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優花里
20121017154939_original

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:16:39.09 ID:Vb0ohHNI0
優花里「ここは……」

ガサッガサッ

優花里「森……?」

チュン・・・・・チュン・・・・・

優花里「……」

ヒュウウウウウウウ

ブオオオオオオオオオ

ガサッガサガササッ

優花里「!?」

ザッガササッガササッ

ヒュオオオオオオオオオオオオ

優花里「うわあっ!?」

2: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:17:32.14 ID:Vb0ohHNI0
???「そこにいる……」

優花里「……」

???「王は……そこにいる……」

優花里「……」

???「撃て…秋山優花里……」

優花里「……」

???「撃て……撃て……!」

優花里「……」

???「撃てええええ!」

4: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:21:26.49 ID:Vb0ohHNI0
優花里「ハッ!」

華「秋山さん、起きてください!」

沙織「んもー、しっかりしてよ、ゆかりん!」


みほ「……敵はマチルダⅡ四両チャーチル一両 前進中」

優花里「えっ!?」

優花里「西住殿、敵はまだ見えていませんよ!」

みほ「指示に従い 撃て」

華「は……はい!」

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:23:03.71 ID:Vb0ohHNI0
みほ「敵、前方より接近中」

みほ「全てを撃破せよ」

優花里「そ、装填完了」

華「ええと、チャーチ

みほ「距離810m」

優花里「!?」

沙織「これが、西住流……」

みほ「撃て」

BAM!

華「外れました すみません」

みほ「何をしている もっとよく狙え」

みほ「敵が接近してくる 即時移動」

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:24:18.66 ID:Vb0ohHNI0
みほ「なるべくジグザグに移動しろ 敵の照準を感じる」

麻子「了解」

BAM!BAM!BOM!

SHA!SHA!SHA!

みほ「……」

カチャン

沙織「みぽりんあぶないって!」

みほ「我々には死も許されてはいない」

沙織「???」

みほ「来るべき時まではな…」

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:25:17.04 ID:Vb0ohHNI0
桃「おそい」

杏「待つのも作戦のうちだよー」

桃「いやぁ……しかし……」

みほ「Aチーム 敵を惹きつけつつ 目的地点へあと三分で到達する」

桃「Aチームがもどってきたぞ!ぜんいんせんしゃにのりこめ!!」

みほ「あと600mで敵車両は射程内だ」

BRUMMMMM・・・・・・

桃「うてー!!!」

BOM!BOM!

みほ「……」

沙織「味方を撃ってどうすんのよー!」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:26:19.61 ID:Vb0ohHNI0
桃「うてうてうてーー!!!!!」

みほ「履帯を狙え」

BOM!BOM!BAMBAM!

桃「もっとうてーー!!!!!」

SHA!SHA!BAHM!

みほ「攻撃を止めるな」

田尻「全車両 前進」

BOM!BOM!BAMBAM!DOM!BAM!

みほ「敵もなかなかだな」

みほ「DチームとCチームはまだ動けるはずだ 我らの後に続け」

沙織「え!?えーと?」

典子「わかりました!」

エルヴィン「心得たっ!」

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:27:05.28 ID:Vb0ohHNI0
~市街地~

みほ「これより市街地に入る 地形を最大限に活かせ」

エルヴィン「わいのっと!」

典子「大洗は私の庭です!」


みほ「……静かだ」

優花里「……え?」

みほ「ここには現れないのか」

優花里「何がですか」

みほ「敵だ」

優花里「えっ」

10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:27:49.00 ID:Vb0ohHNI0
エルヴィン「Cチーム、一両撃破!」

典子「こちらDチーム!一両撃破!」

優花里「西住殿、やりましたねぇ!」

みほ「……」

みほ「片方は撃破できていない」

優花里「えっ」

エルヴィン「Cチーム、走行不能!!」

典子「Dチーム、敵撃破失敗!および走行不能!すみません!」

優花里「!!!」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:28:39.38 ID:Vb0ohHNI0
優花里「残っているのは我々だけです……」

沙織「向こうは何両!?」

華「四両です」

みほ「敵は我らを狙い集結する 囲まれる前に移動せよ」

麻子「了解」

BRUMMMM!

BAUM!

BAUM!SHAA!

みほ「この先は行き止まりだ」

麻子「うぇ……」

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:30:49.16 ID:Vb0ohHNI0
田尻「こんな格言を知っている?」

田尻「イギリス人は恋あ

みほ「鉄の拳を叩きこめ」

BAM!

CAMM!

みほ「その砲弾ではない HEAT弾だ」

田尻「」

BRUMMMMM!

杏「さーんじょー」

華「生徒会チーム……!」

優花里「履帯直したんですね」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:31:52.52 ID:Vb0ohHNI0
~中略~

柚子「桃ちゃんここで外すー?」

杏「やーられたー」

みほ「前進 一撃離脱せよ 左へ」

BAM!

BRUMMMMMMM!

みほ「敵は回り込もうとする 大通りへ出て先に路地を抑えよ」

みほ「壁に沿って進め そこで停車せよ」

麻子「ほい」

みほ「そこからマチルダが二両来る 撃て」

BAUM!

みほ「次弾装填」

BAUM!

みほ「目標を 次へ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:33:23.65 ID:Vb0ohHNI0
みほ「次はチャーチルだ」

BAUM!

CAMM!

華「はじかれた…」

みほ「移動せよ 敵の照準を感じる」

BAUM! SHA!

麻子「路地へ行く?」

みほ「ここで終わらせる」

みほ「回り込み 車体側面を狙え」

BRUUUUM!

BABAOM!!!!!

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:34:13.85 ID:Vb0ohHNI0
審判「両チーム 全車両走行不能 よって引き分けとする」

優花里「に、西住殿!!!」

みほ「……」

華「引き分け……ですか……」


カツッカツッ

田尻「あなたが隊長さんですわね」

みほ「……」

田尻「あなた、お名前は」

みほ「……」

優花里「に、西住みほさんです!」

田尻「もしかして西住流の……」

田尻「随分、まほさんとは違うのね」

みほ「……」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:35:24.79 ID:Vb0ohHNI0
~公式戦くじ引き会場~

優花里「サンダース校……」

沙織「それって強いの?」

優花里「優勝候補の一つです」

沙織「え~だいじょうぶ~!?」

みほ「安心しろ 敵はサンダース高だけだ」

優花里「……」

西住殿は不思議なことを口にする

それは、私もその意味を知っているかのように語るのだ

華・沙織「???」

麻子「zzz」

18: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:37:53.27 ID:Vb0ohHNI0
~戦車カフェ~

BAOM!

沙織「このボタン、主砲の音になっているんだ」

優花里「この音はE-50の88mmL100ですね」

華「さすが戦車喫茶ですね」

~中略~

優花里「一回戦から強いところに当たっちゃって、大丈夫なんですかねぇ?」

華「サンダース大附属って、そんなに強いんですか?」

優花里「強いっていうか、すごくリッチな学校で…」

沙織「へー……」

みほ「公式戦の一回戦では戦車の数は十両までだ」

みほ「砲弾の総数も決まっている」

沙織「でも十両って……うちの倍じゃん!」

沙織「それは勝てないんじゃ……」

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:39:45.00 ID:Vb0ohHNI0
突然、煤と硝煙が混ざったような臭いが鼻を突き

優花里「!?」ゲホッゲホッ

沙織「うわ、なにこの臭い……」

みほ「!!!」

西住殿が驚愕の表情を見せる。

その視線の先には……

死人じみていると形容できるほどに生気のない、青白い肌の男が、ぼうっと立っていた……

みほ「アルフレート・シュトライバー…!」

男「……」

明らかに日本人ではないその名を、西住殿が口にするのを耳にし、

初めて私は男が武装親衛隊戦車兵の服を着ていることに気がついた。

煤まみれでヨレヨレの軍服は……

なぜか私に虚無を、絶望を、帝国の終焉を思わせた……

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:41:24.63 ID:Vb0ohHNI0
優花里「……!」

華「みほさんのお兄さん……ですか?」

みほ「……」

男「秋山優花里……」

優花里「!」

男「何れ全てが燃え尽きる どこも地獄だ」

男「虚無への砲弾 金の枝の夢」

男「もし お前が使命を果たさんとするならば」

沙織「ちょ、ちょっとあなた……な、なんなんですか!?」

スタスタスタ

沙織「い、行っちゃった……なんだったんだろう、あの人……」

西住殿は何も語らない。

私には、何もわかりはしない。

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:43:53.54 ID:Vb0ohHNI0
~連絡艦の甲板~

優花里「寒く、ないですか?」

みほ「静かだ」

優花里「へ?」

みほ「次の戦場は平穏に満ちている」

私も感じる。

次の戦場は、穏やかだ……

優花里「全国大会……」

みほ「敵は三両で一小隊の一個中隊編成で来る」

みほ「ファイヤフライも出てくるだろう」

優花里「なぜ、わかるんです?」

みほ「この戦場に敵はいない」

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:45:01.81 ID:Vb0ohHNI0
~優花里の部屋~

優花里(練習試合のころから、西住殿がなんだかおかしい)

優花里(それに……あの男……)

優花里(アルフレート・シュトライバー)

優花里(調べてみてもそれらしい結果はなにも出てきませんでしたし)

優花里(西住殿は何も語りはしないし……)

沙織「ゆかりん?」

優花里「ア、はい!」

沙織「大丈夫?なんだか最近、みぽりんとゆかりん二人とも、おかしいよ」

優花里「私も…ですか…」

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:46:06.33 ID:Vb0ohHNI0
~試合会場~

桃「整備終わったか~?」

一年生チーム「はーい!」

カエサル「準備完了」

典子「わたしたちもです!」

優花里「四号も完了です」

桃「じゃ、試合開始まで待機!」

みほ「先の先とは不吉だ」

優花里「……」

みほ「腫れ物は根元を抑えるだけでは何もならん」

西住殿の予言めいた言葉

ひとつひとつの意味の知るすべはない

24: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:47:38.13 ID:Vb0ohHNI0
サンダース校の作戦を全て事前に知りつくしていたかのような

西住殿の完璧な指揮によって試合は大洗女子の圧倒的な勝利に終わった。

二回戦の対戦相手はアンツィオ高校だ。

そして……

優花里「見つかりました!でも、これは……」

カエサル「さっすがはモントゴメリー」

エルヴィン「すごいぞ 見たこともない新型戦車だ!」

優花里「これは……」

優花里「これは……?」

みほ「Entwicklung-79 bis」

優花里「…!」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:50:00.65 ID:Vb0ohHNI0
~グラウンド~

桃「これがE-79 bis……」

華「この戦車のデータは…」

柚子「それが…」

柚子「1943年に、カスパー大尉率いる武装親衛隊特務部隊に数両だけ配備されたということしかわかりませんでした」

柚子「カスパー隊は1945年3月にザクセンドルフで壊滅しています」

柚子「ベルリン戦での目撃情報もあるにはあるんですが…確かな情報じゃないです」

みほ「前面装甲は200mm 搭載砲は128mm砲」

柚子「え…?」

杏「なーんだ、すごい強いじゃーん」

優花里「……」

詳細な情報が存在しない…

錆止めのプライマーだけが施された…

第三帝国の亡霊を思わせる強力な重戦車

なぜ…なぜこの大洗にそれが?

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:53:10.32 ID:Vb0ohHNI0
~試合会場~

BAM!

BAUM!!!

SHA!SHA!SHA!

戦いの地平へ

大地を蠢く鉄の戦闘機械

広大な草原に潜むタンケッテ

調整されたセモベンテの配置と強固に抵抗するP40

すべてを撃破し前進する

私たちの士気は 高い

「大洗女子学園の勝利!」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:54:35.57 ID:Vb0ohHNI0
優花里「やりましたね、西住殿」

みほ「ああ」

優花里「次はプラウダ校ですか」

優花里「やはり雪上戦ですかね」

みほ「次の戦場は彼女らの味方だ これからは厳しくなるぞ」

優花里「しかし、プラウダ校も同じじゃないんですか?」

みほ「プラウダ校だけならばな」

優花里「……」

30: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:56:34.56 ID:Vb0ohHNI0
~プラウダ校学園艦~

ノンナ「準決勝は残念でしたね」

カチュ「去年カチューシャたちが勝ったところに負けるなんてね」

田尻「勝負は時の運というでしょ?」

田尻「…次は準決勝なのに、余裕ですわね」

田尻「練習しなくていいんですの?」

カチュ「燃料がもったいないわ…相手は名前も聞いたことない弱小校だもの」

田尻「でも、その弱小校はサンダース校相手に圧勝したのよ?」

カチュ「えっ」

カチュ「ちょっとノンナ、そんなこと聞いてないわよ」

ノンナ「何度も言いましたよ」

カチュ「サンダース校は雑魚相手だからって油断してたのよ きっと」

カチュ「……身の程を思い知らせてあげるわ、大洗女子」

ノンナ「……」

田尻「この紅茶はおいしいですわ」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:57:32.62 ID:Vb0ohHNI0
~大洗ガレージ~

桃「あたらしいじゅうせんしゃがいちりょう…」

桃「これがしあいのかぎだな」

沙織「あのう、E-79に乗るチームは?」

桃「にしずみのチームにのりかえてもらう」

杏「この戦車と西住ちゃんなら、どんな試合でもひっくり返せちゃうかもしれないもんね」

沙織「それじゃ四号には誰が?」

杏「風紀委員が応援に来てくれたんだよね~」

そど子「今日から参加することになりました 園みどり子と風紀委員です」

杏「四号は五人乗りだけど、ま、そこは頑張ってね~」

そど子「えっ」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 19:59:40.51 ID:Vb0ohHNI0
柚子「えーっと…四号のコールサインは今まで通りあんこうさんチームで…E-79は…」

みほ「スペクトルム」

優花里「…!」

柚子「すぺくとるむさんチーム?」

沙織「ちょっとみぽり~ん、ワケわかんないよ~」

華「すぺくとるむ…?」

沙織「もっとかわいい名前にしようよ~ ゆかりんからも何か言ってよ~」

優花里「…私は西住殿に賛成です」

沙織「やだもー」

麻子「zzz」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:02:00.50 ID:Vb0ohHNI0
桃「つぎはいよいよじゅんけっしょう、しかもあいてはプラウダこうこうだ」

桃「ぜったいにかつぞ、まけたらおわりなんだからな」

そど子「終わり?どうしてですか?」

杏「実は…」

カクカクジカジカ

みほ「……」

優花里(そうか…西住殿の言う『使命』とはこのことだったのか…)

その他全員「ええっ!?」

桃「だから、ぜったいにまけられないんだ!」

杏「西住ちゃん、プラウダの部隊構成はわかる?」

36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:04:05.43 ID:Vb0ohHNI0
みほ「敵は…IS-3が2両」

みほ「IS-2mが5両 ISU-152が3両」

みほ「残り10両のT-34-85がそれをカバーする そのうち1両がフラッグ車だ」

みほ「KVは出てこないだろう」

優花里「プラウダも本気ですね」

杏「IS-3…まさか日本国内で保有している学校があるなんてね」

桃「かつんだ!それでも!」

みんな「おおー!」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:06:11.21 ID:Vb0ohHNI0
~試合会場~

BRUUUUUUUUUUM!

カチュ「いーいーっ?あいつらにやられた車両は全員シベリア送り25ルーブルよ!」

ノンナ「日の当たらない教室で25日間の補習ってことですね」

カチュ「戦力はこっちのほうが圧倒的に上よ!力の違いを見せつけてやるんだから!」

その他「Урааааааааааааааааааа!!!!!!」


みほ「試合会場…… 我らの死の場所……」

優花里「帰れますね。その地に」

みほ「ああ」

そうだ……北の地が呼んでいる……

わたしたちに課せられた使命……

沙織(二人とも、何言ってんのかわかんないよ…)

みほ「敵は全戦力をもって我らを叩き潰さんと突撃してくる 正面対決では勝ち目がない」

みほ「我が車とあんこうさんチームが敵を食い止める」

みほ「あひるさんチームは我らの後方を逃げ回れ その他は全車E2地点のフラッグ車を叩け」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:12:27.22 ID:Vb0ohHNI0
みほ「正面2000m IS-3が一両にIS-2が五両 一時方向にT-34が3両 十一時にも3両だ」

みほ「あんこうさんチームは両側面のT-34に対処せよ」

そど子「りょ、了解!」

ごも代「距離ってどうやって測るの?」

そど子「そんなの知らないわよ!」

みほ 「まずはJS-2からだ 撃て」

華「ハイッ!」
GEBAUM!!!!

BTHOOOM!

みほ「よし よくやった」
GUAOM!!

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:14:55.05 ID:Vb0ohHNI0
沙織「きゃっ!」

みほ「122mm砲だ 狙われている」
CAMM!GOAM!GAMM!!

みほ「敵の砲弾の弾道上だ 捕捉されないよう移動せよ」

麻子「ほい」

優花里「…次弾、装填完了!」

GWAM!

みほ「女子高生も地獄を作れるのだな」

41: JSとISで表記がぶれてるのは気にしないでね 2013/04/14(日) 20:16:04.59 ID:Vb0ohHNI0
カチュ「あの赤い重戦車は何よ!?」

カチュ「2000m先からISたんを撃破するなんて…!」

ノンナ「私に任せてください。側面から仕留めます」

カチュ「ノンナ…!」

GAUM!

GEBOOOO!

プラウダ生徒「BチームIS-2、やられました!」

カチュ「IS隊は怯まないで前進するのよ!T-34隊は待ち伏せを警戒して!」

カチュ「フラッグ車をやる前に絶対にあれを撃破してやるんだから…!」

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:17:45.17 ID:Vb0ohHNI0
~少し後~

BOOOM!

みほ「次弾装填」

華「…これで何両目ですか!?」

優花里「え、ええと…」

みほ「T-34を3両 IS-2を3両」

みほ「側面のT-34は後退する ISを叩け」

BAUM!GUMM!

華「あっ…弾かれました!」

優花里「この距離からIS-3の前面装甲を撃ち抜くのは無理です、五十鈴殿!」

GUAOM!!!!

五十鈴「!!」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:19:58.29 ID:Vb0ohHNI0
みほ「落ち着け 正面を向けている限り我ら撃破されることはない」

みほ「前方にJSU 二両だ」

GUOOOOWAM!BAGOOOOM!

優花里「こ、これが152mm砲ですか…… やっぱりすごい衝撃ですね」

みほ「射撃開始」

BAOOM!

GAOM!

みほ「JSU撃破 次弾装填」

エルヴィン「こちらカバさんチーム!E2地点にて敵フラッグ車を確認した」

45: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:23:03.82 ID:Vb0ohHNI0
カチュ「ISUたんでもダメだなんて…」

フラッグ子「隊長!見つかっちゃいました!」

カチュ「えっ!? と、とにかく逃げ回りなさい!」
GUAOOOM!

操縦手「履帯切れました!もう身動きとれません!」

カチュ「とにかく撃って!注意を別働隊からそらすのよ!」

カチュ(ノンナ……おねがい……!)


みほ「IS-3の足回り破壊 距離500 トドメをさせ」

優花里「ん…重…装填、完了!」

沙織「ゆかりんには悪いけどバンバン撃ちまくっちゃってよー!下手なテッポも数撃ちゃ当たるって言うじゃない~!」

華「いえ…止まっているなら一発で十分のはずです…」

華(花を活けるときのように 集中して 入射角が深いところを…!)

BABBAUM!!

GUAOOOOOM!
BTHOOOOOOM!!

46: あとグデーリアンがモントゴメリーになってるのも気にしないでね 2013/04/14(日) 20:25:09.08 ID:Vb0ohHNI0
カチュ「きゃっ!」

カチュ「やられたの!?!?そんな!!」

砲手「相手の…履帯を切りました!」

フラッグ子「お、おっわれてますぅー!」

カチュ「敵重戦車の足は止めたわ!後は雑魚ばかりよ!残存車両はフラッグ車の援護に回って!」

カチュ「カチューシャが…カチューシャたちがこんな学校に負けるはずないんだから…!」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:25:59.19 ID:Vb0ohHNI0
麻子「あ 履帯が」

みほ「敵は後退する 各車状況を報告せよ」

沙織「こちらスペクトルム 履帯破損 走行不能!各車へ状況はどうですか?」

そど子「とっくにやられてます!」

典子「大丈夫です、発見されてません!」

一年生チーム「ぶっ殺せーー!!」

桃「いけいけいけいけー!!!」

エルヴィン「フラッグ車は我々が仕留める!」

みほ「我ら固定砲台となるもアヒルさんチームの防衛を行う」

みほ「秋山さんは斥候に」

優花里「了解」

ハッチから飛び出し、雪原に降り立ち

少し歩いたあと

私は今来た方向に複数のエンジン音と…122mm砲の発砲音を聞いた

振り返ると砲塔に西住殿が立つE-79に 赤い光を纏った砲弾が吸い込まれていくのが見えた

48: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:27:26.88 ID:Vb0ohHNI0
BAGUWAM!!!

沙織「うわっ!」

麻子「やられたのか」

ザーーーーーッ

エルヴィン「敵フラッグ車撃破!!!」

一年生チーム「やったぁ!!!!」

沙織「やった!勝ったよみぽりん!!……みぽりん?」

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:29:45.07 ID:Vb0ohHNI0
砲塔から吹き飛ばされ雪原に伏す西住殿が見える前に

私は駆け出していた

優花里「西住殿!!!!!」

優花里「西住殿!!!!大丈夫ですか!!!!」

みほ「まさか…ヒルデガルト・ブルートを浴びるとはな…」

優花里「ヒルデガルト…ブルート?」

   セント
みほ「聖ヒルデガルトの血…シュトライバー…森の王……」

優花里「聖…ヒルデガルト…」

みほ「聖ヒルデガルトの血は我らの力を奪う…ううっ」

優花里「西住殿!!しっかり!!!」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:32:25.08 ID:Vb0ohHNI0
沙織「きゅ、救急車…よ、呼ばなきゃ!」

華「みほさん!!!」

麻子「これはやばいぞ」

みほ「!!!!そこに…」

優花里「西住殿!!」

みほ「そこに…王がいる…!」

優花里「王って…!?西住殿!」

審判「プラウダ校フラッグ車行動不能!よって…」

みほ「王は…王はそこにいる…!」

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:33:24.98 ID:Vb0ohHNI0
優花里「!?!?」

みほ「秋山さん…撃つのだ…ううっ」

優花里「何を…!?何をですか…!?」

カクッ

優花里「西住殿…?西住殿!?」

優花里「西住殿ーーーーーーーーーーーーー!」

審判「大洗女子学園の勝利!!!!」

53: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:34:12.43 ID:Vb0ohHNI0
~生徒会室~
役人「その件については…不幸な事故でしたね」

杏「……」

役人「もう来年度以降は、この学校が戦車道を続けることは無理でしょう」

桃「それって…!」

役人「そもそも、今回の大会に出場できたのも、最後にやらせてあげようという地元の方々のご厚意が~云々」

杏「西住ちゃん……」

桃「それじゃ…わたしたちは…にしずみは…なんのために…ウッ…ウウウ…」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:35:02.20 ID:Vb0ohHNI0
私たちは 今まで西住殿と共に戦車道を駆け抜けてきた

そして その西住殿は 戦車道を去った

~優花里の部屋~

優花里「ウッ…うう…西住殿……」

ポチャ

優花里「!?」

ポチャ

優花里「これは…血!?」

ポチャポチャポチャ

優花里「!!!」

ザバーーーーーーーーッ

優花里「うわああぁっ」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:36:00.74 ID:Vb0ohHNI0
優花里「……」

優花里「ハッ…夢…!?」

ギュウウウウウウン

優花里「!」

優花里「砲弾ケース…!?」

みほの声「何れ…その時は来る…使命を果たすために…」

カパァ・・・・・・

優花里「!!! 銀の砲弾だったんですか…!」

銀の砲弾「我は王の死…金の枝の夢を打ち砕く者なり…」

銀の砲弾「余はこの砲弾に託す…」

優花里「どういう意味ですか…」

56: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:36:39.85 ID:Vb0ohHNI0
使命とは何か

私たちは母校の廃校を防ぐため戦ってきたのではなかったのか

優花里「廃校が決まり 大洗女子が燃え尽きた今…私に…何をしろと言うんですか…西住殿…」

全国大会会場…

私たちは再び 目的の地へと向かうのだ……

4月30日 全国大会決勝

大洗女子の生徒たちには既に生気なく

学園艦地下で見つかった自動車部の高速駆逐戦車へも

期待は向けられなかった

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:39:10.07 ID:Vb0ohHNI0
~会場への道~

係員「ここからは自走してください」

BRUM!

全員「……」

ねこにゃー「あの、ボクは新人だけど…その、頑張るから…勝ちましょう…」

華「みほさんのためにも…?」

沙織「わたし、嫌だよ…学校なくなっちゃうのも みほのことも……」

麻子「あれは…?」

優花里「……?」

彼女が指し示す先には

放置されボロボロになった戦車のようなものが佇んでいた

58: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:40:54.38 ID:Vb0ohHNI0
優花里「……昔使われた車両が放置されたままなんですかね?車種は…えーと…」ジーッ

優花里「!!!!!!!!!!!!!」

午後3時30分

優花里「あれは……!」

BRUM!

死んだはずの発動機が唸りをあげて

沙織「えっ!?」

禍々しい赤光を閃かせ

華「そんな…」

ひしゃげた砲をもたげて

優花里「森の王…!金の枝の夢…!」

『E-79 bis』は 蘇った

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:43:12.99 ID:Vb0ohHNI0
華「う、うわっ!」

麻子「お…おばけ……!」ガクガクブルブル

沙織「ゆ、ゆかりん!な、なにあれどういうこと!?」

ねこにゃー「な、なにがどうなってるんですか!?」

優花里「……」

優花里「落ち着いてください。私たちの敵に違いありません」

優花里「よし、射撃開始!」

ねこにゃー「装填…完了っ!」

BAM!

QUAOOOOOM!

華「弾かれてる!」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:45:50.87 ID:Vb0ohHNI0
優花里「ダメですね…銀の砲弾でなければ…」

GAMM!

沙織「うわっ!撃ってきてるよ!」

優花里「ねこにゃー殿、銀色の砲弾を装填してください!」

ねこにゃー「わ、わかりました!」

GAOMM!

麻子「お…おばけー…」

ねこにゃー「装填完了!」

優花里「撃て!」

BAM!

61: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:46:35.82 ID:Vb0ohHNI0
GAUMM!!!!

華「当たりました!」

声「ぎゃあアあああああァあああアあああああああァあぁああ」

麻子「うおっまぶしっ」

優花里「使命は果たした…!」

優花里「!!!!!!!」

声「ああアああああああアああアあぁぁぁァぁ…」

華「すごい光ですね」

沙織「なんも見えないよ~…」

森の王は断末魔の閃光とともに消えた

"我ら"の使命は 果たされたのだ

そして 私は

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:47:48.94 ID:Vb0ohHNI0
~試合会場~

沙織「皆さん、勝ちましょう…」

意味のない言葉。

優花里「…勝とうと負けようと 大洗は終わりだ」

沙織「……」

優花里「そうだ 終わりだ…何もかも… 各車移動せよ」

沙織「……各車へ、全力を尽くしましょう」

各車「了解」

分かっているのだ。

64: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:48:36.35 ID:Vb0ohHNI0
ナカジマ「トートよりタナトスへ 我々はどうすれば?」

エルヴィン「こちらジークフリート!指示を!」

杏「どうする?秋山ちゃん」

優花里「駆逐戦車隊は前進しろ 敵は黒森峰だけだ」

ナカジマ「黒森峰だけ…?」

杏「はいよっ」

エルヴィン「心得た」

優花里「発見次第攻撃開始」

65: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:49:19.19 ID:Vb0ohHNI0
優花里「二時方向 2000m 林の中にパンターだ」

華「……」

優花里「鉄の拳を叩き込め」

BAUM!

GUBAM!!! BTHOOOOM!!!!!!

優花里「敵が燃える」

優花里「……エネジィが集中する 即時移動」

麻子「ほい」

GABAUM!!!

優花里「無駄なことを」

67: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/04/14(日) 20:52:28.22 ID:Vb0ohHNI0
優花里「次だ」

守るべき母校はすでに廃校を免れず

典子「こちらランガージュ 敵超重戦車発見!」

大切な友達……みほをも失った今

華「やりました!ティーガーⅡ撃破!」

一体何が喜ばしいことなのか

優花里「見ろ 敵の死だ」

優花里「次目標 ヤークトパンター」

こうして戦うことに一体なんの意味があるのか

沙織「各車へ…っ……」

そうだ、本当は皆分かっているのだ

沙織「……」

私たちは既に 破滅していることを

沙織「……この調子でいけばきっと勝てます!がんばりましょう!」


おわり