安部菜々「空想を」北条加蓮「現実にする人」
<ガチャ
北条加蓮「ただいまー」
高森藍子「あっ、お帰りなさい加蓮ちゃん。お疲れ様ですっ」
加蓮「藍子ー。ただいまっ。あ、菜々ちゃんもいる。何してんのー?」
安部菜々「お帰りなさいませお嬢様っ! キャハッ☆」
加蓮「……メイドモード?」
菜々「おおっとつい」
※単発作品ですよー
菜々「えっちょっと待って藍子ちゃん加蓮ちゃんにそのお話は」
加蓮「ウサミンノート?」
藍子「はい。ウサミン星について色々と書いてあるノートで。ふふっ、とっても素敵なんですよ♪」
菜々「ちょちょちょっ待ってストッ」
藍子「ウサミン星人はみんな地球が大好きなこととか、ウサミン星で流行ってる遊びとか、あとっ、流行ってるテレビ番組も書いてありましたっ」
加蓮「ええと、つまりそれって……設定資料集?」
菜々「ちーがーいーまーすーっ! 設定じゃなくてウサミン星は実在するんですーっ! これはウサミン星の、そう、議事録みたいなものです!」
菜々「藍子ちゃんも! ほらもー加蓮ちゃんに言ったらこういう反応が――じゃなくってっ! そう! このノートは、ウサミン星のトップシークレットなんですよぉ!」
藍子「ご、ごめんなさいっ」
菜々「だーかーらー、設定じゃないんですってば! 議事録ー!」
加蓮「10冊はあるよね?」
藍子「これ、バージョン13って書いてありますよ」
菜々「ウサミン星を語るにはそれだけ必要だってことですよ! それに時々こうして見返しておかないと設定とか忘れちゃいそうだし――」
加蓮「おーい、自分で設定って言ってるよー」
菜々「ハッ! い、いやぁほら、ウサミン星のことでも話して良いこととダメなこととか、そのぉ、……こ、国家機密とかね?」
加蓮「例えば裏でこっそり近くの星を攻撃してるって設定があったり?」
藍子「だめですよ加蓮ちゃんっ」
加蓮「え?」
菜々「ええもちろん! 大人の世界のドロドロなんてウサミン星には無縁なんですよ! キャハッ☆」
加蓮「なっ……う、ウサミン星のことを、藍子に駄目出しされた……!?」
菜々「現実の世界じゃ、どーしてもそういうのがあっちゃいますからねぇ。せめて空想の世界くらいは幸せでもいいじゃないですか」
菜々「みんなが幸せ、みんなでハッピーエンド。ナナはホントは、そーいうのが好きなんですよ♪」
藍子「ふふっ♪」
菜々「もちろんですとも! 同じお話を何度も聞くのは楽しいですけど、たまには新しいお話もお届けしたいですから♪」
加蓮「新しいお話、か」
菜々「ナナ、昔から同じ本を何度も読むのが好きだったんですよね。好きなお話は何度見ても、ドキドキして、ワクワクして……」
菜々「でもこの事務所には、新しいことに挑戦する子がいっぱいいますからね! それを見てたら……ナナ、負けてられません!」
加蓮「…………」
藍子「…………」
菜々「それに、新しいお話を待ってくれてる人もいるかもしれませんから――いえっ! きっといる筈です!」
菜々「キャハッ☆ ファンの為なら、不詳この安部菜々、ウサミン星の秘密をいっぱい明かしちゃいますよ~!」
加蓮「……そっか。ふふっ」
藍子「さすが菜々さん、ですねっ」
藍子「ありがとうございます♪ じゃあ私は、あたたかいココアを入れてきますねっ」スクッ
菜々「かたじけないですっ。って、ホントはナナがやらなきゃいけないことなのにー!」
藍子「ふふっ。たまには、メイドさんがお世話されちゃってもいいと思いますっ」テクテク
菜々「……ですね!」
<ええっと、ココア、ココア……
加蓮「え、何」
菜々「…………変なこと吹きこもうとしてませんよね?」
加蓮「なにその反応ー!? 人がせっかく素直に手伝おうって言ったのに!」
菜々「いや、だって加蓮ちゃんですし」
加蓮「いくら私でも菜々ちゃんのマジモード見てからかおうなんて思わないって! ひどくない!? 菜々ちゃんは私のことを何だと思ってるの!?」
菜々「アンタいくつ前科あるんですか」
菜々「ああっごめんなさいつい!」ガシッ
加蓮「はーなーせー!」
菜々「ひ、日頃のお返しってヤツで……ほら、水に流しましょ? ね? ね? 加蓮ちゃんもウサミン星にご招待しますから♪」
加蓮「もーっ」スクッ
藍子「お待たせしました~。……あれ? おふたりとも、どうしたんですか? なんだか息が荒いような……」
加蓮「なんでもないでーす」
菜々「終わったお話ですよ♪」
藍子「はあ……」
<あっ、このクッキーおいしい
<ココアもいい感じですね! 藍子ちゃんなら今すぐメイドさんになれますよ☆
<ふふっ、似合いそうだね
菜々「……ふーっ。よしっ! これくらいで大丈夫ですね。加蓮ちゃん、藍子ちゃん、サンキューですよ! キャハッ☆」
藍子「お疲れ様ですっ」
加蓮「お疲れー。っていっても、ぜんぜん役に立てなかった気がするー……」
藍子「あうぅ、それは私もかも……。設定を考えることが、こんなにも難しいことだとは思いませんでした」
菜々「」グサッ
加蓮「藍子藍子。さらっと設定とか言うから菜々ちゃんにダメージ言ってる」
藍子「あっ……! ご、ごめんなさい菜々さんっ! そういうつもりじゃ……」
菜々「い、いいんですよ、ええ……」ヨロヨロ
菜々「藍子ちゃん"には"悪意がないってこと、分かってますからね、ええ」
加蓮「……ん? それって私なら悪意があるって思ってるってこと?」
菜々「…………」ジトー
菜々「ナナのせい!?」
加蓮「いじってください~って全身で言われたら、ほら……ね?」
菜々「誰もそんなこと言っとらんわ~! ……ごほんっ」
菜々「でもおふたりともグッドアイディアがいっぱいでナナ嬉しかったですよ!」
菜々「加蓮ちゃんの"ウサミン星のハンバーガーは素敵な魔法で作られている"っていうアイディアも」
菜々「藍子ちゃんの"ウサミン星には毎日景色の変わる場所がある"っていうアイディアも」
菜々「聞いててすっごくワクワクしましたからね! あったらいいなぁ、って♪」
菜々「いやぁほら、食物連鎖的なイメージを消せるっていうか」
加蓮「変に生々しいんだね……」
菜々「歳を取るとどーしても現実から目を背けなくなっちゃうっていうか」
加蓮「……、……うーん、私はそこまで現実を嫌だと思うことはないなぁ」
菜々「そうなんですか? 加蓮ちゃんも色々と苦労してるイメージでしたが――」
加蓮「気付いて菜々ちゃん。私は16歳で、17歳と1つしか違わないっていうことに」
菜々「ハッ! ……周りくどいんですよぉ! 気付いたら素直に言ってくれてもいいじゃないですか!」
加蓮「いじっていいってこと?」
菜々「そうじゃないですーっ!」
菜々「」グサッ
加蓮「あ、あのさ。今日の藍子はどしたの……? 無自覚毒舌キャラでも目指してるの?」
藍子「へ?」
菜々「い、いいんですよ、ええ……」ヨロヨロ
加蓮「大丈夫って顔してない」
藍子「???」
加蓮「あーあー……」
加蓮「どゆこと?」
菜々「例えば藍子ちゃんがこんな子だったら! って感じでっ。もし藍子ちゃんが、加蓮ちゃんの言う無自覚毒舌キャラだったら――」
菜々「…………」
菜々「…………」カタポン
藍子「ふぇ?」
菜々「藍子ちゃんは、今の藍子ちゃんのままで、いてください、お願いします」
藍子「は、はい、がんばります……?」
加蓮「あーまたさりげなく私をディスってるー! 菜々ちゃんがそーいう人だとは思わなかったなぁ」
菜々「はいはい自覚してることをわざとらしく言わないでください」
加蓮「あれ、反応が冷たい」
菜々「それくらいならナナにも分かりますからね。だいたい、もし加蓮ちゃんがもっと素直だったらとか、それこそ想像しようとしてもなかなかできないですよっ」
加蓮「うーん、なんか私のイメージがだんだん変な方向に向かってるなぁ
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