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海未
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穂乃果
images (33)

1: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:30:29.18 ID:8aUZeZpm.net
穂乃果「はぁーー……」

テクテク

穂乃果「今日もさむいねぇ…」
海未「そうですねー…」

テクテク…

穂乃果「あ」
穂乃果「コンビニあったら寄ってもいい?」

海未「?何を買うんですか?」

穂乃果「肉まん」

海未「にくまん…」

2: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:31:19.62 ID:8aUZeZpm.net
テクテク

穂乃果「あ、コンビニみえてきた!」
海未「……」

テクテク

穂乃果「寄ってもいい?」

海未「……」
海未「寄りません」

穂乃果「へっ?」

テクテク

穂乃果「……」
穂乃果「え?」
穂乃果「寄っちゃだめなの?」

海未「ダメです」

穂乃果「え、ええっ!」

海未「……」

穂乃果「ど、どうして??」

海未「…また肉まん買うつもりでしょう?」

穂乃果「うん」

海未「肉まんはダメ、です」

3: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:31:45.69 ID:8aUZeZpm.net
穂乃果「な、なんで?」

海未「……なんでって」

穂乃果「海未ちゃん肉まん好きでしょ??」

海未「す、好きですけど」

穂乃果「おいしいよ~?冬の肉まん」

海未「そ、それは……っっ」
海未「……そうですね。その通りです。寒空の下で食べる肉まんは最高です……」

穂乃果「ね。それなら」

海未「そ、それでも……ダ、ダメなんですっっ!」

5: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:32:32.76 ID:8aUZeZpm.net
穂乃果「??変なのー。好きなのにダメなんて」

海未「肉まんは…ダメなんです…」

穂乃果「なんで肉まん限定…?」

海未「なんでって…昨日約束したじゃないですかっ」

穂乃果「やくそく」
穂乃果「……約束?」

海未「わすれたんですか?」

穂乃果「わすれた」

海未「……近頃、帰り道に肉まんばっかり食べてるから明日からはもう食べない、って」
海未「肉まんはもう今日で最後だー、って。昨日約束したじゃないですか」

穂乃果「あぁ、そういえば」

6: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:33:10.83 ID:8aUZeZpm.net
海未「最近の私たちは肉まん食べすぎです」
海未「昨日も一昨日も…一昨々日もたべました」

穂乃果「さきおととい?」

海未「一昨日の一日前の日です」

穂乃果「あぁ」


テクテク…
海未「栄養偏りすぎです。最近のわたしたちは」

テクテク
海未「高校を卒業して大学に入って、
親元を離れて三人だけで生活してるとはいえ、
自由奔放な生活をしていいわけではないのです」

テクテク
海未「しっかりと規則正しい生活を送らないといけません」
海未「大学生とはいえまだ親の保護の下にあるんですから。」

穂乃果「……」


海未「肉まんはダメ」
海未「……ダメなんですっ」

穂乃果「……」

テクテク

7: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:33:44.23 ID:8aUZeZpm.net
テクテク

穂乃果「…そっか」
穂乃果「わかった」

テクテク

海未「わかってくれましたか」

穂乃果「うん」

海未「……穂乃果の気持ちは痛いほどよくわかります」
海未「たしかに冬の肉まんは、最高においしい」

穂乃果「おいしいよね」

海未「冷たい空気を吸い込みながら、ほくほくと肉まんにかぶりつく瞬間は最高に幸せな瞬間です」
海未「真冬にコタツに入りながら、アイスをかじりつくくらいに最高の瞬間です!」
海未「わたしも、できることなら肉まんは食べたいですよ……!!」

穂乃果「うん」

海未「でも……それでも!ダメなんです!
最近毎日帰りに肉まんたべてるじゃないですか!だ、だから…!!」

穂乃果「うん。わかった」

海未「わかってくれますか?」

穂乃果「わかったわかった」
穂乃果「じゃあ、あんまんにする」

海未「種類の問題じゃないんですって!」

8: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:34:07.51 ID:8aUZeZpm.net
穂乃果「あんまんなら問題なし」

海未「そういう問題じゃないんですぅ!」

穂乃果「いやいや。そういう問題だよ?」

海未「え、えぇっ?」

穂乃果「……たしかに肉まんは食べない約束はしたけど」
穂乃果「でもあんまんを食べないって約束した覚えはないもん」

海未「……」

穂乃果「だからあんまんはセーフ」
穂乃果「おーけー?」

海未「………」

9: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:34:55.75 ID:8aUZeZpm.net
海未「……」
海未「……」
海未「……」

穂乃果(ものすごい悩んでる…)

海未「……………で、でも約束を…」ボソッ

穂乃果「……」
穂乃果「海未ちゃん」

海未「は、はい」

穂乃果「昨日は肉まんは食べないって約束したよね」

海未(コクン)

穂乃果「でもあんまんは?あんまんではしたの??」

海未「し、してません」

穂乃果「ということはあんまんはセーフ、なんじゃないかな」
海未「そ、それは…」

穂乃果「わたし間違えたこと言ってるかな」

海未「………」
海未「…い、いいんでしょうか?食べても」

穂乃果「いいんだよ?だって肉まんのことしかいってないもん」

海未「……」

11: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:36:23.63 ID:8aUZeZpm.net
海未「……わかりました」

穂乃果「お」

海未「たしかに、昨日の約束は肉まんの話しかしていません」
海未「あんまんについては一切触れてていません」

穂乃果「うん」

海未「なのであんまんは…セーフです」

穂乃果「やった!」

海未「でも今日だけ。今日だけですからね?
明日からはあんまんもダメですから」

穂乃果「りょうかい~」

海未「と、ということで」
海未「さ!ほのか!
それじゃあコンビニに行きましょ~っ!!」

穂乃果「率先してコンビニに……ま、まってよ海未ちゃーん!」

・・・・
・・・
・・

12: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:37:03.11 ID:8aUZeZpm.net
・・・・
・・・
・・


in 次の日

穂乃果「はぁーー……」

テクテク

穂乃果「今日もさむいねぇ…」
海未「そうですねー…」

テクテク…

穂乃果「あ」
穂乃果「コンビニあったら寄ってもいい?」

海未「……」ジト-…

穂乃果「寄ってもいい?」

海未「…何を、買うつもりですか?」

穂乃果「まぁ。うん」

海未「何を買うんですか?」

穂乃果「いや、うん。あれあれ」

海未「あれってなんです?」

穂乃果「うん」

海未「うんじゃなくて」

13: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:37:31.07 ID:8aUZeZpm.net
テクテク

穂乃果「海未ちゃんって中華まん嫌いだったっけ」

海未「大好きです」

穂乃果「知ってる。昨日も美味しそうに頬張ってたもんね」
海未「まぁ。そうでしたかね」

穂乃果「昨日の海未ちゃんものすごい勢いでたべてたもん。
わたしも食べられるかと思った」

海未「お、お行儀よく静かにたべてましたよっ」

テクテク

14: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:38:31.68 ID:8aUZeZpm.net
海未「ダメですからね、肉まんは」

穂乃果「わかってるわかってる」

テクテク

穂乃果「肉まんとあんまんは、ダメなんだよね」
穂乃果「じゃあそれ以外ならセーフだ」

海未「……」

穂乃果「今日はなにまんにする?カレーまん?ピザまん?チョコまん??」

海未「……」
海未「…ほのか」

穂乃果「?」

海未「ちょっとだけ、ここ一週間の帰り道を振り返ってみてもいいですか?」

穂乃果「?いいけど」

15: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:41:39.95 ID:8aUZeZpm.net
海未「昨日、穂乃果があんまんを食べたい食べたいとしつこく言うから、
仕方なく、あんまんを買いましたよね」

穂乃果「買った」
穂乃果「海未ちゃんも同意の上で一緒に買った」

海未「……ま、まぁ、そうですね。私も買いました」

穂乃果「口いっぱいに頬張って幸せそうにパクパクたべてた」

海未「わ、私がどう食べてたかはどうでもいいんですっ!」

テクテク

海未「…そして一昨日は、肉まんを買いましたよね」

穂乃果「うん」

海未「そして一昨々日も、ほのかは肉まんを買いました」
穂乃果「うんうん」

海未「そしてその4日前も、5日前も、6日前も、買いました」
穂乃果「そういえばそうなるね」

海未「最近、あきらかに中華まん買い過ぎです」
海未「毎日肉まんなんて健康にいいはずありません。塩分過多です」

穂乃果「まぁ」

海未「肉まん当分禁止」

穂乃果「……」

16: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:43:09.86 ID:8aUZeZpm.net
穂乃果「……」
穂乃果「カレーまんも?」

海未「カレーまんも禁止」

穂乃果「ピザまんも?」
海未「ピザまんも禁止」

穂乃果「ビーフカレーまんも?」
海未「禁止」

穂乃果「あんまんも?」
海未「…それは昨日の時点で禁止」


穂乃果「肉まん、あんまん、カレーまん、
ピザまん、ビーフカレーマンはダメってこと?」

海未(コクン)

穂乃果「やった!じゃあ豚角煮マンはセーフだ!」

海未「中華まん全般禁止」

穂乃果「あー」

17: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:43:47.71 ID:8aUZeZpm.net
穂乃果「で、でも!」
海未「はい」

穂乃果「塩分取り過ぎた分、その分甘いもの食べて中和してるし!」
海未「塩分は糖分で中和されません」

穂乃果「でも和菓子で中和しようとしてるんだよ?」
海未「和菓子がなんだっていうんですか」

穂乃果「で、でも中国4000年の歴史なんだよ??」
海未「中国にピザまんもビーフカレーマンもありません」

穂乃果「で、でもさー!」

海未「残念ながら今日の私の意志は巌のように硬いです」
海未「諦めてください」

穂乃果「くうっ……!昨日の海未ちゃんはちょろかったのに……!!」

18: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 00:45:55.46 ID:8aUZeZpm.net
海未「気持ちを改めました」
海未「ほのかと私と、そしてことりの食生活を管理する身として、
乱れた食生活は金輪際認めません」


穂乃果「……昨日はほっぺたに餡子つけて
子供のように無邪気に肉まんにむしゃぶりついてたあの海未ちゃんが……」

穂乃果「両手にあんまん2つ持ってかぶりついてたあの海未ちゃんが!」

穂乃果「こんなに変わってしまったなんて!!」


海未「き、昨日の話はもういいんですってば!!」

ばんっ

海未「と、とにかく!もう肉まん、もとい中華まんは禁止!禁止ったら禁止です!」

穂乃果「で、でも」

海未「ダメなものはダメです!これからは親元を離れて生活するんですから
しっかり食生活をコントロールしないと!」

海未「さ。行きますよ!穂乃果!」

穂乃果「Oh…」オロオロ

32: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 08:57:37.92 ID:UiDIumSM.net
テクテク…

穂乃果「あぁ…コンビニが離れていく…」

テクテク

海未「ちなみにコンビニなら200m先にもありますよ」

穂乃果「おっ!」
海未「まぁ、寄りませんけど」
穂乃果「あぁ…」

テクテク……


穂乃果「……」

むすー……

海未「…何か言いたげですね」

穂乃果「……海未ちゃんは中華まん食べたくないの?」

海未「食べたいです」

穂乃果「だよね。昨日はあんなに美味しそうにがっついてたもん」

海未「だ、だからがっついてないですってばっ」

穂乃果「……」ムス-…

33: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 08:58:05.35 ID:UiDIumSM.net
海未「……穂乃果。ちょっとだけ振り返ってみてください、
最近の私たちの帰り道を」

穂乃果「それはさっきやった」

海未「まだ続きがあるんです」
海未「寒い寒い言ってはコンビニに行って暖かいものを買ってますよね、私たち」

穂乃果「そうらしいね」

海未「そうらしい、じゃなくそうなんです」
海未「それで、この前改めて総額を計算してみたんですが」

穂乃果「?うん」

海未「…まぁ、そこそこの額になっていまして」

穂乃果「……あー」

海未「まぁ」

穂乃果「お金かぁ」
穂乃果「そっか」

海未「はい」

34: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 08:58:26.86 ID:UiDIumSM.net
海未「この前ルームシェアで引っ越ししたばかりでお金もあまりないですし……」

穂乃果「うーん……」

海未「なので当分コンビニには寄らないようにしないと……」

穂乃果「うーーん…」
穂乃果「うーーーーん……」

テクテク…

穂乃果「……あ!」
ピョコン!
穂乃果「コンビニ見えてきた!」

海未「話聞いてました?」

35: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 08:58:53.77 ID:UiDIumSM.net
穂乃果「コンビニだ!」
海未「コンビニですね」

穂乃果「寄っ!」
海未「寄りませんよ」

穂乃果「寄っt!」
海未「寄りませんって」

穂乃果「まって海未ちゃん」

海未「コンビニには、寄りません」

穂乃果「ほのかまだ「よっ」しか言ってないよ?」
穂乃果「『寄っていい?』なんてひとつも言ってないし」


海未「なるほどたしかに。失礼しました」
海未「まさか、お金がないと言ってるのに無邪気に

「寄っていい?肉まん買いに行こう!」
だなんて言うわけないですよね」

穂乃果「そうそう」

海未「じゃあなんて言おうとしたんですか?」

穂乃果「よっちゃんイカ」

海未「そうですか。よかった」

穂乃果「うん」

テクテク

穂乃果「……」
海未「……」

テクテク

穂乃果「……」
穂乃果「寄っていい?」

海未「ダメです」

41: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 11:32:20.23 ID:UiDIumSM.net
テクテク
穂乃果「……」

テクテク
穂乃果「…………」

テクテク
穂乃果「………………」

テクテク…ピタッ


穂乃果「……な」
穂乃果「なんでさーーーーーーー!!」
穂乃果「なんで買っちゃダメなのーーっっ!!!」

海未「はーじまった」

穂乃果「ほのかあんまんたべたいのにーーーー!!!!」

海未「肉まんじゃありませんでしたっけ」

穂乃果「肉まん!!肉まんたべたいーーっっ!!」

海未「我慢の時ですよ、ほのか」

穂乃果「あーあーきこえませーんファミマ行ってきまーす」

海未「だ、ダメですってばっ

穂乃果「海未ちゃんが何と言おうとほのかは買うよ!あんまんと肉まん!」

海未「さ、さらっと2つに増えてるっ!」

42: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 11:32:59.32 ID:UiDIumSM.net
穂乃果「いざ!ファミマへゴー!」

ダダダダ!

海未「ちょちょちょっ!ほのか!たんまですっ!!」

穂乃果「もう待たない!ほのかは止まらないよ!」

海未「ま、待ってください!忘れたんですか!?あの日の約束を!!」

穂乃果「約束って昨日のあんまん食べないって約束?!
そんなもの、これから食べるあんまん肉まんカレーまんと一緒に食べちゃうよ!!」

海未「落ち着いて思い出してください!
あれはそう、お正月に二人で家電屋さんに行った時の話です!」

穂乃果「かでん、やさん…?」

・・・・
・・・
・・

43: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 11:38:11.79 ID:UiDIumSM.net
in 家電屋さん
穂乃果「あ!あったあった!
海未ちゃーん!ことりちゃーん!
炊飯器コーナーあったよ~!」

海未「どれどれ……へぇ。色々あるんですね」

穂乃果「あれ?ことりちゃんは?」

海未「お手洗いです。後から来ます」

穂乃果「どれ買おっかー。
色んな種類の炊飯器があって迷っちゃうねー。」

海未「私はどれでもいいですよ」

穂乃果「おぉ?みてみて海未ちゃん!圧力かまど炊き炊飯器だって!」
穂乃果「かまどで炊いたお米らしいよ?!」


海未「それはかまどではありません。それはただの炊飯器です」
海未「かまどで炊いた、ではなく
かまどで炊いたような味わいのご飯、ということでしょう。」
海未「まぁ、たかが電気機器が本物のかまどで炊くご飯の美味しさを真似るなんてこと、できるはずがありませんけどね」


穂乃果「へぇー」(スルー)
穂乃果「あっ!へぇー!
このかまど炊き炊飯器は、他の炊飯器とはワンランク上の美味しさなんだってー!へ~!」

海未「炊飯器なんてどれも同じですよ」

穂乃果「えー?でもこのご飯の写真すごく美味しそうだよー?いいなぁ」

海未「私の家のかまどで炊いたご飯と比べれば全然ですよ」

穂乃果「そういえば海未ちゃんちはかまどでいつもご飯炊いてるんだっけ」

海未(コクン)

44: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 11:39:08.97 ID:UiDIumSM.net
海未「本物の釜で炊いたお米はすばらしいですよ?」

穂乃果「へぇ」

海未「まさに大地の宝、炊き上がったお米の輝きはまさにダイヤモンドです」

穂乃果「へぇ」
穂乃果「あ。ねぇねぇ海未ちゃん。炊飯器はこれにしよ?」

海未「えっ。もっと安いのを買いましょうよ」

穂乃果「でもこの炊飯器は特別美味しいらしいよ?」

海未「だから炊飯器なんてどれも一緒ですって」

穂乃果「そんなことないって!この圧力釜は
三つ星レストランが使うくらい美味しいらしいし!」

海未「はんっ」
海未「私の家の本物の釜で炊いたご飯に比べたらこれくらい全然ですよ!」

穂乃果「海未ちゃんちのご飯本格的だもんね~」

海未「私の家は本物の釜で炊きますからね本物の釜で」

穂乃果「うんうん」
穂乃果「でもこっちの圧力釜のご飯も
海未ちゃんちのご飯に勝るとも劣らないくらいおいしそう」

海未「むっ」

穂乃果「……あ!みてみて!なんか向こうで実演販売してるらしいよ??
ちょっと行ってみない??」

海未「……いいでしょう。受けて立ちます」

45: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 11:39:37.93 ID:UiDIumSM.net
・・・
・・


Prrr……Prrr……

ことり「ほのかちゃーん?ほのかちゃーーん」
ことり「…あれー?電話でない……」

穂乃果「あっ!ことりちゃん!」

ことり「あ!ほのかちゃん!探したよ~。
良さそうな炊飯器見つかった?」

穂乃果「うん!見つかった!…には、見つかったんだけど」

ことり「?」

穂乃果「今そこでご飯炊きの実演しててね?」

ことり「うん」

穂乃果「海未ちゃんが、その……ゆ、ゆずらないの」

ことり「ゆ……ゆずらない?」

46: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 11:41:04.40 ID:UiDIumSM.net
穂乃果「あれ見て」

ことり「どれ?」

穂乃果「向こうの「ご飯お試しコーナー」のところ」

ことり「えーっと……」

・・・
・・

in お試しご飯コーナー

海未「こ、これが圧力釜の炊くご飯……!?」
海未「お、お、おいしすぎるでしょうっっ!!」

店員「そうでしょうそうでしょう」

海未「あ、ありえません!!」

店員「え?」

海未「こ、こ、こんなことありえていいわけがありません!!
ボタン押すだけで簡単に作られたごはんが……こんなに美味しいはずが……!!!」

店員「そ、そう言われましても」

海未「なんですかこれは!!
本物の釜で炊いたご飯と変わりない味じゃないですか!!」

店員「は、はい。それがこの圧力釜の売りでして…」

海未「ありえません!!
こ、こんな小さな炊飯器で、釜のご飯の炊き具合を再現できるなんてこと……
……あ、あ、あっていいはずがありません!!」

店員「し、しかしですねお客さま」

海未「実は店の裏に本物の釜があって、それで炊いたんでしょう!?
わかっていますからね!!」

店員「そ、そんなことしてませんよっ」


・・・
・・

47: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/08(金) 11:43:02.63 ID:UiDIumSM.net
ことり「……」

穂乃果「ね」

ことり「……ど、どうしよう」

穂乃果「他人のふりして帰っちゃう?」

ことり「それは海未ちゃんが可哀想だよ」

穂乃果「うーん」

ことり「……あ。戻ってきたよ?」

海未「ほのか!ことり!こんな嘘つきなお店には入られません!
別のお店にいきますよ!」

ことり「え、ええっ?」
穂乃果「す、炊飯器はどうするの??」

海未「炊飯器はやめですやめっ!嘘つきの売るものなんて信用できません!」
海未「私の家が普段から利用してる本格派のお店にいきますよ!」

ことり「本格派のお店…」
穂乃果「それってどんなお店なの??」

海未「かまどを専門に作ってるお店です!!」
海未「本物の釜を買いますよ!釜を!」

ことり「そ、そんなむちゃくちゃなっ」

穂乃果「本物の釜ってすごい高いんじゃないの??」

海未「はい!だから……!!」
海未「お金を貯めて!釜を買うんです!!」

ことり「……」
穂乃果「……」

海未「みんなでお金を貯めて釜を買いましょー!おー!」

・・・・
・・・
・・

55: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 10:52:06.75 ID:tQGAGjk/.net
海未「思い出しましたか?」

穂乃果「まぁ」

海未「私たちはあの日誓ったはずです……!
本物のかまどを買って本物のご飯を食べよう、と……!」

穂乃果「海未ちゃん一人しか誓ってないけどね…」

海未「当分は無駄遣い禁止!」
海未「めざせかまどご飯!!!」

穂乃果「……」

テクテク

56: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 10:53:07.38 ID:tQGAGjk/.net
穂乃果「かまどのご飯、ね」

海未「かまどご飯、です」

穂乃果「……」

テクテク

穂乃果「……私はあの圧力釜でもよかったけどなー」ボソッ

海未「まぁ!まだそんなことを」

穂乃果「お店で食べたご飯すごく美味しかったし」
海未「あれはお店がきっとズルをして竃のご飯をだしてるんですっ」

穂乃果「お値段も、まぁ予算少しオーバーしてたけど十分買える範囲だったし」

海未「それは…そ、そうですけどっ」
海未「でもあともー…ちょっとだけ予算をオーバーさせたらかまどが買えるんですよ?」

穂乃果「でも」

海未「まぁまぁ、話を聞いてください。わかりやすく例え話をしましょうか」

穂乃果「た、たとえばなし??」

57: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 11:02:50.33 ID:tQGAGjk/.net
海未「ここに、一人青年がいるとします」

穂乃果「うん」

海未「その青年はmp3プレーヤーを買いに電化製品屋さんにいきました」
海未「しかし青年は、mp3プレーヤーよりも、別のとある製品に惹かれてしまうのです」


海未「その製品の名は「ipod shuffle」
デモ用に置かれていたipod shuffleが思いの外使い勝手が良く、
青年は『こりゃあいいや』とすぐに心変わりをしてしまいました」


海未「『予算は少しオーバーするが、買えないことはない価格』
『よし。mp3プレーヤーをやめて、shuffleを買おう!』
…と、青年はshuffleを持ってレジへと向かいます」


海未「しかし!しかしレジに向かう途中で
またまた別の製品にも目が奪われてしまいました!

その名は「ipod」!ディスプレイに神々しく飾られたるはApple社のipod!
ためしに使ってみると、まぁなんとびっくり!
shuffleよりもはるかに使いやすいじゃあないですか!」

58: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 11:05:27.19 ID:tQGAGjk/.net
青年「『なんて素晴らしい製品だ!Apple はすごい!さすがだ!!!』

青年の胸に、shuffleを超える感動が押し寄せます!!Appleってすごい!Appleってすごい!!
これはもう買うしかないです?!?!


海未「…………かと思いきや、青年は商品を手に取ることなく、shuffleを手に持ったままヒラリとレジへと向かうのです」

『あれだけ素晴らしい製品だ。高いに決まってる。僕なんかが買えるわけがないよ……』」

海未「青年は諦め半ばでチラリと値札を見ました……
ところがどっこい!その価格に青年は目を丸くさせました!
よくよく見れば、ipod shuffleにプラス何千円か払うだけでipodを買えるではありませんか!!!」

海未「今の手持ちで買える値段ではない……が!しかしあと少し貯めれば買うことができる!!

そして青年はすぐさま決意するのです!!
『お金をあともーちょっとだけ貯めてipodを買おう!!』と!」

穂乃果「……」

海未「ipodshuffleは圧力釜、ipodはかまど。
ここは少し我慢してお金を貯めてかまどを買うのが、賢い選択のはずです!!」


穂乃果「……」
穂乃果「じゃあきくけど」

海未「はい!」

穂乃果「shuffleとipodだと…5、6千円くらいの差だから
まぁそうなるかもしれないけど」
穂乃果「じゃあ圧力釜とかまどはどれくらい差があるの?」

海未「そうですねー。かまどだけではダメなのでは専門用具などを
買う値段も込みで考えるとー……」

穂乃果「うん」

海未「10万円ですね!」

穂乃果「……………………」

59: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 11:12:33.21 ID:tQGAGjk/.net
海未「どうです??かまどを選ぶ有意義性がわかりましたか???」
キラキラッ

穂乃果「……」

テクテク

穂乃果「まぁ……その件に関しては海未ちゃんに色々と言いたいことはあるけども……」

穂乃果「あそこで炊飯器を買わなかったおかげで、毎日主食パンの生活になって
ほのか的にはそこそこに嬉しい展開になったし、あんまり強くは言わないよ」


海未「そうでしょうそうでしょう。
良いことづくめです♪」

テクテク


穂乃果「でも一言だけ言わせてもらうなら」
穂乃果「毎日パンは飽きるね」

海未「あら」


テクテク

穂乃果「……海未ちゃん」

海未「はい?」

穂乃果「ほのかからも1つだけ、例え話をだしてもいいかな?」

61: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 14:49:08.43 ID:tQGAGjk/.net
穂乃果「ここにひとり女の子がいます」

海未(コクン)

穂乃果「両親は学校法人の理事長で、お金持ちです」

海未「設定が具体的ですね」

穂乃果「趣味はお菓子づくり」

海未「はい」

穂乃果「お裁縫が得意」

海未「ほう」

穂乃果「メイド喫茶のバイトをしてい…」
海未「穂乃果。わたしその人知ってる気がします」

穂乃果「茶々いれちゃだめだよー?いま話してるんだから」

海未「……失礼しました」

62: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 14:57:36.60 ID:tQGAGjk/.net
穂乃果「お金持ちなので、
その子の家には色んなものがたくさんありました」

穂乃果「カメラ!ぱそこん!個人ジェット!SP!冷蔵庫!なんでもあります!」

穂乃果「そしてそんなある日のこと。
家族でテレビを見ていると、炊飯器のCMがながれてきました。

ふっくら炊きたてご飯が画面いっぱいに映し出されます」

穂乃果「それをみたその子の両親がいいました。

『美味しそうだなぁ。いいなぁ、このかまど式炊飯器…』
『買うつもりですか?』

『ダメかな』
『今使ってる炊飯器はどうするんですか。この前買ったばかりじゃないですよ?』

『ことりは今年から一人暮らしするんだろう?
ならあの炊飯器を使わせればいい』

そんな会話をしたそうです」


穂乃果「そしてその子は、
炊飯器を譲り受けることになったそうです」

海未「はぁ」

穂乃果「おしまい」

海未「えっ。おわりですか?」

穂乃果「うん」

63: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 15:09:43.97 ID:tQGAGjk/.net
海未「ていうかさっき「ことり」って呼んでましたよね」

穂乃果「さてここで海未ちゃんに質問です」

海未「はい」

穂乃果「海未ちゃんにはどうしても欲しい炊飯器…もとい、どうしても欲しいかまどがあったんだけど、」

穂乃果「ひょんなことから、炊飯器を無料で譲り受けることができたとしたら…」
穂乃果「海未ちゃんはどうする??」

海未「……」


穂乃果「ちょっとおさらいするね」
穂乃果「ほのかは、何が何でも肉まんを食べたいの」

穂乃果「でも海未ちゃんは、
『肉まん買いすぎて浪費するのは良くない。
これじゃあ、かまどを買うためのお金が貯まらない』」

穂乃果「そう主張するわけだよね?」


海未「まぁ、そうですね」


穂乃果「じゃあもし、そんなときに炊飯器が無料で手に入るとしたら海未ちゃんはどうする?」

穂乃果「海未ちゃんが欲しいのはかまどであって、炊飯器ではない。


そもそも海未ちゃんがかまどにこだわった理由は、
炊飯器を売るお店が信用できなかったから、だよね。

65: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 15:16:23.21 ID:tQGAGjk/.net
海未「ていうかさっき「ことり」って呼んでましたよね」

穂乃果「さてここで海未ちゃんに質問です」

海未「あ、はい」


穂乃果「海未ちゃんにはどうしても欲しい炊飯器…もとい、どうしても欲しいかまどがあったんだけど、」

穂乃果「ひょんなことから、炊飯器を無料で譲り受けることができたとしたら…

海未ちゃんはどうする??」

海未「……」


穂乃果「ちょっと今迄の流れをおさらいするね」
穂乃果「ほのかは、何が何でも肉まんを食べたいの」

穂乃果「でも海未ちゃんは、
『肉まん買いすぎて浪費するのは良くない。
これじゃあ、かまどを買うためのお金が貯まらない!』」

穂乃果「『だから肉まんは買わない!』
穂乃果「…そう主張するわけだよね?」


海未「ま、まぁ、そうですね」


穂乃果「じゃあもしもさ」
穂乃果「そんなときに炊飯器が無料で手に入るとしたら……
海未ちゃんはどうする?」

海未「……それは」

66: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 15:17:30.03 ID:tQGAGjk/.net
穂乃果「海未ちゃんが欲しいのはかまどであって、炊飯器ではない」

穂乃果「ここで改めて振り返ってほしいのは、
海未ちゃんがかまどにこだわる理由だよね。

そもそも海未ちゃんがかまどにこだわった理由は何か?
そもそも海未ちゃんが炊飯器を拒んだ理由は何か?

穂乃果「それは……炊飯器を売るお店が信用できなかったから、だよね」

海未「は、はい。そうです!だってあのお店は……っ!」


穂乃果「『だってあのお店は、嘘をついたから』」

海未「は、はい」

穂乃果「『かまどのご飯を炊飯器のご飯と嘘をついて宣伝するお店なんか信用できない!
そんなところが売るものなんて使いたくない!』」

穂乃果「『だから、自分の家で普段利用してるかまど屋さんで買う!』」

穂乃果「そういう主張だよね」

海未(コ、コクン)



穂乃果「じゃあもしも、
その炊飯器が友達の家でずーーっと使われていたものだとしたらどうする?」

穂乃果「お店で買ったものじゃなくて、
海未ちゃんの大の親友が、毎日毎日ずーーーっと使っていた炊飯器だとしたら、」

穂乃果「海未ちゃんはどうする?」

67: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 15:23:30.37 ID:tQGAGjk/.net
穂乃果「嘘つきのお店が渡す炊飯器は信用できない」
穂乃果「じゃあ、大親友から手渡される炊飯器は、信用できない?」

海未「そ、それは……」

穂乃果「どうなの?」(真顔)

海未「ほ、ほのか…?お、おこってます?
なんだかさっきから怖いんですが……っ」

穂乃果「怒ってない」
穂乃果「……海未ちゃん。わたしはね、
ただただ、肉まんを、食べたいだけなの」

海未「……」

穂乃果「もしも、かまどじゃなくてもいいっていうのなら」
穂乃果「もしも、無料で手に入った炊飯器でもいいっていうのなら……」

穂乃果「お金を無理して節約する理由はなくなるよね」

海未「そ、それは……」


穂乃果「……ほのかは肉まんを食べるためならだんだってする」
穂乃果「さぁ!答えてよ海未ちゃん!

大親友の使っていた炊飯器を信用できないと断って、かまどを買うか!!

それとも、

ことりちゃんの炊飯器を受け取って、これから肉まんを二人で買うのか!!」

穂乃果「どっちにするの!?!?!?」

海未「……っ」

78: 名無しで叶える物語(プーアル茶)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:13:25.38 ID:WsAxURzX.net
海未「そ、それは」
穂乃果「さ、答えて」

海未「そ、それは……」
穂乃果「さぁ!」

海未「ううぅぅ……っっ」


【テクテク…】
???「あっ♪」


穂乃果「さぁさぁ答えて答えて!」
穂乃果「そしてはやく肉まんを!」

海未「うつ、し、しかし、ことりの炊飯器を受け取ったら…かまどが……」

穂乃果「ほのかは別にかまどでもいいんだよ???
そんなに海未ちゃんがかまどにこだわるなら、親友として応援する。節約だってする」


穂乃果「でもその場合、ことりちゃんがわざわざ苦労して家から
持ってきた炊飯器をお断りしなきゃらならないけど」

海未「うっ」

穂乃果「なんて言ってお断りするの?」

海未「うぅ……
海未「それはぁ………あっ!!」

海未「そ、そうです!!そうでした!」
海未「穂乃果は最初に言ったはずです!
『これは例え話だ』と!」

穂乃果「言ったね」

海未「ということは、ことりが炊飯器を貰ってきたというのも実は…!!」
海未「……うそ!!なんですね!?」

穂乃果「や。ほんとの話です」

海未「……」

80: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:14:17.93 ID:7BKcbjLN.net
穂乃果「たぶんことりちゃん今頃、
炊飯器取りに行ってると思う」

海未「……」

穂乃果「…ねぇ海未ちゃん。よく考えて?

無料で炊飯器もらえるんだよ?おかげでお金も節約できたんだよ?
とてもいいことだと思うけど」


海未「……でもそうなったら、お金に余裕もできたということで、
肉まんを買うことになるんでしょう?」


穂乃果「もし三人で節約しなきゃいけない、って状況なら私も自重するけど」

穂乃果「でも節約が必要じゃない、ってことなら
海未ちゃんが我が家の経済状況を掌握してるとはいえ、
そのお金の何割かはわたしのお金でもあるし、ある程度は自由に使う権利はあるよね」

海未「う、ううぅ……」

81: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:15:04.53 ID:7BKcbjLN.net
海未「し、しかしそれではかまどのご飯が……。
それに肉まんを禁止する大義名分がぁ……っ」

穂乃果「……もしかして海未ちゃんってかまどのご飯じゃなきゃ食べられなかったりするの?
もしそうなら…」

海未「い、いやそういうことじゃなくて!」
海未「そういうことではなく、ですね……」

穂乃果「?」

海未「このまま順当にわたしが炊飯器を受け取ったら……」

穂乃果「うん」

海未「な、なんだかわたしが…」

穂乃果「うん」

海未「穂乃果に言い負かされたみたいじゃないですかっ!」

穂乃果「……」

海未「それはなんというか!とても悔しいです!!」
ふんすっ!ふんすっ!

海未「悔しいんですうっっ!!」
ふんす!ふんす!


穂乃果「…まぁ、かまどにこだわりたいなら穂乃果は構わないけど」
穂乃果「ことりちゃんになんて言って断るの?」

海未「うぐうっ!」


【テクテク】
???「おーい!」
穂乃果「ん?」

【テクテク♪】
???「おーい!ほのかちゃーん!うみちゃーん!」

穂乃果「…お」
海未「あ」

82: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:15:33.95 ID:7BKcbjLN.net
???「やっほー。偶然だね~。いま帰るとこー??」

海未「こっ」

???「ん??」

穂乃果「うん。いま帰るとこ~」
穂乃果「やっほーことりちゃん」

ことり「やっほ~」

穂乃果「あれ?その右手に持ってる袋って」

ことり「うん♪炊飯器だよ♪♪」

海未「うぅっ……」

83: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:16:16.63 ID:7BKcbjLN.net
穂乃果「だってさ、海未ちゃん」

海未「う、うぅ…」

ことり「あっ。海未ちゃん海未ちゃん」

海未「は、はい」

ことり「あのね?海未ちゃんにはまだ言ってなかったんだけど」

海未「……」コクン

ことり「この前わたしの家で炊飯器を買い換えたから、
今まで使ってた炊飯器があまっちゃったの。

まだ使えるしこのまま捨てちゃうのも勿体無いなーって思って持ってきちゃったんだけどね?」

海未「……はい」

ことり「この炊飯器、私たちのお家でつかっても……いいかな?」

海未「そ、それは…」
穂乃果「……」じー

ことり「?」

84: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:18:01.46 ID:7BKcbjLN.net
海未「……」

穂乃果(相当悩んでる顔だね。さて…どうなるかな…)

海未「……」
海未「……」
海未「……いいですよ」

穂乃果(よし)

ことり「うん。ありがと海未ちゃんっ」

穂乃果(よし…よし!)
穂乃果(勝った……!!肉まんゲット!!)

穂乃果「ふふふふ…と、いうことで。それじゃあ海未ちゃん?」

海未「うぅ……はい……」


穂乃果「わたしどうしても買いたいものがあr」
ことり「あっ。でも海未ちゃん確かかまどを買いたいって前に言ってたよね??」

穂乃果「ぬっ!」

海未「え???あ…はい。そうですけど」

ことり「うーん……そうだよねー…んー」

85: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:18:38.27 ID:7BKcbjLN.net
穂乃果「……」

穂乃果(!!!!ま、まずいっ!!)
穂乃果(ことりちゃんがかまどをどうするか悩んでる!?)

穂乃果(こ、これは良くない傾向だよ……っ

もしもことりちゃんが海未ちゃんに気を遣って、
炊飯器を私たちの家で使うのをやめて、自分の家に戻してしまったら……)


ごくりっ

穂乃果(そ、それは……最悪のシナリオ!)
穂乃果(そうなれば残される道は、かまどを買うためにコツコツお金をためる極貧生活一直線!!)

穂乃果(そして何よりも……)
穂乃果(肉まんが!買えない!!!)

86: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:21:41.54 ID:7BKcbjLN.net
ことり「うーん……かまどかぁ……」

穂乃果(ど、どうしよう)

ガリッ!

穂乃果(く、口出ししたいけど、今この場で最も偉くて発言力があるのは、
炊飯器を持ってることりちゃんただ一人……!!!)

穂乃果(ほのかに口を挟む権利は……なし!)
穂乃果(と、とりあえず静観するしか…)


海未「…ことり。もういいんです」

穂乃果(!!!)

海未「かまどはもういいんです…」
海未「もう…いいんです……」

穂乃果(!!!!)
穂乃果(やった!海未ちゃんが先に折れた!!)


海未「かまどはもう……あきらめました……」
ことり「海未…ちゃん…?」

穂乃果(ふふふっ!おバカな海未ちゃん!
かまど買いたい!ってごねてれば
流れも変わったかもしれないのに!……これで……!!!)


穂乃果「…って、海未ちゃんも言ってることだし
かまどのことはもういいんじゃない?ね??」

ことり「……」
ことり「…それじゃ、海未ちゃんが可哀想だよ」

穂乃果「……!?」
穂乃果(こ、この展開はっっっ)


ことり「海未ちゃんあんなにかまどのご飯食べたがってたんだよ?
それに一応、かまどを買うってみんなで約束もしたんだし……」

穂乃果「へ?い、いや、そ、それは……」

ことり「うん…うん!そうだよね!

このままわたしの炊飯器を使ったんじゃ海未ちゃんの意思が尊重されてない!

これから私たち三人で暮らすんだから、こういうことはしっかりみんなが幸せになる道を探さないと!!」

海未「ことり……!!」
海未(…ニヤリ)

87: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:23:02.97 ID:7BKcbjLN.net
穂乃果(ま、まずい)

海未「そんな…悪いですよことり」
ことり「ううん!大丈夫!わたしたち友達だもん!」


穂乃果(まずすぎるっ!!!)


海未「でもかまどを買うとなると、当分の間ふたりには節約生活をしてもらうことに……」

ことり「そんなのわたしは構わないよ!」
ことり「海未ちゃんのためだもん!」
ことり「三人で力を合わせてかまどを買おう!!

海未「!!!ありがとう……ございます……!!」


穂乃果(どうして…どうしてこんな展開に……?)

海未「……」
海未(ニヤリ)

穂乃果「!?」
穂乃果(この笑み……まさか海未ちゃん、この展開を見越してさっきはわざと……!?!?)

海未(ふふっ。爪が甘いのは相変わらずですね、ほのか)
海未(さっきかまどをすんなり諦めたのは"演技")
海未(全てはことりの同情を買うための作戦です!!!)

穂乃果(くうっ!!!)

88: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/09(土) 21:24:18.83 ID:7BKcbjLN.net
穂乃果(ま、まずい…まずいよ!このままかまどを買う流れになったら、
節約生活をすることになる…)
穂乃果(つまり……肉まんが!かえない!!!)

海未(ニヤリ)

穂乃果(は、反論しようか?
『わたしは節約生活やだ!反対!かまど諦めよう!』って)

穂乃果(……でもそれは)

ことり「穂乃果ちゃん?穂乃果ちゃんもそれで……いいよね?」

穂乃果「っっ!」

ことり「もしかしてダメなの……?」

穂乃果「あ、い、いや!」

穂乃果(この流れでもしも断ったら穂乃果は……)
穂乃果(完全に悪者!!!)
穂乃果(友情を裏切る裏切り者!!)

穂乃果(これから共同生活を送ろうというのにそれはあまりに……痛手!!!)



ことり「んー?もしかしてほのかちゃんはかまど買いたくない感じなのかな」

穂乃果「え?いやー…」

ことり「んー……そっかぁ。うーん……あ、そうだ!」

ことり「それじゃーかまどを買うまでは
この炊飯器を使うってことにしよっか?」

海未「え?」穂乃果「えっ」

92: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:21:31.60 ID:uV3tdk8I.net
ことり「かまどを買おうとすれば海未ちゃんが嬉しい」
海未「は、はい」


ことり「でも、そうなると穂乃果ちゃんが嬉しくない」

穂乃果「い、いや!かまどが嫌なわけではないんだよ??」

ことり「でもかまどのお金貯めるために節約生活するのは嫌、なんだよね?」

穂乃果「それは…」

ことり「顔見ればわかるもん」

穂乃果「ま、まぁ。うん」


ことり「それじゃあこうするのはどうかな?」

ことり「当分はこの炊飯器を使う」
ことり「で、その間に無理せずすこーしずつ少しずつお金貯めて、
いつかかまどを買う」

ことり「どう?」

穂乃果「…おー」
海未「…おー」

93: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:22:17.79 ID:uV3tdk8I.net
ことり「節約はするけど無理はしない範囲でして、いつかかまどを買う」
ことり「これなら2人の意に沿ってる、よね?」

穂乃果「まぁ…」
海未「そうですね」

ことり「どうかな??」

穂乃果「反対する理由は…」
海未「…ない、ですね」

ことり「うん♪それじゃあそうしよっ」

穂乃果「う、うん」
海未「は、はい」

穂乃果「……」
海未「……」

穂乃果(あれ?これってつまり)
海未(どういうことなんでしょう??)

94: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:24:23.73 ID:uV3tdk8I.net
穂乃果「……」

穂乃果(とりあえず、節約生活はするってことは決まったんだよね)


海未(しかし節約生活といっても無理はせずに節約をする、と)


海未(問題は「無理せず」のラインが曖昧なこと、ですね…。
はたして肉まんの出費はそのラインを超えるのか、超えないのか…)

海未(そこが一番の論点……)

穂乃果「……」

海未(ここからの戦いはそのライン決めが勝負のカギ、ですね)
海未(どう動くか……)

穂乃果「……」
穂乃果「ことりちゃん」

ことり「?なあに?ほのかちゃん」

穂乃果「コンビニ寄ってもいい?」

海未「!!!」
海未(ほのかが動いた……っっ)

95: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:25:31.14 ID:uV3tdk8I.net
海未(今この場でもっとも発言力があるのは言うまでもなくことり!)
海未(ことりに肉まんはセーフかアウトか決めさせるのが勝負の分かれ目……!!)


ことり「コンビニ?」

穂乃果「うん。ダメかな?」

ことり「ううん。いいよ~。行こ」

海未(さて、この状況)
海未(私はどう動く?)

ことり「海未ちゃんもいいよね?」

海未「……」


海未(『いやです。行きません』)
海未(と、言いたいところ)

海未(ですが、先ほど私は無理を言ってかまどを買う約束をしたばかりの身の上…)

海未(ここで続けてまた我を通すのはあまりに印象が良くない……っっ)

穂乃果(ニヤニヤ)

海未(……ともすれば答えはひとつ……)

海未「…そうですね」
海未「行きましょう」

96: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:43:25.42 ID:uV3tdk8I.net
穂乃果(ニヤニヤ)
穂乃果(さっきまではコンビニ寄らないの一点張りだった海未ちゃんが!)
穂乃果(こうもあっさり折れた!)



穂乃果(これだけでも、ほのかは海未ちゃんに勝ったようなものだね~)
穂乃果(ニヤニヤ)

海未(くうっ……!ほのかがニヤニヤしてる!くやしい!!!)



ウィーン

店員「いらっしゃいませ~」

ことり「そういえば何買いにきたの?」

穂乃果「んーっとねー」
穂乃果「肉まん!」

海未(!!!)
海未(単刀直入!ほのかが大胆に攻めた!!)

ことり「肉まん?」

穂乃果「うん!肉まんたべたい!」

海未(ま、まずい!こ、このままじゃ肉まんを買われてしまう!
なんとかして遮らないt)


ことり(ニコニコ)
ことり「ダメだよ?」

穂乃果「え……?」
海未「なっ…」

97: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:44:17.20 ID:uV3tdk8I.net
穂乃果「……」
穂乃果「え?」

ことり「買っちゃダーメ」
ことり(ニコニコ)

穂乃果「ど、どうして?どうしてダメなの??」

ことり(ニコニコ)

穂乃果「だ、だってことりちゃんさっき言ったじゃんっ
「無理せず節約しよう」って!」

穂乃果「無理しないなら、たかが100円くらいの肉まんセーフなんじゃないの???」


ことり「うん。そうだね。
肉まんはたかだか130円。それくらいなら別に大した出費じゃないよね」

穂乃果「そ、それなら!」

ことり(ニコニコ)
ことり「でもほのかちゃん。
ほのかちゃん、ここ最近ずーーーーーっと、肉まん食べてたよね?」

穂乃果「……!?!?」

98: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:45:58.84 ID:uV3tdk8I.net
ことり「ここのとこ毎日毎日、海未ちゃんと2人で肉まんを買って、
2人仲良く肉まん食べながら私たちの家に帰ってた…」
ことり「そうだよね?」

穂乃果「い、いやそれは」

ことり(ニコニコ)

穂乃果「……はい。その通りです。か、買ってました…」

ことり「知ってるんだよ?ことり」
ことり「ぜーんぶ知ってる」

ことり「だよね?海未ちゃん。
海未ちゃんも毎日毎日、2人仲良く肉まん食べてたんだよね?」


海未「………え??」

ことり「ちがう?」
海未「いや」

ことり「ちがう?」
海未「……ち、ち、ちがいません」


ことり「だよね。知ってる」
ことり「2人で仲良く、肉まん食べてたんだよね」
ことり「ことり抜きで」

海未「……」
穂乃果「……」

99: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 15:53:10.93 ID:uV3tdk8I.net
ことり「これからの大学生活は三人で生活するんだから、
三人みんな仲良く平等に、みんなが幸せになれるような選択をするべきだとことりは思うの」

ことり「だからことりは、
さっきも2人が幸せになれるように、
何か手はないか頑張って考えてたの」

ことり「わたしはちゃんと2人のために頑張ってたよ?
炊飯器持ってきたり色々してたんだよ?」

穂乃果「は、はい」
海未「しでした」


ことり「でも海未ちゃんと穂乃果ちゃんは、ちがった」

ことり「2人だけで肉まん食べてた」
ことり「私がいないのに、2人で仲良く美味しそーに」
ことり「2人なかよく…肉まん……たべてた……」


穂乃果「……」
海未「……」


ことり「……うみちゃん。ほのかちゃん」

海未「は、はい」穂乃果「は、はい」

ことり「仲間はずれ寂しいです」
ことり「ひどい」

穂乃果「すっ」
穂乃果「すみませんでしたあああ!!」

海未「ことり抜きで肉まんたべてすみませんでしたあああ!!」

100: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/10(日) 16:01:01.09 ID:uV3tdk8I.net
ことり「ここ二週間、2人は毎日肉まん買ってたらしいね」
ことり「1つ当たり100円で計算しても3400円。すごい出費だよね」

ことり「肉まん、美味しかった?」

穂乃果「すいませんすいませんっっほんとすいませんっっ」

ことり「海未ちゃん。肉まん美味しかった?」

海未「お、美味しかった、で、です」

ことり「そっか~」

海未「……あ、あの。こんな時になんですが……
1つだけ聞いてもいいですか?ことり」


ことり「?なに?」

海未「あ、あの……どうしてことりが肉まんについて知ってるんでしょうか」
海未「ことりが肉まんのことを知るはずはなかったと思うのですが……」


ことり「簡単だよー?」
ことり「だって机の上に、
海未ちゃんの字で肉まん代を計算した後の紙が残ってたんだもん。」

海未「あっ…!!」
穂乃果「……」じとー…

ことり「最初見たときは特に考えなかったけど、
よく見たら2人分で計算してあったからなんでかなー、って考えてたんだけど…」

ことり「こういうことだったんだねー」

海未「……」穂乃果「……」

106: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/11(月) 12:14:00.82 ID:JQY3m/sN.net
ことり「この時期ってバイトを辞めて新生活を始める人が多くてね?」

ことり「わたしのメイド喫茶も丁度そんな感じで、
人手が足りないんだって」

ウィ-ン
店員「ラッシャ-マセ-」

ことり「だから最近はメイド喫茶も大忙し」
ことり「学校が終わるとすぐことりバイトに行って」
ことり「だから穂乃果ちゃんと海未ちゃんと一緒に帰れる日も少なくなって…」

穂乃果「……」
海未「……」


ことり「でも今日たけはね?いつもより早めに終われる日だったの!」

ことり「だから帰りにお家によって炊飯器もってきて、

いつもの帰り道歩きながら、
もしかしたら会えるかなー炊飯器みせたらビックリするかなー、
って考えながら歩いてたの」


穂乃果「……」
海未「……」

107: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/11(月) 12:16:19.03 ID:JQY3m/sN.net
穂乃果「こ、ことりちゃん」
海未「なんと言えばいいのか、その……」

ことり「……」

テクテク

ことり「店員さんすみませーん」

店員「はい」

ことり「鶏肉まん3つ、もらってもいいですか?」

海未「!」
穂乃果「!!」

店員「はい!こちらになります!どうぞ」

ことり「ありがとうございます」ペコリ

穂乃果「こ、ことりちゃん…?」
海未「その鶏肉まんは……」

ことり「……ダメだよ?2人だけで楽しいことしたら」
ことり「ことり寂しいもん」

ガサガサ

ことり「中華まんを食べていいのは、三人一緒の時だけ、だからね?」

穂乃果「!!!」
海未「は、はい!」
穂乃果「わかった!」

ことり「はい、鶏肉まん。これは三人のお金じゃなくてことりのお金からね」

穂乃果「いただきます!」
海未「三人でたへましょうっ」

ことり「うん♪」

109: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/11(月) 12:41:19.79 ID:JQY3m/sN.net
・・・
・・

ことり(ニヤリ)

ほのうみが並んで鶏肉まんを頬張る少し後ろの方。
策略家ことりは二人の背を見ながら一人静かに微笑む。


「共同生活」
それは、
異なるの思想、異なるの価値観の人間が
同じ場所に集い、同じ物を食べて同じ生活をすること。

そんな場所に不和が現れるのは当然の摂理。
人は人とは本当の意味で分かりあうことは永遠に叶わない。

しかしそれでも分かり合おうとするのが人間。
人は弱い。人は群れを好む。
だから人は妥協し、互いを尊重し、集団をなす。

それもまた1つ共同生活の道。

110: 名無しで叶える物語(庭)@\(^o^)/ 2016/01/11(月) 12:42:58.66 ID:JQY3m/sN.net
しかし共同生活には他にも道はある。
それは「階級」

どちらが上でどちらが下か、
集団の中に格差を作り、下の者が上の者に従う構図。

しかし、階級社会は
これまで人類が歩んできた失敗の歴史に他ならない。

下の者は「妥協」を強要され、「尊重」を蔑ろにされる。
どうしても不平不満が溜まる。
不平不満はいつかダムのように満ち満ちて、
決壊してしまうのは過去の歴史が証明していた。

そういう無理やりな支配は上手くいかないのだ。

そうではない。そうではなくて、
従わせる、ではなく、
自ずといつのまにか従ってしまうような、そんな支配をすれはよいのだ。

下の者が従わされてると自覚できない支配。
じわじわと、無意識に従わせる。

それこそが理想の支配。
ある意味、ペットと飼い主の関係にも似てるのかもしれない



少し後ろの方を歩いていたことりが、
スッ、と二人の間に入り込む。

ことり「ほのかちゃん、海未ちゃん。
今夜は何食べる??」

穂乃果「んー、そうだなぁ」
海未「私はなんでもいいですよ」

ことり「私はハンバーグが食べたいな~」

海未「じゃあそれにしましょうか?」

ことり「ほんと?やった♪」

そして三人は、SEIYUに向かったのだった…
(完)