ゾロ「オレは戦えねぇ……無理だ」ルフィ「おいゾロ! お前、なに言ってんだよ!!!」
ウソップ「そ、そうだ! お前が戦えねえとなると、こっちの戦力がどんだけ落ちるか……!」
チョッパー「どこか痛むのか!? 体調が優れないなら、言ってくれ! オレが今すぐ診る!」
ゾロ「そうじゃねえ」
サンジ「なら何だ! ハッキリ言え!!!」
ゾロ「…………思いつかねえんだ……」
ナミ「思いつかない? 何が?」
ゾロ「新しい技名が……からきし、思いつかなくなっちまった……!」
ウソップ「技名が……思いつかなくなったって……おい、ゾロ! お前……!」
フランキー「そりゃ……一大事じゃねえか! 技名が無きゃ、それはもう『技』とは呼べねえだろ……!」
サンジ「なんで今まで黙ってやがった! 技名叫ばずに戦場へ斬り込もうって魂胆だったのか! てめえは!!!」
ゾロ「だからオレは戦えねえって言ったんだ!!! 自分が情けねえことは痛いほど分かってる……!」
ゾロ「デカイ戦いではひとつ以上の新技を繰り出す……それがオレのノルマだろう……!」
ゾロ「そいつを守れねえオレには、あの海賊旗を背負って戦う資格なんてありゃしねえってことだ……置いて行けよ、ルフィ」
ルフィ「……嫌だ」
ゾロ「!?」
ルフィ「ゾロ、お前も戦いたいんだろ? なら行こう」
ゾロ「だから、言っただろうが。戦いへ出ようにも、オレは新しい技名が……」
ルフィ「だったら、みんなで考えればいいだろうがっ!!! ゾロの新しい技の名前を!!!」
チョッパー「む、難しいな! 見たことない文字ばっかりだ!」
ゾロ「なるべく画数を多くしてえな」
ナミ「ふーん。こうして見ると……動物とか食品とか、宗教の用語を参考にしてるのね。興味ないから全然気づかなかった」
サンジ「この語呂合わせはてめえの趣味か」
ゾロ「文句あんのか?」
サンジ「別に。ただ、センスの欠片もねえと思っただけだ」
ゾロ「ああ? てめえも人のこと言えたもんじゃねえだろ」
サンジ「オレの技名は気取ってねえんだよ。攻撃する部位を言ってるだけってのが大半だ」
サンジ「『阿修羅 弌霧銀』って何だ? 顔が増えてるから阿修羅ってのは分かるが、弌霧銀が意味不明だろうが」
サンジ「結局、響き優先なんだろ。ガキくせえ」
ゾロ「なんだと……もういっぺん言ってみろ!!!」
ナミ「ケンカしてる場合じゃないでしょ!」
ウソップ「そうだぞ。それに、サンジの『悪魔風脚 一級挽き肉』はゾロと同類だろ」
ゾロ・サンジ「「 一緒にすんじゃねえ!!! 」」
ブルック「まずいですよ~! 敵がもう眼前に! まあ私、眼が無いんですけど~!」
ルフィ「やべ! おいゾロ! 急げ!」
ゾロ「お前らが一緒に考えてくれるんじゃなかったのかよ! まだ本題に入れてねえじゃねえか!」
ウソップ「悠長なこと言ってる場合じゃねえって! 敵は待っちゃくれねえぞ!」
ルフィ「よし! じゃあ、あれだ! 犯唾(パンダ)で行こう!」
ゾロ「何がだ!」
ルフィ「ゾロの新しい技名だ! 動物ならいいんだろ? ならパンダだ!」
ウソップ「二刀流で『乱乱(ランラン)』『貫貫(カンカン)』ってのはどうだ!」
フランキー「二刀流・犯唾(パンダ)! 乱乱(ランラン)! 貫貫(カンカン)! って言いながら二回斬るのか」
ルフィ「よーし決まった! 野郎ども! 行くぞぉ!」
「「「 おおおおおおおっ!!! 」」」
ゾロ「待て……! オレは納得してねえからな!」
ナミ「ワガママ言ってる場合じゃないでしょ!」
ゾロ「使う本人が納得してねえのは技としては致命的だ! だいたい、オレが考えた新技は三刀流だぞ!」
ドドドドドドド
チョッパー「ぎゃ~~~~~っ!!!! くるぅ~~~~~~っ!!!」
フランキー「こりゃ、いよいよ笑えねえ状況になってきたな。ルフィ、いい加減こっちも行かねえとまずいぞ」
ルフィ「わかった! じゃあとりあえずゾロはそのまま技名を考えててくれ!」
ゾロ「ひ、ひとりでか?」
ルフィ「うーん、じゃあ、ウソップとナミも一緒に残って考えてやってくれるか?」
ウソップ「おう!」
ナミ「任せて!」
サンジ「ったく、世話かけさせんなよ」
ロビン「こっちは気にせず、納得いくまで考えて」
ゾロ「……すまねえ」
チョッパー「頑張ってカッコイイ名前考えてくれ!」
ルフィ「行くぞ~~~~!」
「「「 おおおおおおっ!!! 」」」
ナミ「戦闘が始まったみたいね……」
ウソップ「で、なんだっけ? 三刀流の技なんだっけか? じゃあ乱乱・貫貫に斧鋭斧鋭(フェイフェイ)を足せばいいだろ」
ウソップ「三刀流・犯唾(パンダ)! 乱乱(ランラン)! 貫貫(カンカン)! 斧鋭斧鋭(フェイフェイ)!」
ナミ「うん、いいんじゃない? 三回斬れば三刀流だもん。決まり! 行くわよ!」
ウソップ「おう!」
ゾロ「だから待て!!! テキトーに決めんじゃねえ!!!」
ナミ「もう、何が不満なの?」
ゾロ「技の動きと名前が合ってねえんだよ!」
ウソップ「そんなのどうでもいいだろ。『鬼斬り』に鬼要素ねえし、『虎狩り』も虎要素無いだろうが」
ゾロ「そういうことを言いたいんじゃなくてだな……!」
ナミ「めんどくさいわね~! じゃあその技ってのを見せなさいよ!」
ウソップ「そうだ! そもそも技を見てもいないのに、名前を考えろってのが無茶だ!」
ゾロ「わ、わかった。じゃあやってみる」
ウソップ「まあ、そこが一番盛り上がるからな」
ゾロ「そこで、オレは敵に背中を向ける」
ナミ「剣士にとって背中の傷は恥なんじゃなかったの?」
ゾロ「なにも逃げるために背中を向けるわけじゃない。新技への布石なんだよ、これは」
ウソップ「ふーん、で?」
ゾロ「オレが背中を向けると、敵は『ヘヘヘ、俺に勝てないと分かって逃げる気か? そうはさせねえぜ!』と言いながら突っ込んでくる」
ゾロ「そこでオレは『逃げる? 誰が逃げるって?』と言いながらニヤリと笑うわけだ」
ナミ「前置きが長い! はやく技の核心を説明しなさいよ!」
ゾロ「焦るな、次から技の動作の説明に入る。まず、相手の横払いの攻撃をしゃがんで避けるだろ?」
ゾロ「避けながら、オレは腕を交差して二刀を後ろへ突き出す。こうだ。すると敵はガラ空きになった両脇腹を刺されるわけだ」
ウソップ「二刀流じゃねえか」
ゾロ「話は最後まで聞け。そこから、振り向きざまに三本目の刀で悶絶してる敵の首を刎ねるんだよ」
ゾロ「血を噴きながら倒れる敵を正面にしながら、一言、『剣士が背中を向けるのには逃げる以外の理由がある。覚えておきな』」
ゾロ「こういう流れだ。わかったか?」
ナミ「『見返り犯唾(パンダ)斬り』でいいんじゃない?」
ウソップ「ああ。それでいいな」
ゾロ「てめえらパンダから離れろ!!!」
ナミ「めんどくさいわね~。ウジウジ悩んで、男らしくないわよ」
ゾロ「ぐっ……!」
ウソップ「なあゾロ。技名ってのはロマンだ。それは分かる。拘るべきところってのは、オレも同意見だ」
ウソップ「だが状況を考えてくれ。使い時に使えなきゃ、技の意味がねえだろ? 敵がすぐそこにいるんだぞ?」
ゾロ「わかってる! ハードルは十分落としてんだ! そのうえでパンダは嫌だって言ってんだよ!」
バーンッ
ナミ「きゃっ!?」
ウソップ「な、なんだ!?」
ルフィ「おう! ゾロ! 技名思いついたか!?」
ウソップ「ルフィ!? お前なんで戻ってきたんだ!? 戦いはどうしたんだよ!」
ルフィ「なんかよ! 敵が手加減してるらしいんだ!」
ナミ「手加減?」
ルフィ「ああ! ロビンが言うには、ゾロがいないから空気を読んで手を抜いてくれてるんだろうってさ!」
ナミ「最終決戦って流れだったものね……そこで相手の団員が欠けてたら、何かあったと心配するのが当たり前か」
ウソップ「聞いたかゾロ! 敵にまで気を遣わせて、こりゃ急いで技名を決めねえとルフィの顔が立たねえぞ!」
ゾロ「わ、わかった……」
ルフィ「急いでくれ! ゾロ!」
ルフィ「わかった!」
ゾロ「まず……こうするだろ。で、こうだ。で、最後に、こうしてこう。わかったか」
ルフィ「よし! 『振り返り犯唾(パンダ)斬り』でどうだ!?」
ゾロ「ほぼ一緒じゃねえか!!!」
ナミ「だってそういう風にしか思えないんだから、しかたないじゃない」
ウソップ「振り返って首跳ねるところでイメージが固まり過ぎてるのが問題かもしれないな」
ゾロ「いや、まずパンダから離れてくれ」
ウソップ「背中向けながら刀を後ろへ突き出すとこをもう一回やってみてくれ」
ゾロ「こ、こうか?」
ウソップ「前傾姿勢で、二本の刀を後ろの上方へ突き出すこの感じ……どっかで見たことないか?」
ナミ「……うーん」
ルフィ「あ!!! わかった!!! これはお前、フンコロガシだ!!!」
ウソップ「ああ! それだ!」
ナミ「憤(フン)で刺して、殺牙刺(コロガシ)で振り返りながら斬るのね! 完璧じゃない!」
ルフィ「すんげ~! かっけぇ~~~~! な! ゾロ! これでいいだろ!?」
ゾロ「いや……オレは……」
ルフィ「これでいいよな!?」
ゾロ「……」
ルフィ「……」
ゾロ「……」
ルフィ「おい」
ゾロ「……………ああ」
ルフィ「よし! 決まった! いくぞ~~~~~!!!」
「「「 おおおおっ!!! 」」」
ゾロ「鬼斬り!!!!!!」
ズバッ
敵剣士「ぐああああああああああああっ」
ゾロ「…………」
チョッパー「うわあ~~! やったぁ~~~~! ゾロが勝った~~~~!」
ルフィ「……」
ウソップ「今、鬼斬りでトドメさしたけど……今回の戦闘であいつ、新技つかったか?」
サンジ「いや、逐一監視していたわけじゃねえが、見かけなかったな」
ロビン「結局、納得のいく技名は思いつかなかったのかしら」
フランキー「そうなのか?」
ナミ「一応考えてあげたんだけど……」
ウソップ「ゾロのやつ、結局男の意地をとったんだな」
ルフィ「おいゾロ。後でオレのとこまできてくれ。話がある」
ゾロ「ああ……」
ゾロ「……納得できなかったんだ。オレは、あの新技には他に相応しい名前があると……」
ルフィ「うるせえ!!!」
ダンッ
ゾロ「……」
ルフィ「納得できなかった……? おいゾロ、お前
コメント一覧
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- 2016年03月20日 23:27
- 1こめ
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- 2016年03月20日 23:30
- ゴムゴムのーー近藤さん!
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- 2016年03月20日 23:31
- 二刀流や一刀流でかさ増しするしかないな
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- 2016年03月20日 23:47
- バットにカミソリ仕込んで百刀流とかやっとけよ
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- 2016年03月20日 23:52
- それがありなら俺のひげそり四刀流だぜ
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