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企業のとるにたらないVRマーケティング戦略にはご注意を : ギズモード・ジャパン

企業のとるにたらないVRマーケティング戦略にはご注意を

2016.02.29 22:00
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着々と社会に広まりつつあるヴァーチャル・リアリティ。さまざまな企業がVRを活用したマーケティングを実施しているなか、米GizmodoのMichael Nunez氏はそうした類のVR体験についてどうしようもなくクソだと言い切っています。


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今度こそ本当に世間に広まりつつあるヴァーチャル・リアリティ。アメリカではCNN、TED、NBAやShowtime Boxing、Sports Illustratedまで、さまざまな企業がVRを駆使したマーケティング戦略に乗り出しています。でも、正直言って彼らが作りあげるVR体験とやらは、すべてどうしようもなくクソなのです。

以前サムスンが行なったVRマーケティングでは、スマートフォン発表会をライブストリーミングしていました。スーツを身にまとった野郎たちがステージに上がり、去年のモデルとほとんど同じにみえる新しいスマホの革新性を語る。この光景をVRで体験できるなんて素晴らしい時代ですよ...ね?

いや本当に誰がヴァーチャル・リアリティでそんな光景を観たいと思うのでしょうか? 理解の範疇を超えています。彼らがスマートフォンを売り込むためにヴァーチャル・リアリティの可能性を食い物にしていると言われても仕方ないと感じます。

悲しいことに同じような例ならいくらでも挙げることができます。昨年CNNが民主党の候補者ディベートをGear VR向けにライブストリーミングしていましたが、これについてだれか覚えている人っているんでしょうか? きっと誰もいないはずです。なぜなら、わざわざ観ようとする人がいないから。ヴァーチャル・リアリティがディベートという体験をより豊かにできる可能性はほとんどないはずです。むしろ気が散ってしまいディベートにおいて大切な情報を取り逃がすことがあるかもしれない。

さきほど挙げたSamsung VRの例は、まさにこういう駄目なマーケティングギミックを真似してしまった例ですよね。ミレニアル世代の関心を引こうとしたのでしょうか。最近ではあのスポーツ週刊誌Sports Illustratedさえもヴァーチャル・リアリティの誘惑に耐えられなかったようで、水着特集の宣伝用に360度動画を制作したりしていました。


20160226dontwasttimeonvr1.jpgImage via Showtime Boxing


もちろんVRヘッドセットを装着して、なかなか訪れることのできない場所に行ける未来はやってくるでしょう。バスケットボールの試合を最前列で観戦したり、人気のある製品発表会のステージ上に立つことができたり...。しかし、わたしたちはまだその段階にはたどり着いていないわけです。

ヴァーチャル・リアリティ向けの映像を製作するときは、たいてい複数の映像をつなぎ合わせることになります。平面の世界地図を地球儀に貼り付けていくような感じです。するとどうしても微妙にゆがんだ部分ができてしまい、ぐるっと見渡すとなんとなく物体が湾曲したようにみえたりしちゃいます。

一方でOculusのような会社は3Dモデリングを駆使して、まるで現実のようなVR空間を構築しています。 彼らは何年もの開発を経て、あの凄まじい没入感を実現したのです。ただし、マーケティングのためにVRを取り入れる企業の多くは、時間とお金のかかる技術をあきらめ、とりあえずライブイベントで360度カメラをステージに設置する方法を選んでしまっているのです。

そんなこんなでこれからも企業は360度のVR動画を取りいれていくことでしょう。そういった企業のなかには、解像度の低いカメラで撮影したVR動画をお試し気分で配信しているところもあります。それでもメディアで話題になったりはするのかもしれませんが、肝心の質がともなわないこともあります。個人的に360度のライブストリーム動画にはあんまり没入感がないように思います。


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ちょっと言い方を変えると壁に取りつけられたまま忘れられたウェブカメラを覗いているように感じることがあります。マーケティング用のVR動画は通常のHD動画よりもクオリティの面では劣っている現状があるからです。

「ヴァーチャル・リアリティが当たり前になる!」と言う前に、そういったテクノロジーが行き届いていない人たちがたくさんいることを考慮するべきです。それでも企業がVRを使ったマーケティングをやってみようとするのなら、提供できるVR体験が既存のものより優れているかを落ち着いて考えてみるべきです。そして、そうじゃないのなら別にやらなくてもいいんじゃないかと思うんですよ。


Michael Nunez - Gizmodo US[原文
(Haruka Mukai)

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