日本だと10人に1人、アメリカだと5人に1人くらい。そう少なくはない人々が、心の奥底で黒い犬を飼っているという。その犬の名は「うつ病」。追い払おうとすればするほどその存在は大きくなる。だけど飼い慣らすことができるようになると、不思議と気持ちが軽くなり、あんなに大きかった黒い犬がかわいらしい子犬にも見えてくるんだ。
この動画は、世界精神保健デーを記念して世界保健機構が、ニュージーランドのイラストレーター、マシュー・ジョンストン氏の絵本ぼくのなかの黒い犬を元に映像化したものだ。これが大反響を呼び、動画の再生回数は650万回を突破している。
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I had a black dog, his name was depression
この世界では、何百万人という人がうつ病と戦っている。多くの人やその家族は、うつ病の苦しさを話すことをためらい、どこに助けを求めていいのか分からないという。しかし、うつ病だと認識し、適切な助けを得ることで回復へとつながるという。この物語は、うつ病に悩む男性が、うつ病を黒い犬に例え、それを克服し、飼い慣らしていくまでの過程を描いたものである。
僕の心の中にいるうつ病という名の黒い犬translated melondeau / edited by parumo
僕は犬を飼っていた。その犬の名前は「うつ病」という。
犬が現れるたび、僕は無気力になって生きるのがとてもおっくうに感じた。しかも、その犬は何の前触れもなく、特別な理由もなく、いつも突然僕の目の前に現れた。
その犬といると、僕は精神的にも肉体的にも、実際の年齢よりも老けたように見えた。他の人が楽しそうに暮らしている世界も、僕の目に映るのは黒い犬で、犬を通してしか世界は見えなかった。
かつては楽しかった事が、突然楽しくなくなった。
その犬は僕の食欲を奪うのが好きだった。
その犬は僕の記憶や集中力を噛み砕いた。
何をするにも、どこへ行くにも、その犬がいると、超人レベルの気力が必要だった。人が多くいる場所では、僕の”自信”を嗅ぎつけ、追い払ってしまう。
僕が一番恐れていることはこの黒い犬が人に見つかること。
見つかったら、きっとみんなから批判されるから。
黒い犬は僕の恥だった。犬を飼っていることが誰にもバレないようにと、いつも余計なエネルギーを使って犬を隠していた。感情を押し殺し、嘘をつくのはとても疲れることだった。
黒い犬は僕にネガティブな考えや言葉ばかり運んできた。
黒い犬は、僕をイラつかせ、他の人といるのが苦痛になった。
犬は僕から愛を奪い取り、愛情表現を土の中に埋めてしまった。
黒い犬の好物、それは絶え間なく僕にネガティブな思考を植えこむこと。また、次の日がどれだけ大変で疲れる日になるかと僕に思い知らせることだった。
黒い犬がいるということは、ちょっと落ち込んだり、悲しくなったりする、というものではない。最悪の場合は、何も感じなくなるのだ。
僕が大きくなるにつれ、黒い犬も大きくなっていった。そして、常に僕のそばにいるようになった。
どうにかして、黒い犬を追い払おうとしてみた。
でも、たいがい勝つのは黒い犬だった。
何度も立ち上がって戦いを挑むより、落ちていく方が楽になった。
だから自己流に解決するのが得意になった。
けれど、実際に効果はなかった。
やがて、自分が周りの人や物から切り離され、
孤立していると感じるようになった。
ついに、黒い犬が僕の人生を支配するようになった。生きる楽しみがなくなると、なぜ生きているのか分からなくなった。
もうこれ以上は無理。僕はこれを機に専門家へ助けを求めた。なんとこれが効いた。回復へむけての最初の一歩となり、僕の人生における大きな転機となった。
黒い犬を恐れるな、そいつはザコでどこにでもいる。
そこで学んだことは、彼らはどこにでも現れる雑種だということ。この世界の何百万という人が黒い犬と生きている。自分に欠点があったり、特別な理由があるから黒い犬がいるわけではないのだ。
また、効果100％の魔法の薬なんかもないということが分かった。瞑想が救いとなる人もいるし、他の方法が必要な人もいる。人によって治療法に違いがあるのだ。
そして、黒い犬を飼っている者同士で話し合い、情報を共有することで気持ちに大きな変化が現れるということ。
黒い犬を飼い慣らす方法
一番大事なのは、黒い犬を恐れて必死で逃げようとするのではなく、飼い慣らしてやればいいのだ。
疲れやストレスが溜まるほど、黒い犬は大きな声で吠えてくる。
そんな時は自分の心を落ち着かせるのが大切。
軽度から中等度のうつ病には、定期的な運動も効果があると臨床的に証明されている。外に出て歩いたり、走ったりすれば、犬はついてこれなくなる。
感情を綴った日記をつけるのもいい。思った事を紙に書くと、心の浄化効果にもなり自分を見つめるよい機会にもなる。また、感謝したことも書き留めておこう。
そして、最も重要なこと！
どんなに状況が悪化しようと、ポジティブな行動を起こしたり、適切な人に話すことで、黒い犬もそのうち姿を消すということ。
黒い犬に感謝しようとは思わないが、この犬は僕の偉大な先生である。自分の人生を見つめ直し、もっとシンプルに生きるよう教えてくれているのだ。問題から逃げるより、問題を受け入れ包み込んだほうがいいんだと教えてくれているのだ。
黒い犬はずっと僕のそばにいるかもしれない。
でも今は、昔のように怖い存在ではなくなった。
僕たちはお互いを理解できたから。正しい知識を得て、自制心やユーモアを餌として与えてやることで、野獣のようだった黒い犬も、徐々に言うことを聞くようになった。
もし苦しんでいるなら、誰かに助けを求める事を恐れないで。助けを求める事は決して恥ずかしいことではないのだから。恥ずかしいのは人生を台無しにすることだ。そしてまたまわりにいる人々も、彼と彼の心の中で暴れている黒い犬の存在を理解してあげてほしい。
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コメント
1. 匿名処理班
ゲド戦記の､影との戦いだな、大好きな本｡
2.
3. 匿名処理班
なーまえはゆううーつーでー死ーだけを見つめーって歌があったな
4.
5.
6. 匿名処理班
わかる。
重度の時は本気で辛かった。
今は軽度だから仕事もしてるけど。
時々、その波が急に来る。
本気で今苦しんでる人居て、ここを読んでるなら
焦らないで治療してほしい。
今の自分を否定しないでほしい。
病気でも出来ることを、探せばいい。
昨日まで出来てた事が、急に出来なくなって、怖くて焦って、自分は社会のごみって追い詰めてたけど。
今はバイトから始めて、社員に誘われてたり
（体調的に悩んでるけど）
そこまで立ち上がる日は必ず来ます！
7. 匿名処理班
もっと獰猛な動物にすれば良いのに
なんで犬にしたんだ
8. 匿名処理班
わかる。
9.
10. 匿名処理班
コメント残すのでも、すこし楽になれるんだ。いつもありがとう。
11. 匿名処理班
素晴らしい記事だと思うんだけど、これ前に紹介してなかたっけ？既視感がある、気のせいか…
12. 匿名処理班
※7
飼い慣らせるという部分を強調する為でしょう
13. 匿名処理班
うつを敵に回したらアカン。味方につけるんや。少し楽になるで。
14. 匿名処理班
自分は素晴らしい先生に出会えて地獄の連鎖から脱出できた。
1番辛い言葉 頑張って・・
これ以上どう頑張れと言うんだ・・
15.
16.
17. 匿名処理班
犬に例えているのか。。。
オイラは「心の暗黒面」って言ってる。
18. 匿名処理班
辛かった時期、一行日記をつけてました
その日あった｢良かったこと｣を書く日記
普通の日記も書いてたんだけど、段々内容がヤバくなってきてたので(何かの呪詛みたいになってますた)
どんな日でも一つくらいは良かったことがあるはず！って……w
無意識のうちに精神のバランスを取ろうとしてたんだなーと
記事を読みながら思いました
自分語り、失礼しました
19. 匿名処理班
私も飼ってますよ。
20. 匿名処理班
※4
飼い慣らすことができるという希望的要素なんじゃないかな。
犬もなかなか獰猛な個体がいるし。しかし15年前後ではいなくなってくれないな。
21. 黒い犬と一緒
かれこれ15年以上一緒にいるけど、最近ちょうど黒い犬が手に負えなくて困っていたところ。とくに12月の終わりから3月にかけて活動期に入り、どす黒い影を心に落とすんだよな。「 にたい にたい」ワンワン騒ぎ出すこともあるし、物事全てに黒いフィルターがかかったような気分になって何をしても楽しめなくなることもある。そして、そのたびに「また始まったよ、、」ってな具合に黒い犬をシカトしながら大人しくなるのを待ってる。全く厄介なペットを連れ込んだもんだよ。
22. 匿名処理班
軽い運動にオススメなのは、
適当なものを踏み台にして、好きな音楽をかけながら踏み台昇降。
散歩に行くことすら出来ないほど気が滅入っていても、
これで心拍数を上げる毎日を繰り返すと、
そのうち、踏み台じゃ足りなくなって、マラソンに行きたくなる。
23. 匿名処理班
あえて人類の友である犬ってとこが大事なんだろうか
怪物だともう完全にわかりあえない相手だし
24. 匿名処理班
犬ならどんなに良かったことか
実際のところ倦怠感の塊
25. 匿名処理班
アイアムアトップオブブリーダー
26. 匿名処理班
犬が大好きだから犬に例えてほしくなかったかもｗｗｗ
オイラの場合は、犬って感じじゃないな。ナメクジとか這い虫系？気が付くとじわじわっと喉元まで這い上がってきてる感じかな。薬さえちゃんと飲んでいれば、飲み込まれそうなほど巨大になることはないけど、日によっては、いつもよりちょっと大きめなこともある。
27. 匿名処理班
よく分かる
ただ専門家も意味がない時もあってだな…
専門家が一番敵に見えたりな
相性だろうが
そうなると他の誰でもだ
誰にも理解されない物と戦う
28. 匿名処理班
確かにこれを犬だと思えるうちはまだなんとかなるかもしれないね
今まさに瀬戸際にいる人は気休めにもならないんだよね・・・
29. 匿名処理班
自分も犬飼いで犬大好きだから犬に例えて欲しくなかった(苦笑)
言いたいことは分かるし、合ってるけどせめて、犬 のようなもの にしてほしかったかな
自分は生き物とは思えなかった
闇、ひたすら暗くて重い闇
薄くなったり、軽くなったりするけど
基本気持ちが重い（飼い犬と接するときは多少良い）
ちゃんと病院に通えば良くなるのかな
※読んで同じような人がいるんだとちょっと安心
冬の時期は悪化するよね…
犬にしたのは、飼い慣らせる希望的要素 には納得した
30. 匿名処理班
私がしんどかった時10年ちょっとかな？の間はよく図書館に行ってた。タダだし、何時間いてもいいし。誰も気にしないしね。
図書館ひとつで一生かかっても読み切れないくらいの数の本があるし、せっかくなんで、それまで読んだことのないジャンルの棚に行ってブラブラしたりしてた。そうすると自分でも意外な本にぶつかったりするから、いいよ図書館。オススメ。
31. 匿名処理班
自分も10年ほど前から黒い犬を飼ってしまっている
数年前まで完全に支配され切っていて生き地獄みたいな毎日だった
我ながら本当によく生きていたと思う
今はようやく自分に合った治療法が見つかり、巨大だった黒い犬も仔犬程度になってきて、自分で出来る事も少しずつ増えてきた
鬱は自分をいつ襲ってくるか分からない怖いもの・嫌なものだと思っていたけど、黒い犬だと思えば自分でコントロールできる物なんだと思えるし、何となく可愛らしいイメージであまり悲観的にならずに済むかも
黒い犬と上手く共存して前向きに生きていけたらいいなと思いました
32. 匿名処理班
なかなか助けてくれる人もいないけどねー
下手に話してもその人にダメージ与えちゃう
33. 匿名処理班
これを見られたうつ病を持たない方々にひとつ……
「飼い慣らせる」というヒント一発で
うつ病が良くなると思うのは早計だと考えていただきたい
治療にはどんなにその人と相性が良い方法であっても
かなりの時間がかかります
それどころか完治せず一生付き合う可能性もあります
だから打ち倒すだとか追い払うだとかではなく「飼い慣らす」なのです
34. 匿名処理班
筋少のトキハナツ
いい歌だよね〜
35. 匿名処理班
なんとなく感動した
ありがとう
36. 匿名処理班
英国元首相チャーチルが自分の鬱病のことをわたしの黒い犬と呼んでいたそうです。
この話はそれを元ネタにしたものなのか、それとも鬱病がチャーチル以外の人にも黒い犬に見えたということなのか。
37.
38. 匿名処理班
筋少ネタがあって安心した
39.
40.
41. 匿名処理班
鬱病の人に嫌われて避けられたりイライラして攻撃的な態度を取られたときにこっちがどうすればいいのかが今でもわからん。
どっかいけ！って言われたらその通りにどっかいった方がいいの？
42. 匿名処理班
何十年もかけて何人もの医者に見せて、ありとあらゆる薬をためし、なにもよくならず、ますます悪くなっていく気がしている。近年になって「抗鬱剤と偽薬は優位な効果の差がみられない。抗鬱剤の効果はプラセボ効果と言える」という研究論文が立て続けに海外から発表されていて、それを受けて日本うつ病学会は今では積極的な抗鬱剤治療を推奨していない。効果のない薬で副作用だけを起こすために大金を何十年もつぎ込んだと思うと、がっかりきた。
43. 匿名処理班
生まれてこの方、鬱が基本状態で、そこから離れた時間のほうが異例に思えるが、もうできることって何も考えず死ぬまでとりあえず生きておく、しかない気がする。
44.
45. 匿名処理班
愛犬が黒かったのでこういうたとえはちょっとと思う。
ただ兄が10年以上鬱で苦しんでいるので、手懐けるというより、ストレスの元から離れるのが一番だと思う。
難しいことかもしれないけど、鬱で苦しんでる人はいつかは良くなるという希望だけは無くさないで欲しいなあと思います
46. 匿名処理班
途中までは分かる分かると読んでたが
専門家に頼った後急激にポジティブになってて
この飼い主は俺とは違うと心が離れた
47. 匿名処理班
わたしは薬を頼ってもダメ
ひどい副作用の割に、飲むと生きてるのか死んでるのか分からないゾッとした場所につれてかれる
ひどいときはそれでも頼りたくなるけれど、飲んだあとにはいつだって
「ちがう。こんなのは望んでいない」と後悔する
もう人と会うのがイヤだ
顔を合わせるのもしんどい
もう仕事もやめる
ダメなときには下手な決断はするなと言われてるけど、もう本当にダメ