戻る

このページは以下URLのキャッシュです
http://karapaia.livedoor.biz/archives/52210869.html


ナチスの暗号機エニグマの仕組み : カラパイア

RSS速報

0_e41

 エニグマ(Enigma)は、第二次世界大戦のときにナチス・ドイツが用いていたことで有名なローター式暗号機である。1918年にドイツの発明家アルトゥール・シェルビウスによって発明され、1925年には約3万台が軍用として使用された。

 優れた暗号システムの例に漏れず、エニグマは使用するのは簡単であるが、その暗号文を破るのは非常に難しい。
スポンサードリンク

 機械式と電子式の中間にあるエニグマの見た目は、大きめのタイプライターのようだ。キーボードでメッセージの最初の文字を入力すると、ランプボード上で置き換えられた文字が点灯する。暗号文を受信した側でも同じ手順を踏む。”暗号文”を入力すると、解読されたメッセージがランプボード上で点灯する。


Imitation Game: how did the Enigma machine work?

 内部には3つのローターが組み込まれている。各ローターは文字の入力を受けると、異なる文字を出力する。この文字が3つのローターを経た後、”反転ローター”によって逆方向に送信され、3つのローターを再び経由する。

 最終的にランプボード上で文字が点灯し、暗号化された出力を示す。同時に最初のローターが1目盛り分回転する。このため、2文字目に1文字目と同じものを打ち込んだとしても、違う文字が出力される。

 最初のローターが26目盛り回転すると、2番目のローターも1目盛り分回転する。2番目のローターが1回転すると、3番目のローターも同様に回転する。この結果、同じ暗号化プロセスが再び使用されるまでに、17,000種類の組み合わせが存在することになる。

 またローターと入出力の途中には、1組の文字を入れ替えるプラグボードが内蔵されている。初期モデルでは最大6組まで入れ替えることができたが、後期モデルでは10組に拡大され、第4ローターも追加された。

5

 こうした複雑な仕組みにもかかわらず、オペレーターに必要なのは、3つのローターの配置と順序ならびにプラグの配置だけだ。初期設定さえ知っていれば、解読は暗号文を入力し直すだけだ。反転ローターのおかげで、解読は暗号化手順と全く同じなのだ。

 しかし反転ローターには、暗号破りの手がかりを与えてしまうという欠点もあった。すなわち同じ文字には変換されないことだ。このヒントと、いくつかのメッセージ(「Keine besonderen Ereignisse(報告なし)」や「An die Gruppe(グループ宛)」など)の暗号化の結果を推測することで、数千種類のローターの配置を除外することができた。

4_e34

 やがて数学者アラン・チューリングが暗号解読機”ボンベ"を開発し、論理解析を行ってエニグマを破るようになる。しかし、最初の手順は必ず手動で行わなければならなかった。ボンベは検証すべき組み合わせの種類を減らす役にしか立たなかったのだ。

10_e25

 連合国は暗号解読チームを組織しエニグマの解読に当たらせたが、ナチスもローターの数を増やしたり、形状を変更するなど、エニグマの改良に取り組んでいた。そしてエニグマを超える”ローレンツ”が登場する。

11_e19

イギリスはその解読により大勢の暗号解読者と自動化が必要となる。これが世界初のデジタル・プログラム可能コンピューター、”コロッサス”の誕生につながる。

12_e16
via:io9theguardian/
translated hiroching


 現在ネット上にて実際にエニグマ暗号を生成できるシミュレーターが公開されているので、興味のある人はチェックしてみよう。

【Enigma Simulation】
no title


▼あわせて読みたい
おらワクワクしてきたぞ!ドイツのスパイ博物館「トップシークレット」にある魅力的なスパイ用ガジェット


いまだ解明されていない暗号文が記された10の品々


これがイタリアの巨大マフィア組織が使用していた暗号文の解読コードだ。


謎に包まれたヴォイニッチ手稿のこれまで判読不能だったページが修復される。だが内容は依然として不明


未知なる世界を未知なる言語と挿絵でつづった、異世界の百科事典「コデックス・セラフィニアヌス」



この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
シェアする この記事をシェア :    
この記事をシェア :    

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 20:37
  • ID:.DEHDTho0 #

うーん頭が痛い

2

2. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 20:44
  • ID:1pXkm.UBO #

おおついこないだ「イミテーション・ゲーム」で観たやつだ!

3

3. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:04
  • ID:5pd.7.AP0 #

エニグマと聞くと、「U-571」を思い出す

4

4. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:20
  • ID:09OXISSA0 #

この時代の暗号解読の攻防はほんと熱い

5

5. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:21
  • ID:5EElQDKn0 #

ドイツの科学力はァァァァァ、世界一ィィィィィ!

6

6. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:43
  • ID:3xSf9mrk0 #

あー確かにね、俺もこんな仕組みがいいと思ってたんだよなるほどなるほど



つまりどういうことだってばよ?

7

7. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:53
  • ID:U5ahwCeK0 #

もしエニグマの解読がなかったら連合国は負けていたか、少なくとも現実よりずっと被害が大きかったのは間違いない
チューリングは大戦勝利の要因の一つ

8

8. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:56
  • ID:IUsT7tsy0 #

大戦なんて酷いもんだったが、死に物狂いでイタチごっこ的に競い合うおかげで
色んな技術が飛躍的に発展するんだね。医学だったりコンピューターだったり
振り返って見る分にはロマンだw

9

9. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:56
  • ID:M1bbJZwB0 #

複雑な暗号をつくるのはマジ簡単なんだけどな・・・
その解読器を他にばれずに作るとは凄い

10

10. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:58
  • ID:hI7zvbGR0 #

とらとらとら

11

11. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 21:58
  • ID:.vBpaCm.0 #

何となく、バベッジ式階差機関の構造にも似てますね。
複雑化させればさせる程、打ち破ろうと闘志を燃やす人も出る。現在のシステムエンジニアとハッカーにも似てますね。

クレタ人同士で暗号を作成したら、どんな暗号になるんだろうか?(笑)

12

12. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:05
  • ID:iMM4HqST0 #

日本の暗号はザルで全部解読されてたんだろw

13

13. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:21
  • ID:mr1K.Ecp0 #

なるほど、わからん。

14

14. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:23
  • ID:nfwUOgXM0 #

取りあえず考えた奴も解読した奴も 態だってことはわかった

15

15. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:25
  • ID:iseFTMzH0 #

暗号解読器を入手しても暗号表を変えられたら元の木阿弥。暗号表をばれずにこっそり入手するのが難しい。

16

16. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:30
  • ID:iiRnlLgc0 #

人ってすごい

17

17. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:35
  • ID:NGgIGMUr0 #

エニグマも登場するサイモン・シンの「暗号解読」おもしろいよ

18

18. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:48
  • ID:M1bbJZwB0 #

※10
今考えるとなんて安易なんだwww

19

19. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:50
  • ID:vp.1.2jN0 #

サイモン・シンの暗号解読おすすめ
エニグマの本ではないが歴史の流れとしてエニグマの立ち位置なんかも掴める

20

20. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 22:57
  • ID:M1bbJZwB0 #

ウイルスが皆無の会社のパスワードだって月/1で変えるんだから
すべての暗号で2.3個の複雑な保護が必要な時代だろ
日本が丸出しすぎなんだよ、トラトラトラってもう掛け声

21

21. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 23:01
  • ID:94yuzqiK0 #

恐怖のサイン(ジョジョ並感)

22

22. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 23:01
  • ID:DTrP.SLq0 #

サイモンシンの暗号解読という本をお勧めするね
暗号がどのように開発、利用され、そして解読されていったかその苦悩が垣間見ることができる
初期の暗号から現代の暗号まで解説されてるから興味があれば読んでほしいね

23

23. 匿名処理班

  • 2016年02月06日 23:09
  • ID:OcQ.p2QW0 #

サイモン・シンの「暗号解読」にあるね。
ボンブを考えたのは、ポーランド人のマリアン・レイェフスキで
イギリスにその情報を渡してから、チューリングたちが後を
引き継いで発展させたと云うことらしいね。

お名前
※投稿されたコメントはブログ管理者の承認後に公開されます。
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク
おすすめリンク集