メスだけで子孫を残せる生物が短命なワケ
おもしろいですね、虫の世界。
オスを必要とせず、メスだけで生殖できてしまう「単為生殖」は動物の世界では珍しいことではありません。線虫にはもともと雌雄異体での有性生殖だったものが、単体生殖に変化した種もいます。新しい研究では、単為生殖を行なう種の寿命が短いということがわかりました。そして研究者たちは短命になる理由を以下のようにあげています。
オスとの交配なしで生殖できる種というのはいくつか存在します。多くは特異なもので、例えばレイオレピス・ゴーヴァントリイというトカゲの一種やトラフザメなどは、自家受精をし遺伝子をミックスすることで、交尾をすることなく子供をつくります。オスとメスが交わることで子孫を残すことを「諦めて」しまった種は線虫など複数存在します。発生生物学マックス・プランク研究所の研究者たちは、単為生殖をする種は寿命が短いことを発見しました。
研究者たちは11種を調査。オスとメスの交配をする6種と単為生殖をする5種が、それぞれ産んだ子孫の数では違いがなかったそうです。単為生殖の虫が、より多くの子孫を作っているから早く死んでしまうというわけではないということです。
ではなんで単為生殖の虫は短命なんでしょうか。研究者たちは3つの理由をあげています。最初の2つはシンプルで、単に子孫を残すのに成功したから、これ以上生きる意味がなくなったので死ぬという理由。単為生殖の虫たちは早く子孫作りを始めて、早く子孫を残し、終わったら死にます。生殖が終わったあとの人生は必要がなくなるので、自然となくなっていったという感じです。私たち人間に尻尾が必要でなくなったので、退化してなくなっていったような感じですね。3つ目は、単為生殖の作業が自らの命を短くしている可能性。単為生殖でも同じ数の子孫を残している限り、早く死んでしまおうが長く生きようがその種の数は同じですから。
こちら電子顕微鏡で見た回虫の交配の様子です。どっちがどうなってるのか...。これを見ると3番目の可能性の単為生殖の作業が大変で早く死んでしまう、というのもわかる気がします。
研究者たちによると、メスはもともと交配を乗り切るために「タフ」な作りになっていて、それが長寿のカギかもしれないとのことです。人間も女性1人で赤ちゃんを産めたら一体どんな世の中になるのかなと考えてしまいますね。
image by Heiti Paves
source: The American Naturalist、Max Planck Institute of Developmental Biology
Esther Inglis-Arkell - Gizmodo US[原文]
(リョウコ)