男「コンビニ店員の挨拶ってのはこうやるのさ」ッシャアセェェェ
- 2016年03月12日 20:10
- SS、神話・民話・不思議な話
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男「いいかい新入り、コンビニ店員の挨拶ってのはこうやるのさ」ッシャアセェェェ
女後輩「しゃあせー……ですか?」
男「ちがうちがう、ッシャアセェェェだ」
女後輩「しゃあせぇぇぇ」
男「うん……まあさっきよりはマシになったな」
女後輩「ホントですか!」
男「ふうん……じゃあやってみな」
女後輩「えっ?」
男「次、客が来たら、はっきりと“いらっしゃいませ”って言ってみるといい」
女後輩「いいんですか?」
男「ああ」
女後輩「分かりました! 私、やります!」
客A「お茶とコーヒーでも買ってくか」
客B「んだな」
女後輩「いらっしゃいませー!」
客B「ああ、帰ろうぜ」クルッ
女後輩「あれえええええ!?」
男「な?」
男「エジプトに行く人間がピラミッドを期待するように――」
男「日本に来る外国人がサムライゲイシャを期待するように――」
男「コンビニに来る客ってのも、ッシャアセェェェを期待してるってことなんだ」
男「ハキハキ挨拶しちまうと、お客の期待を裏切っちまうことになるんだな」
男「だからコンビニ店員はッシャアセェェェで挨拶しなきゃならねえのさ」
女後輩「な、なるほど……」
男「ほれ」ッシャアセェェェ
男「こんな具合に」ッシャアセェェェ
男「よっと」ッシャアセェェェ
女後輩「すっごーい! さすがプロですね!」
男「店長なんか、寝ながらでもッシャアセェェェできるぞ」
女後輩「実は私……お父さんを捜してるんです」
男「ほう?」
女後輩「お父さんは刑事で、特にコンビニ強盗を捕まえるのが得意だったんです」
女後輩「だけど、行方が分からなくなってしまって……」
女後輩「それでこうしてコンビニで働いてれば、見つかるかな……って思って」
男「なるほど、雲をつかむような話だな」
女後輩「……ですよね」
男「だがいいじゃねえか……雲をつかむ! つかんだ雲で綿菓子を作ってやろうぜ!」
女後輩「……はい!」
中年「年齢確認!? 何故わざわざそんなものせねばならん!?」
女後輩「ですが決まりですので、ボタンを……」
中年「私のどこが未成年なんだね!? ええ!? 青春18きっぷで旅行するように見えるかね!?」
女後輩「す、すみません……」グスッ
男「お客さん」ッシャアセェェェ
男「若い女の子にいちゃもんつけて泣かせる姿――なかなか青春してて嫌いじゃないぜ」
中年「そ、そうかね?」ドキッ…
男「だが、郷に入っては郷に従え、だ……。年齢確認ボタンをポチッと頼むぜ」
中年「はうぅっ!」ドキーン
中年「押します押します!」ポチポチポチポチポチ
男「フッ、いい子だ」
男「気にすんな」
男「コンビニってのは一種のカオス空間だ。時にはああいうちょいとロックな客もいる」
男「もし困ったことがあったらすぐ俺を頼れ」
女後輩「は、はいっ!」
老人「ほっほっほ」
老人「ほっほっほ、元気のいいお嬢さんじゃ。タバコ……マルボロをいただこうかの」
女後輩「分かりました! お手数ですが、年齢確認ボタンを押して下さい!」
老人「かまわんよ」スッ
男「――待ちな」ッシャアセェェェ
男「身分証出しな。でなきゃアンタにタバコは売れねえ」
老人「なにを言っとる? なんでそんなもんが必要なんじゃ?」
男「いいから出せよ。免許証でもいい保険証でもいい、今流行りのマイナンバーでもいい」
男「出せないなら、この話はここで終わりだ」
老人「なんじゃと!? 貴様、ワシを愚弄しておるのか!?」
女後輩「そ、そうですよ! この人どう見てもおじいさんじゃないですか!」
女後輩「?」
男「大したメイクだが、俺の目はごまかせねえよ、若造」
男「いや――お嬢ちゃん」
老人「!」ピクッ
老人「フッ……フハハハハハッ……」グイッ
少女「よくぞ見破ったわね!」
男「だてに長年コンビニ店員やってねえよ」ッシャアセェェェ
女後輩「あれえええええっ!?」
男「んなことしやしねえさ」
少女「え?」
男「ほれ、ココアシガレット」スッ…
少女「!」
男「ほのかなハッカな香りが……マルボロにも劣らないクールさをお前にプレゼントしてくれるぜ」
男「30円で味わえる、上質なひと時ってやつさ」
少女「!」キューン
少女「だけどこれであたしに勝ったなんて思わないことね!」ポリポリ
男「もちろんさ。またのご来店、待ってるぜ!」アリアシタァァァ
女後輩「あ、ありあしたぁっ!」
男「ッシャアセェェェ」
女後輩「っしゃあせー!」
大男「おうねえちゃん、トイレ借りるぜ」ズイッ
女後輩「はい、どうぞ」
大男「…………」ニヤッ
男「あっ、ダメだ!」
女後輩「えっ!?」
大男「もう遅いッ!」
大男「フハハハッ! トイレの便器を“丸ごと”借りるぜぇ!」ヒョイッ
女後輩「あれえええっ……!?」
男「やられたか……」
男「いや……あいつの『トイレ借りるぜ』に対し、お前は『どうぞ』と答えてしまった」
男「この時点で、両者の間には契約が成立する」
男「あの大男、あの巨体で法の網を巧妙にかいくぐりやがった……!」
女後輩「そんなぁ……」
女後輩「私のせいで、このコンビニからトイレがなくなってしまいました!」
男「なくなっちまったもんはしょうがねえ。気にすんな」
女後輩「でも……」
男「なぁに……心配すんな。奴にあのトイレを使いこなすことはできねえさ」
大男「ふぅ……スッキリしたぜ」
大男「トイレをいただいちまえば、こうしていつでも用を足せるってもんよ!」グイッ
大男「あ、あれ……?」グイッグイッ
大男「いくらレバーをひいても水が出ねえ!」グイッグイッ
大男「流れてくれよぉ! ニオイがどんどんあふれてきちゃうぅ!」グイッグイッ
大男「なんでだぁっ!? なんで流れねえんだぁっ!?」グイッグイッ
大男「! ――お前はさっきのコンビニの……!」
男「トイレってのも、ちゃんと生きてるんだ」
男「若い女だましてトイレをかっぱらおうとする野郎のいうことなんざ、聞いちゃくれねえよ」グイッ
ジャアァァァァァァ…
大男(水が流れた……っ!)
コメント一覧
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- 2016年03月12日 20:14
- 35円足りない
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- 2016年03月12日 20:20
- 男「慣れれば、こうして普通に話しながらでも射精できるようになる」射精
男「ほれ」射精
男「こんな具合に」射精
男「よっと」射精
女後輩「すっごーい! さすがプロですね!」
男「店長なんか、寝ながらでも射精できるぞ」
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- 2016年03月12日 20:22
- 思ったより面白くて悔しい
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- 2016年03月12日 20:56
- 感動した
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- 2016年03月12日 20:59
- ちゃんとまとまってるの好き
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- 2016年03月12日 21:01
- おでんで反撃のやつってマジなん?
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- 2016年03月12日 21:05
- なかなか面白い
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- 2016年03月12日 21:35
- こういうの好き
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- 2016年03月12日 21:53
- 神話ってなんなんだろうな…
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- 2016年03月12日 22:33
- ニヤッとしつつも吹き出さずに読んでたけど生きてるトイレで死んだ
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- 2016年03月12日 22:43
- 投げっぱなしじゃないのは好感持てる
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- 2016年03月12日 22:46
- 悔しいけどおもしろかった
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- 2016年03月12日 22:50
- コンビニ店員……最高にクールだったぜ
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