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絵里
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海未
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1: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:21:48.58 ID:kJTHziE2.net
3月14日


絵里「…さて」


絵里「これで、お返しは全部済んだかしら」


海未「そう、ですね。すみません、私のにまで付き合わせてしまって…」


絵里「いいのよ。私が勝手に付き合っただけだもの」

2: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:22:44.39 ID:kJTHziE2.net
絵里「それにしても、バレンタインで貰うほうも大変よね~。にこに言ったら『嫌味?』とか言われちゃったけど」クスッ


海未「ふふ。絵里も律儀ですよね。卒業したのに、わざわざバレンタインのお返しをするために登校してくるなんて」


絵里「律儀っていうか…ただ貰うだけっていうのも気持ち悪いし…」


絵里「それに、みんなと会う口実にもなるから。せっかくの自由登校期間だもの。有効活用しなきゃ、ね♪」


海未「絵里らしいですね。私も…絵里に会えて、嬉しかったです」


絵里「海未ったら、すごく寂しがってくれたものね。泣きながら袖にしがみついてーー」


海未「そ、それは言わなくてもいいじゃないですか!///」


絵里「クスクス♪ 海未ちゃんほーんとかわいい♡」ツンツン


海未「…」ムゥ


絵里「…ふふっ」

3: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:23:26.43 ID:kJTHziE2.net
絵里「……卒業、か。これからは、こうやって毎日海未をからかうこともできなくなっちゃうのね」


海未「や…やめて、くださいよ、そんなことを言うのは…。それに…」


海未「来年には、私だって絵里と同じ大学に合格しているはず…なんですから」


絵里「…そうね。ごめんなさい、柄でもなかったわ」ニコッ


絵里「待ってるから、ね」ナデナデ


海未「は、い…///」


絵里 (海未を撫でるの、好きだなぁ…。ちょっぴり幼く見えて、妹みたい…)クスッ



絵里「…ね、海未」


海未「?」


絵里「この後って…時間、あったりする?」


海未「え…?」

4: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:24:44.05 ID:kJTHziE2.net



海未「ーーこれが、絵里のアパートですか…」


絵里「そ。駅も割と近いし、通学に便利でしょう?さあ、入って」


海未「はいっ、お邪魔します…!」


絵里「ごめんね、まだあんまり片付いてなくて見苦しいと思うけど…」


海未「いえ、そんな…。むしろ引っ越したばかりなのに、こんなに片付いていてびっくりしました」


絵里「海未を招き入れる前にもう少し綺麗にしておきたかったんだけどね」


絵里「適当に座ってていいわよ。コーヒーで、いいかしら?」


海未「あ、はい、ありがとうございます」

5: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:25:26.07 ID:kJTHziE2.net
海未「それにしても…ご家族以外で最初に招待されたのが私なんかで、本当によかったのですか?しかも…泊まり、だなんて」


絵里「なぁに?そんなこと。私が誘ったんだから、気にしなくていいのよ。…それにね、」


絵里「元から…一番先に招待するのは海未って決めてたの」


海未「わ、私を…ですか?」


絵里「ええ。なぜならーー」


絵里「…特別な存在だからです♪」ニッ


海未「え、えぇ…」


海未 (このフレーズ、聞いたことがあるような…)

6: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:26:00.77 ID:kJTHziE2.net
絵里「だからね……はい、これ♪ バレンタインのお返しよ」


海未「…?マカロン、ですか?」キョトン


絵里「あ…やっぱりこの流れだと甘くてクリーミィなキャンディを期待しちゃった?ごめんね、私、海未のことは大好きだけど、そういう意味での"好き"ではないからーー」


海未「ま、待ってくださいっ、なんで私が絵里に告白して振られたみたいになっているんですか!?///」


絵里「あら?違った?」クスッ


海未「違いますっ!///」


海未「そもそも…なんでキャンディだと、そういうことになるんですか…」ボソッ


絵里「ふふっ、海未ったらほんとおもしろ………」クスクス


絵里「え」


海未「……え?」

7: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:26:45.58 ID:kJTHziE2.net
絵里「…海未」


海未「は、はい?」


絵里「まさかとは思うけど…ホワイトデーに渡すお菓子に込められた意味がわからないなんてことは…」


海未「え、えぇっと…お菓子に込められた意味、ですか…?」アワワ


絵里「…」


絵里「じゃあ…後輩の子たちにクッキーを配ったのは…」


海未「簡単に量産できるから…ですけど…」

8: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:27:12.16 ID:kJTHziE2.net
絵里「…はぁ。さしずめ運がよかった、ってことね。クッキーじゃなくてキャンディやマシュマロを配っていたら、きっと大変なことになってたわよ?」


海未「そ、そうなのですか!?それで、その、意味とは…」


絵里「キャンディは『あなたが好き』、マシュマロは『あなたが嫌い』、そしてクッキーは『あなたとは友達』って意味なの」


絵里「クッキーは無難な感じでしょ?だから、ホワイトデーで渡す人が多いのよ」


海未「そう、だったのですか…。もし選択を誤っていたら……」ワナワナ


絵里「最悪死人が出るかもね~」フフッ


海未「わ、笑い事ではないですよ…」

9: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:27:52.24 ID:kJTHziE2.net
海未「…あ」


絵里「どうしたの?」


海未「マカロン…これも関係あるんですよね?」


絵里「そうそう、もちろんよ。マカロンの意味はーー」



絵里「……『あなたは特別な人』」



海未「…!」


絵里「μ'sの後輩の中でも、私と同じ大学を目指してる子は海未しかいないし…」


絵里「それに、なんだか海未って、妹みたいなの。亜里沙とはまた違って……ううん…言葉にするのは難しいんだけど、とにかく、特別なのよ」


海未「そう、なんですか…」




海未「…とりあえず、私をからかいたいが為にいきなりあのような文句を口にしたということはわかりました」ジト

10: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:28:47.29 ID:kJTHziE2.net
絵里「あはは…海未ちゃん可愛い顔が台無しよ?まあ、そんなジト目も可愛いんだけど♡」


海未「絵里ぃ~っ!///」


絵里「ふふっ、ふふふ…」


海未「もう…」



海未「……で、でも…特別、は…嬉しい…ですね…///」


絵里「ほんと?それならよかった♪」ニコッ


絵里「手作り頑張ったんだから。コーヒーもできたから、一緒にどうぞ」


海未「はい、いただきます…♪」

14: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:42:55.35 ID:kJTHziE2.net



海未 (……はぁ)


海未 (今日ももう…終わってしまうのですか…)



海未「…」


海未「……あ、の…絵里…起きて、ますか?」


絵里「ん、なぁに?眠れない?」


海未「…はい…」


海未「なのでナツメ球、消してもいいですか?」


絵里「ふぇっ!?だ、ダメよ、それ消したら死ぬわよ!?いいの!?」アセアセ


海未「…ふふっ、冗談ですよ。暗がりが苦手なのは、相変わらずですね」


絵里「う、うるさいわよ…///」プク-


海未「…」


絵里「…海未…?」

18: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:57:46.75 ID:kJTHziE2.net
海未「……寂しい、です」


絵里「…」


海未「夜が明けたら、もう、絵里とは日常的に会えなくなる…そう考えたら、悲しくて…だから、眠るのがもったいないって…そう、感じているのだと思います…」


絵里「海未…」


海未「卒業なのだから仕方のないことだというのはわかっています…。でも、一度納得したはずなのに、やっぱり何度自分に言い聞かせても駄目で…っ」


海未「絵里は私のことを特別って言ってくれましたけど、そもそも第一志望に合格できるかもわかりませんし、もしそうなったら私ーーッ」



絵里「…海未」ギュッ



海未「…っ、 」


海未「え、り…?」

19: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/14(月) 23:59:22.41 ID:kJTHziE2.net
絵里「…あんまり弱気なこと言わないの。あなたらしくないわ」ナデナデ


海未「は、はい…すみま、せん…」ギュゥウ


絵里「…ふふ。よしよし」




絵里「…もう少し、かしらね」


海未「?何が、ですか…」


絵里「何がって…決まってるじゃない♪」


海未「…?」



絵里「……海未」

20: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/15(火) 00:00:01.42 ID:ff7OSQhp.net
3月15日 0:00



絵里「お誕生日、おめでとう♪」ニコッ



海未「…!」

22: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/15(火) 00:31:40.52 ID:ff7OSQhp.net
海未「覚えていて、くれたのですか…?」


絵里「もちろんよ。忘れるわけないわ」


絵里「ねえ、私、一番乗りよね♪」


海未「は、はい…!一番、です…っ」


絵里「…ふふ。ちょっと嬉しいかも」



絵里「それで、プレゼントなんだけど…」


絵里「何がいいのかわからなくて…。自分の願望も入っちゃうけど…これ、持っていてもらえないかしら」カチャ


海未「…!これ、は…」

25: 名無しで叶える物語(やわらか銀行)@\(^o^)/ 2016/03/15(火) 00:50:04.73 ID:ff7OSQhp.net
絵里「…ここの合鍵よ。いつでも、遊びに来て」


海未「い、いいのですか…!?」


絵里「ええ、もちろん。それで…ね、提案、なんだけど…」


絵里「大学に無事受かったら…ルームシェアとか、どうかしら?」


海未「ルーム、シェア…」


絵里「そう。狭いけど、ここで二人暮らし……どう?」


海未「二人暮らし……素敵です…!」キラキラ


絵里「ふふ、じゃあ決まりね。でもプレゼントが鍵だけっていうのもアレだし…明日ちゃんとしたプレゼントを買いに行きましょう?」


海未「いえ、いいんです…!もう、これだけで、本当に嬉しくて…」


絵里「そんなに気に入ってくれた?」クスッ


海未「ええ、もちろん!なんだか、『特別』が増えたみたいで…」


海未「…絶対に、合格してみせますから」


絵里「そうこなくっちゃ。…約束よ」


海未「はい…約束、です」ニコ



ーーふたりがルームシェアを始める、ちょうど1年前の話。


【完】