【艦これ】こんにちは、僕は菊原静男だよ
- 2016年02月03日 17:10
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赤城「私、最近になってこの子……」
赤城「烈風の良さが分かってきたんですよ」フフッ
瑞鶴「えぇ~……日本の戦闘機は軽くてなんぼよ!」
瑞鶴「だから私はやっぱり、二一型の零式が一番!」
蒼龍「戦闘機じゃないけど、九九式は外せないなぁ」
蒼龍「やっぱり、急降下爆撃ができなきゃね!」
グラーフ「私の国のフォッケウルフはもとは陸上機だが……」
グラ「それだけに、速さは他の追随は許さないぞ」
鎮守府のとある暖かい昼下がりのこと。
空母のみんなはお茶を飲みながら、自分たちの艦載機の自慢話に花を咲かせていました。
加賀「空戦は搭乗者の練度が大事……」
加賀「いくら零式の機動性が高くても……あなたに載せても意味はないわ」
瑞鶴「なんですって!?」 ムカッ
日向「まぁ落ち着け瑞鶴……」
日向「瑞雲は良いぞ」 フフ
龍驤「あんたいつもそればっかやん……」 ハァ
龍驤「彩雲も忘れたらあかんで!やっぱり速い偵察機は大事や!」
ワイワイ ガヤガヤ
秋津州「…………」
その日から、秋津州には元気がありませんでした。
みんなはそんな秋津州を心配しましたが、元気をなくした理由は分かりません。
そして、落ち込んだ調子でまともに戦えるはずもなく……。
この日も秋津州は、演習でただ一人大破してしまいました。
秋津州「はぁ……」
秋津州「索敵はできても……爆撃には参加できないなんて……」
秋津州「このままじゃ私達クビになっちゃうかも……」
大艇「」シュン
秋津州「…………」
秋津州「もしあたしが飛行艇の母艦じゃなくて普通の空母だったら……」
秋津州「あたし……もっと活躍できたのかも」
大艇「!」ガーン
秋津州(あっ!し、しまっ……)
大艇「」ブワッ
大艇「―――っ!」ブロロロ……
秋津州「た、大艇ちゃん、待って!」
秋津州「……あたし最低だ……」
秋津州「大艇ちゃんに向かって、心ない事言っちゃった……」ポロ…ポロ…
秋津州は急いで二式大艇を追いかけましたが、日の沈んだ後で見つかるはずもありません。
夜も更け、失意の秋津州はとぼとぼと……鎮守府に帰ってきました。
秋津州「…………」
龍驤「みんな、秋津州が帰ってきたで!」
グラ「あぁ……よかった……」ホッ
グラ「どうしたんだアキツ……急に飛び出したりして……」
赤城「みんな心配していたんですよっ」
秋津州「……ごめん……なさい……」トボ…トボ…
グラ「……アキツ……」
秋津州は出て行った二式大艇のことを思いながら、泣きました。
彼女の犯した過ち……。
一度過ぎ去った時間はもう取り戻すことができません。
秋津州「……ごめんね……」ポロ…ポロ…
秋津州「……大艇ちゃん……」グスッ
秋津州「……ごめん……ね……!」
そして……
やがて泣きつかれた秋津州は、そのまま眠りについたのです……。
……
…………
………………
次に秋津州がいたところ……
そこは、白いお城の見える喫茶店でした。
???「お嬢さん、こんにちは」 ニコッ
秋津州「……ハッ!」ビクッ
秋津州「えっ……だ、誰!?」 オロオロ
秋津州「ていうかここ、鎮守府じゃないかもっ!?」 キョロキョロ
???「ははは……お願いだから落ち着いてほしいな」
菊原「僕は菊原静男といいます」
菊原「いきなりで驚かせてしまったね……申し訳ない」ペコリ
秋津州「い、いえ……そんな……」アタフタ
秋津州(え、このおじいさん誰!?)
秋津州(知り合いなのかも……でも、全然覚えてないかも!)
菊原「よければ……お嬢さんのお名前もお聞きしたい」
秋津州「わ、私は……秋津州です」
菊原「ほう……!」
菊原「では君が……!おぉ……そうかそうか!」
秋津州(なんか勝手に納得してるかも……)
菊原「ははは、重ね重ねすまないね」
秋津州「あの……」
秋津州「ここは一体、どこなんですか?」
菊原「ここは僕の生まれ故郷だよ」フフ
菊原「そして、君が浮かない顔をしていたものだから……」
菊原「つい放っておけなかったんだ」
秋津州「そうなんですか……」
菊原「して、君はどうしてそんなに落ち込んでいる?」
菊原「乗りがかりの船だ、よければ話してみなさい」
秋津州「…………」
……
…………
………………
菊原「なるほど……」
菊原「その二式大艇に会って、ちゃんと謝りたいんだね?」
秋津州「……」 コク
秋津州「あたしが艦娘になった時から一緒だった子なの……」
秋津州「もう二度と……大艇ちゃんの代わりを探したりなんかしません」
秋津州「あたしはちゃんと謝って……ずっと一緒がいいんです……」
菊原「ふむ……分かった」 フフッ
菊原「その子にはじき会えるだろう……しっかり、謝りなさい」
秋津州「はい……!」
菊原「……それとだね、君はその二式大艇のことを」
菊原「どれほど知っているんだ?」
秋津州「…………!」
秋津州「言われてみれば……」
秋津州「あの子の好きな燃料とか、好きなお風呂の温度とかは分かるかも」
菊原(お風呂に入れるのか……)
秋津州「でも……あの子の生まれのこととか、実はよく分かってないかも……」 シュン
菊原「そうか……でも、それは仕方のないことなんだよ」
菊原「なぜなら飛行機がしゃべることはないからね」 フフッ
秋津州「それはそうかも」
菊原「仲良くしようと思えば、理解することはとても大切だ」
菊原「そうだ、せっかくだし……僕の昔話も聞いてはくれないか?」
菊原「じじいの戯言だが、君の二式大艇とも関わりのある話だ」
秋津州「え?大艇ちゃんと……おじいさんが?」
菊原「あぁ……そうだよ」ニコッ
菊原「僕は若かった頃……神戸の航空会社に入社した」
菊原「ちょうどその時は、日本は飛行艇を欲していた時」
菊原「いつか戦争になると踏んで、敵を広い太平洋で偵察するため……」
菊原「遠くまで飛べて、海に降りられる飛行艇はうってつけだったんだ」
秋津州「飛行艇ってやっぱりすごいかも!」
菊原「その会社は昭和3年にできた会社で……」
菊原「そこの設計課長に、橋口さんという人がいたんだ」
秋津州「橋口さん?」
菊原「その人は海軍軍人でもあり、技術者でもあったんだけど」
菊原「とてもお話の上手な人でね……説明会で話を聞いた時」 フフッ
菊原「彼のうっとりするような説明に惚れて、僕はここに入社しようと決めたんだ」
菊原「その当時、残念ながら日本にはまだ大きい飛行艇を作る技術がなかった」
秋津州「えっ!本当に?」 ガーン
菊原「あはは、恥ずかしながら本当だよ」
菊原「だから、イギリスとドイツの有名な飛行艇メーカーから技術者を呼んで、ノウハウを学んでいた……」
菊原「僕が入社したころは、そんな両方の国の飛行艇のことが学べる最高のタイミングだったんだ」
秋津州「え、おじいさん……ひょっとして技術者の人!?」
菊原「あはは、そんな驚くことじゃないよ……」
菊原「で、ドイツのワグナーという人がワグナー式張力場ウェブ理論を発表したときのことだ」
秋津州「???」
菊原「飛行機の体を軽くて強い、薄い金属でつくるために考えられたものだよ」
秋津州「なるほどかも!」
菊原「うちでもその理論に則って、橋口さんの下でいままで骨組みと布でできていた主翼を」
菊原「梁箱型の金属構造にした飛行艇を生み出した……」
菊原「その子を、僕たちは九一式と呼んだんだ」
秋津州「九一式……」
菊原「とはいっても、大した性能にはしてあげられなかったんだけどね」
菊原「あの子には、申し訳ないことをした……橋口さんも、とても悔しがっていたよ」
菊原「それから昭和7年のこと……」
菊原「海軍が、日本の航空メーカー各社に優れた飛行機の試作機を作るように命令したんだ」
菊原「それは戦闘機や爆撃機だけじゃない……飛行艇も含まれていた」
秋津州「…………」
菊原「僕が本格的に開発に携われるようになったのもこの頃で」
菊原「飛行艇の船体の開発のスタッフとなった」
秋津州「順調に出世してるかも!」
菊原「そのときの海軍の要求は220キロほどの速さで」
菊原「4600kmほど飛べるようにしてほしいとのことだった」
秋津州「なんかピンとこないかも……」
菊原「ははは、まぁ……とにかく南西諸島間を飛ぶなら問題のない距離だよ」
菊原「その要求自体は、僕たちの技術水準を下
コメント一覧
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- 2016年02月03日 17:18
- すごいけど、こういう情報はどこで調べられるんだろう
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- 2016年02月03日 17:29
- 大艇ちゃんの性能は飛び抜けてたけれど、いかんせん高価過ぎた
貧乏海軍には過ぎた機体だったかも
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- 2016年02月03日 17:45
- こういうの大好きだわ。ちとうるっときた。
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- 2016年02月03日 18:28
- こういうのほんとすき
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- 2016年02月03日 18:28
- やっぱり秋津州はかわいいかも!
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- 2016年02月03日 18:33
- 空母はホモ
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- 2016年02月03日 18:38
- 現物の二式大艇いつか見に行かなきゃ…
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- 2016年02月03日 18:42
- オリキャラかよと思った自分が恥ずかしい
良い話だった
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- 2016年02月03日 18:53
- カテゴリが芸能人・有名人になってるから、誰だよと思いながら読んだら泣かされた。
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- 2016年02月03日 19:13
- キモヲタネトウヨは戦争を、軍人を利用するな!
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- 2016年02月03日 19:17
- パヨクおっすおっす(笑)
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- 2016年02月03日 19:25
- хорошо!
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- 2016年02月03日 19:33
- 感動してうるっとした
俺も年だなぁ…
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- 2016年02月03日 20:06
- …秋津洲がいなくったって…
グラーフがいなくったって…
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- 2016年02月03日 20:16
- 艦これのSSで久しぶりに泣いた
風立ちぬといつか静かな海でを足して2で割ったような感じかな
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- 2016年02月03日 20:40
- ※1
「世界の傑作機」で大抵の有名な機体の逸話は読めるんじゃないかな
そしてこの本で読めることはだいたいWikiでも読めると思う
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- 2016年02月03日 20:56
- 今月、ここのインターンあるんだよね
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- 2016年02月03日 20:56
- 史実ネタは泣ける話が多いからな、俺が特にそういうのに弱いからかもしれないが
艦娘が史実の人物と会話したら何を語るんだろうな
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- 2016年02月03日 21:44
- 兵隊さん、自衛官さん、技官さん、ありがとう。
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- 2016年02月03日 21:50
- 二式大艇はカツオブシ以外にも真っ直ぐ離着水するための補助装置のかんざしや発動機点検用の展開式足場が有名。
二式大艇くんはKMXを搭載して連続対潜攻撃が出来たら化けるんだがなぁ・・・。
とりあえずゴーヤを始めとした潜水艦と北上さんと雲龍さんらアレを搭載させられた娘達は好きなだけ黒島、富永を角材で殴っても赦されるな。
あと関係ないけど零戦とYS-11の開発には東条英機大将の三男の輝雄氏も開発に加わってた(何をしたかは知らぬが)。
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- 2016年02月03日 23:25
- そうか、大大艇ちゃんがあのPS-1の礎だったのか…
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