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3分充電で通話1分。京セラのソーラースマホは効率向上で「早期の商品化を目指す」段階に:MWC 2016 - Engadget Japanese


モバイル関連見本市 MWC 2016より。京セラは、液晶面を直射日光に3分晒すだけで1分間の通話が可能という、実用的な太陽光発電スマートフォンのプロトタイプを公開しました。昨年版に比べた大幅な効率アップで、京セラ側は「実用化の目処がついた」とコメント。早急な商品化を目指すとしています。

京セラが出展したのは、フランスのスタートアップ企業サンパートナー社が開発した透明ソーラーパネル 「Wysips Crystal」をディスプレイに組み込んだ太陽光発電スマートフォンです。特徴は、ディスプレイ部の全体が太陽電池として機能すること。

ソーラーパネルを搭載するだけなら背面に装着したスマートフォンケースなどもありますが、それらとは異なり、太陽光による充電時でも背面を向ける必要などがなく、さらにソーラーパネル搭載による本体サイズ増加もないことから、実用性の面では大きなメリットがあります。


2015年に公開した初代プロトタイプ


京セラは去年開催されたMWC 2015でも「世界初」と謳い、Wysips Crystalを搭載する太陽光発電スマートフォンのプロトタイプ(上記写真)を出展していました。しかしそのプロトタイプの充電速度は、「直射日光下に2時間置いても、通話は5分間」という状態。おおよそ実用とは遠いレベルでした。

太陽光で充電するスマートフォン、京セラがMWC出展。直射日光下に2時間で5分間の通話が可能


新型機は発電効率が大幅に向上、実用レベルに


しかし、今年京セラが公開した新型プロトタイプでは、「直射日光下に3分置けば1分の通話が可能』という仕様となり、一気に実用的な充電速度にこぎつけました。

これは、発電効率が先代に比べて50%も向上した第2世代Wysips Crystalを採用に加え、京セラによる独自のチューニングによるもの。そして画面サイズが前回の4インチから5インチに大きくなり、純粋なソーラーパネル面積自体が増えたことなどが理由です。

こちらがMWC2016で公開した新プロトタイプ


太陽光を再現したライトを当てると発電。3分間で1分間の通話が可能。


仕様は高耐久スマートフォンとなっており、背面側は頼もしさを感じる外観



太陽光発電スマートフォンはどう便利?


このように、充電性能と実用性が一気に増した太陽光発電スマートフォンですが、どのような用途が考えられるのでしょうか。京セラの担当者は次のような例えで説明します。

車ならガソリンと電気で走るハイブリッド車のイメージ。バッテリーとソーラーを組み合わせて、バッテリーを長持ちさせる』つまり、ソーラーをメインの電源とするのではなく、バッテリーの寿命を延長させるために使うということを想定しています。


記者インタビューに答える、京セラの通信機器経営戦略部長 能原隆氏


また、想定される太陽光発電スマートフォンのユースケースについて尋ねると、担当者は、同社が一定のシェアを持つ北米市場を引き合いに、

米国の建設現場では、タイヤだけで2mもある大きなトラックが山の上から駆けてくる。そのような過酷な現場で役に立てる性能や機能をということで、これまで高耐久スマートフォンを開発してきた。高耐久のほかに役に立てることがないか思案したときに、事務所に行くにも時間がかかる場所で作業されている方のために、携帯のバッテリーを長持ちさせる方法の一つとして、太陽光発電スマホを開発した』と説明。



また今回のプロトタイプで達成した、直射日光下3分間で1分間の通話が可能という発電性能は、一定の実用水準に達したとの認識を示しました。その上で、まだ量産時の課題はある、と前置きしつつ『この性能をベースに、できるだけ早く製品化をしたい』『2017年頃までには』と早期の製品化に言及しています。

販路について気になるところですが、現状でも京セラの高耐久スマートフォンは法人、個人向け関わらず販売されています。法人向けでは、石油プラントなど可燃性ガスの周囲で使っても大丈夫な防爆仕様の『Dura Force』、個人向けには海水でも使える『TORQUE』シリーズから、ハンドソープで洗える『DIGNO rafre』があります。

こうした状態を受け、太陽光発電スマートフォンについても、法人・コンシューマを問わず、さまざまなユースケース、販路を検討している、とのコメントがありました。

太陽光発電スマホにはまだまだ性能向上の余地あり



なお京セラが「一定の性能の目安に達した」とする太陽光発電スマートフォンですが、実はまだまだ性能向上の余地があります。

京セラが今回のプロトタイプで採用した第2世代Wysips Crystalは、理論上は画面をソーラーパネルとして使うのみならず、端末本体の表面にも搭載が可能。さらにロゴや絵柄をプリントした表面など『あらゆる表面で使える』(サンパートナー社担当者)とアピールします。もしボディ全体をソーラーパネルにできれば、さらなる発電性能の向上が望めるというわけです。

京セラ側も、ひとまず今回のプロトタイプで商品化の目安となる発電性能は達成したとしつつも、今後も発電性能の向上に取り組む姿勢を示しています。

なお、サンパートナー側はスマートフォン本体だけでなく、Wysips Crystalをスマートフォン用カバーに搭載したコンセプトモデルなども公開しています。こうした製品が登場してくると、太陽光によるスマートデバイスの充電は今後ますます身近になっていくのかもしれません。
3分充電で通話1分。京セラのソーラースマホは効率向上で「早期の商品化を目指す」段階に:MWC 2016

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