【艦これ】提督「えぇっ!お花見行かなかったの?」磯風「あぁ」
提督「どうしてさ、行けばよかったじゃん」カキカキ
磯風「今夜はこの磯風が秘書艦となっている……そうはいかないさ」
提督「あはは、真面目なんだなー」カキカキ
提督「遠慮なんかしなくていいのに」カキカキ
磯風「遠慮などしていない」
磯風「……司令こそ、久方ぶりの内地なのだから」
磯風「デスクワークもほどほどにして、羽を伸ばしに行ってもよかったのではないか?」
提督「もう司令じゃなくて、提督なんだよなぁ……」シュン
磯風「む、すまない……じきに慣れるようにする」
提督「まぁいいけどさ」ポン
提督「最近になってようやく、この鎮守府を預からせて頂ける事になったのに」
提督「トップがいきなりお花見に行っちゃうのも、示しが付かないと言うか……」
磯風「まぁ……それもそうか」
提督「そうなのだ」
磯風「…………」
提督「…………」
提督「……で」
提督「お花見に行かなかった本当の理由は?」
磯風「!」ビクッ
提督「ご安心なさい、誰にも言いませんから(裏声)」ニッコリ
磯風「そ、その気持ち悪い声はやめ……」
磯風「…………」ハァ
磯風「分かった……正直に言おう」
磯風「磯風は皆と共に、花見の弁当を作ることが出来なかった」
磯風「それに負い目を感じた……ただそれだけだ」
提督「……へ?そ、それだけ?」
磯風「あぁ、そうだ」
磯風「皆も知っての通り……この磯風、戦闘以外の事に関しては」
磯風「全てが不得手だと自負している……」シュン
磯風「何より、花より団子とはよく言ったものだ」
磯風「花見の大事な食事の席を、磯風の小汚い料理で白けさせてしまっ……」
提督「ストップ!」ブンブン
提督「なんか悲観的スギィ!」
提督「第一、ここに居る皆がそんなことを気にするわけがないだろっ」
磯風「あぁ、皆が優しいのは良く知っている……」
磯風「だからこそ、それに甘えるわけにはいかないのだ」
提督「むむむ……」
磯風「皆には、秘書艦だから残ると伝えている」
提督「……まぁ、なんとなく君の生き様は分かったよ」クスッ
提督「今更どうこう言ってもしゃーないし……」
提督「ここに桜はないけど、俺たちは俺たちでのんびりやろうや」
磯風「む……」
提督「かえって気を遣わせてしまったな……申し訳ない」ペコリ
提督「イイアルヨー」
提督「じゃなんか映画見ようぜー」
磯風「おいデスクワークはどうしたのだ」
提督「あはは……もう、ポーズはいいかなーって」ケラケラ
磯風「あれはポーズだったのか……」ハァ
磯風「……まぁいい、最早なにも言うまい……」
提督「で、何がいい?」
提督「ここに揃ってるDVDなら、なんでもいいぜ」フフン
磯風「……そう言われてもな」
磯風「恥ずかしい話だが、磯風は映画をよく知らぬ……」
提督「なんと」
磯風「だから、司令が見たいもので構わない」
提督「左様かー……じゃあ、これなんかいいかな」スッ
磯風「……」フルフル
提督「見終わった後で言うのもなんだけど……」
提督「ホラー苦手だったら、初めからそう言ってくれれば」
磯風「だ、駄目で、ではない……ないぞっ」
磯風「この磯風、見くびってもらって、ては……困る!」キッ
グググ…
提督「……裾が伸びそうなんですけど」
磯風「……耐えてくれ」フルフル
グゥ-…
提督「!」
提督「……磯風、緊急事態だ」
磯風「なんだ?」
提督「映画を見てたら……腹が減った」
磯風「そうか、では間宮で食事を……」
磯風「……!」
磯風「ま、まさか……」
磯風「……いないのか?」
提督「……」コクリ
提督「間宮さんはおろか、この鎮守府には今……」
提督「俺と君しかいない……!」
磯風「そ、そうだったな……たしかにそうだ」
磯風「……それはつまり」
提督「あぁ……」
磯風「……司令、まだ拙いが……」
磯風「磯風は精一杯頑張る、だから……」フルフル
提督「……いや」
提督「料理は二人でやろう」
磯風「なっ!」
磯風「だが司令……たしか、料理は……」
提督「あぁ、俺は過去に即席麺や卵かけご飯に失敗したこともあるほどの豪傑……」
提督「それはもう磯風と大差ない料理スキルだろう」
磯風(今日で一番傷ついたぞ……)プルプル
提督「だが……力の無い二人が力を合わせ、互いを高め合うことで……」
提督「それはきっと、素晴らしい料理になるに違いない」キリッ
磯風「な、なんだか納得いかないが……まぁいい」ハァ
磯風「何か気付けることもあるかもしれない……やってみよう」
こうして、二人は決戦の夜を迎えようとしていた……
――鎮守府 烹炊所――
提督「ひぇ~、ここの烹炊所ってこんなに広かったのか!」
磯風「あぁ、鎮守府の人員全員分の食事を賄う場所だからな」
提督「俺、全然知らなかったよ……」
磯風「だが……今回は我々二人分の食事のみを用意すれば良い」
磯風「ここに貯蔵されている食糧に留意し、作りすぎないよう注意せねば」
提督「そうだな、余りを作ろうものなら皆から末代まで恨まれそうだし」
磯風「……あぁ」シュン
磯風「冷蔵庫の中には、まだ食材が豊富に入っていた……」
磯風「何を作っても、ひとまず問題はなさそうだな」
磯風「では、何を作るか……」
提督「俺肉がいい、肉!」
磯風「司令、野菜もちゃんと摂取しような」
提督「ぐぬぬ」
提督「変なとこだけオカンな奴め……」
磯風「お子様みたいな男が何を言う」フフッ
提督「じゃあ、ハンバーグ!」
提督「それにサラダとかスープなんかをつければ、文句ないだろ」
磯風「ハンバーグか……」
磯風「まぁ良いだろう、やってみようか」フフン
提督「おぉ、自信たっぷりだねぇ」
提督「で……ハンバーグってどうやって作るんだっけ」
磯風「そ、それはだな……」
磯風「……それは……」
提督「…………」
磯風「……ひき肉」フイッ
提督「う、うん」
○準備材料
・合挽肉……500g
以上
コネコネコネ…
提督「……なぁ」
磯風「……うん」
提督「いくら捏ねてもくっつかないんですけど」
提督「どういうことなんだ?」
磯風「あぁ、おかしいな……」
提督(……仕方ない)ハァ
提督「……」ポンポン
磯風「ん……なんだ」
提督「浦風か誰かに、電話で作り方を聞こうか」
磯風「……司令、冴えてるな」フフッ
提督(えぇ……)
――お花見会場――
浦風「んぁー!皆飲め、飲むんじゃー!」ヒック
浦風「ひしょかんの務めで来れんかった、磯風の無念を酒で晴らすけぇの!」アッハハハ
浜風「浦風、ちょっと飲み過ぎじゃ……?」オロオロ
浦風「えっへへ~!」
浜風「いや、えへへではなくて……」
ヴーッ ヴーッ
浜風「ほら浦風、ケータイ鳴ってる」
浦風「んー?」トロン
浦風「おぉ~磯風じゃあ……」
ポチポチ
浦風「もしも~し磯風~っ」
磯風『あぁ、浦風っ』
磯風『お楽しみの所、邪魔をしてすまないな』
浦風「ええんじゃ♪それより、うちらの方こそすまんの」
浦風「磯風一人を置いてってしもうて……」シュン
磯風『ありがとう……でも、それは大丈夫だから気にしなくて良い』
磯風『それより、ひとつ聞きたいことが……』
浦風「なに、提督のためのハンバーグぅ!?」ヒック
浜風「!?」ビクッ
磯風『ばっ……声が大きいぞっ』
浦風「そうかそうか、磯風もついに身を固めることにしたんじゃねぇ……」ホロリ
磯風『おい、一体何を言ってるんだ……』
磯風『そんなことより、早くハンバーグの作り方をだな』
浦風「そんなの決まっとる!愛が全てじゃ、愛!」
磯風『な……!?』
磯風『う、浦風、酔っているのか?』
磯風『こちらが聞きたいのはハンバーグのレシピで……!』
浦風「んじゃ、がんばるんじゃよ♪」
磯風『待て、お』プツッ
磯風「切られた……」ガクッ
磯風「浦風め、あれは完全に酔っていたな……」
磯風「結局レシピは分からずじまいか」シュン
磯風「それになんだ……愛だのなんだの」
磯風「よく分からん……」フイッ
磯風「…………」
コメント一覧
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- 2016年04月06日 23:17
- こいつらの卵かけ御飯の失敗は俺もやったわ…誰もが一度はやるもんだと信じたい
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- 2016年04月06日 23:19
- 司令→尉官
司令官→佐官
提督→将官
だっけ
まあ、○○司令官と呼ばれた場合は役職だから、多少分かりにくいけどな~
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- 2016年04月06日 23:22
- ククク・・・目玉焼きを失敗するこの俺を差し置いて・・・豪傑とは笑わせる・・・