231 名前:そこそこ漫画家[] 投稿日:02/02/07 10:39 ID:p6VHnfS2
俺は漫画家なんだけど、出版社気付でファンレターが来る。
そんな大御所でもないし掲載紙もややマイナーなので、その数は
一ヶ月で数十通程度なのだが、ヒマな俺はその大半にサイン色紙を送っている。
その中に住所が病院の子からのワープロ打ちの手紙があって、
見るとその病院はうちから車で20分くらいのところにあった。
ファンレターをくれるくらいなら、きっと直接あげたらもっと喜ぶだろうと思った。
いや、それと同時にヒマな漫画家の俺がそのときはきっとスター気分に浸れるだろう
というスケベ根性ももちろんあって、俺はその病院に向かった。
行って見ると、面会受付にその子の母親が偶然そこにいて恐縮した様子だった。
バカな俺はそれでスター気分に酔い始めた。
その子に会って俺は愕然とした。「これは・・・人類なのか?」
折れそうな手足、頭蓋骨の輪郭がはっきりわかる顔つきは命の気配を感じず、
かろうじて動く手で五十音を書いた板を指して意思の疎通をする状態だった。
俺が動揺しながらも、その子に話しかけ、連載している漫画のキャラクターを
目の前で描いてみせると、その子は体を激しく痙攣させ、目から涙、鼻から鼻水、
口からよだれを流しながら、激しく震える手で五十音の板をまさぐり、
たった四文字をありったけの力で俺に伝えてきた。
う・れ・し・い
俺はその瞬間スター気分が吹っ飛んだ。その代わり(その子にとっての)スターを
演じ切って、帰りの車を運転しながら泣いた、昼間だったが声をあげながら泣いた。
藤子は、石ノ森は、そして手塚は、俺みたいな経験をしたことがあったのだろうか。
232 名前:大人の名無しさん[] 投稿日:02/02/07(木) 13:50 ID:nVhG3KqZ
>>231
あなたは、あなたがその子に与えた以上のものを
その子から貰ったのかもしれませんね。
どうぞ、これからも良いお仕事をなさって下さい。
234 名前:大人の名無しさん[] 投稿日:02/02/07(木) 21:27 ID:2r8Z12cq
>>231さん
もう泣けて泣けてしょうがなかった。
今ようやく落ち着いてこうやってキーボードを打っている。
その子のためにも、どうか身体に気をつけて
人に夢を与えられる作品を生み出していってほしい。
そしていつか私もあなたの作品に触れてみたいと思うよ、
237 名前:そこそこ漫画家[sage] 投稿日:02/02/08(金) 01:32 ID:W2BhoA7k
>>232-236
少し落ち着いたその子とは、いろんな事を話した。
「せんせいのすきなたべものはなんですか」
「すきーはやったことありますか」
「おやすみのひはなにをしていますか」
俺はすべての質問に丁寧に答えた。
そして最後の質問「○○○は、○○○○をどうやってたおすのですか」
この質問に俺は思わずこう言ってしまった。
「○○○○とはね、もうすぐ決着がつくんだ。でもね、今度は
新たなる敵が登場するぞ、今度の敵は恐ろしいぞぉ!なんと○○○の
必殺技が通じないんだよ、あああ!ここまでしか言えないなあ!!!!」
その子の笑顔は健常者からみると、ただ歪んで見えるだけだったけど
明らかに、俺の話を聞いたそのか細い体の中に、
(つきなみな表現だが)熱い血がたぎっていってるのがわかった。
そう、この子は病人だけど少年、男なんだと再確認した。
俺は漫画家、少年を熱く燃えさせてなんぼの商売だ。
(本当は「萌え」させる方が金にはなる)
ってなわけで、今必死にその「新たなる敵」を描いている。
とりあえず設定まではできたけど、どうやって倒すのかなんて考えていない。
俺は漫画家なんだけど、出版社気付でファンレターが来る。
そんな大御所でもないし掲載紙もややマイナーなので、その数は
一ヶ月で数十通程度なのだが、ヒマな俺はその大半にサイン色紙を送っている。
その中に住所が病院の子からのワープロ打ちの手紙があって、
見るとその病院はうちから車で20分くらいのところにあった。
ファンレターをくれるくらいなら、きっと直接あげたらもっと喜ぶだろうと思った。
いや、それと同時にヒマな漫画家の俺がそのときはきっとスター気分に浸れるだろう
というスケベ根性ももちろんあって、俺はその病院に向かった。
行って見ると、面会受付にその子の母親が偶然そこにいて恐縮した様子だった。
バカな俺はそれでスター気分に酔い始めた。
その子に会って俺は愕然とした。「これは・・・人類なのか?」
折れそうな手足、頭蓋骨の輪郭がはっきりわかる顔つきは命の気配を感じず、
かろうじて動く手で五十音を書いた板を指して意思の疎通をする状態だった。
俺が動揺しながらも、その子に話しかけ、連載している漫画のキャラクターを
目の前で描いてみせると、その子は体を激しく痙攣させ、目から涙、鼻から鼻水、
口からよだれを流しながら、激しく震える手で五十音の板をまさぐり、
たった四文字をありったけの力で俺に伝えてきた。
う・れ・し・い
俺はその瞬間スター気分が吹っ飛んだ。その代わり(その子にとっての)スターを
演じ切って、帰りの車を運転しながら泣いた、昼間だったが声をあげながら泣いた。
藤子は、石ノ森は、そして手塚は、俺みたいな経験をしたことがあったのだろうか。
232 名前:大人の名無しさん[] 投稿日:02/02/07(木) 13:50 ID:nVhG3KqZ
>>231
あなたは、あなたがその子に与えた以上のものを
その子から貰ったのかもしれませんね。
どうぞ、これからも良いお仕事をなさって下さい。
234 名前:大人の名無しさん[] 投稿日:02/02/07(木) 21:27 ID:2r8Z12cq
>>231さん
もう泣けて泣けてしょうがなかった。
今ようやく落ち着いてこうやってキーボードを打っている。
その子のためにも、どうか身体に気をつけて
人に夢を与えられる作品を生み出していってほしい。
そしていつか私もあなたの作品に触れてみたいと思うよ、
237 名前:そこそこ漫画家[sage] 投稿日:02/02/08(金) 01:32 ID:W2BhoA7k
>>232-236
少し落ち着いたその子とは、いろんな事を話した。
「せんせいのすきなたべものはなんですか」
「すきーはやったことありますか」
「おやすみのひはなにをしていますか」
俺はすべての質問に丁寧に答えた。
そして最後の質問「○○○は、○○○○をどうやってたおすのですか」
この質問に俺は思わずこう言ってしまった。
「○○○○とはね、もうすぐ決着がつくんだ。でもね、今度は
新たなる敵が登場するぞ、今度の敵は恐ろしいぞぉ!なんと○○○の
必殺技が通じないんだよ、あああ!ここまでしか言えないなあ!!!!」
その子の笑顔は健常者からみると、ただ歪んで見えるだけだったけど
明らかに、俺の話を聞いたそのか細い体の中に、
(つきなみな表現だが)熱い血がたぎっていってるのがわかった。
そう、この子は病人だけど少年、男なんだと再確認した。
俺は漫画家、少年を熱く燃えさせてなんぼの商売だ。
(本当は「萌え」させる方が金にはなる)
ってなわけで、今必死にその「新たなる敵」を描いている。
とりあえず設定まではできたけど、どうやって倒すのかなんて考えていない。