どう考えても階段の方がいい
すべり台は実現した。効率のよい暮らしの支えになるはずだった。が、階段の斜面がこんなにキツいのは想定外だった。手を離してスーッなんてできない。
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足がすくむ角度
保育園の頃、避難訓練が楽しみだった。その日だけ階段ではなく、非常すべり台で1階に降りるのだ。普段からそれでよくないかと思っていた。
大人になったいま、家の階段をすべり台にしてみてはどうかと考えた。効率化への憧れを実現する時がきたのである。
與座ひかる(udemerry)(よざひかる)
1990年沖縄生まれ。現在はOLとして活動しています。営業日のお昼休みに毎日更新する「今日の休憩」というブログを運営しています。 > 個人サイト 今日の休憩 今日の主人公登場玄関をあけると階段が出現するタイプの家に住んでいる。居住スペースは2階にある。毎日ただ昇降している。
そんな日々にピリオドを打つ。私はこの14段に革命を起こす。
妹と母に「滑り台を作る」と報告したら「頼むから端の方だけにしてくれ」と懇願された。生活効率が上がるのにだ。「見返してやる」というヤンキーみたいな感情が湧いた。
イメージからはじめる。足先のひゅうひゅうが止まらない。
ダンボールでいけるという見込み木の階段なので、木材で滑り台を作りたい。しかし安全を考慮しながら検索すると、どうしてもリフォーム業者のサイトにたどり着いてしまう。
「賃貸なんだから穴は絶対開けるな。傷もダメだから」と母にも釘を刺された。今回はダンボールで計画を遂行するしかない。 ダンボールの中心だけを切り取り、二枚重ねにしてギッチギチに止める
ダンボールで大丈夫なのか。という声も聞こえそうだが、いけると考えた根拠はある。
これです
階段にダンボールを立てかける。それは29cmごとに支える点が発生するということ意味する。
西川のムアツふとんを見たことがあるだろうか。あれと原理は一緒だ。接点が私の体重を分散する。 数字とか「接点」「分散」「原理」などと言えばそれっぽく見えると考えた結果がこれだ。 まずは3段ですべり試しできたダンボール板を立てかけた
いきなり14段は怖いので、3段で試す。
無茶苦茶怖い いきますよ
そーっと、そーっと
ん?
気づいたことがある作ったダンボールを見直した。
あーこれダメなやつだ
ダンボールには繊維(?)中芯(?)が走っている。その方向を考えずに板をつくってしまった。体重がかかるとすぐ折れる感じに仕上がっていた。
おそらく人差し指で強めに押しても折れたであろう。ちょっと考えればわかったミス。こんなにも夢は遠い。 瓦屋根作戦で攻める反省してダンボールの向きを変えた。また、3段につき1枚ではなく、1段につき1枚引いていくことにした。
かわら屋根的なことを想像してもらえれば大丈夫です。意地で「体重を分散」と書く
取り組み開始から5時間が経過している
できました。お試し3段
この企画は絶対にリフォーム業者しか実現できないと悟りつつも乗る。もう投げやりだ
えっ
撮る気はなかったが感動のあまりスイッチを押してしまっていた写真。
すべれてしまった。
「もうこれ編集の方になんて言い訳しよう」と2時間前からずっと考えていた。過去に失敗で終わった記事を何度も読んで自分を励ましていた。……すべれてしまった。 嬉しくてすぐに上まで敷き詰めた。失敗しすぎたせいでダンボールが足りない。14段ではなく8段になった。そんなのどうでもいい。
完成!!!!!
思い出さなくてよかった夢がいま叶う目の前に広がるすべり台。蘇る保育園の思い出。おそらくたくさんの人間が一度は考えたはずの装置を実現した。
上から見たらこう。「スキージャンプってこのぐらいの怖さなんじゃないかな」と足がすくむ。
意気揚々と8段から出発しますよー!!せーの!
手すりを離すことができない。「絶対に怪我したくない」という思いが先行する
試される握力と腹筋
完敗の瞬間
すっ、すべれました!!!!!
どう考えても階段の方がいい
すべり台は実現した。効率のよい暮らしの支えになるはずだった。が、階段の斜面がこんなにキツいのは想定外だった。手を離してスーッなんてできない。
一応すべった母親「怖い怖い怖い」
手すりに掴まって降りるのは時間がかかる。階段を全速力で降りた方が4倍ぐらい早かった。「リフォームの前にダンボールでできないか考える」という生活の知恵だけが残った。
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