柔道家「これより魔女刈りを決行する!」魔女「ええっ!?」
- 2016年03月06日 21:40
- SS、神話・民話・不思議な話
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柔道家「貴様がこの森で一人で暮らすという、若き魔女だな?」
魔女「そうだけど、お前はだれだ?」
柔道家「これは失礼、私は柔道家」
魔女「ジュードー? なんだそれ?」
柔道家「我が祖国に伝わる伝統武術だ」
柔道家「これよりその柔道で、魔女刈りを決行する!」
魔女「ええっ!?」
魔女「わっ!?」
柔道家「喰らえッ! 我が得意技、大外刈りを!」グイッ
魔女「わわわっ!」
柔道家「むっ!?」グルンッ
ドシィン……!
柔道家(……!? ひっくり返されたのは、私の方だと!?)
魔女(ビックリした……)ドキドキ…
魔女「いきなりつかみかかってくるなんて、頭おかしいんじゃないのか!?」
柔道家「…………」
柔道家「さすがは魔女……やはり一筋縄で刈らせてくれる相手ではないようだ」
柔道家「また後日、挑戦しにくる!」タッタッタ…
魔女(行っちゃった……)
魔女(お客といっても、あのジュードーの奴は私を倒しに来たみたいだけど)
魔女(でも……あんまり悪い奴じゃなさそうだった)
魔女(私も森を出て、もっと色んな人と知り合いたいな)
魔女(だけどダメなんだ。だって私は……魔女だから)
魔女(森を出たらみんなに怖がられて迷惑かかるし、ここにいなきゃいけないんだ……)
魔女(……今日は森でとったキノコで、スープを作ろうかな)
「たのもうっ!!!」
魔女(こ、この声はっ!)
柔道家「昨日に引き続き、魔女刈りを決行しに参った!」
柔道家「魔女よ! いざ勝負!」ザッ
魔女「アハハ……おかしな奴だなぁ。いいぞ、相手してやる!」
柔道家「いくぞぉぉぉっ!」ダッ
魔女「またつかみかかってきた!」
柔道家「昨日とはちがう技を出すぞ! とうりゃあ、大内刈りッ!」グイッ
魔女「むっ!」
柔道家「おわっ!?」グルンッ
ドシィンッ……
柔道家「またもあっさり投げられてしまった……。技は完璧だったはずなのに……」
魔女「技……? 技なんか使ってないぞ。魔法でお前をくるっと回しただけだ。くるっと」
柔道家「魔法……! うむむ、勉強不足であった」
柔道家「魔女よ、今日のところはこれで引き下がる。が、またいずれ挑戦に来るぞ!」タッタッタ…
魔女(帰っちゃった……)
魔女(ちぇっ、ご飯ぐらい食べてけばいいのに)
柔道家「魔女よ、いざ勝負!」
魔女「昨日来たばかりなのに、もう来たのか!」
柔道家「いずれ挑戦に来る、といっただろう」
魔女「いずれって、もう少し間を開けるもんだと思ってた」
柔道家「む、一理ある……。しかし、来てしまったものはしょうがない! 勝負!」
魔女「かかってこい!」
魔女「またか!」
柔道家「今度は――小外刈りッ!」グイッ
魔女「むっ……!」
柔道家(来た……! 自分の体を他人に操られるようなこの感覚!)グル…
柔道家(こらえてみせるっ……!)グッ…
柔道家(が、無理っ……!)ルンッ
ドシィンッ……!
魔女「お前がどんなに力が強くても、素早くても、技がすごくても――」
魔女「お前にさわらずにお前をふっ飛ばすことだってできる私に勝てるわけないんだ!」
柔道家「うむむ……魔法とは、かくも強力なものなのか」
柔道家「だが、まだ私は諦めていない! また明日、挑戦しにくる!」タッタッタ…
魔女(お、明日も来てくれるのか)
魔女「…………」ソワソワ…
柔道家「たのもうっ!!!」
魔女(来たっ! ジュードーの奴!)
魔女「来いっ!」
魔女「私もお前のことをちょっと気に入ったから、今日はちょっと本気でやってやる!」
柔道家「光栄だ!」
柔道家「でぃやぁぁぁぁぁっ!!!」ガシッ
魔女「えいっ!」パァァ…
グルンッ!
柔道家「くっ……まだ倒れてはいない! 双手刈り――」ダッ
魔女「たあっ!」パァァ…
グルゥンッ!
柔道家「ぬおお……っ!」ドザッ…
魔女(ちょっとやりすぎたかな……?)
柔道家「ううむ……完敗だ……」
柔道家「今日のところは、これで帰るとしよう」
魔女「あの……また来る、よな?」
柔道家「無論だ!」タッタッタ…
魔女「…………」ホッ…
魔女(ジュードーの奴、明日は来てくれるかな?)
魔女(だけど今日は、今までよりずっと落ち込んでたみたいだし……)
魔女(もしかしたら、来てくれないかも……)
魔女(私のバカ! ちょっと本気なんか出すんじゃなかった!)ポカポカ
魔女「…………」
魔女(ジュードーの奴、今日は遅いな)
魔女(いつもならそろそろ、“たのもうっ”ってデカイ声が聞こえる時間なのに)
ザッザッザッ……
魔女(来たっ!)
魔女(なんだ……? 偉そうなおっさんが、いっぱい兵隊を引き連れて……)
王「かなり広い森だったので苦労したが、ようやく見つけたぞ、魔女よ」
王「ワシはこの国の王だ」
魔女「お、王様……!? 王様が私になんの用だ?」
王「知れたことよ……魔女狩りだ」
魔女「魔女狩り……? お前も、私とジュードーしたいのか?」
王「なにをいっておるか。おぬしには今日ここで消えてもらう」
魔女「え……!」
王「悪いことをしていない、だと? ふん、ほざきおるわ」
王「魔女よ、おぬしのような邪悪な存在はこの世にいるだけで罪なのだ!」
王「今ここで、ワシの兵をもって、おぬしをおぬしがいるべき場所に送ってやる!」
王「……地獄へな!」
魔女「そ、そんな……。いやだ……やだぁっ!」
兵士A「はっ!」ダッ
兵士B「ははっ!」ダッ
魔女(どうして……? 私、何もしてないのに……! どうして……!)
魔女(どうして、魔女狩りされなきゃいけないんだ……!)
兵士A「ぐわっ!」ドサッ
兵士B「ぐぎゃっ!」ドサッ
魔女「え……!?」
王「む……ワシの精鋭たちをあっさり投げ飛ばすとは……何奴!?」
柔道家「そう、私は柔道家だ!」
王「ほう……柔道家がなぜこんなところへ?」
コメント一覧
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- 2016年03月06日 22:15
- おう、夜の寝技と乱取りがまだだろ、あくしろよ
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- 2016年03月06日 22:26
- はよもみくちゃになる所を書けお願いします
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- 2016年03月06日 22:35
- クサナギ「一人で何でも背負おうとするなよ」
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- 2016年03月06日 22:55
- 法律ないのかよw
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- 2016年03月06日 23:06
- くだらないけど、そんな法律は無いと柔よく王を制すの力業で笑ったw
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- 2016年03月06日 23:31
- 嫌いじゃないわ
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- 2016年03月06日 23:43
- 割と好き
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ここまでお付き合いくださった皆様方、ありがとうございました。
大変ありがたい事に後日談を希望される方がおり、作者冥利に尽きる思いでございますが
申し訳ないのですが、私は全て書ききってから投下するタイプの人間でございますので
後日談については、未定、とだけ告げさせて頂きます。有難うございました。
それではまたどこかで