引用元: ・翔鶴「あざなえる縄のごとし」
1: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:16:36.38 ID:Th3uvOj40
翔鶴「――提督、司令部からお荷物が届いてます」
提督「ああ、ありがとう」
翔鶴「物資ですか?」
提督「任務報酬だな。少し前にやった、ケッコンカッコカリ関連の」
翔鶴「え……」
提督「えーと、うちで練度99の子は――鳳翔と、一、二、五航戦の子だな」
翔鶴(どきどき)
提督「……うん。まあ、焦って渡すこともないか」
翔鶴「へ?」
提督「お疲れさま。これから午後の演習を頼むよ」
翔鶴「は、はい。お疲れさまでした……」
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2: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:18:07.96 ID:Th3uvOj40
ただのラブコメです。
空母艦娘どうしの呼び方(鳳翔へのお母さん呼び)などに独自設定を含みます。
3: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:19:26.98 ID:Th3uvOj40
飛龍「あ、翔鶴ー! 今日はよろしく――って、どしたの?」
翔鶴「えっ!? 何ですか、飛龍先輩!」
飛龍「いや、なんか落ち込んでるように見えたからさ」
翔鶴(そんなに顔に出てたかしら?)
飛龍「調子悪いなら、提督に言ってこようか。私が旗艦、代わってもいいし」
翔鶴「いいえ、心配ありませんよ! 私はいつも通りですから」
飛龍「そう? ならいいんだけど」
4: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:22:31.85 ID:Th3uvOj40
◇
翔鶴「よしっ、制空権確保――飛龍先輩!!」
飛龍「了解! 友永隊、頼んだわよ!」
翔鶴(うん、いい感じ……このまま行けばS勝利ね)
翔鶴(いつも通り、いつも通り)
飛龍「――っ!! 翔鶴、10時方向!!」
翔鶴「え――」
翔鶴(ぎ、魚雷!? もう間に合わな……)
5: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:23:16.23 ID:Th3uvOj40
翔鶴「きゃああっ!!」
飛龍「翔鶴!! 一旦下がろう!!」
翔鶴「で、でも、もう少しで……」
飛龍「演習は実戦のためにあるってこと、忘れちゃだめだよ。本来なら、もう大破に近いんだからね」
翔鶴「……はい。陣形維持のまま後退します、指揮は飛龍先輩に」
飛龍「うん、了解」
6: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:24:52.65 ID:Th3uvOj40
飛龍「まさか、雷撃距離以遠からのが当たるとはねぇ」
翔鶴「A勝利、かあ」
飛龍「しょうがないよ、あんなの予測できないもん」
翔鶴「でも、もう少し気を配ってれば避けられたかも」
飛龍「戦場は何が起こるかわからないから……臨機応変な対処も、演習で学べてよかったじゃない?」
翔鶴「はい……」
飛龍「ほら、もう気にしないでさ。夕飯食べにいこう!」
翔鶴「そ、そうですね。――あ、先に報告してきますね」
飛龍「うん。じゃ、席取っておくね」
7: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:25:59.15 ID:Th3uvOj40
翔鶴「――戦果は、大破判定4。A勝利です」
提督「うん」
翔鶴「こちらの損害は……旗艦大破。魚雷、直撃1」
提督「雷撃を食らう状況ではなかったと思うけど」
翔鶴「相手方の詳報と照らし合わせました。誘爆を防ぐために、投棄した魚雷が流れたようです」
提督「狙ったわけじゃなかったか。災難だったね」
8: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:27:34.51 ID:Th3uvOj40
翔鶴「あ、あの、申し訳ありませんでした。私の不注意でS勝利が」
提督「謝ることなんかないよ、君の指揮は全く問題ない。ちょっと運が悪かっただけだ」
翔鶴(運……)
提督「しかも、相手の戦艦は全部大破させてる。艦載機の練度も上がってるようで、頼もしいよ」
翔鶴「…………」
提督「気にしてるのか?」
翔鶴「だって、あれが無ければS勝利で」
9: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:28:32.00 ID:Th3uvOj40
提督「そういう不慮の事態への対処も、旗艦の資質が出るけど。君はその点、何の問題もない」
翔鶴「えっ?」
提督「最善だったよ。撤退のタイミングも、無理せず指揮権を飛龍に移したこともね」
翔鶴「……ありがとうございます」
提督「うん。じゃあ、今日は上がってくれ」
翔鶴「はい、お疲れさまでした」
翔鶴(提督はこういう時怒ったりしない、優しい人だけど……)
翔鶴(でも、やっぱり)
翔鶴(提督も、運の良い子が好きなのかな?)
10: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:30:05.58 ID:Th3uvOj40
◇
翔鶴「こんばんはー」
鳳翔「こんばんは。遅かったのね、貴女で最後ですよ」
翔鶴「ちょっと演習で遅れて……私の分、お願いします」
鳳翔「はいはい――あら」
翔鶴「どうしました?」
鳳翔「ご、ごめんなさい。デザートのプリンがひとつ、足りないみたい」
翔鶴「え?」
鳳翔「外注したんだけど、確かに人数分頼んだのに……業者さんのミスかしら」
翔鶴「そうですか、それじゃ仕方ないですね」
鳳翔「本当、ごめんなさいね。今度なにかで埋め合わせするから」
翔鶴「そんな、お母さんのせいじゃないですよ」
11: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:34:00.86 ID:Th3uvOj40
蒼龍「――あ、おーい翔鶴! こっちこっち」
翔鶴「お疲れ様です、先輩」
飛龍「ごめんねー、先に食べちゃってて」
翔鶴「ああ、いえ。さめちゃいますからね」
蒼龍「結構頑張って待ってたんだけどね? 目の前でお腹がずーっと鳴ってて」
赤城「誰のことですか誰の!!」
加賀「飲み込んでから喋りましょう――あと赤城さん、ご飯つぶ」
瑞鶴「すましてるけど、加賀さんもついてるからね」
加賀「…………」
瑞鶴「……いや、なんで睨まれなきゃなんないの」
12: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:38:26.58 ID:Th3uvOj40
蒼龍「翔鶴も、早くすわって食べなよ」
翔鶴「あ、はい。いただきまーす」
翔鶴(先輩たちも、運は大して変わらないのに。私と何が違うんだろう)
瑞鶴「翔鶴姉、お茶飲む?」
翔鶴「あ、ええ。ありがとう」
瑞鶴「さて私も――お、茶柱」
飛龍「――あ、黄身が2つ入ってる。ラッキー」
翔鶴「…………」
翔鶴(あの2人は別格、あの2人は別格……)
14: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:44:40.10 ID:Th3uvOj40
飛龍「――あれ翔鶴、プリンは?」
翔鶴「何かの手違いで、足りなくなっちゃったみたいで」
瑞鶴「そうなんだ、残念ね」
赤城「…………」
赤城「しょ、翔鶴……良かったら、私の、プリンを……」プルプル
翔鶴「だ、大丈夫ですよ赤城先輩。気にしないで食べてください」
赤城「!!」パァァッ
加賀「自分のをあげようとは……成長したわね赤城さん」
蒼龍「あとひと口しかないのに、後輩にあげるとはこれ如何に」
15: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:45:22.06 ID:Th3uvOj40
飛龍「あ、翔鶴。提督はなんだって?」
翔鶴「いつも通り……褒めてくれました」
飛龍「そう、良かったね。心配いらなかったでしょ」
翔鶴「S勝利じゃなかったのに、ですよ?」
飛龍「なんだ、まだ気にしてたの? あんなのそうそう起こらないって」
翔鶴「だからですよ……それが起きたって、相当な運の悪さじゃないですか」
飛龍(うーん、参ったな。元気づけてあげたいけど、私こういう経験ないからなあ……)
16: ◆GoPzFNH1CI 2015/11/29(日) 22:46:50.91 ID:Th3uvOj40
飛龍「1人で悩んでも、もやもやが解消しない……こういう時は、誰かに頼ればいいのよ」
翔鶴「頼る……でも、愚痴みたいになっちゃいますけど」
飛龍「そういうのを言い合えるのが戦友ってもんよ。お酒の力でも借りて、全部吐き出しちゃいなさい」
翔鶴「は、はい。そうします」
飛龍「私たちの誰かでもいいけど、こういう時は」
翔鶴「――やっぱり、お母さんかな?」
飛龍「うん。今日はお店開けるらしいから、行っておいで」
25: ◆QpV22/k5IGFj 2015/12/01(火) 02:55:40.42 ID:E8mcxUmG0
◇
鳳翔「――ふむふむ。悪いことは重なるものですね」
翔鶴「なんだか今日は、どっと疲れがたまっちゃって……」
鳳翔「ごめんなさいね。演習でそんなことがあったなら、せめて甘味くらいは食べさせてあげたかったわ」
翔鶴「プリンを食べてた赤城先輩の、おいしそうな笑顔でお腹いっぱいですよ」
鳳翔「優しい子ですね、貴女は……」
翔鶴「とりあえずお酒、頂いていいですか?」
鳳翔「そうね。もう結構遅いから、一本くらいにしておきなさい」
翔鶴「はい、そうします」
27: 【注意:運については独自設定強めです】 ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 02:57:18.01 ID:E8mcxUmG0
◇
鳳翔「――ふむふむ。悪いことは重なるものですね」
翔鶴「なんだか今日は、どっと疲れがたまっちゃって……」
鳳翔「ごめんなさいね。演習でそんなことがあったなら、せめて甘味くらいは食べさせてあげたかったわ」
翔鶴「プリンを食べてた赤城先輩の、おいしそうな笑顔でお腹いっぱいですよ」
鳳翔「優しい子ですね、貴女は……」
翔鶴「とりあえずお酒、頂いていいですか?」
鳳翔「そうね。もう結構遅いから、一本くらいにしておきなさい」
翔鶴「はい、そうします」
28: 【注意:運については独自設定強めです】 ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 02:58:05.79 ID:E8mcxUmG0
鳳翔「さて……私の考えは、そういう日もある、ということかしらね」
翔鶴「そう、でしょうか」
鳳翔「人間万事、塞翁が馬。禍福は、糾える縄の如し」
翔鶴「確かにそれはわかるんですが」
鳳翔「それから、心がけの問題も」
翔鶴「心がけ?」
鳳翔「気を明るく持てば、ものごとのとらえ方も明るくなりますし。考え方によっては、そう悪いことでもなくなったりね」
29: 【注意:運については独自設定強めです】 ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:00:01.98 ID:E8mcxUmG0
翔鶴「でも私の場合は、そういうのとは違う気がするんです」
鳳翔「ここに来た時と比べて、貴女の運の値は……」
翔鶴「はい、改造でずいぶん上がりました。お母さんの言う通り、たまたま悪いことが重なった日だったのかもしれません」
翔鶴「でももし、今日の演習のことが」
翔鶴「私自身の、船の魂からくる運の悪さだとしたら?」
鳳翔「…………」
翔鶴「鍛錬でおぎなえることなら、努力は怠りません」
翔鶴「でも、それではどうすることもできないことだったら?」
翔鶴「今日の演習だって、まず起こらないようなことが起こったりして――演習だからよかった、とも言えますが」
翔鶴「もし、実戦でも起こったら? それが原因で、みんなを危険にさらすようなことになったら?」
翔鶴「敵は、まだまだ強くなるのに――そんな風に考えちゃって」
翔鶴「なんだか今日は、少し怖かったんです」
鳳翔「……ううん、そうね」
30: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:01:30.05 ID:E8mcxUmG0
鳳翔「それを聞いて、言いたいことは3つあります」
鳳翔「まず1つ目は、その悩み、貴女だけが抱えているわけじゃないこと」
翔鶴「あの、それは」
鳳翔「ああ、ごめんなさい。貴女はわかっていることだと思うけど、改めてね」
鳳翔「私たち艦娘は、あの戦争の記憶を残していますが……運の良し悪しは、艦船だけでは決まらないことです」
鳳翔「その時戦っていた人が、死力を尽くした結果ですから。誰もそれを否定できないと思います」
鳳翔「ふたたび戦うことになった私たちが、艦の記憶をどう受け入れ、新しい命をどう生きていくのか」
鳳翔「――簡単に、答えのでることじゃありませんよね」
鳳翔「だからみんな、考えながら生きていくんだと思うわ。私もね」
翔鶴「……はい」
31: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:03:14.32 ID:E8mcxUmG0
鳳翔「2つ目。もう少し自分に自信を持つこと」
翔鶴「え?」
鳳翔「演習の取り決めで、提督が直接、指揮を執らない理由は知っていますね?」
翔鶴「はい。ええと、提督が負傷などの有事の際、艦娘が代われるように経験を積むため……ですよね」
鳳翔「ええ。つまり提督は、貴女には指揮を任せられると思ってるのよね」
翔鶴「あっ……」
鳳翔「それくらいには、信頼を置かれていると思っていいんじゃないかしら」
翔鶴「提督が、私を頼りに?」
鳳翔「私の経験ですけどね。少なくとも、誰だって旗艦になれるわけじゃないわ」
鳳翔「貴女が頑張っていることは、ちゃんと知っています」
32: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:05:07.32 ID:E8mcxUmG0
鳳翔「貴女の先輩たちのほうが、わかりやすいかもね」
翔鶴「先輩たちですか? すごく良くしてくださってますが」
鳳翔「ええ。でも、鎮守府に来てすぐの頃は大変だったでしょう」
翔鶴「あ、えーと……あはは」
鳳翔「加賀ちゃんに、なんて呼ばれてた?」
翔鶴「……ご……五航戦のまだまともなほう……」
鳳翔「……聞いておいてなんですけど、今は仲良くやれてますよね?」
翔鶴「い、今はちゃんと名前で呼んでくれます! 改になったあたりから、よく褒めてくれますし!」
鳳翔「ならよろしい。先輩も後輩も仲良くね」
鳳翔「つらい時は誰かに頼る。これが3つ目よ」
翔鶴「はい……飛龍先輩にも、同じことを言われました」
鳳翔「そう。同じ空母の子でも、私でも、なんでも話してくれればいいわ」
鳳翔「……せっかくみんな、揃ってるんですから。あの時と違って」
33: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:06:25.86 ID:E8mcxUmG0
鳳翔「ところで、どうしてそこまで、運を気にし始めたの?」
翔鶴「気にするというか。運が悪い子より良い子のほうが、提督だって――」
鳳翔「提督?」
翔鶴「あっ、いえ、あの。提督だって、運が良いほうが作戦を立てやすいはずです」
鳳翔「――好きなの? あの人のこと」
翔鶴「はい……」
翔鶴「ん? ――っっ!!」
鳳翔「ふふ、慌てなくてもいいわ。みんなわかってますから」
翔鶴「わかってるんですか!? 先輩たちも!?」
鳳翔「ええ、多分ね」
34: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:09:07.18 ID:E8mcxUmG0
翔鶴「ど、どうしてわかったんですか」
鳳翔「――まあ、それは置いておいて。そろそろ日を跨いじゃうわね、寝不足はいけませんよ」
翔鶴「流された……結構大事なことなんですけど」
鳳翔「寝るときは深く考えずに、疲れを残さないようにするんですよ?」
翔鶴「ちょっと納得いきませんけど……はい」
翔鶴「今日はありがとうございました。なんだか楽になった気がします」
鳳翔「ええ。じゃあ、そろそろお開きにしましょう」
翔鶴「はい、それじゃ、おやすみなさ――」
―― ドザアアアアア……
翔鶴「…………」
鳳翔「あらあら。さっきまであんなに晴れてたのに」
翔鶴「なんで降ってほしくない時だけ降るのぉ……」シクシク
35: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:10:04.28 ID:E8mcxUmG0
鳳翔「困ったわね、置き傘は用意してないんですよ」
翔鶴「傘、持ってきてないし……濡れて帰るしかないですね」
鳳翔「……ふむ」
鳳翔「ちょっとそこで待ってなさい、ね?」
翔鶴「え、ええ。でも、待ってても止みそうにないですけど」
鳳翔「ふふ、言ったでしょ。塞翁が馬ですよ」
36: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/01(火) 03:10:59.06 ID:E8mcxUmG0
鳳翔「――もしもし、提督? 私です、鳳翔です」
提督『ああ、どうした鳳翔』
鳳翔「お忙しいところ恐縮ですが、今から私のお店まで来てください。傘を一本持って」
提督『行くのは構わないけど……どうして?』
鳳翔「この大雨で、翔鶴ちゃんが寮まで帰れずに困ってます。迎えに来てあげてください」
提督『そうか、そういうことなら。すぐ行くよ』
鳳翔「いいですか、傘は自分で差すのも含めて一本ですよ。一本だけですからね!」
提督『え? あ、ああ。わかった』
49: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 21:46:14.58 ID:tePnH/TX0
◇
翔鶴(どどど、どうしよう。まさか提督と相合傘なんて)
提督「肩、濡れるだろ。もうちょっと寄ってくれ」
翔鶴「いえっ、大丈夫です。ありがとうございます、お忙しいのに」
提督「気にしないでいいよ、もう仕事は終わったから」
翔鶴「……はい」
翔鶴(うう……近くで顔合わせるなら、もっと身だしなみ確かめておけばよかった)
翔鶴(か、髪とか、ぼさぼさじゃないかしら)
50: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 21:48:30.00 ID:tePnH/TX0
提督「しかし、ついてないよな。今日は夕焼けも綺麗だったのに」
翔鶴「うぐ……すみません、私のせいで」
提督「いやいや。別に雨は誰のせいでもないだろう」
翔鶴「そうではなくて、わざわざ迎えに来てもらったのが。しかも、傘は一本で」
提督「ああこれは、ほうしょ――」
翔鶴「他の傘は全部、誰かが使っちゃってたんですよね?」
提督「……え?」
翔鶴「よくあるんです。出かけようとしたら雨が降って、しかもそういう時に限って傘が全部使われてたりして」
提督(わざと一本にしたのは気付いてないのか……ちょっと傷つくんだけど)
翔鶴「でも、今日はそのおかげで、相合い傘を……」
翔鶴「――きゃあ! 何でもないです!」
提督(……ああもう、かわいいな)
51: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 21:49:47.03 ID:tePnH/TX0
翔鶴「…………」
提督「…………」
翔鶴(こういう時、何話せばいいのかな?)
翔鶴(忙しくて、2人で話すとかあんまりなかったからなぁ)
翔鶴(提督もおしゃべりな方じゃないし)
翔鶴(……指輪)
翔鶴(指輪、誰に渡すんですか? とか……)
翔鶴(聞けるわけないじゃない! そもそも提督が決めることだし!)
提督「――かく、翔鶴?」
翔鶴(でも、考えないようにしてたけど……一体、提督は誰に……)
提督「翔鶴!」
翔鶴「あ、はい!?」
提督「ほら着いたよ、空母寮」
52: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 21:52:18.22 ID:tePnH/TX0
翔鶴「――あ、ありがとうございました。じゃあ、これで」
提督「あっ、あのな翔鶴」
翔鶴「はい?」
提督「その、ゆ――」
翔鶴「ゆ?」
提督「……ゆ、ゆっくり休んでくれよ。演習で疲れただろ」
翔鶴「はい! それじゃ、おやすみなさい」
提督「うん。おやすみ、翔鶴」
提督「…………」
提督「いやいや。さすがに土砂降りの道端で、はないだろう」
提督「うん。明日だ、明日」
54: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 21:55:15.36 ID:tePnH/TX0
翔鶴「ただいまー」
瑞鶴「あ、お帰り。遅かったわね」
翔鶴「ええ、少し話し込んじゃって。お布団ありがとうね」
瑞鶴「明日も用事あるんでしょ? 早く寝ないと。おやすみー」
翔鶴「そうね、おやすみなさい」
翔鶴(お母さんのおかげで、ちょっといい日になったし)
翔鶴(て、提督ともちょっと話せたし。少しの悪いことで、へこたれていられないわ)
翔鶴(明日からまた頑張ろう!)
55: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 21:57:17.84 ID:tePnH/TX0
◇
翔鶴「――ふぁ」
翔鶴「うーん、今日はいい天気ね……」
翔鶴「あれ? そういえば雨、続くって言ってたのに」
翔鶴「……うん! なんか今日は、いいことがありそう!」
赤城「あら。おはよう翔鶴」
翔鶴「おはようございます赤城先輩!」
赤城「ごきげんね、何かあったの?」
翔鶴「はい! 今日はきっと、40ノット出せちゃいます」
赤城「へ? そ、そうですか」
56: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 21:58:07.90 ID:tePnH/TX0
翔鶴「おはようございまーす」
鳳翔「おはよう翔鶴ちゃん! ほらこれ、これ」
翔鶴「? なんですか、ゼリー?」
鳳翔「昨日は悪いことしちゃいましたからね、2つ取っておいたの」
翔鶴「えっ、いいんですか2つも?」
鳳翔「いいのよ遠慮しないで。ゆっくり食べてね」
翔鶴「は、はい! ありがとうございます!」
57: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 22:04:28.28 ID:tePnH/TX0
瑞鶴「おはよー翔鶴姉。今日は買い出し当番だっけ?」
翔鶴「ええ、これからお店まで行ってくるわ」
瑞鶴「荷物、一人で大丈夫?」
翔鶴「大丈夫よ、不足分を買いに行くだけだから。たいした量じゃないわ」
瑞鶴「そうなんだ。それじゃあ、早めに行ってきたほうがいいわね」
翔鶴「え?」
瑞鶴「午後からまた雨だって。荷物持って傘差すの、大変でしょ」
翔鶴「そ、そうね。すぐ行ってくるわ!」
58: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 22:07:43.05 ID:tePnH/TX0
…………
「――お会計が、3423円になります」
翔鶴「はい、ええと……あれ?」
翔鶴(残りの小銭がぴったりあるわ……こんなの初めて)
翔鶴「こ、これでお願いします」
「――はい、ちょうど頂きます。レシートと、こちら福引きの補助券、5枚になります」
翔鶴「福引き?」
「――6枚で1回、抽選ができます。本日が最後ですので、ぜひご参加ください」
翔鶴「あ、はい。ありがとうございます」
59: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 22:08:20.46 ID:tePnH/TX0
翔鶴「6枚かぁ、1枚足りない――あ、あれ?」
翔鶴(買い物かごの底に、1枚張り付いてる)
翔鶴「ど、どうしよう……これ、使ってもいいのかしら」
翔鶴「…………」
翔鶴「うん、いいわよね。今日が最後だし」
翔鶴「ラップでも当たれば、お母さん喜んでくれるだろうし!」
60: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 22:12:51.78 ID:tePnH/TX0
「――はい、1回分ですね。回してください」
翔鶴「はーい……よっ」
翔鶴(まあ、1回だものね。主婦の方みたいに、何十回分も貯めて)
―― カランカラーン
翔鶴「あれ?」
「――おめでとうございます! 4等の、醤油とサラダ油のセットです!」
翔鶴「う、うそ……ティッシュと○まい棒しか当たったことないのに……」
「――ありがとうございましたー!」
翔鶴「そっか……ガラガラの中身って、1色じゃなかったのね」
翔鶴「あれ? 絶対降ると思ったのに、まだ晴れてる……」
…………
翔鶴「私明日沈むかもしれない」
瑞鶴「帰って早々何言ってんのよ」
61: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 22:14:41.03 ID:tePnH/TX0
瑞鶴「――お天気に、ゼリーに、小銭に、福引き4等ですって?」
翔鶴「こんないっぺんに良いことが起きたら、揺り戻しで悪いことが来るに決まってるわ!!」
瑞鶴「どんな理論よ、それ」
翔鶴「馬と縄よ! お母さん言ってたもん!」
瑞鶴「何のこっちゃ」
蒼龍「後輩が慎ましすぎて泣けてくる件」グスッ
飛龍「もう少し幸運のハードル上げようよ……」グスッ
62: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 22:17:56.78 ID:tePnH/TX0
赤城「」モグモグ
加賀「」モグモグ
翔鶴「お買い物、行ってきました……」
鳳翔「ありがとう、お疲れさまでした」
翔鶴「あの、これ、よろしければ使ってください」
鳳翔「油とお醤油? あらまあ、翔鶴ちゃんが当てたの。助かるわ」
翔鶴「でもこれで、次は悪いことが!!」
鳳翔「……そういう意味で言ったんじゃあ、ないんですけどねぇ」
63: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/11(金) 22:20:22.89 ID:tePnH/TX0
鳳翔「悪いことが起こる起こると思ってると、本当にそうなっちゃいますよ?」
翔鶴「そうなんですけど!」
鳳翔「心配ありません。もうすぐ来るはずよ」
翔鶴「えっ? それは――」
提督「――翔鶴、いるか」
翔鶴「提督!?」
提督「話し中にすまない。――連れていくよ」
鳳翔「どうぞどうぞ」
翔鶴「な、なんの話ですか!? きゃ、ちょっと――」
加賀「……ようやくね」モグモグ
赤城「ようやくですか」モグモグ
鳳翔「ええ、そうみたいですね。ふふ」
67: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:32:21.36 ID:u2nkv0dK0
◇
提督「急に連れ出して悪かったね」
翔鶴「いえ……でも、執務室? 仕事のお手伝いでしょうか」
提督「いや違う。もうここまで来たから、言ってしまうけど――」
提督「指輪のことだ。ケッコンカッコカリの」
翔鶴「!」
提督「君と初めて会ったのも、この部屋だったね」
提督「だからここが、一番ふさわしいんじゃないかと思った」
提督「いきなりこんな話ですまない。重ねて謝るよ」
翔鶴「…………」
68: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:33:02.31 ID:u2nkv0dK0
提督「――元気がなさそうだね」
翔鶴「そ、そうですか?」
提督「私も、少し気になってたんだ。昨日の夕方のことで」
翔鶴「夕方の? もしかして演習のことですか?」
提督「そう。帰った後の君に軽々しく、運が悪かったなんて言ってしまったこと」
翔鶴「え?」
提督「前から入渠のたびに気にしてただろう? 自分は怪我しやすいんじゃないか、と」
翔鶴「そうですが……実際、瑞鶴に比べて損傷しやすかったですし」
69: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:34:04.30 ID:u2nkv0dK0
提督「そんな報告を聞くのも、この部屋だったね」
提督「運の値は他の子と変わらないのに、確かに損傷の回数は多かった」
提督「……怪我しやすいと君は言うが、そもそも私の指揮に問題があったんじゃないか?」
提督「それがずっと心に引っかかってたんだ。私は君に、君たちに何ができるのか?」
提督「この鎮守府に来た時から、ずっとね」
翔鶴「そんな! 私も艦隊のみんなも、すごく提督を頼りに!」
提督「ありがとう。でもまあ、聞いてくれよ」
70: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:35:57.49 ID:u2nkv0dK0
提督「艦娘はあの戦争の記憶がある」
提督「もはや今となっては、文字や写真、映像などの記録でしか見れないことの――」
提督「それでも伝わってくる悲惨さの、何倍も惨いことを経験しているはずだ」
提督「対して私はどうだ。学校を含めても10年弱、実戦経験はもっと少ない」
提督「そんな1人の人間が、君たちとどう向き合って指揮するのか?」
翔鶴「…………」
提督「艦娘の中には、あの戦争の記憶が強く残っている子もいる」
提督「だからあの戦争と結びつけるような話題は、私からはしないようにしていたんだ」
提督「下手なことを言って、トラウマを思い出させたくなかった」
71: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:36:47.55 ID:u2nkv0dK0
提督「どう向き合うか、なんて偉そうなことを言っても……」
提督「君たちがどんな苦しみを抱えているか、理解しきるのは不可能だ」
提督「だからせめて、再び生を受けたこの世界では、誰1人失わないように」
提督「努力しているつもりなんだ。戦術、兵器、編成、兵站……なんでも」
翔鶴「それで……それで、いいと思います」
提督「ありがとう」
提督「それから、私なりに考えたことがあるんだ。君について」
72: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:39:42.88 ID:u2nkv0dK0
提督「たとえば珊瑚海では、攻撃を集中されて。沈没確実とされる被害を受けた」
提督「でも言い換えれば、そんな傷からも君は生還したんだ。搭乗員の必死の働きによってね」
提督「2回も撃沈と報じられても、浮き続けていた優秀な空母だ」
提督「そんな風に考えを変えてみれば、ただ運が悪かったとも、言えないんじゃないかと」
提督「そう、思う。勝手な考えですまないが」
翔鶴「いえ、いいんです」
翔鶴(考え方を、変える)
翔鶴(あ……お母さんが言ってたのと同じだ)
73: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:40:55.56 ID:u2nkv0dK0
提督「それで本題は、その」
翔鶴「はい!」
提督「君がここに来てから、何度も傷ついて……それでもめげずに戦うのを、ずっと、見ていて」
翔鶴「はい」
提督「実はもう、前から決めていたんだ。1番最初の指輪は、君に渡そうと」
翔鶴「……そうですか。嬉しいです」
提督「すぐに渡さなくてすまない。だけど指輪は、運を改善させる効果がある」
提督「だから、運を理由に自分を選んだんじゃないかと、思ってほしくなかったんだ」
74: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:41:49.65 ID:u2nkv0dK0
提督「だから……ええと」
翔鶴「はい」
提督「自分の運命と向き合って、それでも頑張っている君が、とても、好きです」
翔鶴「……はい」
提督「君を助けてあげたいなんて、うぬぼれたことは言えないけれど、でも」
翔鶴「…………」
提督「苦しみを分かち合いながら、生きることはできると思います」
提督「2本あざなった縄のように、長く、共に」
提督「ずっと、そばにいたい。指輪を、受け取ってもらえますか?」
75: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:44:27.72 ID:u2nkv0dK0
翔鶴「……提督」
翔鶴「あの戦争では、先輩たちが先にいって――私も、妹とお母さんを残していってしまいました」
翔鶴「親しい人たちと、離ればなれになって。でも、ここでようやくまた会えたんです」
翔鶴「そして、あなたに会えた。もう二度と、別れたくなんてありません」
翔鶴「だから本当に、そばにいてくださいね」
提督「……ああ、もちろん」
翔鶴「これからも、2人寄り添って」
翔鶴「ずっといっしょに、どこまでも翔び続けましょう!」
艦!
76: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:46:47.35 ID:u2nkv0dK0
【注意:以下のおまけはコメディ成分多めです!】
~おまけ1~
加賀「――どうにかくっつきましたか。長かったですね」
鳳翔「あの人は少々、決心に時間がかかりますからね。してからは早いですけど」
加賀「まあ、これで不安定だったあの子も、少しは落ち着くでしょう」
鳳翔「ふふ、ちゃんと後輩を気遣ってるようですね。嬉しいわ」
加賀「い、いえ。これは艦隊戦力の、均一と安定という視点であって」
鳳翔「いいんですよ。理由はどうあれ、仲良くやれればね」
瑞鶴「…………」
加賀「……さっきから黙ったままで、何かしら。突っ込んでほしいのかしら」
瑞鶴「…………」
瑞鶴「ぐすっ」
加賀「!?」
77: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:48:24.36 ID:u2nkv0dK0
加賀「ちょ、ちょっと、どうしたの」
瑞鶴「……翔鶴姉が」
加賀「翔鶴が?」
瑞鶴「今日から、提督さんといっしょに寝るって……荷物持って出てった」
加賀「…………」
瑞鶴「うぇえええええん!!」
加賀「あ、ああほら、もう。泣かないで……」サスサス
赤城(慌てる加賀さんもかわいい)
飛龍「でも、これで瑞鶴は1人部屋か。ちょっと寂しいかも」
蒼龍「今日は久々にみんなで寝ようよ、談話室にお布団敷いてさぁ」
78: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:54:12.00 ID:u2nkv0dK0
~おまけ2~
加賀「えー、第1回」
加賀「笑う門には福来る、泣くくらいなら笑え、笑わないならお母さんの料理を食べればいいじゃないたいかーい」
瑞鶴「ちょっとは抑揚つけて話してよ、怖いですよ」
翔鶴「え、えーと。何ですか、これは」
赤城「翔鶴が、運の悪いことを気にしてるみたいだったから」
飛龍「陽気に笑って不幸を吹き飛ばそう、ってことよ!」
加賀「貴女のためにわざわざ企画してあげたわ。感謝なさい」
翔鶴「は、はあ。ありがとうございます?」
蒼龍「えーっと、まずは一航戦の2人からね」
赤城「よし! いきますよ、加賀さん」
加賀「了解。マイクチェック、ワンツー」
瑞鶴「三味線? 赤城さん弾けたんだ」
加賀「――レッドマウント☆百万石、参ります」
瑞鶴「それがユニット名!?」
79: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:56:50.55 ID:u2nkv0dK0
赤城「べんべーん! てけてけ、てけてけ」
加賀「―― お医者の頭に 雀がとまる とまるはずだよ ヤブだもの ――」
瑞鶴「って都々逸かい!!」
加賀「―― 入れてもらえば 気持ちは良いが ほんに気兼ねな もらい風呂 ――」
瑞鶴「なぜきわどいのをチョイスした!! 加賀さんの笑いどころがわかんないよ!!」
加賀「芸術は黙って鑑賞する。呼び方を『五航戦のやかましいほう』に戻すわよ」
瑞鶴「無駄に上手いから反応に困ってるんだってば!!」
加賀「ほら翔鶴、とっとと笑いなさい」
翔鶴「ええっ!? いや、あの」
瑞鶴「脅迫して笑わそうとするな!!」
赤城「はぁー、べんべん!!」
瑞鶴「そして赤城さんは何なのよ!! 口で言うなら楽器いらないでしょ!!」
80: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:58:31.26 ID:u2nkv0dK0
瑞鶴「はぁ、はぁー……」
飛龍「はいはーい、次は私たち。っても、ただの酒盛りだけどね!」
蒼龍「お酒飲んでりゃ、爆笑なんてすぐだよね! はいこれ、お猪口とおつまみね」
翔鶴「ど、どうも……」
赤城「空母寮にお酒なんてありましたっけ?」
蒼龍「私たちで、お母さんのお店からギンバ……頂いてきただけよ」
瑞鶴「いやまずいでしょ! あとが怖いんだけど!」
飛龍「あはは、冗談だよ。ちゃんと、飲んでいいって言われたのを持ってきたから」
81: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 00:59:46.37 ID:u2nkv0dK0
加賀「……? いくつかは、もう空っぽだけれど」
蒼龍「いやー、持ってくる途中で我慢しきれなくって、私たちで味見しちゃってさー」
飛龍「誤解しないでね。みんなに美味しくないもの飲ませられないでしょ?」
瑞鶴「全部飲まないと味見れないんかい!! てかもう酔ってるし!!」
蒼龍「これがほんとの……」
飛龍「ドランクドラゴン……」
「「あーっはっはっはっはっは!!!!」」
瑞鶴「1人で2升も飲めば、そりゃこうなるわ」
翔鶴「二航戦ギャグは、私には早すぎます……」
加賀「――く、ふっ」
赤城「!?」
82: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 01:02:27.84 ID:u2nkv0dK0
鳳翔「――ちょっと! 蒼龍ちゃんと飛龍ちゃん、いる!?」
赤城「あ、お母さん。お酒ありがとうございます」
翔鶴「みんなで美味しく頂きましたよ」
鳳翔「ああ、遅かった……もう飲んだ後ですか」
飛龍「え、これ飲んじゃまずかったの?」
蒼龍「でもお母さん、床下の倉庫からならいいって」
鳳翔「聞きちがいよ。倉庫には、接待に使う高ーいお酒があるから、それ以外にしてねって言ったの」
鳳翔「飲んじゃったの全部合わせて……2人の給料、半年分よ」
蒼龍「」
飛龍「」
鳳翔「……最近、お店の人手が足りないのだけど」
蒼龍「うわぁああああああん働きましゅうううううううう!!!!」
飛龍「皿洗いでもなんでもしましゅうううううううううう!!!!」
加賀「あ、あの、私たちも手伝いますから」
瑞鶴「結構私たちも飲んじゃったしね。妙に美味しいと思った」
鳳翔「とりあえず、いい加減明るいうちから飲むのはやめなさい……」
83: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 01:04:15.75 ID:u2nkv0dK0
~おまけ3~
蒼龍「 もう一息だよ パワーを流星改に! 」
赤城「 いいですとも! 」
加賀「ふざけてる場合ですか!!」
飛龍「大丈夫だよー、もう全部沈めたからさ」
翔鶴(頼りになる先輩たち)
瑞鶴「おいしー! 今度作り方教えて!」
鳳翔「いいですよー。煮込むのに3日つぶれますけど」
翔鶴(優しいお母さんと妹)
提督「翔鶴、そろそろ出よう」
翔鶴「あ、はーい!」
翔鶴(頼りになる提督といっしょで、本当に幸せです)
84: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 01:06:02.53 ID:u2nkv0dK0
―― ドザァアアアアアアア……
翔鶴「」
提督「初デートが大雨か。これは運が悪いと言えるんじゃないか?」
翔鶴「言わないでください……」
提督「休日もそう簡単に変えられないしな。なんとか行くしかないんだが」
翔鶴「お、お買い物! 遊園地やめて、ショッピングにしましょう!」
提督「そうだな。――よし、行こう」
翔鶴「あれ、傘……」
提督「いいだろ、1本で」
翔鶴「――はい!」
翔鶴(みんなで寄り添って、翔んでいきます)
翔鶴(いつまでも離れることのない、あざなえる縄のごとく)
翔鶴「これからもよろしくお願いしますね、提督!」
艦!
85: ◆GoPzFNH1CI 2015/12/12(土) 01:11:46.48 ID:u2nkv0dK0
読んでいただきありがとうございました。
短編なのに投下長くなり、申し訳ありませんでしたorz
南雲機動部隊コンプまで頑張ります。年内には蒼龍さん編を書きたいです。
よろしければこちらもどうぞ。
また読んでいただけると嬉しいです。
提督「指輪を外すんだ、赤城」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1446139866/
鳳翔「あゝ栄光の、空母機動部隊!」
http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1429722723/
87: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/12(土) 01:32:49.51 ID:1I3SQ/NOO
乙です
89: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/12(土) 10:05:46.26 ID:IG1t0Hkxo
乙
初デートが雨なら室内でデート(意味深)かな?
初デートが雨なら室内でデート(意味深)かな?
SS速報VIPに投稿されたスレッドの紹介です
【SS速報VIP】翔鶴「あざなえる縄のごとし」
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