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エリカ「私とみほが」 みほ「入替ちゃった……」|エレファント速報:SSまとめブログ

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エリカ「私とみほが」 みほ「入替ちゃった……」

1: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:13:33.82 ID:LxXVqWGpo

※劇場版ネタバレ注意



エリカ「……嘘、でしょ……?」

 『西住みほ』が、驚愕に顔を歪めながらわなわなと口を震わせた。

みほ「あははっ……どうしよっか?」

 『逸見エリカ』が苦笑しながら静かに首を傾げた。

エリカ「ど、どうするもこうするもないでしょっ!? あんた大隊長だったんだしなんとかしなさいよっ!?」

みほ「そんな事言われても……」

エリカ「こんなの隊長になんて説明すればいいのよ……」

みほ「す、素直に言っちゃう?」

エリカ「こんなの信じてもらえる訳にでしょっ!?」

 西住みほと逸見エリカがこうして言葉を交わす姿をもし2人の事をよく知る人物が見れば激しい違和感を覚えただろう。

 何故なら常に穏やかで心優しく冷静なみほが盛大に声を荒げ、焦りを顔に浮かべているのだから。
 そして『黒森峰の狂犬』なんて呼ばれており、強気な事で知られている逸見エリカが、みほに対しおどおどと弱気な対応をしているのだから。
 黒森峰時代の2人の事をよく知る赤星小梅辺りがこの光景を見たら卒倒していたかもしれない。

 そんな光景が今この場に広がっていた。

エリみほ「「……どうしよう」」




2: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:17:11.25 ID:LxXVqWGpo

―僅かに時間は遡る。

 大学選抜との激戦が終わり数週間の時が流れた頃。
 その戦いに参加した各校の面々は大洗女子の生徒会長である角谷杏の計らいで『大洗女子を救ってくれた事へのささやかなお礼』と銘打った宴会に参加すべく大洗の学園艦を訪れていた。

 その最中でエリカとみほの二人は過去の縁やら何やらで話す話題には事欠かず、宴会の喧騒から離れ建物の屋上にて静かに語り合っていた。
 それからしばらく話し続けた後に、一応の段落を終えた2人は再戦の約束と握手を交わし、宴会場に戻ろうとしたのだが――そこでみほが階段で足を滑らせてしまう。
 エリカはそれを助けようとすぐさま手を引っ張るも敢闘及ばず、2人はそのままゴロゴロと階段を落ちていったのだった。


 幸いにも怪我はなく、少々の痛みに顔を歪ませながらも2人は起き上がり――一つの違和感に気づいた。
 そう、何故か視界に自身の姿が映っているのだ。
 数秒の静寂が辺りを包み込む。

 その後2人は同時に、そして盛大に叫び声を上げたのだった。



――簡単に結論を言うと二人の中身は入れ替わっていたのだ。





3: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:20:43.85 ID:LxXVqWGpo


――ガララッ


優花里「あっ、西住殿おかえりなさいっ!」

沙織「おかえり、みぽりんっ。」

麻子「……おかえり」

華「おかえりなさい、みほさん」


エリカ「た、ただいまだよー。西住みほ、た、ただいま戻りました。み、みみ皆元気だったかな~?」

エリカ(多分みほは大洗ではこんな喋り方よね……?)


みほ「ぶっっっ」
 
沙織「み、みぽりんなんか喋り方が変だよ……?」


――宴会場へと戻った2人が出した結論。
 それは『元に戻る手段を見つけるまで何とか誤魔化し続ける事』だった。


エリカ「こ、このっ……みほ――じゃなくてエリカ、さん。わ、笑わないでくれるかな?」プルプル

みほ「ぷぷっ……ごめんね、逸見さ……みほ」プルプル





4: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:25:29.04 ID:LxXVqWGpo

優花里「西住殿がその……なんか変です……」

麻子「むしろ二人共変だろ」

華「確かに言われてみるといつもとみほさんの纏う雰囲気が違うような……?」

みほ(うっ……流石華さん鋭い……)


エリカ「あはは、そ、そんな事ないわ――ないよ。ねっ、エリカさん?」

みほ「うんうんっ――じゃなくて、ええ、その通りでございますのよ、みほ」

みほ(エリカさんは前に『黒森峰で副隊長になったらなめられないようにする』って言ってたし、多分ダージリンさんみたいなお嬢様言葉で話してるよね……?)

エリカ「ぶっっっ」

みほ「なんでっ!?」


華「やっぱり二人共おかしいような……?」ジトー

優花里「逸見殿はそんな聖グロのローズヒップ殿のような口調でしたっけ……?」ジトー


みほ「わ、私は元々こんな口調だよっ!」

エリカ「ちょ、ちょっとまた二人で話してくるから皆待ってなさいっ!」ギュッ

 流石にまずいと思ったらしく、エリカが慌ててみほの手を引きながら宴会場を後にする。
 その後姿をあんこうチームの面々が呆気にとられながら見送っていた。




5: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:27:35.71 ID:LxXVqWGpo


エリカ「――どうするのよ、あれ……。完全に怪しまれていたじゃないの」


みほ「だって、逸見さ――みほの口調がおかしいんだもん……」

エリカ「あ、あんたにだけは言われたくないわよっ!? 私だってあんな変な口調じゃないわよ!」キー

 エリカが顔を染めながら素っ頓狂な声をあげる。

みほ「というか逸見さ――みほ、手ずっと繋いだままなんだけど……」カァァ

エリカ「あっ……」カァァ

 しかし次の瞬間、手を繋いだままだった事を指摘され、エリカの顔がより真っ赤に染まっていく。
 それに遅れる事数秒、素早くエリカはその場から飛びのき、手を離したのだった。
 その頃にはすっかり耳まで真っ赤に染まっていたのは言うまでもないだろう。 

エリカ「そ、それよりあんな口調じゃすぐに私達の正体がバレるわ。何とかしなさいっ」

みほ(エリカさん、すごく声が裏返ってるよ……)

みほ「うーん……あっ、いい事を思いついたよっ」

エリカ「っ! 流石ね! さぁ、早くそれを言いなさいっ」

みほ「ふふっ、名づけて――」



???「――エリカ、こんな所に居たのか。それにみほも」
エリみほ「「……え゛?」」
 
 不意に背後からかけられた声に二人は硬直し、まるで油が切れたロボットのような動きでゆっくりと首を回す。
 何故そんな行動を取っているかというと、その声には二人共聞き覚えがあり――この状況下で最も遭遇したくない人物の一人だったからだ。

 



6: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:30:55.15 ID:LxXVqWGpo

エリカ「た、隊ちょ――お姉ちゃん……」

みほ「お姉ちゃ――た、隊長……」


まほ「……どうした? 二人共なんか変だぞ……。まるでお互いが入れ替わったかのような――」

 流石は西住まほと言うべきだろう。
 彼女は非常に的を得た――というか正解とでも言うべき事を口に出していた。
 勿論心の中ではそんな漫画のような出来事が本当に起きたとは夢にも思っていないだろうが。

エリカ「――そ、そんな事ある訳ないじゃない。私は西住みほだよ?」

みほ「そ、その通りでありますのよ。私はエリカ。お姉ちゃ――黒森峰の副隊長の逸見エリカでございますですわっ」

まほ「…………そ、そうか。ふ、二人共悩みとかがあるなら言うんだぞ……」オソルオソル

エリカ(隊長がこんなに困っている顔を見たのは初めてだわ……)

みほ(お姉ちゃんのこんな表情初めて見たよ……)


まほ「コホン。と、とりあえずエリカ」

エリみほ「「はい」」

エリカ(しまった……今の私はみほだった……)

まほ「なんで二人共返事をしたんだ……? まぁいい。我々は予定通りここに居る他校の生徒より一足先に学園艦に戻るぞ」


エリみほ「「ええぇぇえええええっ!?」」


エリカ(そうだった……。黒森峰は数日後の練習試合に備えてここで宿泊せずに学園艦に戻るんだったわ……)

まほ「……だからどうして二人で返事を……まぁ、そういう事だから我々は行くぞ、エリカ。みほ、また今度ゆっくり話そう。いつでも家に帰ってくるんだぞ。それじゃあ」ギュッ

みほ「あっ、ちょっとお姉ちゃ……じゃなくて隊長待って――」

 
――ズルズル




7: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:32:47.26 ID:LxXVqWGpo



エリカ「…………どうしよう」
 
 結局エリカはまほに手を引かれていくみほを見送る事しか出来なかった。
 平常時であれば、まほに手を引かれるみほを羨ましく思っただろうが、生憎今のエリカにそんな余裕はなかったのだった。


沙織「あっ、みぽりん居たっ」

華「いやー、お料理もとても美味しかったですし、他校の皆さんとお話出来て楽しかったですわねっ」

麻子「明日の朝の事を考えると憂鬱だがな……」

優花里「西住殿、どうやら皆さんもそろそろ解散するようなので、私達も帰りましょうか」
 
 そんなエリカの下にあんこうチームの面々が訪れる。

エリカ「そ、そうだねー……」

 エリカは彼女達にぎこちない笑みを浮かべながら言葉を返し、帰路につくのだった。






8: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:39:32.67 ID:LxXVqWGpo

――逸見エリカ視点 


――バタッ

エリカ「…………ものすごく疲れたわ」
 
 途中で様々なトラブル――自宅の位置がわからないと言って、周囲の面々に驚かれたりした等――があったものの、無事にみほの マンションにたどり着いたエリカは部屋に入るなしベッドに倒れこみ瞳を閉じていた。

エリカ「なんで私がこんな目に遭わなくちゃいけないのよ……」
 
 そんな愚痴を誰にでも無く呟いていると、エリカが不意に鼻をくんくんと鳴らし始めた。

エリカ「……この匂い……あの子の……」

 ベッドや枕からほのかに漂っているそれは何処か懐かしい。みほの香りだった。
 彼女の性格と同じで甘く、優しい香り。

 かつては寮で同室だという事もあり毎日のように嗅いでおり、エリカにはすっかり慣れ親しんだものだった。
 だけど、みほが黒森峰を去った事で徐々に薄れていき、まるでその部屋に彼女が居たという証すら薄れていくのではなんて事を考えたりもした。
 それでエリカは一時期は随分部屋に戻る度に切ない想いをしていたものだった。

エリカ「ふふっ……やっぱり不思議と……落ち着くわね」

 
――その日、エリカは今後の様々な不安を忘れぐっすりと眠る事が出来たのだった。





9: ◆T2nJHNlthk 2016/03/17(木) 18:41:58.64 ID:LxXVqWGpo


――西住みほ視点


――ガチャ

みほ「……この部屋、懐かしいな」
 
 みほはエリカが住んでいる部屋が昔と同じだったため、特に迷う事もなくここへ到着する事が出来た。
 代わりに帰りの飛行船の中でまほに『今日のエリカはやっぱり変だぞ……、まるでみほのような雰囲気だ……』
 なんて事を言われたりはしたのだが。


みほ「内装もほとんどそのまま……ってあれ、まだこの二段ベッド残してあるんだ……」
 
 みほは電気を点けると共に部屋を見回し、かつて自身とエリカが使っていたベッドが未だに残っている事に少しだけ驚く。
 そして興味のままにゆっくりと階段を登り、かつての自身の居場所――二段ベッドの上段を覗いてみる。
 するとそこには一切の埃が積もっておらず、一片の汚れもない真っ白なシーツがかけられていた。
 
 
 既にみほがこの部屋を――黒森峰から出て行ってから半年以上の月日が流れている。
 にも関わらず一切の埃が積もっていないという事は、それはつまり誰かが掃除やシーツの交換をしている事に他ならない。
 
 そしてこの部屋からはみほが居なくなった以上、掃除が出来る人間がただ一人――

みほ「――エリカさん……」

 恐らくエリカはいつ何時みほが戻ってもいいように、そして戻ってくる事を信じて居るのだろう。
 故にエリカは自分だけの部屋なら決して意味のないみほのベッドの管理をしているのだ。

みほ「……ありがとう、エリカさん」
 みほは自分の胸が熱くなるのを感じながら優しくシーツを無でる。
 不思議とそこからエリカの温かさが伝わってくるような気がした。

――その後、自身の勉強机や大洗に持ち込めなかった私物もエリカによってしっかりと清掃や管理が続けられる事がわかり、みほもまた穏やかに最初の一夜を終える事が出来た。

 
 こうして入れ替わり生活の初日が終わったのだった。
 
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    コメント一覧

      • 1. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 21:09
      • 3 短すぎんよ~~~

        もっと濃いの頂戴よ~
      • 2. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 21:42
      • 濃すぎるのは少量でも満腹になる
        これぐらいがちょうどいい。後日談デザートがあってもよかったがな
      • 3. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 21:47
      • 西住様に敬礼!
      • 4. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 21:54
      • しっとりとしていて、それでいてベタつかないスッキリとしたssだった
      • 5. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 22:22
      • 沙織!中に出すぞ!ドビュッシー!
      • 6. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 22:38
      • もうちょっと行っとこうか
        ね、もうちょい
      • 7. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 22:38
      • 一ヶ月ってかなりのもんじゃないか
      • 8. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 22:46
      • え…

        ここからだろ?
        再戦まで書いて終わりだろ!?

      • 9. 以下、VIPにかわりましてELEPHANTがお送りします
      • 2016年03月17日 23:37
      • ポケットモンスタースペシャルって漫画でこんな話有ったな
        主人公とライバルの手持ちポケモンが入れ替わっちゃって
        しばらくお互いのポケモンをなし崩し的に育てて最後に無事に戻るんだけど
        主人公のポケモンがライバルのポケモンみたいに、ライバルのポケモンが主人公のポケモンみたいになったってオチだった

    はじめに

    コメント、はてブなどなど
    ありがとうございます(`・ω・´)

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