時子「アァ? 法子のいるホテルで事件ですって?」
――――事務所
時子「はぁ……ちひろ、貴女からそんな冗談を聞くとは思わなかったわ。躾けるわよ」
ちひろ「いえ本当に冗談ではなくてですね、困ったことに……あぁ、今丁度テレビでも流れ始めました」
時子「チッ……まぁどうせ事件といってもそんな大したことでは」
TV『ここで速報です。現在、オランダのホテルで武装した集団による立て篭もり事件が発生したとの情報が入りました』
TV『現地警察がすでに動いており詳細は後ほどになると思われますが、独自に入手した情報によりますと、日本人宿泊客が巻き込まれたとの――』
時子「」
ちひろ「という感じなんです……」
時子「……感じなんですじゃないわ! なにをしているのよ、そもそもオランダってどういうことなの!?」
ちひろ「ほら、少し前に法子ちゃんが時子ちゃんを誘っていたお仕事があったじゃないですか。ドーナツの歴史を辿る特別番組があると」
時子「確かにそんなことに熱心に誘われ……まさか!?」
※千川ちひろ
ちひろ「ええ、それで現在法子ちゃんはオランダに行っていまして……それで、泊まっているホテルが先程の事件があった場所ということに」
時子「っ……プロデューサーはなにをしているの、あの豚は! 一緒なんでしょう!?」
ちひろ「今回のお仕事は法子ちゃんと、時子ちゃんの代わりに有香ちゃんとゆかりちゃんが行っていまして、プロデューサーさんはその二人と一緒だそうです」
時子「な、なんでそこに法子もいないの!?」
ちひろ「電話で聞いたところ、どうやらホテルの喫茶店で仲良くなった店員の方からプレゼントを貰うことになっていたようでして」
時子「……なんとなく分かったわ、人に好かれることにおいては誰よりも天才なあの子のことよ。一人でそれを貰いに行ったのね」
ちひろ「はい、丁度別行動になった瞬間に襲撃があったらしく、プロデューサーさんは有香ちゃんとゆかりちゃんを連れて逃げるので精一杯だったと」
時子「なっ……そこは法子も救出に行くべきでしょう!? あの豚……!」
ちひろ「し、しかしですね、法子ちゃんがいたと思われるのは最初に武装集団が入ってきた一階で……プロデューサーさん達が泊まっていた5階から行くのは無理が」
時子「それでもちゃんとゆかり達は連れて逃げてるじゃない!? どうしてその逃げる時に法子も連れて行かなかったのよ!」
ちひろ「銃声を聞いた瞬間ゆかりちゃん達を抱きかかえて5階から飛び降りたので無理だったそうです」
時子「……無茶苦茶ね、でもそう。なら早く豚を突入させて法子を救出させなさい、今すぐ!」
ちひろ「で、ですが一緒にオランダに行った番組スタッフが人質になってしまったらしく、現地も混乱の極みで……その……」
時子「つまり今、豚がゆかり達の側を離れるわけにもいかなくなったと、そういうことね」
ちひろ「はい……まさか警備やスタッフの対応言語など、サービス体制が万全なホテルを選んだことが逆にこのようなことになるとは私も……」
時子「それで、今状況はどうなってるの。ニュースじゃさっきのこと以上は全然分からないじゃない」
ちひろ「あ、はい。襲撃があってすぐ現地警察や軍が動き始めたそうで、現在ホテルの周辺は厳戒態勢が」
時子「それより怪我人や死亡者は」
ちひろ「怪我人は出ているようですが、まだ今のところ奇跡的に死亡者は出ていないようだとプロデューサーさんが電話で」
時子「……そう」ホッ
ちひろ「でも油断は出来ない状況ですね、犯人側が捉えた人質の中には世界的に有名な実業家や資産家、またはその身内がいるようです」
ちひろ「犯人はそんな価値のある人質を盾に金銭と逃走手段を要求しています。今のところその要求が通ったという情報はありませんが……」
時子「このままだと要求を飲ませるために犯人側が価値のない人質を殺すこともありえると?」
ちひろ「というより、この状況が長くても半日続けば恐らく……」
時子「だったら尚更プロデューサーを突撃させなさい! あれはちょっと撃たれた程度で死ぬ豚じゃないでしょう!」
ちひろ「し、しかしこの状況でゆかりちゃん達の側からプロデューサーさんを引き離すのも危険でして!」
時子「アァ!? だったらこういう時のために貴女が用意している処理部隊でもなんでもいいから使って助けに行きなさい!」
ちひろ「処理部隊の仕事は主に隠蔽工作と事後処理ですから、武装集団が占拠しているホテルへの救出作戦なんてとても……!」
時子「だったら得意な子達に行かせたらどうなの!」
ちひろ「こ、こういったことを解決出来る亜季ちゃんやあやめちゃんやこずえちゃんみたいな子達が今間が悪く全員ロケの仕事に……!」
時子「もう! だったら貴女が行きなさいよちひろ!」
ちひろ「ここまで騒ぎが大きくなった事件に私が介入するとそれこそ後の情報操作が難しくてですねっ……!」
時子「じゃあ法子がどうなってもいいというの!?」
ちひろ「いいわけないじゃないですかっ!」ドンッ
ビシィイイイ!
時子「……分かったわ、そうよね、貴女は大事なアイドルが危険な目にあっていて落ち着いていられる人じゃなかったわね」チラッ
時子「でもだからこそ落ち着きなさい。怒りで床を踏み砕いてるわよ」
ちひろ「い、いけない……! あとで直さないと……」
時子「……あぁ、でも今ので少し冷静になれたわ。ええ、こんなところで喚いていても法子が助かるわけじゃない、むしろ事態は悪化するだけ」
時子「そして貴女が私にこのことを伝えてきたということは、つまり私の力を貸して欲しいということ。そうでしょう?」
ちひろ「その通りです。この事件に対して私が出来るのは、現地への即時の移動と情報収集と終わった後の隠蔽工作と情報操作くらいです。本来なら……」
時子「本来ならば、こういったことに直接介入する連中が全員今動けない。だから私がその連中に代わる人材を用意すればいいのね」
ちひろ「はい……不甲斐ないアシスタントで申し訳ありません。なんとお詫びすれば」
時子「謝るのは私ではなく法子達にしなさい、とびきり最高の謝罪をすることね。いいでしょう、今から私を含めて法子を救出する人員を用意するわ」
ちひろ「よろしくおねがいしま……え、時子ちゃんも行くつもりですか!?」
時子「……当然よ、心配はいらないわ。銃を持った相手は昔何度かお仕置きして私の豚にしてあげたことがあるのよ? クックック」
ちひろ「そ、それはすご……じゃなくてですね! 時子ちゃんもアイドルですからそんな危険な……!」
時子「さっき貴女が名前を上げた子達もアイドルのはずだけれど」
ちひろ「か、彼女達はその……銃の扱いが得意でしたり、ニンジャでしたり、宇宙人? だったり……」
時子「なら私は女王様よ、それで問題ないはず……というか、貴女が彼女達のことを言えた義理なの?」
ちひろ「し、しかしですね!」
時子「……今もこうしてあの子が」
ちひろ「?」
時子「法子が、危険な目にあって、不安な気持ちになっているのかもしれないのに……私が黙っていられるはずないでしょう!」ヒュパン
パシッ
ちひろ「なるほど、時子ちゃんの想いと実力は今の鞭捌きでよく分かりました。これなら問題なさそうですね」
時子「指で軽々と受け止めながらよく言う……ところで、今から救出する人員を集めるけれど、集合場所はこの事件現場のすぐ近くでいいわよね?」
ちひろ「もちろんです! 時子ちゃんの用意する人達は無理ですが、私達は今からすぐオランダに行けますので」
時子「そう、どうやるのかは……言わなくてもいいわ、分かってるから。そうね、タイムリミットが希望的に考えて半日後だとするなら……」ピッピッピッ
時子「……三時間以内に集まってもらうとしましょうか」プルルルル
――――1分後 アメリカ陸軍特殊部隊、作戦会議室
隊長「――以上が今度の合同訓練における我々の任務だ、質問がある者はいるか」
シーン
隊長「見事だ、一度で理解し覚えられるようになってきたようだな。現在の世界情勢は非常に不安定であり、その中で時間と情報は貴重だ」
隊長「我々が訓練を施す者達が善き正義の力となってくれるか否かは、我々の行動にかかっている! それを心に刻み――」
コンコン
通信係「失礼します、少佐! 会議中に申し訳ありません!」
隊長「どうした、緊急事態か!」
通信係「いえ、あの、少佐宛に電話が来ておりまして……」
隊長「誰からだ! こんな時に私に報告するからには、よほど重要な相手なのだろうな?」
通信係「そ、それが、相手は名乗らず……しかしこの緊急回線に繋いできたため無視する事もできず……」
ヒソヒソ
「なんだあいつ……」「空気読めよ……」「作戦会議中だぞ、それくらい確かめてから来るべきだろ」
ヒソヒソ
通信係「……申し訳ありません」
隊長「名乗らない相手だと……? 馬鹿者! 身元の分からぬ輩を相手にしていられるほど、私は今暇ではない! 悪いが、その相手には」
通信係「ま、待ってください! あ、相手は名乗りませんでしたが女性で、なぜか聞いていると逆らえない素晴らしい声ででこう仰っていました!」
通信係「『早く来い豚』そう伝えれば少佐は必ず電話に出られると! ブヒィ!」
ヒソヒソ
「なんだそれは、暗号か?」「馬鹿言うな……というか今アイツ豚の鳴きマネしなかったか?」「やばいな、イカれたか」
ヒソヒソ
副隊長「話になりませんね。隊長、ここは私が対応してきます。ですから貴方は隊員たちに」
隊長「……まだ……!」キラキラ
副隊長「……隊長?」
隊長「……ハッ!? あー、うむ、なんだったかな、そうだな、うむ。大尉、すまないが後を頼む、私は電話に出た後しばらく休暇を貰うぞ」
副隊長「了解し……は!? 隊長!? 今なんと言われましたかっ!?」
隊長「後は全て君に任せると言ったのだ! 二度も言わせるな!」
副隊長「そ、それは構いませんが……いや、待ってください、そんないきなり! どうして!?」
ザワザワ
「どういうことだ?」「隊長の様子が妙だな」「仕事の鬼みたいな人が休暇だと……!」
ザワザワ
隊長「分からないか、今、私に来ている電話はそれほど重大な、それこそ身内にも明かせられないほど重要な事態を連絡してきたということだ」
副隊長「……! それはまさか、だいと――」
隊長「それに、だ! 大尉、そろそろ君も隊長としての経験を積んで良い頃だ! そして諸君! 私が誇る最高の隊員たちよ!」
「「「ハッ!!」」」ビシッ
隊長「君達であれば、私がいなくとも大尉の元で任務を忠実に達成してくれると信じている! その力があると期待している!」
隊長「故に、次の任務
コメント一覧
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- 2016年03月01日 22:01
- 流石です時子様
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- 2016年03月01日 22:14
- ?「フフフ、流石ね。それでこそ私と並び得る世界レベルだわ!」
ヘーイ
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- 2016年03月01日 22:17
- ときこさまー
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- 2016年03月01日 22:18
- 豚が豚食ってる!?
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- 2016年03月01日 22:24
- アイドルってスゴい
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- 2016年03月01日 22:32
- ドーナツ置いておきますね つ◎
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- 2016年03月01日 22:43
- 豚は出荷よー
-
- 2016年03月01日 22:58
- つまりグリーンベレーの隊長になれば時子様に会える…?
-
- 2016年03月01日 23:38
- (´・ω・`)おほー
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- 2016年03月01日 23:48
- (´・ω・`)時子さまー
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