桜田ジュン ROSE FEVER
§ 春先の桜田家 ジュン「へっくしょんマエストロ! へぇっくしょいローゼン! ぶへっきしマイスター!」 真紅「どうしたのジュン? 前衛的なクシャミを連発しちゃって」 ジュン「どうやら花粉症が始まったらしい」 真紅「薔薇熱のことね」 雛苺「薔薇族?」 翠星石「族じゃねーです、熱です。花粉症のことを薔薇熱と言ったりもするのですよチビ苺」 雛苺「ほへぇ~、なるほどなの。翠星石は物知りなのよね」 翠星石「まっ、当然の知識ですよ! 当然の! ちなみに英語だと『rose fever』です」 ジュン「どうせ蒼星石からの受け売りだろうに」 翠星石「ぐぅッ! 翠星石の心を読んだですか!? チビ人間のくせに生意気ですよ!」 ジュン「読むも何も…ヘェックショイーーーンッ!」 翠星石「ぐはぁっ!? チビ人間のクッソ汚い鼻水が翠星石の手にかかったですよ、この野郎ーっ!?」 ジュン「すまん」 雛苺「えんがちょ! えんがちょなの翠星石ー!」 翠星石「ぬううっ! チビ苺にチビ人間のゲロっ吐き糞野郎菌を移してやるですー! そぉれ、タッチー!」 雛苺「いやーっ! バリヤー! バリヤー張ってるから効かないの! ヒナバリヤー!」 ジュン「子供かお前らは…、ヘックシィ!」 真紅「辛そうねジュン」 ジュン「心配してくれるのか真紅」 真紅「いえ、愉快でたまらない。あなたが花粉症で悶絶している顔をおかずにご飯三杯は軽いわ」 ジュン「てめぇ…」 真紅「雛苺! 今すぐ昨日の夕飯で余って冷蔵庫に置かれている冷やご飯をレンジでチンして持ってきなさい!」 雛苺「いにゃーーー! ヒナバリヤーで無敵だから翠星石はヒナにさわっちゃ駄目なのー!」 翠星石「あ~? 聞こえんなぁ~? ですぅ!」グリグリ ジュン「雛苺はそれどころじゃあないみたいだぞ真紅」 真紅「むむむ…。ならば良し、ご飯は諦めましょう」 ジュン(こいつ、自分でご飯をチンするっていう選択肢は持ってないんだよなぁ) 真紅「当然でしょ。食事の用意は下僕の仕事なのだから」 ジュン「ッ!? こ、心を読まれた!? 超久しぶりに」 翠星石「ぐははははは! これでチビ人間の引き篭もりホモガキ菌は全てチビ苺に移ったですぅー!」 雛苺「うみゅみゅ! お返しなの! タッチ返しで翠星石に全部また移すのー!」 翠星石「効きませーん! 翠星石バリヤーはタッチされても菌は受け付けないのデース!」 雛苺「ずるいのー! 翠星石のインチキ効果もいい加減にしろなの!」 ジュン「ドタバタするな二人とも。埃が舞って余計に鼻が痒くなる」 真紅「ジュンも大変ね」 ジュン「涼しい顔してるけど、真紅達は花粉症じゃないのか?」 真紅「ドールだから平気デース☆」 ジュン「え? でも過去に何度か花粉症ネタが…(※)」 ※『薔薇と乙女と花粉症 』、『翠星石は花粉症に憧れる 』等を参照。 翠星石「病は気からですぅ。ローゼンメイデンはその時の気分で花粉症になったりならなかったりするです」 雛苺「うぃ! ヒナも今、気合で翠星石から移された変態糞ニート菌を全部キレイにしたのよ!」 ジュン「滅茶苦茶だけど気合で花粉症が治るとか羨ましいな」 真紅「ジュンはもやしっ子だから。戸愚呂(弟)並みの気合があれば、霊丸も掻き消せるというのに」 翠星石「ぷぷぷっ! 貧弱すぎる桜田(弟)ですぅ」 雛苺「貧弱! 貧弱ゥ!」 ジュン「うるさ…いぐにっしょん!」 真紅「またクシャミ…、今回のジュンの花粉症は中々に酷いようね」 ジュン「今年の花粉は例年よりも多いからかな。確かに今年の花粉症はきつい(※)」 ※実際は、寝ているジュンの鼻毛を真紅達が毎晩のように抜いて遊んでいるせいで ジュンの鼻のフィルター機能がユルユルのガバガバになってしまっているためである。 ジュン「特に今週から飛んでいる花粉は通常の3倍以上らしい」 翠星石「毎年のように聞いているですよ、その言葉。通常の年って最早、何時代です?」 雛苺「花粉のインフレが止まらないのー!」 翠星石「毎年毎年、例年を越えるだとかボジョレー・ヌーボーかっつーの、ですぅ」 真紅「ボジョレーのフレーズは最近は自重しているらしいわよ翠星石」 翠星石「お? そうなんですか」 ジュン「しょうがない。薬でも飲んで、大人しくしていよう」 真紅「待ちなさいジュン!」 ジュン「はい?」 真紅「そうやってすぐに何でもかんでもドラッグに救いを求めるだなんて人として間違っているわ!」 ジュン「ドラッグって言うな」 翠星石「真紅の言うとおりです! 辛いのは分かるですが、ドラッグに頼ってはいかんですよチビ人間」 雛苺「ドラッグ、ダメ絶対! なのー!」 ジュン「だから、ドラッグって言うな」 真紅「ともかくドラッグに溺れる前に色々試してみましょうよ」 ジュン「色々…って?」 翠星石「そりゃ色々ですよ色々。ぐふふふふ…」 雛苺「ヒナ達にお任せなのよジュン。テレビのワイドショーで花粉症対策を勉強したんだから」 ジュン「猛烈に悪い予感がするなぁ…」 真紅「まずはレーザー治療!」 翠星石「いぇーい! レーザー! レーザー!」 雛苺「れーざー!!」 ジュン「レーザー治療?」 真紅「マイスターローゼンの癖にレーザーも知らないだなんて、だらしないわねジュン」 雛苺「だらしねぇのー!」 ジュン「いや、レーザーは知ってる。けど、それでどうやって花粉症の治療をするんだ?」 真紅「それは…まあ、その…アレよ! ね? 翠星石!」 翠星石「えええっ!? す、翠星石が説明するんですか!?」 真紅「当然でしょ。庭師たるもの花粉症の治療も守備範囲でしょうが!」 翠星石「そ、そんなこと言って真紅が知らないだけじゃ…」 真紅「そんなわけないでしょ! 折角の解説枠をあなたに譲っているのよ翠星石!」 翠星石「本当ですか?」 真紅「本当よ! 蒼星石を超える蘊蓄を披露して皆から見直されるチャンスだわ、翠星石!」 翠星石「そ、そうですね。えーと、うーんと、レーザー治療ってのは確か…」 ジュン「…確か?」 翠星石「鼻の奥の粘膜を? 焼いて…? 神経を殺してしまう…みたいな?」 真紅「ふふ、やればできるじゃない翠星石。大体あってるわよ、それで」 翠星石「いぇーい! 大体あってるー!」 雛苺「大体あってるー!」 ジュン「神経を殺すとか、不穏なフレーズが最後に並んでいたが」 真紅「いいのよ、細かいことは。しかし残念ながら桜田家にレーザーは無い」 ジュン「あってたまるか。けど、それじゃあレーザー治療は無理だな」 真紅「とーこーろーがー、ぎっちょん!」 雛苺「ぎっちょん!」 真紅「鼻の粘膜を焼き殺すだけなら、何もレーザーに頼らなくても良い」 ジュン「……」 真紅「そうっ! ローズテイルを鼻の穴にぶち込むことで、レーザー治療と同じ効果が得られるのよ」 翠星石「なんですとー! それはマジな真実なのですか真紅ぅー!(棒読み)」 雛苺「うわぁい! これはお得な情報なの! これは絶対に逃がしてはいけないビッグウェーブなのよジュン!」 ジュン「えぇと、この薬は食前だったかな、食後かな」ガサゴソ 真紅「無視してドラッグに手を出すなや」 翠星石「あれほどドラッグだけはダメだと言ったはずですよ、この野郎!」 雛苺「ジュンってばドラッグ大好き人間だったのね。ヒナ、全滅したの」 真紅「それを言うなら全滅じゃなくて幻滅よ雛苺」 ジュン「真紅達の気まぐれに付き合っていたら身がもたんわ。鼻にローズテイルとか、脳まで殺す気か」 真紅「くっ! ならば気まぐれではない真の治療というものを紹介しましょう!」 ジュン「やっぱり気まぐれだったのかよ、ローズテイル治療は」 真紅「カモぉーン! 蒼星石!」 蒼星石「どうも僕です!」ヌッ 翠星石「うっひょー! 何の前触れも無く唐突に蒼☆星☆石の登場ですぅ!」 雛苺「テンション上がるのー!」 ジュン「出たな、神出鬼没メイデンめ」 真紅「蒼星石先生こそは薔薇乙女の中でも頭一つ抜けた高次元の意識をお持ちのドールよ」 蒼星石「いやぁ、それほどでも」 翠星石「困った時は蒼星石にお願いすれば大体何でも解決ポロリですぅー!」 雛苺「ヒューヒュー!」 真紅「さあ、蒼星石先生! ビシッと花粉症対策をやっちゃって! やっちゃっちゃって!」 蒼星石「僕おススメの対策はやはり、漢方とハーブだ。さあ、花粉症に効く薬草類をたんまり持ってきた」ゴソッ 翠星石「ワーーオゥッ! 見るからに体に良さそうな毒々しい緑の恵みですぅ!」 ジュン「矛盾してるぞ、その発言」 蒼星石「花粉症という毒に毒をぶつけて、毒が裏返る。何も矛盾なんかしてはいないさジュン君」 ジュン「毒なのかよ、この草」 蒼星石「ははは、まさか。毒草と薬草は紙一重ってことを言いたいだけだよ」 雛苺「ねーねー、蒼星石ぃ! この茶色い葉っぱは何なのよ?」 蒼星石「それに目をつけるとは流石だね雛苺。何を隠そう、それは僕がnのフィールドの 雷雨の竹林で討伐した野生のタケノッコーンの皮を剥いだものを乾燥させて…」 真紅「何という良素材、蒼星石の蘊蓄だけで分かってしまった。この葉っぱは間違いなく効く」 ジュン「胡散臭さしか感じないんだが…」 翠星石「じゃあ蒼星石、こっちの何か薄っぺらくて長い羽衣みてぇーなのは何なんです?」 蒼星石「ああ、それは第0ドールのめそ…」ぴたっ ジュン「第0ドールのめそ…?」 蒼星石「いや、ゲフンゲフン! オホン! ンンッ、あー、えーと…草だよ、それも。うん、草だ」 ジュン「何の草ァッー!? と言うか先ず第0ドールって何だ!? 初耳だぞ! 真紅!?」 真紅「ふふふ、何でしょうねぇ?」 ジュン「ええー? はぐらし方が無茶苦茶すぎない、それ…?」 翠星石「いやいやいやいやいや! とにかく蒼星石が草って言ってるんだから、これは草ですよチビ人間」 蒼星石「そうだよ」 雛苺「うぃ…、蒼星石の言う事に間違いはないの、これは草なの」 真紅「そうよそうよ。草よ、草。くーさー」 蒼星石「さあジュン君、好きな草や葉っぱから貪るようにしゃぶりついてくれたまえ」 ジュン「色々と用意してくれた蒼星石には悪いが、お断りさせていただきます」 蒼星石「そんな…ひどい!」 翠星石「んですとコラー! ザッケンナーです! 蒼星石が汗水鼻水垂らしてかき集めた素材をスルー!?」 真紅「マエストロの風上にも置けない人間! まるで、そびえ立つクソだわ!」 雛苺「ジュンってばドラッグ大好き人間なだけじゃあなく、心の底から腐っていたのよね」 翠星石「こうなったら無理やりにでも草を食わせるです! やい、チビ苺!」 雛苺「うぃー! 苺わだちでジュンの自由を奪うのー!」 ジュン「やめろォ! 何するゥ!?」 真紅「あ、そ~れ! ジュン君のちょっと
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:- :2016/03/24(木) 22:46:21 いつも以上に半端ない勢いがグレートだぜ全くちくしょう! :- :2016/03/24(木) 22:50:46 >翠星石「病は気からですぅ。ローゼンメイデンはその時の気分で花粉症になったりならなかったりするです」 便利設定過ぎるがこの世界観に合ってるから全肯定。
良い感じにドタバタしてて花粉症よりもそこに春を感じた。話題にも出ないカナのハブっぷりには泣くけどw
時事ネタや細かいネタの挟み方が相変わらず上手い。乳酸菌ネタを10年前のセンスって言うの本当にそれくらい経ってるんだと思うと感慨深い。そしてSLPYはもう5年以上ローゼンSS書いてるんだよな。嬉しいことです。 :- :2016/03/24(木) 22:58:29 花粉症ネタが2連続とは…(察し) :- :2016/03/24(木) 23:08:32 >雛苺「ずるいのー! 翠星石のインチキ効果もいい加減にしろなの!」
わりとディープな遊戯王ネタが :- :2016/03/24(木) 23:18:56 蒼星石の「そうだよ」な便乗が嫌にツボった(KONAMI)