して欲しい」フカブカ

店主「ちょ、女神様! そんな頭を上げて下さい」

神様「私のワガママであることに変わりない。 お願いだ」

男「・・・・・・」




175: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 21:20:04 ID:FYeXTosE


店主「そんな、女神様直々の頼みを断る訳ないじゃないですか」

神様「ほんとか!」パァ


店主(可愛い・・・)

男(可愛い・・・)


神様「?」

店主「あっ、いえ・・・ 退職してやることもないですから、いくらでも協力しますよ?」

神様「恩に着る。 これから出られるか? 詳しく話をしたい」

店主「もちろん! どこへでも」




176: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 21:22:12 ID:FYeXTosE


神様「男よ、お前を大神官兼店主専属の雑用に任命する」

男「えっ?」

神様「役職は多い方が良いだろ」

男「雑用って役職なの?」


店主「よろしく、雑用くん」ポンポン

神様「よし、では行こう」




177: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 21:25:05 ID:FYeXTosE


 スタスタ

官僚「女神様、ご指示頂いた全人工衛星の回線を全て制御下に置きました」

神様「よし。 メガミーライン! のC回線に接続しろ」

官僚「は、はい」

男(まだ根にもってんのかよ・・・)


運転手「どうぞ」

店主「すんげー車だなオイ」

 バタン

運転手「次はどちらへ」

神様「国連科学戦略研究所に行け」

運転手「かしこまりました」




178: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 21:59:37 ID:FYeXTosE


―――車内

店主「で、何か問題事でしょうか?」

神様「詳しくは後ほど話をするが少し厄介な問題が発生している」

神様「私と男で対処しようと考えてたのだが、別の問題も同時に起こってしまった」

店主「それで私を」

神様「かなり高度な問題のため、店主の技術が必要であると判断した」

店主「承知いたしました」




179: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:01:29 ID:FYeXTosE


 はい、分かりました。
 女神様にお伝えいたします。
 ピッ

官僚「女神様、お話中に申し訳ございません」

神様「なんだ」

官僚「当時の神官の所在が1名分かりました」

神様「!?」

官僚「研究所に向かっているそうです」

神様「本当か! だれだ!」

官僚「申し訳ございません、当時の名前までは・・・ 戸籍を変えていたそうでして」

官僚「それと、他の神官はすでに亡くなっているようです」

神様「・・・・・・」




180: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:04:43 ID:FYeXTosE



―――研究所跡

運転手「お待たせいたしました」

店主「おー 懐かしい・・・」

 ガチャ

官僚「私たちは・・・」

神様「伝言があるときは呼ぶ。 そこの守衛室で待機していろ」

官僚「承知いたしました」

神様「それと、私への連絡はお前達二人以外からは受け付けない。 代わりに連絡調整役を任せる」

神様「守衛室へもお前達以外に入室は禁止だ」

官僚・運転手「承知いたしました」




181: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:07:43 ID:FYeXTosE


女「あのー、失礼ですが・・・」


神様「? 女・・・ 女ではないか!」

女「やっぱり? 女神様ですか?」

神様「久しぶりだ、女!」

女「覚えて・・・」

神様「忘れるわけない。私をサポートしてくれた者を誰一人忘れるなんて事は無い」

女「女神様・・・」

神様「そうか、こちらに向かっている神官というのは女であったか」

女「でも良くご無事で・・・」フカブカ




182: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:10:16 ID:FYeXTosE


神様「ちょ、そんな頭を下げなくてはならないのは私の方だ」

神様「私が隔離されてから、神官達の処遇は知っていた。なのにどうすることも出来ず、何も出来きず・・・ 私は・・・」ギリッ

女「女神様がそのような事ご心配なさらずとも・・・」


神様「申し訳ない!」ドゲザ

女「ちょ、女神様おやめ下さい」アタフタ


神様「本当に・・・ 本当に申し訳ない!!」ドゲザ

男「神様・・・」




183: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:12:47 ID:FYeXTosE


女「頭をお上げ下さい。神官は全員無事だったんですから」

神様「全員・・・ 無事? 無事だったのか?!」ハッ

女「はい、誰一人欠くことなく」

神様「そうだったか・・・」

女「はい、念のため全員戸籍関係は変更いたしましたが」

神様「そうか・・・ よかった・・・ 本当によかった・・・」

男「・・・・・・」


神様「よし、心残りが一つ解消された」

男「ほら、神様そんなところに座り込んでないで」

神様「あぁ、そうだな」ンショ

男「神様が大勢の前で土下座って・・・」




184: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:16:10 ID:FYeXTosE


店主「よっ! ひさしぶり、覚えてるか?」

女「もしかして・・・ 店主? 技術者の!」

店主「50年以上前だからな」

女「でも、面影は残ってる」


男「あの〜 はじめまして」

女「はじめまして」ニコッ

神様「あ〜 紹介する。私の神官補佐の補佐の補佐で雑用だ」

男「補佐付きすぎだろ・・・」

神様「女は私がまだその・・・ 女神と呼ばれていたときの神官だ」

女「女と申します」




185: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:17:27 ID:FYeXTosE


男「失礼ですが今おいくつですか?」

神様「お前、本当に失礼だな」


女「ふふっ、68歳よ?」

男「はぁ? 60代の肌じゃないでしょ!」


神様「お前、もうだまってろ。でも本当に女は変わらず綺麗だ」

女「そ、そんなもったいないお言葉・・・ あ、ありがとうございます」

神様「そうか、女は私のところにいたときはまだ10代であったな」

女「はい」


男「そんなに若くても神官になれるんだ」

神様「大神官であるお前も同じではないか」




186: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:18:59 ID:FYeXTosE


女「大!? 女神様?? えっ? えっ?」

神様「いや、私はもう女神と呼ばれるほどの存在では・・・」


神様「そうだ女よ」

女「はい」

神様「その・・・ 言いにくいのだが」

女「?」

神様「少し・・・ 手伝ってもらうことは出来るだろうか」

女「お手伝い・・・ ですか?」

神様「忙しいのは十分承知している。 だが・・・ 女の力を借りたい」

女「もちろんです。 そのために来たのですから」




187: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:21:18 ID:FYeXTosE


神様「本当か!?」

女「私はまだ女神様の神官でも良いのですか?」

神様「それはこちらの台詞だ」

女「どうぞよろしくお願いいたします」


神様「立ち話も何だ、建物の中に入ろう」

店主「入れるんですか?」

神様「先日建物全てにエネルギーを入れた」

女「でも・・・ 懐かしいわ」

店主「あぁ、生きているうちにまたこの中に入れるとは思っていなかった」




188: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/17(日) 22:22:29 ID:FYeXTosE


神様「男よ、入り口を」

男「はいよ」

 ガチャ

男「どうぞ皆さん」ギィー


神様「神官と技術者、ついでに雑用。 数は少ないが役者は揃ったな」

男「おれ完全に雑用に格下げ?」



神様「皆・・・ お帰り」ニコッ




192: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:18:08 ID:ypcx/Ddo



―――研究所内

神様「私は店主と所内の設備を調べてくる。 すまないが女よ、少し待っていてくれ」

女「承知いたしました」


神様「男よ、部屋を綺麗にしておけ」

男「はいはい、分かりましたよ」

神様「本当に分かっているのか?」

男「はよ行けって」ヒラヒラ

神様「生意気なヤツめ。 店主よ、まず中央制御室からだ」

店主「はい」

 スタスタ




193: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:22:07 ID:ypcx/Ddo


女「女神様にすごい扱いをなさるのね・・・」

男「そうですか?」

女「昔だったら間違いなく投獄よ?」フフッ

男「・・・・・・」


男「さ、さてと・・・ 片付けますかね」

女「お手伝いしますね」


 パッパッ


女「あんな女神様初めて見た」

男「あんな?」

女「昔はもっと威厳というか・・・ こんなフレンドリーじゃなかったわ」

男「いや、今でも十分怖いですどね・・・」




194: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:23:58 ID:ypcx/Ddo


女「口調」

男「口調?」

女「女神様は立場上、私たちとは 一線を画す必要があったの」

男「まぁ一応は神様ですしね」

女「その壁がしゃべり方だった」

男「壁?」

女「上から目線の古くさいしゃべり方」クスッ

男「確かに」

女「当時はもっと威圧的で、もっとキツい口調だった」

男「ははっ。そう言えば最近少しまろやかになったかな」




195: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:25:52 ID:ypcx/Ddo


女「誇って良いと思うわよ。 あなたには壁を作っていない証拠なんだから」

男「そうかなぁ?」

女「よほど貴方のことを信頼しているのね、大神官様」クスッ

男「ほかに適当なヤツがいなかっただけですよ」

女「女神様は冗談でも大神官なんて言葉は口にしない。 大先輩の神官が言うんだから間違いないわよ」

男「・・・・・・」

女「私が知る限り女神様の大神官は当時、いえ過去にも存在しなかったはず」

男「そうなんですか?」




196: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:27:51 ID:ypcx/Ddo


女「でも驚いたわ。今の女神様が本当のお姿なのかもね」フフッ

男「どういうことです?」


女「私が神官になって間もない頃、大失敗しちゃったことがあってね。 私の命もここまでかぁって思った」

男「そんな大げさなぁ」

女「神託の順番を間違えたの、影響は世界規模だったわ」

女「女神様の部屋に入ったら、他の者は出て行け!処分は私が下す!って。 私、恐怖で何も言うことが出来なくて」




198: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:30:28 ID:ypcx/Ddo


〜〜〜 回想

若女「この度は女神様の信用を傷つける行為をしてしまい申し訳ございません。どのような罰もお受けいたします」ドゲザ

女神「二人きりで話をするのは初めてだな。 いつもありがとう」

若女「女神様?」ハッ


女神「今回の失敗は気にするな、と言ったら嘘になるが・・・」

女神「誰にでもある。 次から気をつければ良い。 だから頭を上げてくれ」ニコッ

若女「ありがとうございます」


女神「しかしケジメは必要だ、罰は受けてもらうぞ?」ニヤッ

若女「・・・はい」ブルッ

〜〜〜




199: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:32:36 ID:ypcx/Ddo


女「その時初めて女神様のお優しい顔を見たわ」

男「へぇ〜、いい奴じゃん神様。 で罰は受けたんですか?」

女「丸1日寝ずに朝まで女神様とゲームを・・・ それが罰」

男「ははっ、神様らしいや。 ゲーム好きだもんなぁ」


女「後で聞いた話だけど神官はみんな女神様とゲームをしたらしいわ。 秘密にしろって言われてたらしいけど」クスッ

男「神様ったら神壇の裏にゲーム機いっぱい隠し持ってるんですよ?」

女「神壇の裏?」

男「そうそう、オーバーテクノロジーはダメだとか偉そうに言っておきながら」

男「自分では未来からゲーム機の設計図取り出して技術者に作らせたみたいです」




200: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:34:13 ID:ypcx/Ddo


女「神壇に上がったことがあるの?」

男「えぇ、大神官に任命する! とか格好いい台詞を言うためだけですけどね」

女「・・・・・・」キョトン


男「どうしたんです?」

女「そう、神壇に・・・」

男「?」

女「いくら大神官でも神壇にまでは登れないのよ?」

男「そうなんですか? 神殿は見られないって事は聞きましたけど」




201: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:35:51 ID:ypcx/Ddo


女「ふふっ、神殿も見えるのね。 失礼だけどお歳は?」

男「17歳です」

女「そう」ニコッ

男「?」


女「さて、掃除はこんなもんで大丈夫でしょう」

男「えっ? あぁ・・・ そうですね」

女「夕飯、何が食べたいものある?」

男「作ってくれるんですか?」

女「もちろん」




202: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:38:39 ID:ypcx/Ddo


 スタスタ

神様「おぉ、綺麗になったな」

店主「見違えるようだ」

神様「女よ、ありがとう」

女「女神様! そんな勿体ないお言葉」


男「え? オレは?」

神様「どうせ片付けたのはほとんど女であろうが」

神様「女よ、そんなに畏まるな。 なんなら神ちゃんとでも呼んで良いぞ?」

女「・・・・・・」




203: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/18(月) 20:40:44 ID:ypcx/Ddo


男「神ちゃん、女さんが夕飯を作ってくれるんだって」

神様「あ゛? お前は神様と呼べ」


店主「久々の手料理、これは楽しみだ」

神様「うむ」

男「神様食べられないじゃん」

神様「女の料理は見た目も最高なのだ、それだけで満足だ」


女「で、では買い物に行って参ります」

神様「いや、外にいる官僚に言って買ってこさせろ」

男「官僚さんがスーパーでジャガイモとか買うの? 可哀想」

神様「後で官僚達にも料理を馳走してやれば良い」

女「はい」




204: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:39:13 ID:SPv0KEJU


――― 夕食

男「うゎ、うまそう」

女「彩り野菜のビーフシチュー クリーム多め です」

男「神様が言ってた通り見た目もすごい綺麗」

女「ありがとう」ニコッ

 スタスタ

店主「良い匂いがすると思ったら・・・ コレはうまそうだ」

女「女神様を呼んでまいります」




205: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:40:31 ID:SPv0KEJU


男「いや執務室でしょ? 大声で呼べば聞こえますよ」

女「そんな失礼な・・・」

 ガチャ

男「神様〜 ごはんできたよ〜」


神様「せめて呼びに来い、横着者が」パッ

男「うわ、早っ!」

神様「お〜、彩り野菜のビーフシチュー クリーム多め か!」

男「なんでそこまで正確な名前を・・・」

神様「さて、では皆で頂くとしよう」

一同「いただきます!」




206: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:41:54 ID:SPv0KEJU


神様「さて、食事しながらで良いので聞いてくれ」

男「作戦会議?」クチャ クチャ

神様「食べながら口を開くな」

男「え? 今、良いって言ったじゃん」ゴクン

神様「食べながら喋れと言っていない、あほ」

男「あほって・・・」




207: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:43:38 ID:SPv0KEJU


神様「今月末、正確には31日14時に次元越境粒子により大きな場の乱れが発生する」

女「次元越境粒子・・・」

神様「あぁ、今の科学では検出することすら不可能な事象だ」

店主「どのような影響が」

神様「自由電子を用いた様々な物が一瞬にして機能を停止する」

店主「そんな! 電子を使ったって、全部じゃないですか」

男「人間には影響ないの?」

神様「この粒子は水で大きく減衰するため影響はほとんどないと言って良いだろう」

女「原因は」

神様「高周波電磁波照射装置」

女「・・・オーロラプログラム?」

神様「あぁ」




208: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:45:22 ID:SPv0KEJU


店主「ちょっと待って下さい。 HAARPがそこまでの威力を持つとは思えないのですが」

神様「このシステム自体には何の問題もないが、CP67という増波素子を組み込んだチップに問題がある」

店主「CP67?」


神様「BSC・・・ ブレインズシーケンス社が開発中の増波素子だ」

女「BSC?!」

店主「まさか!」

神様「・・・・・・」




209: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:46:34 ID:SPv0KEJU


神様「CP67は40年ほど前に開発されたCP1が元となっている」

男「神様がボッチになった後に出来たってわけか・・・」

神様「そう・・・ いや、隔離されたと言え」

男「同じじゃん」

 バチッ

男「うひゃい!」ビクッ




210: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:48:12 ID:SPv0KEJU


神様「世界システムというのは知っているか?」

女「ニコラテスラですか?」

神様「あぁ、その際に原型が開発されたのだが神託で止めた経緯がある」

店主「世界システムの開発が止まったのは神託が理由だったんですか・・・」

神様「BSCが40年前に開発したCP1は110年前にテスラが開発した物と全く同じだ」

男「40年前に出来た物が、すでに100年以上前にもあったってこと?」

神様「そういう事だ」

男「偶然にしては変だよね」




211: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:49:54 ID:SPv0KEJU


神様「鋭いな。 BSCが開発したCP1はニコラの物を参考に作られている」

店主「しかし、神託で止めたものがなぜ・・・」

神様「神託記録に記載された資料を基に複製されたと思われる」

女「まさか、神託記録が漏れていると?」

神様「残念だが・・・ 私が記載したダミー回路がそのまま追加されている」

女「神託記録は神官以外扱えないはずです」

神様「・・・・・・」

神様「神託記録がBSCに漏れ、それを元にCP67まで開発されたのは間違いない」




212: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:52:38 ID:SPv0KEJU


店主「しかし何故あいつらはCP67の開発など・・・」

神様「アカシック接続に大きく関わる素子だ」

店主「まさか、CP67を使ってアカシックと接続するのが目的・・・」

神様「うむ。 しかし現状ではアカシックの存在確認がギリギリであろう」

女「しかも副作用の方が大きいと・・・」


神様「CP67を用い長期間電磁放射が行われると次元構造に大きなダメージが起こる」

店主「それが原因で越境粒子が飛びだしてくる訳ですか」

神様「そうだ。 次元崩壊が起こると思われる場所は全部で6カ所」

女「6カ所・・・」

神様「各施設で運用されている照射装置内のCP67を一斉に破壊し尚且つ痕跡を残さないようにしたい」




213: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:54:47 ID:SPv0KEJU


男「よく分かんないけど、照射やめろーって言えば済むんじゃないの?」

神様「一時的に止めただけではダメなのだ。ほとぼりが冷めれば必ず再運用を行う」

男「でも壊してもまた作るだけじゃない?」

神様「今から作り直しても10年はかかる。 その頃には危険性も把握できている」

男「なるほどね」


店主「一つずつの破壊では問題があるのでしょうか?」

神様「いずれかのシステムが運用不能となった際は他の施設で出力を倍に上げた照射実験を行っている」

神様「次にソレをやられるとマズい」

男「それで一斉に壊す必要があると」

神様「あぁ」




214: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:56:01 ID:SPv0KEJU


店主「で、その施設はどこに?」

神様「それが問題なのだ」

女「場所が分からないということですか?」

神様「いや、場所は分かっているが運用がスタンドアロンなのだ」

男「スタンドアロン?」

神様「外部と物理的に通信を絶っている独立したシステムだ」

店主「ネット経由では無理か・・・」


男「爆撃とかじゃダメ?」

神様「店主よ、スマホは持っているか?」

店主「スマホもタブレットもノートPCも全て」ガチャガチャ

神様「よし、そのタブレットに情報を送る」




215: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:57:20 ID:SPv0KEJU


 ピピッ

店主「来た」

神様「各施設の衛星写真だ」

店主「どれどれ・・・」

男「うわ、世界中に散らばってんじゃん」


店主「ん? この隣の施設は・・・」

神様「あぁ、動力源である小型原子炉だ」

男「原子炉!?」

女「これは近すぎますね」


男「爆撃がダメな理由はこれか〜」

店主「それに、同じような施設に6カ所も爆撃なんかしたら変だろ?」

男「難易度激高ってやつ?」




216: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:58:45 ID:SPv0KEJU


店主「期限は?」

神様「2週間以内だ」

店主「全力を尽くします」

神様「よろしく頼む」


神様「女よ」

女「はい」

神様「すまないがメガミーラインの状態を調べてもらえるか?」

女「承知いたしました」

神様「メガミーラインのうち小箱側に繋がる全回線は52年前に破壊したままだ」

女「・・・はい」

神様「今は小箱が男のスマホを経由してメガミーラインの空き回線に入っている」

女「スマホ・・・」

神様「どうにかして帯域を増やしたい」

女「早急にお調べいたします」




217: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 07:59:55 ID:SPv0KEJU


神様「店主」

店主「なんでしょう」

神様「女の作業とは別に演算能力を増やせないか調べてもらえるであろうか」

店主「演算能力ですか?」

神様「訳あってエネルギーを押さえたい。そのために外部に演算を任せたいのだ」

店主「それなら、女の方が適任かと」

神様「そうなのか?」

店主「女は量子コンピュータが専門です」

女「あら、知っていたのですか?」

店主「この業界で知らないヤツなんかいねーよ」




218: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 08:02:19 ID:SPv0KEJU


神様「女よ、何か手はあるか?」

女「どの程度の追加演算能力が必要でしょうか」

神様「正直、稼働中のスーパーコンピュータを全て並列で動かしても足りない」

男「あ〜、そういえば神様スパコンにハッキングしてるもんね」


女「まだ実験中ですが200qubitの量子コンピュータでしたら用意できます」

神様「ほぉ、素晴らしい! メガミーラインに接続できるであろうか?」

女「至急確認いたします」

神様「頼んだ」




219: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 08:04:06 ID:SPv0KEJU


神様「それと事が収まるまで皆この建物から一歩も出ないでくれ」

男「まじで?」

神様「何かあれば官僚を使え」

男「官僚さん俺より雑用で可哀想・・・」


神様「なにか質問はあるか?」

店主「施設内で使用しているシステムのうち、いくつかを取り替えたいのですが」

神様「リストアップして手配してくれ。 お金はいくら使っても構わない」

女「電波強度を上げるため付近の回線切断と基地局の増強をご提案いたします」

神様「衛星は全てメガミーラインの制御下に入っている。 基地局に関しては調整を頼む」




220: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 08:05:04 ID:SPv0KEJU


男「・・・・・・」

神様「どうしたんだ? 男」チラッ


男「いや、凄いなって」

神様「?」

男「なんか神様格好いい」

神様「なっ! 何を急に・・・ そんなことは・・・ ///」




221: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 08:06:23 ID:SPv0KEJU


男「あれ? 照れてる?」

神様「照れてなどいない! ごちそうさま!」

男「神様食べてないじゃん」

神様「うるさい!」

 バリッ!

男「うひゃ!静電気!」ビクッ

神様「神罰だ、ざまぁ見ろ!!」

女「ふふっ」

店主「ふははっ」

神様「お・・・ お前達まで何を笑っているんだー ///」




222: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:05:37 ID:SPv0KEJU


 prpr prpr
 ガチャ

男「あ〜 もしもし官僚さんですか?」

官僚『大神官様?』

男「その呼び方、やめて下さい・・・」

官僚『しかし、女神様のご指示もありますので』

男「じゃぁ、神様がいないときは普通に接して下さい」


官僚『で、何かご用でしょうか?』




223: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:06:39 ID:SPv0KEJU


男「夕飯まだですよね」

官僚『お気遣いすいません。 コンビニで買いますので大丈夫です』

男「熱々のシチューがあります」

官僚『シチュー・・・』

男「運転手さんもいますよね」

官僚『はい、守衛室に二人でおります』

男「じゃぁ今から持って行きますので」

官僚『ありがとうございます、ところで・・・』

男「なんでしょう」




224: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:09:04 ID:SPv0KEJU


官僚『女神様は、いつもあの様な感じなのでしょうか?』

男「と言うと?」

官僚『高圧的・・・ いや威厳と言いますか』

男「あ〜、あれは立場上そうしているだけですよ」

官僚『そうなんですか?』

男「偉そうに見えるでしょ? あぁ見えて結構乙女チックな―――」

神様『オイ』


官僚『・・・・・・』

男「・・・・・・」

官僚『夕飯楽しみにしております、大神官様・・・』

男「はい、失礼します」


 ガチャ




225: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:10:18 ID:SPv0KEJU


男「なんで神様が割り込んでくるんだよー」

神様「私が作った回線だ、聞いているに決まっているだろうが」パッ

男「うわ〜ビックリした。 急に出てこないでよ」


神様「全く、男は油断も隙もないな」

男「その言葉、そのまま全反射でお返しします」




226: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:11:55 ID:SPv0KEJU


 カタ カタ カタ カタ

男「あっ、お運びくん」

神様「これは汎用型のお運びちゃんだ。 夕飯を持たせるのであろう?」

男「あ〜 オレ持って行くよ。 すぐそこだし」

神様「先ほど一歩も出るなと言っただろうが」

男「え〜、守衛室もダメなの?」

神様「我慢しろ」


男「でもこれおぼんとかどうやって載せるの?」

神様「頭に乗せれば自動でバランスを取る」

女「男さん、官僚さん達の夕飯用意できましたよ」スタスタ




227: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:13:01 ID:SPv0KEJU


女「あら、お運びちゃんじゃないですか。 懐かしいわ」

神様「この愛くるしい動きがたまらん」ニンマリ


男「おぼんを頭の上に・・・」ソー

 ピタッ

男「すげー」

 カタ カタ カタ カタ

男「ねぇ、どうやって動かしてんの?」

神様「私が動かしている」

男「あ〜、そこは手動なんだ」




228: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:14:21 ID:SPv0KEJU


神様「そのテレビに映像と音声が出るぞ」

 ブォン

男「あっ、写ってる」

女「ふふ、面白い」

 カタ カタ カタ カタ スゥー カタ カタ カタ カタ

男「ねぇ、今ドア開けないで外に出て行ったんだけど」

神様「凄いであろう」

男「うん、凄すぎる」




229: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:16:07 ID:SPv0KEJU


 カタ カタ カタ カタ

官僚『うわ〜なんだコレ』

運転手『狐のぬいぐるみ?』


神様『夕飯を持ってきてやった』

官僚『女神様!?』


神様『そうだ、私が自ら操作して持ってきてやったのだ。 早く受け取れ』

官僚『わ・・・わざわざ すいません』イソイソ




230: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/19(火) 23:17:46 ID:SPv0KEJU


神様『女の作った最高のシチューだ。 残したらどうなるか分かっているであろうな?』

官僚『そんな、残すだなんて滅相もございません』

神様『うむ、これはお前達が食べ終わるまで置いておく。 おかわりが欲しければお運びちゃんの鼻を押せ。 私と通話が出来る』

官僚『は、はい・・・』

神様『3食は必ず届けてやる。 その代わりたっぷりと働け』

官僚『承知いたしました・・・』

 プツッ


男「1日3回官僚さん達にとっては拷問だよな。 しかもおかわりしづらいし」




232: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:08:20 ID:58rM90mM


神様「さてと、今日はもう休むとしよう」

男「どこか寝られるところある?」

神様「男は1階の神官宿直室を、女は私の執務室を使ってくれ」

女「はい」


神様「それと1階の突き当たりに温泉がある。 先ほど湯を張ったので使ってくれ」

男「すげー 温泉もあるんだ」

女「とても素晴らしい温泉なのよ?」

男「楽しみ! あっ、着替えとかないや。 なにかある?」

神様「当時の服でよければリンネル室にあるはずだ。 すまないが、女よ確認しておいてくれるであろうか」

女「承知いたしました」

神様「では明日。 良い夢が見られるよう」

女「ありがとうございます」




233: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:09:38 ID:58rM90mM


神様「あっ、男」

男「なに?」

神様「明日は朝8時に私のところに来てくれるか」

男「何かあるの?」

神様「幼の件で演算の結果が出るはずだ」

男「分かった」

神様「寝坊するなよ。 では良い夢を」スッー


女「じゃぁ温泉にいきましょうか」

男「はい」

 スタスタ




234: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:11:05 ID:58rM90mM


――― 温泉

女「ここが当館自慢、女神の湯でございます」ニコッ

男「うわ、旅館の温泉みたいな入り口」


女「着替えは脱衣所に持って行くので先に入っていて下さい」

男「ありがとうございます」

男「青い方の入り口で良いんですよね」

女「はい、そちらが男湯です」




235: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:13:32 ID:58rM90mM


男「脱衣所は、昔ながらの旅館って感じだな」ヌギヌギ

 ガラガラ


男「・・・・・・すごい」

店主「おー、雑用君じゃないか」

男「店主さん」

店主「どうだ、凄いだろこの温泉は」

男「凄すぎるんですけど。 一般に解放すれば結構稼げますよ」

店主「違いない」

男「なんで温泉なのに舞台とかまであるんですか・・・」

店主「俺もいろいろな温泉に行ったがここより凄いところはなかったな」

男「でしょうね・・・」




236: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:15:28 ID:58rM90mM


店主「ふ〜」チャポン

男「・・・・・・」

男「店主さん」

店主「あ〜ん」

男「店主さんって何者?」

店主「ん?」

男「いや、お店で譲ってもらった機械とかこの時代の技術の物じゃないんでしょ?」

男「神様も直ったやつべた褒めしてたし。 普通じゃ直せないんですよね?」

店主「女神様に褒められるとは嬉しいねぇ〜 涙が出そうだよ」




237: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:18:32 ID:58rM90mM


男「何者?」

店主「オレなんかたいしたことねぇよ。 ちょっと機械いじりが好きなジジイだ」

男「ただのじいさんとは思えないんだけど」


店主「5年前までヨーロッパのCERNという研究所で技術者やっていた」

男「聞いたことある! 世界一の研究所でしょ」

店主「あの装置に出会って衝撃を受けたんだ。 オレがもらい受けたときは粉々だったがな」

店主「絶対これを直してやるって。 まぁ、完成したのは退官した後だったけどな」




238: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:21:34 ID:58rM90mM


男「そんなに凄い機械なの?」

店主「あれは昔、女神様の技官長だったアインシュタインとフェルミが女神様の指示で作った物なんだ」


男「アインシュタインとフェルミ? 有名な物理学者じゃん」

店主「あの装置は今で言うところの量子テレポーテーションを行うために必要なEPRペアを作り出す物に近いんだが・・・」

男「?」

店主「まぁ、高校生には分からんよな」

男「はい」




239: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:24:53 ID:58rM90mM


店主「大学で物理学の道へ進んで改めてあの機械を見たとき・・・ 尋常じゃない技術だって事が分かった」

店主「一つ問題をクリアする毎に次の難関が待っていた。それをクリアするとさらに高度な問題が・・・ その繰り返し」


店主「気づいたらCERNにて、退官したら秋葉でガラクタ屋はじめてた」

男「はぁ、最後すごい端折りましたね」




240: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:25:47 ID:58rM90mM


店主「オレなんかより、女の方がすげぇよ」

男「さっきもそんなこと言ってましたね」

店主「彼女は次あたりノーベル賞もらうんじゃないか?」

男「ノーベル賞?」

店主「量子を使ったコンピュータと通信が専門の天才物理学者だ」

男「そんな風に見えないんですけど・・・」

店主「そりゃ、女神様なんかに比べたら赤子みたいなもんだしな」




241: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:26:56 ID:58rM90mM


男「もしかして、ここにいた人たちってみんな凄い人なんですか?」

店主「そう言えば元神官や技術者は結構有名な科学者になっているな、俺以外は」ハハッ

男「オレ場違いじゃん」

店主「そんなことはないんじゃないか? 大神官となりゃ将来は大有力株だ」

男「え〜 たまたま都合の良い出会いがあっただけですよ」

店主「それも一つの選ばれ方だ。 期待してるよ雑用くん」

男「雑用世界一でも目指すか・・・」

店主「さてと、温まったしそろそろ出るか」ザバー

男「あっ、オレも一緒に出ます」ザバー




242: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:28:21 ID:58rM90mM


 ペタペタ

男「そう言えば、女さんが着替えを用意してくれるって言ってたんですけど」

店主「お〜、あるじゃないか。 下着と、これは浴衣か?」ゴソゴソ


男「オレのは、コレか」ゴソゴソ

店主「なんか、すんげー木箱に入ってるな」

 パカッ

男「何コレ・・・」

店主「・・・・・・」




243: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:30:06 ID:58rM90mM


女「良いお湯でした。 あらっ」ホカホカ

男「・・・・・・」

女「良くお似合いですね」

男「なんですか? この服は・・・」

女「私も初めて見ました」

男「え〜、初めて見る服をチョイスしたんですか?」

女「大神官の御衣装なんて誰も見ていないですからね」

男「凄く動きづらいんですけど」ゴワゴワ




244: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 01:31:36 ID:58rM90mM


女「女神様の御衣装姿のお隣にたたれたらとてもお似合いだと思いますよ?」

男「ボクも女さんや店主さんが着ている浴衣が良いです」

女「大神官様に神官や技術者と同じ物を着させるなんてそんな恐れ多いこと」

男「女さん、楽しんでますよね絶対」

女「明日は必ずそのお姿でいらして下さいね? お浴衣はお部屋に用意してありますので。 ではお休みなさい」スタスタ


男「浴衣あるんじゃん・・・ しかし暑苦しいし、この飾り重いな・・・」ゴワゴワ




246: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:14:46 ID:58rM90mM


――― 研究所・2日目・朝

女「偉い偉い、ちゃんと着てきたんですね」

男「なんかコスプレみたいで凄く恥ずかしいんですけど」

女「似合っているわよ」ニコッ

男「こんな豪華な服を勝手に着て、神様に静電気MAX攻撃くらうかも・・・」

 ギィー

女「女神様、大神官様がお見えになりました」

神様「そうか、通してくれ」

女「はい」




247: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:15:52 ID:58rM90mM


男「神様〜 いる〜?」

神様「遅い! 30分も遅刻だぞ、昨日あれほ・・・ ど・・・・・・」

男「動きづらい」ゴワゴワ

神様「・・・・・・」

男「あ〜 女さんがこの格好で行けっていうから」

神様「・・・・・・」




248: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:17:27 ID:58rM90mM


男「神様?」

神様「ん? あぁ・・・そ、そうか・・・ うん」

男「やっぱ、マズいよね。 こんな豪華な服着ちゃ」

神様「いや・・・ まぁ、い・・・ 良いんじゃないか? うん ///」

男「なんで神様が照れてんの? こっちが恥ずかしいよ」

神様「・・・・・・」ポケー

男「神様ってば!」

神様「お? いや、似合っているぞ。 中々凜々しい姿だ」

男「何ソレ、ちょっとこの飾りみたいなヤツ重いから取るね」ンショ

神様「あ〜っ、そのままが良いと思うのだが・・・」シュン




249: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:18:34 ID:58rM90mM


男「それより、幼の件はどう?」

神様「・・・そうであるな。 ん〜 その椅子にでも腰掛けてくれ」

男「何か分かった?」ドッコイショ

神様「早朝にシミュレーションの結果が出た」

男「で、結果は?」

神様「結論から言うと幼は仮死状態にある」

男「死んでいるっていうのとは違うの?」

神様「表現が難しいのだが、幼の意識が非常に低い状態にあると言った方が良い」




250: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:20:17 ID:58rM90mM


神様「幼が仮死状態となった理由は分からない」

神様「しかしこの状態で特殊なアルゴリズムを用いるとアカシックとの接続が可能になるという結果が出た」

男「ごめん、もう少し優しくお願いします・・・」

神様「かなり複雑な状況だ」

男「アホにでも分かるように」


神様「まず幼の件に関しては大きな問題が2つある」

男「ふたつ?」


神様「1つ目は、幼が仮死状態となったこと」

男「うん」


神様「2つ目は、幼が今現在アカシックと接続していると言うこと」

男「そうだね」




251: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:22:05 ID:58rM90mM


神様「私が学校に行った初日のことは覚えているか?」

男「今月の1日だったけ」

神様「その日の朝方、私は男に近い者達へ記憶追加を行った」

男「神様がうち学校の生徒で、しかもオレの親戚だっていうやつ?」

神様「そうだ、男の周りの約800名に対し記憶追加を実行している」

男「そんなに!?」

神様「その後、記憶齟齬がないか小箱がベリファイを行った」

男「ベリファイ?」

神様「照合処理だ」

男「間違ってないか確認する作業?」

神様「そうだ。 最初の簡易検査では100万単位でエラーが出たため修復と再照合を小箱に任せた」




252: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:25:20 ID:58rM90mM


男「神様でもエラーなんてあるんだ」

神様「あるぞ? 私の演算などエラーだらけだ。 特にこのときは酷かった」

男「そう・・・ なんだ・・・」

神様「何しろ、この記憶追加作業で私は20年分のエネルギーを一瞬で消費している」

男「そんなに!?」

神様「あぁ。 ツングースカの時でさえ5年分のエネルギーしか使っていないしな」

男「もしかしてツングースカ大爆発? それ、すごく気になる」

神様「そうか? あの時はなぁ・・・ いや、今この話はよそう」

男「そうだね」

神様「で、朝7時にエラー修復が完了し正常終了という結果を小箱から受け取った」

男「結構ギリギリまでやってたんだ」




253: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:26:13 ID:58rM90mM


神様「しかし、この作業中に問題が発生していた」

男「問題?」


神様「まず、幼に記憶追加がされていたこと」

男「え? それって正常じゃないの?」

神様「幼は男と同じく私と脳波パターンが似ているため記憶操作が非常に効きにくい」

男「あ〜 前にそんなこと言ってたね」

神様「その場合、記憶操作を行うためには一定の条件が必要となる」

男「条件?」




254: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:27:05 ID:58rM90mM


神様「睡眠状態であること」

男「オレ寝たけど効いてないよ?」

神様「男には元々記憶操作は実行していない」

男「ホワイ?」

神様「記憶操作より手なずけた方が早いだろ?」

男「・・・・・・」




255: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:28:01 ID:58rM90mM


神様「幼は私が記憶操作を行う際に覚醒・・・ つまり起きていることが確認できた」

男「あいつ、そんな時間まで何してたんだよ・・・」

神様「さぁな。 しかし覚醒状態にあったのは間違いない」

男「つまり、幼に記憶操作することは不可能だったと」

神様「そうだ。 私は幼を記憶追加対象から外している」

男「でも幼は学校で普通に神様と接してたよね」




256: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:29:00 ID:58rM90mM


神様「小箱のログには幼がベリファイ中に睡眠状態になったため記憶追加を実行したと残っていた」

男「ふ〜ん」


神様「そしてもう1個。これは男も違和感を感じたはずだ」

男「・・・もしかして、幼のクラス?」

神様「あぁ、私はそのような改竄指示は出していない」

男「あの時もそんなこと言ってたよね」

神様「ログでは記憶齟齬を少なくするための追加補正とある」

男「・・・追加補正? そんなことしたら余計に他との齟齬が出そうな気がするんだけど」

神様「やはり、あの時きちんと精査するべきであった。 小箱を信用しすぎた私の失態だ」




257: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:29:56 ID:58rM90mM


神様「先ほど照合情報を再度調べたところ、ベリファイ結果に改竄された痕跡が見つかった」

男「改竄? 一体誰が・・・」


神様「・・・私だ」

男「はい?」

神様「正確には私の・・・ 小箱のバックアップからの改竄痕と判明した」

男「バックアップ!?」

神様「小箱は2つある。1つは男も知っている通り裏手の神殿に据え付けてあるものだ」

男「あぁ」

神様「もう1つ、本体・・・ その・・・ 脳がない状態の小箱がある」

男「思考する部分がない小箱って事?」

神様「そうだ。 小箱が担う高度演算とエラー補正を司る部分は単なるプログラムであるため替えが効く」

男「そうなんだ。 どこにあるの?」




258: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:30:45 ID:58rM90mM


神様「同じ場所にあるが他の次元に包まれており見ることは出来ない」

男「神様の小箱とは仕様が違うの?」

神様「あぁ、製造元が異なる。 バックアップの方はBSC製だ」

男「BSCって!」

神様「そうだ。 試しに1度繋いだことがあるがとんでもない欠陥品だ!」プンプン

男「あ〜・・・」




259: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:32:03 ID:58rM90mM


男「でも思考できないんなら、バックアップの小箱が改竄命令を出す訳ないよね」

神様「鋭いな・・・ 改竄痕に幼の脳波パターンがわずかであるが確認できた」

男「幼が?」

神様「私と脳波パターンが似すぎているため、全く気がつかなかった・・・」

男「じゃぁ、学校で会った幼はすでに・・・」

神様「あぁ、仮死状態となりアカシックと繋がっていたことになる」

男「一体何が・・・」




260: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:32:51 ID:58rM90mM


神様「・・・私が記憶追加を行う際に小箱が異常を検知しバックアップが起動している」

男「まぁ、確かに20年分のエネルギー使ってたら異常事態だよね」

神様「その後、バックアップが幼の脳と接続したと思われる」

男「なんでそこで幼に接続しちゃうわけ?」

神様「以前も話したが、幼はアカシック因子も有している」

男「うん」

神様「何かの原因で仮死状態となっていた幼の脳を私と思い接続対象と誤認したのであろう」

男「要するに神様と間違えたって事?」

神様「識別判定がお粗末すぎるな。 さすがBSC製なだけはある」

男「未来の超技術なのに・・・」




261: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:34:03 ID:58rM90mM


男「バックアップに接続して幼との接続を切るってのは?」

神様「改竄を実行しニセのベリファイを上書きした後、自ら故障信号を出し回線を切断している」

男「あぁ〜」

神様「それに幼が仮死状態に戻るだけだ。 原因が分からない今は危険すぎる」

男「そのまま死んじゃうこともあるのか・・・ それはダメだな」

神様「論外だ」




262: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:35:11 ID:58rM90mM


男「一つ聞いて良い?」

神様「なんだ?」

男「もし、バックアップが幼に接続していなければどうなってた?」

神様「・・・死んでいた可能性も否定できない」

男「って事は、バックアップは幼の命を救ったって事とか」フム

神様「いや、男に危害を加えている。 どんな演算であれ許される結果では無い」




263: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:36:03 ID:58rM90mM


神様「ただ男よ、これだけは言わせてくれ」

男「?」

神様「幼は悪くない。 絶対に幼は救う。 その時に幼に敵意は向けないで欲しい」

男「何言ってんの?」

神様「お願いだ、私の事はどんなに罵倒しても言い。ただ、幼だけは―――」

男「神様はオレがそんなことしたり言うようなヤツに見えるの?」

神様「・・・・・・」

男「問題ないよ」




264: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:36:53 ID:58rM90mM


男「でも、幼は仮死状態で意識はほとんど無いんでしょ? どうやってそんなことを」

神様「そこなのだ、その仕組みがよく分からない」

男「神様でも分からないの?」

神様「いくつか仮説はあるが、直接調べてみないことには判断が難しい」

男「小箱に意識が宿ったとか?」

神様「それはない。 幼の脳から小箱に命令を出しているのは間違いない」

男「でも今の幼にはそこまで考えるほどの意識はないんだよね」

神様「あぁ」




265: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:39:12 ID:58rM90mM


男「いや〜、複雑だな〜」

神様「最初にそう言った」


神様「私がはしゃいで学校など行こうと思わなければこんな事には・・・」

男「でもそのおかげで幼が生きている訳だからさ」

神様「本当に迷惑をかける・・・ すまない」

男「ま〜た、らしくないこと言って」




266: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:40:35 ID:58rM90mM


男「1つ気になるんだけど」

神様「?」

男「なんで、幼は俺と同じクラスにするなんて微妙な改竄を?」


神様「・・・・・・」ジロ

男「??」

神様「さぁな」プイッ


神様「さて、行くぞ」

男「え?」




267: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:45:18 ID:58rM90mM


 ギィー

男「あっ、女さん」

女「あら、打ち合わせは終わりました?」

男「はい」

女「それじゃ、女神様と男さんは神壇に上がって下さい」


神様「?」

男「なぜに?」

女「お二人でお写真を撮りましょう」

男「何言ってるんですか?」




268: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:47:01 ID:58rM90mM


女「あっ、男さんお飾り取っちゃダメですよ、ちゃんと付けてね」カチャカチャ

神様「なぜ写真など・・・///」

女「女神様? 奉職者の写真は撮っておくのではないのですか?」

神様「いや、そんな決め事を作った覚えはないのだが・・・ それに男だけで良いであろう」

女「ダメです、お二人で。 女神様と大神官様なんですからネ」

店主「そうですよ、昨日夜中に官僚達にカメラ持ってこさせたんですから」

男「わざわざそんなことを・・・」

女「ささっ、早く神壇へ。 朝食が冷めてしまいます」




269: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:48:02 ID:58rM90mM


男「もう〜」テクテク

神様「わ・・・ わたしもか?」

店主「もちろんですよ」

女「女神様も神壇へどうぞ」

神様「私は写真を撮っても写らないぞ?」

女「写るようになんとかして下さい」


神様「え〜っ・・・」




270: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:49:12 ID:58rM90mM


男「ここで良いですか?」

女「はい、あっ女神様? 御衣装を」

神様「着替えるのか!?」

女「さっ、お召し替え下さい」


神様「うっ〜 ///」

 ポワッ

神様「コレで良いか・・・?」

女「はい」ニコッ




271: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/20(水) 22:50:32 ID:58rM90mM


男「さすが女神様。 その格好よく似合うよ」

神様「う・・・ 嬉しいことを言う。 お・・・ 男も・・・ 似合ってるぞ ///」


店主「んじゃ、撮りますよ〜」

女「笑って下さーい」


男「・・・・・・」ニコッ

神様「・・・・・・」ニコッ


 ピピッ ピピッ ピピッ ピピッ ピピッ ピピッ ピピッ


神様「ちょ、何枚撮っているのだ!」

男「店主さん、撮り過ぎ・・・」




275: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:19:32 ID:PhMaUHDA


――― 研究所・2日目・朝食

神様「その金目鯛の煮付け美味しそうだな」

男「うまいに決まってんじゃん」モグモグ

神様「・・・・・・」

 パチッ

男「うひゃ!」ビクッ

男「ちょっと! なんで静電気出すの!!」

神様「私ではない、自然の静電気だろ」

男「絶対嘘だ。 タイミング的に神様しかいないって!」


神様「さて、食事しながらで良いので聞いて欲しい」

男「うめ〜 金目鯛の煮付けうめ〜」

 バチッ

男「うひゃい!」ビクッ




276: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:21:16 ID:PhMaUHDA


神様「先ほど男と話をした件に関して報告しようと思う。 話をしても良いだろうか男よ」

男「ん? あ〜良いと思うよ」

神様「うむ」







277: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:22:14 ID:PhMaUHDA




神様「という訳だ」

女「仮死状態・・・」


店主「一つ気になることがあるんですが」

神様「なんだ?」

店主「幼ちゃんはアカシック接続に必要なエネルギーはどうやって得てるんです?」




278: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:24:50 ID:PhMaUHDA


神様「お菓子だ」


店主「・・・・・・」

男「・・・・・・」

女「・・・・・・」


神様「? お菓子だ」

店主「えぇ、聞こえました」




279: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:26:38 ID:PhMaUHDA


男「お菓子でエネルギー取れるの?」

神様「正確に言えば糖分であるが。 技術的には100年以上は先のものであろう。 羨ましい。」


男「じゃぁ、神様もエネルギーを別の方法で取れば良いじゃん」

神様「私は・・・ 必要ない」

男「糖分をタンクかなんかにいっぱい入れてさ」

神様「私のエネルギーは異なる仕組みのため無理だ」

男「だってエネルギーの残り3ヶ月切ってるんでしょ? 何とかしないと」

店主「!?」

女「!?」

男「あっ」




280: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:28:27 ID:PhMaUHDA


神様「よい。 男が言ったとおり私のエネルギーは残り少ない」

女「そんな・・・」

店主「では、女神様のエネルギー問題を解決する方が先じゃ?」


神様「いや、いいのだ。 私は放っておいても先はそれほど長くない」

男「え!?」


神様「私は2025年に自動停止するようプログラムされている」

男「なんで・・・」

神様「そうでないといけないのだ。 私も詳しく話してしまいたいのであるが・・・」

神様「プログラムで禁じられており解除できない」




281: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:30:19 ID:PhMaUHDA


神様「もう1つ、ついでだ暴露する。私のアカシック接続が1%を切った」

女「そんなに少なく・・・」

神様「ほとんど小箱の機能しかない状態だ」

男「・・・・・・」


神様「未来の技術を取り出すことは出来ないが・・・ 今の科学技術だけでも十分やっていけると信じている」

男「神様・・・」

神様「心配するな。 ひよっこニセ女神と200年以上女神として生きてきた私とでは格が違うぞ?」


神様「さて、ではそれぞれ作業に取りかかろう」




282: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:32:23 ID:PhMaUHDA


――― 研究所・2日目・技官室

 ガチャ

男「店主さん居ます〜?」

店主「おう、奥に居るぞ」


男「うわっ、すげー」

店主「凄いだろ。 こんな設備を持ったところなんて世界中探してもここだけだ」

男「なんか見たことない装置ばっかり」

店主「70年前に作られたくせに、最新のシステムですら制御可能とはビックリだ」

男「どんな仕組み?」

店主「オレにもさっぱりだ」




283: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:38:56 ID:PhMaUHDA


店主「だが操作方法は簡単だし、何かあったときの対処方法も分かりやすい」

男「へぇ〜」


店主「でだ、男に頼みたいことはこれだ」ドサッ

 バラ バラ

男「あ〜 ファイルが制御盤の上に落ちましたよ」

店主「おぉ、いけね」

男「これは?」ペラッ

店主「超厄介な電磁波照射施設の資料だ」

男「何をすればいいんです?」

店主「何とかして穴を見つけたい」

男「そうですよね」




284: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:41:10 ID:PhMaUHDA


店主「一緒に考えてくれ」

男「オレも?」

店主「そうだ。 当然オレも考えるが全くお手上げだ」

男「そんなCERNの技術者でも分からない物をどうやって?」

店主「どうにかして?」

男「・・・・・・」


店主「思いついたことを手当たり次第調べて欲しい。 そのための施設だ」

男「でも、ここの機械の使い方なんて分かんないですよ?」

店主「やりたいことを聞いてくれ。 使い方は教える」

男「すさまじい無茶ぶりっすね」

店主「こういうのは頭の固くなったジジイより若いやつの方が良い閃きをするんだ」




285: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:42:43 ID:PhMaUHDA


男「え〜・・・ でも、これって神様が調べた方が早いんじゃないですか?」

店主「そうかもな」

男「じゃぁ」


店主「女神様は完全にオーバーフローだ、回線だって男のスマホ経由なんだぞ?」

男「まぁ確かに」

店主「今まで携帯の回線だけで無茶してたんだ。 エネルギー消費も凄かっただろうよ」

男「そうなんだ・・・ 神様そんなこと全然言わないから」

店主「心配させたくなかったんだろ」


男「神様のエネルギーってやっぱり増やす事って出来ないんですか?」

店主「どうなんだろうな〜 オレは小箱を見たことないから何とも言えないが」

男「でもこのままじゃ神様が・・・」




286: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:43:48 ID:PhMaUHDA


店主「・・・ 女神様が隔離されたときの話は聞いているか?」

男「神託を独占しようとしたヤツの計画だってくらいです」


店主「そいつは女神さまの第1神官だったんだ」

男「え?」

店主「一番信頼していたヤツに女神様は裏切られたんだ」

男「そんな・・・」


店主「BSCに買収されてたんだよ」

男「買収!?」

店主「あいつは他の神官全員を拘束して女神様に交換条件を出しやがった」

男「交換条件?」




287: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:45:22 ID:PhMaUHDA


店主「自分を大神官にすること」

男「大神官・・・」

店主「俺は神官じゃないから詳しくないが、大神官は女神様の神託を思い通りに聞き出すことが出来るそうだな」


 ――― 神様「女神は大神官にその知識を隠さず話すことを誓う。」


男「・・・・・・」


店主「そんなことが出来りゃ、怖いもんなしだ」

男「で、神様は?」

店主「断ったさ。 当たり前だ」

男「・・・・・・」




288: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:47:10 ID:PhMaUHDA


店主「そして、あいつはメガミーラインと小箱が繋がる回線を全部遮断した」

男「そんなこと出来るの?」


店主「女神様自身に二度と接続できないように壊させたんだ」

男「なんで神様はそんなことを」

店主「この先存在を確認したら神官の命の保証はないと言いやがった」

男「・・・・・・」


男「でも、神官はみんな助かったんでしょ? 女さんが言ってたよ?」

店主「あぁ、やっつけたよ」

男「?」

店主「やっつけた」

男「店主さんて、肝心なところを端折る癖ありますよね」

店主「そうか?」




289: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:49:54 ID:PhMaUHDA


店主「その後、みんなで必死になって女神様を探したんだけどな」

男「見つからなかったと・・・」

店主「女神様のいる・・・ 神殿っていうのか? その場所も分からねぇし、どんな通信で呼びかけても返事は無かった」


店主「男が女神様を見つけてくれたんだろ?」

男「まぁ、偶然ですけどね」

店主「女神様ビックリしたんじゃねぇか?」


男「・・・ 神官は皆無事か?!って」

店主「?」


男「俺と会ったときの神様の第一声です」

店主「そうか・・・」




290: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:51:04 ID:PhMaUHDA


男「信頼していた人に裏切られて、50年以上も一人隔離されてそんな仕打ちをされても・・・ まだ他人の心配するなんて・・・」

店主「・・・・・・」フッ

男「凄いですよね神様って」

店主「違いない」

男「・・・・・・」

店主「・・・・・・」


店主「さて、何でこんな話をしたてるんだろうな〜?」

男「神様の力が弱っているってところから脱線しました」

店主「あ〜、そうか」

男「でも、昔の話聞けて良かったです」

店主「まっ、これ以上は女神様に負担はかけたくないってことだ」

男「そうですね」

店主「だからコレは俺とお前でカタを付けたい」

男「はい」




291: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:52:42 ID:PhMaUHDA


店主「よし、ところで、女神様は男の学校に行っていたんだろ?」

男「えぇ、一緒に旅行も行きましたし部活も参加してましたね」

店主「へぇ、どんなだったんだ? 高校生女神様は」


男「・・・ この会話って神様聞いてないですよね?」

店主「聞こえていたらとっくに怒鳴り込んできてるよ」フッ

男「まぁ、そうですよね」




292: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/21(木) 21:54:23 ID:PhMaUHDA


男「神様って、ああ見えて乙女趣味で、照れ屋で褒めるとすぐ赤くな―――」

神様「オルァァーーーー! 男!! お前何を言ってるんだーーー!!」スッ

男「げっ! 神様?!」

神様「げっ、ではない! 覚悟しろ! 神罰だー!!」

 バチッ バチッ バチッ バチッ

男「やっぱ聞いてんじゃんよーーー! 痛い! 痛い!」

神様「所内放送くらいオフにしておけーー!」


店主「あっ、ごめ〜ん男・・・」ポチッ




294: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/22(金) 22:28:14 ID:p6XSoMk6


 ヨロヨロ

女「あら、お二人とも生きてらっしゃったんですか?」

男「カロウジテ」

店主「ミギニオナジク」


女「なんか歩き方おかしくありません?」

男「ハイ、正座で仕事をしておりました」


神様「自業自得だ、あほ」フン

女「まぁ」フフッ

神様「執務室にいる。何かあれば連絡を」スッ

女「はい」


男「・・・・・・」




295: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/22(金) 22:30:20 ID:p6XSoMk6


 ギィー

男「神様いる?」

神様「なんだ、何か用か?」

男「ちょっと時間良い?」

神様「あぁ」


男「さっき、店主さんから昔のことを聞いた」

神様「・・・所内放送をオンにしてベラベラ喋っていた件か?」

男「やっぱ最初っから聞いてた?」

神様「ハァー、全て本当のことだ」




296: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/22(金) 22:32:10 ID:p6XSoMk6


男「オレが大神官なんかで良いの?」

神様「・・・・・・」


男「神官を全員人質に取られても拒否したんでしょ?」

神様「・・・・・・」


男「神様が50年以上も隔離されてまで護ってきた職なんでしょ?」

神様「・・・・・・」


男「そんな大切な大神官がオレみたいな高校生なんかに―――」

神様「勘違いするな」

男「!?」




297: ◆8YCWQhLlF2 2016/01/22(金) 22:33:49 ID:p6XSoMk6


神様「大神官は私が決めることだ。他の誰でもない。私自身だ」

男「でも―――」

神様「私が男を大神官にしたいと思った。それだけだ」


神様「不満か? 私は223年の間で大神官はお前だけだと思っている」

男「神様・・・」

神様「男が大神官を辞めると言っても、私の中では消えるまでお前が大神官だ」


神様「深く考える必要は無い。 男は今まで通りの男でいて欲しい」

男「わかった」

神様「よし」ニコッ