シンジ「あれからもう一年、か」アスカ「そうね」
- 2016年03月31日 20:10
- SS、新世紀エヴァンゲリオン
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シンジ「四月といえば桜の季節なんだって」
アスカ「桜、ねぇ」
シンジ「日本の桜は綺麗だったって、ミサトさんがしょっちゅう言ってたんだ」
アスカ「ふーん。まあ、確かにこういう景観も悪くないわね」
シンジ「お花見なんてさ、アスカもはじめてでしょ?」
アスカ「わざわざ花を見たってしようがなかったし。それよりも、ほら。早くお弁当」
シンジ「お弁当もいいけどさ、もうちょっと景色を楽しむとか、風流をさ……」
アスカ「風流も素敵だけど、花より団子よ。そこがお目当てなの」
シンジ「こういうのをアスカと見に来たのは間違いだったかなぁ」
アスカ「なによ、どうせ他に一緒に見に行く相手もいないくせに」
シンジ「そんなこと言わなくていいだろ。ほんとにさ、アスカには初めてのこの感動が伝わらないの?」
アスカ「感動でお腹は膨れないの。お弁当食べたら感動してあげる」
シンジ「なんだよそれ」
ザワワ
シンジ「あ……」
アスカ「きゃっ、何よこれ!」
シンジ「うわ、すごい!すごいよ、風に吹かれて桜の花びらが飛び散ってる!」
アスカ「それもいいけど、これじゃお弁当が食べられないじゃない!」
シンジ「ほら、お弁当なんていいからさ、アスカも見てごらんよ!」
シンジ「まるで木が泣いてるみたいだ」
アスカ「木が……?」
アスカ「……雪だわ」
シンジ「え?」
アスカ「昔何かで見たの。地球の冬には、雪が降るのよ。確かこんな風だった」
シンジ「あ、それ僕も聞いたことがあるよ。……そうだ、確か桜吹雪とかって」
アスカ「桜吹雪……か、結構洒落た名前つけるじゃない」
シンジ「幻想的だけど、少し寂しいね」
アスカ「ん。それよりも、早くお弁当」
シンジ「はいはい、分かりましたよ。今日はいつもより頑張ったからね」
アスカ「期待してるわよ」
アスカ「ねぇ、来年も見れるかしらね、桜」
シンジ「うん。次来る時はさ……みんなと一緒に見れたらいいのにね」
アスカ「……」
花見:日本古来の風習で、主に桜の花を鑑賞しながら新春の到来を言祝ぐイベントのこと。
アスカ「子供の日?」
シンジ「そうだよ、五月といえば子供の日。端午の節句さ」
シンジ「だからさ、はい」
アスカ「なにこれ、変な匂い」
シンジ「柏餅だよ、知らない?匂いがあるのは多分、この葉っぱの部分かな」
シンジ「サルトリイバラって言うんだよ」
アスカ「ふーん。お餅なら食べられるのよね、いただきます」
シンジ「葉っぱの部分は取って食べてね」
アスカ「どれ」パクッ
シンジ「どうかな?僕は結構好きな味なんだけど」
アスカ「ふむ」モグモグ
アスカ「うん、悪くないわ。お腹も膨れていい感じ」
シンジ「そっか、美味しそうで良かったよ」
シンジ「まだ何とか残ってたから、せっかくならと思ってさ」
アスカ「へえ、気が効くじゃない。それにしても子供の日かぁ。なんか面白そう」
シンジ「英語にするとチルドレンズデイ、僕らのことだよね」
シンジ「子供の日は他にも、鯉のぼりを浮かべたり兜を飾ったりするんだよ」
アスカ「鯉のぼりぃ?」
シンジ「うん。鯉の形をしたお飾りだよ」
アスカ「鯉って、あれよね?あの、魚の」
シンジ「うん、そうだよ。魚の鯉」
アスカ「変なもんを飾るのねぇ」
シンジ「変かな?」
アスカ「変よ」
シンジ「そうかなぁ。アスカにも見せてあげたいけど、あったかな」
シンジ「ああ、そうそう。お金持ちの家はね、本物の兜を飾ったりするんだ」
シンジ「僕は1人で折り紙で作ってただけだけどね」
アスカ「折り紙、ねぇ」
シンジ「アスカ、折ったことないでしょ?ね、どうせなら一緒に折ろうよ。兜」
アスカ「折り方分かんないわよ」
シンジ「簡単だよ、決められたように折っていけば出来上がるんだ、見てごらんよ」カサッ
シンジ「こうやって……と」
シンジ「ね、丁寧に折り目をつけて、何度も何度も爪でなぞるんだよ」
シンジ「ほら、段々と出来上がっていく様子が何だか気持ちいいでしょ?」
アスカ「はぁ?折り方が決まってるなら当たり前じゃん」
シンジ「それを出来るだけ綺麗に折るのが楽しいのさ。さ、やってみなってば、僕の通りにさ」
アスカ「そーいうもんかしら。じゃ、どれどれ」
アスカ「まずはここをこうして……っと」フンフン
こどもの日:こどもの幸福を願い、祝うと共に、母親に感謝することを趣旨とする祝日。五節句の一つ。
シンジ「ここの所雨が続くね」
アスカ「ジメジメしててつまんないの」
シンジ「確か、この時期は雨がよく降るんだよ。梅雨とか五月雨とか言ってさ」
アスカ「地球って気まぐれなのねぇ」
シンジ「まあセカンドインパクトなんて起こしちゃうくらいだしね」
アスカ「ジョークになってないわよ」
シンジ「どうせもう終わったことじゃないか」
アスカ「バーカ、だからでしょ」
アスカ「それにしても、暑い上に雨のせいで外に出ることもできないたぁ最悪ね」
シンジ「……そうだ。外、見てみようよ」
アスカ「なんでよ、降ってるじゃない」
シンジ「傘ならあるよ。家にいたって退屈なんだろ?」
アスカ「えー、めんどくさーい」
シンジ「いいから、ほら、行くよ」
アスカ「なんでこんな時にわざわざ」
シンジ「たまには雨の中出かけるのもいいじゃない、駅の方まで出てみよう」
アスカ「もー、お洋服が濡れちゃうじゃない」
シンジ「雨が降ってるんだから当然だろ」
アスカ「あんたはそうかもね!」
アスカ「……それにしても静かね」
シンジ「雨だからね」
アスカ「雨の日って静かなの?」
シンジ「うん、そうらしいよ。よく分かんないけどさ」
アスカ「なにそれ、変なの」
アスカ「……あら、何か変な生き物がいる」
シンジ「え?どれどれ?」
シンジ「あ、これデンデンムシだよ!」
シンジ「虫……かは分かんないけどさ、確かカタツムリってやつ。そっか、雨が降ったから出てきたんだ」
アスカ「変なヤツ。こんな奇妙な姿でよく生きていけるわ。それもわざわざ雨の日に出てくるなんて、変わり者ね」
シンジ「こいつらは水がないと生きられないんだよ。だからこの時期に見つかるんだ」ツンツン
アスカ「あんた、よくこんなの触れるわね」
シンジ「ほーらほら、角だせ槍だせ」ツンツン
アスカ「なに、こいつらそんな物騒なモンを出すの!?」
シンジ「はぁ?違うよ、目ん玉のことさ。アスカってこういうの何も知らないんだね」
アスカ「な、何よ!別にいいじゃない、知らなくたって困らないんだし!」
シンジ「社会常識だよ。案外貧相な人生送ってきたんだね」
アスカ「貧相で悪ぅございました!」
シンジ「そのくらいで怒んないでよ」
アスカ「ふん、しーらない」
シンジ「わっ、もしかして本気でカタツムリに語りかけてるの?」
シンジ「アスカってさ、なんていうか結構ロマンチストなんだね。ピンク色な感じ」
アスカ「……」
シンジ「待って!殴る前にまず僕の言い分を聞いて欲しいんだ」
シンジ「正直悪かったと思ってるんで痛いのだけは勘弁してください」
アスカ「フン!」バキ
シンジ「あばぅっ」
梅雨:東アジア地域に主に見られる、夏場に曇りや雨の多い時期が続く気象現象のこと。
アスカ「なによいきなり、こんな夜中に外に連れ出したりして」
シンジ「ちょっと、一緒に星でも見ようかと思って」
アスカ「星?星なんていっつも出てんじゃない」
シンジ「今日は特別なんだよ。ほら、あの丘の上からならよく見えるよ」
アスカ「なんなのよ、藪から棒に」
シンジ「なにって、今日は七夕じゃないか」
アスカ「たなばたぁ?」
シンジ「そうだよ。七夕の日」
シンジ「笹に願い事を書いた短冊をつけると叶えてくれるんだ」
アスカ「願い事、ねぇ」
シンジ「アスカってそういうの好きでしょ?」
アスカ「喧嘩ならもう少し分かりやすく売ってくれるかしら?」
シンジ「ごめんごめん、冗談はともかくさ。一つ願いが叶うとしたらアスカはどうする?」
シンジ「え、そうなの?」
アスカ「そうよ。だって願わないもの」
シンジ「ふーん、変なの」
アスカ「ねえ、それよりその七夕だからってなんなのよ、星を見ようなんて」
シンジ「なーんだ、やっぱり知らないのか。天の川を見せてやろうと思ったんだよ」
アスカ「天の川?」
シンジ「うん。ほら見てみなよ、空」
アスカ「んー?」
アスカ「……わお」
シンジ「星が連なってさ、まるで空に川が出来てるみたいでしょ?だから、天の川」
シンジ「夏の時期によく見えるんだ。特に今は街の灯りもないしね」
アスカ「へぇ、まさしく空の神秘かぁ」
アスカ「どれ?」
シンジ「あれだよ、あれとあれ」
アスカ「あれってどれよ」
シンジ「だからあれ!ほら指さしてるだろ」
アスカ「分かんないわよ、星なんてたくさんあるんだから!」
シンジ「じゃあもういいよ!とにかく、明るい星があるんだって。確か、ベガとアルタイルって言うんだ」
アスカ「なんだ、それってこと座α星とわし座α星ね。宇宙に二十一個ある一等星だったかしら」
コメント一覧
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- 2016年03月31日 22:28
- 久しぶりにいいアスシンものを見た
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- 2016年03月31日 23:18
- シンはまぁ〜だ時間かかりそうですかね?
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- 2016年03月31日 23:43
- ホワイトデーで落とすのかとオモタ
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