週刊少年サンデー17号より藤田和日郎先生の新連載「双亡亭壊すべし」がスタートしました。
藤田先生といえば4月から後半分のアニメがスタートする「うしおととら」などで知られる作家さんですが、アニメをやろうとしているのに肝心のサンデーが藤田作品を掲載していないのは不思議に思っていました。
そんな藤田作品といえば特徴のあるホラータッチで知られている訳ですが、サンデーでは「うしおととら」「からくりサーカス」「月光条例」に続いて4作目の連載となります。
一方で、全てが長期作品でこれが4度目というとサンデーなら高橋留美子先生を彷彿とさせますが、高橋先生と違ってこれまであまりアニメには恵まれていませんでした。
そういう意味では「うしおととら」がTVアニメになって時代がようやく追いついてきたという感じもしなくはないですね。
そんな藤田先生ですけど、「うしおととら」がアニメでやってる事からも新連載が妖怪系のホラーになるのは理解出来ます。
これまで「うしおととら」全33巻、「からくりサーカス」全43巻、「月光条例」全29巻とサンデーに足跡を残して来た藤田先生。
これまで通りなら今回の作品も5年以上は確実だと思いますが、そんな新作を前作「月光条例」に続いてレビューして行きたいと思います。
『これから話すのはどの町にも必ず一軒くらいはある、<幽霊屋敷>の物語さ』
双亡亭と呼ばれる屋敷の中で「ナナちゃん」と呼ばれる少女を捜していた「シンちゃん」と「アツシ」。
不気味な屋敷の中で彼女を見つけた2人だったが、すでに出口が分からなくなっていたらしい。
ボロ屋敷を探検しに来たという2人ですけど、電灯が必要なのはわざわざ夜に来たからなのか?
異空間の様な屋敷からナナちゃん連れて行こうと手を引いたアツシたち。
だが、彼女は動いておらず、両手だけがどんどん伸びていた!??
思わず手を離してしまった「シンちゃん」と「アツシ」。
「アツシくん…シン…ちゃん…わ…た…しをオイテ…イクノ…?」
「オイテ イカナイデ」
自分を置いていかないで欲しいと嘆く「ナナちゃん」ですけど、果たしてそれは現実に起こった事なのか?
大声を上げて目を覚ましたアツシだが、どうやら悪夢を見ていたらしい。
何度も同じ悪夢を見続けているそうですが、目の中から手が出てくる絵面は普通に怖いですし、これを連日夢で見ているとすれば寝る事自体が怖くなってしまう気がします。
ナナちゃんの悪魔は彼らの子供の頃の話だったのか、すっかり年配になっていた「シンちゃん」と「アツシ」。
何と、アツシは斯波総理大臣、シンちゃんは桐生防衛大臣という日本にとっても重要な立場になっていた様子。
あるいは全てはこの為に総理や防衛大臣を目指していたのか?
「双亡亭」を壊さなくてはいけないと言う2人ですが、それさえ叶えば議員なんていつでも辞めていい様な決意すら感じさせます。
そんな老人たちから場面は変わり、舞台は双亡亭の隣りのボロアパートへ。
出版社に持ち込む絵本を描き上げた凧葉務。
美大を卒業したばかりの絵描きだという彼ですけど、少年誌の主人公にしては少し年齢が高いですね。
あるいは彼は「からくりサーカス」における鳴海の様な存在であって、彼とは別に勝の様なキャラがこれから出てくるのかな?
出来上がった原稿を手に出版社に向かう事にした凧葉。
その際に隣のオバケ屋敷の一角の家に引っ越してきた少年・緑郎と出会った凧葉ですが、彼によると全部ではなく昔のお手伝いさんが住むところの小さい家に越してきたらしい。
小学館に絵本を持ち込みアッサリボツにされてしまった凧葉。
落ち込む凧葉だが、実は自分でも足りないものがある事は分かっていた様子。
そんな中、お化け屋敷に引っ越してきた事でからかわれる緑郎を目撃した凧葉。
間に入って逆にバカにされた凧葉ですが、積極的に他人の子供のケンカの仲裁に入る大人というのは今時あまりいない気がします。
ボツになった絵本を緑郎に見せ、逆に元気をもらってしまった凧葉。
何と、今まで絵本のメインターゲットである子供に見せた事がなかったんだとか。
彼と仲良くなり、次描いたらまた見せる約束をした凧葉。
絵本にはデッサンや画面構成よりも大切なものがある事をすでに理解している凧葉ですが、子供とのこういったやり取りでそれらが磨かれて行く事になるのかも知れません。
猫が好きという彼の為に描いてみる事にした凧葉。
写実的な絵を捨てシンプルな絵にしてみた凧葉ですけど、何か小学生の絵になってしまった様な気が(笑)。
早速描いた絵を持って緑郎に見せに行こうとした凧葉。
何も考えず喜んでくれると考える凧葉ですけど、夜中に小学生のところに落書きっぽい猫の絵を持ってくる大人って何かちょっと怖い気もします(笑)。
絵に夢中だったせいか、周囲の騒ぎが全く耳に入ってなかった凧葉。
何と、子供の叫び声と共に問題のお化け屋敷から爆発が起きたのだという。
救急車に緑郎が運ばれていく様子に慌てて近付いた凧葉。
「パ…パが…食べられ…ちゃった…」
「パパがあの家に食べられちゃった~~」
頭がどうにかなってしまったのか、血の涙を流しながら笑い出す緑郎ですが、食べられたというのは冒頭の「ナナちゃん」と似たような事になってしまったという事なのでしょうか?
ガス漏れの疑いがあるからと強制的に避難を命じられた凧葉たち。
自衛隊ので主導し、何と双亡亭を立ち入り禁止にしてしまう。
そんな異常事態に呆然となった凧葉だが、これらは全て総理と防衛大臣の指示だった様子。
「あの家 壊すべし」
何と、自衛隊を動かし、戦闘機を使って双亡亭へのミサイル攻撃を始めてしまったのだ!!
まさかの爆撃に住処を失う事になってしまった周囲の住民たち。
凧葉も家を失ってしまいましたけど、さすがにこれは政府が保証してくれるのかな?
そんな前代未聞の事件だが、それだけの爆炎であっても「双亡亭」はその場所にそびえ立っていた様子。
何かに守られてるのか、呪いの力なのかは分かりませんが、物理的に破壊する事は出来ないのかも知れません。
そんな事件が起きている一方、その遥か上空では「何かがあった」様子。
それと同一のものなのか、それとも別件なのか、突然現れた未確認機に大騒ぎとなった羽田の管制塔だが、何とそれは40年前に使われなくなったボロボロの旅客機だった!?
札幌からの便とニアミスし、滑走路に飛び込んできた謎の旅客機。
火災も燃料漏れもなくただ突っ込んで来た旅客機ですけど、そのボロボロの具合からすると過去からでも飛んで来たのでしょうか…?
電気系統が完全に死んでおり、どうやって飛んで来たのかも理解出来ない警察官たち。
そんな彼らが見たのは一人の生存者だった?
その旅客機の中に突然現れた化け物に衝撃を受けた警察官たち。
そのグロテスクなビジュアルは藤田先生の真骨頂だと言えます。
そんな化け物を相手に手をドリルの様に変えて攻撃した生存者の少年「青一」。
とてもまともには見えない少年ですけど、別の時代なのか、それとも別世界なのか、何か目的を持って何処かからこの地にやって来た様に感じられます。
区の図書館に避難する事になった凧葉。
そんな彼だが夢の中で誰かが「壊せ」と叫んでいたらしい。
それは果たして、彼女が呼びかけたものだったのか?
「緑郎…今…行っちゃるけんね…」
刃物を手に何処かの滝の様な場所で全裸で身を清めているかの様な少女。
緑郎の関係者らしいですけど、双亡亭の事も知っている様ですし、だとすれぱ緑郎の家族が双亡亭に引っ越して来たのは特別な理由があったのかも知れません。
登場人物が揃って破壊を訴える「双亡亭」。
目的がハッキリしている一方で謎だらけの構図は教師を殺さなければ地球滅亡の「暗殺教室」と似たものを感じさせます。
そんな双亡亭を破壊しなければならない理由とは何なのか?
派手なオープニングにこれからの展開が非常に楽しみになって来ました。
という事で、来週以降も出来ればレビューを続けたいと思います。
したっけ!
ウィキペディア:藤田和日郎
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双亡亭があまりに人を殺し過ぎてもはや呪いの塊になっていてこのままいくと中から白面の者的なものが生まれるのでは、とソワソワしてます