橘ありす「私達」的場梨沙「もう立派な」メアリー・コクラン「大人のレディーよ!」
ちひろ「……はい……はい、わかりました。お疲れ様です」プツッ
ちひろ「プロデューサーさん、打ち合わせが長引いちゃってるみたいで……お家に送るのが少し遅くなっちゃうけど大丈夫?」
梨沙「まぁ、仕事ならしょうがないわね」
ありす「大丈夫です。それなら、まだ冬休みの宿題の続きをしてますので」
メアリー「平気ヨ。あ、アリス、ここってどうやるの?」
ちひろ「良かった。それじゃ私は、自分のデスクでお仕事をしてますから、何かあればいつでも呼んで下さいね」
「「「はーい」」」
ありす「……ふぅ、終わりました」
梨沙「あぁー、疲れたぁ……」グデー
メアリー「ちょっとリサ、だらしないわヨ」
梨沙「えーいいでしょ。終わったんだし」ダラー
ちひろ「ふふっ、三人ともお疲れ様」
ちひろ「頑張った三人には、ご褒美にケーキをあげますね♪」
梨沙「ほんとっ!?」ガバッ
メアリー「あら、イイじゃない♪」
ありす「ちひろさん、ありがとうございます」
ちひろ「どういたしまして。それじゃ今から持ってきますね」
ちひろ「三人とも、飲み物は何がいいかしら?」
梨沙「そうねぇ……」
ありす「では……」
メアリー「コーヒーよ! ブラックでネ!」
梨沙「!?」
ありす「!?」
メアリー「そうヨ! 甘いケーキを食べるんだから、飲み物はブラックの苦いコーヒーよね」
メアリー「向こうではミンナそうしてたし、パパもママもいつもそうしてるワ」
メアリー「それにアタシはもう立派な大人のレディーだから、コーヒーをブラックで飲んでも平気ヨ!」
梨沙「む……」
ありす「む……」
梨沙「アタシもコーヒー! ブラックで!」
ありす「!?」
メアリー「!?」
梨沙「あったり前じゃない! 甘いケーキを食べるのに、甘ったるいジュースなんて飲むわけないでしょ」
梨沙「それにアタシももう子供じゃないんだから、コーヒーぐらいブラックで飲めるわよ!」
ありす「む……」
メアリー「む……」
ありす「私もコーヒーをブラックでお願いします」
メアリー「!?」
梨沙「!?」
ありす「当然です。 理論的に考えて、甘いケーキには苦いコーヒーの方が合うのなんて子供でもわかります」
ありす「それに私ももう子供ではないので、コーヒーをブラックで飲んでも平気です」
メアリー「む……」
梨沙「む……」
ちひろ「……わかりました。それじゃ、今淹れてきますから、少し待ってて下さいねっ」ニコニコ
スタスタ ガチャ バタン
ありす「……二人とも、本当に良いんですか? 今からちひろさんに言いに行けば、まだ間に合いますよ」
梨沙「……そうね、二人ともムリにアタシに合わせて見栄なんか張らなくていいんだからね?」
メアリー「そうヨ! 二人ともムリはよくないワヨ!」
ありす「……」
梨沙「ぐ……」
メアリー「クッ……」
ちひろ「ケーキとマグカップをそれぞれ、皆さんの前に置きますね」コト コトッ
ちひろ「後は、こっちのポットにコーヒーが入ってて」ゴトッ
ちひろ「それと……いらないとは思ったけど、一応念のために、こっちのポットに温めた牛乳を入れてきましたよ」ゴトッ
ちひろ「あとはこっちもいらないと思うけど、一応お砂糖も別に持ってきたから、ティースプーンと一緒に置いておきますね」コトコトッ
ちひろ「それじゃ私は、またデスクでお仕事をしてますから、別の飲み物が欲しかったりしたら遠慮なく呼んで下さいね♪」スタスタ
ありす「……ほら、梨沙さんとメアリーさんのためにちひろさんがお砂糖とミルクを用意してくれましたよ」
ありす「これで遠慮なくカフェオレが飲めますね。まぁ私はブラックで飲みますけど」コポポ
梨沙「……違うでしょ。ありすとメアリーのためでしょ」
梨沙「ちひろが優しくて良かったわね。これで二人はちゃんとカフェオレが飲めるわね。ま、アタシはブラックで飲むけどね!」コポポ
メアリー「……チヒロはやっぱり気が利く大人のレディーね!」
メアリー「リサとアリスのためにミルクとさとうを持ってきてくれるんだモノ! 二人とも良かったワネ! アタシは使わないケドね!」コポポ
ありす「……」
梨沙「……」
メアリー「……」
ありす「……取り敢えず、せっかく貰ったんですからケーキをいただきましょう」
梨沙「……そうね、貰ったものは食べなきゃもったいないわよね」
メアリー「イタダクわ!」
梨沙「そうねー、まぁまぁかしらね!」パクパク
ありす「甘くてとてもおいしいです」モグモグ
メアリー「さすがはチヒロね! 大人のレディーとしてちゃんとオイシイものを知ってるのネ」モグモグ
梨沙「まぁ、そこに対しては認めてあげなくもないわね」パクパク
ありす「今度、どこで買っているのか教えてもらいたいですね」モグモグ
メアリー「……あら、もうなくなっちゃった。ゴチソーサマ!」
梨沙「ごちそうさま。ちょっと小さかったわね」
ありす「あっという間に食べ終わってしまいましたね。ごちそう様でした」
メアリー「……」
梨沙「……」
ありす「……」
梨沙「の、飲むわよ! 二人も早く飲んだら? 暖房が点いてても、カップに移したんだから早く飲まないと冷めちゃうわよ」
メアリー「ア、アタシはカオリを楽しんでたのヨ! コーヒーはカオリを楽しむものでもあるデショ?」
メアリー「リサとアリスは飲まないの?」
ありす「わ、私はその、落ち着いてゆっくり飲もうと思ってるだけです。コーヒーは忙しく飲むものではありませんから」
梨沙「アタシは……猫舌で熱いと飲めないから、少し冷ましてるだけよ!」
ありす「そうですか……でも、もう冷めてきてるんじゃないですか?」
梨沙「メアリーも、もうさっきからコーヒーの匂いしかしないし、だいぶ香りも楽しめたんじゃない!?」
メアリー「う……ソ、ソウネ! アタシも飲むワ!」
メアリー「アリスも、もう落ち着けたんジャナイ?」
ありす「……そうですね、私もそろそろ。それでは……」
ありす「……」ズッ
梨沙「……」ズズー
メアリー「……」ズゥー
ありす「……」
梨沙「……」
メアリー「……」
ありす「うえっ」
梨沙「うえっ」
メアリー「うえっ」
ありす「梨沙さんもメアリーさんも、のあさんに騙されてライラさんの手作りお餅アイスじゃなくて、フェイフェイさんのお刺身の餅包みを食べさせられたみくさんみたいな顔してますよ」
ありす「嘘ついて無理して飲むなんて、本当に二人とも子供ですよね」
梨沙「ア、アタシは……思ったより熱くてビックリしただけよ!」
梨沙「それなのにメアリーとありすなんて、のあに騙されてカツじゃなくて魚フライ食べさせられたみくみたいな顔しちゃって」
梨沙「そんなつまんない見栄張っちゃって、ホントに二人とも子供なんだから!」
メアリー「違うわヨ! アタシは変なトコロに入ってむせちゃっただけナノ!」
メアリー「でもリサもアリスも『ニオイが苦手ならカレーにすれば良いんじゃない?』っていうシキのジッケンで」
メアリー「ノア特製ニシンカレーを食べさせられたミクみたいな顔してたわヨ!」
メアリー「やっぱり二人とも、まだまだコドモね!」
ありす「違います。もっと濃いかと思ってたんですが、思ったより薄くて驚いただけです」
梨沙「ぐぬぬ……」
メアリー「クッ……」
ありす「……」
メアリー「そうネ! たしかにアリスにだけは子供だなんて言われたくないワ!」
ありす「二人して急になんですか? 私に子供だと言われたくない理由でもあるんですか?」
梨沙「だってアンタ、いまだにサンタがいるなんて信じてるじゃない」
メアリー「そうヨそうヨ!」
ありす「……え……」
梨沙「小六にもなってまだサンタを信じてるなんて、ホントに子供よね!」
メアリー「リサの言うとおりだワ!」
ありす「え……サンタさんて、いないんですか……?」
梨沙「……あれ」
メアリー「……アラ?」
梨沙「……」
メアリー「……」
ありす「……」ジワァ
梨沙「う……ウソよウソ! ウソに決まってるでしょ!?」
メアリー「ソ……そうヨ! なに本気にしてるのヨ!」
ありす「嘘……?」
メアリー「全くネ!」
ありす「なっ……そんなつまらない嘘をつく方がよっぽど子供だと思います」
梨沙「うっ……」
メアリー「クッ……」
ありす「……」